マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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5・4章 ウチを信じとくれなはれ

□ 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープ 一夜の部屋の前

 

 

彩月「一夜さんおるかー?今日も来たでー」

 

その日の午後に一夜の部屋の前に来てドアをノックする彩月。

 

一夜「・・・・。彩月さ・・・ん」

 

彩月「どうしたんや?具合でも悪いんか?」

 

一夜「入って・・・・・」

 

 一夜からの許可が下りた彩月は躊躇う事無く一夜の部屋に入った。

 一夜はベッドの上で横になっている。

 

彩月「どしたんや?一夜さん」

 

一夜「みふゆさんからお菓子貰って・・・。少し食べ過ぎて胸やけしてる・・・」

 

彩月「なんや。そう言う事か。残念やけどウチに出来る事はないなあ」

 

一夜「ごめんね・・・・。今日はもう寝かせて・・・」

 

彩月「それならしゃーないなあ。何かして欲しい事はあるんか?」

 

一夜「冷蔵庫に水があるから持って来て・・・」

 

彩月「ええ。ほい」

 

 彩月は冷蔵庫から取り出したペットボトルの水を一夜のベッドの横にある小さなテーブルに置いた。

彩月「じゃあ今日はいても邪魔やし帰らせて貰うで」

 

一夜「うん。ごめんね・・・・」

 

彩月「気にする事ないで。まあその内、何か頼むかも知れへんけどな。じゃあゆっくりとお休みや」

 

 彩月はそう言って一夜の部屋を出た。

 

彩月「ほな一夜さん。お大事になー」

 

 一夜の部屋から出る際にも大袈裟に彩月は挨拶をした。

 護衛の仕事が無いなら彩月の仕事はこれで終わりだった。

 

彩月「さてどーしたろっかなー。なんや新しいイタズラでもしたろっかなー」

 

 黄色いローブを身に纏った彩月がエントランスに差し掛かった時、

 

 

 

みふゆ「皆さん!少しよろしいですか?」

 

 

 

 エントランスから聞こえたみふゆの声を聞いて彩月は柱の影から頭を小さく出して聞き耳を立てた。

 

彩月(なんや?何かおもろい事かな?)

 

 口元に笑みを浮かべた彩月が会話を聞き続けた。

 エントランスに集まっていた黒羽根達は少し焦った様子を見せているみふゆの話を聞いていた。

 

みふゆ「先程、中央区の電波塔にある名無し人工知能のウワサでマギウスの翼と七海やちよ率いる魔法少女が戦闘を開始しました」

 

彩月(例の要注意魔法少女の事やな・・・)

 

みふゆ「戦況は分かりませんが場合によってはウワサから魔女を退避させる必要があるかも知れません。都合のよろしい方はワタシと一緒に来て下さい」

 

 数人の黒羽根がみふゆの元へ集まる。

 

彩月(こりゃ・・・。おもしろそうやし・・・。参加しない訳には行かへん!)

 

みふゆ「皆さん。協力ありがとうございます。では行きましょう」

 

 みふゆの言葉を聞いて彩月は直ぐに備品管理の倉庫へと戻った。

 

彩月(確かここに・・・。あった。ちょっと借りて行くで)

 

 倉庫に取って返した彩月は黒羽根のローブを拝借すると黄色のローブの上から羽織って黒羽根に化けて黒羽根達に合流して後から付いて行った。

 最後尾から付いて来た彩月の事を誰も気に留める事は無かった。

先導するみふゆに続いて彩月と黒羽根達はホテルフェントホープを出たその足で、ホテルフェントホープ近郊に設置された電波塔と繋がる転移魔法陣へ入り込んだ。転移魔法陣の先は中央区 電波塔近辺ビル屋上だった。

既に彩月を含めた10人の黒羽根がみふゆの指示を待っている。

 

黒羽根十一「みふゆさん。これから我々は何を?」

 

 黒羽根十一が率先してみふゆにこれからの事を聞いていた。

 

彩月(ウチが聞いたらバレてまうからありがたい)

 

 頷くみふゆの視線は近くのビルの屋上にあるヘリポートに向けられている。

 

みふゆ「そろそろですね・・・。今、近くにあるヘリポートで・・・。マギウスの一人であるアリナと天音さん達姉妹と黒羽根が、やっちゃ・・・。じゃなくて七海やちよ率いる魔法少女達と戦っています」

 

 それを聞いて周囲の黒羽根は少しざわついた。

 

彩月(つまりウチらがここにいると言う事は状況かなり悪いと言う事かあ・・・)

 

みふゆ「ですが既に電波塔に存在していた名無し人工知能のウワサは倒されて大勢は決しています。後は・・・。頃合いを見てワタシがアリナを止めるので、皆さんはワタシ達の撤退を支援して下さい。もし七海やちよ達が追撃を試みる様なら伏兵として待機して欲しいのです」

 

 周囲の黒羽根達は少しだけ安心した様子と驚きを見せていた。

 

彩月(成程・・・。これは・・・。おもろいな・・・。相手が馬鹿でなければ戦闘の可能性は限りなく低いと・・・)

 

 黒羽根十一がローブから鎖鎌を出したのを見て黒羽根も鎖鎌を構える。

 合わせて彩月も鎖鎌を構えた。

 

みふゆ「追撃が無ければ無理に攻撃をする必要はありません。伏兵が待機していると思わせるだけでも効果的ですから戦闘になる可能性は低いでしょう。では・・・。後は頼みます・・・」

 

 そう言ってみふゆはアリナのいる方向へ跳躍する。

 他人のソウルジェムを使う疑似魔法少女の彩月でも魔力で視界を強化する事は可能だった。その彩月の視界に写るのはヘリポートにいる要注意魔法少女の七海やちよと白いフードを被った魔法少女、扇を両手に構えた魔法少女、巨大なハンマーを持った魔法少女、巨大な盾を構えた魔法少女、それにピンク色の弓を構えた魔法少女と眼鏡に三つ編みの魔法少女と対峙する、みふゆとアリナ、それに数人の黒羽根と白羽根である天音月夜、月咲姉妹の姿が見えていた。

 

彩月(ふむ・・・。なんかリスト外の魔法少女もおるなあ。まあこんな組織やし、また敵が増えたか?)

 

 敵が増えた事自体、マギウスの翼では当たり前とも言える状況故、彩月は特に相手を気にも留めなかった。みふゆはアリナと天音姉妹、それに黒羽根を引き連れて撤退する事を選択して彩月達の待機しているビルの屋上に向かって来た。

 幸いにも七海やちよ達は追撃を選択しなかった。

 

みふゆ「ここまで来ればもう大丈夫でしょう。皆さん。協力ありがとうございます」

 

 みふゆの労いの言葉に黒羽根十一を含めた羽根達が頭を下げたのを見て彩月も慌てて頭を下げた。

 

彩月(いかんいかん。ウチは今、黒羽根や。黒羽根・・・)

 

月夜「みふゆさん。ウワサの事はすみません・・・」

 

月咲「ウチら、ウワサを守り切れずに・・・」

 

彩月(そっか。天音さん等は前にもウワサを倒されとるんやったな)

 

 天音姉妹はこれで二度、ウワサを守り切れなかった事を彩月も気づいていた。

 

アリナ「ウワサが反逆してくるなんて聞いてなかったんですケド」

 

みふゆ「・・・。ウワサの件はワタシからねむに報告します。他のウワサにも同じ様な事が起きないとも限りませんから。月夜さんと月咲さんは今回の件はウワサの裏切りと言う予想外の出来事です。気にしないで下さい」

 

彩月(そいつはおもろいなあ。居合わせなくて残念やわ)

 

アリナ「アリナとの約束は覚えてるヨネ?」

 

みふゆ「はい。ですが今日はもう遅いので明日以降でも良いですか?灯花とねむに報告も行わなければいけないので・・・」

 

アリナ「約束が守られるならアリナは文句ないワケ。じゃあ先に帰るカラ」

 

 言いたい事を言うとアリナはビルの屋上から飛び降りてしまった。

 

彩月(相変わらず自分勝手やな)

 

みふゆ「他の皆さんも今日はもう帰宅して構いません。フェントホープで休みたい方は付いて来て下さい」

 

黒羽根「はい・・・」

 

月咲「ウチらも休んで行こうか・・・」

 

月夜「はい・・・。正直、今日は疲れたでございます・・・」

 

みふゆ「では行きましょう」

 

 みふゆと月夜、月咲に続いて数人の羽根と彩月がフェントホープへ戻る為に転位魔法陣へ入り込んだ。

 フェントホープへの道を歩いているみふゆは天音姉妹と話し終えると急に黒羽根の方を振り返った。

 

みふゆ「さて・・・。いるのは分かっていますよ」

 

彩月(なんや・・・)

 

 急に黒羽根の方へ向き直ったみふゆを見て黒羽根達は少し緊張していた。

 それは彩月も同じだった。

 

みふゆ「彩月さん。何をしているんですか?」

 

彩月「なんや。バレたか」

 

 バレているのならしょうがないと彩月はローブのフードを脱いで素顔を晒した。

 みふゆの言葉は彩月が原因だと判明して周囲の黒羽根達は少し安心した様子を見せていた。

 

みふゆ「一夜さんの護衛はどうしたんですか?」

 

彩月「一夜さんなら今日は部屋で休んでて帰ろうとしたらみふゆさんが黒羽根の招集をかけたから面白そうやと思うて参加したんや」

 

月夜「気が付かなかったでございます・・・」

 

月咲「それだけウチらは疲れているって事だよね・・・」

 

みふゆ「いえ。ワタシが気付いたのもカンみたいな物です。でも彩月さん。あなたは一夜さんの護衛が役目なのですから勝手にこんな真似をしてはいけませんよ」

 

彩月「そやなあ。もうしないから許してくれなはれー」

 

 申し訳ないと言う表情を見せながら手を合わせる彩月。

 

みふゆ「反省してます?」

 

 みふゆは訝しげな表情を見せていた。今までの彩月の行動を知っていたからだ。

 

彩月「まあ大体はしとるで。それにもう一つ目的があったからな」

 

みふゆ「目的ですか?」

 

彩月「今、マギウスの翼を騒がせ取る七海やちよの姿を見る事や。いずれ戦うかも知れへんのや。知っとくに限るで」

 

みふゆ「確かにそれは黄羽根である彩月さんには必要かも知れませんね。でもこんな事はもうしないで下さい。ワタシがねむに怒られてしまいます」

 

彩月「わーとる。わーとる。もうしないでー。ウチを信じとくれなはれ」

 

 両手を下げた頭の上で合わせる彩月だったが、その謝罪は胡散臭さを増すだけだった。

 

黒羽根十一(胡散臭い笑顔ね・・・)

 

黒羽根十二(絶対にまたやるって顔に書いてある)

 

 彩月の行動は新参者である黒羽根十一と黒羽根十二にも分かる程あからさまだった。

そうやって会話している内に一行はホテルフェントホープへ辿り着いた。

 一行はエントランスで別れて身体を休める為に天音姉妹や傷付いた黒羽根は、それぞれの部屋へ向かった。

 

彩月「ほなウチも帰らせて貰うで」

 

 彩月は挨拶をしてフェントホープから出て行った。

 

彩月(お説教はごめんやしな)

 

 自身の目的を果たした彩月はさっさと逃亡する事を選択するのだった。

 

彩月(そろそろ忙しくなりそうや)

 

 歩きながら彩月はふとある事を思い出した。

 

彩月(いかんな。借りてたローブを明日返さなあかんなあ・・・)

 

 勝手に借用したローブを返す事を、みふゆから逃げる事に夢中でうっかり失念していた彩月だった。

 

 

 

□ 神浜市内 大東区 観覧車草原近辺 数十分前

 

 

 

 その頃、柊ねむとナナツメは観覧車草原近辺に現れた羊の魔女と戦闘していた。

 周囲には使い魔と戦う白羽根と黒羽根もいる。

 既に羊の魔女はナナツメとねむの攻撃を受けて虫の息とも言えた。

 止めを刺す為に前へ出るねむと背後に控えるナナツメ。

 

ねむ「さて・・・。この場所に近付くとは無粋な魔女だよ・・・」

 

ナナツメ「捕縛しますか?それとも・・・」

 

ねむ「そうだね・・・うっ!?」

 

 戦闘中にも関わらずねむは突然、胸を押さえるとその場に膝を付いてしまった。

 

ナナツメ「ねむ様!?」

 

ねむ「僕のウワサがまた・・・」

 

 羊の魔女はその隙を見逃さずに足元から伸ばした二本のハサミをねむに向けて伸ばして来た。

 

白羽根1「いけない!?ねむ様が!!」

 

黒羽根1「けど僕達も・・・」

 

黒羽根2「使い魔が多くて・・・」

 

 周囲に余りに多くの使い魔がいる為に羽根達も身動きが取れなかった。

 

ねむ「くっ・・・」

 

ナナツメ「!!」

 

 ナナツメは咄嗟にねむに鎖鎌を巻き付けて自身の後方へ無理やりに引き寄せると自身は黄色いローブを全身に纏って羊の魔女へ向かって走った。

 

ねむ「うっ・・・ナナツメ・・・」

 

 未だに苦し気なねむの眼前でナナツメは羊の魔女のハサミによってローブごと全身を切り裂かれる。

 

ナナツメ「・・・・・!!」

 

 ナナツメの着る黄色いローブは一夜の施した改良によって通常のローブ以上に防御力が上がっていたがそれでも完全に防げなかった。

 全身に刻まれた傷から血を流しながらも両手、両足から伸ばした6本の鎖鎌で羊の魔女のハサミと全身をがん柄締めにしていた。

 

ナナツメ「・・・・グッ!」

 

 ナナツメの首を回って7本目の鎖鎌が魔力で具現化されて行く。7本目の鎖鎌は猛烈な勢いで羊の魔女の額に突き刺さった!

 しかしまだ浅く止めを刺すには至らない。

 

ねむ「すまない。ナナツメ。でも・・・。もう大丈夫だよ」

 

ナナツメ「・・・ねむ様!」

 

 体調が回復したねむは立ち上がり手にした本に魔力を溜めると本が光り輝きページが周囲へ飛び出すとそのページから手下クラスのウワサが具現化される。

 

ねむ「さあ、僕の想像が生み出す嵐に飲まれたまえ」

 

 ねむの号令と同時に手下クラスのウワサ達が流星となって嵐を巻き起こし羊の魔女を風で刻み、流星となって突撃していく。

 

羊の魔女「!?」

 

ナナツメ「今・・・・・・」

 

 羊の魔女が倒される瞬間にナナツメは鎖鎌を放してねむの傍へ飛んだ。

 結界が崩壊した事で魔女が倒された事は誰の目にも明らかだった。

 

白羽根1「ねむ様・・・。ご無事ですか!?」

 

 慌てた様子の白羽根1と黒羽根達が駆け寄って来る。

 

ねむ「僕は大丈夫だよ。それよりナナツメ。君は大丈夫なのかい?」

 

ナナツメ「はい。小生は問題ありません」

 

 そう語り立ち上がるナナツメだったが、誰が見ても問題無い様に見えなかった。

 身体からは血が流れ続けている。

 

ねむ「グリーフシードは落ちたのかい?」

 

黒羽根1「はい。ここにあります」

 

 そう言って黒羽根1はねむにグリーフシードを差し出した。

 

ねむ「ナナツメ。このグリーフシードを使うんだ。流石にその傷は直ぐに治せないだろう?」

 

ナナツメ「良いのですか?」

 

ねむ「君にはまだまだ僕の護衛をして貰わないと困るからね」

 

 ねむの真剣な眼差しを見てナナツメは頷いた。

 

ナナツメ「使わせて頂きます」

 

 ナナツメは自身のソウルジェムにグリーフシードを当てて穢れを吸収させた。

 

ナナツメ「小生はこれで大丈夫です。このグリーフシードはまだ後、一度は使えそうです」

 

ねむ「ふむ。他にソウルジェムが穢れている者は?」

 

 ねむの問いかけに周囲の羽根は首を振った。

 

黒羽根2「私達は魔力をなるべく消耗しない様に戦うのに慣れているので大丈夫です」

 

ねむ「それなら良いけどドッペルで強引に穢れを無くそうなんて思ってはいけないよ。どんな効果があるのか分からないし、ドッペルも使い過ぎると大きな反動があるかも知れないからね」

 

黒羽根1「ドッペルに反動があるのですか?」

 

ねむ「うん。僕はドッペルを使うと急激に体力を消耗するから、その時は完全に無防備になるよ。ナナツメや羽根の皆がいないと滅多に使う事は出来ないよ」

 

白羽根1「そう言う事ですか・・・。心得ておきます」

 

ねむ「さて・・・。ここでの用は済んだし、新しいウワサのインスピレーションも得られた。今日はもう解散で良いよ。別の問題も生じたからね」

 

ナナツメ「何か問題が?」

 

ねむ「うん。いずれ分かる事だからこの場で言うよ。中央区に配置していた名無し人工知能のウワサが消えた。恐らくまた・・・。七海やちよに討伐されたんじゃないのかな?」

 

黒羽根1、黒羽根2「!?」

 

白羽根1「またウワサが倒されたのですか?」

 

ねむ「うん。この胸に残るざわつきはウワサが倒された時の物だ。だから僕は急いでナナツメとフェントホープへ戻るから君達も今日は解散で良いよ。ナナツメ」

 

ナナツメ「急ぎとあらば・・・。小生が背負いましょう」

 

ねむ「頼むよ。僕は少し疲れているから」

 

 ナナツメはローブをソウルジェムに収納するとねむを背負った。

 

ナナツメ「では行きます」

 

ねむ「うん」

 

 ねむを背負ったナナツメはそのままフェントホープへ向かって跳躍して行った。

 

白羽根1「よし・・・。ならば我々も今日は解散とする。ここは確か和泉十七夜の縄張りに近い。各自、注意して帰る様に」

 

黒羽根達「はい・・・」

 

 白羽根の言葉を受けて黒羽根達は解散して行った。

 

白羽根1「ドッペルに弱点がある・・・か」

 

 白羽根1もそう呟きながら黒羽根達の解散を見届けるとその場を去って行った。

 

 その頃、ねむはナナツメの連続跳躍によって数分でホテルフェントホープの入り口まで辿り着いていた。

 

ねむ「ナナツメ。ご苦労様」

 

ナナツメ「当然の事です」

 

 ねむとナナツメはホテルフェントホープの結界入り口に入り込んだ。

 歩きながらねむはスマホにメールが来ていた事に気が付いた。

 

ねむ(みふゆからの連絡・・・。やっぱり名無し人工知能のウワサは七海やちよに倒されたのか・・・。そろそろ別の対処が必要かな・・・)

 

ナナツメ「! ねむ様」

 

 ねむの背後から護衛していたナナツメが前方から来る人影に気が付いてねむの前に出た。前方からやって来たのは黄色いローブの上から黒いローブを着ている彩月だった。

 

彩月「なんや?ねむ様やないか」

 

ねむ「彩月。どうしたんだい?その恰好は」

 

彩月「みふゆさんがウワサを倒した七海やちよ見に行く言うから黒羽根の振りして付いて行ってみたんや」

 

ねむ「成程・・・。で、どうだったんだい?」

 

彩月「確かに名無し人工知能のウワサは倒されとったで。だからみふゆさんがアリナさんを説得して帰って来た所や。アリナさんはどっか行ったんやけどな」

 

ねむ「大体の状況は理解したよ。後の事は僕と灯花がみふゆと相談して決めるよ。彩月は今日の仕事は終わっているんだろう?」

 

彩月「終わっとるで。だから退散して来た所や」

 

ねむ「うん。じゃあ帰ると良いよ。もう夜も遅いからね」

 

彩月「そやな。ねむ様。ではまた」

 

 そう言って彩月は去って行く。

 

ねむ「さて・・・。僕も仕事をしないとね。行こうか。ナナツメ」

 

ナナツメ「はい・・・・・・」

 

 ホテルフェントホープへ向かうねむの背後を歩く護衛役のナナツメ。

 

 

 

□ 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープ 地下牢

 

 

みふゆと天音姉妹から中央区での七海やちよとの戦いに関する報告を聞き終えたねむはナナツメと二人で地下牢に来ていた。

そこには一人の制服姿の少女がベッドの上で横たわっていた。

意識は無く眠っている様子だった。

 

ねむ「そろそろ君の出番かも知れないよ。君はマギウスの手で生まれ変わるんだ。僕達、魔法少女を救う聖なる存在として」

 

 眠っている少女に言葉は届いていないのはねむにも分かっていた。

 

ねむ「君の目覚めが・・・。僕達の計画を・・・。新たな段階へ至らせる事を期待しているよ」

 

 少女に声は届いていない。

僅かに身じろぎするだけだ。

 ねむとナナツメは少女の黄色い髪が揺れ動いたのに気付かずに地下牢を出て行った。

 少女の目から落ちた涙には気が付かない。

 

 

 

□ ホテルフェントホープ ねむの部屋 数日後

 

 

 

ねむは部屋で本を読んでいる。

灯花との待ち合わせまでまだ時間があるからだ。

そこへ黄羽根姿の彩月が部屋へ入って来た。

 

ねむ「おや?どうしたんだい。彩月。慌てているみたいだけど」

 

彩月「ねむ様!昨日倒された、やっかみウワサの調査をどうしてウチにやらせてくれなかったんですかー」

 

彩月は少し膨れた様子を見せていた。

 

ねむ「やっかみカワードだよ。調査の事はね・・・。彩月。ハッキリと言うけど君は他人を妬んだ事は無いだろう?妬んだとしてもおちゃくって済ましてしまうじゃないか。君じゃ不適格だよ」

 

 彩月との会話でねむは昨日の事を思い出していた。

やっかみカワードはねむの作り出したウワサの一つだった。

 このウワサは他者を妬む人物に憑依する特性を持っていた為、他者を羨んでいた黒羽根の一人に憑依されたので、そのままマギウスの活動を行っていた際に七海やちよ率いるチームと遭遇して退治されてしまった。

 と言ってもねむはこのウワサに関しては特定の魔法を構成するデータ取りの目的が強く倒された事自体は計画通りだったので気にしていなかった。

 最も勝手に黒羽根を人体実験に用いた事をみふゆに怒られたが。

 

彩月「そんなー。ウチだってちょっとは、他の魔法少女の魔法が羨ましいって思う時もありまっせー。ねむ様みたいにウワサを作りたいとか、みふゆさんみたいに幻惑したいとか、アリナさんみたいにキューブで魔女捕まえたいとか」

 

ねむ「そのレベルじゃ全然駄目だよ。全く。ただ羨んでいるだけみたいだね。君は時々突拍子も無い事を言うよ」

 

彩月「そりゃーウチだって少しは強くなりたいんやで」

 

ねむ「君は僕の具現化魔法で強引に魔法を使えている状態だと言う事を忘れちゃいけないよ。下手に魔法を重ね掛けすると、どうなるか分かった物じゃないよ」

 

彩月「そんなー。何とかもっと強くなる方法は無いんでっか?」

 

ねむ「今の所はないね。けど考えている事はあるかな」

 

彩月「それは一体なんでっか?」

 

ねむ「まあまだ実験段階だから上手く行ったら彩月の強化にも役立てる事を検討してあげても良いよ。大人しくしてくれるのなら」

 

彩月「するする。ウチは大人しくていい子やで~」

 

 彩月はその場に正座して姿勢を正して見せる。

 

ねむ「調子が良いね。君といると退屈しないよ」

 

彩月「それなら今日は変わった趣向としてウチがねむ様の護衛をしましょうか?」

 

ねむ「彩月がかい?」

 

彩月「帰り道の護衛ならウチでも出来まっせ」

 

ねむ(ふむ・・・。普段はナナツメに護衛を任せきりだし彩月に任せるのも悪く無いかも知れないね。それに何より)

 

ねむ「面白そうだね。じゃあ今日は帰り道の護衛は彩月にやって貰おうかな。むふ」

 

彩月「そうやろ。そうやろ。ウチといると退屈はしないで!」

 

 売り込みを続ける彩月を面白そうに見つめるねむ。

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ エントランス

 

 

 

エントランスで待機している黄色いローブ姿のナナツメ。

ねむの待ち合わせ時間に合わせて既に30分前には待機していた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 そこへ彩月を伴ってねむが姿を現した。

 

ねむ「ナナツメ。ちょっと良いかな?」

 

ナナツメ「構いません」

 

 ねむに促されてソファーに座るねむ、彩月とナナツメ。

 

ねむ「ナナツメ。今日の帰り道の護衛なんだけど」

 

ナナツメ「小生は準備万端です」

 

ねむ「悪いんだけど今日は彩月に護衛をして貰う事にしたから」

 

彩月「悪いな。ナナツメさん」

 

ナナツメ「・・・・・・・。構いません。ねむ様の命令ならば」

 

彩月「意外やなー。少し怒るかと思うたで」

 

ナナツメ「彩月。お前に護衛が勤まるかどうかこれで判明する。そうでしょう?ねむ様」

 

 ナナツメは真っすぐにねむを見ていた。

 

ねむ「そうだね。それは考えていなかったけどいい機会だね。彩月。君と一夜、ナナツメを含めた3人は黄羽根と言う僕たちの護衛役なんだからその資質を見てみたいね」

 

彩月「しまった!?つまりテストって事やんか!そんなー。ウチは綿密な計画を立ててテストで良い点取るタイプの子なんやでー」

 

ねむ「抜き打ちテストもたまにはいい刺激になるよ。むふ」

 

ナナツメ「ああ。テストは抜き打ちが一番だ。どれだけ備えているのか分かりやすい」

 

彩月「それならウチはちゃーんと護衛をやりまっせー!」

 

 ソファーから立ち上がりねむに敬礼して見せる彩月。

 

ねむ「本当に大丈夫かい?」

 

ナナツメ「盾にはなるのでは?」

 

彩月「酷い評価やなー」

 

灯花「面白い事をしているね。くふ」

 

 そこへ制服姿の里美灯花が姿を見せた。

 

彩月「あら灯花様。珍しい所で会ったなあ」

 

 彩月は再び敬礼して見せる。

 

灯花「うん。敬礼も悪く無いねー。ところでねむ。今日はナナツメじゃなくて彩月に護衛をして貰うみたいだけど、そうなるとナナツメは今日フリーと事だよね?」

 

ねむ「うん。そうだね。ナナツメの仕事は無いかな」

 

灯花「それじゃあナナツメ。ちょっとわたくしと付き合って貰ってもいいかにゃー?」

 

ナナツメ「護衛ですか?構いません」

 

灯花「まあ護衛みたいなモノかにゃー?それじゃあナナツメ行くよー」

 

 灯花に促されてナナツメは立ち上がり灯花に付いて行った。

 

ナナツメ「ねむ様。それでは。彩月。護衛を頼むぞ」

 

 少し彩月を睨む様な視線を見せてナナツメは灯花と共にフェントホープを出て行った。

 

ねみ「さて。それじゃあ彩月。早速僕の自宅まで護衛をして貰おうかな?」

 

彩月「アイアイサーでっせ!」

 

ねむ「ふざけた挨拶はともかく行こうか」

 

 ねむは彩月のふざけた挨拶を軽く流すと二人でフェントホープを出て行った。

 

 

 

□ 神浜市内 工匠区 電気街

 

 

 

電気街の中にあるパソコンショップで商品を物色している制服姿の灯花。

その傍で周囲を警戒している私服姿のナナツメ。

 

灯花「このパーツも良いけどこっちもいいにゃー」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

灯花「ナナツメはどう思う?」

 

ナナツメ「すみません。小生にはパソコンの知識はありません」

 

灯花「そっかー。残念だにゃー」

 

ナナツメ「しかし荷物を持つ位は出来ます」

 

灯花「うん。そこは期待してたにゃー」

 

 既にナナツメの手には灯花の買ったパソコン用のプリント用紙やインクなどの消耗品の入った袋が握られていた。

 

灯花「じゃあ次の店へ行くにゃー」

 

 灯花とナナツメは別の店へと赴いた。

 

灯花「あれ?もうー。これじゃ届かないにゃー!」

 

 灯花は欲しい商品がある場所を見つけたが高い場所にあり手が届かなかった。

 

ナナツメ「小生にお任せを」

 

 そう言ってナナツメは荷物を一度降ろすと直ぐに灯花の欲しい商品を取って見せた。

 

灯花「ありがとう。ナナツメ。はなまるだよー」

 

ナナツメ「話に付き合えませんがこういう事位は出来ます」

 

灯花「うん。ねむがナナツメを護衛として重宝するのが分かった気がするよー」

 

ナナツメ「かも知れません」

 

灯花「うん。これが欲しかったんだよねー。ありがとう。ナナツメ」

 

ナナツメ「仕事です」

 

灯花「うんうん。給料をあげているだけの事はあるよー」

 

 そう言って灯花とナナツメは買い物を続ける事した。

 

 

 

□ 神浜市内 ねむの自宅までの帰り道。

 

 

 

ホテルフェントホープからの帰り道を歩く制服姿のねむと制服姿の彩月。

 ねむと付かず離れず護衛をしていたナナツメと異なり彩月はねむの隣で話しかけながら歩いている。

 

彩月「それでなあ・・・。その猫は車の上で昼寝しとったんや。そこへ急に車がエンジンを掛けたから驚いて飛び上がったんや」

 

ねむ「ふむ。それは愉快だね」

 

 

 

 帰り道の電車に乗るねむと彩月。

 

彩月「良い景色やな。電車から流れる景色は・・・。ウチは割と好きやで」

 

ねむ「君がそんな事を言うなんて意外だね」

 

 

 

 参京区にある駅からの帰路を歩く彩月とねむ。

 

彩月「なんや暗い道やな。ねむ様は良く平気で歩けるなあ」

 

ねむ「僕らは魔法少女だからそうした事に鈍感になっているのかも知れないね」

 

ねむ 彩月「!?」

 

 その時、ねむと彩月は魔力の反応を感じ取った。

 周囲を見ると近くの建物の間にある路地に結界があるのに気が付いた。

 

彩月「これは・・・。使い魔ですかあ」

 

ねむ「それと魔法少女いるね。3人か」

 

彩月「知らん反応やな。ねむ様。お家は近いんでっか?」

 

ねむ「直ぐそこだね。どうするつもりだい?」

 

彩月「たぶんマギウスの翼関係者では無いやろしウチが勧誘する振りして来るで」

 

 そう言って彩月は魔法少女に変身した。

 黄色いローブを羽織りフードで顔を隠していた。

 

彩月「ウチが入り込んだからその隙にねむ様は帰って下さい。もし七海やちよの関係者でも何とかなるやろ」

 

ねむ「・・・。分かった。でも彩月。無理はしないでね。駄目なら直ぐに逃亡する事」

 

彩月「分かっとるで。それじゃあ行って来るで」

 

 そう言って彩月は路地にある結界の中に入り込んだ。

 

ねむ「頼むから無茶はしないで欲しいな。彩月。君は面白いから」

 

 ねむは直ぐに足早にその場から去って行った。

 

 

 

□ 神浜市内 参京区 結界内

 

 

 

結界の内部を黄色いローブをなびかせて突き進む彩月。

 

彩月(さーて。どうしたろっかなー。戦闘になったらどうするかー。まあ戦ってみるかー。と言うても一応勧誘するとは言うたから話位はするかあー)

 

 彩月の眼前で3人の魔法少女が使い魔を倒していた。

 

三栗あやめ「いやー!」

 

静海このは「あやめ!無茶をしないで!」

 

遊佐葉月「このは!あれなら大丈夫だって」

 

使い魔「!?」

 

 三栗あやめの渾身の一撃で使い魔は倒された。

 と同時に結界が崩壊して建物の間にある路地に戻った。

 彩月が少しだけ様子を窺ってみた。

 

三栗あやめ「やったー!先に倒したからあちしの勝ち!」

 

遊佐葉月「あやめ。別に競争していた訳じゃないんだから」

 

静海このは「そうね。でも私達より先に倒したのは偉いわ」

 

三栗あやめ「だよねー。今日は速攻で倒すってフェリシアに言ったんだからな」

 

遊佐葉月「このはは、あやめに甘いんだから・・・。誰だ!」

 

彩月「!?」

 

 自身の存在に気付いた事に驚いた彩月だったが隠れている意味は無いので直ぐに姿を見せた。

 

彩月「なんや。バレてたか」

 

静海このは「誰?この人」

 

遊佐葉月「フードで顔を隠して・・・。怪しいね」

 

三栗あやめ(なんだアイツ・・・。黄色いマントを全身に纏ってすっごくカッコいいぞ)

 

静海このは「何者なの?」

 

 静海このはは彩月に武器を向けていた。

 

彩月「別に戦う気は無いで。素顔を見せないのは勘弁しとくれ。ウチはあんさん等を勧誘に来たんや」

 

遊佐葉月「勧誘?妙な事を言うね」

 

彩月「いやー。凄く良い戦いぶりだったからウチもそんな気持ちになったんや。ウチ等の組織マギウスの翼にな」

 

静海このは「マギウスの」

 

遊佐葉月「翼?」

 

 懐疑的な表情を見せる静海このはと遊佐葉月。

 

三栗あやめ「真っ黄ウス?」

 

しかし三栗あやめは黄色いローブに目が行って聞き違えていた。

 

彩月「マギウスや。真っ黄ウスやないで。マギウスの翼や。まあ確かにウチは真っ黄色やけどな」

 

遊佐葉月「もしかして最近、神浜市内で七海やちよと小競り合いを繰り返しているのってアンタ達かい?」

 

彩月「そこまで知っとるなら否定はせん。確かに七海やちよとは戦こうとるけどそれは誤解もあるなあ。ウチらは魔法少女の救済を掲げとるんやから」

 

静海このは「七海やちよと誤解で争うとは思えないけど・・・」

 

三栗あやめ「ねえ!そのローブカッコいいけど真っ黄ウスに入ると貰えるの?」

 

遊佐葉月「あやめ!今はそんな事を聞いている場合じゃないよ」

 

彩月「調子狂うなあ。まあ組織に入ればこのローブは貰えるで。ただし色は黒いけどな」

 

三栗あやめ「黒!すっげーカッコ良いじゃん!フェリシアに自慢できるぞ!」

 

彩月「入ってくれるならサービスでくれてやるで」

 

三栗あやめ「おおー。じゃあ・・・あちしは」

 

彩月「今なら一人3枚付けるで!」

 

静海このは「駄目よ。こんな素顔を見せない連中・・・。怪しすぎるわ」

 

遊佐葉月「そうだよ。あやめ。七海やちよと対立しているのならフェリシアと戦う事になるよ」

 

三栗あやめ「えっ?やだよ!あちしフェリシアと戦いたくはないよ!じゃあ、やっぱりやめた!」

 

彩月「なんや。即決やな。じゃあええわ。またの機会になあ」

 

静海このは「えっ?」

 

遊佐葉月「随分とあっさりと手を引くんだね」

 

 食い下がる事無く去って行った彩月に静海このはと遊佐葉月は驚きを隠せなかった。

 

三栗あやめ「そっかー。じゃあなー」

 

 三栗あやめに彩月は軽く手を振るとその場から去って行った。

 既に彩月の目的は済んでいた。

 

彩月(どうやらあの3人はねむ様の事は気付かなかったようやし問題無いやろ)

 

 歩きながら彩月はねむに対してメールを打っていた。

 

 

 

彩月メール ねむ様。あの3人はねむ様には気付いて無いです。勧誘には失敗しました。

 

ねむメール 分かった。僕は無事に帰ったから彩月も帰宅して良いよ。

 

 

 

 直ぐにねむから彩月への返事は来た。

 

彩月(じゃあお言葉に甘えて帰るとしますか)

 

 彩月も自分の帰路に付く事にした。

 

彩月(それにしても・・・。あのピンク髪の子・・・。あやめって言うのか。綾女さんと同じ名前かあ・・・)

 

 筒地綾女は未だにホテルフェントホープ地下で封印されている。

 魔女とドッペルと魔法少女が入り混じったキメラの存在。

 そして彩月が再会を願っている相手。

 

彩月(一体ウチはいつ綾女さんに会えるんやろなあ)

 

 自身を記憶を植え込んだ存在との再会はまだ果たされない。

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ ねむの私室 次の日

 

 

 

次の日、ねむの私室にねむと灯花、彩月とナナツメが集まっていた。

 

ねむ「さて・・・。ナナツメ。今日からまた君に僕の護衛を頼もうかな?」

 

ナナツメ「分かりました」

 

彩月「えー!?ウチの護衛は失格なんか!?」

 

ねむ「そうでもないよ。君とのお喋りは退屈しないからね」

 

彩月「じゃあなんでやー」

 

ねむ「でも護衛としてみればやっぱりナナツメの方が上だよ。残念だけどね」

 

彩月「ナナツメさんと比べられたんじゃ引き下がるしかないなあ」

 

 諦めた彩月はこれ以上食い下がろうとしなかった。

 

灯花「そっかー。ナナツメはまたねむの護衛かあ。残念だにゃー」

 

ねむ「何だい灯花。君も護衛としてのナナツメを気に入ったのかい?」

 

灯花「そうだねー。物静かだし買い物の時に気も利くし荷物も持ってくれるし護衛としてはなまるだよー」

 

彩月「そんならウチだって気が利くでー」

 

灯花「ふーん。じゃあ次は彩月に何か頼もうかにゃー?」

 

ねむ「でもそれはまた今度で良いだろう?今日はみふゆとの会議があるんだから」

 

灯花「そうだったねー。じゃあ彩月。次は彩月に何か頼むかも知れないから」

 

ねむ「そうだね。じゃあ彩月。僕と灯花はみふゆとの会議があるから。行こうか。ナナツメ」

 

ナナツメ「分かりました」

 

彩月「それならウチは一夜さんの所に行ってるで。ほなまた!」

 

 そう言って彩月は先に部屋を出て行った。

 向かう先は

 

 

 

□ 一夜の部屋

 

 

 

彩月「とまあ昨日からそんな事があったんや」

 

一夜「そうなんだ。彩月さんはねむ様の護衛を・・・」

 

彩月「まあ今日からまたナナツメさんが護衛やけどな」

 

一夜「ナナツメさんはその間、灯花様の護衛をしてたんだよね?」

 

彩月「そやけど灯花様の買い物にずっと付き合っていたみたいやで。ウチからすればそっちのが大変そうやけどな」

 

一夜「確かに灯花様は色々と沢山買い物しそうだよね」

 

彩月「けどいつかはウチにもお呼びがかかりそうやしなあ」

 

一夜「え?そうなの?」

 

彩月「もしかしたら一夜さんの事も必要かもなあ」

 

一夜「アタシも?」

 

彩月「ウチだけじゃ手に追えそうもないからなー」

 

一夜「アタシがいても手に負えない気がするよ・・・」

 

彩月「まあどうなるかは分からんけどなあ」

 

 彩月は屈託のない笑顔で笑っていた。

 

 

 

 

 

 




あとがき

今回の話は少し予定外に書いた話となります。
まさしく書いてる内に内容が膨らみ過ぎたと言う所です。
一部リジェクトストーリーの話をそのまま使ってますが。
マギアレコード第一部のメイン5章でみふゆが現れたにも関わらずやちよ達が追撃をしなかったのは、戦いでの疲弊だけではなく周囲に羽根の伏兵が待機していたのではと考えてこのシーンを執筆しました。
ここでようやく、彩月といろは達が対面を果たしたと言う事です

ねむが最後のシーンで見ていた少女は6章で登場する変貌した彼女で間違い無いです。
そしてここで割と最新のイベントストーリーの内容を盛り込んでナナツメが灯花の護衛件、買い物をする話。

 更に彩月とツツジシスターズと出会うシーン。
 これらが書きたかった事です。


次回はクリスマスに起きた騒動を上下に分割して投稿します。


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