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1週間後
「アイリスさん、そろそろ休憩を入れませんと」
「いえ、これが終わったら休憩を入れます」
王都、それも魔法騎士団の本部にある一室で大量の書物に囲まれメガネを掛けた一人の少女が1週間その一室に引きこもり古代文字と格闘していた。
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カオスな暴牛アジトにこれまたカオスな人物が現れた。その名もヤミ・スケヒロと言う。
またの名を破壊神の異名を取る彼は帰還してきた4人に向け「お疲れさん」と言いアイリスの頭を掴むとフィンラルに空間、出せと迫った。
何をされるのか見当がつかない一同にヤミが「コイツの力が必要なんだと」と一言いい開かれた空間に投げ飛ばした。空間の転移先は最早見慣れてしまった国民の憧れ魔法騎士団本部。
そこの一室に数年前から使っている部屋がある、最早彼女だけの部屋と言ってもいいその部屋には数人の人間が頭を抱え彼女の姿を見て喜んだ。曰く、自分たちでは解読不明な古代文字に苦しめられ助けを求められたと言うこと。
7割型終わり、部屋にはアイリスと魔法帝の側近、マルクスがいる。無言の空間にペンを走らせる音だけが響く部屋にとてつもない音を纏わせながらその人物は入ってくる。突然の訪問者にマルクスは座っていた椅子から立ち上がり警戒するがアイリスは無視を決め込み口を開いた。
「なんの御用でしょうか、デイジー兄さま」
「アイリス、今日暴牛の子たちやクラウス達が魔法帝に魔宮の報告をするんだ。で、その後戦功叙勲式をするのだが来ないか?」
兄の来訪に進めていたペンを止め、振り返る。その顔には不機嫌です、と書いてある。
「黒の暴牛は出ないけど、なんでよ」
「いや、その…式にはレオが来るんだ。」
「うわぁ………まじで?」
「大真面目だ、式の前にこの部屋に来るとフエゴレオンさんが先程言っていてな。恐らくもう来るだろう………」
兄妹の会話にマルクスは入る気がないのか、視線をそれぞれの団から来た報告書に戻し、開けられっぱなしの扉はそのままになっている。先程から何やら騒々しい音と感じたことのある魔力にアイリスは頭を抱える。
「アイリスはここかぁぁぁぁ!!!」
叫びながら入ってきたのは紅蓮の獅子王団団長の弟で王族ヴァーミリオン家の一人、レオポルド・ヴァーミリオンだ。自身の名を叫びながら入ってくる辺り用事があるのかわたしだろ、と早々に逃げることを諦めた。
「なんのよう、レオ」
「おぉ!我がいとこアイリスよ」
彼の強引な行いには慣れているのかアイリスは椅子から立ち上がる。1週間前、目の前の人間を兄と改めて認識したあと諦めたのか、はたまたけじめなのか彼女は訪れるいとこや同僚たちに以前のような冷たい目を向けず話すようになっていた。その事実にデイジーは感極まっている。その目が若干潤ってるのは恐らく幻だろう、いい年した男が泣くとかキモいので。
「これから戦功叙勲式なのだが、お前も来い!!」
レオポルドが部屋を訪れた、いや訪れる前から言われるであろうと予想していた言葉にアイリスはため息をついて「わかったから、ちょっと待って」と言い片付けをし部屋を出た。
「そう言えば、ミモザは金色の夜明けに入っと聞いた、この前の任務で一緒だったのだろう!どうだった」
「元気にやってましたよ、仲間とも仲がいいみたいで任務もちゃんとやってましたよ。まぁ、予想外なことだらけでしたけど……」
「おぉ!それと黒の暴牛には面白そうな奴が入ったんだと耳にした!」
前を歩く赤のコートに黒のローブを着た少女と紅蓮のローブを着た少年が楽しげに話すのを見てデイジーは過去を懐かしむように見ていた。幼い頃はよく二人で追いかけっ子をし彼の姉に一緒になってしごかれていたのを思い出す。
ヤベ、思い出しただけでなんだが気分が悪くなってきた。
そう言えば、と思い出す。1週間前は暴牛のローブを着ていた妹だが今はローブの下に赤のコートを着ている。何かあったのだろうか。それは妹の隣を歩くレオポルドもだったらしく彼女に問い掛けている。
「アイリスよ、以前会った時はコートなど着ていたか?」
「家的には、追放されてるけど……まぁ一応……わ、わたしも家の1人なのかなぁ…って貴族だし……」
少し困ったように笑うアイリス、その質問の問いはあまり予想していなかったらしくレオポルドは「なるほどな…」と首を縦に振り自分は、というと彼女に詰め寄った。
「アイリスのその格好、似合ってるからやめないでくれ!!!」
「来るな!!!!兄さまのバカーーーッ!!!!」
突然現れた兄の姿と自分に詰め寄り話しかけるデイジーを見て思わずアイリスは炎魔法 “焔の円爆”で彼に攻撃をしてしまった。ハッ、と気付いたときには口から煙を出していた、がそれも一瞬で彼は頭を横に何回か振ってすぐに元通りになった。
((うわ、気持ち悪い…))
いとこ同士、同じ思考だった。
「お前たち、何をしている」
この収集がつかない空間に凛とした声が前からした。
その声を聞きレオポルドがいち早く反応し、「兄上!」と嬉しそうに言った。
「フエゴレオンさん、すみません。妹に会えて羽目を外しすぎました。」
「そうか、アイリス。久しいな」
途端に纏う空気が変わるデイジー。言ってることがアレなので今すぐ蹴飛ばしたい衝動に駆られた。が、フエゴレオンに話しかけられ慌てて背筋を伸ばした。
「は、はい。フエゴレオンさまにお会いできて光栄ですっ!」
裏返ってしまった声に隣にいるレオポルドが豪快に笑い、アイリスがそれに対し噛み付く、
彼らが幼い頃、よく見た光景だ。と兄たちは感慨深くなる。が時間が時間なので急ぎ部屋へと向かった。
戦功叙勲式をやるための会場には式に参加する団員とその団の団長が集まる仕来りだ。
ほぼ全員が実力者の集まりのこの空間にあとは魔法帝、ユリウス・ノヴァクロノが来れば式は始まる。
「あれは黒の暴牛、あんな野蛮な所がなぜ来ているんだ」
「今日も黒の暴牛は来ないはずじゃなかったかしら?」
魔法帝を待つ間、参加団員がアイリスを見るやいなや嫌味を彼女に向けて言う。当の本人は気にしていないのか済ました顔でその場に立っている。
「気にしていないのか?」
「別に、あんなの言わせておけばいいよ」
レオポルドの問にアイリスが淡々と答える。感心するレオポルドを見て何も変わってはいないなぁ…としみじみしていると閉じられていた扉が音を立てて開いた。