高校生からの物語 完結   作:月島柊

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月島柊
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柚木
ゆかり
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以上27名


第52話 していいこと

 俺と琴葉がニヤリと笑った理由。それは、さっきの場所から狙撃するからだった。射程は琴葉が教えてくれたおかげで、800m~1000mの範囲が届くことが分かった。

 

「あ…」

 

琴葉は唖然としていた。俺がその先を見ると、そこには張り紙が大量に貼られていた。内容は、血の色で「死ねばいいのに」「早く諦めろよ」などだった。力勝負でなく、精神的に削っていくパターンだ。俺はこんなことはされたことがない。ただ、気持ちは分かる。

 

「琴葉…分かるよ、気持ちは──」

「嘘つけ…」

 

琴葉は低い声で言った。

 

「え?なんて」

「嘘つけ。分かるはずがない」

「どうしてそう思うんだ」

「実際に書かれたことそのままだから」

 

琴葉はその場に立ち尽くしたまま動かない。

 

「俺にも少しくらい分かる」

「分かんないじゃん。もう辞めてよ」

 

俺は琴葉が持っていたハンドガンで撃たれた。仲間同士の攻撃もありになっている。だけど、こんなことで。

 

 俺は瑞浪とかりなの回復によってどうにか生き延びた。琴葉はそのあと1人でグループに挑みに行ったらしい。20分前に出ていってから、一切連絡はないらしく、みんな心配していた。

 

「大丈夫か、琴葉」

「生きてるとは思うけど」

 

その時、入口から琴葉が入ってきた。入ってきてからの第一声は「ただいま」ではなかった。

 

「ごめんなさい」

 

琴葉は深々と謝った。

 

「待て待て、謝ることなんてあったか?」

「私…柊くんを撃ったから…」

 

琴葉はこれまでにないほど深くお辞儀をした。

 

「いいって。俺が気に障ることしたんだから」

「でも、柊くん…じゃあ、これで晴らす」

 

琴葉は正座で俺を見た。え、土下座ですか?いやいや、そんなことしなくても…

 

「こっち来て」

 

膝枕ってこと?いやいやなんでそうなったの。俺はそう思いつつも膝に頭を乗せた。

 

「これで気分晴れたから。あと、私、もう1つ謝んないと」

「なんだ」

「敵が逆上しちゃって、こっちに向かってきてる」

「戦いがいがあるってことだろ?」

 

俺は立ち上がって窓から外を見た。なるほど、走ってこっちまで来てるのか。って、ん?あれ確かに敵は敵だけど、スナイパーと剣士がいるグループじゃない。

 

「あのグループじゃないよな」

「うん…逃げてる?」

 

そのグループはこっちに走ってくる。逃げてるのかな。

 

「一応下に行ってみる?」

「そうしようか」

 

俺と琴葉は1階に降りてドアを開けた。すると、さっきのグループが土下座して頼んできた。

 

「お願いします!攻撃しませんから!」

「ここは柊くんね」

 

琴葉は小声で言って中に戻った。

 

「落ち着いてくれ。敬語もいらない。どうしたんだ」

「はい、先ほどからスナイパーと剣士のグループが追ってきておりまして、逃げてきた」

 

やっぱり逃げてきたか。確かに無理はない。

 

「そして、助けを求めに来た」

「なるほど。いいよ、助けよう」

 

俺は中に入ってみんなを呼び出した。

 

「戦闘だぞ」

「はい!」

 

みんなは外に出ていく。グループは俺たちを待っていて、礼儀正しかった。

 

「えっと、申し訳ないんだけど、倒しちゃうかも」

「え、あ、いいよ」

 

俺はみんなに手で指示を送り、敵の襲来を待った。

5分で急な襲来が来た。俺は魔法で弱い敵を先に倒した。全員強く平等だからか、あんまり倒せなかった。

 

「があぁっ」

 

敵が剣で斬ろうとする。俺はシールド魔法で防ぐ。

 

「こいつら…狂ってやがる…」

「たあぁっ!」

 

暁依が敵を倒しに行った。前衛メンバーだからか攻撃力は高い。

 

「暁依!気を付けろよ!」

「分かってる!」

 

暁依は次々と倒していく。俺も魔法で次々に倒す。

 

「柊くん!回復!」

 

俺のHPが回復する。剣士はほとんど全滅だが、スナイパーでもない奴が1人いた。その1人はなんらかの瓶を開け、煙が出た。

 

「が…っ!」

 

俺は息を止めた。暁依も息を止めている。そんな中で、彩夏とかりなだけが止めていなかった。

 

「暁依、大丈夫か」

「吸ってないから大丈夫。ただ、彩夏とかりな吸ってるよな」

 

俺と同じことだった。俺はスナイパーに気を付けつつ彩夏とかりなのところに向かった。

 

「彩夏、大丈夫か」

「かりな、大丈夫か」

 

同時に聞くと、彩夏は俺に飛びかかり、かりなは暁依に飛びかかった。

 

「柊く~ん、行かないでぇ…」

「どこか行ったら死んじゃうよぉ」

 

彩夏とかりなは離れようとしない。俺は彩夏の顔を見た。

 

「顔、赤いな。なんか熱いし」

「そお?気のせいじゃにゃい?」

 

酔ったときのようだった。さっきの煙が影響してるんかな。

 

「彩夏、一回落ち着こう?」

「なんりぇ?何もないのに」

「いいから、落ち着けって」

 

俺は彩夏を座らせた。暁依はかりなを外に連れ出していた。

 

「彩夏、本当に何も症状ないか?」

「にゃいって。心配しないで?」

 

まずまともに話せてないところが気になる。彩夏、どんどん照れてきてるっていうか、赤くなってる。

 

「琴葉!柚木!戦闘頼んだ!」

 

俺は遠くにいる琴葉と柚木を戦闘させた。このままだと戦えないし。遠距離がいるだけで有利に進むし、あとスナイパーしかいないだろうし。

 

「柊くん…私、おかしくなっちゃってる…」

 

吐息混じりの声。少しセクシーに思えてくる。

 

「私、柊くんのこと、兄じゃなくて、異性として見ちゃってる…」

 

異性としてか。俺と彩夏は年こそ13離れているが、れっきとした血の繋がっている兄妹。

 

「彩夏、兄妹でできないことは結婚。だけど、できることはあるだろう?」

「できること…なに?」

 

俺は彩夏の頭の後ろに手を当て、そのまま俺の方に引き寄せた。

 

「ハグだよ」

「……もっとしてて…何て言ったら怒る?」

「怒らないよ。してな」

 

俺は彩夏のハグに抵抗しなかった。

 

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