ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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暗部にすがる ~パート2~

 

 

 

 

 

 

 

『あなたのおなまえはなぁに?』

『おれかい? う~ん、おかしいなぁ、ぜんぜんおもいだせないや』

『そっかぁ。それじゃあ、こんどからペロちゃんってよぶね?』

『おぅけぃ。そういうきみはだれなんだい?』

『わたし? わたしはね、さらしきたてなしっていうの。よろしくね』

『さらしきか。いいにくいみょうじだな。さらきしっていいそうになる』

『あ、じゃあ、なまえでよんでいいよ? たてなしって』

『そうか、わかったよ、たてなし。よろしくな』

『うん、よろしく――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃッッッッ!!!!!!!!」

 

 ガバリと布団を撥ね退け起き上がる。

 

 ……あれ、私、さっきまで花畑にいて、優しそうな男の子とお話してたのに……。

 

 気付けばここはIS学園の寮の自室。自分の状況が未だによくわからない……。

 

「チッ、うるせぇなぁ、人が寝てるってのに…………うん?」

「えっ?」

 

 何で、男の声が? っていうか、なんで隣のベッドにあの窓から飛び降りた男子が……?

 

「なっ、なんでお前がここにいるんだよッ!?」

「そ、そっちこそなんで人様の部屋に勝手に侵入してるの!?」

「知らねぇよそんなこと!! 穴に落ちて部屋に飛び出て窓から飛び降りて花畑行って気付いたらベッドの上だよ!! 俺だってこの状況を知りたいんだよ!!」

 

 何言ってるんだろうこの人。痛い人なのかな。

 

「やめろッ、俺をそんな可哀想な人を見る目で見ないでくれ!! 事実だ、夢じゃないんだ!!」

 

 うわぁ、ここまで痛い人流石の私も初めてだ。どうすれば良いんだろう。

 

「――――ってかお前さっきの花畑の……!!」

「…………あぁ!? そう言えば貴方さっきの花畑で……!!」

 

 いた、目の前の男子が確かにいた。その男子と私は、お花畑で呑気に話をしていた……。

 

「チッ、こうなったら身体ごと海に沈めて、」

「何かスゴい物騒なこと言ってるよこの人ぉ!?」

「貴方の所為で私まで死にかけたんだから!! 虚ちゃんの折檻滅茶苦茶キツいのよ!?」

「知りませんよーだ。俺は被害者ですしおすし」

 

 ブチッ。

 

「●す」

「あ、やべっ、これアカン奴」

 

 逃がすかッ!!

 

 部屋の外へと駆け出す男。ドアを閉めて私を出れないようにしたらしいが、

 

「こんなの、私に掛かれば……アレ!?」

 

 あ、開かない!? そんな、力だってそれなり自信あるのに……!!

 

「開けなさいよ変態!!」

『じゃかぁしいわい!! 俺の命狙う奴の言うことなんか聞けるかってんだ!!』

「変態!!」

『俺何もしてないじゃあん!?』

「五月蝿い!! さっさと開けtほぶぅっ!?」

 

 鼻っ、鼻が、鼻がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

「ふぇぇぅぅぅぅ、ふぅぅぅぅぅぅうううぅうぅぅぅぅ、」

『えっ、嘘、そんな初歩的なミスで鼻血ブーとかガチですか』

「えう、ううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ……、」

「ガチ泣きとか勘弁して下さいよ。扉使おうとするのとか普通じゃんよぉ……、」

 

 痛いよ、痛いよぅ……。

 

「うわ、赤くなってるし。鼻血とか女子が流すモンじゃないでしょうに……」

 

 鼻を押さえて蹲っていると先程の男子が申し訳なさそうに入ってきた。でももう追い掛ける気力もない。鼻が、痛すぎる……。

 

「ティッシュ当てときな。後、鼻は真ん中より気持ち上のとこ抑えけ。絶対に上は向いちゃダメだかんな」

「……あい」

「首もトントンするなよ、逆効果だから。しばらくは座って安静に」

 

 …………情けない。更識家当主が初対面の男子相手に鼻血出して泣いて介抱されるなんて……。

 

「死のう」

「え!? いやそんなに血流してなくね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………お見苦しいとこをお見せしてしまいました……、」

「ああ、いや、こっちが急にドア開けたって言うか、ドアノブから手を離しちゃったというか……」

 

 しばらくしてようやく鼻血が止まった。情けない。情けない……。その事が恥ずかしくてもう……、

 

「……もぅマヂ無理、リスカしょ」

「ねぇ俺の話聞こうよぉ!? ってか死なれると俺が困るんだけど!!」

 

 目の前で元気一杯なお花畑の男子。ペロちゃんか。

 

「ねぇペロちゃん」

「え、なにそれ俺の名前? すげぇしっくりくると思ってしまった2秒前の自分を殴りたい」

「私の死因ってさ、恥ずか死になるのかなぁ……、」

「君ネガティブにも程があるでしょ」

 

 だって、虚ちゃんに折檻されて死にかけてさ。ドアに鼻ぶつけて鼻血出しながら泣いたりさ。

 

「恥以外の何物でもないわよ……、」

「ああ、うん。ごめん、恥なのは否定できないわ」

「こんなだったら死んだ方がマシなのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「待てッ、マジで落ち着け!! 話し合い!! 話し合い大事だからッ、カウンセリングしてあげるからッ!!」

「……ホント……?」

「(上目遣い……!?) ……ッ、あ、ああ、しよう。素人の真似事で良ければ」

「……わかった」

「ほっ」

 

 ああ、ペロちゃんなんて優しいんだろ。これも夢物語かぁ。ふふ、そうよね、男子がIS学園にいるはずないもんね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ペロちゃんのターンです。ペロちゃんです。目の前の美少女さん、更識楯無さんにペロちゃんと言われました。不可抗力です。

 なんか逃げようとしてドア抑えてて、最終的に引く瞬間にドアノブ離したらドアがぼむって楯無の鼻に直撃したらしく鼻血出しながら泣いてしまったので介抱してた。まさか追われる側が追う側の介抱することになるとは思わなかった。

 

「で、ペロちゃん」

「なんでござんしょ」

「IS学園の制服着て、何しに来たの?」

「へ?」

 

 これ、制服なの?

 

「制服よ、どこからどう見ても。何で男性の貴方が着てる訳?」

あいどんのう(わからん)。気付いたらここにいたし、名前も思い出せないし。でも、ISは知ってる。記憶にない知識として」

「……記憶にない知識?」

「そう。俺はISの存在しないという常識の中で生きていた筈だった。だからISなんて知らなかった。だけど、穴に落ちてここに来てから俺はISの事が手に取るようにわかるんだ。まるで何かを詰め込まれたみたいに」

 

 不思議な感覚だ。自分の腕を見つめてみても、それは変哲もない普通の人間の手なのだから。

 

「……ごめん、ちょっと待って。整理してるから……、」

 

 そう言って眉間をマッサージして唸る楯無。知恵熱でまた鼻血出すなよ……?

 

「つまり君は、こことは違うどこかから来たってこと?」

「端的に言えば、そうなるな。後、言い忘れてたんだけど、」

 

 これは言っておかなくちゃいけないと俺は思った。

 

「俺には、専用機がある」

「……ますます意味がわからないわよ……、」

「俺だってそうだよ。知識だけ詰め込まれて放り出されたんだ。正直どっかに身を隠してたい」

「だからさっきからベッドの掛け布団に包まってるのね……、」

 

 狭いとこが好きなんだい!!

 

「……ハァ。どうしろってんのよ」

「俺に聞かれても困る。俺はこの世界の常識を知らない」

「私だってもう頭がパンクしそうよ。非科学的過ぎて誰も信じてくれないでしょ、異世界から来ましたなんて」

「楯無はどうなんだ?」

「信じるも何も、目の前であんなことがあったら疑いようがないわ」

「それもそうか」

 

 どうやら話は通るらしい。助かった。

 

「……よし、ここは未成年の特権よ!! 先生のとこ行きましょ!!」

 

 まぁ、そうなるわな……。

 

 

 

 

 

 よくテレビで逮捕者はカメラに映るとき毛布とか被せられる。俺も今正にそれ。おかげで周りの女子に変な視線は送られたものの男だとバレることなく教員室に到着した。

 

「さて、誰に話せば良いものかしら……」

「いきなり『新しいISの男性操縦者連れてきました』なんて言って信じてくれる輩がいると思わんよ、俺」

「だから困ってるんじゃない」

 

「更識、あとそこの毛布を被った奴。教員室前で何をしている」

 

 と後ろから声がかかった。視線だけ送るとクールビューティーな女性の人が。カッコイイなあの人。隣では楯無がラッキーという表情を浮かべていた。

 

「織斑先生、更識として少しお話があるので応接室を使いませんか?」

「……緊急の案件か。わかった、ついてこい」

 

 やりぃ、とガッツポーズ。どうやら楯無にとって一番都合の良い展開であるらしい。

 

「……で、話とは何だ」

 

 応接室。多分防音対策ばっちりのところ。織斑先生と呼ばれた人がこちらを見て言った。

 

「えーっと……。まぁいいや。ペロちゃん、取り敢えず毛布を」

「イエスマム」

 

 毛布を取り去る。織斑先生の顔がどんどん疲労に侵され、ついに手を当てて溜息を吐いてしまった。

 

「……更識」

「はい」

「悪戯などという悪趣味ではないのだな?」

「織斑先生に悪戯しようなんて思いません」

「じゃあ聞こう。何故男がいる」

「IS使える人です。生徒会室に穴開けて入ってきました」

 

 あ、織斑先生の表情がもっと深刻なことに。ここは助け舟を。

 

「吾輩は男である。名前はまだないででででででででででっ!?」

「お願いだから話をややこしくしないで」

「はい……、」

 

 隣の楯無から扇子でぐりぐりされた。ツボに入ったからめっちゃ痛い……。

 

「更識、彼の名前は?」

「ペロちゃんです」

「は?」

「ペロちゃんです」

「………………………………、」

「……ペロ」

「もういい、わかった、わかったから、もうこれ以上私を疲れさせないでくれ……、」

 

 でもペロちゃんなんだ、ごめんね。自分でもわからないんだけど。

 

「そこの……ペロとやら。ISの部分展開をしてみせろ」

 

 部分展開……、ああ、なるほど、そういうことね。頭部展開。

 

『どやっ』

「いや、ヘッドパーツつけたらドヤ顔見えないでしょ……、」

 

 それもそうだ。

 

「じゃあ腕にしよ」

 

 どやっ。

 

「ヘッドパーツ付きということは、全身装甲(フルスキン)か?」

「そうですよぉ」

 

 なんでかは知らんけど。

 

「待機形状は?」

「待機形状? イヤリングとかそういう感じになるアレですか?」

「寧ろそれ以外何がある」

「無いですよ。だって俺、生体同期型ISですもん」

 

 ずるりと楯無と織斑先生が椅子から落ちかけた。なんでや。

 

「おい更識、どういうことだ。夢じゃないのかこれは」

「夢だけど、夢じゃなかったんですよぅ……、」

 

 ひそひそと二人肩を組んで話し合う楯無と織斑先生。俺めっちゃ蚊帳の外、暇です。

 仕方ないのでこの世界の情報収集。何故か俺は自分の脳内に情報という情報を片っ端からインプットできるのでそこから自分に必要なものを手に入れていく。

 ここはIS学園。本来であれば女性しか動かせないISなのでここには女子しかいないのが普通だが、例外が一人、織斑一夏という織斑千冬教諭の弟がいる。なるほど、今目の前にいる織斑先生の弟だ。織斑先生は情報を見る限りスゴい人ということくらいか。

 更識楯無。IS学園生徒会会長でありロシア国家代表。妹さんもいるらしい。お家柄は……情報規制がかかった。どうやらちょっと人には言えない闇を抱えた、と言ったところか。深くは詮索しなくて良いだろう、今はそんな情報は必要ないし。

 

 あ、ISしまってないじゃん。しまっておこ。

 

「…………わかった。いや、わかっていないがわかった。今ちょっと話をつけてくるから待ってろ。更識、ソイツを頼む」

 

 って言って織斑先生ご退出。

 

「楯無さんや。俺どうなるん?」

「知らないわよ。もう寝たい」

 

 あ、寝やがったコイツ。

 

「無視すんなよな~。暗部担当さん」

「ッ」

 

 あ、起きた。

 

「……どこでそれを知ったの?」

「何かどっかのシステムにアクセスしたらサイバー攻撃されたからやり返して情報抜き出した」

 

 嘘だけど!! ウイルスとか来なかったけどね、入ったら情報くれたしね。

 

「楯無さ。俺を保護したくない?」

「……狙いは?」

「平穏。ほら、メリットあるでしょ? 俺のことが世界に広まれば俺を取り合う輩はわんさかぽこじゃか出てくる。でも俺はそんな奴らに体をくれてやる訳にはいかないのさ。俺は組織に属さない。だから、更識家当主のアンタと契約を結ぼうじゃないか。悪くないと思うんだよ、俺的には。あ、身を守るとかは全部自分でやるから問題ないんよ。だから更識の負担はほぼゼロ。有事にはちゃんと力は提供する」

「………………………………、」

「別に俺情報が欲しい訳じゃないんだ。ただただ厄介な火の粉を出さないようにして欲しい。ぶっちゃけ大した目的がある訳じゃないし、単に色々と壁をとっぱらって話せる相手が欲しかったんだ」

 

 嘘は言ってない。

 

「裏表ないあたり、本気でそうみたいね」

「だしょ?」

「私が暗部筆頭なのは隠さないけど、私から情報を引き出したいとか考えないの?」

「うんにゃ、全く。俺の好きなように生きれればそれでいいや」

 

 好きに生きたいよね~、流されるままに。

 

「…………後日に返事はするわ」

「良い返事を期待しておりますぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




千冬姉には苦労人となってもらおう(ゲス顔)
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