マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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第16話 クレジットカードと同じだ

□ 某所の公園 夜 ナナツメの過去

 

 

夜の公園で小生はキュウベえと待ち合わせて合流した。

キュウべえから特別な依頼があると聞いたからだ。

 

セナ「調査?」

 

キュウべえ「うん。君に調査を依頼したいんだ」

 

セナ「何の調査だ?」

 

キュウべえ「最近、ある街で僕たち、インキュベーターの行動が不可能になった街が出現したんだ。その原因を探って欲しい」

 

セナ「構わない。何処の街だ?」

 

キュウべえ「神浜市。比較的魔法少女の数が多い街だよ」

 

セナ「分かった。直ぐに出立しよう」

 

キュウべえ「僕は神浜市に入る事が出来ないから情報交換は神浜市の外でお願いしたいんだけど」

 

セナ「承知した」

 

キュウべえ「もし君一人で調査が難しいなら君と同じ専属の魔法少女を呼ぶ事も出来るけど」

 

セナ「それは筒地綾女の事か?」

 

 小生の心当たりがある小生と同じ専属の魔法少女は筒地綾女しかいなかった。

 

キュウべえ「綾女にもこの話をしたけど断られたよ。だから僕の依頼を受けて調査をするのはセナが初めてだよ」

 

セナ「そうか・・・。では神浜へ向かう」

 

 答えて小生はその日の内に電車を乗り継いで神浜市へと向かった。

 金の心配は無かった。

 必要なら持っていそうな相手を襲えばいい。

 自販機なんかを破壊しても金は手に入る。

 だから小生は何の問題を起こす事無く神浜市へ来た。

 

□ 約一ヵ月前 神浜市内 中央区 夕方 ナナツメの過去

 

 

神浜市に到着して直ぐに小生は拠点となるホテルを確保すると直ぐに市内を見て回った。

 しかし特にこれと言った異変を見つける事は出来なかった。

 何故、キュウべえが活動出来ないのか小生には検討が付かなかった。

 

セナ「!!」

 

 暫く街を彷徨っていると魔力を感知した。

 

セナ「魔女・・・・・」

 

 神浜市へ来て初めて戦う魔女だった。

 直ぐに結界へ向かうと入り込むと同時に小生は魔法少女へと変身した。

 襲い来る使い魔を次々と武器である鎖鎌で切り裂いて最深部を目指した。

 少しだけ使い魔がいつもより強い気がしたが特に気にならなかった。

 戦って倒す事に変わりないからだ。

 やがて立ち耳の魔女も小生の存在に気が付いて小生を最深部へと誘導して来た。

 立ち耳の魔女の周囲にいた使い魔が小生に襲い掛かるが難なく小生は倒した。

 

??2「ッああああああああ」

 

 その時、立ち耳の魔女の方へ向かおうとした小生の耳に悲鳴に混じって魔法少女の不安定な魔力を感じ取った。

 

セナ「!?なんだ」

 

 立ち耳の魔女との距離を保ち警戒しながら周囲を見ると近くに一人の魔法少女が倒れていた。既に立ち耳の魔女から攻撃を受けて体中は傷だらけだった。

 それよりも問題なのは、離れた位置にいるセナにも分かる位に既にソウルジェムが濁っていると言う事だった。

 

セナ「魔女化されては困るな・・・・・。なら・・」

 

 瞬時に倒れている魔法少女を魔女化する前に殺す事で余計な敵を増やさない判断を下した小生は直ぐに倒れている魔法少女の元へ向かい止めを刺そうとした。

 

セナ(済まないが魔女を二体相手する余力は無い)

 

 鎖鎌を振り下ろそうとしている小生は後にそれが越馬一夜だと知った。

 

??1「いけません!」

 

 その時、振り下ろされた鎖鎌を円月輪で受け止めた者がいた。

 否。反射的に小生はそれが新手の魔法少女だと気が付いていた。

 銀髪で落ち着きのある風貌をしていた。

 

セナ「何する?」

 

??1「それはこっちの台詞です。どうしてこの子を殺そうとするんですか?」

 

 ここで小生は少し考えた。

 相手が魔女化を知っているのなら問題無いが、魔女化を知らなければ厄介な問題を招きかねないと言う事を。

 

セナ「手遅れだ。邪魔だ。どいてくれ」

 

??1「魔女化を知っているのですね?」

 

セナ「!!」

 

??1「その表情。図星の様ですね」

 

セナ「なら分かる筈だ。この状況で余計な敵を増やす理由は無い」

 

??1「いいえ。大丈夫です。この子は魔女化する事はありません」

 

セナ「何を言って!?」

 

 その時、倒れていた魔法少女のソウルジェムに溜まった穢れが飛び出して来るのが小生の目に写った。

 敵が増えた事に警戒した小生は反射的に距離を取った。

 銀髪の魔法少女も同じ様に距離を取ったその時、倒れた魔法少女から飛び出した穢れが魔女と化した様に小生は見えた。

 だが《穢れが変化した魔女?》は先程、小生と戦っていた立ち耳の魔女に襲い掛かると立ち耳の魔女を全身から迸らせた魔力で切り刻み倒してしまった。

 

セナ「・・・・・・・」

 

 異常な現象だとは思ったが実の所、魔女同士の共食い、もしくは戦いはそれ程、珍しい事でも無かった。

 別の魔女の使い魔同士でも戦う事があるのだから。

 

??1「やはりワタシと同じ様に・・・」

 

 銀髪の魔法少女が告げた言葉を小生は聞き逃さなかった。

 こうなる事を相手は予想していたと小生は心の中にメモした。

 その時、立ち耳の魔女を倒した《穢れが変化した魔女?》はそのまま四散すると消滅してしまった。

 その消滅した後の地面には先程、倒れていた魔法少女がそのまま倒れていた。

 

セナ「どう言う事だ?何が起きた?」

 

 結界が崩壊する中で目の前で起きた出来事に驚いた小生は思わず言葉を発していた。

 魔女化であるのなら消滅はあり得なかった。

 空間移動にしても魔力の痕跡が残る筈だった。

 それに何よりも倒れた魔法少女から先程感じていた、溜まっていた穢れが消滅しているのが小生にも感じ取れていた。まるでグリーフシードで浄化された様に。

 

??1「良かった。無事の様ですね」

 

 銀髪の魔法少女は倒れた魔法少女に近付き様子を見ていた。

 その様子から小生は、先程からこの異常な出来事に驚きを見せない事で彼女はこの現象の答えを知っていると確信していた。

 

セナ「今、起きた事。何か知っているのか?」

 

??1「ええ。知っています。あれはドッペル。感情の写しです。この神浜市ではもう魔女化は起こり得ません。代わりにドッペルが出ます」

 

セナ「魔女化が起きない・・・だと!?」

 

??1「驚いているみたいですね。無理もありません。この現象は最近になって神浜市で起こった事ですから外から来た魔法少女はご存じありませんよね?」

 

セナ「確かに小生は神浜市街から来た。キュウべえからの依頼でな」

 

??1「キュウべえから?だとしたら・・・。お互いにもっと情報交換する必要がありそうですね」

 

セナ「そうだな」

 

 それが小生と銀髪の魔法少女=梓みふゆの出会いだった。

 

 

□ 約一ヵ月前 神浜市内 中央区 夜 セナの宿泊するホテル

 

 

小生と銀髪の魔法少女=梓みふゆは、ドッペルを発動させ意識を失い私服姿になった倒れた魔法少女を連れて小生の宿泊しているホテルへと向かった。

ホテルの部屋は予め3人部屋を取っていた為、倒れた魔法少女を背負って入っても特に何も言われなかった。

部屋のベッドに倒れた魔法少女をベッドに寝かせると小生と梓みふゆは椅子で向かい合って座った。

 

??1「名前がまだでしたね。ワタシは梓みふゆと言います。あなたは?」

 

セナ「七部セナだ」

 

 小生と梓みふゆはここで初めてお互いの名前を名乗った。

 

??1=梓みふゆ「セナさんはキュウべえの依頼で神浜市に来たと言っていましたね?」

 

セナ「そうだ。キュウべえから神浜市では活動が出来ないから原因を探って欲しいと依頼された」

 

みふゆ「もしかしてあなたは、キュウべえ専属の魔法少女ですか?」

 

セナ「そうだ。今はキュウべえの元で働いている」

 

みふゆ「そうですか・・・。魔女化の事を知っているのならソウルジェムの事も含めて全て知っているのですね?」

 

セナ「ああ。知っている」

 

みふゆ「ドッペルの事をどうするのですか?」

 

セナ「報告はするつもりだ。黙っている理由は無い」

 

みふゆ「・・・。報告は少し待つ事は出来ませんか?」

 

セナ「何故だ?」

 

 梓みふゆは何かを決意したかの様な視線を向けて来た。

 

みふゆ「セナさん。ワタシ達は今、組織を作ろうとしています。魔法少女を救う組織を」

 

セナ「魔法少女を救う?」

 

みふゆ「はい。ワタシ達が作ろうとしている組織の最終的な目標は、この神浜の奇跡、ドッペルを世界中に広げる事なのです」

 

セナ「それがキュウべえへの報告を遅らせる理由か?」

 

みふゆ「恐らくキュウべえはこの計画を知れば妨害行動に出て来るかも知れません。ですがこの神浜の奇跡は全ての魔法少女を救う為に必要な事なんです」

 

セナ「・・・・・」

 

みふゆ「もう魔女化の心配無く生きる事が出来るんですよ?」

 

セナ「小生にはどうでもいい。小生は仕事をこなしたいだけだ」

 

みふゆ「仕事ですか」

 

セナ「キュウべえからは情報と言う報酬が得られる。小生はキュウべえの依頼をこなす。仕事として成立している。だから仕事をしている」

 

みふゆ「つまり・・・。仕事として成立するのならワタシ達の味方にもなり得ると言う事ですか?」

 

セナ「そうだな。報酬しだいだ。言っておくがドッペルは報酬にならない」

 

みふゆ「何故ですか?」

 

 意外だと言う反応を梓みふゆは見せていた。

 

セナ「ドッペルは聞いた限り神浜市で起こる現象だ。誰にでも起こる現象は空気と同じ。それが作られた物であれ報酬にはなり得ない」

 

みふゆ「成程・・・。一理ありますね。ではどう言った物なら?」

 

セナ「キュウべえは情報をくれた。そちらは何を用意出来る?」

 

みふゆ「そうですね・・・。確認してみないと分かりませんが安全な現金と拠点を用意出来ると思いますよ」

 

セナ「安全な現金と拠点か・・・。キュウべえからの情報以上と言えるな」

 

みふゆ「ただこちらはセナさんが何を出来るか分かりませんから働きぶりを見てから支払うと言う形を取るとマギウスは主張すると思います」

 

セナ「マギウス?」

 

みふゆ「ワタシ達が作ろうとしている組織トップの通称です。ワタシは・・・。組織の幹部と言った所でしょうか?」

 

セナ「組織のトップ、マギウスとは何だ?」

 

みふゆ「マギウスは組織のトップに立つ3人の魔法少女の事です。それぞれ3人が特異な魔法を持ち、それを活かす事で神浜の奇跡を実現したんです」

 

セナ「つまりドッペルを引き起こした張本人か」

 

みふゆ「そうとも言いますね。セナさん。一度、マギウスに会って貰えませんか?」

 

セナ「マギウスにか?」

 

みふゆ「もしセナさんがワタシ達の味方になってくれるのであれば非常にありがたい事です。それに報酬の件もマギウスに直接の交渉が出来るのでスムーズに話しが進むと思います」

 

セナ「確かにその通りだな。それが小生自信を売り込むと言う事なのだろう」

 

みふゆ「ただ会うと分かりますがマギウスは正直に言って曲者揃いです。だから注意して下さい」

 

セナ「心得ておくが、会うまでは何とも言えないな」

 

みふゆ「ドッペルを神浜市から全世界に広げる事で全ての魔法少女を魔女化から解放する。それがワタシ達の組織が掲げる目的です。あなたも神浜の奇跡を目の辺りにしたのですからマギウスに会って貰いたいのです」

 

セナ「良いだろう。会うのは構わない。それであの拾った少女はどうする?」

 

みふゆ「まず意識が戻ってから詳しい話を聞いてみないと・・・」

 

 その時、小生と梓みふゆは倒れた魔法少女がベッドから上半身を起こして話を聞いていた事に気が付いた。

 

みふゆ「目が覚めたのですね。良かったです。じゃあ少しワタシとお話をしてくれませんか?」

 

??2「はい・・・」

 

 それが小生と越馬一夜との出会いだった。

 梓みふゆが越馬一夜への聞き取り調査をして暫くの間、小生が越馬一夜を預かる事になった。

 他人との生活は久し振りだった。

 以前も両親と言う他人と生活していたが、あの二人は小生に怯えているだけだった。

 それから数日の間に梓みふゆが天音月夜と月咲の双子を連れて来て越馬一夜に魔法少女としての基礎を教えていた。

 その間に小生は梓みふゆと組織のトップであるマギウスとの面談に関する調整を行っていた。

 

みふゆ「組織の名前はマギウスの翼で決定しました」

 

セナ「そうか・・・・・」

 

みふゆ「それと報酬の件ですがやはりマギウスの3人は働きぶりを見てから判断したいと言っていました」

 

セナ「それで構わない。小生は所詮、キュウべえの専属だった。信用しろと言う方が無理だろう」

 

みふゆ「いえ。そんな事は」

 

セナ「誤魔化す必要は無い。小生が同じ立場ならキュウべえ専属の魔法少女等、疑って当然の存在だ。本来なら話を聞く事も無い」

 

みふゆ「でもワタシはあなたの話を聞いています」

 

セナ「スパイと思ってくれても構わない。見張りを付けても構わない」

 

みふゆ「どうしてそう・・・。セナさんの事を信用させない様な事を言うのですか?」

 

セナ「用心に越した事は無い。それに小生は碌な人物では無い。報酬次第で小生を売り込み、裏切ろうとしている。それにキュウべえ専属の魔法少女は碌な人物がいない。少なくとも小生の・・・。先輩と言えば良いのか?先輩は碌な人物では無かった」

 

みふゆ「あなたの先輩がどう言う人物だかは分かりかねますが・・・。確かにキュウべえ専属の魔法少女には・・・。余り良い人柄とは言えませんね・・・」

 

セナ「誰か知っているのか?」

 

みふゆ「はい。一年前に神浜市へキュウべえ専属の魔法少女を名乗る人が来ました。確か・・・。筒地綾女と名乗っていました」

 

セナ「成程・・・・・。それはそうだろう。筒地綾女が小生の先輩だ」

 

みふゆ「えっ!?そうだったんですか?」

 

 梓みふゆは小生の言葉に驚いていた。

 

セナ「ああ。会ったのは一年程前だ。小生の記憶を消して貰った恩人だ」

 

みふゆ「記憶を消す?」

 

セナ「小生は筒地綾女に不要な記憶を全て消して貰った。お陰で何も躊躇わずに行動する事が出来る」

 

みふゆ「そうなのですか・・・・。セナさん。一つ聞いても良いですか?」

 

セナ「構わない」

 

みふゆ「あなたが神浜市に来たと言う事は綾女さんも来る可能性があると言う事ですか?」

 

セナ「それは分からない。だが筒地綾女は神浜市の調査を断ったとキュウべえからは聞いた」

 

みふゆ「そうですか。でもセナさん以外にも神浜市を調査に来る魔法少女がいると思っていた方が良いと言う事ですね」

 

セナ「ああ。小生がキュウべえなら近隣の魔法少女を送り込む筈だ」

 

みふゆ「近隣の街への注意が必要。と言う事ですね」

 

 梓みふゆは神妙な顔で語っていた。

 それから小生との必要な協議を済ませると梓みふゆは、天音姉妹を連れて帰って行った。

 去り際に梓みふゆは越馬一夜に対して

 

みふゆ「一夜さん。今度の日曜日にワタシの属する組織を率いるマギウスに会って貰うのですが、それまでに一夜さんが持っている魔法がどんな物なのか色々試してみてはどうですか?そうすれば自分がどんな魔法を使えるのか確かめる事にも繋がりますから」

 

一夜「分かりました。色々と試してみます・・・」

 

 梓みふゆに告げられたその日から越馬一夜は自身の魔法にどういった効果があるのかを実験し始めた。

 小生は特に何も手助けはしなかった。

 ただ実験に必要な物頼まれれば提供した。

 それは梓みふゆに頼まれていた事だったからだ。

 やがて色々と魔法を試していた越馬一夜は自身の魔法に新たな発見をして小生はその実験を手伝う事になった。

 

一夜「セナさん。このボールペンを手の平の上に乗せて下さい」

 

セナ「分かった。こうか?」

 

一夜「そのままボールペンに魔法少女への変身を解くみたいに魔力を通してみて下さい」

 

セナ「やってみよう」

 

 越馬一夜に言われた通りに魔力を通すとボールペンは手の平から消えてしまった。視界から消えたのは確かだった。

 

セナ「!?」

 

 驚いた小生だったが冷静に魔力の流れを探ってみるとソウルジェムの中に極めてい小さな違和感があった。違和感はボールペンの形をしてソウルジェムの中に納まっている。

 

セナ「これは・・・・・。ボールペンはソウルジェムの中に収められたのか?」

 

一夜「はい。セナさんのお陰でアタシの魔力を通した物は他の人でもソウルジェムの中に収められるってこれで判明しました。セナさんでも出来るなら他の魔法少女にも出来ます」

 

セナ「確かに言う通りだな。今度マギウスに見せると良い」

 

一夜「はい」

 

 ただの感想に越馬一夜は頷いていた。

 そして数日後に小生と一夜はマギウスとの会談に臨む事になった。

 

 

□ セナの回想 約一ヶ月前 神浜市内 北養区 天文台近辺

 

 

セナ「この場所だ・・・・・」

 

一夜「ここなんですか・・・」

 

 小生は一夜を連れて指定されたマギウスの翼を束ねるマギウスとの会合場所である北養区にある天文台に二人で来ていた。

 小生が天文台のドアをノックするとドアを開いて梓みふゆが顔を出した。

 

みふゆ「セナさん。一夜さん。良くいらっしゃいました」

 

セナ「言われたから来た」

 

一夜「今日はよろしくお願いします・・・」

 

 越馬一夜は少し緊張気味に小生にも見えた。

 

みふゆ「では、先にセナさんの面談から始めますので一夜さんはこの椅子に座って待っていて下さい」

 

 梓みふゆは言いながらパイプ椅子をドアの外に出して来た。

 

一夜「分かりました。じゃあ座って待っています」

 

 越馬一夜は言われた通りに梓みふゆの持って来たパイプ椅子に腰を下ろした。

 それを見届けた小生は梓みふゆの後に続いて天文台の中に入った。

天文台の中の通路を進んで行くと無数の配線が接続された機械が並び動いている時の独特の音が静かに響き、多数のモニターが設置された机の前にある椅子に座る3人の人影の前に梓みふゆは小生を誘導し3人の前に設置された椅子に座る様に促した。

 小生が椅子に座ると正面にいた3人が小生の事を品定めする様に見つめていた。

 緑色の髪を生やし小生に近い年齢の女性は直ぐに飽きたらしく一瞥して目をそらした。

 それに対して横のいる小学生と思しき眼鏡をかけた少女と好奇心を隠そうとしない茶色の長い髪を生やした少女が小生の事を見ていた。

 

セナ「・・・・・・」

 

 事前に梓みふゆから組織のトップであるマギウスに関する説明を受けており小生は特に驚きを感じる事は無かった。

 

??3「むー。わたくし達を見ても全然驚かないねー。この間の双子みたいに驚くと思ったんだけどにゃー」

 

??4「みふゆの言った通り極めて冷静な思考の持ち主の様だね。むふ」

 

??5「ハイハイ。アリナ的には使えそうならどうでもいいんですケド」

 

 三者三葉の感想を告げる事に小生は関心を抱かなった。

 小生が関心あるのは雇用するのかどうかだ。

 

セナ「小生は七部セナだ。あなた達、3人がマギウスか?」

 

??3「そうだよー。わたくしはマギウスの一人、里美灯花だよー。よろしくねー」

 

??4「僕は柊ねむ」

 

??5「アリナ・グレイ。はあ。アリナはこんな面談に付き合う必要は無いと思うんですケド」

 

みふゆ「アリナ。今回の面談は流石に指導者の一人である貴方も参加すべきですよ」

 

??5=アリナ「はあ。だからみふゆが言う通りに参加しているカラ」

 

 そう言いながらアリナ・グレイは興味なさげにスマホに目を落としていた。

 

みふゆ「参加してくれるなら良いんですが・・・」

 

 呆れた様子の梓みふゆだったがそれ以上何か言う事は無かった。

 

??5=ねむ「アリナの事は良いから話を進めよう。七部セナさんだったね。みふゆから話は聞いているよ。キュウべえ専属の魔法少女だったんだって?」

 

セナ「ああ。そうだ。キュウべえ専属の魔法少女だ。だがマギウスの翼が適切な報酬を出すのなら引き抜きに応じよう」

 

??3=灯花「ふーん。キュウべえ専属の魔法少女からわたくし達マギウスの翼へ引き抜かれたって言いたいんだ。それで自分の抱いた罪悪感を誤魔化しているのかにゃー?面白いにゃー」

 

 里美灯花は面白そうに語ったが小生の心には響かない。

 

みふゆ「灯花!その言い方は問題が・・・」

 

灯花「別に問題無いよー。だってこれからの会話次第ではセナは敵になるかも知れないんだよー?これ位の発言も我慢できないなら組織にはいらないかにゃー?」

 

セナ「別に何も感じない。罪悪感など無い。好きに喋って構わない。適切な報酬さえ支払えるなら従おう。最も小生の反応など楽しめた物では無いと思うが」

 

灯花「うんうん。冷静だしハッキリと物を言うねー。わたしくはセナを雇用する事に賛成かにゃー?ねむはどう思う?」

 

ねむ「そうだね。僕たちが年下だからと言って変な遠慮も無いし部下として雇うなら適切じゃないかな?」

 

みふゆ「ではセナさんを雇用すると言う事で良いのですか?」

 

灯花「うん。良いよー。でもねー。報酬の件だけど・・・。拠点の方は少し時間が掛かるかにゃー。現金の方は渡すのは良いんだけど、まずはやっぱり働きぶりが見たいかにゃー?」

 

セナ「適切な判断だ。何が出来るか見せる事は必要な事だ」

 

灯花「だからまず、組織の一員として働いて欲しいかにゃー?」

 

みふゆ「そうですね。魔女の捕獲にはセナさんの様に冷静な方が他の魔法少女を率いて貰うのが一番かも知れません」

 

セナ「待て。小生が他の魔法少女を率いる?それは小生をある程度、高い立場に置くと言う事か?」

 

みふゆ「はい。ワタシはセナさんに指揮要員として活動して欲しいのですが・・・」

 

 梓みふゆは困惑を見せていた。

 

セナ「小生は組織で一番下の立場で良い」

 

みふゆ「えっ?それはどう言う?」

 

セナ「小生はキュウべえ専属の魔法少女だった存在だ。今の所、マギウスの翼からの信用はゼロと言って良いだろう。それにスパイの疑いがある人間を指揮要員にしても誰も従わないだろう。小生は最下層の人員で構わない。その方がそちらも監視の手間が省けるから好都合だろう」

 

みふゆ「しかしそれでは」

 

ねむ「ふむ。一部の隙も無い自分の立ち位置を適切に捉えているね。セナの言う事も一理あるよ」

 

灯花「そうだねー。わたくしもねむに賛成かな。それに実績も無い新入社員にいきなり高い地位を与える会社なんて長続きしないしねー。セナの言う通りで良いんじゃないかにゃー?」

 

みふゆ「セナさんは本当にそれで良いのですか?」

 

セナ「構わない。クレジットカードと同じだ。顧客の支払い状況が企業への信用情報を作る。それと同じ事だ」

 

みふゆ「つまりこれからワタシ達への信用を築いていくと言う事ですか。分かりました。確かにセナさんの言う事にも一理ありますね。ワタシも賛成します」

 

 梓みふゆも小生の意見に納得した様子を見せて小生の話は終わった。

 

 

 

 その後、越馬一夜への説明会が始まった。

 越馬一夜の持つ魔法の効果は小生も証明に協力をした。

 説明会が終わると越馬一夜はマギウスからの命で魔法のローブを作り始めた。

 数日を経て小生の武器である鎖鎌を搭載した試作品のローブを経て作られた白いローブと黒いローブを大量生産するのが越馬一夜の役割だった。

 越馬一夜と行動を共にする小生には灯花様から携帯電話が与えられ連絡手段とした。

 それから更に数日が経ち、ねむ様がホテルフェントホープを作り出し小生達はそこに住む事になった。

 ねむ様からは住み心地を良くする為の改善点を求められたので宿泊したホテルの部屋を参考に意見を述べた。

 この時点でねむ様から給料を貰う提案を貰いましたが未だ組織が活動していない段階だったので小生は断ろうと思ったが、ねむ様の説得を受けて給料を受け取りました。

 

□ 回想中断 ホテルフェントホープ ねむの部屋

 

 

セナ=ナナツメ「小生がマギウスの翼へと加わった経緯は今話した通りだ」

 

彩月「成程な。一夜さんから聞いた話と同じやな」

 

ねむ「一夜から話を聞いたなら今、聞いた話とのすり合わせは出来たんだろう?」

 

彩月「そうやな」

 

ねむ「でも彩月が聞きたい話はそうじゃ無いんだろう?」

 

彩月「そうや。ウチが聞きたいのはナナツメさんとアリナさんの仲が悪い理由やな。ウチが知らない話がまだあるんやろ?」

 

ねむ「その事か・・・・・。ナナツメ。君は話せるかい?」

 

ナナツメ「命令とあらば。特に何の思い入れもありませんので」

 

ねむ「だろうね。じゃあ話して欲しいな」

 

彩月「どんな話なんや?」

 

ナナツメ「単純な話だ。仕事の邪魔をしたので痛め付けた。それだけだ」

 




今回の話はあの時、一夜に何があったのかを明らかにする話です。
セナやみふゆと会ったあの後、みふゆが言いよどみ、何故セナの発言を制止したのかと言う答え合わせとなります。
そして次回、ナナツメ編最終回。
最後の答え合わせとなります。
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