Lineria   作:白燐乱

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「助かったーー………!!」

 

ドゴォン、と言う破壊音と共に彼らは脱出を果たした。ユノの指示のもと安全な場所へ運ぶ。運んだ先ではミモザの治療の甲斐あってアスタは意識を戻した。

 

「あいたたた………」

 

「フン、無事ならいいのよ、バカスカ」

 

「信じられませんわ、とんでもない回復力」

 

「丈夫なとこだけがコイツの取り柄だから」

 

「何だとユノぉ〜〜〜!他にも何か言うこといろいろあるわぁぁ、いででで」

 

アスタの同期が思い思いにアスタの無事を驚き、安堵するのをクラウス達は微笑らしく見守っている。

 

「魔法帝になるまで死んでたまるか…!」

 

「魔法帝になるのはオレだ…!」

 

誓いの言葉のように言う二人にクラウスが声を掛け近寄る。また小言を言うのでは…と心配をする周りをよそに彼は距離を詰めた。

 

「オマエら……」

 

 

「クラウス先輩」

 

「本当に………

 

すまなかった!!」

 

そう言いながらクラウスは二人を抱きしめた。そのあまりにも彼らしくない行動にミモザは手で口元を押さえ、残り3人は口を開きポカンとしてしまう。

 

「下民だのとオマエらを認めなかった自分が恥ずかしい…!!オマエ達はクローバー王国の素晴らしい魔法騎士だ…!!」

 

 

「メガネのダンナ…イタイ…」

 

「先輩、暑苦しいです…」

 

クラウスの渾身の叫びはどうやら後輩たちには届かなかったらしくそれぞれ的はずれな言葉を口にした。それに対しクラウスはやはりと言うか反論を繰り広げ、それはやがて周囲を巻き込んで行った。

 

「よし……」

 

 

それだけ言うとアイリスはいるであろう人物を探す。先程感じた魔力、あれはシスコンを拗らせた金色の団員のモノだ。うろうろと瓦礫の山を器用に歩き進める、お目当ての団員は瓦礫の山に行儀悪く胡座をかいて座っていた。それを視認しアイリスは彼に向かって口を開いた。

 

 

「金色の…それも古参の方がこんな外れの魔宮に何か御用でしょうか…?」

 

「ん…?やぁ、アイリス」

 

「ご質問にお応えください、デイジー・ハーミィ殿」

 

「そんな硬っ苦しく呼ばないでくれよ、愛しの妹よ」

 

あぁ…どうしようどこかのナルシストを思い出して腹が立ってきた。

 

そんな彼女の思考に気づかない彼にアイリスは更に腹が立ってきた。最早やけくそでアイリスは叫んだ。

 

「あぁーー!!貴方がどうしてここにいるのかこの際知りません!こちらには重症者がいます、ついてきてください!!!」

 

「そうか、案外してくれ」

 

真面目な回答をしたデイジーにアイリスは意表を突かれるが「こちらです」と言い彼を案内する。未だ賑やな談笑の声がしている彼らの元へつくと初めにクラウスが反応した。

 

「デイジーさん、どちらにいらしたのですか…!」

 

「やぁ、クラウス。任務達成おめでとう」

 

柔らかな笑顔を貼り付けた彼はクラウスに言う。その隣に座るミモザとユノに対しても彼はにこやかに言い、次にノエルとラックに向けても同様に、そして最後にアスタに視線を向けた。

 

「キミが黒の暴牛の新人か。始めまして、デイジー・ハーミィだ。クラウス達と同じ金色の夜明け団所属の団員だ。」

 

「金色の…ってことはユノの先輩ってことですかぁぁ!?」

 

「そうだね、今年は優秀なこたちが沢山入ってくれて嬉しいんだ。さて、アイリス。君の言う重症者はそこの彼だね?」

 

アスタが下民だとすぐに気づいていたはずなのにデイジーは顔色一つ変えることなくアスタに接し、そして怪我人を確認した。

 

「…あ、はい。そこのアスタさんとノエルさん、他はみんな軽傷なので…自然完治でも問題ないと思います。」

 

「報告、ありがとう。これより金色の夜明けはアジトへ戻り休息取り次第報告書を纏め提出してくれ。黒の暴牛の諸君、君たちはどうする?」

 

「わたしたちもアジトへ戻ります」

 

デイジーはクラウス達に支持を飛ばし、アイリス達に視線を向けるとそう言った。それを聞きアイリスは即答するとデイジーは笑いながら魔導書のページを捲る。

 

炎創成魔法 “業火ノ白鷺”

 

綺麗な白鷺が現れ、軽々とアイリス達を乗せる。乗せ終わるとデイジーがトントンと白鷺の体を叩く。すると白鷺は羽を広げ天空を飛んだ。

 

 

天空を飛ぶ白鷺の先頭にはデイジーが真ん中にはアスタ達がそれぞれ天空の旅を満喫していた、中々味わえない空の旅をアスタは「うおおぉぉぉ!!」と叫んでいるとクラウスが「傷に触るぞ」と注意をしてそれを他の面々が楽しげに見ている。団の垣根を超えて楽しむ彼らを横目にアイリスは前にいるデイジーへと話しかけた。

 

「デイジーさん、どうして今回貴方はここにいらしてたんですか、」

 

「ん?」

 

「答えて…!いっつもわたしを追いかけ回して、何がしたいんですか!」

 

泣きそうな、しかしどこか悔しそうな表情で自分を見るアイリスにデイジーは心の中で悔しさを滲ませる。これが自分たちが招いた行いの結果なのか、と同時にもう自分を許していいのだ、と彼女に向き直り微笑んだ。

 

「妹に似ている、と最初に言っただろ?いい加減君も気づいているはずだ、オレと君は血の繋がった兄妹だと…」

 

「さぁ…ね……知らないよ…貴方なんて」

 

 いつもとは違うデイジーの言葉、軽はずみな言動と突拍子もない行動で煙たがっていたが彼が自分の兄だと言う事実は昔から気づいていた、気づいていながらそれを事実だと認めなくなかった。認めたら今までの悔しさ、怒り、悲しみ、その感情の行き先を失ってしまう、そういう自分の我儘がもしかしたら彼を悲しませていたかもしれないと今になって気付いてしまった。

 

 

デイジーに背を向けアイリスはそう口にした。

それを聞きデイジーはにこやかに笑うと纏まった彼女の髪を強引に撫でた。纏まっていた髪はデイジーが触ったおかけでリボンが取れデイジーの手元に落ちオレンジの綺麗な髪は風に揺られはためている。

 

「兄さまは…昔から強引だよ……」

 

ポツリと溢れた声は気づかないふりをしよう、リンゴのように真っ赤な妹の姿を

 

 

 

ー ー

 

 

 

「ここでいいわ」

 

そのノエルの言葉でデイジーは白鷺の体をトントンと叩き停止させた。優雅な天空の旅は終わりを迎え白鷺は地面へと足を付いた。

暴牛のメンバーは白鷺から降りて別れの言葉を言ったあと、白鷺は地から足を離れ再び天空へと舞い戻った。

それを見送り彼らは黒の暴牛のアジトへと入った。

 

 

いつものメンバーがいつものように寛ぐのを見て彼らは家に帰ってきたかのような安心さを貰う。

 

「あ、おかえりぃ〜〜」

 

酒瓶片手にバネッサがソファから身を乗り出し、チャーミーが「おかえりなのら〜〜」と言いながら自身の魔法で料理を作り始め、マグラが「お前らァー!よく帰ってきたなァァ!!!」と叫び、ゴードンが聞き取れないくらいの声でブツブツとグレイがプシュゥゥと巨漢の体で立っている。

 

 

「アイリス!!」

バタバタと騒々しい音を立てながら彼は階段を降りてきた。あまりの騒々しさに周りの面子も顔をしかめる。やがて騒々しさの原因は姿を表しこちらの様子を見ると抱きつく勢いで走ってくる。

 

「フィンラル……」

 

アイリスの口から己の名を聞くと彼は走り出し彼女に抱きついた。フィンラルがアイリスに抱きつくのを彼らは日常の光景の如く普通に見ていると新人二人は「はっ?」と言いたげな目で周りを見る。

 

「アイリス!!心配したんだ…!」

 

「フィンラル……い、痛いってば」

 

「あ、ご、ごめん……」

 

どうやら力いっぱい抱きしめていたらしくアイリスから苦情を言われたフィンラルは早々に彼女を離した。その横でアスタとノエルがバネッサに詰め寄っている。

 

「ちょ、ちょっと、あの二人付き合ってるわけ!?」

 

「え、えぇぇえええ!?マジっすか!?」

 

「違うわよ。あの二人あんないい雰囲気出してるけど別に付き合ってないわよ。アイリスが黒の暴牛(ウチ)に来てからあんな感じなのよ、ていうか、毎回アイリスが任務から帰ってくるとあんな感じだからいい加減付き合いなさいって感じなのよねぇ…」

 

新人二人に説明をするバネッサは明後日の方を向きながら酒瓶をグビッと飲み干す。納得の行かない顔の二人は目の前でバネッサが戻しているのを見て退避を開始した。

 

途端にカオスな状況に陥るアジトでチャーミーが「ご飯、できたのら〜〜」と場違いな感じで現れた。

 

 

 

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