高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
立川絢香
月島柊
月島胡桃
白雪凪沙
以上4名


第54話 大雪

 俺が起きたところは家ではなかった。見覚えのない場所で、周りを見るとそこは近くのホテルであることが分かった。

 

「あ、起きた」

「あーやが運んでくれたのか?」

「そう。ちゃんと健康管理してね」

「分かった。ごめん」

 

あーやはそう言ってベットに横になった。俺のとなりだ。

 

「今日は泊まっちゃおっか」

「あ、泊まるか」

 

俺は起き上がろうとした。起き上がろうとすると、あーやが俺のことを止めた。

 

「まだ痛いと思うから、寝てて。あと、痛みなくなったらたまにはメンバーに顔見せてね」

「あぁ、分かったよ。考えておく」

 

とりあえず痛みを治しておかないとか。なんか右胸に湿ってる感じがあるし、薬でも塗ってくれたんだろう。俺はあーやを見た。

 

「なに」

「いや…ありがとう」

 

あーやは「なんの事やら…」と言っているが、多分分かっている。だって少し赤くなってるし。それに、あーやの愛情があった気がした。

 

 俺とあーやはホテルで寝た。翌日になるとあーやはすぐに事務所へ向かっていった。俺はあーやと別れて帰ることにした。

 

「おかえり!待ってたよ!」

 

胡桃だった。なにか後ろに隠したようだったから、俺は聞いた。

 

「なんか持ってるのか?」

「持ってない。なんで?」

「いや…なんでも…ない…」

 

白い切れ端のような、小さい紙に赤い文字が裏にうっすらうつっていたのが一瞬見えた気がしたんだが。

 

「本当になにも持ってないか」

「持ってない!」

 

慌てる様子はない。やっぱり俺の幻覚かな。多分疲れているんだろう。

 

「あ、胡桃。風呂入りたいんだけど」

「じゃあ一緒に入る?朝風呂もいいし」

「じゃあそうしようかな」

 

俺は胡桃と一緒に脱衣所に向かった。胡桃は着替えを取ってきて、俺は自室にタオルと服を取りに行った。

 

「あれ、タオルない」

「もう持ってるよ!」

 

胡桃がタオルを高く投げた。俺は吹き抜けの2階からタオルを取った。

 

「サンキュ」

 

俺は吹き抜けのところから下に飛び降りた。よい子は真似しちゃダメだぞ。

 

「柊くん、行こ」

 

俺は胡桃と脱衣所に入った。もうお互いの裸を見るのは恥ずかしくない。

 

「あ、先湯船に入ってな」

「うん。じゃあ遠慮なく」

 

俺はシャワーを浴びた。いつも通り洗うと、外から寒い風が入ってきた。

 

「雪?」

 

胡桃が外を見て言った。雪なんて5月に降らないだろ。俺が胡桃の横から外を見ると本当に降っていた。

 

「マジか…」

「柊くん、寒いからシャワー浴びる…」

「ああ、分かった」

 

俺は交代で湯船に浸かった。寒いから結構降ってるんだろうな。

 

「もしかして、なぎかな」

「ああ、気持ち抑えれないと雪降らせちゃうから?」

「そう。それだったらまだ安心なんだけど」

 

違かったら少し不安になる。異常気象のレベルじゃないし、もう雪積もってる。

 

「胡桃、髪長いよな」

「うん。洗うの慣れてるけどね」

 

確かに慣れた手付きだった。雪のことは上がるまで忘れていた。

 

 上がってリビングに行くと、なぎが外を見ていた。悲しそうだった。

 

「どうした」

「あ、雪見てたら、私のせいかなって」

「どうして、何かあったのか」

「さっき、1人で外見てたら悲しくなっちゃって。だから大雪なのかなって」

 

悲しくなるだけで大雪になるのかよ。

 

「いいよ、責めることじゃない。じゃあ、俺事務所の除雪行ってる来るけど、なぎと胡桃も行くか?」

「うん」

 

なぎは頷くだけだった。

 

 俺は深谷駅から高崎線に乗った。大雪で深谷~本荘間が運転見合わせ、上野東京ラインの直通中止、本荘~高崎間、籠原~深谷間で運転本数減少、上野~籠原間で大幅な遅延、及び一部運休、湘南新宿ライン高崎線直通は新宿で折り返しなどと結構あった。俺が乗る10:50発小田原行きは28分遅れで岡部を出発。そして、行き先も小田原行きから上野行きに変更。

10:22普通熱海行き→10:42普通上野行き(+20)

10:42特快小田原行→運休

10:50普通小田原行→11:08普通上野行き(+28)

11:19普通熱海行き→運休

11:42特快小田原行→12:03快速新宿行き(+21)

11:50普通小田原行→運休

のように、大体20分程度の遅延に、1時間1本の運休がある。籠原の発車予告を見ても、

11:05普通上野行き→11:32普通上野行き(+27)

11:13快速平塚行き→運休

11:27普通熱海行き→運休

11:41普通小田原行→運休

11:50特快小田原行→12:06快速新宿行き(+27)

11:58普通小田原行→運休

1時間に4本運休。1時間に2本の間隔で、毎時32分が上野行き、6分が新宿行き。湘南新宿ラインは大宮以南でも3本、高崎線は宇都宮線と合わせても5本。日中の時間より少ない。宇都宮線は平常運転だが、高崎線との接続もあり10分程度の遅れはある。

 

「あれ、空いてる…」

「平日で遅れてると混んでるけど、今日は外出する人いないだろ。しかも当駅始発だし」

 

電車のなかには俺たち3人しかいなかった。

 

 電車に乗っている途中にも遅れの情報は入ってくる。京浜東北線が大宮~南浦和駅間一部運休。どうやら大宮始発の内、2本が運休らしい。山手線は1時間に6本の運転。中央線は1時間に7本から9本程度。総武線は1時間に7本東海道線は東京~平塚駅間で一部運休、平塚以南で平常運転。

乗っている高崎線も宮原で時間調整。宇都宮線湘南新宿ラインからの接続のため。4分止まって出発し、大宮には32分遅れで到着。上野には34分遅れ。12:43到着。

 

「こっちも雪すごいな」

「うん。寒いね」

 

なぎの機嫌は戻ってくれた。悲しい感じもなくなった。

 

「早く行こうか。遠くないから」

 

俺はなぎを掴んで走った。胡桃が後ろを走ってついてくる。

 

「きゃっ!」

「胡桃!」

 

俺は胡桃が転ばないように支えた。滑って転びそうになった胡桃はホッと安心したようだった。

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