今回はかりながどこかへ行ってしまいます。結婚式はどうなる!?
今回の登場人物
月島柊(主)
月島かりな(主)
月島彩夏(主)
葉元胡桃
丸山彩
以上5名
俺は彩が出ていったのを確認して、彩夏のことを見た。彩夏の下からは液が垂れている。フローリングの床に水が少しこぼれている。
「彩夏、結構したな」
「うぅ…でちゃってるぅ…お兄ちゃん、おしゃえてぇ」
押さえてと言おうとしたんだろう。恥ずかしくてかまともに話せていない。
「自分で押さえろ。あと、7日の結婚式、5日に彩夏たちの休み取ってくるから、待ってて」
「お兄ちゃん、ハグ。」
俺は帰り際に彩夏を抱いた。そして持ち上げる。彩夏が5歳くらいの時(俺が17歳の時)はこうして幼稚園で持ち上げていた。
【追憶】
たまに俺が彩夏が通っている幼稚園の迎えに行く日があったが、たまにと言っても高校があるから休みの日だけだった。
「彩夏、帰るぞー」
「おにいちゃん!ぎゅーっ」
この頃の彩夏は俺に飛び込んでくるような積極的な子だった。今もあんまり変わらないけど。
「おにいちゃん、あのね、きょうおとこのこにたたかれて…」
「……誰だい、その子は」
「おんなじへやのげんきなこ」
当時の彩夏は可愛くて、積極的だったが、いじめられっ子でもあって、俺は毎回助けていた。
「戻るからな、今から」
このときの俺は彩夏がいじめられているのが許せなかった。彩夏みたいなかわいい子がいじめられる。こういうのが俺は許せなかった。
「ひよこ組に彩夏をいじめた人がいるって聞いたんですが」
俺だっていじめられてるが、何も感じなかった。
「あぁ、また亜野田君ですか。こっちから注意しておきますね」
「お願いします」
俺は彩夏が妹として見ていた。かりなのことをこのときはしっかり見ていなかったと、今になって後悔する。このとき、かりなは俺がいるのにも関わらず、待機クラスに預けていた。
「彩夏、行くよ」
「うん!」
こう考えたら、かりなはどう思ってるんだろう。
【現在】
俺は急に胸が苦しくなった。心臓が急に締め付けられて、縛られている感じだった。
かりな かりな かりな
俺はかりなの名前を心のなかで呼び続けた。どう思ってるんだ。かりなは。
「お兄ちゃん、かりなちゃん…」
「分かってる。」
一瞬でも別のことを考えると苦しさはなくなるが、またすぐに苦しくなる。やめてくれ、神様。頼むから、俺を苦しくしないでくれ。そう願っても俺の心臓は締め付けられる。そして俺は彩夏の部屋で倒れた。倒れても俺は自分の心臓部を握っていた。服の左胸付近を強く握った。
「お兄ちゃん」
俺の頭のなかでかりなの「見捨てないで」といった声が聞こえてくる。これによって彩夏が言った言葉は打ち消される。
「かりな…」
見捨ててなんかいない。ただ、俺は幼稚園でかりなを忘れてただけで。
かりな、幼稚園の頃は、少し忘れてただけで、ごめん。見捨ててないんだ。分からなくて
(嘘だよ。本当はどうでもよかった。)
そんなことない。本当に、見捨ててなんか…
(分かってるんだよ。お兄ちゃんが私を放っておいたこと)
放っておいたって、かりな。分かった。俺が悪かった。だから、お兄ちゃんを許してくれ
(いいけど、お兄ちゃん。私、もう信頼できない)
信頼…
(お兄ちゃん、じゃあね)
かりな、行かないでくれ。頼むから、かりな、かりな!
かりなが俺の視界から消えていく。霧がかかって薄いと思うと、もういなかった。
「っ!」
俺は目を開けた。俺は彩夏のベットに寝ていた。横には彩夏、胡桃、彩が寄り添ってくれていた。
「柊くん、ひどくうなされてたけど、大丈夫?」
「あぁ、ごめん…」
「なんか悪い夢でも見た?」
「彩…なにも、見てない…」
嘘だった。悪い夢しか見ていない。
今の時刻は夜中の2:10。みんなは寝てる時間なのに、俺のために来てくれている。いないのはかりなだけ。まさか、夢じゃなくて、本当に…
俺は1人で立ち上がった。
「柊くん!無理しないで!」
俺は制止を振り切り、玄関に走った。靴は外に出てるはずだ。かりなの靴は、なにも外に出てなかった。もっと言うと、かりなが脱ぎ捨てた靴が車の前にあった。
「かりな…」
俺は裸足のまま外に出た。痛みなんて感じなかった。
「柊くん!」
叫ぶ声も今の俺には関係なかった。みんな、かりなの事は忘れてなかったのに、俺だけ忘れていた。
ごめん
かりな
俺が
ダメ
だったから。
俺が
いなければ
君は
困らなかった
のに
ごめん
俺は道に出たところで転んだ。立つ力すらなく、俺は地面にへばり付くようにずっといた。ここの道をかりなは通ったのか。だったら、俺だだってここを通りたい。だけど。
(いいか、柊。家族が倒れたら、お前が助けるんだ。例え柊が転んでも、立ち上がって、助けるんだ。じいちゃんとの約束だ)
じいちゃんの言葉を思い出した。俺が助ける。転んでも立ち上がる。俺は残っていた力を全て立ち上がるために使った。話さず、無心で、足以外は動かさずに、俺は前に進んだ。1歩、2歩、3歩と俺は1歩づつ歩く。俺は坂の上の、かりながいつも1人でいた場所に向かった。普段だったら3分で着くが、今日だけは倍以上にかかりそうだった。
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