高校生からの物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
月島柊
月島胡桃
月島彩夏
月島かりな
丸山彩
白雪凪沙
以上6名


第81話 急用

 俺は翌日朝、急用が出来てナナニジを置いて先に関東に帰った。胡桃、かりな、彩夏も一緒だ。ここから行くのは鴻巣の病院。すぐ横の駐車場の空きスペースに降りる予定。彩が急に倒れ、救急車で搬送されたという。俺は凪沙、彩夏、かりな、胡桃を円盤の上に乗せ、飛行した。鴻巣までは2時間50分ほどで到着できるはずだ。

 

 ついたのは2時間45分後の10:50だった。彩の面会に俺は向かった。彩は病室のベットに横たわっていた。

 

「彩…」

「毒を盛られたそうですね…毒は抜いたんですが、意識が戻らなくて…」

 

毒を盛られたか。あるんだったら学校の職員室で盛られたんだろう。俺は彩の近くに行った。

 

「彩、守れなかったな…ごめん……」

 

俺は泣きながら言った。彩を助けられることもあったはずなのに。いつもそうだ、俺が守れないのは。人を守ったことなんてないのに、俺のせいで傷ついていく。

だから、俺は胡桃を守るために生きているのに。君かよ、彩。1つのことしか出来ない俺には到底無理じゃないか。

 

「柊くん…ついてきて」

 

胡桃は俺を病室から連れ出した。

 

「なんだ、胡桃」

「飲み物買いたいから、ついてきて」

 

俺は胡桃の後ろについていった。何回か階段を降りて、自販機の前に胡桃は止まった。

 

「ありが――」

 

俺の背中に弱い風が当たる。俺が後ろを向くと、注射器を持った男がこっちに走ってくる。俺が動いたのは男が通り過ぎてから。手の先が男に触れただけだった。

 

「胡桃!」

 

俺は胡桃に刺さった注射器を抜いた。注射器の中には毒が入っていたが、満タンから少し減っているだけ。致死性のある毒じゃない限り胡桃は死なない。

 

「なんだよ、急に」

「っ!」

 

男は走り去った。胡桃は俺に倒れた。手で抱え、一旦円盤を置いたところに運んでいった。

円盤のところに着くと、俺は刺された胡桃右腕を見た。注射痕があり、少し腫れ上がっている。

 

「胡桃、痛いけど、我慢できるか」

「柊くん!」

 

かりなが走ってきた。

 

「彩は」

「彩夏ちゃんに任せた。胡桃ちゃんは」

「毒が入った。少量だけど」

 

俺は空の注射器をもって言った。

 

「抜くの?」

「それしかないから。」

 

俺は胡桃の腕に注射器を近づけた。

胡桃に針を刺す…胡桃の血…人の血…見えるんだよな…しょうがないんだ、毒を抜かないと、胡桃が死ぬんだから。

 

「柊くん、落ち着いて」

「…かりな…」

 

かりなが俺の手を持つ。

 

「胡桃ちゃんが死ぬのと、注射して生きてるの、どっちがいい?」

「……っ」

 

そんなこと考えなかった。そうだ。死んだら元も子もない。

 

「胡桃、我慢してくれ」

 

俺は胡桃の腕に注射器を刺す。ゆっくりポンプをあげ、最初の2秒は透明な液、毒が出てきた。残りは全て赤い液、血だった。俺は吸うのをやめた。

 

「全部抜けたよな」

「うん。」

 

胡桃は円盤の上で眠ったままだ。

 

「生きてるよな…」

「起きれば…」

 

胡桃は起きる気配がない。本当に、死んだのか?

 

「胡桃…」

 

その時、胡桃が急に起き上がり、俺を抱きしめた。

 

「柊くん!驚いた?」

「不安になるからやめてくれ…」

「ごめんね?あ、彩ちゃんはどうなったの?」

「私だったらここだよ」

 

彩が病院から出てきた。彩夏の肩を借りながらも歩けている。

 

「よかった。みんな無事だね。じゃあ、彩夏。魔法使ってみろ」

 

彩夏にも魔法は使えるはず。だって、俺と血が繋がってるんだから。

 

「出来た!」

 

彩夏が俺より一回り大きい円盤を出した。

 

「いいぞ。じゃあ、かりなは胡桃が操縦する方に、俺はこっち操縦してから帰る」

 

免許は要らないけど、経験のない人には危険だから。

 

「じゃあ、帰るよ」

 

ゆっくり70km/hほどで飛行した。深谷までは胡桃と一緒に。そこからは操縦した。

 

 俺が神保原の家を経由して、深谷の家に帰った時間は12:00。胡桃はキッチンで昼ご飯を作っていた。

 

「柊くん、ご飯よ」

「柊くん遊んでー!」

 

久しぶりの家族らしい家族だった。凪沙はもう個室に向かったらしい。俺はかりなを抱き上げ、テーブルに向かった。

 

「いただきます」

 

かりなは俺の手からぴょこっと降りた。かわいい…

 

「いただきまーす!」

「かわいいね、かりなちゃん」

「そう?ありがと!」

 

かりなは実際にかわいいけど。胡桃だってかわいいけどね。俺は先に食べ終わると凪沙の個室に向かった。凪沙も昼ごはん食べるだろ。

 

「凪沙、ご飯食べないか」

「食べる!ちょっと待ってて」

 

凪沙は少ししてから部屋から出てきた。凪沙の服はすっかり着替えられている。

 

「ご飯♪ご飯♪」

 

凪沙はスキップしながらリビングに向かった。俺は凪沙の部屋に入る。

 

「ん?なんだこれ」

 

白い布製のものが俺の足元に落ちていた。俺はそれを掴む。感触はちょっと湿ってる?

 

「って、はぁっ!?」

 

パンツだった。マジかよ、隠すか?いやけど同じところに置いとかないとか。俺は同じところに置いて外に出た。凪沙のパンツ見てしまった…

 

「柊くん?どうしたの?」

 

かりなが俺を見つめた。

 

「なんでもないよ。」

 

冷静を突き通す。

 

「そう?だったらいいけど」

 

パンツ見たなんて言えるはずないだろ。

 




9月13日22:02「搬送されたという」まで終了
9月14日6:37再開
9月14日7:30「食べるだろ」まで終了
9月14日18:59再開
9月14日19:24暫定終了
9月14日19:29題名終了
9月14日19:30投稿

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