Lineria   作:白燐乱

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等級

 

クローバー王国の魔法騎士にはその者の実力を示す「等級」がある。等級は魔法帝をトップに大きく五つに分けられ、その中でさらに一等から五等の五つに分けられる。年一回開催される叙勲式の際までに規定数の星を取得していると等級が上がり、魔法帝より新しい等級が授与される仕組みとなっている。

 

黒の暴牛は、もれなく全員、最低の五等下級魔法騎士である。

 

 

「では、戦功叙勲式を始めよう…!」

 

「星取得数7、紅蓮の獅子王団。レオポルド・ヴァーミリオン!!君にニ等中級魔法騎士の称号を授与する!!

兄である獅子王団団長と同じく君の炎魔法の威力は圧倒的だね〜〜〜!やりすぎには要注意かな」

 

「悪に容赦など必要ありません」

 

 

「星取得数6、碧の野薔薇団。ソル・マロン!!三等中級魔法騎士の称号を授与!!男性に負けない行動力と独創的な土魔法は凄いけどちょっと自由すぎるかもね!!」

 

「私を縛れるのは姐さ……………団長だけです」

 

 

「星取得数9、銀翼の大鷲団。ネブラ・シルヴァ。五等上級魔法騎士の称号を授与する!!君の霧魔法でつくる巧みな幻はすごいね〜!ただその幻で敵を必要以上に弄んで噛みつかれないようにね」

 

「ご忠告有難うございます…フフ」

 

 

「星取得数6、銀翼の大鷲団。ソリド・シルヴァ。三等中級魔法騎士の称号を授与する!!魔法の操作性の高さは流石だけどあんまり自分の力を誇示せずまわりと協力できるともっと良いんだけどね!」

 

「肝に銘じておきます…クク」

 

 

「星取得数11、金色の夜明け団。アレクドラ・サンドラー。四等上級魔法騎士の称号を授与!!君の勤勉さと柔軟な魔法には驚かされるよ!たまには肩の力を抜いてみてもいいかもね!」

 

「有難きお言葉!」

 

 

「星取得数8、金色の夜明け団。シレン・ティウム。一等中級魔法騎士の称号を授与!!雄弁に語る君の魔法とは裏腹に無口な君はもう少し自分の意思を口に出せたら尚グッド!!」

 

「………御意…………」

 

 

「星取得数7、金色の夜明け団。ハモン・カーセウス。二頭中級魔法騎士の称号を授与!!見た目からは想像できないあの魔法にはさぞかし敵も面食らったろうね!!」

 

「感謝でございます。オホホホ」

 

 

「みんな、大義だったね。さて、これから簡単な席を設けてるから楽しんでいってくれ

あ、そうそう…今日は特別ゲストも呼んであるから大いに交流してくれたまえよ!」

 

 

魔法帝による団員の式が終わると彼は参加した団員たちに対してそう言った。魔法帝の言葉によって参加団員たちは揃ってこの場には似つかわしくない者たちに視線を向けた。

 

 

「「はぁ………」」

 

デイジーとアイリスは揃ってため息を吐くと魔法帝は「用ができたから抜けるね〜、みんな楽しんでねくれ!」と言い残し後にした。

 

 

「せっかくの式なんだ、どれが食べたいんだ?」

 

「では、軽いものを」

 

デイジーは皿を片手に食べ物を取りに行く。

 

「ノエルさん、この果物美味しそうではなりません?」

 

一人浮かない顔のノエルに声を掛けるアイリス。声を聞いてノエルははっと顔を上げた。

 

「あ、アイリス!あなた、一週間もどこにいたのよ!」

 

「野暮用ですかね…今兄が食べるものを取りに行ってるので来たら分けませんか?」

 

「しょ、しょうがないわね!私は王族だから許してあげるわ!」

 

照れるノエル、それを見て笑うアイリス。横ではアスタがガツガツと食べ物を食べている。

 

 

「卑しい下民が…!」

 

「なぜ魔法帝はあのような低俗な者を……」

 

「まったく魔力を感じない……魔宮攻略も運が良かったにちがいない」

 

「なんと汚い食べ方…オホホホ」

 

「ここにいることが不自然だ。場違いなネズミめ」

 

金色の団員が口を開くと次々とアスタへと向けられた言葉が彼を襲う。が、当の本人は然程気にしてはいないらしい。

 

「うーーん、散々な言われようですな。まぁ、もう慣れてるけど」

 

 

「下民なら貴殿らの団にもいるではないか

 

四つ葉の魔導書を持ち祭り上げられ図に乗っている下民がな………!」

 

 

 

「レオ……何やってるのよ…」

 

「アイリス、戻ったぞ…ってやっぱりこうなるか」

 

「だから、来たくなかったのよ」

 

皿に料理を盛り付け帰ってきたデイジーはその場に流れる空気に小言を漏らしながら皿をアイリスとノエルに渡す。

 

「え…わたし」

 

「あなたにもと思いましね。妹はあなたと食べたいようなのですが」

 

「ノエルさんも一緒に食べませんか?」

 

「いや、この空気で…?」

 

空気の読めない彼らにノエルは思わず突っ込んてでしまう、横ではレオポルドと金色の団員、アレクドラが睨み合っている。

 

「先の魔宮攻略任務……オレの方が上手くやれた!」

 

「大した自信だな……紅蓮の小僧。別に我々はあのような下民に期待などしていない、ヴァンジャンス様の……金色の夜明け団の理想を体現するのは我々だ………!」

 

 

「お言葉ですか……」

 

「オマエもだ、クラウス!オマエ程度の実力の者がここにいて恥ずかしくないのか」

 

「はっ…」

 

「ミモザ!オマエは魔宮では早々に負傷し戦線から離脱したそうだな。王族であるヴァーミリオン家の者が笑わせる……!」

 

「申し訳ありません……!」

 

 

「そしてオマエが一番気に食わない!」

 

クラウス、ミモザと立て続けにアレクドラは二人の事を罵倒すると彼はアイリスを指差しこう言った。

 

「王族でも貴族でもない貴様がなぜデイジーさまと親しくしている!!!おまけにこの騎士団本部に出入りしているだと!?自分の身分を弁えろ!!黒の暴牛の娘!!」

 

「(まぁ……前々からそう思う人は結構いたよね。わたしが言ったところで誰も信じないだろーし。ここは穏便にっと……)……」

 

ニコリと無言で微笑む。それだけでアレクドラはグッと押しだってしまう。得体のしれない化け物が何も言わずにそこに鎮座している、そういう風に感じてしまうのだ。

 そんな事を考えてしまったアレクドラの目の前ではアイリスの隣にいるシスコンが今にでも飛び出しそうな勢いなのをアイリスが彼の靴を踏んでギロリと睨んだ。

 

「少しは抑えて、こんな所で問題を起こしたら大変だよ」

 

「あ、あぁ……わかってはいるんだかな」

 

アイリスの言葉にそう返すデイジーだが、何かに警戒しているのかその顔はいつものおちゃらけた顔ではなく眉間にシワがよっており、アイリスは驚き顔をしかめてしまった。それを見てデイジーが慌てて「すまない」と言うのと同じタイミングでノエルに向かって嫌味たっぷりの声が聞こえた。

 

 

「ククッ…、いやいや一番の場違いな役立たずはァ〜〜オマエだよなァァ〜〜〜??なァァ、ノエル〜〜〜。魔力の操作(コントロール)もロクにできない前代未聞の恥晒しがよォォ〜〜〜!」

 

「ソリド……兄様……」

 

 

「シルヴァ家から追放同然だったっていうのによくノコノコと王貴界に戻って来られたものねぇ……!」

 

「ネブラ姉様………」

 

 

「一回程度の成功で舞い上がってわざわざシルヴァ家の名に泥を塗りに来たのか……?この場はお前に相応しくはない。去れ、出来損ないめ…!」

 

「ノゼル兄様」

 

ノエルの兄、姉が彼女に向かってそう言う。それを聞きノエルはだんだんと顔を青くさせ長兄のノゼルの言葉に彼女は振り返り来た道を戻ろうとする。が、その腕をアスタが捕まえこう言った。

 

 

「こんなヤツらから逃げる必要ねー………!!」

 

「アス……タ」

 

「こんなところに呼ばれるくらいだからスゲー奴らだと思ったのに他の奴らと変わらねぇじゃねぇーか…!!!」

 

この場にいるのは大半が貴族か王族である。対して彼は最果ての村出身の下民、それも魔力が全くない下民(アスタ)。そう、普通なら怯えて逃げてしまうかもしれないのに彼は貴族に対して声を上げた

 

「相応しいとか相応しくないとか知るかーーー!見とけよ、オレは必ず………」

 

砂拘束魔法 “砂の匣”

 

アスタの声は続かなかった。代わりにアレクドラの拘束魔法が彼を拘束した。

 

「そこまでた、不届き者めが……キサマは喋ることも許されない。黙れ……!」

 

アスタの武器は魔力を消費して魔法を放つことではない、アスタの武器は魔法を打ち消す剣だ。

ズッ、と剣を振り回し拘束魔法を解いたアスタは高らかに宣言した。

 

 

「黙らん!!!!!」

 

「コイツ……!?」

 

 

 

「いいか、コンチクショー!オレは必ず“実績”を積んで……魔法帝になってオマエら全員黙らせてやる!!!!」

 

 

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