ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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ペロちゃん「しまった、スマホの充電器が無い」

 ご機嫌よう、未だに名称がペロちゃんな俺です。

 束さんラボラトリーに来てから何日か経った。長らく陽の光を見ていないので時間がわからない。一応規則的に就寝したりしているので多分体内時計は狂っていない。そう信じたい。

 

「だるっ」

 

 研究所内のお掃除を初日からずっとやっているのだが、全く終わる気がしない。

 メインラボを掃除し終えるのに丸々二日を費やした。服は全部束さんに任せた。主に初日に下着騒ぎを起こしたのが原因だ。

 二日目の日にはどこから湧いたのか、Gがいた。

 

 

 

 

 

『ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??』

『何事?』

『ペロちゃんッ、G!! GだよG!! Help me!! ハリーハリーハリー!!』

『知らんがな。てか束さんアンタが掃除しなかったのが悪いんでしょ』

『でもぉ……』

『デモもストもないでしょ。てか科学者なら何か作って対処すればええやない』

『その作る場所にいるんだよぅ』

『じゃあ掃除機で吸い取ってぽいしてきなさい』

『気持ち悪い』

『いい加減にしろよ!?』

 

 

 

 

 

 色々あった。取り敢えず、色々あった。「一匹だけだったからお願い」と言われ一緒に様子見に行ったら何故か数十匹に膨れ上がってわさわさしていたのは思い出したくない。束さんがグレポンしてた。お陰で掃除場所が増えた。拳骨落とした俺は悪くない。

 尚現在は廊下を掃除中。ここにもまたたまに埃をかぶったガラクタが転がってる。拡張領域(パススロット)を装備してもらった俺はそこから大容量不燃ゴミ箱を実体化させて適当にぽいぽいと中に入れていく。埃は自動的にル●バがしてくれる。いいよね●ンバ。俺もちょっと欲しかった。

 しかし一人だけの研究所なのに無駄に広い。何故だ。

 

『それはだね、ゴミが増えたら別のところに移るを繰り返したからだよ』

「胸張って言うことじゃねーよ」

 

 豊満な胸はたっぷり堪能させてもらいますがね。

 

「てかもうここはしなくて良いんじゃないかと思えてきた」

『ぶっちゃけそこまでしなくて良いのに。そこもう行かないし』

「先に言えよー」

『いやぁ、一生懸命掃除する姿見てたら止めるのも勿体なくてねー』

「本音は?」

『いい小間使いだと――――あ』

「オーケー、いつものラボだな? 待ってろ」

 

 アイツとっちめてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やぁペロちゃん。お仕事ご苦労様だよー。あはははははは」

「やぁ束さん。しっかり待っていてくれて俺も嬉しいよ」

 

 俺はニコニコ。束さんはアセアセ。よく立場をわかっていらっしゃる。

 

「さて……。鉄拳制裁ィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」

「甘いっ」

「そっちがな!!」

 

 フェイント入れたって俺には見えるッ。

 

「危なッ!! 何すんのさッ!!」

「おや、いい小間使いと言ったのはどこのどいつかなぁ?」

「ひゅー、ひゅー」

「ここまで口笛が下手な奴人生で初めて見たわ」

「なんだとぅ」

「動きが止まってるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

「よっ、ほっ」

 

 タンッ、タンッ、と軽快なステップで避けていく束さん。ぬぅ、中々当たらない。

 

「やるなっ、束さん!!」

「ペロちゃんこそ、束さん結構ギリギリだよッ」

 

 そう見えない。けど追い詰めているのは確かだ。

 

「かかったな」

「へ? うわっ」

 

 足元にゴミ袋。予期せぬ障害物にバランスを崩した束さんに肉薄し、

 

「チェスト」

「いたっ」

 

 チョップ一発。ただしつむじ狙い。

 

「流石に小間使いは俺さん傷付いたぞ。もっとマシな言い方してくれ」

「燕尾服きたら執事って言ってあげる」

 

 どうやらまだ頭のマッサージが足りないらしい。今日はつむじを重点的にやろうか。

 

「冗談、イッツジョーク!!」

「次は弁解させんぞ?」

「イエッサー」

 

 よろしい。

 

「束さんゴミ出し当番な。俺は腹減ったから昼飯作る」

「ってことは掃除終わったの?」

「終わらなきゃこんな遊びやっとらんわ」

「よーし。今日のランチは?」

「チャーハン」

「それ一昨日もじゃなかった?」

「だったら食材買ってこいよぉ!! あり合わせで作ってんだからさぁ!!」

 

 因みに昨日は焼きそばだった。明日も食材が更新されない限りそのつもりである。

 

「わかった、じゃあ今日買い物に出よう」

「おー」

「だがペロちゃんテメーはダメだ」

「ホワイ?」

「かくしか」

「まるうま」

「という訳」

「納得いかねぇなぁ。俺ってばいつになれば外出れるん?」

「んー、明々後日(しあさって)?」

 

 案外もうすぐだった件について。

 

「まぁともかく先ずはランチだよ」

「へいへい。さっさとゴミ捨てて手洗ってきて下さいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中々に良い出来栄えのチャーハンを食べて午後。今気づいたがISコアで時計アプリをネットから落とせば時間なんて簡単に把握できる話だった。不覚。

 現在束さんは買い出し。俺は相変わらず待機。空飛ぶのも飽きたので部屋でひたすらゴロゴロしてはいるものの、やることがなさ過ぎて溶けそう。ISのコアってワンセグ的な機能ないのかな? と思ってたらテレビ電波拾えた。何これ超便利。

 しかしよくよく考えてみると今は平日の昼間。若き少年が見て面白むようなチャンネルがない。地デジしかないのか。BSとかス●パーとか見たい。W●WOWが一番暇潰せるんだよなぁ。

 スマホは手元にあるが当然電波が拾えない上に、機種が別世界だから通信できる相手がいない。よってゲームもできない。●ズドラ? ゴメン知ってるけど手は出してない。

 

「ひーまーだぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 

 漫画とか無いんかな、この施設。束さん本読まなそうなんだけどなぁ、探すだけ探してみようか。

 

 

 

 しばし施設内を歩き回ること10分。ここまでの収穫ゼロ。なんてこったい。

 どうしましょーどうしましょー。何かイベントでも起きてくれれば暇しないで済むのになー。

 

 なんて、思っていたら。

 

「ぬ?」

 

 脳内に不意に思い描かれるレーダー。その中に、急速に近づいてくる影が見えた。何これ。時速……1000キロオーバー!? え、何、敵?

 何回か聞かされていたが束さんは逃亡隠居中の身であり、結構身辺状況には敏感だ。だからこそ俺も外出を禁止されている訳だし、お世話になっているから約束を破るようなことはしていない。

 しかし、こういう場合はどうすれば良いんだろうか。明らかにここ目掛けて飛んできてるUMA。ただ単に通り過ぎるだけという可能性も無きにしも非ずと言ったところだが、体内コアがその答えを否定する。束さんがそうそう簡単に見つけられるような場所にこんな巨大な研究施設を作るはずがない。

 

「束さん束さん、緊急事態だ」

『はいはい、どったの?』

「何か高速で飛来する影一つ発見。レーダーだけど。時速1000と、200キロオーバー。多分研究所狙いだと思われる」

『あー、もう来ちゃったのか……』

 

 聞こえてくる束さんの声は落胆というよりも予想はしてた、という感じ。

 

「どうする? これって反撃的なのした方が良か?」

『いや、ペロちゃんは一応ISコアを停止させて研究所最奥部に隠れて。電子機器一才使えなくなるけどそこなら安全だし。それにペロちゃんまだ武装積んでないし、制圧されて捕まるのがオチでしょ』

 

 確かに、それはそうだ。俺は結局ちょっと飛べるだけの非力な人間と変わらない訳だし。

 

『ペロちゃんはもう認証してあるから取り敢えずひたすら地下に潜って。束さんもすぐに戻るから』

「あいさ、りょーかい」

 

 取り敢えず、やる事ができた。望んでないけど、ウダウダして捕まるよりはまだマシだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、イーリス・コーリングが上層部より依頼を受けて飛んだ先は、アラスカ南沿岸部。愛機ファング・クエイクを駆りマッハ1で飛行中。目指す場所は、アラスカ州に属するコードバと呼ばれる港町だ。因みにこの前調べて初めて名前を聞いた。てか、そんなド田舎の情報とか知らねーっつの。そもそも私が属する基地はアラスカには無い。地理はイマイチわからねーけど、それは確かだ。知る必要が無いと思ってたしな。

 それより、何故私がこんな場所へ一人向かっているのか。というのも、上層部がこの付近でISコアの反応を傍受したとか何とか。国が保有するISはきちんと居場所も全部わかってるから、今回の反応は国のものとは別。だとすれば国外のISの可能性が高い。確証は無いが、もし国内で国外勢力に好き勝手動かれてはたまったモンじゃねぇだろうなというのは予測がつくし、何よりISだ。所属不明の国家戦力の一つが自由に動かれちゃ、何か工作でもしてるんじゃないかと疑うのが普通。そんな訳で私がわざわざ無駄に寒い空を飛んでいるということ。IS保護機能のおかげで寒さは何ともないが、今の平均気温は上空なのも相まって氷点下10度以下だと。こりゃエネルギー切れたら凍死確定だな。

 

「おっ」

 

 ようやく雲の切れ間から眼下に小さく町が見えた。ISのナビゲーションも示す通り、そこがコードバだ。

 辺境の地だからどんだけ田舎かと思っていたが、本当に予想通り田舎だった。まず人がいない。閑散とした道路がそれをよく物語っている。

 一先ず遠方から徐々に高度を落とす。一応国内だが機密行動中、派手な動きは出来ない。

 今回はレーダーやセンサーを使ってのIS探索。中々に骨が折れそうだが、給料が出る以上やるっきゃない。それに元々は存在しなかった緊急依頼なだけに報酬も上乗せだ。これは嫌でも成功させておきたい。失敗すれば全部パァだけど。

 幸いにもまだISの反応はある。傍受できるデータを拾ってデータベースと照合するが、バンク内に該当するデータはナシ。世界に開示されているISでもないとなると、もしかしたら軍事関係か?

 一度町をぐるっと一周旋回して様子を見るが軍事関係者の姿は見えなかった。政府からだいぶ離れているのもあって連携がしにくいのだろうか。

 そんなことはさておき、町中に危険が見られなかったので本命へ。海沿いから奥地へ入っていく。

 

「あ、消えた」

 

 が、その途中でISの反応が潰えた。気付かれたのか? いや、多分気付かれた。今の今まで、ISの反応があった当初からずっと隠す気も無かったのに、私が近づいたらコレだ。

 一瞬罠かと思ったが、しかしここで引き返すわけにもいかない。

 

「ナタル、今いいか?」

『なぁに、イーリ』

 

 個別間秘匿通信(プライベート・チャンネル)で呼び出した相手は同じ軍に属するナターシャ・ファイルスだ。

 

「現在コードバの町上空だが、未確認ISの反応が消えた。恐らくこっちの接近に気付かれた」

『ちょっと待って……。イーリのいるところ、普通のハイパーセンサーじゃ感知されないはずでしょ?』

「ああ、私は衛星とかの補助があるから把握出来るが、向こうは無理な筈だ」

『それもそうよね……わかった、上に報告しておく』

「頼んだ」

 

 通信が切れる。援軍という考えも一瞬浮かんだが却下。まず基地から飛び立っているようでは間に合わない。元々私一人に出された依頼だし、上層部も解決できると踏んでの事だったのだろう。しかし、もしかしたら、相手は私より性能が上の可能性も否めない。仮想敵は衛星等の特殊電波を受信していないのは確認済み。そうなればIS自身の性能だけでこちらを感知した恐れがある。

 

「逃げられる前に仕留めるか」

 

 もう気付かれたと見て良いだろう。私の中ではもう結論は出た。隠す必要は無いからこそ、全力でスラスターを噴かして反応が消えた地点へ急行する。

 

 

 

「ここ、か?」

 

 最終反応消失点の真上に来たが、そこは山の中の原生林。怪しいものは見当たらないし、人工的に何かが施された跡も無い。

 

 ってことは、

 

「地下か!!」

 

 地下施設という考えが真っ先に浮かんだ。確かに地面の下なら隠れやすい。

 

「自分から逃げ道塞ぐたぁバカだな」

 

 地下は有限だ。必ずどこかで行き詰まる。そうなったら後はじわじわと追い詰めればそれで良い。

 

 視線を彷徨わせていると、剥き出しの岩肌に洞窟を発見。近付いてみると、入口には足跡があった。最近ついたもので間違いない。

 

「っしゃぁ、ビンゴォ!!」

 

 後はただISを捕獲、尋問でミッションコンプリート。

 依頼を達成すべく、私は早速洞窟内に体を滑り込ませて突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

束さん
「これが、束さんの全力全開!!」

ペロちゃん
「それ以上いけない」



     *      *
  *     +  うそです
    n ∧__∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
     Y     Y    *
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