結構広い家に引っ越した俺たち3人は、近くの店調べや、生活用品を揃えたりと忙しかった。スマホを使って場所を調べているが、1番近いのは本庄だろうか。別に近いからいいが。
「何調べてるの?」
「家電だよ。洗濯機とかテレビとかもないだろ」
家電が売ってるのは本庄くらいだった。車はあるからそんなに時間がかかるわけではない。多分5分ちょっとだろう。
「私も行こうか?」
「いや、2人で居たらいいよ。久しぶりだろ」
俺は車を出し、窓を開ける。
「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい!気を付けて!」
俺はクラクションを返事代わりに走り出す。
電化製品は結構売ってたが、4Kのテレビや洗濯機を買って帰る。テレビ、洗濯機共に配達で明日くる。ついでに胡桃の好きなアイスを買って帰った。
「ただいま。彩、これ冷蔵庫にしまっといて」
「オッケー。アイス?」
「胡桃が好きなんだ。」
俺は車に戻り、胡桃を呼び出す。
5分くらいしてから胡桃が走ってきた。
「どうしたの?呼び出して」
「ドライブでも行こうぜ。引っ越した後だしさ」
「やったー!楽しみ!」
はしゃいで胡桃が言う。助手席に胡桃を乗せて俺は車を発進させた。胡桃は前を見てボーッとしている。
「胡桃は車に乗るの久しぶりか」
「うん。柊くんは北海道でドライブした?」
「まぁ最後の1年だけな。冬の運転は怖かったなぁ」
「楽しかったんだ。北海道」
だんだん元気がなくなっていく。表情も暗くなってついに泣き出してしまった。
「よかったね。楽しかったんだ。」
「・・・胡桃は楽しくなかったのか」
「誰もいないし、周りからもからかわれた。高校卒業したら楽かと思ったのに、全然そうじゃなかった。だから柊くんが羨ましい。」
胡桃は高校のとき、周りから殴られる、蹴られる、隠される、陰口を言われるなどの虐めに遭っていた。だから俺は守りたかったのだが、母親から大学進学を薦められ、俺は北海道の大学に通うことになってしまった。胡桃も本当は寂しかったんだ。俺は拳を強く握りしめ、少し強い口調で言う。
「これからたくさんつくればいい。思い出なんて簡単に増やせる。今からやり直せばいいんだ」
「けどもう23だし」
「23だろうが40だろうが何歳だろうが思い出はつくれる。ここには俺も彩もいる。だから、これからやり直そう」
俺は前を見たままいった。運転はやらないと。
「そうだね。これから1つの思い出を増やせばいいんだ」
胡桃が言った。
「ほら、ここだよ」
「ここ?」
俺が連れていったのは少しだけの高台だった。
「ここにどうして連れてきたの?」
「あそこを見てごらん、新幹線の線路が見えるだろう」
「うん、見えるけど、それがどうかした?」
「こんな遠くでも見えるものは見える。俺も北海道から胡桃を見ようとすれば見えた。胡桃は5年間一人じゃなかったんだよ」
俺は北海道からでも胡桃のことは忘れなかった。思い出しては高台に登って鴻巣の方向を向いていた。
「柊くんはどれだけ泣かせれば気が済むのっ」
涙が流れ落ちる。俺は胡桃を抱き締めて言った。
「気がすむまで泣けばいい。いけないことなんてないから」
胡桃は俺に顔を蹲らせて泣いている。俺は胡桃を守りたくてライトソードを持ったんだけど、必要はあったようだ。
それから1ヶ月、すっかり3人の生活が慣れてきた。生活必需品も結構揃って暮らしていた。胡桃のへや、彩の部屋と俺の部屋。それぞれの個室を用意した。
「はぁ、通勤も遠くなったもんだな」
豊田から上野の前に籠原から鹿島田、札幌から小樽など遠距離の通勤はやって来たが、神保原から上野はなにか遠い気がする。いつもグリーン車に乗ってるが疲れるに決まってる。胡桃も仕事を始めたが胡桃も遠距離だ。神保原から東鷲宮までVの字に通勤しなければいけない。胡桃は通勤ラッシュ時間帯に当てはまるが高崎線内だけだ。今日も俺は仕事に――
「高崎線運転見合わせてるけど大丈夫なの?」
彩が下から叫ぶ。そう、行けない状況なのだ。
「一応行けるとこまでは。じゃ、行ってくる」
「行ってくるね、彩ちゃん」
胡桃と一緒に出ていく。
普通車に立って乗ってるが、鴻巣で運転見合わせ。1時間くらい経ってから再開したが、結構混んでいるし、指も動かせない。こんな混んでいるのは初めてだ。
「痴漢に遭わないよね?」
「多分な。うっ」
ドアが開いて人が乗ってくるのが苦痛。押し潰されるようになるから胡桃と密着してしまう。
「はぁ、混んでるね」
「あ、あぁ。うっ」
ちゅっ
胡桃とキスをしてしまう。ここからどう戻ればいいんだ。俺はずっとキスしていた。
「あっ、んちゅっ、ちゅっ」
10両なのもありかなり混んでいる。もうすべてが動かせない。
「胡桃、好き」
「柊くんっ!しゅきしゅきっ」
このまま大宮まで俺たちはいた。
書くことがないですが、次回もお楽しみに!
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