ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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あんこは粒あんだろJK

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アレサを預かり幾ばくか。

 飛行機に乗り込んだPことペロちゃんの俺とアレサは一路イギリスを目指していた。単なる帰宅である。

 

「……………………………………………………、」

「……………………………………………………、」

 

 絶賛無言中。喋ること、は特にないとも言えないがアレサの無言の圧力に負けていますとです。

 

 紆余曲折とまでも行かず亡国機業(ファントム・タスク)のドイツ支部を後にしてから半日が過ぎた。一応お土産も買っての帰省な訳だが、どうしてか何とも気乗りしない。

 いや別に束さんやくーちゃんに会いたくない訳ではないのは確かだ。悪いのはこの雰囲気だ、違いない。

 

「……暇だな」

「映画でも見ていればいい」

 

 ごもっともで。

 

「アレサさんや」

「情報を喋る気はない」

「ちょっとした話だよ。これから顔会わせる時間は長いんだ、少しくらい友好になってもいいんじゃないかね」

「私に馴れ合いは不要だ」

 

 オーケー、落ち着こう。ここで焦っちゃダメだ。取りつく島もないと諦める時でもないしましてや怒る場面でもない。まずは会話だ。

 

『じゃあ個人間秘匿通信(プライベート・チャンネル)で』

『やってることに代わりはない』

『まぁそう言わずにさ。アレサはどこ出身なの?』

『黙秘する』

『やっぱりロシア? 結構寒かったりするん?』

『……………………………………………………、』

『俺ロシアとか行ったことなくてさぁ。マトリョーシカくらいしか知らねぇんだよな。何か有名なのとかあったりしない?』

『……………………………………………………、』

『1人旅で行ってみたい候補にロシアも入っててさ。やっぱり地元民というか現地の印象を聞いておきたい訳だ。何かオススメの場所とか行っておいた方が良い所とかないかね?』

『調べれば出てくる』

 

 頑張れ俺!! めげるんじゃないっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無理でした。

 

 結局空港つくまで無言で通されましたとさ。もうね、話題を捻り出すのだけで頭使いすぎちゃったの、知恵熱出るわこれ。

 

「もすもす、ひねもす」

『はいはいこちら篠ノ之ラボの束さんでぇす』

 

 グラスゴー国際空港の休憩スペースにて束さんに報告中。

 

「取り敢えず空港ついたんでお昼は外食して、んで午後には着きそうですわ」

『おー、了解。取り敢えず上の仮拠点に来て。くーちゃんに頼んで待機しといてもらうから』

 

 あいさー、と通話終了。時計を見ると昼飯の時間だ、腹減った。

 

「アレサさんや、取り敢えず飯食おう飯。俺の奢りだ」

「私にだって所持金くらいある」

「まぁそう言わずにさ。生きてるんだから得しようぜ得」

 

 そうと決まればれっつらごー。優雅にランチタイムですぜい。

 

 

 

 

 昼食はグラスゴー繁華街ブキャナン・ストリートにて軽めのものをいただいた。無論、俺の奢りでアレサも食べた。何だかんだ言ってよく食べるじゃないか。

 昼食後はタクシーを拾ってグラスゴーを飛び出し南下、仮拠点のあるダーヴェルの町に来た。

 

「くーちゃん帰ったぞー」

 

 家の扉を開けると中ではくーちゃんが直立不動で待機していた。おおう、そんな畏まらんでも。

 

「お帰りなさいませ。後ろの方が、アレサ様で?」

「そうそう。ああ、アレサ、この娘はクロエ=クロニクルって言ってね。俺の後輩というか妹みたいな関係の娘なんだ」

「以後、お見知りおきを、アレサ様」

 

 几帳面に礼をするくーちゃんだが、アレサはやっぱり無視。いつになったら素直になってくれるんだろうか……。

 くーちゃんは全然気にしてないみたいで、「では奥にどうぞ」と背を向けた。

 

 取り敢えずリビング的なところのテーブルを囲むように椅子があったので着席。くーちゃんは一旦奥に引っ込んだかと思うと、タブレット端末とそれを立てかける台を持って戻ってきた。

 

「アレサ様への指示がありますので、ご覧下さい」

 

 ……束さんよくこんなもの用意してる暇あったな……。

 

『挨拶は省略。アレサって言ったね。君のこれからの行動を指示するよ。無視するようであれば死ぬより辛い目に合わせるから』

 

 無機質な機械音声。恐らく束さんが吹き込んだのを英訳したんだろう。まぁ確かに素性は明かせないわな。男で動かせる俺よりもよっぽど束さんの身柄がバレる方が大事件だ。

 

『グラスゴーに独立会社を建てた。君はそこに泊まり込みで勤務すること。業務は万事屋、何でもやりますよってところだね。こちらから依頼主には話を通しておいたから、君のところには不定期に任務が発注されるよ。あと、自ら任意で参加もオーケー。そこは君次第だ。ただ、ミッションにおける故意な事故死は許可されていない。最後まできちんと任務を遂行することだね。こちらからは以上だ』

 

 音声再生が終わり、兎マークのスクリーンセーバーが流れる。部屋に落ちたのは沈黙で、なんとも気不味いものだ。ってくーちゃんいつの間に紅茶なんか用意して1人飲んでるの……。

 

「ふぅ。以上が指示になります。明日からアレサ様はグラスゴー勤務となりますので、きちんと頭に入れておいて下さい」

 

 それと、とくーちゃんがポケットから携帯端末を取り出す。

 

「これを常に所持するようにして下さい。何かありましたら連絡を」

 

 多分、GPS機能付き。電波が視える。

 アレサもそれをわかっているのか無言で受け取ってポケットにしまいこんだ。

 

「今夜はホテルを取ってありますのでそこで休憩なさって下さい。また明朝になりましたらISをお返ししますので、それから出社という流れになります」

 

 と、そこでジジジ、とノイズがタブレット端末から流れる。

 

『復唱せよ』

 

 ノイズだらけの女性の音声。束さん、にしちゃあ凝った演出だな……。

 

『我、主が道具に成り落ちる』

「…………………………………………、」

『復唱せよ。我、主が道具に成り落ちる』

「……我、主が道具に成り落ちる」

『…………宜しい(GOOD)

 

 ブヅッ、と会話は途切れる。何だろうな、今の。暗示か……?

 

「では最後に、ナノマシン注入を」

「物騒なモンだな」

「これでやってこいと言われまして」

 

 くーちゃんが取り出したのは透き通ったエメラルド色の液体が入った太い注射器。背筋に寒気が走る。あんなん刺されたくねぇや。

 今からやられるアレサは無抵抗……ん?

 

「暴れられると少々面倒でしたので、暗示をかけました。幻覚を見せているのでしばらくは動けません」

 

 アレサが虚ろな目のままぼーっと虚空を見上げていた。まさかここまで暗示が有効とはね……。容赦なく首筋から針を刺しナノマシンを注入。うへぇ、痛そう。

 

「無理矢理自殺を図ろうとすれば遠隔操作により動きを止める代物です。バイタルも全てチェックされていますので、嘘も全て筒抜け。下手な真似は止めておくことを推奨致します」

 

 アレサの耳元でそっとくーちゃんが告げて針を抜く。ツー、と血が流れているが、ものの2秒で止まって、更に傷口もあっさり塞がった。

 

「……治癒させるナノマシンか?」

「はい。勝手に死なれると困る、とのことで作られたそうですよ。死にかけても強制的に治すので、簡単には死なせないと」

 

 ……死にたがりからすれば地獄、なのかもな……。

 ちょっくら苦い顔をしながらしばらく待つと不意にハッとアレサが立ち上がりキョロキョロと部屋を見渡した。幻覚が解けたってことだろうか。

 

「ではお兄様、私はアレサ様をホテルを案内して参りますので。1時間程で帰ってこれると思います」

「おう、車には気ぃ付けてな。いってらっしゃい。アレサもまたその内な」

「……フンッ」

 

 あ、反応返ってきた。やったぜ。半歩近付いた気がする。気がするだけだが。

 

 玄関で2人を見送った後は家内のクローゼットを開けて地下に続く階段を伝い束さんの秘密ラボへ。中の通路は遠く伸びていて本命まで行くのは苦労する。万が一の侵入経路もここにしかないので迎撃も容易い。

 俺はと言えば迷いなく反重力挙動で1人飛翔しながら奥へ向かう。2分程で少し開けた場所へ到着、飛翔を終えて部屋の中央にある端末に歩み寄る。1から9までのキーが用意された、束さんの技術からすれば大いに古い暗証番号を打ち込むタイプのものだが、実はこれダミーだったりする。ただし操作しない限り開くことはない。

 元々端末に暗証番号なんぞ設定などされておらず、これが認証するのは俺やくーちゃん等の生体認証なのだ。暗証番号を打っているだけに見えて実は指を押し付けることで認証しているだから、中々考えものである。

 適当な番号を気分で打ってしばらくすれば部屋の1角が開くので、そこが本命の研究施設への道である。因みに別の人が操作すると別の道が開く仕様だったり。ハッキングで暗証番号を盗み出す場合も当たり前なように適当な番号でしかなく、どうあがいてもここへ侵入するのは俺辺りを騙さないと無理な訳だ。まぁ俺はと言えば他人をここまで通すことなど信頼していても絶対にないんだけどね。

 

「ただいまー、帰りましたよーっと」

「おかえりー」

 

 おお、久々に見たら新鮮だなと思ったらエプロンですか。無難にウサギマークとは束さんらしい。

 

「して束さん、もしかしなくても料理中?」

「まぁね。練習をかねて腕を上げたのだよっ」

 

 どこからともなく調理器具を出して両手の指に挟み、某麻婆神父やら某再生者神父みたいなポーズを取るドヤ顔の束さん。あれ、例えが神父しか出なかったぞ……。

 

「くーちゃんが何も言わないのならもう安心さね。いやはや楽しみ」

「因みに夕飯はくーちゃんのリクエストでチーズインハンバーグ」

「可愛いな」

「でしょ」

 

 くーちゃんの為に頑張ったんだよー、と顔を綻ばせる。娘の頼みには弱いようだ。かくいう俺もくーちゃんに言われたら断れんわ。何でか? 上目使いされてみろ。断ったら天罰下るぞ。

 

「そうだ、ペロちゃんも手伝ってね」

「言われなくとも。ついでに監督してやろう」

「お手柔らかにねぇ」

 

 まずは、手洗ってからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2章分全部書き終わったので残り3話程を隔日で更新予定。
その後に2章の登場人物紹介書いて、更には会長√の続きかな。また3話分くらいを予定。
いつも通りグダグダが続きますがご容赦願います。
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