「魔法帝に……なるだと……!?」
そう高らかに宣言したアスタだが彼を知る人間、特にクラウスは顔にバカモノ、と書いてある。横にいるユノは「やっぱり……」と口にしミモザは驚きの表情を顔に出し、デイジーは呆れ、アイリスはニコニコと笑っている。
「(面白いなぁ…アスタさん。けど、プライドの塊にとっては結構屈辱的かな……)」
隣のデイジーと目配せし、いざという時に助けられるように準備をする。
「クッ……クク……クククク」
「フフフ」
「「「笑わせるな!!!」」」
ソリド、アレクドラ、ネブラはそう言うと魔法を発動させた。
水拘束魔法 “海蛇の巻縛”
霧拘束魔法 “霧蜘蛛の縛糸”
蛇の形をした水魔法と細かい蜘蛛の霧魔法がアスタを襲うが剣でそれを斬る。それを見てアレクドラは拘束魔法ではなく創成魔法でアスタを拘束した。
砂創成魔法 “砂剴の番兵”
砂の鎧がアスタを拘束した。ハっとしアイリスはデイジーを見ると彼は柔らかな笑顔を浮かべ頭を撫でてきた。
「兄さま、アスタさんが…!」
「いいから、後輩を信じろ。アイリス。仲間だろ?」
「でもっ……」
「大丈夫。彼は平気だ」
なんで、そんなに信頼できるの……。喉まで出かかった言葉を飲み込みアスタを見る。
[仲間なんて、結局他人じゃないっ!!]
仲間も、友人も、家族だって結局はどこまで行ったって『他人』だ。それを同じ騎士団の仲間、という認識のアイリスとは違い彼らは仲間というくくりの上に新たなくくりを作り『家族』のように接してくる。
それが昔から苦手で、一線を引いてきた。
ー
[仲間だ!!!!]
[オレも勝手にアンタを助ける!!!一人になんかさせるかァァァ!!!
アンタがオレをどー思ってても知らん!!アンタはオレの仲間だ!!!]
ー
あの時、彼はそうラックに対して言っていた。それはまるで
「わたしはっ……」
少しは歩かなきゃ。そう思ってもすぐには動き出せないかもしれない。けど、
「お前の気持ちも…少しは分かる。けど、彼はお前と一緒の団の仲間だろ?今すぐにとは、言わない。けど、信じろ」
「はいっ……!!」
頑張らなきゃ、と思う。
だから、まずやらないといけないのは…
すっ、と手をかざす。誰にも気づかれない程度に魔力を絞る。
「オイオイ〜〜〜、何生温いこと言ってんだ金色さんよォォ、こういう図に乗ったヤツには身体に覚えさせないとなァァ。二度とおいたできないように………!」
水創成魔法 “聖水の凶弾”
砂の鎧に拘束されたアスタにソリドが水の弾を創り攻撃した。それを見てノエルが「アスターー!」と叫ぶが、アスタは魔導書からもう一つの剣を出し聖水の凶弾をソリドに向かって跳ね返した。
「ノエルに……謝れ!!!」
自分の魔法を喰らったソリドはそのまま地面に叩きつけられる、と皆思ったその時アイリスはかざした手を握りソリドを炎の渦が拘束した。拘束された本人はキッとアイリスを睨む。深呼吸をし、ソリドを睨む。
「グッ……!これは貴様か!!」
「王族ともあろうお方が下民一人に対してそこまでムキになる必要性あります?」
「貴様っ!!この拘束魔法を解け!!」
「あら、わたし今拘束魔法なんて使ってないですよ。まぁ……魔法帝が折角設けて下った場を汚したあなたたちはこれから先大変そうですね。」
「(確かに、魔導書なしの拘束魔法だけでもそこらの魔法騎士よりかは腕が上がっている。さて、どう止めるか……言ったオレも同罪かな…これ)」
「これ以上わたしの仲間に対して手を上げるのでしたら、わたしもそれ相応の対応を致します」
「この下民風情共がァァーー!!!!」
スッ、と表情が消えソリドに言う。彼はそれだけでぶるりと震え叫んだ。彼は拘束されている中で魔法を発動しようとし、アスタも来る攻撃に構えた。その瞬間、空気がピリつく程な圧倒的なオーラが場を支配する。
「ソリド」
「(あの方は……)」
「ノゼル……兄様……!」
「下民如きにそう容易く魔法を使うな……!王族に逆らいし下民。どう捌いてやろうか」
銀翼の大鷲団 団長ノゼル・シルヴァ
「そこまでにしておけ……!少年一人に恥ずかしくないのか……!?シルヴァ一族よ……!!」
紅蓮の獅子王団 団長フエゴオン・ヴァーミリオン
それまで傍観していた団長二人が対立するかのように向かい合い会話をする。のと同時に安堵のため息を吐く人間もいたりする、ミモザも安心するかのようにフエゴオンの名を呼び、クラウス達はほっとした顔になる。
「フエゴレオンさん…!」
「ミモザとアイリスから聞いて追った通り、貴様なかなか面白いではないか…!よし、喜べ!!このレオポルド・ヴァーミリオンのライバルにしてやろう!!」
「へ……」
「ヴァーミリオン……」
「ええ、フエゴオンさんとレオポルドさんは私の従兄ですの。」
ヴァーミリオン、という名に反応したユノにミモザが答える。周りは周りで言いたい放題な状況になった。
「やっぱり男ってバカですね!姐さん!」
「はしたないぞ、ソル」
「すみませんっ、姐さん!」
「団長と呼べ、ソル」
「すみませんっ!」
「騒々しい方ばかりですね、まったく〜、オホホホ」
「………」
「ユリウス殿がこの場にいることを許した者だ、下民とは言えど多少は認めてやってもよいのではないか?」
「…まさか王族のものからそのような言葉が出るとはな……ヴァーミリオン家もお優しくなったものだ。天空を舞う鷲が地を這う虫ケラをどう認めろというのだ……?」
和やかな空気が流れる中で団長二人は未だに殺伐とした空気を醸し出している。壁が、窓が悲鳴を上げるかの如くガタガタと揺れ一切の言葉を放つ事もできない空間がそこにはあった。さて、どうしたものか……とデイジーが考えていると外から扉を壊す勢いで一人の魔道士が入ってきて、こう言った。
「たっ…大変です!!!王都が、王都が襲撃されています!!!」