ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話 作:いつのせキノン
あれは嘘だ。
だって9巻のイーリスのビジュアルが良すぎたのが悪い。
さて、それで任務の進展の方。ノルウェー支部の場所は意外なことに街中のビル、そのフロアを丸々使ってた。贅沢なことだ。表向き名前は違うしパッと見て怪しい仕事をしているようには見えなかった。普通のオフィスと同じだ。
色々と盗聴とかしてみたところ各国各地域に支部が展開されてるみたいで意外にかなり大きい組織みたいだ。
現在ノルウェー支部にて駐在中の構成員は全部で30人、そのうちの6人が派遣されている人物だ。俺と以前戦った2人、オータムというどっかで会ったことありそうな雰囲気の人、エトセトラ3人。後者3人を除いて他の3人は全員IS持ち。物騒な話で生きるのを諦めかけていたあの2人は今はまだ元気にやってるそうです。それなりの懲罰はあったみたいだけど。
「なーんかないかなぁ」
とか、ふらふら歩きつつ独り言。生粋のエイジアンな外見の俺はまぁ目立つ。白人の中に黄色人種ですもの、周りの視線がちょいとイタイね。
最近はあんまり体が動かせてないのでうずうずしてる。毎日トレーニングしてきたのもあるし、やはり運動不足になることを嫌っているのだ、無意識的に。ああ、こう、ISのバトルとかしたいよ。ジュース一本かけて対決とかさ、そういうちょっと負けられないみたいな競争とかしたい。
やっぱIS学園かな。あそこなら結構自由にIS動かせるみたいだし。いいよね、そういう施設があるっていうのは。
「あ、オータム氏発見」
しばしまたビルの近くに戻ってきた俺。丁度入口から出てくるオータムと呼ばれている女の人を見つけた。暇だからついててってみる。
一度人目のつかない路地裏に入って熱光学迷彩起動して、追跡である。言葉悪く言えば、尾行。
こうして尾行をするが、オータム氏の行き先が予想できるワケではない。ノルウェーは人生初上陸で数日なのでまだ細かい場所はわかってない。一応全体像として有名どころへの方向とかそういうのは覚えてるが……。
公共の交通機関を乗り継いで辿り着いたのは空港。荷物が全然無いのを見ると誰かのお迎えだろうか。
「時間ぴったりね、オータム」
「スコールか。良かった、野暮用で少し遅れるかと思ったがそうでも無かったみたいだな」
オータム氏の元に歩いてきたのはスーツケースを引いたスコールさん。なるほど、彼女のお迎えだったか。
そしてスコールさんの後ろにはエイジアン、Mだ。エイジアン、ナカマ!! あ、どうでもいいですね。
「何でテメェがいるんだよ」
「スコールの指示だ。それに従わないければならないと言ったのはオータム、貴様だろう?」
「チッ……」
露骨に不機嫌さ全開で睨み合う2人。犬猿の仲じゃないですかどう見ても。何があったのかは不明だが、あそこまで怒気を顕にするとは相当なものがあったんじゃなかろうかと思ってしまう。
「……まぁいい。こっからすぐのとこにホテルの予約を入れといた。さっさとチェックインでもしてくるんだな。あぁ、それとスコール。他と比べるとかなりグレード落ちてるけど、大丈夫だったのか?」
「構わないわよ。たまには庶民的な場所でもいいじゃないの」
「そう言うならいいけどよぉ……、」
口ぶりからしていつも高級ホテルに泊まってるということか、羨ましいやつめ!!
「ところで、オータム?」
「ん?」
「さっきからずっとつけられてない?」
「はぁ?」
オータム氏が首を巡らせるが怪訝な顔をして「いや?」と言う。可笑しいな、俺の姿は完全に透明人間と同じなんだが。
「Mはわからない?」
「……視線を感じるような、気の所為のような、」
実質的に確信してるのはスコールさんのみ、か。何なんだあの人。
「監視カメラとかじゃないのか?」
「ここは監視カメラの死角よ。視線を感じるなんて言ったら尾行者以外有り得ないじゃない」
そういうもんなのかぁ。裏で生きる人間って怖いな。
「2人揃ってまだまだね」
「はぁ!? 止めろよスコール、私をこんな出来損ないと一緒にすんな!!」
「スコール、訂正しろ。私がこんな木偶の坊と同レベル等死んでも認めない」
「おいM、テメェ今何つった?」
「事実」
「上等だぶっ殺してやるッ!!」
ちょっと何で人の往来で喧嘩しようとしてんですかアンタらは!?
「はいはいはいはいストップストップ。喧嘩はやめましょ喧嘩は」
「アァン!?」
「……誰だ貴様は」
「通りすがりの観光客でっす。まぁほら落ち着け落ち着け。周りにも迷惑がかかるから。警察沙汰にはなりたくないでしょ?」
ざわざわと道行く人がこちらを見てる。ほらもうやっちゃった。遠くに警官らしき人もいるし……。
「ささっ、はよここ出ちゃいましょ」
ほれほれとオータムとMの背中を押して誘導。スコールさんは後ろからちゃんとついて来てくれた。
「ありがとう、観光客さん。この2人は普段から仲が悪くてね」
「いやいや、喧嘩するほど仲が良いって言うしね。実は固い絆で結ばれてたりするもんでしょ」
「巫山戯んなよテメェ!!」
「誰がコイツと絆なんて結ぶか!!」
「はいはい同じ反応ありがとねー」
アメちゃんあげるから落ち着こうねー。
「すっぺ!?」
「……甘い」
あ、オータム氏にあげたの100倍梅味じゃん、ごめん。
「ひぇ、ひぇめぇあいくあへああがぁうるぁ!?」
「うん、ホントごめん。適当に飴をポケットに入れちゃいかんって教訓が出来たよ。はい、これ1000倍サイダー」
「ひょろふひがよぉ!!」
「じゃあそのまんまガリ味?」
「……思うんだがお前、もっとマシなのはないのか?」
「いやぁ、渡されるの試作品ばっかでさぁ。あ、極甘黄粉味いる?」
「いや、いい、聞くだけで喉が渇く……、」
「そっかぁ。じゃあ水味もらうね」
「……味、あるのか?」
「いや、無い。でも一番マシだと思った。お、昆布味もある。寿司味、餅味……あ、葡萄s」
「よこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!!!!」
横から盗られたかと思ってたもう口に突っ込んでた。それさ、
「葡萄スカッシュだよ。10000倍の」
「もごおおおおおおおおっぉぉぉぉぉぉぉおおおああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!??????」
急に悶えだしたオータムが全力疾走でトイレに駆け込んでった。人の話は最後まできちんと聞くようにしようね。
「……何か、悲惨すぎる」
隣のMが顔をしかめてた。そりゃあ確かにアレが自分だったら嫌だよな。
「ねぇ、貴方」
「はい、何かな」
「……もしかしなくても、P?」
「いえーす。Pだよ」
「はぁ!?」
隣で目を見開くMと、俺の前で難しそうな顔をするスコールさん。まぁバレても仕方ないかぁ。
『ちょっ、ちょっとペロちゃん!?』
『あ、束さん。おひさー』
『おひさー!! ……じゃないよ!! 何で正体バラしちゃうのさ!?』
『いや、ここらで一度距離を縮めておこうかと。そんなに悪い人じゃなさそうだしさ。それに、』
『それに?』
『束さん、Mが気になるんでしょ』
『……まぁね』
『他人の空似とも言えるが、束さんが興味を持つっちゃ相当のモンだろ? 仲良くなっといて損は無いさ。話し相手も欲しかったところだし』
『……うぅ、もうちょっと慎重に行動しようよ』
『すまぬ。まぁ危なくなったら俺一人で逃げてどうにかする。束さんとこに他人は連れて行かんよ。これ以上迷惑もかけらんないからね』
「オータムの後をつけてたのは貴方ね?」
「まぁねぇ。暇だったし」
束さんに言い訳しつつスコールさんと会話。Mは未だに唖然としてた。顎外れるよ?
「感心しないわね、ストーカーなんて」
「人聞きが悪いぜよ、スコールさん。腹の探り合いは基本じゃないのか?」
「基本だけど、男性が女性の後をつけてるなんて知られたら問題が誇張されるのよ」
「そりゃ勘弁願いたいですな。俺も牢屋よりは普通の人生送りたいし」
IS動かしてる時点で無理なんだろうけど。
「……皮肉だな。ISの男性操縦者が普通の人生など」
「仕方ないでしょー。俺も好きで動かした訳じゃないんだから。まぁ結果的に満足してるから良いけど」
何やら訝しげな顔のM。過去に何かあるんですかね、その顔は。まぁ確かに正論ではあるんだが。
「……オイテメェちょっと面貸せや」
「やぁやぁこれはこれはオータム。あんまり怒らないでおくれよ。コーヒー味の飴ちゃんあげるから」
「誰が怒らないでいられるかよッ。……あ、美味い」
怒鳴りながらもちゃっかりコーヒー味の飴を掠め取って口に入れるオータム。飴好きなんだね。
「それでP、貴方はこれからどうするつもりなの?」
「それなんですよねぇ。ただいま出張中で調べごとの最中だから帰れないし。ホテルもとってないので野宿です」
これぞサバイバル生活。いや別に資金はあるし寝床なんて宇宙空間手前でIS展開すれば確保できるんですけどね。
「中々楽しいですよ、宇宙遊泳しながら寝るって」
「誰もそんな事しねぇよ……」
ころころと飴を口の中で転がしながら呆れた顔をするオータム。ホテル高いんだもん……。
「まぁいいや。暇だからお供してオーケーっすか?」
「図太い神経してるのね」
「こうでもしてなきゃとっくに鬱病になってますてぇ。楽しいことのためならプライドなんてなんのその!!」
「それは言い過ぎだと思うんだが」
「プライドって面倒臭いよ? 捨てれば自由に生きられる」
「お前が言うと何か説得力有りすぎるよな……、」
何だかんだで亡国一行について行くことが決定。殺されそうになったら全力で逃げるんで大丈夫でしょ、多分。
今度こそ、一ヶ月待っててね。
P.S
イーリス可愛い(´Д`)ハァハァ
とか言ってるけどまだ9巻は挿絵しか見てないよ(真顔)