マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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 今回のストーリーは、マギアレコードのメインストーリー第一部のアナザーストーリー4章と5章の間に起こった出来事と過程しています。


4・3章 何だか懐かしくなってしまって

□ 見滝原市 神浜行きの列車の中

 

神浜行きの列車に乗り込んだ巴マミ。

物憂げに窓の外の風景を見ている。

 

マミ(そう言えば・・・。神浜での事だけじゃなくて・・・。魔法少女狩りの事も解決していないのよね・・・)

 

 流れ変わる風景を見ながらマミは魔法少女狩りの事を思い出していた。

 

 

 

 魔法少女狩り ・・・。

 それは風見野市と見滝原市の境界周辺で一般人の少女と魔法少女が殺された事が始まりだった。

 初めてマミがこの事件を知ったのはニュースだった。

 見滝原市で起きた女子中学生2名の殺人事件。

 初めてこのニュースを見た時、マミはこれが魔女の仕業かと訝しんだが、確かな情報が無く警察が多くなった事で活動がしにくくなったと言う認識しか無かった。

 しかし・・・。神浜市での調査を開始してから暫くしてキュウべえからマミに魔法少女狩りに関する調査が依頼された。

 

キュウべえ「マミ・・・。君に調査を依頼したい」

 

マミ「キュウべえ。一体、何の調査なの?」

 

キュウべえ「魔法少女狩りだよ。君達の天敵と言ってもいい魔法少女でありながら魔法少女を狩る存在さ」

 

マミ「えっ!?」

 

 調査の必要性が出た理由は少し前に風見野市で活動していた魔法少女5名が見滝原市へ向かうと告げて行方不明となった。

 直前に見滝原市で起きた女子中学生2名の殺人事件で被害に遭った一人が魔法少女だった事で死ぬ寸前に黒い魔法少女と言う言葉を残していた事だった。

 更に見滝原市にいる他の魔法少女も既に何名か行方不明となっていた。

 これをキュウべえは黒い魔法少女の仕業と考えてマミへ調査を依頼して来たのだった。

 

マミ「分かったわ。調査は私がするわ。でも・・・。この事は鹿目さんや美樹さん、暁美さんには黙っていてくれるかしら?」

 

キュウべえ「どうしてだい?調査をするなら手は多い方が良いじゃ無いか」

 

マミ「鹿目さんや美樹さんはまだ契約したばかりよ。それに暁美さんだって魔法少女狩りの事を伝えたら魔女との戦いに支障が出かねないわ」

 

キュウべえ「成程。マミの言う通りかも知れないね。じゃあこの調査の事は僕とマミの秘密と言う事で良いね」

 

マミ「ええ。私の方で調査をしてみるから」

 

 そうしてマミは神浜市の調査と並行する形で魔法少女狩りを行う黒い魔法少女の調査を開始した。

 しかし・・・。手掛かりが余りに少なくまどか達には内密で捜査をしなければならなかったので調査は全く進まなかった・・・。が全くの偶然から調査は進展した。

 マミは偶然、魔女結界の中で魔法少女狩りの犯人である黒い魔法少女呉キリカと遭遇して戦闘となった。

 幾人もの魔法少女を切り裂いた爪を持つキリカの速度低下魔法に苦戦しつつも何とかキリカを退けたマミは止めを刺そうとした。

 

マミ(ここに鹿目さん達がいなくて良かった)

 

とマミは本心からそう思っていた。

 その時、不意打ちがマミを襲った。

 

マミ「!?」

 

 思わず後方へ飛ぶ事で攻撃を回避したマミの眼前にキリカを抱き抱える白い魔法少女が姿を現していた。

 

マミ(白い魔法少女!?まさか佐倉さんが言っていた・・・)

 

 マミは佐倉杏子から千歳ゆまと言う少女を唆して契約させた織莉子と言う白い魔法少女の事を聞いていた。

 

織莉子「・・・・・・・・・・」

 

 織莉子はマミと言葉を交わす事無く去って行った。

 だがマミは織莉子の放つ強烈なプレッシャーに押し潰される感触を味わっていた。

 その後、キュウべえと合流したマミは黒い魔法少女呉キリカと白い魔法少女美国織莉子が手を組んで魔法少女狩りをしていたと言う報告をした。

 キュウべえは即座に美国織莉子の自宅をマミに提示してマミは乗り込んだが自宅には二人はいなかった。

 同時に魔法少女狩りの動きもマミとの遭遇戦以降、ぱったりと動きが止まってしまった。恐らくは正体が割れてしまったからこそ潜伏しているのだろうとキュウべえとマミは推測していた。

その推測が成り立つからこそマミは再び神浜市への調査を行おうとした。

そんな時、キュウべえから意外な申し出がマミにあった。

 

□ 見滝原市近辺 人のいない路地

 

 

路地にはキュウべえとマミしかいない。

直前にキュウべえはマミと神浜に関する情報交換を約束した会話の後。

 

キュウべえ「それとマミ・・・。君に伝えたい事があるんだ」

 

マミ「何かしら?」

 

キュウべえ「魔法少女狩りをしていた呉キリカと美国織莉子の事だよ」

 

マミ「!! 何か動きがあったの!?」

 

キュウべえ「いや・・・。どうやら向こうも魔女が減った事に気が付いたらしい。もう魔法少女を狩らないから停戦したいと言っているよ」

 

マミ「それは・・・」

 

 マミからすれば受け入れがたい発言でもあった。

 現に魔法少女狩りによって何人かの魔法少女が殺されているのだ。

 

キュウべえ「無論、僕も信じてはいないよ。だから監視は続けているよ。けど向こうもどうやら魔女がいないから余裕が無いのは確かみたいだね」

 

マミ「・・・・・・・・。居場所は分かるの?」

 

キュウべえ「いや。どうやら巧妙に何カ所も動き回って僕の監視から逃れているよ。だから僕は魔法少女達の周辺を監視して彼女達が何かしたら直ぐに知らせられる様にしているよ」

 

マミ(逃げ回っている以上、こちらには追う余裕が無い・・・。それに神浜での異常事態を解決しないと死活問題だわ・・・)

 

マミ「分かったわ。キュウべえ。私は神浜市の調査は続けるわ。でももし魔法少女狩りが妙な動きを見せたら教えて頂戴。私が対処するわ。今はまだ決して鹿目さん達には教えないで」

 

キュウべえ「分かったよ。マミ。僕は神浜市へ入る事が出来ないからね。君が頼りだよ」

 

マミ「だからますます妙な町なのよね・・・」

 

 こうしてマミは神浜市への調査を続行した。

 調査を続ける中でマミは人の姿をした魔女と遭遇した。

 それを見たマミはかつてない程の恐怖を感じていた。

 だからこそ・・・。その場で倒す事を試みたが神浜の魔法少女による横槍で失敗してしまう。

 人型の魔女が魔法少女を操ったと考えたマミは数の不利を悟りその場から撤退した。

 やがてマミから話を聞いた佐倉杏子も神浜市へと赴き、ある情報を持ち帰って来た。

 マミが人型の魔女だと思った物は神浜でのみ起こる現象だと言っていた。

 ソウルジェムの穢れが極限まで溜まった時に穢れが具現化する現象。

 杏子から情報を得てもマミは余計に訝しんでいた。

 今までずっと戦って来てその様な現象を聞いた事が無かったからだ。

 しばらく悩んだマミだったが、ある言葉を思い出した。

 郷には入れば郷に従え。

 その土地の事は、その土地に住む人間がよく知っている。

 

マミ「そうだわ。神浜での事は神浜市にいる魔法少女に聞けば良いのよ!」

 

 後日、マミは神浜市で知り合った魔法少女、綾野梨花に思い切って直接、ソウルジェムから穢れが具現化する現象について会って聞いてみた。

 

梨花「ソウルジェムが穢れ切った時に起こる現象?うーん。あたしは知らないけど・・・。知ってそうな魔法少女なら知ってるよ!」

 

梨花の案内で初めて入った調整屋の主人である八雲みたまに同じ質問をぶつけると答えは簡単に得られた。

 

みたま「それはね・・・。神浜市でのみ起こるソウルジェムの穢れが溜まった時に発動するドッペルと言う現象よ」

 

 調整屋で改めて説明を受けたマミだったがドッペルと言う現象が神浜市で魔女が大量に発生した時期から起こった現象だと聞いて余計に不信感を抱く事になってしまった。

 そして訪れた調整屋で悪夢の様なティータイムを経験したのだが、それはまた別の話である。

 

マミ(もう調整屋でお茶を飲むのは、ごめんだわ・・・)

 

 余りに酷い味のみたまの混ぜ合わせた紅茶や手作りクッキーの味を思い出してマミは顔をしかめていた。

 調整屋への案内をしてくれた梨花も申し訳ないと言う表情をしていた。

 

梨花「ごめんね・・・。まさか調整屋さんが、あそこまで味オンチだったなんて・・・」

 

 その後、マミは神浜市で出会った他の魔法少女、八宵かのこや常盤ななか、志伸あきらにも話を聞いてみたが、ドッペルに関する新たな情報は得られなかった。

 しかし常盤ななかはマミに別の情報を提示して来た。

 

ななか「最近、神浜市の中で魔女では無い敵がいる様です。ハッキリと確認できた訳ではありませんが・・・。注意して下さい」

 

 ななかの忠告を受けてマミは神浜にいる未知の敵への警戒を強めたのだった。

 

 

 

アナウンス「次は新西中央駅。新西中央駅」

 

マミ(もうすぐね)

 

 アナウンスを聞いてマミは車窓から景色を見ながら回想するのを止めた。

 

マミ(さあ、今日は調整屋さんに行かないといけないのよね・・・)

 

 調整屋と言う単語を浮かべただけでマミはこれから悪夢の様な食事やお菓子が用意されていると思うと気は少し重くなるのだった。

 

 

□ 神浜市内 新西区 歩道 

 

 

その日、制服姿の巴マミは一人で新西区の歩道を歩いていた。

歩く足取りは何故か重いのが傍から見ても明らかだった。

そして妙に悩む様子を見せていた。

 

マミ「はぁ・・・。行かなきゃいけないのは分かっているけど・・・。でも・・・。いいえ。行くしか無いのよね・・・」

 

 何かに意を決したマミは進まない足取りのスピードを上げようとした。

 

??「マミじゃないか!」

 

マミ「えっ?」

 

 マミが振り返るとそこには私服姿の佐倉杏子が駆け寄って来た。

 

マミ「佐倉さん!?あなたも神浜に来ていたの?」

 

杏子「しょうがないだろ。グリーフシードを得る為には、ここへきて魔女を狩るのが手っ取り早いからね。文句を言われる筋合いは無いよ」

 

マミ「それはそうかも知れないけど・・・」

 

 マミは思い詰めた表情を見せた。

 

杏子「まあそれはそれとして・・・。この道を歩いているって事はマミも調整屋へ行くんだろ?」

 

 流石に言い過ぎたかと思い杏子は話題を変えた。

 

マミ「ええ。そうなのよね・・・。でも・・・」

 

杏子「何かあったのかい?」

 

マミ「ええ・・・。あの調整屋さん。みたまさんだったわね・・・。あの人の手作りクッキーやブレンドした紅茶を食べさせられた事を思い出して・・・」

 

 マミの言葉を聞いて杏子は合点がいったと言う表情を見せた。

 

杏子「ああ。そう言う事か。マミの気持ちはあたしにも分かるよ。あたしもあの調整屋の作る食べ物は二度と御免だね」

 

マミ「佐倉さんも食べたの・・・。なら分かるでしょ?だから調整屋さんへ行くのが・・・。ちょっと・・・」

 

 マミの苦悶の表情を見て杏子も以前に調整屋で食べた料理の事を思い出した。

 それだけで杏子の中で先程まで僅かにあった食欲が消えた。

 それ程、みたまの手作り料理は強烈だったのだ。

 

杏子「マミの懸念はあたしにも分かるよ・・・」

 

マミ「そうなの・・・。だから別の意味で調整屋さんへ行くのが苦しいのよね・・・」

 

杏子「まあでも安心しなよ。調整屋はしばらく料理をする気は無いみたいだからさ。この間、行ったら誰かに美味しいドリアを作って貰って満足したみたいだからね」

 

マミ「えっ!?そうだったの?じゃあ安心して行けるわね」

 

杏子「そう言う事。じゃあさっさと調整屋へ行こうぜ」

 

 マミと杏子は並んで歩いて調整屋へと向かった。

 

マミ「佐倉さんは神浜で、あの後ウワサと遭遇した事はあるの?」

 

杏子「いいや。もう遭遇はしてないね。そんなにゴロゴロいる物じゃないんじゃないか?」

 

マミ「そうね・・・。私も妙な魔力を一瞬だけ感じる時があるけど出会ってはいないわ」

 

杏子「魔女と違ってグリーフシードは落とさないけど、厄介な能力を持っているからなるべく相手をしない方が良いと思うけどね」

 

マミ「でも・・・。そんな危険な相手なら猶の事・・・。放っておく事は出来ないわ」

 

杏子「まあマミはそう言うよな・・・」

 

 そうして会話する内に二人は調整屋のある神浜ミレナ座と言う廃墟へと辿り着いた。

 

 

□ 神浜市内 新西区 調整屋内部

 

 

 

マミ「こんにちは」

 

杏子「おーす。勝手に入らせて貰うよー」

 

みたま「あら~。珍しい二人ね。いらっしゃ~い」

 

 調整屋に入って来たマミと杏子を店主である八雲みたまは笑顔で迎え入れた。

 この邪気の無い笑顔に惑わされて悪夢のティータイムを味わったマミは少しだけ警戒心を抱いていた。

 それは悪夢の食事を食べさせられた杏子も例外ではない。

 

みたま「今日は調整かしら?そ・れ・と・も」

 

マミ 杏子「!?」

 

 次に何を言われるのかマミと杏子は思わず身構えた。

 

みたま「寂しがり屋の調整屋さんに会いに来てくれたのかしら~?」

 

 予想外の発言にマミと杏子は肩を落とした。

 

マミ「まあ調整を依頼に来たから会いに来たのは確かよね」

 

杏子「まあそうだね・・・」

 

みたま「でも・・・。調整をする前に一つお願いしたい事があるんだけど~?」

 

杏子「料理関連だったら断らせて貰うよ!」

 

間髪入れずに杏子は強い調子でそう語った。

 

みたま「違うわー。この間、料理上手な子に作って貰った美味しいドリアを食べたから料理熱なら今はもう冷めているわ~」

 

杏子「どうだか・・・。とか何とか言って実は何か作ってるなんて言うなよ」

 

みたま「佐倉さん。ひっどーい。調整屋さんは悲しいわ~」

 

 みたまは大袈裟に手で泣く真似をして見せる。

 

マミ「それで頼みたい事って何ですか?」

 

 どの道、頼みごとをするのは避けられないと判断したマミは話を進める事にした。

 調整屋に来ればたまにこういった事もあった。

 大体は調整屋近辺に現れた使い魔退治だったが。

 

みたま「そうなの。実は・・・。先に来ていた子に近くに出現した魔女の討伐を頼んだんだけど帰って来ないのよねー。その子、弱くはないから苦戦する事は無いと思うんだけど少し時間が掛かり過ぎているから様子を見て来て欲しいのよね~」

 

 みたまの言葉を聞いてマミと杏子は周囲を探ってみた。

 僅かにだが近くに結界の反応を感知出来る。

 恐らくは調整屋に充満する魔力が原因で探知が難しかったのだろう。

 調整屋には様々な魔法少女を調整する際に放出された魔力が僅かながらに残留しておりそれを目当てに魔女や使い魔が寄って来るらしかった。

 

マミ「近いわね。じゃあ直ぐに行ってみます」

 

みたま「入り口までなら案内しちゃうわ~」

 

 そう言ってマミとみたまが店を出ようとした時、杏子も

 

杏子「しょうがねえな。あたしも一緒に行くよ。二人でやれば速く終わるだろ」

 

 そう言って二人に付いて来た。

 みたまの案内で調整屋の裏手にある結界の入り口に辿り着いたマミと杏子。

 

マミ「それじゃあ行ってきます」

 

杏子「これを終えたら調整を頼むよ」

 

みたま「は~い。吉報を待っているわ~」

 

 手を振るみたまの眼前でマミと杏子は魔法少女姿に変身するとそのまま結界へ入り込んだ。

 

□ 結界内部

 

結界に入り込んで直ぐに二人はこの結界を作成したモノの魔力を感じ取った。

 

マミ「この魔力・・・。使い魔じゃないわね」

 

杏子「ああ。先に入り込んだヤツが出て来ないのも頷けるよ」

 

マミ「用心しましょう。神浜の魔女は強敵よ」

 

杏子「もう嫌って程、経験させられたよ」

 

 最深部を目指して進みだしたマミと杏子に次々と使い魔が襲い掛かって来るが二人は連携して次々と使い魔を倒して行く。

 

杏子「ふう・・・。これで来たヤツは大体倒しただろ」

 

マミ「そうね。ふふ」

 

杏子「急に笑いだしてどうしたのさ?」

 

マミ「ごめんなさい。何だか懐かしくなってしまって」

 

杏子「えっ?」

 

マミ「だって私と佐倉さんは・・・。昔はコンビで戦っていたじゃない。その時の事を思い出したのよ」

 

 マミに言われて杏子もマミと二人で戦っていた時の事を思い出した。

 師弟コンビで戦っていた時の事を。

 

杏子「昔の話さ。今はもう・・・。あたしはマミの弟子じゃないんだからな」

 

マミ「そうね。でも・・・。今は私と一緒に戦ってくれるんでしょう?私はそれだけでも嬉しいのよ」

 

杏子「マミらしいよ・・・」

 

 戦いながらも会話をする余裕を持つ二人は次々と使い魔を倒して最深部へと辿り着いた。

 

マミ「この先に魔女がいるわね。それに魔法少女が一人戦っているわね」

 

杏子「うん?この魔力・・・。もしかして!」

 

 何かを感じ取った杏子はマミが止める間も無く最深部へと走り出した。

 

マミ「佐倉さん!どうしたの!?」

 

 走り出した杏子を追ってマミも最深部へと突入した。

 そこでは振り子の魔女と一人の魔法少女が戦っていた。

 薄紫色の髪を揺らしながらマフラーをなびかせ両手に握ったチャクラムで次々と魔女の攻撃を捌くクールな印象を持つ魔法少女。

 

杏子「やっぱり!雫!大丈夫か!」

 

雫「!?」

 

 杏子の声を聞いて保澄雫は杏子のいる方へ跳躍した。

 

保澄雫「佐倉さん!?ちょうど良いわ。手伝ってくれる!?」

 

杏子「ああ。そのつもりでマミと来たんだ。やらせて貰うよ」

 

雫「マミ?」

 

マミ「ええ。初めまして私は巴マミ。調整屋さんから依頼を受けた以上、魔女は倒させて貰うわ」

 

 出現させたマスケット銃で次々と牽制の銃撃を加えるマミ。

 

杏子「調整屋が心配してたぞ。出て来るのが遅いって」

 

雫「ごめんなさい・・・。最初は使い魔だけだったんだけど・・・。急に魔女が現れて苦戦してたの・・・」

 

杏子「まあ神浜じゃよくある事だよな」

 

雫「それにこの魔女。凄く身体が固い。私の武器じゃ相性が悪いわ」

 

 そう語る雫の武器であるチャクラムの刃は少し欠けていた。

 

杏子「それならおあつらえ向きの魔法を持つヤツがいるぜ。なあ?マミ」

 

 マミの方を振り返る杏子。

 それを見て自信を持って頷くマミ。

 

マミ「そうね。この魔女には・・・。私の魔法で対処するのが良さそうね。二人は魔女の動きを攪乱して!」

 

杏子「ああ。任せろ!行くぞ。雫!」

 

雫「ええ。攪乱すれば良いのね!」

 

 杏子と雫は左右から迫り来る羊の魔女を牽制して行く。

 それを見ながらマミは周囲にマスケット銃を展開させて自身も銃撃を加えて行く。

 だがその銃撃は羊の魔女を掠め周囲の地面や壁に命中して行く。

 

雫(!? あれだけ大きな魔女なら命中しない訳が無い・・・。あの攻撃には何か別の意図があるの?)

 

 考えながらも雫は羊の魔女への牽制攻撃を続けて行く。

 羊の魔女は杏子、雫、マミから攻撃を受けていて3方向へ意識を向けなければいけない為に攻撃の精度が弱まっていた。

 何十発もの銃撃を終えたマミが突然、魔女へと近付いて行く。

 

雫(えっ!? どうして今のタイミングで!?)

 

杏子「雫!離れろ!凄いのが来るぞ!」

 

雫「わっ分かったわ」

 

 マミの行動意図が読めず困惑する雫だったが素直に杏子の忠告に従った。

 その時、マミの撃った銃撃が作った弾痕から結界の壁や床から黄色いリボンを伸ばすと羊の魔女を一気に拘束した。

 

雫「これって」

 

杏子「これがマミの得意技さ。ここからが本番だ」

 

マミ「動けないのなら避けようが無いでしょう?ティロ・フィナーレ!」

 

 巨大なマスケット銃を作り出したマミは念には念を入れて羊の魔女の死角から必殺の魔法ティロ・フィナーレを放った。

 必殺の一撃は羊の魔女への止めとなると・・・。マミも杏子も雫も思っていた。

 だが・・・。

 羊の魔女は頭の角を急激に伸ばすとティロ・フィナーレの攻撃を凌いでしまった。

 無論、羊の魔女の角はただでは済まず砕け散ったが新しい角が直ぐに生えて来た。

 

マミ「えっ!?」

 

杏子「ウソだろ!?」

 

 マミも杏子もティロ・フィナーレが防がれた事は今まで殆ど起きなかった事であり驚きを隠せなかった。

 その動揺を見逃さずに羊の魔女は自身を縛る拘束を伸ばした角で切り裂くとマミに向かって突進して来た。

 マミは慌てる事無く手にした巨大なマスケット銃の銃口を地面に思いっ切り叩き付けると反動で飛び上がった。

 その際に片手を杏子のいる方向へ伸ばすと視線があっただけで意図を察した杏子が槍を分解して柄を鎖で伸ばすと同時にそこへマミは片手からリボンを伸ばして槍に絡ませると杏子はそのまま槍を手元に戻すとマミは杏子の傍へと移動して羊の魔女の攻撃を回避した。3人はそのまま物陰に身を隠した。

 

雫(凄い・・・。この二人。あんな連携が出来るなんて・・・)

 

 内心の驚きを隠しながら二人を称賛した雫。

 

マミ「ティロ・フィナーレが防がれるなんて・・・」

 

杏子「ああ。あたしも予想外だったよ。かなりの強敵みたいだね」

 

 二人の言葉には驚きはあったが悲壮感は無い。

 つまりまだ戦う事を諦めていないと言う事が確かだった。

 

マミ「さてどうしましょうか・・・」

 

杏子「どうもこうもないさ。あの角を先に壊しちまえば倒せるだろ?」

 

マミ「私の拘束魔法じゃ引き千切られてしまうわね・・・。佐倉さん。お願い出来る?」

 

杏子「まあそれしか手が無いよな・・・。良いよ。やってやろうじゃん」

 

 マミと杏子は既に新たな戦い方を見出している様子だった。

 

雫(このままじゃ私は役に立たないまま・・・。そうだ!)

 

雫「二人共待って!」

 

マミ 杏子「!?」

 

 雫の制止に驚く二人。

 

雫「私に考えがあります・・・。その・・・。巴さん。さっきの魔法をもう一度撃つ事は出来ますか?」

 

マミ「ええ。撃てるわよ」

 

杏子「何をしようってんだい?」

 

雫「佐倉さんは前に使った結界魔法で魔女を拘束して下さい。巴さんが必殺魔法を撃つと同時に私の魔法を上乗せします・・・」

 

 杏子は雫の魔法を見た事がある為、直ぐに何をしようとしているのか分かった様子だった。

 

杏子「なるほどね。そう言う事なら・・・。マミ。雫の事を信じてくれないか?コイツの魔法を使えばあの魔女を倒せるかも知れない」

 

 杏子は真っすぐにマミの事を見た。

 それを見てマミも頷いた。

 

マミ「分かったわ。佐倉さんが信じるのなら私もあなたを信じるわ。えっと・・・」

 

雫「保澄雫です。じゃあやりましょう!」

 

マミ「ええ!」

 

杏子「あたしが先陣を切らして貰うよ」

 

 そう言って杏子は物陰から飛び出すと羊の魔女へ向かって行く。

 羊の魔女の周囲を回りながら槍で切り付けて行く。

 

杏子(今だ!)

 

 隙を見て杏子が縛鎖結界を発動させて羊の魔女の動きを抑え込んだ。

 

杏子「マミ!雫!」

 

マミ「分かったわ」

 

雫「いつでも大丈夫です!」

 

 物陰から飛び出したマミと雫。

 マミは再度、ティロ・フィナーレ撃つ準備を終えていた。

 

マミ「それじゃ保澄さん。お願いするわ!」

 

雫「分かりました」

 

マミ「ティロ・フィナーレ!」

 

 マミの持つ巨大なマスケット銃から再び魔力を帯びた光線が放たれる。

 羊の魔女は再度、角を盾にして耐え切ろうとする。

 

雫(今!)

 

 その時、空中に魔法陣が現れるとマミの放った光線をそのまま吸い込んで行く。

 

雫(私の空間転移魔法で魔女の背後から巴さんの魔法を当てれば!)

 

 羊の魔女の後方に雫の魔法陣が出現する。

 するとそれを見た羊の魔女は全身を角で包んでしまった。

 見た目にも防御力は増した様に見える。

 

杏子「何だと!?そんな事も出来るのかよ!?」

 

雫「なら!」

 

 思わず叫びながら雫は羊の魔女の背後に作り出した魔法陣から放たれた光線を更に魔法陣を重ねる事で命中させなかった。

 光線が通る魔法陣の出口は・・・。

 

雫「ここよ!」

 

 雫が用意した最後の魔法陣の出口は・・・。

 羊の魔女の足元だった!

 全身を包み込む角も足元まで包み込む事が出来なかった。

 足元から放たれた光線に包まれ断末魔と共に羊の魔女は消滅して行く。

 同時に結界は崩壊して元の調整屋の裏路地へと戻った。

 

雫(良かった・・・。何とかなった・・・)

 

杏子「やったな。雫」

 

雫「うん。佐倉さんと巴さんのおかげよ」

 

マミ「それにしても凄いわね。・・・。空間転移魔法なんて初めて見たわ」

 

杏子「だから大丈夫だって言ったろ」

 

マミ「知っていたのなら教えて欲しかったわ。まあ戦闘中だから無理でしょうけど」

 

雫「ごめんなさい。初対面なのに無理な連携をさせてしまって・・・」

 

マミ「そんな事は無いわ。普段行かない場所で魔女と遭遇すれば現地の魔法少女と共闘するのは普通の事よ」

 

杏子「そうだね。この神浜ならグリーフシードで揉める事も無いから共闘しやすいからな」

 

 マミも杏子も既に神浜で戦う際に現地の魔法少女と共闘した経験を持ち合わせていた。

 その時、マミの視界に何かが光を反射したのが見えた。

 

マミ(今の・・・何かしら)

 

みたま「あらあ~。3人共戻って来たのね~。調整屋さんは嬉しいわ~」

 

 マミが反射の方向を見ようとした所へタイミング良くみたまが姿を現した。

 

マミ「みたまさん。全員無事に戻る事が出来ました」

 

杏子「一体どうなってるんだよ?急に魔女が現れて雫は苦戦したみたいだぜ」

 

みたま「ごめんなさい。使い魔だけかと思っていたから雫ちゃんに調整前の準備運動に退治して貰おうと思ったんだけど~」

 

雫「いえ。魔女が急に現れる事は最近の神浜じゃ良くある事です。対処出来なかった私のミスです」

 

みたま「それにしても本当に3人共無事で良かったわ~。お詫びにちゃ~んと3人同時に調整をしてあげるわ~」

 

 みたまの表情は満面の笑みで3人を見つめていた。

 

マミ 杏子「!?」

 

雫「・・・・・」

 

 少しだけ驚く様子を見せるマミと杏子に対して雫は共に戦っている鞠子あやかと同時調整を受けた事がある為、動じる事は無かった。

 

みたま「こんなにカワイイ子たちが揃って・・・。調整屋さんは嬉しいわ~」

 

 みたまの笑顔に怪しい物を感じた杏子がテレパシーでマミに話しかける。

 

杏子(マミどうする?)

 

マミ(まあ・・・。調整しに来た訳だし・・・。別に良いんじゃないかしら)

 

杏子(ちっ。しょうがねえな・・・)

 

みたま「それじゃあ調整屋さんに3名様ご案内~」

 

 みたまに促されて諦めた様子のマミと杏子、慣れた様子の雫は調整屋へと向かった。

 路地裏は無人となる。

 暫くすると路地裏から白いローブを身に纏った人物が姿を現した。

 マギウスの翼の白羽根であり手にはカメラを抱えている。

 

白羽根5(まさか気付かれるなんてね・・・。みたまさんには感謝しないとね・・・)

 

 白羽根5はひっそりと路地裏から出て行こうとする。

 

白羽根5(まずはみふゆさんに報告しないとね・・・。それにしても・・・。ウワサになっていた見滝原のベテラン巴マミと有力な協力者候補の保澄雫の両者を観察出来るなんて・・・。観鳥さんはツイているね)

 

 変身を解除した白羽根5はスマートフォンを出して電話をかけ始めた。

 

白羽根5(後はみふゆさんの連絡次第か・・・)

 

 

□ 神浜市内 新西区 夜 駅に向かう道

 

 

 

マミ「はあ・・・。何だか少し疲れちゃったわね・・・」

 

 調整屋で3人同時に調整を受けた後、マミは帰路に付いていた。

調整を終えた後、杏子は野暮用があるとの事でマミと調整屋で別れた。

 雫もまた自宅に帰ると言う事でマミは一人で帰宅しようとしていた。

 外灯の灯る明るい道をマミは一人で歩いている。

 周囲に人影は無い。

 

マミ(調整して貰うのは良いんだけど・・・。あの人。お菓子に変なトッピングをして食べさせようとするのは何とかならないのかしら・・・)

 

 マミはみたまの事を味覚が変わった人だと思っていた。

 

マミ(それと何か・・・。目つきが怪しく感じる時があるのよね・・・。梨花さんも言っていたわね。調整屋さんはカワイイ女の子が大好きだって・・・。通い続けて大丈夫かしら・・・)

 

 色々な事を考えながら帰路を歩くマミ。

 その時、マミは魔力を感知した。

 

マミ「!? 何。今の魔力・・・。今まで感じた事が無い・・・」

 

 直ぐに方角を見定めようとするが、その瞬間に魔力反応は一つの方向に遠ざかり突然、消えてしまった。

 

マミ「今の・・・。一体・・・」

 

 その時、感じた魔力はマミがかつて水名神社で僅かに感じた物と酷似していた。

 

マミ(妙だわ・・・。どうして今のタイミングで魔力を感じたのかしら?もしかして・・・。意図的なモノ?)

 

 余りにタイミングが良すぎる出来事にマミは警戒心を抱いていた。

 

マミ(流石にこれから調べるのは止めた方が良いわね。明日も学校があるんだし・・・。まだチャンスはある筈よ)

 

 方角は分かったが既に消えた魔力を夜も更けた今から追うのは危険だと自らに言い聞かせるようにマミは見滝原への帰路へ戻るのだった。

 

 

 

 その様子を離れた建物の屋上から見つめる白い影。

 それは自身の固有武器であるバズーカを構えた白羽根5だった。

 固有武器であるバズーカに付けられたスコープには魔力で発動する望遠レンズが付けられている。

 かなり離れていたが巴マミの様子を見る事は可能だった。

 

白羽根5(どうやらウワサの栞から発した魔力に気が付いたみたいだね。流石はベテラン・・・。観鳥さんも驚きだよ)

 

 マミが帰路に付いた事を確認した白羽根5はバズーカを収めるとスマートフォンを取り出し電話をかけた。

 

白羽根5「もしもし。観鳥です。手筈通りに行いました。ええ。向こうはちゃんと気が付きましたよ。ウワサ通りのベテランぶりですね。ええ。魔女と戦う映像も取れてます。マギウスで強化した魔女を失ったのは痛手かも知れませんけど、巴マミと保澄雫の実力を見定める良い材料になるんじゃないですか?それと映像には前に報告があったミザリーリュトンを倒すのに協力した佐倉杏子の映像もあります。後・・・。これは調整屋さんから聞いたんですが、佐倉杏子と巴マミは友人のようです。はい。これから映像を持って行きます。みふゆさん。それじゃあ」

 

 白羽根5は電話を切った。

 

白羽根5「さて・・・。観鳥さんは仕事納めに行きますか」

 

 そう言って白羽根5は建物の屋上から飛び降りて目的の場所へと向かった。

 こうしてマギウスの翼は、見滝原市と言う遠方から調査に現れた魔法少女、巴マミの事を知る事になった。

 同時に協力者だった保澄雫の正当な実力も把握した。

 二人の魔法少女は、仕組まれた共闘を経て・・・・。

 マギウスの翼と出会う事になる。

 

 




あとがき

このストーリーはメインストーリー4章以降、5章未満と推測される時期にある魔法少女のストーリーにおいて巴マミと佐倉杏子が保澄雫と出会った際に初対面ではないような言動を示した為に作った穴埋めエピソードです。
 なお今の所、巴マミと佐倉杏子が保澄雫と共闘したエピソードはゲーム中に存在しませんので前述のエピソードは矛盾を感じる内容になります。
 ただの穴埋めにしないために観鳥さんに登場して貰って巴マミと保澄雫の実力を見定めると言う未来の本編に繋がる描写にしました。
 ただ神浜市での事を考えれば佐倉杏子は保澄雫とどこかで会っていてもおかしくありませんが。
 なお杏子はこの時点で既に千歳ゆまと出会っています。


 おりこイベント次第で内容の一部は書き直すかも知れません。
なお次回は本来ボツにした話ですが70ページ位書いたので分割でアップします。
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