仮面とは
それは演劇などで用いられる道具のこと
或いは
内面的な物を指す場合もある。
「あの子は、道化なんだ。出会ったときから」
その人はそう言った。彼女は常に笑顔を薄く浮かべ相づちを打ち、決して本心を見せない。
それは見る人によって印象が違う。
優しそうなイメージを抱く人や胡散臭いとイメージする人、恐らくそれは千差万別であろう。
「だって、みんな他人だもん。他人なのに本心を見せて信頼を寄せるなんてバカバカしい。わたしには理解ができない。
他人との馴れ合いほどつまらないものはないでしょ」
ーーーー
「この魔力……宝物殿の方、金色の夜明けの3人と交戦中?」
「だね、宝物殿なら急いだほうがいいね」
とてつもない魔力を感知すればその付近に先程会った金色の夜明けの3人の魔力も感じた。
「ユノが戦ってる!?」
「多分、先を急ぎましょう」
アイリスの魔法にアスタとノエルがくっつき、ラックも自身の魔法を発動し、宝物殿へと急ぐ。
「この先、アスタさん!!」
「おう!!!」
魔導書から剣を出すとアスタは敵の攻撃を受けそうだったユノの前に立ち魔法を斬った。
「おい、そこの顔色悪いの…勝手に手ぇ出してんじゃねー、ユノはオレのライバルだ!!!!」
剣を構えアスタは敵にそう言った。それを見てアイリスは顔を強張らせる。
「危機一髪って感じですかね……(ダイヤモンドの秘密兵器、確かにあの敵の魔道士はそう言ってた。気を引き締めなきゃ…)」
「追いつけたと思ったら何やってんだユノ、テメーこらぁァァ勝手にやられてんじゃねぇぇーー!!!」
「余計なことを…もう少しで倒せたのに……」
「ええええ!?ウソつけェェ!ボロボロじゃん!今にも死にそーだったじゃん!」
「今から怒涛の反撃が始まるとこだった」
「ぜってーウソじゃんんんん!!オマエそーゆートコあるよね
しょうがねぇーどっちが先にアイツ倒すか……勝負だァァァ!!」
アスタとユノの会話が終わるとそれぞれが動き出す、ラックとアイリスはクラウスのところ、ノエルは怪我をしたミモザのところ、そしてアスタは敵に攻撃を仕掛けようとしている。
「ほいっ」
「はっ!」
ラックとアイリスがそれぞれ魔法でクラウスの前に現れた魔法を倒し、槍を片手にアイリスがクラウスに問いかける。
「キミ、大丈夫ですか〜?」
「私としたことが黒の暴牛に助けられるとは………!!!」
ぐぬぬぬぬ、と頭を抱えるクラウスにラックは?を浮かべ、アイリスは「それだけ感情豊かなら平気ですね」とクラウスに向けて言うが当の彼は未だに頭を抱えて唸っている。
敵とアスタが会話をしていると敵は唐突に凄まじい数の自身と同じ姿の人形の魔法を発動した。
「な……!なんと言う数を同時に……!」
「あちゃー………アスタさん!人形は私達が引き受けます!貴方は敵を…!!」
「はいっ!!!」
「貴様っ!何を…!」
アイリスに対してクラウスは噛み付くように言うが、当のアイリスは走っているアスタに視線を向けながら口を開いた。
「アスタさんなら、大丈夫。彼の魔法は防げませんから。それよりもこっちはこっちで仕事残ってますよ…!」
ようやくアスタから視線を外したアイリスは槍を握り直しそう言った。それに対してクラウスは納得の行かない顔をするが彼はしばらくして戦闘を開始した。
そして敵の攻撃を避けながらアスタは敵に対し一撃を喰らわせた。
(強い……!!!)
それはこの場にいる全員が同じことを思った事だった。
「ありえん!魔力が希薄な下民如きがこんな……」
「アナタさっきからつべこべうるさいわね!!魔力の無効化……それがアスタの能力なのよ」
「無効化……だと……?ただの
「
「オイコラァー!もう終わりかコノヤロォォー!!!」
アスタの言葉にアイリスは内心ヒヤヒヤしながらも魔道士のページを捲り拘束魔法を発動しようとした瞬間、敵は起き上がり攻撃を仕掛けてきた。突然のことなのにアスタは剣で攻撃を斬っていく。が、敵の魔法の攻撃を喰らった。
「アスターー!!!」
ユノが叫んだ。すると敵は口を開いた。
「何なんだ?オマエは…………!」
「オレは生まれつき魔力が全くない人間だ」
「魔力が全く無いだと!?やはり、運良く能力を得ただけ………」
敵の攻撃を喰らっても起き上がったアスタは敵の言葉に対しそう返した。それを聞いたクラウスは嫌味を言っていたが、それは途中で途切れた。なぜなら彼は攻撃によって破れたローブから晒されたアスタの腕を見たからだ。
「それでも魔法帝になってみせる。それを証明する為にオレは生きている!!!」
その言葉にクラウスは息を呑んだ。それは近くにいたアイリスも同様に。
どんな鍛錬を積めば年齢に似合わない筋肉がついた腕になるのか、彼と出会ったときからの疑問の一つだった。
人づてながらも、彼は魔法帝になる夢がある。と言っていたそうだ。それを聞いてアイリスは特に何も思わなかった。否思った。魔法帝には到底には成れないだろうし魔力がないのなら諦めて他の道を歩けばいいのに。そう思ってしまった。
それはすぐに後悔に変わった。
目の前でラックを助けるために必死で攻撃を仕掛けた彼を見て一瞬でもアイリスは思ったのだ。
「(彼なら……なれるかもしれない。魔力がないのなら体を鍛えればいい。そう考えたのかな。……私には考えつかなかった………)」
一生懸命真っ直ぐにひたすら真っ直ぐに走る彼を見て、思ってしまったのだ。
魔法帝になれるかも、と
「何事にも一生懸命なあなたをわたしは尊敬するよ。
アスタさん」