ガコッとラックが壁を押すと壁が抜けた。
そこはどこか神秘的な美しさを持った空間だった。
「すっ…すっげええええ!?」
「魔法で空間が歪んでるみたいだね」
「どうしよう……ホントに来ちゃった………」
アスタは驚き、ラックは感心し、アイリスは目が死んでいる。それを見てノエルが驚いている。そして呑気にラックが口を開いた。
「ココは外よりも濃〜〜い魔が漂ってるねー」
「こんなに魔に満ちた場所初めてだわ…!」
「そうなのかい?」
ラックの言葉にノエルが続くとアスタがきょとんとして言った。
「まさかアナタこれだけの魔を感じないの!?」
「全然」
「ってまさか、魔も知らないなんて言うんじゃ……」
「魔ぐらい知っとるわァァ」
そんな会話をニコニコしながらアイリスは見守る。
「(さて、そろそろ偵察を……)」
炎魔法 “炎庭の猫”
偵察に必要な猫耳だけを発生させその猫耳の感覚を発達させた状態で魔法を発動する。
「(私達入れて13人…そのうち敵は……6人、あと3人…2人は感じたことのある魔力…)ミモザ…?」
呟いた声は誰にも拾われなかったようで3人は罠魔法に先程から翻弄されている。と言うかラックがわざと罠魔法にひっかかっているだけなのだが。
「何やってるの…?(…そういえばミモザは金色の夜明け団に入ったって聞いてるから…来てるのは金色の夜明け……?)」
考えにふけっていたアイリスにラックが後ろから近づき声を掛ける。
「アイリス」
「はい、何用で」
「敵の正確な位置教えて!」
「敵は全員で6人、うち4人がここから近いです。」
「そっかぁ!!」
淡々と告げるアイリスにラックは笑顔で応え魔法を発動させた。
雷創生魔法 “雷神の長靴”
「え!?」
「ちょっと大事な用出来ちゃった。とゆーワケで魔宮攻略よろしくー!」
そう言うととんでもないスピードでその場を離れるラックに後輩二人は唖然とし、アイリスは興味がないのかアスタの頭から飛び去ったネロを追いかける。
「な、何考えてるのよ、あの人ーーー!!」
「かっ……かっけえええ」
「(本当は自分で強そうな相手いるの感知して知ってるのに、何でわざわざ他人に聞くんだろ)」
周りを物珍しそうに見渡すアイリスは二人から距離が離れているために植物魔法に捕まった後輩2人に気づかない。いや、もう気づいていた。
「私が出たところで二人はなんとかするよね(さっきの偵察だと外に何人かいた。半分以上は敵だけど…1人馴染みのある魔力があったなぁ……)」
目が死んでいくアイリスは近づいてくる魔力に気づきそれまで下げていた顔を上げ、顔を歪めた。コツコツと3人分の靴音が響きそして止まると魔導書のページを捲る音が耳に届いた。
「うーわ、マジでアナタ達なんだ」
「さて、暴牛からアイリスも来るって聞いて後輩たちの送迎に来るっていう名目で来たけど、大丈夫かな?」