Lineria   作:白燐乱

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「これで、借りを返したぞ。アスタ……!!」

 

「ユノ…!!」

 

植物魔法の罠にかかったアスタとノエルを助けたのはアスタと同郷であり親友でありライバルのユノだった。

彼の後ろにはメガネをかけた青年と見覚えのある少女が控えておりメガネの青年が腰に手を当てユノに対して口を開いた。

 

「ユノ、なぜこんなヤツらをわざわざ助けたのだ。我々の任務はあくまでこの魔宮の攻略、つまりは宝物殿に速やかに辿り着くことだ。こんなヤツらにかかずらっている時間などない…!」

 

「オイユノ!いきなり何だこの失礼なメガネは!!」

 

「先輩」

 

「メガ…失礼なのは貴様だ!貴族の私と対等な口を訊くな!」

 

 

「あぁ…リュネット家の」

 

アスタと金色の夜明け団、クラウスとユノが騒ぐ中ノエルと金色の夜明けの新人、ミモザが二人で話していた。

 

「私達、先日このメンバーでの任務で魔法帝に星を授与されましたの…!」

 

「オレ達だってこの前星もらったもんね!!」

 

ミモザの言葉にアスタが胸を張って答え、ノエルが済ました顔で髪を弄り、アイリスはふと疑問に思ったことをアスタに問いかける。

 

「あぁ…初めての任務のあれですか?」

 

「はい!!」

 

アイリスの問いにアスタが元気返事をするとクラウスが口を開いた。

 

「ウソをつけ、黒の暴牛の新人ごときがそう簡単に星を授与されるワケないだろうが。今回の任務を任されているのもおこがましい」

 

「魔法帝直々に任されたっつーの!」

 

「また、見え透いたウソを……」

 

「ウソじゃねぇぇぇ」

 

「まぁまぁ、アスタさんもメガネさんもうるさいですよ。敵がいるかもしれないのにそんなに騒ぐと気づかれますよ。それに………」

 

低レベルな会話が続けられてる中アイリスが二人の間に入り仲裁した、仲裁されてクラウスの眉間にシワがよりアイリスを睨む。そして不自然に言葉が途切れたアイリスをアスタとノエルが心配そうに見る。

 

「金色の夜明けに入っている貴族が下民に対して馴れ馴れしい態度を取るのは一族の恥では…?」

 

その言葉を受け取ったクラウスはアイリスをまたもや睨む。

 

「キサマっ…!貴族の私を愚弄するか!!」

 

「あら、そんなつもりはないのですが…。」

 

アイリスが口元に手を当てクスクスと上品に笑うそれが相手を挑発しているのかはたまた天然なのか何れにしろクラウスはますます睨みを利かす。その姿にミモザが小さく反応した。

 

「っ……そういえば…!!」

 

もはやヤケクソになりながら青年は言う

 

「貴様らは4人で来ていると聞いてたがもう一人はどうした?まさか、貴様らを置いて逃げ帰ったなどとと言うまいな。それとももう罠魔法の餌食にでもなったか?」

 

「((オレ達ほっぽってどっか言ったなんて言えねー))」

 

 

 

「あ、あの……」

 

クラウスとアスタが揉める中ミモザがアイリスに近づき声を掛けた。その顔はどこか不安そうでそれでも嬉しそうな顔。

 

「ハーミィ家の…方ですよね?」

 

「っ……」

 

「ですわよね、あの後レオポルドさんや私達皆心配していました…!」

 

「ミモザさん、……私はハーミィ家の者ではありませんよ。」

 

「ですがっ…!先程のあの仕草スターチスさんやカトレアさんのようでした。私はいつも貴女のことを尊敬していました…!見間違えるはず…!」

 

「……人…違いですよ。そんなハーミィ家の方と間違われるなんて私もついてますね」

 

「アイリス…さん」

 

お互いがお互いの顔を見、背けることができず固まっているとクラウスがミモザを呼んだ。

 

 

 

「ミモザ…!!ミモザ!!!」

 

「は、はぁい!」

 

植物創成魔法 “魔花の道標”

 

クラウスに呼ばれハッとし返事をしたミモザは魔宮の構造を把握する魔法を発動した。その間クラウスはアイリスの顔を見た。

 

「(こいつ、デイジーさんに顔が似ているな。雰囲気もデイジーさん、いやスターチスさんに似ている。あの人はいつも人を小馬鹿にし、相手をわざと怒らせるのが得意だと聞く。こいつも…先程は私をわざと怒らせた。黒の暴牛にこんな奴がいたのか)」

 

 

「この魔宮の大体の構造はわかりましたわ」

 

「ユノーー!!」

 

「はい」

 

ミモザの報告でクラウスはユノに命令をし、ユノは自身の魔導書を開き魔法を発動させる。

 

風創成魔法 天つ風の方舟

 

 

それは、人3人を余裕で乗せる風の舟、金色の夜明け団はそれに乗り黒の暴牛団を追い越していった。

 

 

 


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