蛇ですが、なにか?   作:トマトねこ

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人間になりました、本当?

辺りは静寂に包まれる

先程まで煩わしいほどの鳴き声を上げていた鼠の群れは綺麗サッパリ消えて俺と小芭内だけが残った。

俺は鬼の躰が崩れて消えるその直前に  鬼が救われる幻覚を見た。

 

この鬼は十二鬼月という鬼の中でも最上位レベルに人を食ってきた鬼の一人に数えられる。許されざるほどの罪を犯したその鬼を俺は 心の底から憐れんだ。

 

元を辿れば人として生きていた。その事を知ってはいたが改めて考えると鬼は憐れなのかもしれない。もしもあの男、鬼を作り出す男と小芭内が出会っていれば小芭内は鬼になっていたのかもしれない

 

(難しいな。人も、鬼も)

 

そう感傷に浸っていると噛み殺した鬼は文字の刻まれた悪趣味な目と笛だけが残った

 

(いただきます)

 

目を傷付けないようにゆっくりと持ち上げ、牙を立てずにそのまま飲み込む

 

―――摂取エネルギー量が一定に達したのを確認しました。また、一つの生物が救済されたのを確認しました

 

進化先『ミシャクジ』をアンロックしました

 

 

え?

は??

はあぁ!!??

なんでやねんマジで。

ミシャクジへと進化するにはまだ半分近いエネルギーの摂取が必要だったはずだ。それなのに…十二鬼月ってこんなエネルギー持ってるのか…

そして進化にもう一つ必要だった条件が〈他生物の救恤〉

これがワケワカメだったから放置してたんだけど…こんな簡単でいいの?

 

ないわー

 

じゃあ上弦とかどんなエネルギー量だよ

もう上弦の肉一口でも食べたら体が爆散する気がする…もう十二鬼月に会いたくねぇ

でもまあ人になれるのは嬉しいね!バンザイ!テンション上げてくぜ!hey!

 

―――本体より進化の要請が確認されました。ミシャクジへの進化を開始します…

 

あ。やべえ眠い…いや…ここでテンションを上げなければ…いやでも本格的に眠…

 

 

 

 

 

 

 ▲▲▲

 

―――進化に伴い技能のアップデートを行います

 

―――『捕食』を『暴食』へとアップデートしています……成功しました

 

―――『辞書』を『叡智』へとアップデートしています……失敗しました。再起動します

 

―――不必要となった『進化』を破棄し『詳細進化』を取得します。

 

 

 

―――以上で進化を終了します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

(痛い)

 

最初の感覚はそれだった

肺の奥底からヒリヒリとした痛みが体全体へと広がっていく、その痛みに釣られるようにして俺は覚醒した。

 

(ここは…)

 

見覚えがある場所だ。

そこまで大きくない木造りの小屋の一室、それは記憶が正しければ俺が修行をしていた間の部屋だった。

部屋の中は俺が最終選別に参加した時から変わっておらず、机と布団などの必要最低限の物だけが置かれている

 

「起きたか」

「氷海さん…」

 

そう言えば鬼殺隊に入ってから中々会う機会が無かったなと思い返す。突然の邂逅に僅かばかりに心が踊る

しかし俺はあの鬼に負けたはずでは無いのか

 

「そう驚くな。此処は地獄でも天国でも無い、正真正銘私の小屋だ」

「俺は…確か十二鬼月に会って…」

 

そこまで言うと氷海さんは俺を手で制し、そこから先を遮った

 

「いいか?小芭内。ここから先に私の話すことはあまりにも常識から外れている」

 

常識から外れた事…一体なんだろうか。俺よりも遥かに生きてきた氷海さんが言うのだから恐ろしく怪異的なことなんだろう。

 

「分かりました」

「よろしい…入って良いぞ」

 

そう言うと俺の部屋の引き戸が開けられた。

そして俺が見たのは…

 

「鏑丸…?」

 

数年前、俺の夢に見たあの白子の少年だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

「うーん…」

 

進化が終わったのだろう。俺は身体中にむず痒さを覚える

 

「よいしょー!」

 

体を思いっきり動かすとズルズルと俺の古くなった皮が剥がれ落ちる。所謂脱皮だ、俺が進化すると何時もこうなる

 

「うおでっけ!」

 

俺の体は前の時と比べて遥かに大きくなっていた。これじゃ小芭内の頸にも巻き付けないかも……ええい!縮めえ!縮めえ!あっマジで縮んだ

いやそんなんどーでもいい!大事なのは人間化だよ人間化!

小芭内が目覚める前にやっておきたい!サプラ〜イズ!

…いやでもどーやって人間になるんだろ…

 

―――使用者の疑問を感知しました。『叡智』が必要情報を開示します

 

「ん〜っと?体に力を入れれば良いの?」

 

ふんっ!と力を入れれば俺の視線は急激に低くなった。おお!

 

うおおおおおおおおおお!!マジかああああああああ!!

 

俺の大声にビビったのか木に止まっていた鳥は空に慌てたように羽ばたいた

 

いやもうホント嬉しい!

蛇になって早五年近く!ようやくこの体に戻れた!

手があり!足があり!さいこうでええぇぇえす!!

 

とまあ喜びを軽く押し出した所で小芭内を起こそう。

俺は小芭内の上に軽く跨ると頬をぺちぺちと叩く。朝じゃないけど朝ですよー

 

…コイツまじで寝てやがる

 

ないわー

 

しょうがないので小芭内を背中に担ぎ、住まいへと帰ろうとする。

蛇の時には感じることが出来なかった風を切る感覚がとても心地よい

 

「…ん?」

 

瞼の上にチリつくような感覚を覚えたかと思うと山の頂点から橙色の光が今にも零れそうになっている。遂に長い夜は終りを迎えたらしい

日光の当たる範囲では鬼は活動ができない。だから日が完全に昇れば安全に下山できるだろう

ああ、太陽の日差しが熱いくらいに眩しい……いやちょいと熱すぎん?

いや熱い!ヤバい!編集作業してるパソコンを遥かに超える熱が俺の体を襲う

どーなってんのおお!?助けて誰かあ!

 

―――日を遮れば身体への影響はなくなります

 

おお!ナイスアドバイス!

そのアドバイスのおかげで木陰に入ると同時に熱いのは収まった。改めて俺の体を見ると半分くらいが消えててギョッとした。おいどーなってんだコノヤロー、人になるってレベルじゃねーぞオイ

 

―――人間への擬態を行いましたが情報が不足していた為、鬼をベースとして身体を作成した影響だと考えられます

 

百パーそれだわ!てか人間になれるんじゃないの!?詐欺だ詐欺!

おいゴルァ!降りろ!免許持ってんのか!…いや何の免許?

俺の体がやや再生してきた所でいつもの蛇に戻るけど小芭内どーしよ、いやー困った困った。

…辞書さん教えなさい、拒否権は相模湾に沈めた

 

―――熊への擬態を推奨します。強靭な力を持つこの動物なら人を担ぐのに問題は無いでしょう

 

熊かあ…そう言えば何年か前に食べたような気がしないでもない

再び力を入れると俺は一匹の熊になっていた。体と目の色は蛇の時と変わっていない

さあ帰ろう!

 

―――少しよろしいでしょうか

 

ん?なんだね。言いたいことがあるならハッキリ言いなさい

 

―――その姿で帰るとかなりの騒ぎになると思います

 

へ?

あっ

あああああ!そうじゃん!

今の俺完全に熊じゃん!

え…どうしよ、マジで詰んだかもしれん。蛇のなって小芭内が起きるの待とうかな?

 

―――…コレはあくまで案なのですが

 

―――氷海宅へ行くのが最善だと愚行します

 

氷海さんって小芭内の育手さんだった人か。確かにあの人なら多少は大丈夫かも、一を聞いて十ニを知るタイプの人だし。俺が置かれたこの状況についても上手く察してくれる気がする

今度こそ俺は帰り道を進み始めた

 

 

 

 

 

 ▲▲▲

 

「と言う訳だ、小芭内」

「……」

「…小芭内?」

 

氷海さんが一通り説明をし終えたが小芭内は完全に停止したまま動かない。

耳を引っ張ったり頬をぺちぺちと叩くが全く反応しない

 

「…壊れた」

「まああまりに非現実的だからな。無理もない」

 

俺がそう言うと声が完全に消える

…話すことがねえ……

いやいやいや!勘違いすんなよ?俺はコミュ障じゃねーし?ただ久しぶりに話すから何話せば良いか分かんないだけだし?

……家族以外と話すと頭の中身が飛んでっちゃうコミュ障です…嘘ついてゴメンナサイ

 

「しかし蛇が鬼になるとは…長く生きているがコレが初めてだ。どうだ?人を食いたいと思うか?」

「…だいじょーぶ」

 

大丈夫です!それに関しては『捕食』の進化形態の『暴食』がどうにかしてくれます!

 

俺が進化するに当たって色々な物が変わった。

その一つがこの『暴食』だ。どう変わったかと言うと、分解能力が上がった。

土を食べればその土に含まれる栄養を取り入れられるし水を飲むだけでも…といったように。

そして新しい『詳細進化』は今度、機会があればね。

 

話を戻そう、俺の『暴食』はエネルギーをどんな物質からも吸収できる。

つまり人間を食べなくても同じくらいエネルギーがあれば良いんだ。胃袋のストックは面白いくらいに消えていくけど問題はない。でも基本的にもったいないから蛇でいようかな

 

「鏑丸…」

 

おっ小芭内がやっと反応した。

小芭内は俺が頬を掴んでいた右手を引き剥がすとおもむろに口を開く

 

「俺に何も断らずに鬼になるとは…一体どういう了見だ?」

 

あ、あれ?もしかして怒ってる…?

いや違うよね、親友が急に喋れるようになって戸惑ってるだけだよねウン

 

「お前は何も言わなかったな?親友である俺に、親友のこの俺にだ」

 

いやしょうがなくない!?だって俺は喋れなかったんだし人になるって信じてたんだもん!詐欺だ詐欺!俺に文句を言うのはお門違いだあ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

「伊黒小芭内…か」

 

私は一匹の鎹鴉が持ってきた情報に思わず独り言を零した

その内容はいたって簡単な物で、下弦の鬼が討伐されたという知らせだった。

鬼を狩った隊員の名前は伊黒小芭内、鬼殺隊に入ってからの成績は十分だし今回は十二鬼月すら討伐する実力を見せた。

 

「うん、彼なら申し分ないかな」

 

鬼殺隊の最上位に立つ  柱に

 

「コレを届けておくれ」

 

烏の足に私の手紙を括り付け、空へと飛ばす。

 

「さて…」

 

やるべき事は終わった。後は待つだけ…いや、一つだけ残っていた

 

「水柱の二人目…露柱なんてどうだろうか?いや、淼柱なんてのも悪くない…しかしそれだと現水柱から不満が出そうだ。ううむ…」

 

産屋敷耀哉、二十一歳

二人目となる水柱の名前を本気で考えるお年頃

 

「あまねも何か考えておくれ」

「…そのまま水柱で良い気がします」

「それだと万が一名前を忘れたら困るだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここでこそこそ話ですが。なにか?

鏑丸「どゆこと?」

作者「簡単に言うと作者が詳しく書けなかった事を補足してもらおうかと!」
鏑丸「うちのが技量不足で迷惑をかけます…」



鏑丸「お館様は小芭内の呼吸が蛇の呼吸ではなく、水の呼吸だと思っていますよ!なので二人目の水柱の名前を頑張って考えています!」

作者「本編では喋らないけどこっちだと饒舌ですね、好評だとこそこそ話は続きまーす。現場からは以上でーす」

この後、鏑丸は人化します。そこでヒロイン希望を聞いて見ます

  • 胡蝶しのぶ
  • 甘露寺蜜璃
  • 竈門禰豆子
  • TS伊黒小芭内(割と本気)
  • いらない
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