ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話 作:いつのせキノン
てかそれよりもこんなに早く投稿できてることの方がまさかだよ。
(ギャグの保証はないです)
電脳ダイブ。人間の意識を電子化し情報として機械へ潜り込ませる技術だ。
現状の一般世間ではアラスカ条約によって規制がなされており実行は禁止されているし、というかそもそもその技術も理論上でしか証明が成されておらず実証結果と言うのが出回っていない。
まぁ俺には全く関係のない話なんだけど。
「こちらペロちゃん、特に問題なーし」
『あいあい、シグナル確認したよん。くーちゃんは?』
「今はまだ見えねぇなぁ。まずは合流からか」
『そーだねー。取り敢えずシグナル見付け次第ナビゲーションはするからそれまで適当に捜し回っててちょーだいな』
「了解よ」
で、俺は今頃どこにいるのか。辺りを見渡すと草1つすら生えていないサバンナだ。不気味なくらいに凹凸もなく、段差や丘すらない。地平線まで遮蔽物が文字通り一切ないのだ。
……適当に捜すってちょっと無理あるくね? これ人いたらすぐに気付くよ。
「前言撤回だ、束さん。視界にくーちゃんが入らない」
『こっちからだとそっちの状況が見えないんだけどどんな感じなの?』
「簡単に言うとねぇ……サバンナ。木も草もない枯れ果てた台地って感じ。山も谷もないから他に人がいればすぐにわかるんだが……」
と、その言葉に束さんは『うっそぉん……』と困惑した様子。こりゃ結構不味いかもねぇ。
この空間は所謂電脳空間という奴で、俺はちーちゃんさんと束さんからのお願いによってIS『暮桜』の状態を内側から把握するために電脳ダイブを敢行した訳だ。前の話を参照すると俺のトラウマが紹介されてる訳だが、今回は下手な情報は入ってこないから安心だ。何せ『暮桜』のコア内部に踏み込む訳だから外部からの情報は一切合財遮断される。
そんな訳だから安心してダイブしたは良いものの、付添で一緒に来た筈のくーちゃんが見当たらぬ。現実世界と違ってそこまで自由じゃないここだと『黒鍵』の波長をキャッチすることすらできないのだ。
「うーん、どうにかしないとなぁ……くーちゃーん!! 出ておいでー!! って言って出てきてくれりゃ苦労しないんだがなぁ」
くーちゃんも同じ生体同期だし機能も同等なのを持ってたから行けるって思ってたけど……前途多難って感じ。
『何かペロちゃんのいるところとくーちゃんのいるところが全く別な気がするなぁ。階層が違うのかな?』
「俺だけ浅い階層でくーちゃんが深いところ入っちゃったとか?」
『かもしれないね、くーちゃんのシグナルが未だにキャッチできてないし……ペロちゃん、ちょっと急いで捜してもらえない? こっちもどうにかしてやってみる』
「ほいほい。迷子捜しね」
くーちゃんも充分なくらいに事態には冷静に対処できるっつってもまだ子供だ。いきなり見ず知らずのところに放り投げられたら精神に負担がかかりすぎる。ここは先輩として兄として早く見つけてやらねば……。
取り敢えず動かないことには始まらないし、歩いて探そうかね。
と、1歩を踏み出した瞬間。
ピシッ。
と何かヒビが入ったような音が足元から聴こえた。あー、嫌な予感しかしない。
そーっと視線を下に。すると、足元の土らしき地面にヒビが刻まれていた。
「た、束さーん……」
『どったのペロちゃん』
「地雷とか、落とし穴とか、多分そんな感じの何かがね……俺の足元に……」
『多分ウィルスバスターとかじゃないの? あんまり刺激しないように迂回してね』
「時既にお寿司」
『えっ』
直後、パリーンとガラスが割れるようにして俺の足元に大きな穴が――――マジで!?
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ワームホールのデジャヴがああああああぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
『ペロちゃぁぁぁぁん!?』
束さんの声が遠くなる。真っ暗で真っ白な空間に落ちて行く。目がチカチカする。意識がずっと遠くn
ハッ!?
「……寝てた……」
あ、俺無事なのか。良かった。手足の感覚もあるし大した痛みも無し。電子世界で死ぬことはないのか、良かった良かった……。
「
「ぬ?」
突然の頭上からの声。眩しさに瞑っていた目を開けると、俺の顔を覗き込む女の人……。
長い長い髪。多分自分の身長より長い。素直にすごい。薄い桜色の髪でサラッサラしてる。
どこか病弱そうな印象を受ける白い肌と淡い紅の瞳が俺を見ていた。
「あー……どちら様?」
「
「いや、わかってたら今こんな質問しないから……あ、あと顔から手を離していただけると有難い……」
「?」
いや、首傾げんなし。
今の状況、どうやら彼女に膝枕をされた状態で顔をペタペタと無遠慮に触られてる。いや、美人さんにされるなら満更でもないけど見ず知らずの場所でいきなりされるのはね?
「
何故かちょっと不機嫌になったぷぅと頬を膨らませ、余計に俺の頬をぷにぷにと弄る。擽ったいって……!!
……ん? ちょっと待て、久々?
「待ってくれ。俺とアンタは初対面な筈だ」
「初対面……?
「忘れてるも何も初対面だからなぁ…………ってぇ、何で泣くのさ!?」
地雷を見事に踏み抜いたらしく、その子が突然ポロポロ涙を流し始めた。勘弁してくれぇ……。
「ま、待て、泣くんじゃない君!! 取り敢えず状況整理の為に話をしてからにしようじゃないか!! そうすれば俺も思い出すかもしれないし!?」
なっ、なッ!? と頑張って説得。ぐずらせていたが「
周りの風景ってのは酷く喉かだ。緩やかな丘の続く草原。あちらこちらに巨大な桜が咲き誇り花を散らす。
俺と彼女は4畳程度の畳の上座って向かい合う。目の前にはお茶と三食団子。彼女が小さな口で団子をかじり、もむもむと薄く顔を綻ばせて食べていた。
彼女の装いというのは不思議だ。体のラインが出てるようなシルクドレス、何故かお腹の部分だけオープンになっていて目のやり場に困ると言うもの。肩には桜色の羽織を掛けていた。
「……落ち着いたけ?」
「
「いいんさ。何か俺にも責任の一端はあるっぽいし」
あぐらで失礼しながら、お茶を一杯。いつの間に出て来たかはわからんが、取り敢えず美味い。
「さってと。取り敢えず俺から先に色々確認させてくれ」
思い出話はそれからにしよう、と一旦区切り、彼女が物悲しそうに俯きつつ頷いたのを見てから口を開いた。
「アンタが『暮桜』で間違いないな?」
彼女が1つ、頷く。
『暮桜』のコア、その中央処理領域には“意識”が存在する。ダイブ前に束さんから聞いた話だ。
無論のことISのコアには全て“意識”が宿るから、くーちゃんの『黒鍵』や織斑君の『白式』なども例外はないと言われている。
「よし。それで本題なんだが、俺がここに来たのはアンタの搭乗者であるちーちゃんさんとかに『暮桜』の状態を確認してきてほしいと言われたからだ。聞くによると、アンタは過去にちーちゃんさんを庇ってISの機能を全て停止させた。以降外部からの操作には一切応じず、またちーちゃんさんの起動指示にも答えなかった」
言った通り、約10年近く前か。束さんが1から作った『暮桜』は、当時日本のモンド・グロッソ国家代表だったちーちゃんさんの専用機で、その時のある件以降稼働を止めたと聴いている。詳しい話は当人達からは聴いてないし、何やらあまり触れてほしそうになかったので聴く気もない。いつか話してくれるならそれまで待つし、話す気がないならそれっきりだ。俺は束さんに言われたことをしっかり遂行するだけである。
「……
「ふぅん。ってなるとあれか、今は起動したくてもできない状態である、と?」
「
ははぁ、なるほど。じゃあ外部から何かしらアプローチを仕掛けない限り『暮桜』は一生動かぬ置物な訳か。
「状況は理解した。で、これは俺からの個人的な質問なんだけど……また起動したいって希望はあるか?」
「
「うむ、あいわかった。束さんに相談してみよう。また情報があり次第君には伝えに来られるだろうし」
「……
おぉ、そう言えば。有耶無耶にしかけたけどそう言えばあったねぇ俺の知らない間にあったらしい話が。
「貴方が
そう言えばペロちゃんのISに意識がないよーって言ってるけどその理由については追々説明します。