ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話 作:いつのせキノン
(※投稿し直しました)
前回の住処を飛び出してやって来ましたイタリア。知ってる? イタリアンって新潟発祥の食べ物でイタリアが発祥じゃないんだよ。まぁどうでもいいか、そんなの。
新しい居住場所は街のど真ん中、普通の住宅街の一軒家になった。束さんは早速地下に研究所を製作中。仕事が早い人だ。
俺はというとイタリア語が喋れないので外が怖くて引きニートしてます。ヒモにランクアップ。嬉しくねぇ。
現在はつい先日襲ってきた虎柄IS――ファング・クエイクのデータを束さんから貰って眺めている。実際に相対していた時は肩部のユニットが無かったので、恐らく展開していなかったのだろう。確かに廊下で扱うには邪魔な部位だ。
「うっひゃあ、こりゃ後一回殴られたら終わってたな」
と言うのも、腕部に施されたエネルギー増加装置である。PIC制御によって溜め込まれる不要な慣性をエネルギーとして取り込み、格闘特化のファング・クエイクはそれを威力に上乗せして使ってくる。正直もう二度と戦いたくない。実は盾を壊された時左手には青アザがができていたのだ。今は痛みはないものの、当時は結構痛かった。
……やっぱり戦闘経験は積んだ方が良いのかもしれない。襲撃がもうないとは言い切れないことだし、また束さんばかりに頼り守られるだけというのは男としても情けないと感じた。
ここはアレだな、主人公的にレベルアップするための修行する訳だ。
めんどくさいです。
俺としては運動するのは全然構わないが反復練習というのが嫌いである。特に、一日中同じことしかさせてもらえずそれを延々と繰り返すのが特に。よく木刀で「三日間振り続けろ」とか無茶言う奴がいるけど、俺だったら半日でいかにして楽にやりながらサボるかを考え始める自信がある。小説の主人公とかスゴいと思うよ。かっこ小並感かっことじ。
まぁしかし、何もやらないよりはやった方がマシであることは百も承知である。
「やっほーペロちゃん。調子はどう?」
あら束さん丁度良いところに。
「へー、強くなりたい、ねぇ」
それとなく束さんに伝えてみた。
「多分、凡人に比べればペロちゃんは倍以上に早く強くなれるよ。コアが同期されている以上身体的能力のバックアップは完璧だからね。だから後はひたすらテクニックの詰め込みと体力アップじゃないかな。外面なら束さんがいくらでも出来るし」
そかー。つまりひたすら筋トレして走って闘う技術を身に付けなアカンと。
じゃあ、
「明日から本気出す」
「オイ。何を言うかと思えば」
「勘弁してくれ束さん、俺は熱血主人公じゃないんだ。どこにでもいる一般ピープルがただただ場違いな道具に頼っているだけで、根は鈍臭い人間と一緒なんだぜ?」
ニートサイコー!!
「…………ふむ」
ぬ?
「わかった。それじゃあ束さんが、徹・底・的・に!! ペロちゃんを軍人以上に育て上げてみせるッ!! 覚悟することだねッ!!」
「お、おぉ」
やけに張り切るじゃないか束さん。こういうの興味ないと思ってたんだが。
「これは最終的に束さんの損得にも関わってくるからね。やるからにはやり尽くすよ」
「頼もしー。俺も頑張ろ」
そうと決まれば、
「「明日から本気出す」」
二人でハイタッチした。
そして時は飛んで翌日。
「束道場にようこそー」
「わー」
ぱちぱちぱちぱち。
地下に体育館が出来てました。全部束さんの所為です。
「さてペロちゃん。今日から『ペロちゃんはワシが育てたと束さんが言えるようになる為にペロちゃんを徹底的に鍛える育成プログラム』を開始するよ!!」
「わー題名長ーい」
「略して『ペロペロプログラム』ッ!!」
完全に変態です本当にありがとうございました。
「冗談はさておき。今日はまず体力テストからだよ。最適なプログラムを組むにしてもペロちゃんが現状どの程度動けるかを確認しないとだからね」
つーわけで、一般男児が行うような体力テスト開始である。
「ISは停止させないとダメだからねー?」
ですよねー。
握力。
「平均して55キロ。まぁまぁだね」
「よっしゃ」
上体起こし。
「33回。合格ラインかな」
「これ明日腹筋崩壊確定ですわ」
長座体前屈。
「48センチ。平均かぁ。微妙なとこ突いてくるね」
「こればかりはなぁ」
反復横跳び。
「68回。中々」
「意外に出来るもんなんだな、これ」
持久走。
「5分30秒」
「しんどっ」
シャトルラン。
「96回。もうちょっと欲しいかな?」
「一日で全消化だから厳しいっす」
50m走。
「6.7秒。及第点っ」
「手厳しいぃぃ……」
立ち幅跳び。
「225センチ。おやおやぁ、ペロちゃんこれ苦手だねぇ?」
「ぐぬぬ……」
ハンドボール投げ。
「40メートル~。こんなものかね」
「こんなもんです」
ってことで一日で測定を終わらせた。持久走とシャトルランを一日でやるのはキツかった。普通ならこんなことしないのに……。
「さてさて、ペロちゃんの測定結果。A評価だって。おめでとー」
「やたー」
「そんなことはどうでも良いんだけどね」
あうふっ。ちょっとショック。
「重要なのは何がペロちゃんに足りないか。言わずもがな、柔軟性と瞬発力だね。ここはキツイとは思うけど基礎的なトレーニングでどうにかしてみよう。あ、柔軟性はやる暇無いから自分でやっといて」
早速と束さんがデータを纏めながらテキパキと指示を出してくれている。しかし赤縁眼鏡をいつ出したのかが俺はわからない。知的な雰囲気が出てさながら美人教師である。
「取り敢えず、トレーニングは明日から。今日は取り敢えず疲労を抜きつつストレッチを入念にやっといて。ここに纏めといたよ。ここにあるのもそうだけど、シャワー浴びた後にもね。明日になって筋肉痛で動けませんってなっても束さんはビシバシスパルタだから」
束さん、外見以上にきっちり仕事をしてくれている様子。これは期待に応えねばなるまい。
「よっしゃあー、ストレッチしてからシャワー浴びてこよ」
「束さんが背中流してあげよっか?」
むふふと小悪魔な笑みを浮かべる束さん。束さんとお風呂ですか……。
「………………………………、」
「こ、こらッ、何勝手に妄想してるの!? ダメだからっ、今のナシっ、ノーカンッ!!」
よいではないか。健全な青少年に妄想くらい許されて良いだろ。
「束さん、俺も男だ、間違って襲わせないで下さい。恩人だし」
「お、おおおおおお襲うとかペロちゃん何言ってるの!? そう言うのは、もっと大人に、そうっ、大人になってからだからねッ!?」
「うん、束さん落ち着こう? こっちまで恥ずかしくなってくるから、ね?」
そんな顔真っ赤にしてたらこっちにまで羞恥心というものが出てくるわけですよ、その場の流れでネタを言ってるんですから。眼福だけど。
「と、とにかく今日はここまでっ。束さんはちゃっちゃとプログラム組んでくるからっ!!」
そう言って地下体育館を飛び出していった束さん。とてもじゃないが天才科学者には見えなかった。頭脳は素晴らしいものを持っているのにどこか抜けていると言うか……。
とにもかくにも今日は疲れた。ゆっくり体を休めるとしよう。
次話は6時間後に。お楽しみに。次回ちょびっとシリアス。