あれから何分乗ってたんだろう。いつの間にか上野の駐車場に着いていた。
「トランク狭いんだよ…」
「あはは、ごめんね。」
わざとだろ。
「じゃあ、俺今日休みだから。帰るからな」
「はーい。じゃあね」
俺は引き続き車を走らせた。上野駅から家までだ。
家に着くと、音に気付いたのか彩と胡桃が出てきた。こっちに走ってくる。そういえば、連絡とってなかったな。
俺は車の窓を開ける。
「ただいま。」
「お帰り。中で待ってる?」
「そこで出迎えたいんだったら移動しなくてもいいけど」
俺がそう言うと、彩は「じゃあここにいる」と言って車から少し離れて立ち止まった。
「んんっ!」
誰か女の子の声。胡桃か彩か。なに伸びてんだよ。
「ふぅ…着いたの?」
着いた?彩は外にいるし、胡桃も外にいる。じゃあ誰が乗ってるんだ?ナナニジは全員降ろしたつもりだし、誰も乗ってないはず…
俺が恐る恐る後ろを振り返ると、そこには
「もう上野駅着いたのね」
あーやだった!なんでいるんだよ!
「なんでいんの?」
「寝過ぎちゃったかな」
寝過ぎてるよ!ってかなんで俺気付かなかったんだ!?
「ここ俺の家なんだけど」
「ふーん、寝過ごしちゃったか。」
反応薄っ!
「だったら泊めてよ」
「は?なんで」
「来ちゃったから?」
そういう問題じゃないんだけど。
「女の子のパジャマ姿、見れるよ?」
もう間に合ってます。彩と胡桃のパジャマ姿毎日見てるし。
「女2人いるけどいいのか」
「あれ、未婚者って言ってなかった?」
「あぁ。今は知り合い。彼女でもあるけど」
「じゃあいいよ」
なにそれ。いるのはいいけど妻だったらダメなの?
「じゃあトランク開けるから出てこい。」
「はーい。」
俺は外に出てトランクを開ける。なんで気付かなかったかな。
「出てこい。開けたから。出たら閉めとけよ」
俺はトランクを開けて彩と胡桃のところへ行った。
「おかえり。お腹すいたでしょ。」
「あぁ。昨日から何も食ってないな」
昨日の夕食からか。よく運転できたな、俺。
「ご飯作っとくね。」
「ありがと。」
あーやは彩が行ってからこっちに来た。泊まるって、部屋俺のとこしかないんだけど。
「俺の部屋でいいのか、泊まるの」
「いいよ。」
俺の部屋そこまで広くないんだけど。3人で結構狭いんだけど。
「分かった…事情説明してくるから待ってて」
俺は家に入り、彩に事情を話す。
「今日昼ごはん4人分作れるかな」
「ん?もう作ってるよ。もう1人泊まるんでしょ」
なんで知ってるんだ。話した覚えないのに。
「なんで知ってるんだ」
「トランクから1人出てきたから」
そこ見てたのか。じゃあいいってことでいいのかな。
「じゃあいいんだな」
「いいよ。でも…」
少しためて彩が発したのは意外な言葉だった。
「襲わないでねっ♪」
「はぁっ!?おっ、襲うわけないだろ!」
「ふふっ、どうだろうね」
信用されてないのかな?俺は。
いいって言ってたから俺は外にいるあーやを呼びに行く。外は春だからかあまり暑くはないが、ずっといると汗ばむ。
「ほら、入ってこい」
「エアコンある?」
今の季節エアコン聞くって暑がりなのか?
「あるけど、どうした」
「涼しくないと漫画書けない」
そういうことか。だったらリビングでいいかな。
「リビングでいいよな」
「いいから、早くいれて」
「はいはい。分かったから」
俺はドアを開けてあーやをいれる。誰も来ないけど。いつの間にか昼ごはんの匂いが漂う。
「食べたい…」
「食えるから。彩、皿あるか」
「6つあるから大丈夫。えっと、誰だっけ」
「立川絢香。よろしくー」
そう言って絢香は出されていた焼きそばを美味しそうに頬張る。よっぽどお腹がすいてたんだろう。
「美味しい?絢香ちゃん」
「うん。」
俺も食べるか。
食い終わった俺はもうおやすみモードに入る。いつも使っている空き部屋だ。声が全く聞こえない部屋だ。聞こえないと言っても誰かが叫んだり、大声を出したら聞こえる。
今日は格段と静かだった。いつもは笑い声などがたまに聞こえてくるが、今日はなかった。
俺がゆっくりと目蓋を閉じ、寝ようとした、その時だった。急に下から大声が聞こえた。
「ああああぁぁぁっ!」
あーやの声だろうか。なんかすごい叫んでいる。俺の斜め向かいの部屋にいた彩も聞こえて部屋を出ていた。胡桃は1階のゲーム部屋にいるはずだけど、出てるようすがないってことは音ゲーか。
「何?さっきの」
「絢香だ。何かあったのかね」
俺たちが1階へ降りると胡桃はキッチンの冷蔵庫を漁っていた。ヘッドホンをしてるから気付いてないのかな。
「あーや?どこだ」
「絢香ちゃーん、どこいるのー」
呼んでも出てこない。家にいるのか?本当に。
「何してるの?私は暁依と一緒にゲームしてたんだけど」
なんで暁依いるの?まぁいいか。
「胡桃さん、ここにコントありました?」
コントって…俺たちがゲームやるときの省略じゃないか。分かるのか?
「どこにあるって?」
「廊下ですよ」
廊下にコントあるの?おかしいだろ明らか。
「コント私椅子の上置いといたよ?」
コントの意味知ってるんかい。ってか椅子の上に置いたんだったら尚更だ。
「なんでだよ。コント置いたんだろ?」
「誰かが蹴ったとか?」
「俺と彩は上にいたし、暁依と胡桃はゲームしてたろ」
「蹴ったって、まさか泥棒?」
いやいや、人のいる家に入ってくる泥棒なんているかよ。
「リビング鍵かけてた?」
「開けといたよ?」
まさか!
「あーやがいないんだろ?」
「それで鍵開けてたんですか…」
だったら。暁依も同じことを思ってるんだろう。
「だったら」
「でしたら」
『リビングから入ったっていうのは』
リビングから入ったんだったら上にもゲーム部屋も通らない。誰も気付かないのも納得できる。
「あーや、そこら辺にいるか」
「いや、考えづらいだろ、柊」
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