高校生からの物語 完結   作:月島柊

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第35話 帰宅

 「蘭、お帰り」

「…ただいま…」

「どうした?蘭」

「…ちょっと来て」

 

蘭が俺を呼び出す。なんだ?俺何かしたか?

 

「蘭、何かした――」

「私と会ってないのに」

 

会ってない?どうして

 

「もっと一緒にいたかったのに」

「蘭、いつでも会えるからさ」

「会えないじゃん!」

 

蘭が大声を出すのはあまりないのに、今日だけは真剣だった。

 

「蘭、来ればいいだろ」

「でも!迷惑だって言うかなって…」

「蘭」

 

俺は抱き締めて言った。

 

「そんなことない。来ればいい」

「柊くん…分かった」

 

蘭は歩いて改札を出る。俺は少しあとに改札を出た。蘭はもう見えなかった。

 

 翌日朝7時、妹たち10人は先に新幹線で、蘭たちは上野で会うのを条件に少し後に出ていく。

 

「帰ろうか。楽しかったか」

「うん!楽しかった!」

 

ジュンは相変わらず1番に話し出す。帰りは山形蔵王ICから山形自動車道、村田JCTから東北自動車道、川口料金所から首都高川口線、江北二町目付近から高速から降りて、一般道で上野駅前まで。交代は蓮田の1回のみ。俺はと言うと、前日3時間半の運転で、疲れすぎて運転がまともに出来ないと言うことで運転はなかった。

そして、俺の状況は…

1番後ろで横になっている!

なんで?こんなんにされないとダメなの?とにかく落ち着こう。

 

「はぁぁぁ」

 

深いため息。眠くなってくるしさ。

 

「しょうがないでしょ。前あいてないんだから。今でも2人席のところに4人ぎゅうぎゅう詰めでいるんだから」

「苦しいんだよ」

 

別に俺を横にさせなければよかった話じゃない?

 

「私…きつい…」

「入れるんじゃない?右」

 

5人が左右に分かれる。真ん中がちょうど空く。

 

「あの、この間に入れと?」

「そ。はやく入らないと詰めちゃうぞー」

「入っていいんですかね?」

「いいって。はやく」

 

俺は前に移動してその間に入る。

右があーや、左がニコルで挟まれている。肩の柔らかさがよく分かる。

それに、俺が静かにじっとしているとあーやとニコルの心臓の鼓動が伝わってくる。

横はかなり狭いけど、俺の体はみんなと比べて太さは変わらない。

 

「狭くない?」

「あと何時間だっけ」

「あと4時間半くらい」

 

4時間半この状況なの?地獄でしかないじゃないか。ニコルの心臓の鼓動が伝わってくる。速い鼓動だ。

一方あーやは等間隔な鼓動。落ち着いてる。

 

「ニコル、大丈夫か」

「うん…」

 

斎藤ニコル視点

 

 柊くんがとなりに座ってきてから最初は大きくゆっくりだったが、ずっといると、小刻みになって速くなってしまう。死んじゃいそうだった。ドキドキしすぎて。

 

(肩が触れてる…シートベルトも狭いからしてないし…)

 

キスできそう…って、なに考えてるの!?私!

 

「ニコル、大丈夫か」

「うん…」

 

顔でも赤くなってたの!?恥ずかしい…やめてよ…

 

「なんか緊張してる?」

 

柊くん…そう言われるの嫌…分かってるでしょ

 

「分かんないの」

「分かってる。ただ――」

 

私は柊くんを強く締める。怒りとツンツンしてるような気持ちで。

 

「ぐっ、ニコル…死ぬ!死ぬ!」

「死んでよ…っ」

 

思わず泣き出してしまう。

 

「ニコ…ルやめてくれ…」

 

いつの間にか話しづらくなるほど締めていた。私はすぐに離す。

 

「ニコル、嫌われたのか、俺」

 

今まで何を思ってきたのか急に分からなくなった。私、何してたんだろう。

 

【月島柊視点】

 

 嫌われたのかも分からずに俺は寝た。なんでだろう、勘違いかもしれないが、本当かもしれない。本当だったら、俺はどうするんだろう。自殺かな、それとも…

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