マギアレコード 偽書e/s memorys 作:ジャックノルテ
□ 神浜市内 某所 みふゆの仮住まい 夜
ミラーズにいた一夜と彩月を神浜の魔法少女3人から保護してホテルフェントホープまで送り届けた梓みふゆは仮住まいへと帰宅した。実家を出ているみふゆは里美灯花からの援助でこの仮住まいで一人暮らしをしていた。
みふゆの脳裏に彩月の言葉が脳裏を過る。
彩月回想「そうやな。何かが違うって感じがしたで。とても危険な異質さや」
みふゆ「とても危険な異質さですか・・・」
口に出した声の音がみふゆの脳裏を刺激して別な記憶を思い出させた。
綾女回想「何かが違うわね。とても危険な異質さよ」
みふゆ(そう言えば綾女さんと会ったのは・・・。今日みたいに熱い日でしたね・・・)
椅子に座り目を瞑りながらみふゆは高校生だった過去を回想していた。
まだ七海やちよと共に戦い、十咎ももこ、由比鶴乃。
そして・・・。安名メルとチームを組んでいた時の事を。
みふゆ「あの時は・・・。まだワタシ達は5人のチームで戦ってましたよね。やっちゃん」
一年前、確かに梓みふゆは5人でチームを組んで戦っていた。
その最中にみふゆは筒地綾女と出会っていた。
みふゆにとってその出会いが余り良い出会いでは無かったのは確かだった。
みふゆや(やっちゃんは綾女さんの事を警戒していましたね。今なら分かります。あの人は確かに警戒すべき人だったと・・・。あの時、ワタシは自分の魔力の衰えに気が向いていて気付くことが出来ませんでした・・・)
みふゆの脳裏に1年前の出来事が思い出されていた。
□ 回想 一年前 神浜市内某所 鏡屋敷への道
神浜市において西と東の魔法少女の対立を引き起こした鏡の魔女が出現してから数日後・・・。
その熱い日、制服姿の七海やちよと梓みふゆは鏡屋敷へ行きミラーズへの再挑戦をしようとしていた。
やちよ「それにしても熱いわね・・・」
みふゆ「そうですね・・・。ももこさんとメルさんは、これから鏡屋敷へ向かうとメールがありました。鶴乃さんはやはり今日は無理だそうです」
やちよ「そう・・・。鶴乃は店の事があるから仕方ないわね。それにしても今回こそ鏡の魔女を討伐したいわね」
みふゆ「はい。鏡に誘導されると言う習性を利用して廃墟に閉じ込めましたが、また暴れだしたら今度はどんな事になるのか予想が付きませんからね」
やちよ「もうあんな西と東の対立はごめんよ」
みふゆ「十七夜さんやひなのさんには迷惑をかけましたからね」
やちよ「お互い様と言いたいけど・・・。それじゃ同じ事の繰り返しよ」
みふゆ「はい・・・。この対立はいつか終わるのでしょうか・・・」
やちよ「難しいんじゃないかしら。結局は神浜の西と東は昔からいがみ合ってきたもの。人の出入りが多い中央区が緩衝地帯になってしまったのも転出や転入が多いから神浜の対立を把握し辛いからよ」
みふゆ「そうですよね。魔法少女の間でもそうだから大人たちの間ではもっと酷い事でしょうから・・・」
やちよ「何かあったの?」
みふゆ「いえ。特には。でも結局、水名区は他の区に対する偏見が今も残っている場所ですから・・・」
やちよ「・・・・・」
みふゆ「やっちゃん。気にしないで下さい。今に始まった事じゃありませんから。正直に言ってワタシはもう呆れていますから」
やちよ「あなたがそう言うなんてよっぽどじゃない」
みふゆ「そう思わせる様な事があったんです。個人に関する事だから話す事は出来ませんが・・・」
やちよ、みふゆ「!?」
その時、やちよとみふゆは魔力の反応を探知した。
みふゆ「やっちゃん!」
やちよ「ええ。誰か鏡屋敷で戦っているみたいね」
みふゆ「誰でしょう?誰か来るなんて聞いてませんが」
やちよ「中央区との交渉権があるから誰が挑んでも不思議じゃ無いわ」
みふゆ「魔力が結界に阻まれて感じ取りにくいですが、ももこさんとメルさんではありませんね」
やちよ「あの二人なら鏡の魔女結界の恐ろしさは十分に理解しているからあり得ないわよ」
やちよとみふゆは鏡屋敷に入り込むと同時に魔法少女へと変身した。
そして鏡屋敷の鏡の前に立つ。
みふゆ「ももこさんとメルさんを待たなくて良いんですか?」
やちよ「私とあなたなら大丈夫よ。それに最悪、誰が戦っているのか確かめられれば良いわ」
みふゆ「分かりました。行きましょう」
鏡の魔女の結界に入り込むやちよとみふゆ。
その際に型を取られたが気にせずに前へと進む二人。
やちよ「お互いに無事みたいね」
みふゆ「そうですね」
やちよ「みふゆ・・・。あなた料理の腕はどうかしら?」
みふゆ「やっちゃん!?ワタシが料理は出来ない事は知っているでしょう?」
やちよ「安心したわ。本物みたいね。みふゆは何か私に質問があるかしら?」
みふゆ「今の質問を投げかけて来たやっちゃんが本物だと確信はしていますから大丈夫です」
やちよ「そうね。じゃあ行きましょう」
みふゆ「この魔力・・・。初めて感じる魔力ですね。新しく契約をした人でしょうか?」
やちよ「あるいは外から来たのかも知れないわね」
みふゆ「この結界の事を知っているとしたら厄介ですね」
やちよ「知らずに入ったなら、それはそれで厄介よ」
襲い来る使い魔や魔法少女コピーを倒し未知の魔法少女の魔力の元へ向かうやちよとみふゆ。
やちよ「あれって」
みふゆ「あの人が・・・」
やちよとみふゆの眼前には髪を赤と青、左右に分けて染め上げ箒を武器に魔法少女コピーと戦う未知の魔法少女がいた。
その動きは魔法少女コピーに対しても慣れた様子で戦闘を行っているのが、やちよとみふゆにも分かった。
みふゆ(どうやら対魔法少女戦の心得がある人みたいですね)
やちよ(ええ。あれは完全に戦い慣れている動きよ。ベテランみたいね)
???「全く面倒な場所ね・・・」
その時???の前にやちよとみふゆのコピーが現れた。
やちよコピー「侵入者は」
みふゆコピー「ひい。出てって」
???「またコピー。面倒ね」
???は箒の穂先を二体のコピーへ向けると柄にあるスイッチを押した。
その瞬間に箒の穂先は鋭い刃を持って発射されてコピーを次々と切り裂き消滅させた。
???「これ以上は・・・。必要無いわね。うん?」
???はやちよとみふゆと目が合った。
先程、倒したコピーと同じ姿をしているやちよとみふゆに警戒心を抱くのは当然の事だった。
???「同じコピーがまた?」
みふゆ「待って下さい。ワタシ達はコピーじゃ」
???「そんなんで騙されると思ってるの?」
???は再度、箒の穂先を発射しようとしたが寸前にやちよが自身の槍で箒の柄にぶつける事で穂先の発射は回避された。と同時にやちよは槍を???の喉元に付き付けていた。
やちよ「腕ずくだけど、これで私たちが本物だと信じてくれた?コピーなら寸止めなんてしないわ」
???「どうかしら?より精巧なコピーとも思えるわ」
みふゆ(だったらこれでどうでしょう?)
???「!?」
みふゆ(コピーはテレパシーを使いませんよね?)
???「確かに・・・。でも私からも確かめさせて貰うわ」
そう言った???の手にある指輪が一瞬光った。
???「探知魔法よ。どうやら本物みたいね」
そう言って???は敵意が無い事を示す為に武器を降ろした。
やちよは警戒してまだ武器を降ろさない。
やちよ「あなた・・・。何者なの?少なくとも神浜市の魔法少女とは思えないけど」
???「そうね。私は筒地綾女。キュウたん。じゃなくてキュウべえからの依頼でここに来た魔法少女よ」
みふゆ「キュウべえからの依頼ですか?」
意外だと言う表情をみふゆは見せていた。
???=綾女「そうよ。もし話すならここを出てからにしない?」
やちよ「良いわ。その方がこちらも都合が良いわ・・・。待って。あなたがコピーと言う可能性もあるわよね?」
綾女「それは無いわよ。私、コピーを取られていないもの」
みふゆ「えっ!?一体どうやったのですか?」
綾女「簡単よ。コピーが取られる瞬間に爆発魔法を使ったのよ。ダメージはあったけどコピーと取られる事は防げているわ」
やちよ「それ・・・。直ぐには証明出来ない事よね?」
綾女「でもこれから先、私のコピーが現れない事は保障出来るわよ?」
やちよ「分かったわ。一応、信じる事にするわ」
そう言ってやちよは今度こそ槍を綾女の喉元から離した。
その様子を見てみふゆは安心する様子を見せていた。
みふゆ「そうですね。では行きましょうか。こっちです・・・」
やちよとみふゆが先導する形で綾女を連れて結界を出ると鏡屋敷のエントランスへと出た。
やちよ「何とか戻れたわね・・・」
みふゆ「はい。今回はすんなりと戻れて良かったです・・・」
綾女「と言う事はやはり簡単に出られない事もある訳ね。そこは情報通りと」
確認する様に呟く綾女だったが、ワザとらしい様子をやちよとみふゆは感じ取っていた。
やちよ(抜け目が無いわね・・・)
みふゆ(はい。正直に言って油断がなりません・・・。あの呟きもワザとらしいですし・・・)
綾女「で?話すにしても流石にここはマズいでしょ?何処で話すの?」
やちよ「そうね・・・。近くに公園があるわ。そこにしましょう」
みふゆ「はい。話ならそこで・・・」
綾女「良いわ。じゃあ行きましょう。長居はしたくないわ。ここは何かが違うわね。とても危険な異質さよ」
やちよ「そこだけは同意するわ。私は七海やちよ。彼女は梓みふゆよ。」
みふゆ「はい。筒地綾女さん。お話を伺わせて下さい」
魔法少女の変身を解いた3人は鏡屋敷を出ると公園へと向かった。
□一年前 神浜市内某所 鏡屋敷裏手の公園
制服姿のやちよ、みふゆ、私服姿の綾女の3人は公園内で人のいない適当なベンチを見つけるとそこに座った。
みふゆ「やっちゃん。ワタシは少し帰りが遅れると親に電話して来ます」
やちよ「分かったわ。じゃあ話は先に進めているわ」
みふゆ「分かりました」
みふゆはそう言って二人から離れて電話をしている様子を見せていた。
やちよ「さて・・・。まず単刀直入に聞くけど筒地綾女さんよね。あなた何処から来た魔法少女なの?」
綾女「私はキュウべえ専属の魔法少女だから何処と言われても何処にも所属していないわね。言わば流浪の魔法少女よ」
やちよ「噂には聞いていたけど、あなたがそうだったのね・・・」
綾女「と言っても私はその一人よ。他にもいるわ」
やちよ「そのキュウべえ専属の魔法少女さんが・・・。一体、何を調べに神浜市の。それも鏡の魔女結界へ来たのかしら?」
みふゆ「すみません。もう大丈夫です。って!?どうしたんですか?二人共怖い顔をして?」
みふゆの眼前にはやちよと綾女がお互いを試す様な威圧的な表情を向け合っていた。
やちよ「しょうがないでしょ。得体の知れない相手と会話をしているんだから」
綾女「それはお互い様でしょ。最も私は慣れているけど」
みふゆ「とにかく話を進めませんか?あなたがキュウべえからの依頼で神浜に来た魔法少女だとは分かっていますから」
やちよ「どうやら噂で聞いたキュウべえ専属の魔法少女が彼女みたいよ」
みふゆ「えっ!?あの噂の・・・」
綾女「どんな噂か知らないけど、私はその一人に過ぎないわよ。それが誰を差す噂か分かっているのかしら?」
やちよ「確かに分からないわね・・・」
みふゆ「はい。ワタシたちが聞いたのはキュウべえには専属の魔法少女がいて何かしら行動させている事もある・・・。縄張りを持たない流浪の魔法少女だと言う事です」
綾女「まあ大体は合っているわね。流浪の魔法少女にしてキュウべえの依頼を受けた筒地綾女よ。自己紹介はこれで良いかしら?」
呆れた様子を見せた綾女はそう答えていた。
やちよ「ええ。話を戻しましょう。あなたは何を調べに鏡の魔女の結界に来たの?」
綾女「調査よ。神浜市に強力な魔女が現れたと聞いたから調査に来たのよ」
やちよ「本当の事は言っているけど全部は言ってないって感じね」
みふゆ「やっちゃん。それは綾女さんがこれから話そうとしたのかも知れませんよ。話はまだ始まったばかりなんですから」
綾女「まあ疑われるのが私の仕事みたいなモノよ。まあ順を追って話すと私が調べていたのはある魔女が出現した事による影響に関する調査よ」
みふゆ「それが鏡の魔女と言う事ですか?」
綾女「いいえ。違うわ。確かに鏡の魔女も強力な魔女なのは確かだけど、鏡の魔女もある存在の影響で出現したかも知れない魔女に過ぎないわ」
やちよ「ある存在ってなんなのかしら?」
やちよがそう言った時、綾女の表情が暗く雰囲気が変わった。
綾女「聞いた事があるでしょう?ワルプルギスの夜を」
やちよ、みふゆ「!?」
思ってもみなかった名前を聞いてやちよとみふゆは驚きを隠せなかった。
やちよ「ちょっと・・・。ワルプルギスの夜って・・・」
みふゆ「はい・・・。単独の魔法少女では対処不能な超大型の魔女だと聞いていますが・・・」
綾女「そのまさかよ。アレはどうにもならないわ。この目で見た私が言うんだから間違い無いわよ」
やちよ「この目で見たって・・・。あなた・・・。ワルプルギスの夜と戦ったって言うの?」
綾女「いいえ。戦ってはいないわ。ある街に出現したのを遠目から見ただけよ。キュウたん、じゃなくてキュウべえからの依頼でね」
やちよ「戦ってもいないのに・・・。そんな事が言えるのね」
綾女「戦うかどうかは依頼しだいよ。でもワルプルギスの夜と戦おうなんて馬鹿としか言いようが無いわね」
やちよ「・・・・・」
無言で綾女を睨むやちよだったが綾女はどこ吹く風と言った表情を見せていた。
みふゆ「ところで影響と言うのはワルプルギスの夜が起こした影響と言う事ですか?」
みふゆは話を進める為の会話を促した。
綾女「そうね。ワルプルギスの夜が一度でも出現すれば周囲全体に大きな影響を引き起こすわ。例えば魔女の大移動に伴う魔女の減少」
やちよ、みふゆ「!?」
綾女「更にはワルプルギスの夜が出現した後、出現した地域を中心に強力な魔女が出現する可能性が高くなるとキュウべえは統計を出しているわ」
みふゆ「じゃあ最近、神浜市で起こった出来事は全てワルプルギスの夜が出現した事が原因だと言うのですか?」
綾女「そうかも知れないわね。出現した場所はここから大分離れた場所だけど、それでも影響が起きたのは確かね。魔女が移動した方向にある宝崎市では魔女の大量発生が引き起こされた位なんだから」
やちよ「にわかには信じられないわね・・・。たった一体の魔女がそこまでの影響を引き起こすなんて・・・」
綾女「信じられないでしょうけど事実よ。それが私とキュウべえの調査結果よ」
やちよ「あなたの言う事をそのまま鵜呑みには出来ないわね・・・」
みふゆ「でもやっちゃん。鏡の魔女や魔女の減少と言い綾女さんの言う事にも一理あると思います」
綾女「まあ信じろとは言わないわよ。キュウべえが必要としていた調査に過ぎないんだから」
やちよ「だからこそますます信用出来ないわね」
みふゆ「やっちゃん・・・」
綾女「まあ良いわよ。信用されない事が私の役回りには必要な材料なんだから」
綾女とやちよの睨み合いが続き、みふゆは少し慌てていた。
綾女「まあでも面白い話が聞けたお礼はしてあげるわ」
そう言って綾女は左手の人差し指に差した銀色の指輪に埋め込まれたオレンジ色の宝石を光らせた。
やちよ「ちょっと何をする気!?」
みふゆ「えっ!?」
綾女「あの街の魔法少女達みたいにワルプルギスの夜と戦おうなんて馬鹿な事を考えない様に・・・。感じさせてあげるわ。これがワルプルギスの夜の魔力イメージよ」
その時、綾女からやちよとみふゆの脳裏に直接イメージが送られて来た。
圧倒的な魔力イメージ。
戦ってはならない。戦っても勝つ事が出来ない。
戦ったら死ぬ。
そう思わす程、圧倒的な魔力イメージが二人の脳裏に押し込まれた。
やちよ「っ・・・。これって・・・」
みふゆ「やっちゃん・・・。こんなの・・・。無理ですよ・・・」
綾女「少しやり過ぎたかしら?悪かったわね・・・」
やちよ「あなた・・・。テレパシーを応用してこんな事をするなんて何考えてるの!?」
綾女「口で説明するより速かったし、何より分かり易いでしょ?」
綾女は悪気の無い様に見える表情を見せていた。
みふゆ「はい・・・。嫌と言う程、分かりました・・・」
やちよ「ええ。そこだけは認めるわ・・・」
綾女「そこで隠れているお二人さんにも伝わったでしょ?」
隠れている二人「「!?」」
そう言って近くの植え込みから二人分の人影が動く音がした。
ハッとする表情を見せるやちよとみふゆ。
綾女「私、探知魔法を使えるから直ぐに分かったわよ。隠れてないで出て来たらどうなの?」
やちよ「・・・。二人共出て来て良いわよ。見破られているなら隠れて貰った意味が無いわ」
みふゆ「そう言う訳ですから、ももこさん。メルさん。出て来て良いですよ」
やちよの決断、みふゆの発言を受けて植え込みの影から制服姿の十咎ももこと安名メルの二人が姿を見せた。
ももこ「なんだ。バレてたのか・・・」
メル「ボクは上手く隠れてましたよ!ももこさんが動いたからバレたのかも知れませんけど」
ももこ「いや・・・。メル。魔力で探知したんなら見えてなくても同じだろ・・・」
メル「あっ!?そうでしたね。でも驚いて動いたのはももこさんじゃないですか!ボクは動いてませんよ!」
ももこ「あんな魔力気配を感じたら驚くのが当然だよ・・・」
頭を掻きながら答えるももこに対してメルは自分が上手く隠れたと主張を続けていた。
メル「まあそうですよね。ももこさんは今日の占いでも」
やちよ「メル!あなたまさか占いをしたの!?」
メル「えっ!?あ・・・。その・・・。占いって言っても今朝のニュースの占い見ただけですけど・・・」
ももこ「そう言って本当は占ったんじゃないのか?」
メル「占ってませんって!?本当ですよ!?」
その様子を見て綾女は少し笑っていた。
綾女「面白い漫才ね。見てて飽きないわ」
みふゆ「まあワタシ達には日常ですから・・・。いつから気が付いていたんですか?」
綾女「あなたが親に電話すると言った後よ。喋りながら魔力を探ったら梓さんの後を追って二つ魔力を感知したわ」
みふゆ「やっぱり綾女さんから見ると不自然ですから気付かれますよね・・・」
綾女「そうね。もしあなたが親に電話する習慣を知っている相手なら騙されたかも知れないわね」
そう言って綾女は座っていたベンチから立ち上がった。
綾女「私はもう行く事にするわ。面白い話も聞けたしお礼も十分でしょう?」
やちよ「そうね・・・。話は済んだし・・・。お互いにもう関わりたく無いわね」
綾女「それで良いんじゃないかしら?神浜での仕事も終えたし連れ合いを待たせているから行くわ」
そう言って筒地綾女はそのまま公園を出て去って行った。
みふゆ「なんだか・・・。また会いそうな気がします」
やちよ「私は会いたく無いわね・・・」
やちよ(みふゆ。気が付いた?)
急にテレパシーでみふゆに話しかけるやちよ。
みふゆ(何をですか?)
やちよ(あの筒地綾女・・・。私の気のせいじゃ無ければ彼女からは二種類の異なる魔力を感じ取れたわ)
みふゆ(それって・・・)
やちよ(前に聞いた噂ではキュウべえ専属の魔法少女はソウルジェムを奪っていると言う話を聞いたわ。もしかしたら・・・。他人のソウルジェムを使っていたのかも知れないわ・・・)
みふゆ(そんな事って!?)
やちよ(まあ・・・。これは推測に過ぎないわね。確証があって言う訳じゃないから・・・)
ももこ「ところであの人・・・。そのまま行かせていいのか?」
みふゆ「キュウべえ専属の魔法少女と言う事ですから、依頼があれば何処にでも行くのでしょう。きっと一つの場所に留まる事は無いと思いますよ」
メル「随分と変わった事をしている人なんですね・・・。でもキュウべえ専属の魔法少女ってボクが聞いた話だと、魔女を引き寄せる呪いの右目を持った少女を連れているって聞きましたよ?」
ももこ「連れ合いがいるって言っていたから何処かに待たせているんじゃ無いか?」
みふゆ「と言っても筒地綾女さんもキュウべえ専属の魔法少女の一人に過ぎないと言っていました。他の人の噂だったのかも知れません」
やちよ「いずれにしても東と西の問題に、鏡の魔女の問題。筒地綾女にこれ以上接触して問題を増やす事は無いと思うわ・・・。今日はもう帰りましょう。鏡の魔女に挑戦するのはいつでも出来るわ」
みふゆ「そうですね。今日はもう帰りましょうか」
ももこ「せっかく来たのに何も出来なかったな・・・。バッドタイミングか・・・」
メル「でもそんな事はないですよ。ワルプルギスの夜が持つ魔力イメージは覚えたし、あの筒地綾女って人が本当は危険な人物だったとしても、ボクとももこさんが潜んでいたから大人しく帰ったのかも知れませんよ」
みふゆ「それはあるかも知れません。ですからももこさんが隠れてくれたのはベストタイミングでしたよ」
ももこ「まあみふゆさんがそう言うならそうだよな・・・」
やちよ「さあ。みんなみかづき荘に来るつもりなのは分かっているから行きましょう。帰りに買い物も手伝って貰うから」
みふゆ「良いですよ。ワタシ、買い物って余りした事が無いから楽しいんです」
メル「それはみふゆさんみたいなお嬢様だけですよ」
ももこ「そうだよな。うん?鶴乃からメールが届いてる。配達が一段落したから今から鏡屋敷へ向かうって」
やちよ「じゃあ鶴乃にも買い物を手伝って貰いましょう」
ももこ「分かった。メールしとくよ」
やちよ「さあ。みんな行くわよ。今日は確か新西区のスーパーで夕方からのセールがある筈だから」
早歩きで進むやちよ。
みふゆ「待って下さい!やっちゃん」
ももこ「やちよさん。速いって」
メル「ボクを置いて行かないで下さい」
やちよを先頭に4人は新西区で夕方からセールを行うスーパーで鶴乃と無事に落ち合い買い物を済ませてみかづき荘へ行くのだった。
□ 神浜市内 某所 みふゆの仮住まい 夜
回想終了
物思いにふけるみふゆ。
みふゆ(あの後・・・。綾女さんは宣言通りに神浜市から出て行った様でした。でも後日、十七夜さんや他の魔法少女と情報交換をする中で綾女さんと会って話をしたと聞きましたね。最もワタシ達と同じ様にワルプルギスの夜のイメージを見せて去ったと聞きましたが・・・。あの時、綾女さんは恐らく神浜市の東と西の対立を知っていたからこそ朱奈さんを連れて来なかったのですね・・・。もし朱奈さんがいたらどうなるか分かった物じゃありませんから・・・)
過去を回想しながら、椅子に座るみふゆは持っていたスマートフォンを起動させてある写真を見た。それは高校時代のみふゆとやちよ、ももこ、メル、鶴乃の5人が写った写真だった。
この写真は・・・。まだ5人でチームを組んで幸せを感じていた時だった。
みふゆ(あの時は・・・。やっちゃんや他の仲間との日常がいつもの事でとても幸せだったんだと今では思います。だって・・・。この数ヵ月後に・・・。メルさんが魔女になるなんて思ってもいなかったんですから・・・)
みふゆの脳裏に思い出されるメルが魔女化する瞬間。
そしてみふゆはドッペルを発動させて灯花と出会った事を思い出した。
みふゆ(それがきっかけになって・・・。ワタシは救われたいという思いの元でマギウスの翼へと入った・・・。ワタシの選択は間違っていませんよね?メルさん・・・)
みふゆ「もしメルさんがいたら・・・。これから先の事を占って欲しかったです・・・」
それが叶わない事だとみふゆは知っていたが思わず呟いていた。
言葉は引き寄せる。
たった一つの単語が切っ掛けとなってみふゆはもう一人の仲間の事を思い出していた。
寡黙で鋭い目をして音楽を好んだ少女の事を。
みふゆ「かなえさん・・・。ワタシは・・・。間違ってませんよね・・・」
みふゆの思い出に残るかなえは答えない。
けどみふゆには分かっていた。
もし本人がここにいたとしても・・・。
決して何も答えないと言う事を。
みふゆ「そうですね・・・。答えは自分で出すしか無いんですから・・・」
この話で初めてやちよさんの台詞を書きました。
やはり筒地綾女とは似た物同士の同族嫌悪がある様に書いてて感じました。
綾女がワルプルギスの夜のイメージをやちよやみふゆ、ももこに見せたのはマギアレコード本編においてワルプルギスの夜が神浜に向かっている事を聞いたやちよやももこがまるで知っているかのような描写が存在したからです。
なお鶴乃が出ないのは、その方が旧みかづき荘メンバーの描写が強まると思ったからです。