マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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今回の話は前回からの完全な続編です。


1・5章 魔法は人をおかしくさせるんやからな 下

彩月「戦うしか無いやろ」

 

 覚悟を決めた彩月は自身の武器である薙刀を構えていた。

 

黒羽根1「でも・・・」

 

 黒羽根1は躊躇を見せていた。

 

彩月「だあー。もう覚悟決めい!戦わな生き残れへんやろ!ウチらにゃいつもの事やろ!」

 

黒羽根9「それはそうですけど・・・」

 

彩月「生憎ウチは死にとうないんや。本気で戦わな死ぬで!」

 

黒羽根2「そうですよね・・・」

 

彩月「だからローブ脱ぎい」

 

黒羽根1、黒羽根2、黒羽根9「え?」

 

彩月「四の五の言っている場合や無いやろ!本気で戦わな無理や!」

 

 そう言って彩月は羊の魔女へ向かって先陣を切って薙刀で切り付けていた。

 しかし彩月の攻撃では決定打に欠けているのが明らかだった。

 

彩月(速くローブ脱いで固有武器を使い!緊急事態や。速く!)

 

 戦いながらテレパシーで説得しようとする彩月。

 

黒羽根1「でも・・・。ぼくたちは黒羽根だし・・・」

 

黒羽根9「固有魔法の使用は禁止の筈じゃ・・・」

 

一夜「でも・・・。使わないと勝てないですよ!?」

 

黒羽根2「そうだけど・・・」

 

彩月(責任は黄羽根のウチが取ったる!ウチならねむ様やみふゆさんに取りなせるし裏ルールを忘れたんか!)

 

黒羽根1、黒羽根2、黒羽根9「!!」

 

一夜「確か・・・。みふゆさんが戦いの中で命の危険を感じ場合、もし自分の魔法で突破できるなら迷う事無く使用して下さい。命は一つしか無いんですからって」

 

黒羽根1「そうだった・・・」

 

黒羽根9「確かに今はその状況・・・」

 

一夜「アタシも戦いますからお願いします」

 

 そう言って一夜も大型化した鎖鎌を構えていた。

 

黒羽根2「分かりました・・・。今だけは自分の魔法で戦います!」

 

 そう言って黒羽根2はローブを脱いでその姿を見せた。

 黒羽根2=安積はぐむは出現させた巨大な剣を握り締めていた。

 

安積はぐむ「一夜さんは下がって。私も行きますから!」

 

 そう言ってはぐむは羊の魔女と彩月の戦いに斬り込んで行く。

 

はぐむ「てっ手伝います!」

 

彩月「助かるで!ウチじゃ倒せん!」

 

黒羽根1「はぐむん。じゃあぼくも・・・」

 

 黒羽根1=宮尾時雨もローブを脱ぐと武器であるスリングショットを構えて狙いを付けようとした。

 

黒羽根9「死にたくは無い・・・」

 

 黒羽根9も自分のローブに手を掛けた時、突如として異変が起こった。

 突然、羊の魔女が緑色の四角いキューブに閉じ込められたのだ。

 

彩月「なんや!?」

 

 驚く彩月の耳に聞き覚えのあるヒステリックな声が結界内に響く。

 

アリナ「やっと見つけたんですケド。アリナに探させるなんて面倒な事をしてくれる魔女だヨネ!」

 

 声の主であるアリナ・グレイはどうやらこの魔女を探してた様子だった。

 

アリナ「さっさと捕獲されてヨネ!」

 

 既に魔法少女へ変身していたアリナは羊の魔女に対して二重三重にキューブを重ねる事で拘束すると羊の魔女を捕縛してしまった。同時に結界は消滅して6人は林の中に戻されていた。

 

時雨「戻った!?」

 

はぐむ「たっ助かった・・・」

 

黒羽根9「・・・・・・」

 

アリナ「ハア。どうして呪いのハンドベルで呼び出した魔女が突然方向を変えて逃げ出したワケ?」

 

彩月「いやー。アリナさんのお陰で助かったで。お礼は言わせて貰いますわ」

 

 親し気にアリナに近付く彩月。

 

時雨、はぐむ、黒羽根9「!?」

 

 相手がアリナでも気後れする事無く彩月はお礼を言っていた。

 その様子を見て時雨とはぐむ、黒羽根9は驚いていた。

 

時雨(凄い。アリナ様が相手なのに・・・)

 

はぐむ(あんな風に話せるなんて・・・)

 

アリナ「礼なんていいんですケド。アリナはアリナにとって必要な魔女を捕まえに来ただけだから。アナタたちが死んでいても問題は無かったワケ。アンダースタン?」

 

彩月「まあそっちはそやけど、物の見方を変えれば・・・。羽根を助けたんやから礼を言われる事をしたんやで。あんさんは」

 

アリナ「・・・・・・」

 

彩月「関心あろうが無かろうが、それは否定出来へん事実や。そしてそれはアリナさんが自分で選択してやった事やろ。つまりアンダースタン?アリナさんが言った事やでー」

 

アリナ「ハア。アリナ相手にこう言う事を平気で言える人なんて滅多にいないんですケド・・・」

 

 アリナは彩月に対して呆れたと言う表情を見せていた。

 しかしその時、アリナの視界に彩月の背後にいた一夜の姿が写った。

 

アリナ「!! アナタは! そう言うコト!」

 

 突然アリナは一夜の傍へ行くと一夜の顎に手を添えて一夜の目を覗き込んだ。

 

アリナ「あー。やっぱり。アナタ。道具作りを担当してる一夜だったヨネ。身体は朱奈とか言う呪いの右目を持っているガール」

 

一夜「えっ?はい・・・」

 

アリナ「アリナが呪いのハンドベルで呼び出した魔女が突然方向を変えて逃げ出したのは・・・。アナタがここにいたからだヨネ?アナタがここに来た事で呪いのハンドベルの効力が変調をきたしたのが原因みたいだヨネ?」

 

彩月「ウチと一夜さんはフェントホープへ帰る途中だったんやから偶然やなー」

 

アリナ「それにホラ?ベルの魔力が弱まってる。それと引き換えにあなたの右目に残された呪いの根幹と言うべきモノの輝きを増してるヨネ?」

 

 アリナは一夜に呪いのハンドベルを示しながら一夜のでは無く朱奈の右目を覗き込んでいた。

 

アリナ「アア。いいヨネ?アナタの右目はとても綺麗な色をしているカラ。まるで綺麗に磨かれた宝石の様。このまま抉り取りたい位に魅力的だカラ」

 

一夜「!」

 

時雨、はぐむ、黒羽根9「!?」

 

 アリナの一言に一夜の表情に恐怖が走った。

 それを見て笑顔の彩月は無言無音で鎖鎌の刃をアリナの首筋に向けていた。

 笑顔でそうした行動を取る彩月に黒羽根3人は何も言う事が出来なかった。

 

アリナ「アア。でも・・・。アナタの目はこのままが一番キレイなのも確かだヨネ。だからその目を大切にしてヨネ。いずれ描かせて貰うと思うカラ」

 

 アリナは言いたい事を言うと変身を解いて去ろうとした。

 

アリナ「!!ワット?何なの?このセンスの無い刃物は?」

 

 その時、アリナは首筋に向けられた彩月の鎖鎌に気が付いたが、彩月は右手の鎖鎌を戻しながら面白そうに告げた。

 

彩月「危なかったで。場合によってはウチがアリナさんを攻撃しとったでー」

 

 煽る様にワザと語る笑顔の彩月だったがアリナから背中で隠した左手には鎖鎌を出現させていた。

 

時雨、はぐむ、黒羽根9「!!」

 

はぐむ(ウソ・・・)

 

時雨(わざわざアリナさんを煽るなんて・・・)

 

黒羽根9(これってマズいんじゃ・・・)

 

 彩月の行動に時雨たち3人は驚いていた。

 この3人はアリナ・グレイの危険性を嫌と言う程知っていたからだ。

 

アリナ「黄羽根がアリナに反抗するワケ?」

 

 彩月を睨みながら威圧感と共に手にキューブを出現させる制服姿のアリナ。

 

彩月「黄羽根だから護衛と言う仕事をしとるだけやで。ねむ様や灯花様にも依頼されとるしなー。ウチや一夜さんに何かあったらお二方が怒るんやないかー。それって面倒な事やろー?」

 

 アリナの殺気を意に介さない彩月の棒読み発言を聞いてアリナは顔をしかめた。

 

アリナ「ハア・・・。アナタ・・・。嫌なヤツだヨネ・・・」

 

 面倒そうにアリナは彩月をそう評していた。

 

彩月「それ良く言われるで。それに一夜さんに何かしたらみふゆさんにもストレスを与えるからパーフェクトボディが台無しになるだろうなあー。最近、マギウスの仕事のストレスで甘い物をたくさん食べとると言うとったでー」

 

アリナ「!?」

 

 この爆弾発言にはアリナも驚きを見せていた。

 無論、彩月はと言うよりもマギウスの翼内部ではアリナがみふゆのボディに執着しているのは有名だったからこその口八丁とも言えた。

 

アリナ「それ冗談に聞こえないんですケド・・・」

 

彩月「そうやろ。そうやろ。最近体重が増えたと言っとったなー。ここで騒ぎを起こしたらまた増えるんやないかー。リバウンドした体重は簡単に落ちへんでー。ここはウチの忠告を聞くべきやでー」

 

 空気を読まない棒読み発言を続けた笑顔の彩月に対して戸惑う様子を見せたアリナは先程まで見せていた威圧感が消えて興ざめと言った表情を見せていた。

 

アリナ「アナタ・・・。嫌なヤツだけど・・・。面白いヤツでもあるヨネ・・・。ここまで人を呆れさせる人間も珍しいんですケド。ハア・・・。アリナはもう帰るカラ後は好きにしてヨネ」

 

 彩月に対する一定の評価を下したアリナはそのまま去ってしまった。

 

彩月「好きにさせてもらうでー。また明日―」

 

 彩月は気楽そうに去ってくアリナにワザとらしく大げさに手を振って見せる。

 

時雨(あのアリナ様を言い包めた・・・)

 

はぐむ(黄羽根って思ったより凄い人なのかも・・・)

 

黒羽根9(はあ・・・。何なの。この人)

 

 三者三様の感想を述べながらも3人は彩月を見直していた。

緊張が解けた一夜はアリナが去ったのを見た瞬間にその場に座り込んでしまった。ショックで変身を解いている。

 

彩月「一夜さん。大丈夫か?」

 

一夜「驚いて腰が抜けちゃった・・・」

 

彩月「しゃーないなあ。ウチがおぶったる」

 

 そう言って彩月は一夜をおぶった。

 

彩月「さて。ウチと一夜さんはフェントホープへ行くけど3人は帰るんやろ?」

 

時雨「はい・・・」

 

はぐむ「そのつもりで出て来ましたから・・・」

 

黒羽根9「私は備品の買い出しを頼まれただけで・・・」

 

彩月「んじゃもう解散でええやろ。気いつけや」

 

 そう言ってフェントホープへ向かおうとした彩月は直ぐに歩を止めると

 

彩月「そうや。今の事はちゃんとみふゆさんに報告はさせて貰うで。ちゃんとウチが責任を取るから安心しい。じゃな」

 

 一夜をおぶった彩月はそのまま軽い足取りでフェントホープへと向かった。

 

時雨「ぼくたちも行こうか」

 

はぐむ「そうだね。遅くなっちゃうしね」

 

黒羽根9「私は買い出しがあるので失礼します」

 

はぐむ「うん。じゃあ・・・。また・・・」

 

 時雨とはぐむと別れて黒羽根9は分かれ道で去って行った。

 

時雨「もうこんなトラブルは懲り懲り・・・」

 

はぐむ「そうだよね・・・。黄羽根の彩月さんと一夜さんが来なかったら危なかったよね・・・」

 

時雨「戦いに向いてないって聞いてた一夜さんはともかくあの彩月って人。フレンドリーなだけかと思ったけどアリナ様を言い包めるなんてタダ者じゃ無いのは確かだね・・・」

 

はぐむ「うん。ちょっとあの話術は羨ましいかも・・・」

 

時雨「ぼくも・・・」

 

はぐむ「でも・・・。私はあんな風にはなれない気がするけど・・・」

 

時雨「そうだよね。ぼくも・・・。でも羨ましい・・・」

 

 知らない間に羨ましがられる彩月だった。

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ みふゆの私室

 

 

 

みふゆの私室に赴いている黄色いローブを羽織った彩月。

 

彩月「とまあそう言う訳でウチらは何とか帰って来た訳や」

 

みふゆ「成程・・・。まさかフェントホープの近辺でそんな事があるとは思いもしませんでした」

 

 彩月の報告を聞いて私服姿のみふゆは少し顔を驚いた様子を見せていた。

 

彩月「まさか帰った瞬間にい、戦闘に巻き込まれるとは思いもよらなかったで」

 

みふゆ「そうですね。アリナには呪いのハンドベルを使う場所を選ぶように伝えておきます。一夜さんに何かあったらねむが怒りますからね」

 

彩月「それがええで。あんな魔女が近くにおるんじゃおちおちフェントホープへ帰る事も出来へん」

 

みふゆ「捕獲用のキューブは基本的にワタシの様な幹部や指揮要員の白羽根にしか配布されませんからね」

 

彩月「そうやろ。ウチや一夜さん。それに黒羽根クラスじゃ歯が立たない様な魔女やったで。だから他の黒羽根に固有魔法を使わせるとこやったで」

 

みふゆ「固有魔法をですか?それって」

 

彩月「まあ確かにマギウスの決まりには反するんやけどなあ・・・。裏ルールあるんやしウチが責任取ると言うたさかい」

 

みふゆ「そう言う事ですか・・・。まあ今回の事は特に問題は無いでしょう。魔女との戦いの際に咄嗟に固有魔法を使う事は割とありますから」

 

彩月「まあウチもそう思うで。それで死なれちゃ夢見が悪いからなあ」

 

みふゆ「今回の件は非常事態ですし全員不問で良いでしょう。ところで一夜さんは?」

 

彩月「一夜さんなら腰を抜かしたようやし部屋で寝かせたで」

 

みふゆ「そうですか。じゃあ本題と行きましょうか。彩月さん。報告の中にあったワタシがストレスでお菓子を食べる量が増えたと言うのは誰に聞いたのですか?」

 

 笑顔だが明らかに怒っている様子を見せるみふゆ。

 その様子を見ても涼しい顔をする彩月。

 

彩月「それは推測やで。みふゆさんがお菓子を食べてるのを見て、灯花様からはみふゆさんが食後のデザートを必ず食べる事を聞いて、天音姉妹からもみふゆさんは夏にアイスが欠かせないと言ったそうやないか。だったらみふゆさんは甘い物食べてストレス発散する人やないかと思ってな」

 

 彩月の発言を聞いて固まるみふゆ。

 どうやら彩月の発言は図星だったらしい。

 

彩月「図星かいな」

 

みふゆ「悔しいですが・・・。彩月さんの推測通りですね。ええ。認めます。確かにストレスが溜まると甘い物を食べてストレス発散をしています。けど、それだけマギウスの翼での幹部と言う役割はストレスが溜まると言う事なんです。受験勉強もありますしね・・・」

 

 みふゆは少し恥ずかしそうに答えた。

 

彩月「別に恥ずかしがる事や無いと思うんやけどなあ」

 

みふゆ「そうですけど・・・。ワタシには羽根の人たちを組織に引き入れた責任がありますから・・・。しっかりした所を見せないと」

 

彩月「みふゆさんは十分にしっかりしとると思うけどな」

 

みふゆ「そんな事ありませんよ。ワタシ、今は一人暮らしをしていますが家事にまでは手が回りませんから・・・。洗い物位はしていますが食事はコンビニ弁当ばかりですから」

 

彩月「一人暮らしなんてそんなもんやないのか?」

 

みふゆ「そうかもしれませんが・・・。ワタシから見れば彩月さんも年の割にはしっかりしていると思いますよ」

 

彩月「そおかあ?ウチがしっかりしとるとは思えへんけどなあ」

 

みふゆ「彩月さん個人は話しかけやすいですし、それに相手がマギウスでも平気で言いたい事を言いますから羨ましい限りです」

 

彩月「それは別にウチの能力ではないで」

 

みふゆ「え?それってどういう」

 

彩月「交渉力や何かは単純な話、筒地綾女の記憶から得た能力や。まあ言いたい事を言うんは・・・。ウチの長所かも知れへんけどなあ・・・。年齢より大人びて見えるんも筒地綾女の影響やろ」

 

 そう語る彩月の表情は冷めた表情をしていた。

 

みふゆ「つまり・・・。綾女さんの記憶からの反作用で彩月さんは大人びた性質を得たと言う事ですか?」

 

彩月「そう言う事やな。おかげさんでウチはねむ様に他人のソウルジェムを与えて貰い疑似魔法少女になれたんやしな」

 

みふゆ「そうですね。でも彩月さんはどうして魔法が欲しかったのですか?」

 

彩月「どうしてそんな事を聞くんや?」

 

みふゆ「あっ。すみません。答えたく無ければ答えなくても良いですよ」

 

彩月「別に構わへんで。ウチは筒地綾女の記憶から魔法少女の存在を知った。けどウチには素質が無くて契約が出来へんかった。けど魔法少女の事を知れば魔法が欲しくなるんわ道理やないか?」

 

みふゆ「成程。確かにそうかも知れませんね。ワタシには分かりませんが」

 

彩月「みんながみんな素質を持っとる訳やあらへん。羨むのは当然やろ。魔法は人をおかしくさせるんやからな」

 

みふゆ「確かに魔法にはそれだけの魅力がありますね。そして契約にはそれ以上の魅力が・・・」

 

彩月「禁断の果実と言うヤツやな。まあみふゆさんにはこっちのが良いかも知れへんな?」

 

 そう言って彩月がポケットから取り出したのは、新発売の箱入りアップルクッキーだった。フェントホープへ来る途中にコンビニで購入した物だ。

 

みふゆ「!! 彩月さん。どう・いう・つもり・ですか?」

 

 笑顔のみふゆだが誰の目にも怒っているのが分かった。

 

彩月「ストレスには甘い物やろ?」

 

 悪びれずに語る笑顔の彩月にみふゆは辛うじて怒りを抑えた様だった。

 

みふゆ「分かりました。これは貰っておきます」

 

 引きつった笑顔のみふゆは彩月からアップルクッキーを受け取った。

 

彩月「これ以上はヤバそうやしウチは退散するで」

 

みふゆ「ええ。それが良いと思います。ワタシ、こんなに怒ったの久しぶりですから」

 

彩月「ほなまた!」

 

 間髪入れずに彩月は逃亡してしまった。

 

みふゆ「ハア・・・。困った人ですね」

 

 そう言ってみふゆは貰ったアップルクッキーを早速食べていた。

 

みふゆ「でも・・・。このクッキーは美味しいですね・・・。ワタシも自宅用に買って置きましょうか・・・」

 

灯花「みふゆー。いるー?」

 

 そこへ里美灯花がみふゆを訪ねて来た。

 学校帰りなのか制服姿である。

 

みふゆ「灯花。どうしたんですか?」

 

灯花「やる事やって時間が出来たらから勉強でも教えようと思って・・・。ん?そのお菓子はなんなのかにゃ?」

 

みふゆ「えっ?これは」

 

 みふゆの持っているお菓子を見て顔をしかめる灯花。

 対照的にみふゆは少し慌てていた。

 

灯花「みふゆー!これからは間食を控えるって自分で言ったばかりじゃにゃいー」

 

みふゆ「すみません。灯花。彩月さんから貰ってつい・・・」

 

灯花「言い訳は見苦しいにゃー。しっかりしてよねー。一応、幹部なんだから。やっぱりみふゆにお菓子あげない様に羽根へ通達を出した方が良いのかにゃー?」

 

みふゆ「それだけは勘弁して下さい!流石に恥ずかしすぎます!明日からは控えますから!」

 

灯花「本当に大丈夫かにゃー?」

 

 本気で悩む灯花を見て全力で謝り倒すみふゆだった。

 

彩月「面白い物が聞けたな」

 

 二人の様子をドアの外でコッソリと聞いている笑みを浮かべる彩月だった。

 そして後日、マギウスの翼内部で何故かみふゆと灯花の言い争いの内容が噂話として流れるのだった。

 それから三日後のホテルフェントホープでは・・・。

 

みふゆ「彩月さん!あなたですね!灯花との会話を周囲に話したのは!」

 

彩月「どうやろなー。他の羽根かも知れへんでー」

 

灯花「待ちなさーい!あの日、わたくしとすれ違ったのは彩月でしょー!」

 

彩月「そうだったかも知れへんなあー」

 

みふゆ「流石に喋り過ぎです!」

 

 そして当然の様にフェントホープ周辺でとぼける彩月とみふゆと灯花の楽しい追いかけっこが繰り広げられたのだった。

 黄色いローブ姿で逃げ回る笑顔の彩月。

 それを追う魔法少女姿の灯花とみふゆ。

 通りがかりのねむと一夜、ナナツメも彩月達の様子を見ていた。

 

一夜「何してるんでしょう?」

 

3人の様子を傍から見たねむは微笑みながら一夜の疑問に答えた。

 

ねむ「仲が良い様で何よりだよ。むふ」

 

 納得したと言う一夜の表情。

 

一夜「そうなんですか」

 

ナナツメ「その様だな」

 

 冷めた様子のナナツメの発言が切っ掛けか灯花とみふゆの走る速度が上がる。

 

灯花「良くないにゃー!!」

 

みふゆ「良く無いです!」

 

彩月「ウチ等は仲良しやでー」

 

 周囲に手を振り仲良しアピールをしながら逃げ回る速度を上げる笑顔の彩月。

 それを見て最近、マギウスの翼に加入した黒羽根10は緊張していたが、この彩月達の様子を見て緊張がほぐれた。

 

黒羽根10=柚希ほとり(このマギウスの翼って組織・・・。何か暗い印象だったけど・・・。これならボクでもやっていけるかな・・・)

 

 更に別の場所では・・・。

 

安積はぐむ「みふゆさんやマギウスを相手にあんな風にからかうなんて・・・」

 

宮尾時雨「やっぱりあの人。タダ者じゃない・・・」

 

黒羽根9「図太い人なのかな・・・」

 

 黒羽根ローブに身を包みたまたま騒動を目撃していた三人は改めて彩月の行動力に驚いていた。

 遠巻きに事態を見つめる二人の白羽根=天音姉妹。

 

天音月咲「ねえ。月夜ちゃん。あれって捕まえるの手伝った方が良いのかな?」

 

天音月夜「正直、手伝う気になれないでございます」

 

月夜 月咲「「ねー」」

 

 フェントホープの階段にある踊り場からアリナ・グレイもこの騒動を見ていた。

 

アリナ「ハア・・・。アリナはガキのじゃれ合いには興味が無いんですケド」

 

 アリナはそう呟くと呆れて自室へと戻ってしまった。

 

 逃げ回る彩月を追うみふゆと灯花を見つめる白羽根の観鳥令と黒羽根の牧野郁美。ローブから除く観鳥さんの手にはカメラが握られていた。

 

観鳥さん「うん。良い絵が取れたよ」

 

郁美「令ちゃん・・・。悪い顔してる・・・」

 

観鳥さん「これでも観鳥さんはマギウスの広報だからね。ちゃんと仕事はしないとね・・・」

 

 意味ありげな笑みを見せる観鳥さん。

 

七瀬ゆきか(このトラブルも・・・。もしかして私が原因でしょうか?)

 

 周囲を見ながら原因が自分では思ってしまう黒羽根ローブを着た七瀬ゆきか。

黒羽根13=遊狩ミユリ「ハア・・・。女の子の美しいおみ足が激しく躍動する追いかけっこ・・・。こんなのが見れるなんて・・・。ミユは・・・。ミユは飛んでしまいますう・・・」

 

白羽根6=神楽燦「ミユリ・・・」

 

ミユリ「はっ!・いえ。ミユは燦様のおみ足の方が好みで」

 

神楽燦「・・・。足を見るのを程々にしなさい」

 

 黒羽根ローブを着ているミユリの言い訳に冷めた目を向ける白羽根の神楽燦。

 多くの羽根がこの追いかけっこを目撃していたのだった。

 

黒羽根15=黒江「マギウスやみふゆさんでもあんな事をするんだ・・・。私にはとても出来ないけど・・・」

 

 

 

 後日、この騒動がマギウスの翼専用のメールマガジンに記事として配信されたのは言うまでもなかった。

 そしてほぼ全ての羽根がこの騒動を知る事になったのだった。

 なお記事は数時間後に諸事情によって削除されたのだが、記事を読んだ羽根の間では積極的に伝説として他の羽根へと伝わってしまうのだった。

 そして記事の評価は過去一番の出来を記録してしまった。

 なお後日、菖蒲彩月による反省文が強制的にメールマガジンに掲載されたのは言うまでも無かった。

 

 

 

彩月「空気は読まへんけど、マギウスの人気者の彩月ちゃんやで」

 




あとがき

今回の話はギャグ調とも言えるみたまとの会話。
ホテルフェントホープ近辺に現れた魔女の結界での戦闘。
そしてアリナやみふゆですらからかってみせる図太い彩月。
マギウスの翼大集合のラストと盛り沢山の話となりました。
一応、この時点でマギウスの翼に所属が確認された魔法少女は全員出しましたがもしかしたら書き足すかも知れませんね。

全く主人公が記憶を取り戻している間にこいつらは何やってんだ(笑)

次回は2・5章を来年に更新予定です。

2022/04/03 黒江はゲームだと既にマギウス入りしていたらしいので文章追加
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