今回の登場人物
月島柊(主)
月島かりな(主)
俺は裸足のまま畑の横にある坂道を上った。かりなと俺が2人でいつもいた場所はこの坂を上った右側にある。
【追憶】
かりなと俺はいつもここに来ていた。なにか困ったり、悩んだりするとここで話したり、2人きりで話したいことも全部ここで話していた。
「それでね、今日彩夏ちゃんが――」
懐かしいな。このときはまだ神保原に来たばっかりの頃か。いつもこういう風に話していて、楽しかった。
「そうそう!やっぱり――」
2人で草むらに寝転がったりして、かりなはこれを楽しみにしていた。
「お兄ちゃん、聞いてる?」
少し疑われても笑って返す。いつもそうで、かりなも笑っていた。
「お兄ちゃん、好き」
よく好きだなんて言ってた。俺も妹だから嬉しかった。そんなかりなが、1人で行くなんて。
【現在】
「くっそ…」
足の痛みが伝わってくる。多分傷だらけなんだろう。でも、下を向くんだったら前を見た方がいい。俺はゆっくりと坂を上がっていく。
坂を上がり終わると、俺はいつも2人でいるところを見た。かりなは
「かりな…かりな!」
俺はかりなの名前を叫ぶ。かりなからの返事はない。俺は力尽きて地面に音を立てて倒れる。これで俺はすべての力を出し切ったのだ。誰かがかりなを見つけてくれればそれでいい。
【月島かりな視点】
「かりな…かりな!」
小さく、遠くからお兄ちゃんの声がする。私がいる場所はいつもお兄ちゃんと一緒に来ているところで、お兄ちゃんが来るのを待っていた。声の方向に私は後ろを振り返る。振り向いても誰もいない。木しかない。
バタン
倒れる音が横からする。私は横に向かって走った。お兄ちゃんの声、倒れる音。まさかだけど、お兄ちゃんが私を探してくれてた?じゃあ、倒れる音って…
横にある道にはお兄ちゃんが倒れていた。外は真っ暗で、気付きづらかった。私はお兄ちゃんの首もとに手を当てる。まだ脈はある。生きてる。
「お兄ちゃん!起きてよ!ねぇっ!」
お兄ちゃんに聞こえるほどの大声で叫んだ。車で彩ちゃん、胡桃ちゃん、彩夏ちゃんが乗ってきた。
「お兄ちゃんが!」
全員が降りてきてお兄ちゃんを触る。
「連れていこ。家だったらどうにか出きるかも」
「分かった。彩夏ちゃん肩持って」
私はふくらはぎを持つ。裸足で足は傷だらけだった。傷だらけどころか、裏には血が流れ出ている。
「後ろに乗せよ。私と彩夏ちゃんの膝に乗せる」
「分かった。行くよ」
せーのっの掛け声でお兄ちゃんを持ち上げる。落ちないように膝に乗せたあと、手で押さえる。
「お兄ちゃん、生きててね」
「かりなちゃん、どうして1人で出たの」
「お兄ちゃんが来ると思って」
半分はそうだけど、本来の目的は違う。私は…
家に着くとすぐに足を洗った。血が流れて、足から垂れる。水も赤くなった。
「うぅっ…」
「お兄ちゃん!」
お兄ちゃんが声を出した。そして目を開けた。
「かりな?いたのか…」
「ごめんね、私が気付かなくて…」
「大丈夫…いっ」
お兄ちゃんが目を強く閉じ、歯を食い縛った。
「痛い?」
「あぁ、裸足で出ていったからか…」
お兄ちゃんの足を水洗いしたのを確認し、私はお兄ちゃんの傷だらけの足に口を近付けて、舐めようとする。
「かりなちゃん、舐めたらバイ菌が入って悪化しちゃうよ!」
「ならない。なったら私が責任取る」
私はならない自信があった。理由は…
◇
私はお兄ちゃんが来ることを信じて、お兄ちゃんから前に教えてもらった魔法を試した。攻撃的な魔法ではなく、きれいな魔法。花火みたいにピンクとか光る火花、いろんな色に光るライト、1番の見せ所は治癒魔法だった。これで私やお兄ちゃんが傷ついても治せるから。治癒魔法まで成功しても、お兄ちゃんは来ない。いつ来るんだろう。私は魔法で出したライトを横に置き、周囲を明るく照らした。
◇
治癒魔法は自分でしか試してないけど、血液型も同じ、血も繋がってるからいけるはず。私は口から小さく舌を出す。
「かりな、責任取るのか」
「うん。絶対」
「柊くん、本当にいいの、悪化したら」
お兄ちゃんは少し間を空けて言った。
「かりなの事だから、信じる」
お兄ちゃんは誰も見ずに、彩ちゃんと胡桃ちゃんに持たれているまま上を見て言った。
「妹を信じない兄がどこにいる。俺はそんな奴がいたら許さない。」
お兄ちゃんは私に許可した。
「かりな、いいよ」
私は魔法を込めてお兄ちゃんの足を舐める。かかとから爪先まで舐めた。そして中指辺りまでを私の口のなかに入れる。咥えた上で舐めた。爪先の傷がひどかったから。
「ん」
私は爪先を舐めたあと、足の表側も舐めた。そんなに傷はないけど、一応だった。
「すごい…治ってる…」
一瞬の間光り、その後に見えたのは傷が消えたお兄ちゃんの足だった。私が目を離すと、お兄ちゃんの口元から血が出ているのに気付く。
「お兄ちゃん、顔にも傷ある…」
私はお兄ちゃんの顔も舐める。あんまり、というかキスしたことは私はない。彼氏もいないし、付き合ってる人もいない。だからキスをしないように口の周りを舐めた。
「かりな、キスしないんだな」
「だっ、だって!したら、ファーストキスだし…」
私は恥ずかしくなった。舐めるのをやめると、お兄ちゃんは降りて、私を抱き締め、キスをした。
「ん」
「んんっ!?」
私は頭のなかが真っ白になった。あれ、なにすればいいの?
「かりなの初めて奪ってみた」
「もう…柊くん…治ったからって…あっ」
私はお兄ちゃんではなく「柊くん」と呼んでいた。
「あっ、ごめん!」
「あはは、いいよ。柊くんでも」
お兄ちゃん、いや、「柊くん」は笑っていった。私は柊くんから離れずにいた。
唐突な記号説明
「」…会話文
()…思っていること、夢の中の会話etc.
《》…電話時の相手の会話。自分のは「」
〈〉…メール上のやり取り。自分のもこれになる
【】…視点が変わる時、回想シーンetc.
◇…少し(1日ほど)遡るとき
◆…少し(1日ほど)遡り、視点も変わる時
このくらいですかね。『』って使ってましたっけ。使ってたら教えてね!Twitterでもいいから。何話か教えてね!
第何話で二章終わりにした方がいい?
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