10月10日、平日の金曜日。彩以外は皆休日にデートしていたが、彩だけは平日だった。しかも1番時間の早い6時半。結構遠くまで行くのだろう。豊田駅からは始発の電車もあるが、それほどたくさんはない。しかし5時に出たのにも関わらず、駅前で時間を潰す。
「何で5時に出たんだよ」
「ちょっと来てみて」
彩が俺の手を引く。俺は身を彩に任せる。
数分歩くと中央線の車庫、豊田車両センターが見えてくる。
「朝にここ来るとね、電車がすこしづつ出てくんだ。私、こういうの見るの好きなの」
確かに電車がどんどん出ていく。今は5時過ぎのため朝ラッシュの少し前。だから出ていくのだ。逆に9時を過ぎると入ってくる、というのが平日だ。
「確かに、気持ちいいよな。それで、どこ行くんだ」
「遠いんだけど、ひたちなか海浜公園ってとこ」
ひたちなかってことは茨城だ。茨城に行くんだったらこれほど早くないとダメだろう。
6時になって駅に向かう。朝ラッシュ真っ只中のため駅に人が吸い込まれていく。そんななかで俺たち2人は旅行。何か変な感じがする。
「ごめんね、こんな早くて」
「いや、別にいいよ。」
豊田も通勤ラッシュ時間帯になるとかなり混んでくる。特に今回乗る6時25分の中央特快は大月始発で優等列車のため混んでいるだろう。
ホームにつき、中央特快が15分遅れて到着。八王子で人立ち入りがあったそうだ。遅れていることもあり、普段より明らか混んでいる。しかしまだ空いているスペースはあり、まだマシだ。
「乗り換えは大丈夫か」
「うん。本来は新宿から山手線半周で上野まで行く予定だったんだけど、東京まで行けばいいだけ」
半周は時間調整だったのだろう。
国分寺で前を走っていた快速を追い越し、更に混んでくる。彩がドアに寄りかかっているため、俺がその前にいる状態だ。必死で耐えるが、ドアに手を付けないと少し厳しい。
「彩、ドアに手ついていいかな」
「うん。いいよ」
俺は右手をドアにつく。次は三鷹に停車する。
十数分遅れて三鷹に到着。降りる客もいるが、その大半はもう一回乗ってくる。ホームにも駅員が押して乗るようなかなり混んでいる状態になる。
俺は後ろから押されて少し前に出る。またぶつかられると俺はバランスを崩し、彩にぶつかる寸前になる。焦って俺の手は下にある。ドアも閉まりづらいらしく、何回も開閉している。
「ん?なんか股に当たってる・・・?」
【丸山彩視点】
結構近くなって私も少しドキドキし始める。周りに聞こえてしまうのではないかと思うくらいに大きく鳴る。そこに何か股の部分に固いものが当たってるのに気付く。
「ん?なんか股に当たってる・・・?」
私は痴漢かと思ったが、前には柊くんしかいない。柊くんの何かが当たっているのだろう。
「柊くん、手、何かに当たってない?」
「俺の手か。ちょっと指を動かすぞ。」
柊くんが指を動かす。股にやっぱり違和感がある。すると、どうしても声が出てしまう感じになってしまう。
「あんっ、しゅ、柊くんっ、股に当たってるから・・・離してぇっ・・・」
「離せって言われても、こっちだって動けないし」
後ろにも前にも動けないのは私もだけど、動かないと私、我慢できなくなっちゃう・・・
その時、
むにゅっ
私の股を柊くんが優しく掴んだ。
「柊くん!?つ、掴まないでよ・・・」
「ご、ごめん・・・うっ」
柊くんが前に急に来る。後ろから押されたのだろう。だけど私の股がもっと強く掴まれちゃってる・・・
「彩、少し我慢してくれないか」
「む、無理だよぉ、声出ちゃうもん・・・」
電車が揺れる度に股も擦れる。
「あんっ」
「彩、静かにしてくれ」
【月島柊視点】
「彩、静かにしてくれ」
俺は口を口で塞ぐ。
「んにゅっ」
お願いだから静かにしてくれよ
「ん、はむん、んっ」
キスしてるだけだと思ってるのか?
「はぁ、彩、静かにしてくれ」
「どこまで?」
「東京まで。痴漢と間違われる」
「はぁい・・・」
そして東京には10分遅れて7時8分につく。このあとは7時13分発山手線に乗車。上野には7時21分につく。
「次は常磐線なんだよな?」
「うん。地平ホームからね」
在来線に乗るのかと思ったら8時丁度発のひたち3号だった。
「勝田まで行くんだ。」
彩がワクワクしながら言った。
ひたちなか海浜公園につくと2人で漕ぐタイプの自転車を借りる。1日券があり、いろんな所へ行った。
「柊くん、みてみて!サークルがあるよ!」
先頭は彩だった。後ろからだと見える筈がない。
「俺は見えないけどなっ」
俺は思いっきり強く漕ぐ。グンと速くなる。
「アッハハ、はやいはやい!」
子供のようにはしゃぐ彩。俺は思いっきり漕いだままいた。
海辺のエリアまで来た。俺は芝生に横になる。
「疲れたー・・・無理言うなよ、彩」
「ごめーん、けど楽しかったよ?」
そういう問題じゃない。
「風気持ちいいね」
急に話題を反らしてくる。
「あぁ、そうだな。ここにずっといようかな」
「ダメだよ、柊くん。ちゃんと運動しないと」
お前に言われたくない。と心のなかで思っていた。
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