ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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お ま た せ

しかしテンポが悪い.


Welcome to ようこそ地図にない基地!

 

 飛び交う怒号、飛び交う銃声、飛び交う鉄の塊。

 ドッタンバッタン大騒ぎじゃ済まないことになってきたなぁ……。

 

 どうも、ペロちゃんです。俺は今、アメリカ某所の軍事基地に潜入してます。

 何故かって? エムとオータムに言われたからだよ。

 

「んーどうしよっかなぁ」

 

 なんでも今回はISを奪取するとかなんとか。ISって結構お値段張るよね。いいのかな、そんな盗むとか言っちゃって。

 そして、盗む対象は凍結処理された『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』だとか。なるほど、使わないなら寄越せと。気持ちはわからんでもない。

 

 そう言えばゴスペルと言えば例のアレで色々やったやつだよなぁ。凍結処理ってことはもう使われんだろうし……あれだけの最先端スペックを眠らせてるってのも勿体ない。

 

「よし、じゃあ俺がもらおう。代わりのISコア置いとけばいいよね」

 

 そう、確か束さんがテストでコアだけ仕舞えるかどうか確認してたやつが……あった。これでいいかな。偽装すれば大丈夫でしょ。

 ちなみに、今回は熱光学迷彩を使える俺が内部に侵入して『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』を取ってくる算段だ。最初は素直にやってみようとか思ってたけど、予定変更。今回の報酬は受け取らない代わりにゴスペルを貰おう。

 亡国機業(ファントムタスク)分は……ハリボテでいいや。すまんの。いっぱいあるしええやろ。

 

「おーいエムぅ、まだぁ?」

『お前さっきから五月蝿い!! これで何度目だ!?』

「えーだって一時間も倉庫の中で待ってたら窮屈で暇じゃん。何かお話しようず」

『そんな暇あるわけ――――』

 

 ブツッと通信が切れた。ガチャ切りかよぉ。

 

 言わずもがな暇だ。エムとオータムの陽動開始からかなり経つけど未だに突入合図が出ない。二人とも何やってんのかな。

 

 なんて思ってたら再度通信。今度はオータムから。

 

『出番だぞ、さっさと突っ込め暇人!!』

「最後は余計だぞ」

 

 まぁともかくようやく出番だ。

 熱光学迷彩を展開、表皮に沿わせて準備万端。

 倉庫の扉をハッキングで開けて悠々廊下へ。同時に浮遊開始。歩くより飛ぶ方が速いからね、仕方ないね。

 無人の廊下をひたすら飛び回って、時々エレベーターをハッキングして下へ下へ。

 随分下にあるなぁなんて思いつつ確認したら地下30階ですって奥さん。ここにいる人は地底人か何かだったんだろうか。

 

 目的地と同フロアの場所は銀行の金庫みたいだった。例の分厚い金属の扉が鎮座していて、その横には警備兵。ついでにEOSも2機。んー、ISが来ることは想定外か。

 そりゃそうか、IS来たら反応あるもんな。俺のがイレギュラーだった。人類種の天敵かな?

 

 取り敢えず無力化と行こうか。

 すぐさまEOS2機を量子ハッキングでコントロールを奪い、警備兵を捕縛させた。

 

 うん、呆気ない。通信機器もハッキングで妨害。適当に音声を合成して問題ない旨を自動返信するように設定しておく。これで気付かれまい、少なくとも次の来客までは。

 

「さて、そいじゃあご対面といきますか。オープン・セサミ(開け、ごま)っ、とか言っちゃったり」

 

 まぁ電子ロックとアナログなキーだったからハッキングとかでこじ開けちゃうんですけどね。

 

 分厚い扉がゆっくり開いて、その先はしばらく一本の廊下が続いていた。

 そこを抜ければ殺風景な白い部屋で、25m四方の広さの真ん中に、拘束具で固められた白いIS――『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』があった。

 拘束具って響き、ちょっとヤらしいよね。でもISを拘束具まみれにするって実にアブノーマル。いやでも否定はしないよ、人それぞれだもんね……。

 

「しっかしガチガチだなぁ」

 

 見れば見るほど厳重だ。一瞥して5つくらいは拘束具が重ねてある。そんなに暴走が怖いか……。まぁ束さんの暴走だもんな、手がつけられる訳もなし。

 でもそうなると織斑くんたち頑張ったなぁ……何かご褒美あってもええんでない? 今度束さんに聞いてみよっと。

 

 ああそうだ、独り言はここまでにして。

 まずはゴスペル周りのロックを解除。モチのロン、ハッキングです。この辺のセキュリティ脆弱過ぎない? てか大半が防御力プログラムだからだな。攻性プログラムならまだ苦戦するのに。

 裏返してみれば、ここまで攻められることを想定してないな? 仮にやられても引き返しの時点で捕まえられる、と。確かに地下深くに凍結してるのも頷ける。

 

「さーて。じゃあ貰っていきますよー。コアは2つ余ってたから、1つはゴスペルの代わりねー」

 

 ゴスペルがあった場所に初期化されたコアを置いて、再度ロック。まぁスパコンあれば数ヶ月くらいで解ける暗号をつけておく。

 後はエムとオータムに取った旨を伝えて脱出だ。

 

「もすもすひねもす。コアとったどー!!」

『でかした。ならばさっさと、余計なことをせず、道草も食わず、脇見もせず、戻ってこい』

「何で同じニュアンスのこと3回も言うのん……?」

 

 面白そうなのあったら足を止めちゃうのは好奇心旺盛な知性体ならではの本能だもん……。

 

『お前余計な事するの好きだろ?』

「そりゃあもちろん。(さが)だよね」

『救いようのないバカだよな、お前は……』

「言わんといてぇな」

 

 オータムキツい。仕方ないことじゃ。今だってほら、戻りすがら地下研究室の面白そうな装置が……。

 

「あ」

『おい、どうした。まさか変なことを思いついたとか――――』

「違う。お客さん」

 

 脳内にエムの声が響く中、目の前には短髪の女性が一人。地上に続く唯一のエレベータ前に立っていた。

 

 アー、見覚えあるぞ。よくある。懐かしい顔だ。

 

 確か……そう、イーリス・コーリング。哀れなホイホイの犠牲者一人だった……懐かしい。あまりいい思い出じゃないけど。

 

 しかしどうもこっちが見えてるらしいなぁ。熱光学迷彩は完璧なんだが……超音波探知機か?

 

「……お前、あの時の奴だな。忘れはしない」

 

 んーバレテーラ。

 やっぱり探知機だ。ISが一定周期の信号拾ったし間違いない。

 

「今日は立場が逆だ。オレが追う側、お前は追われる側――――、」

 

 どうしよう、明らかに逃してくれる気配ないし……ここを通りたくばオレを倒していけ、的なサムシングを感じる。

 

「……今日は、ここで仕留める――――!!」

 

 ヤバい、殺気がビンビンだ。迎撃しないと。

 

 相手方がIS『ファング・クエイク』を展開。以前よりパーツは減って軽量化されてるらしい。取り回しも良さげ、パッと見でブースターもアップグレードされてるか? 多分そうだ。ってことは更に最適化されてるな。

 

 それマズくない? 考えてみれば接敵は3回目だし、最初の2回は状況的にこっちが有利だったし、今回はこっちが狙われる側……。

 

「……逃げるか」

「逃がすか!!」

 

 IS展開、全力で後退。とにかく戦闘は避けて上に行かねば。

 と思ったけど『ファング・クエイク』の加速が予想以上だ。個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)の加速力が大きい。

 あと、本人の精度も上がってる。角を曲がっても的確に体勢入れ替えてノンストップで追ってくるし。

 

「――アアアアァッ!!!!」

「チッ……!!」

 

 数秒で捉えられた。右拳が振り上げられ……、

 

 って腕に何か増えてる……あ、パイルバンカーか。

 

「――ラァッ!!!!」

「あっぶなぁっ!?」

 

 全力で回避。身体を捻りに捻って回転して真横の扉に突っ込む。

 俺が部屋に転がり込むと同時にパイルバンカーが振り抜かれて、俺がいた所を叩いて床に突き立った。直後、爆音が上がって床ごと吹き飛ばしやがった。

 

 ……あれ人に向けて撃つやつじゃねぇよ絶対……。

 

「殺意高過ぎだろ……」

「当たり前だ。あの雪辱はここで果たす……!!」

 

 クレーターから腕を引き抜いて再装填。ガコン、と重い音を立てて薬莢が吐き出された。明らかに一抱えはある薬莢だ。艦船の主砲か何か?

 

「8インチって……マジか」

「この日のために解体予定の船からもぎ取った」

「なんつー執念……」

 

 鳥肌立つわ。流石に食らったら機動力落ちるなぁ。落とされはしないだろうけど、痛いのは嫌なので。

 正直室内戦闘用の銃火器じゃ止められる気がしない。盾は破られるだろうし……ってなると残りは近接戦闘程度か? アサルトアーマーモドキで沈めるのもありかね。

 

「オーケー、やろうじゃないの」

 

 取り回しやすい耐久性重視の物理ブレードを展開。いざって時にいなせる程度の気休めにはなるでしょ。

 

 ブレードを出した瞬間、向こうが突っ込んできた。

 先ほどと同じく右腕の大振り――――と思わせてフェイント、直前で停止、地面を蹴り上げてローリングソバット。

 上半身を引いて回避、続く連続の回し蹴りの範囲から離脱。

 ブレードの間合いで脳天にブレード一閃、振り下ろす。案の定、拳で弾かれた。

 ズドンッ、爆発したのようなブースター音。『ファング・クウェイク』の接近を見て取り、横方向へ急加速する。

 横目に振るわれる拳をよく見切り、反対腕を注視。すかさず真後ろへ加速すれば、眼前をアッパー気味に左腕がかすった。同様にパイルバンカーの衝撃波が天井を叩いた。別に着弾したわけでもないのに天井が歪む一撃ってのは……。

 

 って壁際だ、やべぇ。

 離脱しようとすると、『ファング・クウェイク』が俺から見て右手側をブロックする位置取りに。そんでもってやっこさんの右腕は既にスタンバイ状態。俺が回避主体なの見抜かれて誘導された?

 

「ぬァりゃアッ!!」

「――――ッ!?」

 

 思考終了。つべこべ言う前に『ファング・クウェイク』へ全力超音速タックル。ブースターの最大出力で突っ込んだ。腕の振り込みよりも速く懐に飛び込み、胸部へ肩装甲をねじ込み、そのまま廊下まで押し出す。

 勢いはそのまま、反対側の廊下の壁に叩き付けた。地下のおかげで幸いにも壁は頑丈、『ファング・クウェイク』ごとめり込んだけど。

 

「――――ナメんなァッ!!」

「ぅおぉぉぉっ!?」

 

 って思ってたら急に再起動しやがったよこの人!! 今バイタル気絶してたじゃん!!

 離れるより早く、懐にいた俺の腰を両腕で掴んだ。何するかと思ってたらそのまま俺の頭部を脚で挟んで――――、

 

「パ――――!?」

「フンッ」

 

 そのまま落下。ガツンと脳天から床に叩き付けられた。

 

 嗚呼、パイルドライバーだよ。何でプロレス技なんだよここで!!

 

「――――ハッ、どーだ」

「……俺じゃなかったらマジで死ぬぞこれ」

「っ」

 

 生憎だけどそう言ったのは生身の人間にしてやればよろし。残念ながら俺には効かないのだ。

 背部に非戦闘用パッケージを展開。節足動物を思わせる六腕――いつぞやにくーちゃんを円筒ごと運んだアレだ。

 

「なんだこれ!?」

 

 丁度背中側から抱き着かれてたのが幸いだ。すぐさまアームを閉じて『ファング・クウェイク』を固定。そんでもってパージ。

 

「荷物運搬用のパッケージ。いわゆる武器でも何でもないただの固定用アームだ」

 

 なんで積んであるのって言われてもそれ大体束さんの所為だから……。

 しかし腐っても束さんの作った特別性。ISでも簡単には取れまいて。

 腕ごと拘束されて不自由そうな様子を見て一息つく。

 

「まーアレだ。しばらく大人しくしててくれや」

 

 アーマー展開。一秒も経たずにアサルトアーマーモドキのセット完了。

 

「すまんね」

 

 キィィィィッ、と甲高い音がして、刹那に爆音。

 圧縮されたシールドのエネルギーが内側から外側へ膨張し、衝撃波となって周辺を凪いだ。

 

 

 

 

 

「んーキレイキレイ」

 

 光遮断システムが自動的に切れて視界が晴れれば、辺り一面すっかり滅茶苦茶だった。

 相変わらずの威力で何よりだ。おかげで周辺の部屋はあらかたおじゃん。廊下も近場は軒並み床材とか天井とか壁とかダメになってる。屋内だから衝撃が逃げなかったかな。

 遠目には瓦礫にまみれて『ファング・クウェイク』が。装甲やら何やら、俺が付けたアームもひしゃげてるけど一応健在だ。やっぱすげぇなIS、絶対防御の恩恵は凄まじい。

 

 しっかし強いなコーリングさん。搦め手と運がなかったら普通に近接戦闘でやられかねん。

 あと特別製らしきパイルよ。当たってないのに衝撃だけで外部装甲がボロボロだ。帰ったらまた変えないと。

 

「ふぅ……あー、もしもし、エム?」

『――――ああやっとつながった!! おいP、敵はまさかあの――――、』

「ああ、片付けたよ、エム。今からそっち行くわ。で、どこ行けばええの?」

『っ、イーリス・コーリングを倒したのか? この短時間で?』

 

 さてはエム信じてないな?

 

「おう、証拠なら画像送るから待ってろ」

『……いい、余計なことする前に帰って来い。メキシコ上空で合流だ。全員撒いて来い、いいな?』

「ほいほい。んじゃまた後で」

 

 はい、これにて強奪作戦のメイン部分は終了、と。さっさと帰りましょ。

 

 

 

 

 

 

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