高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回はかりながどこかへ行ってしまいます。結婚式はどうなる!?
今回の登場人物
月島柊(主)
月島かりな(主)
月島彩夏(主)
葉元胡桃
丸山彩
以上5名


第63話 かりな 1日目

 俺は彩が出ていったのを確認して、彩夏のことを見た。彩夏の下からは液が垂れている。フローリングの床に水が少しこぼれている。

 

「彩夏、結構したな」

「うぅ…でちゃってるぅ…お兄ちゃん、おしゃえてぇ」

 

押さえてと言おうとしたんだろう。恥ずかしくてかまともに話せていない。

 

「自分で押さえろ。あと、7日の結婚式、5日に彩夏たちの休み取ってくるから、待ってて」

「お兄ちゃん、ハグ。」

 

俺は帰り際に彩夏を抱いた。そして持ち上げる。彩夏が5歳くらいの時(俺が17歳の時)はこうして幼稚園で持ち上げていた。

 

【追憶】

 

 たまに俺が彩夏が通っている幼稚園の迎えに行く日があったが、たまにと言っても高校があるから休みの日だけだった。

 

「彩夏、帰るぞー」

「おにいちゃん!ぎゅーっ」

 

この頃の彩夏は俺に飛び込んでくるような積極的な子だった。今もあんまり変わらないけど。

 

「おにいちゃん、あのね、きょうおとこのこにたたかれて…」

「……誰だい、その子は」

「おんなじへやのげんきなこ」

 

当時の彩夏は可愛くて、積極的だったが、いじめられっ子でもあって、俺は毎回助けていた。

 

「戻るからな、今から」

 

このときの俺は彩夏がいじめられているのが許せなかった。彩夏みたいなかわいい子がいじめられる。こういうのが俺は許せなかった。

 

「ひよこ組に彩夏をいじめた人がいるって聞いたんですが」

 

俺だっていじめられてるが、何も感じなかった。

 

「あぁ、また亜野田君ですか。こっちから注意しておきますね」

「お願いします」

 

俺は彩夏が妹として見ていた。かりなのことをこのときはしっかり見ていなかったと、今になって後悔する。このとき、かりなは俺がいるのにも関わらず、待機クラスに預けていた。

 

「彩夏、行くよ」

「うん!」

 

こう考えたら、かりなはどう思ってるんだろう。

 

【現在】

 

 俺は急に胸が苦しくなった。心臓が急に締め付けられて、縛られている感じだった。

かりな かりな かりな

俺はかりなの名前を心のなかで呼び続けた。どう思ってるんだ。かりなは。

 

「お兄ちゃん、かりなちゃん…」

「分かってる。」

 

一瞬でも別のことを考えると苦しさはなくなるが、またすぐに苦しくなる。やめてくれ、神様。頼むから、俺を苦しくしないでくれ。そう願っても俺の心臓は締め付けられる。そして俺は彩夏の部屋で倒れた。倒れても俺は自分の心臓部を握っていた。服の左胸付近を強く握った。

 

ちゃ

 

俺の頭のなかでかりなの「見捨てないで」といった声が聞こえてくる。これによって彩夏が言った言葉は打ち消される。

 

「かりな…」

 

見捨ててなんかいない。ただ、俺は幼稚園でかりなを忘れてただけで。

 

 かりな、幼稚園の頃は、少し忘れてただけで、ごめん。見捨ててないんだ。分からなくて

 

(嘘だよ。本当はどうでもよかった。)

 

そんなことない。本当に、見捨ててなんか…

 

(分かってるんだよ。お兄ちゃんが私を放っておいたこと)

 

放っておいたって、かりな。分かった。俺が悪かった。だから、お兄ちゃんを許してくれ

 

(いいけど、お兄ちゃん。私、もう信頼できない)

 

信頼…

 

(お兄ちゃん、じゃあね)

 

かりな、行かないでくれ。頼むから、かりな、かりな!

かりなが俺の視界から消えていく。霧がかかって薄いと思うと、もういなかった。

 

「っ!」

 

俺は目を開けた。俺は彩夏のベットに寝ていた。横には彩夏、胡桃、彩が寄り添ってくれていた。

 

「柊くん、ひどくうなされてたけど、大丈夫?」

「あぁ、ごめん…」

「なんか悪い夢でも見た?」

「彩…なにも、見てない…」

 

嘘だった。悪い夢しか見ていない。

今の時刻は夜中の2:10。みんなは寝てる時間なのに、俺のために来てくれている。いないのはかりなだけ。まさか、夢じゃなくて、本当に…

俺は1人で立ち上がった。

 

「柊くん!無理しないで!」

 

俺は制止を振り切り、玄関に走った。靴は外に出てるはずだ。かりなの靴は、なにも外に出てなかった。もっと言うと、かりなが脱ぎ捨てた靴が車の前にあった。

 

「かりな…」

 

俺は裸足のまま外に出た。痛みなんて感じなかった。

 

「柊くん!」

 

叫ぶ声も今の俺には関係なかった。みんな、かりなの事は忘れてなかったのに、俺だけ忘れていた。

 

ごめん

かりな

俺が

ダメ

だったから。

俺が

いなければ

君は

困らなかった

のに

ごめん

 

俺は道に出たところで転んだ。立つ力すらなく、俺は地面にへばり付くようにずっといた。ここの道をかりなは通ったのか。だったら、俺だだってここを通りたい。だけど。

 

(いいか、柊。家族が倒れたら、お前が助けるんだ。例え柊が転んでも、立ち上がって、助けるんだ。じいちゃんとの約束だ)

 

じいちゃんの言葉を思い出した。俺が助ける。転んでも立ち上がる。俺は残っていた力を全て立ち上がるために使った。話さず、無心で、足以外は動かさずに、俺は前に進んだ。1歩、2歩、3歩と俺は1歩づつ歩く。俺は坂の上の、かりながいつも1人でいた場所に向かった。普段だったら3分で着くが、今日だけは倍以上にかかりそうだった。

 

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