ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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できちゃったのでさっさと投稿。短いけど許してちょ


予定調和に向けて

 ――――ハワイから米軍特殊部隊の一部が秘密裏に出撃しようとしている。

 

 くーちゃんから連絡を受けて俺は日本への帰路を変更、Uターンして再び太平洋ど真ん中へ向けて超音速飛行中である。この景色にもすっかり慣れてしまい、そろそろ脳の処理パターン変わってるんじゃないかと戦慄してる。

 

『くーちゃん、例の学園の子達はどう?』

『はい。現在織斑一夏様並びに篠ノ之箒様が「銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)」へ接触を開始しました。戦況は――――福音に傾いているかと』

『束さんも中々、容赦ないねェ。彼らにも、彼女にも』

『そうですね。あの機動はお兄様を模倣した超精密機動、「白銀の鐘(シルバー・ベル)」が無ければ現行のISでは不可能でしょう』

 

 ミリ単位の超高速機動なんてそれこそトランスオートじゃ不可能だ。ISの意志は搭乗者の安全を最優先に行うから無茶な機動はさせない。反してマニュアルなら全て自分の思いのまま、搭乗者への負担は無視して稼働できる。

 

『そんじゃあこれより再び戦闘領域へ突入する。戦力を一掃後領域を離脱、帰還して合流だ』

『了解しました。御武運を』

 

 ハワイ諸島が見えた。目標は諸島海底付近から出ようとしている特殊部隊。ISが配備されている訳ではないので楽に終わるだろう。両手にライフルを展開(コール)、構えて一気に突入する。

 相手は潜水艦らしく海底に設けられたドックから出入りしているらしい。センサー類の感度は悪くなるが海面に突っ込んで入口近くまで進む。丁度岩肌が割れて奥に人工物が見え始めた。さて、どうやって追い返してやろうかね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地図にない基地(イレイズド)の管制室は慌ただしさに包まれていた。

 稼働テスト中の『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が突然外部からのハッキングにより暴走したかと思えば軍の制御下を離れて日本へ。『ファング・クエイク』を事態収集の為に派遣するも途中で何者かの干渉により撃墜されたとのことだ。更に『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』は日本付近の太平洋上にて目下IS学園の専用機達と戦闘中だと言う。

 現状情報は公にされていないが世間一般から考えれば大事だ。世界的テロと言っても過言ではないのかもしれない。

 

『こちらβ分隊、タイガー1回収完了』

「ターゲットはどうした!?」

『申し訳ありません、拘束は不可能と判断しました』

 

 つまりは取り逃がしたということだ。オペレーターの女性が「Shit!!」と台を叩く。激しい怒りが彼女を内側から狂わせていた。何もかもが想定外、対処できる範疇を超えてしまっているその苛立ちに歯噛みする。

 

「ハワイの特殊部隊はどうした!?」

「現在白鯨が出撃したとの情報が入りました」

 

 女性の怒鳴り声にインカムを付けた若い青年が冷静に返答する。ハワイに常駐する特殊部隊もまたこの地図にない基地(イレイズド)の傘下にあるものだ。恐らく『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に最も早く接触できる部隊となるだろう。

 

「各部隊に通達、急ぎ情報閉鎖に移れ!! 少しでも漏らしてみろ、ソイツは即刻首を飛ばしてやる!!」

 

 怒号に急かされ皆々が通信機に噛り付く。彼女の言う事は嘘でも冗談でもなく本気(マジ)だ。情報戦が命であるこの時代、アメリカの弱味を握られでもしたら未来が危うい。事態は考えている以上に深刻なモノであるのだ。

 

「っ、緊急入電です!!」

「何事だッ!!」

「出撃した部隊が妨害に遭い作戦行動を開始出来ないとのこと!! 恐らくβ分隊が接敵したISと同じであると思われます!!」

「なッ……!?」

 

 通信手の言葉にオペレーターは言葉を失い絶句するしかなかった。そんなバカなことが有り得る筈がないだろうと、何故そんな先程までアメリカ本土の目と鼻の先に居たISが僅かな時間でハワイ諸島にいると言うのか。

 

 prrrrrrr――――、

 

「ヒッ……!?」

 

 不意に、オペレーターの手元にあった内線が鳴る。滅多に鳴る事のない呼び出し音に、彼女は大きく肩を震わせた。受話器のすぐ近くの小さなモニターには発信元が表示されており、その文字は確かに『DoD(アメリカ国防総省)』とあった。シン、と、管制室が静寂に包まれコール音だけが嫌にこだまする中、彼女は震える体を必死に抑え付けて受話器を手に取る。

 

「は、はい、こちら、地図にない基地(イレイズド)管制室……、」

『――――――――やぁ、アスクウィス君』

 

 受話器越しの、少し甲高い男の声を聴いて彼女の顔がさっと青白くなったのを管制室の彼らは見逃さなかった。カタカタと体が震え、焦点も合わず虚空を見上げ噛み合わない歯をカチカチと鳴らす彼女の姿は先程まで威勢を張っていたオペレーターではなく、恐怖に震える女性でしかなかった。

 電話の相手は国防総省の長官の補佐を務める秘書官の男。米国の戦力を担う軍を纏め上げる長の右腕と言われる人物だ。

 

『聞いたよ。我が国は今重大な事態に陥っているとね』

 

 はい、と声が出なかった。それを認めてしまっていいのかという葛藤。そして、内側に渦巻く不安が喉を締め付け、ひゅうという空気しか吐き出させてくれなかった。

 

『情報の統制は全てこちらが処理しよう。君は事態の収拾を急ぎたまえ。それと、明日〇一〇〇までに本庁へ出頭するように。勿論、正装でな』

「さ、Sir……」

『以上だ。良い働きを期待しているよ』

 

 ツー、ツーとスピーカーから吐き出される無機質な音が遠ざかる。震えの消えない手で何とか受話器を置いた彼女は、生気の抜けた目で崩れ落ちるように椅子に腰を落とした。

 上司の直々の呼び出し。もう何が彼女を待っているのか、わかってしまった。その絶望が彼女の精神を蝕み、崩壊させた。

 

「…………武装使用を、許可する……」

 

 苦し紛れの掠れそうな声を絞り出し、告げる。この先にもう明るい未来は無い。気を失いそうな程一瞬で憔悴した彼女に声をかけれる者は誰一人としていなかったのである。




ガバガバな裏をこうやって補っちゃうよ~。
原作あんなにあっさりしてたけどそんな穏便に事が片付く筈がないんです。
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