俺と胡桃は布団の中でくっついて黙っていた。俺は無心でいたが、胡桃はみるみる顔が赤くなっていく。
「いないのか…?」
そのまま出ていってくれ、頼むから。
「柊くん…固い…」
胡桃が触ったのは俺の指だった。俺の手は胡桃の体に触れていたが、仕方なく黙ってたんだけど、さすがにダメだったか。
「我慢してくれ、出ていくまで」
しばらくこのままでいたが、出ていったのを確認すると、俺と胡桃は布団から出ていった。
「ふぅ…警察呼ぶか」
「そうして…」
俺は部屋から出て元カレの腕を掴む。手首を強く掴んだ。警察に電話をかけて。
「お前、どういうつもりだ」
「は?なにもしてないだろ」
「不法侵入。あ、もしもし、あの神保原の――」
俺は警察を呼んだ。元カレは少し焦っているが腕からは離れなかった。
15分で警察が来た。
「この人俺知らないんですが、勝手に入ってきたんです」
「君、本当かい」
「…だって元カノいるんだからいいだろ」
許可出してないのに来るのは勝手に入ってきてるのと同じだろ。
「許可してないし、連絡ないし。俺知らないし」
「ちょっと署で話し聞くからね」
警察は元カレを連れていった。あとで知ったことだが、不法侵入で罰金5万、隠れて殺人未遂をしていたため懲役5年が課せられたそうだ。
「胡桃、おいで」
胡桃はぎゅっと俺を抱き締めた。ニコッと笑って俺を見てくれた。
「風邪は治ったな」
「おかげさまで。」
それにしても俺には信じられないことがあった。普通気温が3℃で半袖でも倒れるほど寒くはならないと思ったのだ。まだ震えて風邪をひくぐらいだったら分かるが、いくらなんでも倒れはしないと思った。
俺は下に降りるとゲーム部屋のエアコンを10℃、扇風機を2台動かした。丁度あの時と同じ状況。窓はたしか全部しまっていた。俺はあの時と同じように5時間立ち入り禁止にした。今はもう23:50。明日の4:30にみんな起こして、4:50に様子を見る。
そして翌日4:45、みんなでゲーム部屋の前に行った。外からでは感じないが、木のドアをさわると冷たかった。
「じゃあ開けるぞ4:52、解放」
4:52、ドアを開けた。温度計は3℃を指している。しかし別の温度計では氷点下まで下がっていた。-26℃。29℃の差があったのだ。
「壁の温度計、壊れてたのね」
「そうだな。3℃以下に落ちないから」
「胡桃ちゃん、どうして寒くしたの?」
俺もそれは気になった。なんで倒れるほど寒くしたんだろう。
「柊くんが、私を嫌ったのかって思って」
「嫌ったって…そんなことない」
「そうなの?だって、電車も合わないから…」
そういうことか。確かに早く出るようにしたから会わないよな。
「早く出てたから。仕事で」
「そうなの?じゃあ、私の…////」
胡桃は顔を赤くした。勘違いなのが恥かしかったんだろう。
「なんだ、勘違いか。そういえば、明日から戻るから。時間」
「私も明日からお兄ちゃんと一緒に行くから、みんな一緒だね!」
「私は鴻巣なんだけどね」
それぞれ彩夏の仕事の最寄り駅は、俺とかりな、彩夏は上野、胡桃が小山、彩は鴻巣だった。彩夏、かりなは高校にいくのがもったいないと俺が教えることになった。
「じゃあ少し休もうかな。」
「じゃあ私も休もうかな」
みんなでストーブの効いたリビングで休んだ。俺だって出ていくまでまだ時間がある。休日に乗った籠原6:50発を平日にした電車に乗る。確か湘南新宿ライン東海道線直通快速国府津行きだったはず。神保原は6:28発だった。
「あれ、彩は鴻巣でなにするんだ」
「言ってなかったっけ、先生だよ」
そんなの聴いてない。教員免許いつとったんだよ。
「教員免許は」
「社会。」
よりによって社会か。俺も教員免許持ってるけど。まぁだから引き受けたんだけど。
「俺、数学と理科、音楽の免許」
3教科だけ。理数系と音楽だけ。
「胡桃って確か国語と英語得意だよな」
「I have a specialty in English.」
彩と彩夏は「へ?」となに言ってるか分かってないっぽい。たしか「私は英語が得意です。」だったっけ。俺はまぁまぁ分かる。返事は…
「I thought so」
自分もそう思ったという意味。
「Thank You」
これくらいだったら分かるだろ。まぁ難しい単語は全く分からないけど。
「じゃあ家では彩が社会、胡桃は国語と英語だな」
それ以外は…まぁ大丈夫か。
6時丁度、俺たちは家を出た。家が誰もいなくなるのは久しぶりだった。今回は妹もいて普通車でキスするところは見せられないからグリーン車の平屋席。12席で5人。半分くらいだった。
「あ、今日は普通車じゃないんだ」
「混んでるし、彩夏たちが満員電車に慣れてないから」
「北海道の時も通学で乗ったよ?」
「そっちとは比べ物にならない。」
あっちは乗車率105%あったら混んでた方だけど、こっちは大宮過ぎて185%超えてるから。その中でいつもキスを…
「はぁ…」
「なに?嫌じゃないでしょ?」
嫌じゃないけど、よく考えたらさすがに混んでたんだ。
「俺たち遠いんだよな。」
「うーん、鴻巣も遠いからね」
そういえば、胡桃の会社はどんなのなんだろう。行ったことないから行ってみたいな。
久しぶりのあとがき。今度は胡桃視点になります。また、50話なんですが、長編作品の代わりにスペシャル編をやるかもしれません。まぁ気分しだいですね。
それでは、次回もお楽しみに!
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