マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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5・6章 えらく面倒かけたで

□ 神浜市内 工匠区 電気店街 数十分前

 

 

 

灯花と一夜は人通りの多い通り出た。

 

灯花(彩月・・・。ちょっと待ってて。直ぐに援軍を呼ぶから!)

 

 おもむろにスマホを取り出した灯花は直ぐに天音月咲に電話を掛けた。

 

灯花(確か月咲は工匠区に住んでるって言っていたよね・・・)

 

月咲電話「あれ?灯花様。何かウチにご用ですか?」

 

灯花電話「月咲?今どこにいるのー?」

 

月咲電話「はい。月夜ちゃんと工匠区にいますけど」

 

灯花電話「それなら丁度良かったにゃー。わたくしも工匠区にいるんだけど彩月が襲われてるの!電気店街にいるから直ぐに来て!」

 

月咲電話「彩月ちゃんが!?直ぐに行きます!」

 

 月咲の返事を聞いて灯花はスマホの通話を切った。

 

灯花「ふう。これで笛姉妹が来てくれるにゃー」

 

一夜「彩月さん。大丈夫でしょうか?」

 

灯花「何とも言えないにゃー。固有魔法を使われたら危ないかもにゃー」

 

一夜「っ・・・・・・・」

 

 不安そうな表情を見せた一夜を見て灯花は仕方なくらしくない事を言う事にした。

 ねむのお気に入りの実験体でもある一夜を不安定な状態のままに放置するのは危険だと感じたからだ。

 

灯花「でも笛姉妹が直ぐ来るから大丈夫だと思うにゃー」

 

月夜 月咲「「灯花様!」」

 

 そこへタイミング良く天音姉妹が走って来た。

 

灯花「タイミング良いよ。二人共!はなまるだよー」

 

月夜「それは嬉しいでございますが・・・」

 

月咲「はい。彩月ちゃんは何処に?」

 

灯花「うん。彩月はあの路地の先で白羽根と戦っているよ」

 

月夜「白羽根でございますか?」

 

月咲「つまり・・・。反逆者って事だよね・・・」

 

灯花「二人はまず彩月を助けてあげて。それと反逆者を捕まえる事!二人共頼んだよ!わたくしは一夜を連れてフェントホープへ戻っているから」

 

月夜 月咲「「分かりました!」」

 

 天音姉妹は灯花の指差した路地へ向かって行った。

 

灯花「じゃあ一夜。わたくしと一緒にフェントホープへ帰るよ」

 

一夜「でも彩月さんが・・・」

 

灯花「もし他にも敵がいたら彩月の努力が無駄になるかも知れないにゃー。だからここは戻るのが正解だよ」

 

一夜「分かりました・・」

 

灯花「急いでいるからタクシーを使うにゃ。さあ一夜。行こう」

 

 灯花に手を引っ張られて一夜は付いて行く。

 運良く灯花と一夜は駅前に止まっていたタクシーに乗り込んで北養区にあるフェントホープの入り口を目指した。

 

灯花(運転手にはフェントホープの近くまで行って貰って・・・。それから・・・。みふゆとねむにもメールしないと)

 

 タクシー車内で灯花は瞬時にみふゆとねむにメールで現状を知られてフェントホープで落ち合う約束を取り付けた。

 自分がすべき事を整理して一つずつ進める灯花だった。

 

□ 神浜市内 工匠区 電気街 路地裏

 

 

 

血だらけで倒れる彩月。

その脇では傷だらけで倒れる白羽根2。

立ち尽くす天音姉妹。

 

月夜「月咲ちゃんどうするでございます!?」

 

月咲「月夜ちゃんどうしよう!?」

 

 慌てる天音姉妹。

 

月夜「とにかくこの反逆者の白羽根を」

 

月咲「うん。幸い傷は浅いからこのまま・・・」

 

 月夜は持っていた魔女捕獲用のキューブに白羽根2を閉じ込めた。

 

月咲「それにしても彩月ちゃん。酷い怪我・・・。これじゃウチらじゃ手に負えないよ・・・」

 

月夜「はい。それに彩月さんは普通の魔法少女では無いでございます・・・」

 

月咲「ねむ様にどうしたら良いか聞いた方が良いんじゃ?ウチが電話してみるね」

 

 月咲はスマホを取り出すとねむに電話を掛けた。

 

月咲電話「もしもし!ねむ様!」

 

ねむ電話「灯花からのメールは見たよ。彩月の事だね。無事なのかい?」

 

月咲電話「彩月ちゃんが重傷を負って!」

 

ねむ電話「彩月が重傷・・・。彩月は普通の魔法少女では無いからね。魔力による自己治癒は殆ど望めないと思う」

 

月咲電話「じゃあどうすれば・・・」

 

ねむ電話「落ち着いて。こう言う時の為に神浜には調整屋がいると思うよ」

 

月咲電話「あっ。そっか。みたまさんなら」

 

ねむ電話「調整屋なら治療手段はあるかも知れない。だから彩月を調整屋に運んで」

 

月咲電話「分かりました」

 

 月咲は電話を切った。

 

月咲「月夜ちゃん。ウチは彩月ちゃんを調整屋に連れて行くから」

 

月夜「では私は反逆者をフェントホープへ。みたまさんには電話しておきます」

 

月咲「お願い!じゃあ!」

 

 そう言って月咲は彩月を抱き抱えると魔法少女としての跳躍力を活かしてその場から飛んで行った。

 

月夜(私はまず調整屋さんに電話を・・・)

 

 月夜はみたまとの電話番号を知っていた為に直ぐに掛ける事が出来た。

 最もその番号は他者に見られても大丈夫な様に偽名で登録されていたが。

 

月夜電話「もしもし。みたまさんですか?」

 

みたま電話「あら~。月夜ちゃんじゃない。電話なんて珍しいわね」

 

月夜電話「はい。実は・・・。黄羽根の菖蒲彩月さんの事はご存じでございますね?」

 

みたま電話「ええ。彩月ちゃんは一夜ちゃんが調整屋に来る時に護衛に来てる子ね~」

 

月夜電話「その彩月さんが重傷を負っているでございます」

 

みたま電話「えっ!?それって・・・」

 

月夜電話「はい。彩月さんは普通の魔法少女では無いので治癒力が・・・」

 

みたま電話「分かったわ。彩月ちゃんの事はマギウスから聞いてはいるから治療に必要な事は把握しているわ。今は何処にいるの?」

 

月夜電話「月咲ちゃんが彩月さんを連れて今、調整屋に向かっているでございます」

 

みたま電話「幸い今日はお客が来てないから、このまま彩月ちゃんの治療に専念させて貰うわ」

 

月夜電話「はい。よろしくお願いするでございます。それと報酬の方は後払いと言う事で。後日必ず払いに向かいます」

 

みたま電話「ええ。緊急事態だから構わないわ。それじゃ」

 

 みたまが電話を切ったのを確認した月夜は天を仰いだ。

 

月夜「月咲ちゃん。どうか彩月さんを無事に調整屋に・・・。私も私に出来る事をするでございます」

 

 路地裏から立ち去ろうとした月夜だったが一度、立ち止まると再度、スマホを出した。

 

月夜(フェントホープへ行く前に現状を灯花様とねむ様、それにみふゆさんにメールしておくでございます)

 

 月夜は念の為の現状報告を灯花、ねむ、みふゆへメールしておくのを忘れなかった。

□ 神浜市内 新西区 調整屋

 

 

 

八雲みたまが天音月夜からの電話を切って治療の準備を終えた時、そこへ天音月咲が重傷を負った菖蒲彩月を抱えて大急ぎで調整屋に入って来た。

 

月咲「みたまさん!」

 

みたま「来たわね。彩月ちゃんを向こうのベッドに運んで」

 

月咲「はい!」

 

 月咲は言われた通りに彩月をベッドに寝かせた。

 

みたま「ちょっと。これって・・・」

 

月咲「はい。見ての通りにございます」

 

 みたまは調整屋として魔法少女と接している関係上、傷を負った魔法少女を治療する事もあったが彩月の負っている怪我はみたまでも初めて見る程、酷い状態だった。

 

彩月「うっぅ・・・・」

 

みたま「息はしているわね。他は・・・」

 

 みたまは自身の手袋に魔力を集中して彩月の身体の上をなぞる様に移動させて彩月の身体の状態を魔力越しに感じ取っていた。

 

みたま「これ・・・。酷いわね。右目から胸まで切られているわ。一体何があったの?」

 

月咲「ウチも灯花様に急に呼び出されて詳しい事は・・・。ただ彩月ちゃんは灯花様と一夜さんを守る為に傷付いたみたいで・・・」

 

 事態を詳しく知らない月咲は憶測で物を語らない為に敢えて知っている事だけを話した。

 

みたま(やっぱりマギウスの翼絡みの事かしらね・・・。組織である以上、こういう事は避けられないわね・・・)

 

月咲「みたまさん!彩月ちゃんはどうなの?」

 

みたま「・・・・・。傷が深過ぎてわたし一人じゃ手に負えないわ」

 

 厳しい表情を見せるみたま。

 

月咲「そんな!?ウチでもなんとか力になれないの?」

 

みたま「ここまで傷が深い以上、特に目の傷は魔力を注いでの治療じゃ焼け石に水だわ。これを治すとなると固有魔法の持ち主の力を借りた方が良いわ」

 

月咲「固有魔法?」

 

みたま「ええ。固有の魔法で強力な治癒魔法の持ち主に来て貰えば何とかなるわ。マギウスの翼にも治癒魔法の持ち主はいるけど・・・。確か彼女は隣町の魔法少女だから直ぐに呼び出せないわ」

 

月咲「じゃあどうしたら」

 

みたま「今の神浜にはわたしの知る限り強力な治癒魔法の持ち主が二人いるから両者に来て貰えば彩月ちゃんは助かるわ。ただ一つだけ問題があるの」

 

月咲「何が問題なの?ウチに出来る事なら何でもするよ」

 

みたま「その一人があなた達、マギウスの翼と対立している人物の一人なの」

 

月咲「それってもしかして・・・」

 

みたま「ええ。やちよさんとチームを組んでいる環いろはちゃんの事よ」

 

月咲「でも・・・。彩月ちゃんの命には変えられないよ」

 

みたま「じゃあここに呼び出す事になるけど構わないのね?」

 

月咲「うん。ウチは大丈夫だから」

 

みたま「分かったわ。恐らくやちよさんも来ると思うから彩月ちゃんは東に迷い込んだ他所から来た魔法少女と言う事にするわ」

 

月咲「それをウチが助けたと言う事だね。うん。それで大丈夫。もう一人の治癒魔法の持ち主は?」

 

みたま「神浜大東団地に住んでいる伊吹れいらちゃん。れいらちゃんは十七夜の知り合いだから十七夜にもこの事は耳に入ると思うけど・・・」

 

月咲「それ位ならウチは大丈夫です」

 

みたま「分かったわ。じゃあ二人を呼び出すから」

 

 そう言ってみたまは自分のスマホを取り出した。

 

みたま電話「もしもし。れいらちゃん。急で悪いんだけど直ぐに調整屋に来て欲しいんだけど」

 

伊吹れいら電話「みたまさん。またミラーズで何かあったんですか?」

 

みたま電話「ミラーズの事じゃなくてね・・・。酷い怪我をした魔法少女がいるからわたし一人じゃ手に負えないかられいらちゃんの固有魔法を貸して欲しいの」

 

れいら電話「えっ?分かりました。直ぐに行きます」

 

みたま電話「お願いね!なるべく急いで」

 

 みたまはれいらとの電話を切ると次は環いろはに電話を掛けた。

 

みたま電話「もしもし。いろはちゃん」

 

環いろは電話「はい。みたまさん。何か御用ですか?」

 

みたま電話「直ぐに調整屋に来れる?酷い怪我を負った子がいるからいろはちゃんの固有魔法を貸して欲しいの」

 

いろは電話「分かりました。今やちよさんと買い物中なので直ぐにそちらに向かいます!」

 

みたま電話「えっ?来るならいろはちゃん一人で」

 

 ツーツー

 

 既にいろはの電話は切られていた。

 

みたま「いろはちゃん。あの様子じゃやちよさんと来るみたいね」

 

月咲「七海やちよ・・・。でも今は彩月ちゃんの治療が優先だから」

 

みたま「ええ。二人が来るのを待ちましょう。その間、わたしが痛みを和らげる処置をしてみるから」

 

 みたまはそう言ってベッドの上でうめき声を上げている彩月に向かって手袋から魔力を彩月の身体に通して行く。

 

月咲(とりあえず現状をメールで灯花様とねむ様、みふゆさんに月夜ちゃんに連絡しておいてと・・・)

 

 魔法少女の変身を解いた月咲はメールで4人に彩月の事を報告した。

 暫くすると調整屋に入って来る複数の足音が聞こえた。

 

七海やちよ「みたま。入るわよ。あなた!?」

 

いろは「みたまさん。ケガした魔法少女は・・・。って!?」

 

 やちよといろはは調整屋にいる白羽根姿の月咲を見て驚き思わず魔法少女に変身していた。

 

やちよ「どうしてあなたがここにいるの」

 

月咲「愚問だね。ウチは東の魔法少女だしマギウスの翼だって調整屋は利用するよ」

 

やちよ「そうね。その様子なら怪我をしたのはあなたじゃないのね」

 

みたま「ちょっと!ここで争うのはやめて頂戴。いろはちゃん!患者はこっちにいるから来て頂戴」

 

いろは「はい。やちよさん。ここで争うのは」

 

やちよ「ええ。怪我人を増やすつもりは無いわ」

 

 やちよは戦うつもりが無い事を示す為に変身を解いた。

 

月咲「うん。ウチも今は戦う気が無いから」

 

やちよ「見覚えの無い子だけど・・・。もしかして治療しているのは他所から来た魔法少女?」

 

月咲「そうだよ。酷い怪我を負っていたからここに運び込んだんだから。マギウスの翼は魔法少女の救済を掲げているんだから」

 

やちよ「そう。今回の事にみふゆは」

 

月咲「生憎だけどみふゆさんには関係が無いよ」

 

やちよ「でしょうね」

 

月咲「これ以上お互いに話さない方が良いと思うけど」

 

やちよ「同感ね。いろはを待たせて貰うわ」

 

 月咲とやちよは距離を取ってみたまといろはの様子を見ていた。

 

いろは「みたまさん!私の治癒魔法でも時間が掛かりそうです」

 

みたま「ええ。でも大丈夫よ。そろそろあの子が来る筈だから」

 

いろは「あの子?」

 

 そこへ調整屋に走って来る足音が響いた。

 

伊吹れいら「すみません。みたまさん。今来ました。てっえ!?」

 

 れいらが驚くのも無理が無いほど調整屋の雰囲気は最悪だった。

 彩月の治療に専念するみたまといろは。

 その様子を険悪な様子を隠す事無く見つめるやちよと月咲。

 

みたま「あっ。れいらちゃん。良かったわ。こっちよ!」

 

れいら「はい!」

 

 れいらはみたまに促されて彩月の横たわるベッドまで来た。

 

みたま「れいらちゃん。いろはちゃん。良く聞いて。この怪我人の怪我はかなりの重傷だからわたしじゃ治療のスピードが間に合わないの。だから急で悪いんだけど治癒魔法を持つ二人でコネクトしてこの子を治療して欲しいの」

 

いろは「あっ。だから少し待って欲しいって言ったんですね」

 

れいら「だから私を呼んだんだ。分かりました」

 

みたま「二人共、準備は良い?」

 

いろは「はい。れいらちゃんと前に学校の近くで魔女が出た時」

 

れいら「はい。やちよさんと二人で助けて貰いましたから」

 

 いろはとれいらは互いに魔法少女に変身した上で彩月の上に手を重ねた。

 

みたま「それじゃあ・・・。今だけわたしが魔力を底上げしてあげるから!」

 

いろは「れいらちゃん!行くよ」

 

れいら「はい。いろはさん!」

 

 いろはとれいらは彩月の身体の上に乗せた手が魔力で光り始める。

 

みたま「いっくわよ~!」

 

 みたまがいろはとれいらの背後から両手を二人の背中に片手ずつ当てながら調整の力を応用して二人の魔力を今だけ底上げする!

 

いろは、れいら「「コネクト!!」」

 

 みたまによって底上げされたいろはとれいらの魔力が合わさり浄化の炎を伴った治癒魔法として彩月の身体を包んで行く!浄化の炎に包まれた彩月の身体に刻まれた傷がみるみる塞がって行く。同時に切り裂かれた彩月の右目が再生していく。

 魔法でなければあり得ない再生治療が行われていた。

 

みたま「やったわ~!わたしの狙い通りね。目の傷も完璧に治って行くわ!」

 

れいら「ハアハア。これで大丈夫かな?」

 

いろは「うん。大丈夫だと思うけど・・・」

 

 いろはとれいらはみたまに魔力を底上げして貰ったとは言え急激に魔力を消耗して疲れ切っていた。

 みたまは彩月の身体を調べて特に切り裂かれた目を開いて見てみた。

 彩月の目は確かに治療されている。

 

みたま(良かった。これなら視力が無くなる事はないわね・・・)

 

みたま「二人共お疲れ様。調整屋さん助かっちゃったわ~」

 

いろは「上手く行って良かった・・・」

 

れいら「コネクトしながら治療するのは、初めてだったけど良かった・・・」

 

やちよ「治療は終わったみたいね」

 

みたま「ええ。もう大丈夫よ。今度お礼をしてあげるわ~」

 

やちよ「・・・。それは遠慮しておくわ。それでこの子はどうするの?」

 

月咲「この子は意識が戻り次第、ウチが送ってあげるよ。たぶん東に近い地域の魔法少女だと思うから」

 

やちよ「そう・・・。今は見逃してあげるわ。環さん。帰るわよ」

 

いろは「あっはい。じゃあみたまさん。天音さん。私はこれで」

 

みたま「ええ。いろはちゃん。お疲れ様。れいらちゃんも、後はわたしがやっておくから大丈夫よ」

 

れいら「あっはい。じゃあ私も帰らせて貰います」

 

 やちよといろは、それにれいらは調整屋から出て行った。

 その間にスマホを見ていたみたまは月咲に声を掛けた。

 

みたま「月咲ちゃんも暫くしたら帰って良いわよ。彩月ちゃんのお迎えは後でマギウスが派遣するって連絡があったから」

 

月咲「マギウスからですか?でもウチは」

 

みたま「そろそろ月咲ちゃんも帰らないとマズいんじゃないかってみふゆさんが言っているわ。ここは帰った方が良いんじゃないかしら?」

 

月咲「・・・。分かりました。じゃあみたまさん。後の事はお願いします」

 

みたま「ええ。調整屋さんに任せて頂戴」

 

 みたまに後を託して月咲も調整屋を出て行った。

 

みたま「じゃあ後はお迎えが来るまでわたしが様子をみてあげましょうか」

 

彩月「・・・・。えらく面倒かけたで」

 

みたま「えっ!?彩月ちゃん。気が付いているの?」

 

 驚くみたまがベッドに駆け寄ると彩月は両目を開いていた。

 しかしかなり辛そうでもある。

 

彩月「みたまさんがウチのまぶたを触った時には気付いたで」

 

 そう言って上半身を起こした彩月だが直ぐに頭を押さえてふら付いてしまう。

 みたまがそれを脇から支えた。

 

みたま「無理しないで。治したばかりなんだから」

 

彩月「そやな・・・」

 

 そう言って彩月はみたまに寄っかかって来た。

 普段の彩月からは考えられない反応にみたまは少しだけ驚いていた。

 

みたま「大丈夫?」

 

彩月「ウチなあ・・・。今日、死ぬとこやったわ」

 

みたま「そうね。正直に言って治療が遅れたら本当に手遅れだったかも知れないわ」

 

彩月「自分が死ぬのが・・・。殺されるかも知れないって思うた時、怖くなったウチは相手を殺そうとしたんや」

 

みたま「そうだったの」

 

彩月「寸前で天音さん等が止めてくれたけど・・・。止めてくれなきゃ気の済むまで相手を傷つけとったで」

 

みたま「それは・・・。天音さん達も彩月ちゃんが誰かを殺そうとしたのを止めたかったでしょうね」

 

彩月「大きな貸しが出来たで。まあウチは護衛やから殺さずにいられるか分からへんけど・・・」

 

みたま「彩月ちゃんは魔法少女の世界が怖くなったの?」

 

彩月「んー。それとは違うで。綾女さんの記憶があるからこう言う事は知識としては知っとったけど・・・。やっぱりウチの覚悟が足りんかったかなと」

 

みたま「覚悟が足りないってどうしてそう思ったの?」

 

彩月「ぶっちゃけた話、戦いながら余裕ぶって色々と試したい事を試して今回はこんな重傷を負ったんや。普通に戦えばええとこ行けたのに・・・」

 

みたま「それは・・・。そうなのかもね」

 

彩月「ウチは今、自分に呆れてるで。やっぱり命がけの戦いへの覚悟が足りんかったんやな。戦いに必要なのはやっぱり覚悟やなあ・・・」

 

 彩月の目から涙が一筋だけ流れていた。

 

みたま「彩月ちゃん・・・」

 

 みたまは彩月を抱き寄せると頭を撫でた。

 

みたま「もう心配はいらないからまた寝ましょうね。無理に起きていると傷に触るわ」

 

彩月「そうやな・・・。でも・・・。もうちょっとだけこうしてたいで」

 

みたま「よしよし。彩月ちゃんの可愛い一面が見れてお姉さんは嬉しいわ~」

 

彩月「ウチは妹やしな・・・」

 

 そう言って彩月は目を閉じると直ぐに寝息を立てた。

 

みたま「お休み。彩月ちゃん・・・。あら?覗き見かしら?」

 

 みたまが後ろを振り返ると一人の少女が制服姿で壁際に立っていた。

 

みたま「あなたは!?」

 

 その顔を見てみたまは驚きを隠せなかった。

 

みたま「彩月ちゃんを迎えに来るのがあなたなんて驚いたわね・・・」

 

 神浜市には存在しない制服姿の少女は手の平に緑色のキューブを出して見せた。

 

みたま「そう。そのキューブなら確かに彩月ちゃんを安全にフェントホープまで運べるわね。良いわ。もう眠ったからキューブに入れても大丈夫よ」

 

 少女は黄色い魔力でキューブを使って操作すると彩月をキューブの内部に収めた。

 

みたま「それにしても・・・。あなたの様な聖女が彩月ちゃんを迎えに来るなんて予想外だったわ。てっきりみふゆさんが来ると思ったのに」

 

 少女は何事かを口にした。

 

みたま「えっ?みふゆさんは別の件で話し合い中?それであなたが来たのね。じゃあわたしも今日は店じまいにするからあなたも見つからない内にここを出た方が良いわよ」

 

 みたまの言葉に少女は頷くと調整屋から出て行った。

 

みたま「彩月ちゃん・・・。大丈夫かしら?それにしてもこれから・・・。本当に忙しくなりそうね・・・」

 

 みたまはある種の予感を感じ取っていた。

 




今回の話は遂に本編キャラである環いろはと七海やちよが登場して彩月と出会います。
彩月が重傷を負ってしまい、いろはか伊吹れいらの治癒魔法で助かると言う流れは最初から決めていました。
 当初はどちらか一人だけの予定でしたが、アニメのマギアレコードセカンドシーズンでのまどかといろはのコネクトを見て両者のコネクトで彩月を助けるに変更。
 みたまに対して弱気な面を見せる彩月は書いている内に出たアイディアです。
 最後に彩月を迎えに来たのは想像通りの人物で間違い無いです。

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