高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回は第43話の続きで胡桃を低体温の状態から救う場面になります。風邪ってなんででしょう。しかも胡桃は…
それでは本編へどうぞ!


第44話 低体温と風邪

 俺は寒い部屋から彩を大きな声で呼んだ。できる限りの大きい声。寒いからか思うように声がでないが、命がけと言っても過言ではなかった。

 

「彩!」

「柊くん!どうしたの!」

「そっちに胡桃持っていく!」

「分かった!気をつけて!」

 

俺は胡桃の後ろに手をやって、お姫様抱っこの形で運ぼうとする。しかし寒さから自分の体温が奪われている。そのためか全く力が入らない。やっとの力で持っても、持つことに精一杯になり、歩くことができない。彩はあっちで待ってるから来れないはずだし。そう思っていると彩がこっちに走ってきた。

 

「柊くん、手伝う!」

「…彩…」

 

彩が反対側を持ったことで力が分散される。俺も中学で少しは保健の授業は受けたが、知らないことが多かった。

 

「行くよ、せーのっ!」

 

掛け声と共に胡桃のことを持つ。胡桃は全く応答しない。声が出せないんだろう。

 

「あと少し。」

 

彩しか声を出していないが俺も死にそうなほどに力を出して運んでいる。

運び終わると俺はすぐにあの作戦のために外に出ようとする。

 

「柊くん、どこ行くの」

「その辺」

「胡桃ちゃんがこんな状態なのに」

「必要なんだ。」

 

俺は玄関から靴を履いて外に出る。真っ暗だが、家の前200mを何度も走って往復する。目標は自分の体が暑くなるまで。4往復ほどだろう。

 

「はあっ、はあっ」

 

400m走ってきたところで段々息切れしてくる。それでも耐えて走り続ける。普段だったらこんなことはしない。胡桃がこんな状態だからするんだ。

 

「はあっ、はあっ」

 

600m。1往復半だ。まだ冷たいところがある。

1km。2往復半。疲れてきた。でも、胡桃のためだったら。

1600m。ようやく体が暑くなってきた。俺は家のなかにはいる。冷めないうちに。

 

「柊くん!なんで――」

「今から俺が抱くから、胡桃のこと」

「なんか変だよ!」

「変じゃない。やらなきゃいけないんだ」

 

俺は胡桃に抱きつく。まだ冷たいところがあるが、俺の体温があれば、少しは暖まるはずだ。俺が走ってきたのはこれが理由だったのだ。体を温め、その体温で胡桃を暖める。

 

「柊くん、それが目的で?」

「そうだ。必要だったって言ったろ」

 

俺は胡桃のことを見ながらずっと抱いていた。

 

「ん…?」

「胡桃、起きたか」

 

胡桃はやっと起きてくれた。俺の目的はこれだ。

 

「胡桃、なんか飲めるか」

「うん……少し、暖かいのだったら」

「彩、ホットココア作ってくれるかな。あとストロー」

「はい。分かった」

 

いいチームワークだと思う。戻ってくる理由が出来た。胡桃だって寒いのによく耐えた。

 

「胡桃、まだ寒いか」

「うん…けど、収まってきた」

 

よかった。その時、胡桃はムズムズしたような顔で俺の顔から顔をそらす。

 

「どうした」

「くちゅん!」

 

くしゃみだった。風邪でもひいたか。

 

「くちゅっ、くちゅん!」

 

かわいいなんて今思っちゃいけないんだろうけど思ってしまう。

 

「胡桃ちゃん、ココアだよ」

「うん、ありが…くちゅん!」

「風邪?」

 

分からないけど多分そうだろう。この部屋にはエアコンがない代わりにストーブがある。暖めようとしたら暖まる。

 

「ストーブ炊くか。彩、胡桃頼んだ」

 

俺はストーブの薪を持ってきた。当然だが、中には火が灯っていない。寒いから。俺は薪と屑を中に入れ、チャッカマンで火をつける。火傷には気を付けるけど。

 

「よし、10分くらいで暖まるから」

「ありがとう…くちゅっ!」

「寒そうじゃん」

 

俺は妹2人に連絡する。

 

〈今日帰れない〉

〈どうして?〉

〈仕事長引く〉

 

このやり取りだけ。分かったはずだ。

 

「今日は俺と一緒に寝ようか。胡桃」

「風邪うつったら」

「別にすぐ治る。俺にうつしたほうが胡桃は楽だ」

 

俺が風邪引こうと関係ない。もしうつったらかりなか彩夏に任せるし。

 

「じゃあ少し休もうか」

 

  to be continued




また続きますからね。

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