ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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ザ・説明回。あと3章はこれにて終了です。


人間卒業したら剛力羅になるって本当ですか?(CV.能登)

 

 羊羹は練ようかんより水ようかん派。どうも、ペロちゃんです。

 

 突然なんだが束さんに上着をとられた。

 

「えっち!!」

「男が言ったって嬉しくないし需要ないよッ!!」

 

 結果出るまでわかんないだろ!! 見たくもないけど!!

 

「てか束さんいきなり身ぐるみ剥ぎに来るとか犯罪者だよ。異議ありだよ」

 

 織斑家の空き部屋を堂々使って居候する我ら篠ノ之一行。自前のエアコンで消費電力ゼロで部屋を涼しくして快適空間でのんびりしてたら、投影キーボードとディスプレイに向かってた束さんが急に難しい顔で唸り始めて、かと思えば突然奇行に走るもんだから混乱する他ない。

 

「暑さで頭がやられてしまわれたのですか?」

「くーちゃんお願いだから束さんの精神ナチュラルに抉るのやめて……」

 

 悪意のない罵倒が束さんのライフにクリティカル判定。先制攻撃はつらい。

 

「上着返しておくれ。冷房効いてるから流石に寒い」

被膜装甲(スキンバリア)でどうとでもなるでしょ……。ってそうじゃないよ。大事な話!!」

「マジ? 俺の服脱がすほど?」

「説明の関係上……って言うか確認の必要上致し方ないの!!」

「……(コラテラル・ダメージ)……」

 

 くーちゃんが何か言ってるがキコエナーイ。確認目的のための致し方のない犠牲だとォ?

 

「本題に切り込む訳なんだけどさ。ペロちゃん心臓動いてる?」

「なんでいきなり俺の生死判定なのさ!?」

 

 俺はいつからゾンビになった……? 俺はゾンビですか?

 

「いや、たまたまバイタルチェック欄開いちゃったんだけど、そしたらさ……ペロちゃんの心拍数ゼロってなってるんだもん……」

「冗談はよし子ちゃんだぜ束さん」

「古っ!!」

 

 いやしかし心臓動いてないっていくらなんでも…………、

 

「あ」

「……ど、どう?」

「動いてない」

「ファーーーーーーーーーーー」

 

 うせやろ……。

 

「お兄様ついに不死身ですか……」

「どこの漫画のラスボスだよ。俺ISと融合しただけじゃん」

「うへぇぁ……」

「あ、束様の頭がパンクしてます」

「束さーん、起きてー、一番混乱してるの俺だから」

 

 口から煙を出す器用な束さん。今の俺もそうだけど束さんも充分可笑しいよ。

 

「束さんの思い描いてた設計思想と違う……」

「じゃあ本来の仕様は?」

「宇宙との行き来が楽になればいいって思ったし、無駄な訓練なくせればいいと思ったの。だったら人型にした方が便利だろうし、だからIS作ったんだ。……でもさ」

「でも?」

「何か剣とか銃器持たせた方が見た目かっこよくね? ってなって持たせた結果がIS軍事転用の原因」

「束さん前者はグッジョブだけど後半がアレだな」

 

 ロマンが原因だったか……。まぁ人間だれでも考えそうではある。今のIS学園みたいにスポーツに留めておけば良かったものを……。

 

「結局宇宙空間での活動を前提とした訳だから人間のバイタルも安定するようには最善を尽くしたつもり。だからくーちゃんの生命維持装置としてもISは機能するんだ」

「しかしだ。俺の今みたいなことは全く想定外だと?」

「そうだねぇ。元来男女両用で開発してたISがペロちゃんで反応したのはまだ良かったんだけど、こうなってくるとペロちゃんだけが本当に特別になっちゃうよねぇ」

 

 なんでだー、とうつ伏せになってぐでる束さん。幻覚なのかスライムみたいにぺっちゃんこになり始めてない?

 

 不思議なことに俺は今まで通りだ。コアを体内に取り込んだ時から何も変わりはない。強いて言えば筋肉付きすぎたくらい。

 ただ、自分でも脈拍が全くないのはわかる。手首もこめかみも首元も。体温は保たれてるのに、不思議な感覚だ。

 

 ……俺、腐ってない? 大丈夫なの?

 

「……束さん、くーちゃん。俺どこも腐ってないよね?」

「今のところ腐敗臭のようなものはしませんが」

「臭かったらとっくに言ってる、と言うかバイタルチェックの時点で気付くよ」

 

 まだゾンビじゃない。良かった。チェーンソー持って魔装少女やるところだった。流石に女装は嫌だぞ俺。

 

「ペロちゃん自身は特に変わりないんでしょ? ならまぁ大丈夫だよ。原因究明なら後でするし」

 

 と束さん。確かに別段困ることはない。実質人間止めてるけど。

 

「コアの解析は進まないしペロちゃんは何かもうすごいことになってるし……ちーちゃんの『暮桜』早く直させてほしーうぁー」

 

 部屋でゴロゴロと転がる束さん。埃舞うからやめなさい。

 で、つまりわかんないこととか一旦忘れて作業に没頭したいと。

 

「束様が連絡あるまで律儀に待つと言うのも珍しいですね」

「だってちーちゃん五月蠅いんだもん。早く言ってくれればいいのにね」

「『暮桜』直してどうするん?」

「んーどうしよっかねぇ。色々予定変更してたら随分と遠回りしてるから軌道修正も難しいし。最終目標はISの開放なんだけど」

 

 ISの開放、とな?

 

「束さんIS作るの色々と頑張ってたんだけど、コア作るので手一杯で外装(フレーム)は全部外に丸投げしたんだよね。で、適当にコアをばら撒いてったんだけど……」

「あぁ、軍事転用ね」

「IS委員会乗り込んでアラスカ条約作ったのはいいけど誰も言うこと聞かないし、ってなるとどうにかしてまたIS回収し直したいんだけど、これがまた骨が折れる作業でね」

 

 ま、返せって言われてもそう簡単に返すとも思えんわ。

 

「半ば脅す形で取り行ったら盗られましたごめんなさい~だって。いや謝って済む話じゃないっつーのっ」

 

 役立たずって嫌いっ、と束さん。

 

「本当だったら一回IS回収し直して軍事品全部潰してやろうって思ったんだけど、結局ISも散り散りになっちゃって束さん諦めました」

 

 ゴロゴロ転がってくーちゃんの元に行った束さん。そのままくーちゃんの腰に抱き付いた。

 

「しかし、束様はあくまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「まーね。だから何年もかけて寄り道しつつ準備してるのさ。そのためにはちーちゃんの力が必要不可欠なの」

「わざわざ『暮桜』まで直すってことは、つまり戦力と知名度がいるのか」

「そそ。束さんの目的は無理矢理ISを全部回収すること。裏組織とかそういうのも全部ひっくるめてね。ちーちゃんは目を集めるためのシンボルってワケ」

「力業で落としてソイツを回収、ね……。IS狩りってことか」

「あんまり綺麗じゃないけどねぇ。ま、束さんの意向を無視したのが悪いからそれ相応の罰は受けてもらうよ」

 

 束さんは元より宇宙を目指していた。それをねじ曲げる結果になってしまったのが、ISの軍事転用。これを修正するために一度ISを全て手元に戻し、然るべき時に提供したい。これが束さんの本心だ。

 

「しかしISの再度回収には猛反発する国もありそうですね」

「ありそうってよりかはほぼ全部だよ。今更返せないってね。お金出せば売却してくれる? って言っても中々頷いてくれないし」

 

 今やISは世界の軍事バランスそのもの。おかげで元来の兵器群の製造が軒並みストップしてきており、ISを取られればそれこそ国の防衛費が足らなくなるとのこと。

 

「回収するって言ったらIS関係者以外はスゴい喜んでたんだけどね。IS持ちの意見には勝てなかった」

 

 人間、自分の幸せは中々手放したりしないもんだ。ISがなければ今の地位に甘んじれないからこそ、それを失う事を嫌う。わからんでもないが、束さんからしたら迷惑極まりない行為ということだ。

 

「このままじゃ回収するまでに寿命が尽きる。故の強行手段なのさぁ。悪役ってツラいね~」

 

 まぁ確かに、表から見たら束さんは自分でばら蒔いたコアを気分で回収しようとしてる風に見えるんだろう。しかし束さんは敢えてそれに甘んじてる節もある。

 

「戦争、起こりそうですね」

「間違いなく起こるな」

「束さんは起こすつもりだけどね」

「……危険なのでは?」

「だいじょーぶ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。流石に誰かさんが命落とすようなのは処理が面倒だし、束さん責任取れないし取るつもりないから無理かなー」

 

 実にらしい理由である。しかし声音は自信満々、秘策ありってところかね。

 

 どんなのかなー、なんて考えてると、不意にISの個人間秘匿通信(プライベート・チャンネル)に着信。

 どちらさんからかと思ったらアレサだった。直接連絡して来るとは珍しい。

 

「お兄様、アレサ様からですか?」

「ん? おう、そうみたい。何だろうね」

 

 一応直轄管理はくーちゃんなんだが、それをすっ飛ばして俺って言うのはレアケースだ。

 

『ほいよ、久しぶり』

『挨拶は省く。今はまだ日本にいるな?』

 

 相変わらず素っ気ないなぁ……。世間話くらいしてくれてもいいだろうに。ペロちゃん近況気になるねん。

 

『藪から棒だねぇ。いるよ』

『先日の件だが、1人IS学園の講師候補が日本に向かう。念のため護衛を頼みたい』

『俺にってことは忙しいんか』

『別件でな。どちらかを疎かには出来ない』

『了解だ。元から俺のワガママも入ってたしな、良いって事よ』

『では頼んだぞ。搭乗便の記録はすぐに転送する』

 

 通信は手短に切れる。アレサがかなり無駄を嫌う性格なのでこういうのはザラだ。

 と言うかアレサは結構仕事を詰めてやってるらしく中々暇な時間に会えないのが常だったり。

 

「どったのペロちゃん」

「アレサから個人的なお願い」

「あれさ……?」

 

 まだ覚えてないんかい。

 

「あれだよ、万屋やらせてる子」

「…………あー、いたね。すっかり忘れてた」

 

 だと思ったわい。

 

「経営はどんな感じなの?」

「特にこれと言った報告点はありません。可もなく不可もなく、です」

「最初はサボるかと思ってたんだけど予想以上に勤勉だっけね。仕事が恋人みたいな」

「ふーん?」

 

 既に束さん興味をなくしたご様子。くーちゃんに膝枕されながらくーちゃんの髪をいじって遊んでる。俺も膝枕されたい。

 

「で、何の用だったの?」

「要人警護ってとこかな。IS学園に講師が行くから、その護衛兼案内」

 

 既に飛行機の便は出発してイギリスから日本に向かってるらしい。

 

「取り敢えず俺がお迎え行かないとならんみたいだから、上着返して束さん」

「やだって言ったら?」

「束さんの服着てくわ」

「紛うことなき変態のすることだよそれはッ!!」

「それか『篠ノ之束の弱点はG』ってデカデカプリントされた奴をだね」

「やめて!! 返すから!! 嫌がらせされる未来が目に見えてるから!!」

「素直でよろしい」

 

 Tシャツを返してもらいいそいそ着替える。別に代わりの着替えは量子変換してあるから余分にあるけど、洗濯物増えるのも嫌じゃん?

 

「ほんじゃ、ちょいとばかし出掛けてくるわ。『暮桜』の件は大丈夫かね」

「問題ナッシング」

「いざと言うときはクロエがいますので。ご心配には及びませんよ、お兄様」

 

 なら安心だ。俺は俺できっちりやることやっておこう。ではいざ行かん空港。

 

 ……講師の人って美人さんなんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……束様」

「ん? なぁに?」

「お兄様の服、欲しかったんですか?」

「ブフッ!? にゃ、なぜそれをぉっ……!?」

「いえ、返すのを少し渋ったご様子でしたので。素直におっしゃれば良かったのでは、と」

「そ、そそそそんなっ、束さんが変な人に思われるじゃん!?」

「今更では?」

「はぅッ……!?」

「しかし、わからなくはないです。お兄様の匂いは非常に落ち着きますから」

「ぅ、うぅ……読まれてる……」

「えぇ。いつも一緒ですから。何せ、家族です」

「……そうだねぇ」

「ですので服でなくとも束様が直接お兄様に抱擁していただく等の処置を行えば完璧でしょう。帰ってきたら頼んでみてはいかがでしょうか?」

「そ、れは…………こ、心の準備が……」

「……準備、必要ですか?」

「……ちょびっとは……」

「……そのちょびっとで済みますかね……?」

 

 

 

 

 

 




これにて第3章終了という事で、お疲れ様です。読了ありがとうございました。

お前1章書き上げるのに一年半かかるってどんだけだよって言われそうだけど、それはそれということでお許し下さい。何たって忙しい。いやホントに。寝不足で倒れて休まざるを得ず2日も無駄にして絶望する位には。
近況はそんなところ。

本編の話。
ザックリ言うと3章は福音からIS学園夏休み編まで。4章はIS学園組も本格的に絡んで来る予定です。
取り敢えず3章で色々話も動き始めて謎が謎を呼ぶ展開になったかなと個人的には。伏線回収し切れるかどうかは微妙なところ。無理だったら番外とかでその内……って感じ。
他にもペロちゃんと束さんの進展具合等々。甘いお話を書くのは未だに苦手です。見るのはまだ良いんだけれども。2人には早う幸せになってもらいたいね。……私からすると今充分幸せに見えるんだけど。
はてさて進展や如何に。

ま、ハッピーエンドは保障します。ハッピーエンド至上主義。

第4章ですが、安定の予定は未定。取り敢えず更識家の出番がくる……ハズ。
学園祭にペロちゃん突っ込んでわちゃわちゃさせようかとか、そういうのも未定なので未来の私に()()()()()()待ってて下さい。投稿時期も未定です。8月くらいに更新できたらいいなとは常々……ただまぁ今年いっぱい今までと同じように忙しいので首は長くなるでしょう。(私は悪くねぇ。)

それと、第5章が恐らく最終章になります。何年先になるかな。

そんなところ。次の更新は登場人物紹介です。
ではまた。





ツイッターにてほぼ毎日出没してます。

@ItunoseKinon529
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