マギアレコード 偽書e/s memorys 作:ジャックノルテ
□ 回想 神浜市内 中央区 セナと一夜の泊まるホテル
あれから数日が流れてアタシはその間セナさんとホテル暮らしをしていた。
食事等のお金は全てセナさんが出してくれた。
アタシがお礼を言うと
セナ「構わない。頼まれた事だ」
とだけ答えてくれました。
でも気になったので本当にアタシの為にお金を使って良いのかセナさんに聞いてみると
一夜「アタシの為なんかにお金を使って良いんですか?」
セナ「使っているのは余った金だ。金があってもこう言う事が無ければ使わない」
どうやらアタシにお金を使うのはこう言う事に当てはまるらしかった。
数日の間にみふゆさんが、お客を連れて来た。
天音月夜と天音月咲を名乗る双子の姉妹の魔法少女だった。
みふゆ「月夜さんと月咲さんなら魔法少女の基礎的な事を教えるのに最適です」
とみふゆさんからの提案もあってアタシは月夜さんと月咲さんから魔法少女の基本的な技術、ソウルジェムを使ってのテレパシーや魔女や使い魔の魔力を探る方法を教えて貰った。
その間にセナさんとみふゆさんは何か話し合いを行っていた。
みふゆさんは微笑していたが、セナさんは相変わらずの無表情だった。
帰る時にみふゆさんはアタシに
みふゆ「一夜さん。今度の日曜日にワタシの属する組織を率いるマギウスに会って貰うのですが、それまでに一夜さんが持っている魔法がどんな物なのか色々試してみてはどうですか?そうすれば自分がどんな魔法を使えるのか確かめる事にも繋がりますから」
一夜「分かりました。色々と試してみます・・・」
それからアタシはセナさんに頼んで色々用意して貰ってアタシの魔法がどんな効果を持っているのか調べる実験をしていた。
実験してみる事で初めて分かる事もあり凄く面白かった。
アタシは何事も試してみる事の大切さを学ぶ事が出来た。
そして今日、アタシはマギウスに会う日を迎えていた。
□ 回想 神浜市内 北養区 天文台近辺
セナ「この場所だ・・・」
一夜「ここなんですか・・・」
その日、アタシはセナに連れられてみふゆさんに指定された組織を率いる人物との会合場所に来ていた。
それは北養区にある天文台だった。
セナさんが躊躇わずにドアをノックすると中からみふゆさんが顔を出した。
みふゆ「セナさん。一夜さん。良くいらっしゃいました」
セナ「言われたから来た」
一夜「今日はよろしくお願いします・・・」
みふゆ「では、先にセナさんの面談から始めますので一夜さんはこの椅子に座って待っていて下さい」
みふゆさんはそう言ってパイプ椅子をドアの外に出して来た。
一夜「分かりました。じゃあ座って待っています」
アタシがパイプ椅子を受け取ると、みふゆさんに促されたセナさんが天文台の中に入って行った。
それからしばらくアタシは外の景色を楽しみながらみふゆさんが呼ぶのを待っていた。
すると
みふゆさん「一夜さん。あなたの番です。準備はよろしいですか?」
一夜「はい。大丈夫です」
みふゆさん「では、こちらへどうぞ」
みふゆさんに促されてアタシは天文台の中に入った。
天文台の中は無数の配線が接続された機械が並び動いている時の独特の音が静かに響いていた。
そして多数のモニターが設置された机の前にある椅子に座る3人の前にみふゆさんはアタシを連れて行った。
アタシはみふゆさんに話に聞いていたが3人の内の2人がアタシよりも年下だった事に驚きを隠す事は出来なかった。
思わず視線をそらした時、脇の椅子に座る無表情なセナさんの姿が見えた。
みふゆ「一夜さん。この3人が我々の組織を束ねるマギウスの3人です」
一夜「はっはい・・・」
マギウスの近くの席に座ったみふゆさんに促されて用意された椅子にアタシは座った。
??3「くふっ。やっぱり驚いてるみたいだねー。この間の双子と同じだねー」
??4「まあ無理も無いよ。普通、僕たち2人みたいなのが組織のトップの一員だなんて言われて信じるのは難しいと思うよ」
??5「ハイハイ。そんなのはどうでも良いから。必要な面談なんでしょ?アリナはさっさと済ませたいワケ」
バラバラな反応を見せる3人に一夜は困惑していた。
??3「わたくしは里美灯花。あなたの事はみふゆから全部聞いてるよー。わたくし達の行動が原因で大変な目に逢ったみたいだねー」
??4「僕は柊ねむ。灯花の短慮な発言は僕が謝罪するよ」
一夜「いえ。そんな事は・・・」
??4=ねむ「まあ灯花の失礼な発言はいつもの事だし置いといて。僕は君の魔法に興味があるよ。むふっ」
??3=灯花「むー。まあねむの言う事もわたくしは分かるなー。わたくしも一夜の魔法に興味があるし」
みふゆ「灯花。そろそろ本題の方を」
灯花「そうだねー。一夜。魔法少女の基本は、あの笛姉妹から学んだでしょー?」
一夜「はい。ソウルジェムで魔女を探したりするとかは・・・」
灯花「うん。じゃあ次の段階に行こうかにゃー。でもその前にわたくし達は一夜に謝らなきゃいけない事があるんだにゃー」
一夜「え?アタシに・・・謝る事ですか?」
灯花「うん。一夜が契約をしていた時にキュウべえが動かなくなったのはわたくし達の計画が原因だったからねー。本来、キュウべえから聞くべき事を聞けなかったのはわたくし達が原因だからごめんねー」
灯火様に謝られましたが、その時のアタシは戸惑うばかりでした。
灯花「じゃあ本題に入るけど一夜。魔法少女の契約をすると願いが叶うよねー?願いを叶えると魔法少女に変身出来るけど、その時に一夜の魂が何処に行ったか分かるかにゃー?」
一夜「えっ。魂ですか?それは・・・。身体の中にあるんじゃ・・・」
灯花「ぶっぶー。ハズレだよー。魔法少女の契約をすると魂はソウルジェムの中に収められます」
一夜「えっ!?アタシの魂が・・・?」
灯花「うん。全ての魔法少女は例外無く自分の願いと引き換えに魂をソウルジェムに変換するんだよー」
みふゆ「灯花。余り不安を煽らないで下さい」
灯花「分かってるよー。でもねー。これはまだ序の口だからねー。ソウルジェムにはまだ秘密があるんだからー」
一夜「これ以上の秘密?」
アタシは驚いて思考が止まっているのを自覚していた。
灯花「ソウルジェムは魔法を使えば使う程、穢れが溜まるよねー。穢れが溜まり切ったらどうなるのかにゃー?」
一夜「えーと。穢れが溜まると魔法が使いづらくなるから・・・。魔法が使えなくなるとか?」
灯花「ぶっぶー。全然違うよー。そんな事じゃないんだよねー。もっと深刻な事なんだよー」
みふゆ「はい。それは・・・。とても深刻な事です」
みふゆさんの表情が陰った事でとても深刻な事だとアタシも感じ取った。
ねむ「うん。これから話す事はとても重要だし大きなショックを受けるのは明白だから落ち着いて良く聞いて欲しいんだ」
灯花「ここまで言えば大丈夫だよねー。ソウルジェムに穢れが溜まり切るとソウルジェムは、グリーフシードへ変化して魔女になるんだよー」
一夜「えっ?」
ねむ「そう。魔女と魔法少女は表裏一体の存在。僕たちは魔法を使い続ければ、いずれ魔女になるんだよ」
一夜「そんな・・・」
アタシの脳裏に魔女の姿が思い出される。
あれがアタシの未来・・・。
灯花「ありゃりゃ。やっぱりショックを受けちゃったかにゃー?」
ねむ「まあ無理も無いと思うよ。あの双子も相当ショックを受けていたし。ショックを受けない方が珍しいんだから」
そう言いながらねむはアリナを見ていた。
アリナ「アリナが珍しいって言いたいワケ?まあ否定はしないケド」
灯花「でも大丈夫だよー。この神浜市では魔法少女は魔女にならないんだからー」
一夜「えっえっ?」
アタシは少し混乱していた。
先程までソウルジェムに穢れを貯めれば魔女になると言われたのに、神浜市では魔女にならないと言われたのだから当然とも言えた。
灯花「わたくしたちの作ったドッペルシステムで神浜市では魔女にならないから!一夜。あなただってドッペルシステムに救われたんだから!」
一夜「救われた?」
みふゆ「一夜さん。これを見て下さい」
その時、みふゆさんが魔法少女姿に変身して武器である円月輪を上に掲げると霧と共に何かの光景が浮かんで来た。
それは倒れるアタシが何かを叫んだ直後にソウルジェムから何か、では無くドッペルを出している光景だった。
みふゆ「あの日、ワタシが一夜さんとセナさんに出会った時、一夜さんは気絶しながらドッペルを発動していたんです」
セナ「・・・」
みふゆさんとセナさんが何故か視線を合わせて直ぐにセナさんの方が目を反らしたのがアタシにも見えた。
けれどアタシは自分がとんでもない物を引き出した事に驚きを隠せなかった。
灯花「これで分かったでしょー。本来は魔女になる筈の一夜は魔女にならずにドッペルを発動させているんだから、これでわたくし達を信じられるよねー」
自信に満ちた瞳で灯花様はアタシを見つめていた。自分には無い自信を持つ灯花様には年齢を超えた力をアタシは感じていた。
だからこそアタシは灯花様たちを信じる気持ちを抱き始めていた。
一夜「はっはい・・・」
驚きながらもアタシは肯定の返事を返していた。
ねむ「灯花の話は終わったみたいだし次は僕の番だね。一夜。君の魔法を見せてくれないかい?」
一夜「はい。じゃあ、まずはこれでどうでしょう?」
アタシはそう言って両手をテーブルの上に乗せて魔法を発動させた。
まずは作り慣れた自分用の魔法の眼鏡を三個作って見せた。
一夜「これはアタシが自分用に作った魔法の眼鏡です。付けて思うだけで遠くを見たり近くの物を拡大して見る事が出来ます。ちょっとだけ魔力を消耗するけどアタシだけじゃなくて他の人も使えます!」
アタシはみふゆさんに言われてアタシの魔法を研究していた。
その過程でアタシの魔法で具現化した道具は他の人でも使える事がセナさんやみふゆさんの協力で知る事が出来た。
一夜「どうぞ使って見て下さい!」
アタシに渡された眼鏡を受け取った灯花様、ねむ様、アリナ様は早速、眼鏡を掛けて効果を試していた。
アリナ「確かに思った通りに見えるワケ」
ねむ「うん。これは良いね。本を読む時に便利そうだよ」
灯花「ねえ。これって他に能力を足す事は出来るの?例えばサングラスにもする事が出来るとか?」
一夜「はい。これは一度作った物だから直ぐに作れましたけど、能力を足す事は出来ます。イメージを確定させれば直ぐに使いする事が出来ます」
灯花「ねえねえ!他には何が出来るの?」
一夜「えーと。それじゃあ次はこの市販のボールペンを・・・」
アタシはカバンから買って貰ったばかりのボールペンを取り出しビニールの封を開いた。そして魔力をボールペンに注ぐと同時に取り出したノートの一ページを切って見せた。
一夜「今このボールペンの先端に刃物の機能をイメージして付加して見ました。この通り綺麗にノートが切れています」
灯花「ふーん。本当に市販の道具にも魔力を付加して機能を足せるんだ」
一夜「はい。それにこうやって」
アタシは持っていたボールペンを魔力でソウルジェム内部に収納して見せた。
他の人達からはボールペンが消えた様にも見えるんだと思う。
灯花、ねむ、アリナ、みふゆ「!?」
一夜「アタシの魔力を通した物は、ソウルジェムの中に装備品として納める事が出来るんです」
灯花「ちょっと待って!それってもっと大きな物でも出来るの?それよりもその装備品と認識させる魔法は他の人でも使う事が出来るの?」
一夜「はい。大きな物はまだ試していないですけどボールペンやカッターとかは、セナさんに試して貰いました」
セナ「確かに試した。問題無く作用した」
そう言うとセナさんは、手の平にボールペンとカッターを出現させて見せた。
ねむ「これは凄いよ。この魔法があれば・・・」
灯花「うん。検討していた組織の共通衣装を作るのが捗るね。みふゆ!この魔法を使って貰って組織の共通衣装を作ってもらうのはどうかな?」
みふゆ「そうですね。それは良い提案だと思います」
アリナ「それならデザインはアリナがするから。アリナが所属するんだから中途半端な物はノーだカラ」
灯花「うん。わたくしデザインを考える事はできないからアリナの好きにすると良いよー。その代わり、衣装に付加する機能は、わたくしたちで考えるから」
ねむ「そうだね。機能と言っても誰でも使えるシンプルな物が良いと思うよ。それならイメージをしやすいだろう?」
一夜「はっはい・・・」
みふゆ「待って下さい。一夜さんも困ってます。それはこれから相談して機能を詰めましょう。その上で試作品を作ってみてはどうでしょう?」
灯花「そうだね。何事も試す事が重要だし」
ねむ「僕も同意見だね。実際に思って、書いてみてると、もっと良く出来ると言う事に気が付く事もあるからね。期待しているよ。一夜」
一夜「がっ。頑張ってみます・・・」
その日からアタシは、マギウスのお三方とみふゆさん、セナさん、月夜さんと月咲さんと協力してマギウスの為の共通衣装を作る事になった。
□ 回想 神浜市内 大東区 観覧車草原
それから数日後・・・。
アタシはみふゆさんとセナさん。それに月夜さんと月咲さんの5人で大東区にある観覧車草原の周辺に来ていた。
月咲さんが言うには、ここは開発に失敗した場所で人も余り来ないからテストには最適との事だった。
みふゆさんの提案もあって直ぐに脱いだり着たり出来るフードの付いたレインコートをベースに試作品を二つ作ってみてみふゆさんとセナさんに試着してもらってテストして行っていた。
みふゆさんは試作品のローブを身に纏いローブの袖口から鎖で伸びる鎖鎌を出して狙い通りに動かす事が出来るか試していた。
みふゆ「やはりセナさんの武器を参考に作って貰って正解でしたね。魔力があれば伸び続ける鎖の先端にある鎌の使い勝手が良いですよ。それに鎖を束ねれば剣状にする事も出来て汎用性も高いです」
一夜「みふゆさん。ありがとうございます」
みふゆ「セナさんは意見が無いのですか?」
セナ「特に変わり無い。普段の魔法と同じ感覚で使える」
みふゆ「つまり有効的な装備と言う事ですね」
セナ「そうだ」
みふゆ「次は月夜さんと月咲さんに試して貰いましょう」
月夜、月咲「「ハイ!」」
ローブの試着とテストを終えたみふゆさんとセナさんはローブを月夜さんと月咲さんに渡した。ローブを身に纏った月夜さんと月咲さんは跳躍しながら袖口から出現させた鎖鎌を振り回して意図通りに動くか試していた。
更に鎖を束ねて剣を作ると観覧車の残骸で切れ味を試していた。
月夜「驚いたでございます。思ったよりも凄く使い易いでございます」
月咲「うん。自分の魔法じゃないけど凄く使い易いよ!」
一夜「良かった・・・。役に立てて良かった・・・」
みふゆ「一夜さん。これは本当に凄い物ですよ」
一夜「・・・」
みふゆさん、月夜さん、月咲さんにセナさんに褒められてアタシは恥ずかしくて直ぐに返事が出来なかった。
ねむ「どうやら完成したみたいだね」
そこへねむ様が灯花様とアリナ様を連れてやって来た。
灯花「うん。これで組織の目的である個人の秘匿が容易になったねー」
アリナ「まあアレはプロトタイプだから良いケド、量産品のデザインは考えて来たからこれにしてヨネ?」
そう言ってアリナ様はアタシに手書きのスケッチを差しだして来た。
驚きながらアタシはスケッチを受け取って見てみると、そこには黒いローブと白いローブが書かれていた。
アリナ「灯花とねむに言われた通りにブラックとホワイトの二種類を書いたカラ。確かホワイトが指揮官でブラックが兵隊ヨネ?」
灯花「指揮官と兵隊は色で瞬時に見分けられる様にした方が良いからねー」
ねむ「二人の言う通りだね。だから一夜。これからこのデザインを元にローブを量産して欲しいんだ。材料は必要な分を灯花が用意するから」
一夜「はい。えっと・・・。じゃあ少しだけ何が必要か考える時間が欲しいです・・・」
灯花「たっくさん、作って貰う事になるから分かったら直ぐに教えてね!」
一夜「でもどうやって連絡したら・・・」
セナ「ホテルの電話でも使えば良い。それに貸し出しのパソコンもある。メアドと番号は小生が知っている」
セナさんはそう言って、携帯電話を出して示した。
灯花「うん。セナに番号とかは教えてあげたから大丈夫だよ」
セナさんの言葉に心配事が無くなったアタシはホッとする事が出来た。
ねむ「アリナ。セナにキューブの一部を貸し出して貰えるかい?」
アリナ「ハイハイ。それじゃ渡しておくカラ」
そう言ってアリナ様が手に緑色の魔力の塊=キューブを出現させ、セナさんに投げて来た。セナさんは黙ってキューブを受け取った。
アリナ「そのキューブは魔力で物を出したり入れたり出来るカラ、そこを作業場にすれば場所に困る事は無いワケ」
一夜「あっありがとうございます。場所まで用意して貰って・・・」
みふゆ「良いんですよ。一夜さんにローブを作って貰う以上、働き易い場所を用意するのもワタシ達の仕事ですから」
一夜(なんだか・・・。アタシは、期待されているのかな・・・)
更に数日後。
アタシとセナさんはねむ様に呼び出されて、ある場所へ来ていた。
そこには巨大な洋館がアタシとセナさん、ねむ様の前に建っていた。
ねむ「ここは僕がウワサで作った拠点だよ。セナと一夜に頼みたい事があるんだ」
一夜「何でしょう?」
セナ「小生に出来る事なら」
ねむ「うん。じゃあこの拠点に住んで貰えないかな?」
一夜「えっ?」
セナ「構いません」
ねむ「一夜が戸惑うのも無理ないね。でもこの拠点は、これからマギウスの翼の本拠地となる予定だからなるべく住み心地を良くしたいんだ。だからホテル暮らしをしている二人にこの拠点に住んで貰って改善点を指摘して貰いたいんだよ」
一夜「改善点ですか?」
ねむ「うん。これから先、場合によっては一夜やセナの様に住み込みで働いて貰う魔法少女がいるかも知れないからね。だから住み心地が良いに越した事は無いだろう?それにセナはホテル暮らしを続けるのはそろそろ難しいんだろう?」
セナ「確かに資金は無くなりかけています。ですが必要なら・・・」
ねむ「またATMでも壊すのかい?これから先はそうした行動を控えて欲しいな。君のそうした反社会的な行動が原因で活動に支障きたすのは避けたいんだよ」
セナ「分かりました」
ねむ「でもそうするとセナと一夜には、自由に使えるお金が無い訳だしね・・・。それじゃあ困るだろうし二人には給料が出ないのか、灯花に相談してみるよ」
一夜「えっ?でもそれは・・・」
セナ「小生も特には」
ねむ「セナ。一夜。僕は二人の働きは給料が出ても問題無い行動だと思っているよ。だから断る事は無いと思うよ」
一夜「本当に良いんでしょうか?」
ねむ「一夜とセナは他のメンバーと違って休みなしでほぼ24時間働いている様なモノだからね。だから報酬があっても僕は良いと思うよ」
セナ「報酬と言うのなら受け取りましょう。それは労働の対価。受け取らねば失礼に当たります」
一夜「じゃあアタシも・・・。受け取ります・・・」
ねむ「うん。それで良いと思うよ。これから忙しくなるからね。頼むよ。一夜。セナ」
一夜、セナ「はい」
こうしてアタシはセナさんと二人で、後にホテルフェントホープと言われる拠点で生活する様になりました。
アタシとセナさんが生活する上で必要な物や機能をねむ様に提案してフェントホープの機能を向上させる手伝いをしました。
それからアタシはローブ作りに専念してたんですが、反逆事件があって今に至る訳なんです・・・。
□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 一夜の自室 日曜日 午後
一夜「今までの話が・・・。アタシがマギウスに加わった経緯です」
観鳥さん「凄く重い話だったね・・・」
郁美「うん・・・。くみも凄く心が揺さぶられたよー」
観鳥さんと郁美は少し暗い表情をしていた。
観鳥さん「それにしてもこのフェントホープの居心地が比較的良いのは、一夜さんのお陰だった訳だね」
一夜に気を使って話題を変えようとする観鳥さん。
一夜「はい。最初はシャワーや電気も無かったんです。だから生活に必要な設備を宿泊施設を参考にして作って貰いました。一度、ねむ様にアタシとナナツメさんの泊まっているホテルに来て貰って設備や仕組みを勉強して貰ったりもしました」
観鳥さん「なるほどね。確かに実地で検分する事は重要だよ。だからこそフェントホープの設備がホテル的なんだね」
郁美「そうだよねー。初めてここに来た時、設備が本当のホテルみたいな上に、これが魔法で出来ているなんてくみはぁ、とても驚いたなぁー」
観鳥さん「確かに驚いたね。一夜さんは、思った以上にマギウスの翼に貢献しているよ。正直、普通の白羽根や黒羽根よりも働いているんじゃないのかな?」
郁美「うん。一夜ちゃんとナナツメさんが給料を貰っているのも、くみは分かるなぁー。くみのぉ何倍も働いてるよー」
一夜「そんな事無いです・・・。アタシは戦う事が全く出来てなくて魔女の捕獲って言うマギウスの翼にとって重要な使命を果たせてないですから・・・」
観鳥さん「一夜さんが戦えないのは知っているけど、本当に戦えないのかい?」
一夜「はい・・・。どうしても戦うって事が怖くて出来ないんです・・・。今はこの朱奈さんの身体だから余計に魔力の使用には注意しなきゃ行けなくて・・・。でもねむ様や灯花様が言うには、武器を精製するイメージが出来れば戦いながら武器や相手を傷付ける物を瞬時に精製して戦う事が出来るって言われてるんですけどまだ・・・」
観鳥さん「確かに言われてみれば一夜さんの能力を戦闘に生かせれば凄い事になるよね・・・」
郁美「うーん。でもくみはぁ、一夜ちゃんが無理に戦う事は無いと思うなー。だってぇくみのぉバイト先でもホールで接客する人と裏方で料理を作る人、それにそれらを纏める人がいて初めてお店が成立しているからぁ~」
観鳥さん「牧野チャンの言う通りだと観鳥さんも思うよ。魔法少女にも適材適所があるんだからね。でも、まあ戦う訓練位はした方が良いんじゃないかな?これからマギウスの翼の行動が目立ってくれば、嫌でも戦闘の機会もあるかも知れないからね。何なら観鳥さんや牧野チャンも手伝うよ」
郁美「くみもぉ訓練はした方が良いと思うなー。魔法少女でいるって事は戦う事を避ける事は出来ないから・・・」
そう語る観鳥さんと郁美の暗い表情は重い事実を一夜に感じさせていた。
だからこそ一夜は自分が戦いから逃げられない事を思い知らせる事になった・・・。
一夜「じゃあその・・・。今度お時間が合えばお願いします・・・。やっぱり戦う事から逃げちゃ行けないと思うから・・・」
観鳥さん「そうだね。その意気だよ。観鳥さんは白羽根だから仕事が無ければいつでも訓練に付き合うよ」
郁美「うんうん。一夜ちゃんの為だったらくみはぁ、いつだって手伝ってあげるからね」
一夜「ありがとうございます・・・。アタシ、こんなに優しくされたのは初めてです・・・」:
観鳥さん「大袈裟だね。まあ観鳥さんは嫌いじゃ無いよ」
郁美「そんな事無いよ。これが謙虚な一夜ちゃんの持ち味なんだよー!」
観鳥さん「そう言う物なのかな?」
一夜(アタシも・・・。こんな風に語り合える友達が欲しいな・・・)
郁美と観鳥さんの会話する様子を見て一夜は、この二人の様な心からの語らいが出来る友達を欲していた。
その時、不意に観鳥さんが持っていたカメラで一夜の事を撮った。
観鳥さん「済まないね。何だか今、良い表情をしていたよ。一夜さんは」
郁美「もー。令ちゃんたら~。願いなのは分かってるけど勝手に撮るのはプライバシーの侵害だよ~」
一夜「あっ。大丈夫ですよ。気にして無いですから」
観鳥さん「勝手に広めたりはしないから安心して良いよ」
郁美「でも無断で撮るのは良く無いよ~」
観鳥さん「牧野チャン。素が出てるけど良いのかい?」
郁美「もぉー。令ちゃんの意地悪~」
一夜はやっぱりこの二人が少し羨ましく感じていた。
□ 神浜市内 大東区 観鳥令の自宅 観鳥さんの自室 夜
観鳥さんは自室で一夜から聞いたインタビューの事をパソコンで纏めていた。
観鳥さん(一夜さんの事・・・。一応は纏めたけど・・・。これはやっぱり記事には出来ないね・・・)
流石の観鳥さんも内容が重すぎる上にプライバシーに踏み込み過ぎた部分に躊躇を感じていた。
観鳥さん(しかし無戸籍か・・・。ドラマで見たけど・・・。学校へ通うのも一苦労だって聞いたね・・・。就職や進学にも大きな影響が出る・・・。やっぱり一夜さんの事は・・・。記事にするにしてもマギウスの翼で如何に裏方の仕事をこなして組織に貢献しているかが一番無難だよねえ・・・)
ふと観鳥さんはインターネットで無戸籍の人に関して検索をしてみた。
たんなる好奇心だし深い意味は無かった。
だがインターネットの記事には、時には目を背けたくなるような事実と認めたく無いような書き込みが存在する。
観鳥さん(やっぱり無戸籍に関するだけでも色々あるね・・・。うん?この書き込み・・・)
ふと観鳥さんの目が一つの書き込みに目が止まった。
そこにはこう書き込まれていた
私はくだらないシキタリの多い村で育った。
火の元だか何だかを守る為のシキタリだそうだ。
馬鹿馬鹿しくて意味の分からない面倒なシキタリだったから私は実家の金を盗んでさっさと都会へ逃げた。
都会に来ると騙されたり傷つけられたりしながらも生きる為に色々な仕事をした。
最も戸籍を持たない私が出来る仕事は限られた。
だから戸籍を持たない怪しげな人間を雇う様な危ない仕事をする様になった。
皮肉にもそうした仕事で色々なスキルを磨く事が出来た。
数年たって定期的に金を稼ぐ手段を得た私は色々な街を渡り歩く様になった。
村の人間が外へ逃げたヤツを探している事を知っていたからだ。
街を渡り歩けば見つからない算段もあった。
ある日、仕事をした早朝の帰り道で公園に幼児がベビーカーに乗せられたまま捨てられているのを見つけた。
捨てられていると分かったのは手紙が置かれていたからだった。
生活苦から母親に捨てられた様だった。
何となく私はその女の子を拾って育てた。
きっと寂しかったのだろう。
故郷を捨てた私が、誰かに捨てられた子を育てるなんて皮肉だ。
この生活がいつまで続くか分からない。
せめて私を母と言うあの子は、マシな世界にいて欲しい。
観鳥さん「これって・・・。まさか一夜さんの事?」
思わず声に出してしまった観鳥さんだが、もう一度冷静になって記事を読んでみた。
確かに今日聞いた一夜さんの過去と符合する点は多い。
書き込まれた日は一夜さんが契約した日の数日前だった。
しかし・・・。
観鳥さん(分からない・・・。正直ネットの書き込みなんて創作の可能性もあるし、本当とは限らない・・・)
暫く思案したが観鳥さんは答えが出せなかった。
観鳥さん(明日、牧野チャンやみふゆさんにも意見を聞いてみよう・・・。とても答えが出せない・・・)
翌日のホテルフェントホープ。みふゆの部屋。
そこには白羽根ローブを纏った観鳥さんと黒羽根ローブを纏った郁美、私服姿のみふゆが集まっていた。
観鳥さんから一夜に付いて大事な話があるとメールで聞いたみふゆが二人を招いたのだった。
観鳥さん「これがその書き込みです・・・」
観鳥さんは書き込みのあるサイトをスマホからアクセスして二人に見せていた。
郁美「これ・・・。確かに昨日聞いた一夜ちゃんの話と符合するね・・・。日付も一夜ちゃんが契約する直前だし・・・」
観鳥さん「そうなんだよ・・・。正直な所、観鳥さんには手に負えないよ・・・」
みふゆ「これは・・・。一夜さんには話さないでおきましょう」
郁美「どうしてですか?」
みふゆ「ネットの書き込みでは真実かどうか分かりません。既に一夜さんは、母親を亡くしています。今更、真実か分からない事を話して一夜さんを悲しませる事はありません。それに・・・。今の一夜さんの身体とソウルジェムの繋がりは余り丈夫じゃありませんから余計な事は話さない事にしましょう」
観鳥さん「そうだね。観鳥さんもそう思いますよ・・・」
みふゆ「一夜さんが自分で気が付いてくれると良いのですが・・・。その時までワタシ達の胸にしまっておきましょう」
観鳥さん「はい・・・」
郁美「そうだよね・・・」
みふゆ「でも一夜さんにはいつも通りに接して上げて下さい。これで距離を取ったらまた元の木阿弥ですから・・・」
観鳥さん「分かってます・・・。むしろ余計に一夜さんをほっとけなくなったね・・・」
郁美「そう言えば令ちゃん。どうして一夜さんはさん付けなの?くみはぁチャン付けなのに~」
観鳥さん「ああ。深い意味は無いよ。一応、一夜さんはマギウスの翼では先輩に当たるからね。最低限の敬意ってヤツかな」
郁美「ひどーい。それならくみだって人生の先輩なのに~!?」
観鳥さん「いや。一応、牧野チャンは観鳥さんの直属の部下なんだから・・・」
みふゆ「二人は良い友人同士ですね。その調子で一夜さんの事も頼みます」
観鳥さん、郁美「はい」
二人の強い返事にみふゆは少し安堵を覚えていた。
ネットの書き込みは未来への伏線もあります。
一夜の育ての母親が例の一族と同じ一族かは謎です。
次回は前に書いた作品のお気に入りのキャラクターが登場します。