マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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外伝5 マギウス試作実験編

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ前の広場

 

 

黄色いローブを身に纏ったナナツメの前には魔法少女姿の彩月が立っていた。

彩月の右肩には黄色いバンダナが巻かれている。

 

ナナツメ「いつでも来い」

 

彩月「遠慮せずに行かせて貰うで!」

 

ナナツメに向かって走り出す彩月。

薙刀を振るう彩月の攻撃を軽々と避けて行くナナツメ。

やがてナナツメは振るわれる直前の薙刀を掴んで彩月の動きを止めた。

 

彩月「ちぃ!?」

 

ナナツメ「これだけか?」

 

彩月「そうでもないで!」

 

 彩月が右足をナナツメに向けた瞬間に右足から鎖鎌が飛び出して来た。

 

ナナツメ「むっ!?」

 

 驚くナナツメの左足に絡まる鎖鎌。

 その瞬間を見逃さずに彩月は薙刀を左手から一度、魔力に戻して消すと瞬時に右手から出現させていた。

 つまり武器を魔力に戻して体内を移動させ再形成したのだ。

 

ナナツメ「やるな」

 

 だがナナツメもまた左手の鎖鎌で防御をしていた。

 

彩月「まだまだやで」

 

 そう言って彩月が左手をナナツメの身体に向けたと同時に左手の掌から一気に勢いを付けた鎖鎌を発射しようとした!

 

ナナツメ「!?」

 

 驚く表情を見せたナナツメだったが、左手に出現させた鎖鎌に破壊の固有魔法を発動させて回転させた。

 彩月が左手から放った鎖鎌を破壊の魔法で破壊し、更には回転させたナナツメの鎖鎌が自身の左足に絡まっていた彩月の右足から伸びた鎖鎌の鎖を断ち切っていた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

彩月「・・・」

 

 彩月とナナツメはお互いに距離を取り離れたが、直ぐにどちらとも無く武器を収めた。

 

ナナツメ「前よりは良くなっている」

 

彩月「ナナツメさんに褒められるなんて意外やな」

 

ナナツメ「一夜にローブを改造して貰ったのだろう?虚を突くには良い武器だ」

 

彩月「一夜さん。褒められるとるで」

 

一夜「そんな事は・・・」

 

 彩月が声をかけた離れた場所には一夜が黄色いローブを着て立っていた。

 一夜は離れた場所から彩月とナナツメの訓練を見学していた。

 この訓練は一夜が改造した彩月のローブの試験と言う意味合いもあった。

 

ナナツメ「ローブの改造は上手く行った様だな。小生も頼みたいが出来るか?」

 

一夜「はっはい。どう改良するのか適切な指示があれば・・・」

 

ナナツメ「そうか。後で頼む」

 

彩月「ナナツメさんはどんな改良を頼むつもりなんや?」

 

ナナツメ「そうだな・・・」

 

ねむ「どうやら3人共仲良くしている様でなによりだよ」

 

 そこへ柊ねむの声が響いて3人が振り返るとフェントホープに向かって私服姿のねむが歩いて来る所だった。

 

ナナツメ「ねむ様・・・・」

 

一夜「ねむ様!?」

 

彩月「久しぶりやな。ねむ様」

 

ねむ「うん。数日ぶりだね。3人共」

 

ナナツメ「活動を再開するのですか?」

 

ねむ「そうだね。海水浴や親戚付き合いも済ませたし、これからマギウスの活動を再開しようと思うよ」

 

ナナツメ「ではまた護衛を」

 

ねむ「と言ってもまだ夏休みだからね。護衛は必要な時だけ連絡するよ。僕もまだ夏休みの宿題を済ませないといけないからね」

 

ナナツメ「分かりました。護衛の連絡があるまではホテルフェントホープで待機しています」

 

ねむ「うん。よろしく頼むよ。ナナツメ。あと一夜。ちょっと良いかな?」

 

一夜「えっとなんでしょう?」

 

ねむ「ちょっと実験に付き合って貰いたいんだ。時間はとらせないよ」

 

一夜「はい。大丈夫です」

 

彩月「じゃあその間、ウチはナナツメさんと訓練の続きをさせて貰いますわ」

 

ナナツメ「構わない。だが手を見せた以上・・・。苦戦はするぞ」

 

彩月「それでえんやないですか?戦いってそう言うもんやろ」

 

 そう言いながら彩月はナナツメに向かって薙刀を向けた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 ナナツメも無言で鎖鎌を薙刀に向けて・・・。ぶつかり合った瞬間に二人の戦いという名の訓練は始まった。

 

ねむ「じゃあ行こうか」

 

一夜「ナナツメさん。彩月さん。後で戻ります」

 

 彩月とナナツメに挨拶するとねむと一夜はフェントホープに入った。

 その足で会議室へと向かって入ると会議室には既に私服姿の里美灯花とアリナ・グレイが来て椅子に座っていた。

 

灯花「ねむー。遅いよー」

 

ねむ「待たせて悪かったね。アリナもちゃんと来てくれたみたいだね」

 

アリナ「アリナは特にやるコトもなかったから来ただけだカラ」

 

 呼び出しに応じたアリナだが特別関心がある訳では無いと言う様子を見せていた。

 

ねむ「じゃあ早速始めようか。灯花。ちょっと武器である傘を生成してくれないかい?」

 

灯花「うん?いーけどどうするの?」

 

 答えながら灯花は自身の武器である傘を生成した。

 

ねむ「ちょっと借りるよ。一夜。灯花の傘に魔力を通せるね?ちょっとやってみて」

 

 ねむは灯花から傘を受け取った。

 

一夜「分かりました」

 

 一夜はねむから受け取った傘をテーブルの上に置いて改めて自身の魔力を注ぎ込んだ。確かな手ごたえを感じた。

 

ねむ「灯花。一夜に渡した傘を感知出来るかい?」

 

灯花「微弱に感じるけど・・・。傘はもう一夜の物になっているねー」

 

ねむ「じゃあ灯花。武器である傘は再形成出来るよね?」

 

灯花「魔力は消耗しているけど問題無く出来るよー。ほら」

 

 灯花は目の前で傘を再出現させ消して見せた。

 

ねむ「一夜。灯花の傘を武器として使えるよね?」

 

一夜「使えるとは思うんですけど使い方が・・・」

 

 適当に構えて見る一夜だったが使い方が分からず悪戦苦闘している様だった。

 

灯花「一夜。ちょっと傘を貸して」

 

一夜「分かりました」

 

 一夜は灯花に素直に傘を渡した。

 

灯花「ふうーん。確かに機能としては問題無いけど一夜の魔力が入った結果としてわたくしが使った時よりは魔力の変換能力は落ちている感じかにゃー?」

 

ねむ「つまり機能は落ちているけど他の人でも使えそうって事だね?」

 

灯花「そうだねー。わたくしの見た限りそうだと思うにゃー。それにこれって黒羽根や白羽根のローブに付けた鎖鎌の応用だよね?」

 

 言いながら灯花はテーブルに傘を置いた。

 

一夜「作り方としてはそうです」

 

ねむ「むふ。思った通りだね。じゃあ次は僕の本にも魔力を通して貰うよ」

 

一夜「分かりました」

 

 言われた通りに一夜はねむから差し出された武器である本に自身の魔力を通して自身が使える物に変換した。

 ねむは自身で再度、武器である本を形成出来るか確かめた。

 

ねむ「アリナ。君のキューブも複製したいんだけど」

 

アリナ「ホワット?アリナのアトリエに悪影響が出たらイヤなんですケド?」

 

ねむ「僕の本を複製してもウワサの挙動に問題が無いから大丈夫だよ」

 

アリナ「ふーん。それなら良いんですケド」

 

 一度は拒否したアリナだったがねむの説得を受けて普段使っている9面体のキューブを生成して一夜に差し出した。

 

一夜「ありがとうございます」

 

 恐縮しながら受け取った一夜は9面体のキューブに魔力を通してキューブを自身で使える様にした。

 その間にアリナは新たに9面体のキューブを生成していた。

 

アリナ「確かにアリナのアトリエには影響が無いみたいだヨネ。それで?ねむは何をするつもりなワケ」

 

ねむ「ふむ。そろそろ説明しようかな。これを見てくれるかい?」

 

 そう言ってねむは机の上に三つのソウルジェムを並べた。

 

灯花「これってもしかして反逆者達のソウルジェムだよね?」

 

 ソウルジェムを睨みながら灯花が答えた。

 

ねむ「うん。そうだよ。この三つのソウルジェムに筒地綾女の魔法を応用して今、一夜の魔力を通した僕たちの武器を取り込ませるんだ。そしてローブと組み合わせれば、どうなると思う?」

 

アリナ「どうなるって言うワケ?」

 

灯花「もしかしてわたくし達の魔力の容量を増やすって事かにゃー?」

 

ねむ「うん。正解だよ。特に僕のウワサを作る魔法は負担が大きいからね。この三つのソウルジェムに一夜の魔力を通した僕たちの武器を取り込ませた上でローブと組み合わせれば僕たち用の即席の魔力の充電器になると思ってね」

 

灯花「でもそれだけないでしょー。この仕組みならわたくし達の魔法を他の人でも限定的に使用する事が出来るから被膜の拡大にも役立つかも知れないねー」

 

ねむ「それも考えたけど、やっぱり多少出来る事が限られるみたいだね。まずは誰かにテストして貰いたいけど、誰か良い人はいるかい?」

 

灯花「そうだねー。みふゆにでも聞いてみる?」

 

ねむ「でもそうすると天音姉妹を推薦して来そうだよ」

 

灯花「あの二人にはテストは向いて無いんじゃないかにゃー?」

 

ねむ「そうなると・・・。観鳥令は広報部で忙しいだろうしかと言って神楽教官も多忙だろうから頼むのは難しいね」

 

灯花「残るのは彩月やナナツメだけどあの二人は特殊過ぎるしね。だったら広報部で募集をかけて貰うー?そうすれば誰かしら来ると思うけど」

 

ねむ「そうだね。これから組み立てる訳だからテストは来週だね」

 

灯花「じゃあ広報部に頼んでテスト要員を募集して貰うからー」

 

 そう言って灯花は早速スマホでメールを打っていた。

 

アリナ「話は終わったワケ?それならアリナはアトリエにいる魔女の様子を見に行くカラ」

 

 そう言ってアリナは会議室を出て行ってしまった。

 

ねむ「さて・・・。じゃあ一夜。予備の黒いローブを三つ持って来てくれるかい?その間に僕はソウルジェムに三つの武器を収めて見るから」

 

一夜「わかりました」

 

灯花「じゃあねむ。わたくしも帰る事にするから後はよろしくねー」

 

ねむ「うん。後は任せて」

 

 灯花と一夜は揃って会議室を出て行った。

 

ねむ(さて・・・。一夜のソウルジェムと朱奈の肉体を繋げた事の応用だから問題は無い筈だよ)

 

 自分に言い聞かせる事を想いながらねむは具現の魔法で限定的に再現したソウルジェムを外部から操る魔法を使い三つのソウルジェムそれぞれに、緑色のソウルジェムには灯花の傘、黄色いソウルジェムにはねむの本、赤いソウルジェムにはアリナのキューブを取り込ませた。

 

ねむ「ふう。特に問題は無いかな?」

 

 そこへ三つの黒いローブを抱えた一夜が戻って来た。

 

一夜「ただいま戻りました」

 

 一夜はテーブルの上に三つの黒いローブを並べた。

 

ねむ「丁度良いタイミングだね。じゃあ早速ソウルジェムを」

 

 ねむは先程の魔法を応用して三つのソウルジェムをローブと魔法で繋いで組み合わせた。先程行った事の応用であり作業は直ぐに終わった。

三つのソウルジェムは黒いローブのチョーカーが付けられた部分に接続されていた。

 

ねむ「これで大丈夫だね」

 

一夜「ねむ様・・・。一つ提案が」

 

ねむ「なんだい一夜?」

 

一夜「このローブなんですけど・・・。区別が付く様に色を変えるのはどうですか?」

 

ねむ「そうだね。僕もそう思っていたよ。じゃあ区別が付く様に色を変えて貰えるかい?」

 

一夜「分かりました。ローブの色は三つとも同じ色で良いですか?」

 

ねむ「うん。ソウルジェムの色で区別が付くからね」

 

一夜「じゃあ・・・。やってみます」

 

 一夜がソウルジェムの接続された黒いローブに手を触れるとローブの色が黒から深い赤に変化した。

 ローブの色は指揮要員の白羽根。

 戦闘員の黒羽根。

 親衛隊の黄羽根。

 と白と黒と黄色が使われており赤は使われていない為、色による区別は容易だった。

 

一夜「どうでしょう?」

 

ねむ「良いと思うよ。この色にするのは一夜のアイディアかい?」

 

一夜「はい。前にアリナ様がローブのデザインを纏めた時に候補を色の候補が幾つかあったので、使わなかった色に変えてみました」

 

ねむ「成程。流石はアリナだね。じゃあ一夜。残り二つのローブの色も同じ色にしてくれるかな?」

 

一夜「はい」

 

 一夜が残る二つの黒いローブに触れて魔力を操作するとローブの色は深い赤へと変化した。

 

ねむ「見事な出来栄えだね。これも一夜あっての事だよ。ありがとう。一夜」

 

一夜「いえ。そんな事は・・・。あたしはただアリナ様のデザインとねむ様の言う通りにしただけです・・・」

 

ねむ「謙遜する事は無いと思うけどね」

 

 ねむは少し呆れた様子を見せていた。

 

ねむ「じゃあ準備は終えたし一夜。もう戻って良いよ。僕も少し休んだら今日は帰る事にするから」

 

一夜「分かりました。じゃあねむ様。また何かあればお呼び下さい」

 

 そう言って一夜も会議室を出て行った。

 

ねむ「さて・・・。どんな魔法少女がテストに来るのかな?」

 

 ねむの表情は少しだけ楽し気だった。

 

□ 神浜市内 栄区 路地裏

 

 

路地裏を一人で歩いている私服姿のアリナ・グレイ。

 そこへ前方から3人の人影が現れた。白羽根一人に黒羽根二人。

 驚く事無くアリナは3人に話しかけた。

 

アリナ「今日の獲物はどうナノ?」

 

白羽根1「はい。今日はマギウスからのノルマ分である3体の魔女を捕獲しました」

 

アリナ「それだけじゃないヨネ?」

 

 アリナの言葉を聞いた白羽根1はローブの中から手に取った物を見せた。

 それはハンドベルだった。

 

白羽根1「はい。魔女を引き寄せる呪いの収められたこのハンドベルを使い更に3体、アリナ様用に内密に捕獲してあります」

 

 そう言って白羽根1はアリナから授けられた魔女を捕獲したキューブをアリナに引き渡した。

 

アリナ「アッハハハハハハ。アナタ達は本当に優秀だヨネ。アリナの要望を聞いて他には内緒で魔女を捕獲してくれるなんて・・・。随分と物分かりが良い羽根だヨネ」

 

白羽根1「いえ。そんな事は・・・」

 

アリナ「謙遜しなくていいカラ。これだけ色々とやってくれるのなら・・・。前に聞いた提案は・・・。受けても良いかも知れないヨネ?」

 

白羽根1「はっ。それはお互いに良い事だと思います」

 

アリナ「でも本当に出来るワケ?アナタ達は・・・。まだ、その魔法をアリナに示していないヨネ?」

 

 アリナは懐疑的な表情を3人の羽根に向けている。

 

白羽根1「はい。出来ると言う確信があるからこそ提案した事です。今はまだ必要な魔法を持ち合わせていませんが・・・。時がくれば手に入る事は既に決まっています」

 

アリナ「そこまで言い切るのなら・・・。その魔法を手に入れたら話は聞いてあげるカラ」

 

 そう言ってアリナは3人の羽根に背を向けて去って行った。

 

白羽根1「春夏秋冬。季節が巡るのが必然なら我々の手に巡って来る・・・」

 

 その時、白羽根1のスマートフォンがメールの到着を知らせた。

 

白羽根1「マギウスのメール?広報部から・・・。これは!?」

 

黒羽根3「どうしたのですか?」

 

白羽根1「どうやらマギウスのお二人が面白い事を始めたようだ」

 

黒羽根4「それは我々に有益か?」

 

白羽根1「大いに有益だ。3人でマギウスの実験に協力する・・・。いいな?」

 

黒羽根3「分かりました」

 

黒羽根4「分かった」

 

 そして羽根達もまた路地裏から姿を消した。

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 地下訓練場

 

 

地下訓練場において椅子に座る魔法少女姿のねむの前には白羽根1と黒羽根3と黒羽根4が来ていた。ねむの背後には黄色いローブを着たナナツメも待機していた。

 

ねむ「どうやら君たちが募集に応じてくれた羽根の様だね」

 

白羽根1「はい・・・。マギウスの翼の・・・。解放の為に協力したいと存じます」

 

黒羽根3「同じく・・・」

 

黒羽根4「その通りです・・・」

 

ねむ「じゃあ早速だけど君達に頼みたいのは新装備の運用実験だよ。そこのテーブルの上に纏めてある3つの赤いローブ。それの運用テストを頼みたいんだ」

 

白羽根1「分かりました・・・」

 

ねむ「じゃあ早速その赤いローブを着てみてくれるかい?」

 

白羽根1「分かりました・・・」

 

 白羽根1と黒羽根3、黒羽根4は着用していたローブをソウルジェムに収めると用意された赤いローブを着用した。

 それぞれが身に着けたローブの肩にはねむの指示で一夜が新たにローブの役割を示す英語のイニシャルが一文字付けられていた。

 

白羽根1=赤羽根A(アンブレラ)

黒羽根3=赤羽根B(ブック)

黒羽根4=赤羽根C(キューブ)

 

ねむ「じゃあまずそのローブには、それぞれ専用の武器が内蔵されているから武器を出して見て。やり方は鎖鎌を出すのと同じだから」

 

赤羽根A「分かりました」

 

 赤羽根Aは赤いローブを着た瞬間に新しい武器と魔力が接続された事を正確に認識していた。だからこそねむに言われた事を直ぐに実行する事が出来た。

 赤羽根Aの手にはフリルと言った装飾の施された傘が握られていた。

 それを見た赤羽根Bと赤羽根Cもそれぞれの専用武器である本とキューブを出現させていた。

 

ねむ「むふ。どうやら問題は無いみたいだね」

 

 ねむは赤羽根達が専用装備をちゃんと出せた事に満足した様子を見せていた。

 3人の赤羽根はそれぞれの武器を構えて機能を試した。

 赤羽根Aのアンブレラからは炎が滲み出ている。

 赤羽根Bのブックからは本のページが具現化されて羽ばたいた。

 赤羽根Cのキューブは手の平から四つに分離して展開して訓練場に置かれていた椅子をキューブに取り込み、また取り出して見せた。

 3人の赤羽根の様子にねむは少し驚いた様子を見せていた。

 

ねむ「もしかして・・・。君達は僕たちの魔法を見た事があるのかい?」

 

赤羽根A「はい。マギウスのお三方が戦っているのを一度見ました」

 

赤羽根B「ですので魔法の事はある程度は」

 

赤羽根C「知識がございます」

 

ねむ「成程。合点が言ったよ。それにしても・・・。君達は知見があるとは言え初めて使う魔法をここまで使いこなすなんて・・・。予想外だよ」

 

赤羽根A「それは・・・。お言葉ながら、我々には当然の事かと・・・」

 

ねむ「うん?」

 

赤羽根B「我々羽根は基本的にローブを着ている時には・・・」

 

赤羽根C「固有魔法とは異なる別の魔法を使用していますから・・・」

 

ねむ「そうか。確かにそうだったね」

 

 ねむは合点が言ったと言う表情を見せていた。

 

ねむ「じゃあ次は機能を試そうか。アンブレラ=傘を持っている君。傘を使って君の魔力を僕の魔力に変換出来るかい?」

 

赤羽根A「やってみます・・・」

 

 赤羽根Aは傘を剣の様に構えると集中した。

 傘から流れ出る放出された魔力は赤羽根Aの物からねむの物へと変換された。

 しかし直ぐに魔力は途切れ赤羽根Aはその場に膝を付いた。

 

ねむ「どうしたんだい?」

 

赤羽根A「すみません。ねむ様。魔力の変換は出来るのですが・・・。物凄く集中力を使います・・・」

 

ねむ「成程。やっぱり他人の固有魔法は再現しても使用には無理があるみたいだね。うん。気にする事はないよ」

 

赤羽根A「はい・・・」

 

ねむ「次はブック=本を持っている君だね。簡単なウワサを今出すからコントロール出来るかやってみてくれるかい?」

 

 そう言ってねむは自分の手に出現させた本から名無しメールのウワサを一体出現させた。名無しメールのウワサは静止している。

 

赤羽根B「分かりました・・・」

 

 赤羽根Bは手にしたブックに魔力を注いだ。

 すると名無しメールのウワサが赤羽根Bの傍に近付いた。

 

ねむ「ふむ。じゃあ次はこれでどうかな?」

 

 ねむはそう言って名無しメールのウワサを5体出現させた。

 赤羽根Bはブックに更に魔力を集中するともう一体の名無しメールのウワサが赤羽根Bの傍に来た。

 

赤羽根B「ねむ様・・・。すみません。これ以上は無理です・・・」

 

ねむ「まあそうだろうね。ご苦労様。魔法を解いても良いよ」

 

赤羽根B「はい・・・」

 

 赤羽根Bが名無しメールのウワサのコントロールを解除するとねむは名無しメールのウワサを消滅させた。

 

ねむ「じゃあ最後にキューブ=立方体を使っている君。アリナの様な攻撃は出来るかい?」

 

赤羽根C「・・・」

 

 赤羽根Cが魔力を込めると立方体に無数に細かく細分化して一本の光線となって打ち出された。

 更に一部のキューブが赤羽根Cの真横に移動して巨大な立方体を形成するもねむの目から見てもその動きはぎこちなかった。

 

ねむ「どうやら負担が大きいみたいだね。これ以上無理をしなくて良いよ。実験は終わりだから」

 

赤羽根C「分かりました・・・」

 

 赤羽根Cもまた片膝を付いていた。

 

ねむ「うん。十分な成果が出たよ。3人共ご苦労様」

 

赤羽根A「あっありがとうございます・・・」

 

赤羽根B、C「!?」

 

 ねむの労いに赤羽根A達は驚きを見せていた。

 

みふゆ「そうです。先程から拝見しましたが、3人共良い働きをしていますよ」

 

 声と同時に訓練所の上部に設置されていた観覧所へ繋がる階段からみふゆが降りて来た。

 

赤羽根B「みふゆ様!?」

 

みふゆ「あっ。3人共、そのままで良いですよ。疲れているでしょうし」

 

 その場に座り込んでいた赤羽根3人が立ち上がろうとするのをみふゆは手で制した。

 

ねむ「どうしたんだい?こんな所へ来るなんて珍しいね」

 

みふゆ「はい。灯花からこの赤いローブのテストの事を聞いていましたから。テストは順調の様ですね」

 

ねむ「まあ順調だね。おいおい進めて行く事にするよ。直ぐに必要な物でもないからね。僕に何か用があるのかい?」

 

みふゆ「はい。と言うよりもこの赤いローブの出来を見に来ました」

 

ねむ「みふゆも興味があるのかい?」

 

みふゆ「実は最近、羽根達から要望書が提出されまして・・・。羽根の武器を別な物に変えられないのかと」

 

ねむ「羽根の武器をかい?まあ確かに鎖鎌や短剣での戦いに全員が対応するのは難しいだろうしね。言われてみれば当たり前の事だね」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 ねむは脇にいるナナツメを少し見たがナナツメは何も話さない。

 

みふゆ「はい。だから羽根の新装備開発を一夜さんに依頼しようと思っていました。灯花に相談をしたら、ねむが試作品の赤いローブのテストをすると聞いたので様子を見に来ました。この赤いローブが作れるのなら・・・。新しい武器を付けたローブも作れますよ」

 

ねむ「うん。みふゆの言う通りだね。灯花に話を通してあるなら僕も良いと思うよ。白羽根達と相談して一夜に作って貰うと良いよ」

 

みふゆ「分かりました。アリナには一応、ワタシから連絡だけはしておきます。それでは」

 

 そう言ってみふゆは訓練所を出て行った。

 

ねむ「じゃあ君達もローブを脱いで帰って良いよ。お疲れ様」

 

赤羽根A「あの」

 

ねむ「なんだい?」

 

赤羽根A「もう少しこの赤いローブのテストをしてもよろしいですか?」

 

 意外な申し出にねむは少し驚きを見せた。

 しかし赤いローブのテストを更に続ける事に異論は無かった為、賛成と言う事を示した。

 

ねむ「構わないよ。でも今日はもう僕は帰る事にするからテストが終わったら一夜にローブを三つとも返しておいてくれるかい?」

 

赤羽根A「分かりました。ではこのローブ。お借りして練習をさせて貰います」

 

 そう言って3人の赤羽根は再び魔法の訓練を始めた。

 

ねむ「熱心なのは良い事だよ。むふ。じゃあナナツメ。帰りの護衛は頼むよ」

 

ナナツメ「はい・・・・・」

 

 ねむとナナツメは訓練所を出て廊下を歩いている。

 

ねむ「ナナツメ。そう言えば君も一夜に頼んでローブを改造して貰ったんだよね?」

 

ナナツメ「はい。役割に必要な機能を足して貰いました」

 

ねむ「どんな機能を付け加えたんだい?」

 

ナナツメ「ねむ様にならお見せします。この様な機能です」

 

 ナナツメがそう言って壁の前で立ち止まるとその姿が壁の色に溶け込んだ。

 

ねむ「!?姿は消えたけど・・・。魔力は感じる。もしかしてカメレオンの様に保護色の機能かい?」

 

ナナツメ「はい。応用すればこの様な事も」

 

 ナナツメがローブ留め具でもあるマギウスチョーカーに魔力を込めると現れた黄色いローブは白や黒に色を変化した。

 

ねむ「これは・・・。もしかして潜入用と言う事かい?」

 

 ねむの表情には緊張が走っていた。

 

ナナツメ「はい。もし羽根の間に何かあれば小生が潜入いたします・・・」

 

ねむ「もし侵入が必要なら・・・。その時は僕が指示をするから独断で潜入してはいけないよ」

 

ナナツメ「分かっています」

 

ねむ「まあ・・・。そんな事は必要ないと思うけどね・・・」

 

 ねむは自身の懸念を杞憂だと思おうとしていた。

 しかし現に組織の中にいる羽根全てがマギウスに忠実な訳では無い。

 一度、反逆者も出て来たからだ。

 もしナナツメに羽根の内部への潜入を依頼すると言う事は再度の反逆が起き羽根への信頼が無くなった事を意味していた。

 

ねむ(やっぱり・・・。あのウワサは必要かな。完成を急ごうかな・・・)

 

 ねむの脳裏には植物で構成されたスピーカーと思しき形と文章が組み立て始められていた。

 

 




あとがき
今回の話はあからさまな伏線話ですね。
マギウスの翼における勢力描写がしたかったんですね。
灯花派と言えるみふゆや天音姉妹。
ねむ派と言えるナナツメ、一夜、彩月。
そしてアリナ派がある様な描写を加える事で組織が必ずしも一枚岩でない表現に繋がればと思いました。
赤いローブは白と黒に黄色に裏地が青のローブがあるなら消去法でブラストディスクをイメージした赤いローブが必要と感じて赤いローブに決まりました。
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