マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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今回のストーリーはマギアレコード メインストーリー及びアナザーストーリー第一部の第5章内で起こった出来事と想定しています。
そして美国織莉子、呉キリカ、千歳ゆまの魔法少女ストーリーの後日談として構成されています。
なお各ストーリーのネタバレ描写も含みます。

追記
 マギアレコードでおりこ☆マギカイベントの開催が確定したので、このストーリーは全てボツにしたエピソード、リジェクトストーリー扱いとなります。
 ですからこの話における描写は本編には反映されません。





5・3章 なんでまた涙が出て来るんだ・・・

□ 風見野市内 夕方 廃教会付近

 

 

 

 廃教会から出て来る佐倉杏子と千歳ゆま。

 少しだけ険しい表情を見せる杏子に対してきょとんとした表情を見せるゆま。

 

千歳ゆま「キョーコ。どうしてここに来たの?」

 

佐倉杏子「なんでだろうね」

 

ゆま「キョーコ?」

 

杏子(本当は分かってる。ここは、あたしが自分の生き方を見失わない様にする為の傷跡だって事をね・・・。けどゆまにはまだ言わなくていい・・・)

 

杏子「さて・・・。夜メシにするか。ゆまは何を食べたい?」

 

ゆま「ゆまはね。今日はスパゲッティが食べたいー」

 

杏子「そっか。今日は金もあるしファミレスでスパゲッティでも食うか」

 

ゆま「うん!」

 

 杏子とゆまはレストランを探す為に駅の方へ向かって二人で歩いていた。

 その時、スーツ姿の一人の女性とすれ違った。

 

女性「!? ちょっとそこの二人。待って頂戴!?」

 

 女性は驚いた表情で杏子とゆまに声を掛けて来た。

 

杏子「なんだい。あたし達に何か用かい?」

 

 杏子は相手の女性が自分とゆまに声を掛けて来た事に少し驚いていた。

 

杏子(どこかの店で商品を頂いたのが見られていたか?だとしたら・・・)

 

女性「そこのあなた・・・。千歳ゆまさんよね?」

 

ゆま「え!?」

 

 ゆまは自身に声を掛けて来た事に驚いた。

 女性はスーツのポケットから黒い手帳を出して見せた。

 

女性「私は石島美佐子。警察よ。千歳ゆまさん。あなたに捜索願いが出されているわ。私と一緒に」

 

ゆま「ゆま・・・。ゆまはキョーコといるよ!」

 

 そう言ってゆまはその場から走り去ってしまった。

 

女性=石島美佐子「待ちなさい!」

 

杏子「ちょっと待ちなよ」

 

 杏子はそう言って石島美佐子の手を掴んだ。

 

石島美佐子「なっ!?ちょっと放しなさい!?」

 

杏子「その前に聞きたいんだよ。ゆまには捜索願いを出す親族がいるのか?」

 

石島美佐子「・・・。ええ。ゆまさんの祖父母が捜索願いを出したわ。訪ねて来る予定だった息子夫婦が殺されて孫娘が行方不明になったって・・・」

 

杏子(ゆまには親族がいたのか・・・)

 

石島美佐子「それに警察の方で住居を調べたら・・・。虐待の痕跡も見つかったから事件性があると判断して捜索していたのよ。両親も惨い殺され方をしていたから・・・」

 

杏子「そうなのか・・・」

 

石島美佐子「あなたの事も知っているわよ」

 

杏子「!?」

 

石島美佐子「行方不明になったここの教会に住んでいた娘さんよね?」

 

杏子「・・・。あたしの事はどうでもいいよ。あたしは一人で生きて行けるからね・・・。問題はゆまの事だろ」

 

石島美佐子「ええ。あなた。あの子が何処に行ったのか分からない?」

 

杏子「何となく分かるよ。でもあんたが説得してもゆまは付いて行かないだろうね」

 

石島美佐子「あの様子じゃそうかも知れないわね・・・」

 

杏子「だからあたしが説得して来る。説得してゆまをあんたと一緒に行く様に話を付ける。それで良いだろ?」

 

石島美佐子「あなたなら説得出来るの?」

 

杏子「たぶん・・・。あんたよりもあたしから話せばまだ言う事を聞く可能性はあると思うよ」

 

石島美佐子「そうね・・・。じゃあ説得はあなたにお願いするわ。ゆまさんのいる所まで案内して」

 

杏子「ああ。その方が良いだろうからね」

 

 杏子は石島美佐子と二人で歩き出した。

 魔力を探ってゆまのいる位置は分かっている。

 先程、足を踏み入れた廃教会の中だ。

 迷う事無く杏子は廃教会の中に入り込み礼拝堂だった場所で座り込んで頭を抱えているゆまを見つけ出した。

 

杏子「初めはあたしだけで話してみる。良いだろ?」

 

石島美佐子は黙ったまま頷いて建物の影に身を潜めた。

それを見た杏子は一人でゆまに近付いた。

 

杏子「ゆま。何してんだ?」

 

ゆま「キョーコ・・・。ゆまは・・・」

 

杏子「どうしたって言うんだい?」

 

ゆま「ゆま・・・。キョーコにウソを付いてた・・・」

 

杏子「どんなウソを付いたんだい?」

 

ゆま「ゆまには・・・。お爺ちゃんとお婆ちゃんがいるの・・・。でも何処に住んでるかゆま知らなくて・・・。だから・・・。一人で生きていける様にキョーコと・・・」

 

杏子「そうかい。でも心配してくれる家族がいるのなら帰らなきゃいけないよな」

 

ゆま「!?いや!ゆまは・・・。キョーコといたい!ゆまは役に立つよ!役立たずじゃない!?」

 

杏子「そう言う事を言っているんじゃないんだよ。ゆま。ゆまの爺さんや婆さんに会いたく無いのか?」

 

ゆま「それは・・・」

 

杏子「会える時に会わないと後悔するぞ。あたしはもう・・・。家族に会えないからな・・・」

 

 杏子はそう言って礼拝堂に目を向けた。

 ゆまは杏子のそうした様子を見て杏子の言おうとしている意味を悟った。

 

ゆま(もしかして・・・。キョーコの家族はもういないの・・・)

 

ゆま「ゆま・・・。おじいちゃんとおばあちゃんに会いたい・・・」

 

杏子「だったら」

 

ゆま「でもキョーコと別れたくないよ・・・。だってゆまは、キョーコの」

 

杏子「!! ゆま!!」

 

ゆま「え!?」

 

 杏子はゆまを鋭く制した。

 ゆまが魔法少女の事を話そうとしたのを察したからだ。

 

杏子(ゆま。魔法少女の事を軽々しく口に出すな。聞かれたら面倒だからな。テレパシーで話すぞ)

 

 杏子は念の為にここからの会話をテレパシーで行う事にした。

 

ゆま(うん。だってゆまは、キョーコの為に魔法少女になったんだから)

 

杏子(ああ。分かってるよ・・・)

 

ゆま(それに・・・。ゆまがいなくなったら・・・。キョーコが一人ぼっちになっちゃう・・・)

 

杏子(・・・・・)

 

 杏子はそこで初めてゆまが祖父母の元へ行こうとしないのは、杏子の事を思っての事だったと気が付いた。

 

杏子(ゆまは・・・。あたしの為に・・・。でも・・・。あたしとゆまは、ここで別の道へ行かなきゃいけない・・・)

 

 だからこそ杏子は決意を固めていた。

 

杏子(ゆま・・・。あたしは大丈夫だから爺さん婆さんの所へ行きな)

 

ゆま(!? でも・・・。ゆまは・・・)

 

杏子(大丈夫さ。あたしにも仲間はいるし・・・。ゆまとはこれでお別れじゃない)

 

ゆま(え・・・)

 

杏子(だってゆまはそこまで強く無いからな。どこの街に行ってもあたしは必ずゆまに会いに行くよ)

 

ゆま(キョーコ・・・)

 

杏子(そんな顔をするなよ。あたしだってゆまの事が心配さ・・・。だから必ず会いに行く。それにテレパシーで行く場所を教えてくれれば大丈夫だろ?)

 

ゆま(そっか。それならゆまはキョーコと別れずに済むんだね!)

 

杏子(まあ毎日は厳しいけど、たまにはゆまの様子を見に行くよ。あたしにとっても・・・。ゆまは大切な家族だからな)

 

ゆま「キョーコ!」

 

 ゆまは泣きながら杏子に抱き付いて来た。

 

杏子「何だよ。泣きながら抱き付くなって。強くなるんじゃなかったのか?」

 

ゆま「ううん。ゆま・・・。強くなるけどまだ弱いから・・・。だからキョーコがゆまを鍛えて・・・」

 

杏子「ああ。たまに鍛えてやるよ」

 

 杏子はゆまの頭を撫でながらそう言った。

 しばらくしてゆまは泣き止んだ。

 

杏子「じゃあもう大丈夫だな?」

 

ゆま「うん・・・。ゆまは大丈夫・・・」

 

杏子「出て来て良いよ。もう大丈夫だ」

 

 杏子の声を聞いて壁際で待機していた石島美佐子が姿を見せた。

 

杏子「ゆまを爺さんと婆さんに会わせてやってくれ」

 

石島美佐子「分かったわ。私が責任を持って連れて行くわ」

 

杏子「ゆま。この人に付いて行けば爺さんと婆さんに会えるからな」

 

ゆま「うん。ゆま・・・。この人に付いて行く・・・」

 

杏子「ああ。それで良いんだ」

 

杏子(ゆま。こっそり付いて行くから心配するな。テレパシーを使えば連絡出来るだろ?)

 

ゆま(うん!ゆま。大丈夫だよ!)

 

石島美佐子「それじゃあゆまさん。行きましょう。あなたはどうするの?」

 

杏子「あたしは・・・。しばらくしたら何処かに行くさ」

 

石島美佐子「そう・・・。あなたの事は報告しないから安心して」

 

杏子「助かるよ。それじゃあ・・・。ゆま。またな」

 

ゆま「うん。キョーコ。また会おうね!」

 

杏子「ああ。またな」

 

 石島美佐子はゆまを連れて廃教会を出て行った。

 杏子はゆまの魔力を追っていた為、慌てて後を追う事は無かった。

 

杏子「ちっ・・・。やっぱここにいると余計な事を思い出しちまう・・・」

 

 杏子にとってここは家族を失った場所だった。

 だからここでゆまと別れる事になったのは必然だったのかも知れなかった。

 

杏子「さてと・・・。ゆまの後を追うか」

 

 杏子はゆまの魔力の痕跡を頼りにゆまの後を追った。

 

杏子(あの石島美佐子って警官を信用していない訳じゃ無い。でもあたしには見届ける義務があるからな・・・)

 

 魔力で強化された魔法少女の身体能力を生かして杏子は難なくゆまと石島美佐子がいる警察署の裏側に辿り着いた。

 

杏子(ゆま。聞こえるかい?)

 

ゆま(キョーコ!?聞こえるよ!)

 

杏子(爺さんと婆さんは来たのかい?)

 

ゆま(まだだよ。離れた街に住んでいるから少し時間が掛かるって)

 

杏子(何処の街か聞いたのかい?)

 

ゆま(うん。宝崎市って言っていたよ)

 

杏子(宝崎市?確か神浜市の隣町だったよな・・・。ゆま。宝崎市は神浜市に近いから間違っても神浜市に行くんじゃねえぞ。ゆま一人じゃ危険過ぎるからな)

 

ゆま(うん・・・。ゆま。キョーコと約束したから・・・)

 

杏子(それで良いよ。今はどうしてるんだい?)

 

ゆま(あの警察のお姉さんがくれたお弁当を食べてるよ!ゆま。ちゃんと残さずに食べたよ)

 

杏子(そーかい。偉いよ。あたしも腹が減ったな。あたしも何か食べて来るから大人しくしてるんだぞ)

 

ゆま(うん。ゆま。ちゃんと警察の人と話すよ)

 

杏子(魔法少女や魔女の事は言うんじゃないぞ)

 

ゆま(ゆま。ちゃんと分かってるよ!)

 

杏子(なら大丈夫だね。直ぐに戻るよ)

 

 杏子は周囲を散策すると手近なコンビニを見つけるとおにぎりやパン等を購入すると直ぐに警察署の近くに戻った。

 流石に今、騒ぎを起こすのはマズいと思いコンビニでは久しぶりに現金を使って食べ物を購入していた。

 そうして買った食べ物を食べながら再び警察署の様子を伺っていた。

 やがてしばらくすると一台のタクシーが入ってくるのが杏子の目に映った。

 タクシーから降りた夫婦と思しき老人二人は、慌てた様子で警察署に入って行くのが見えた。

 

杏子(恐らくあれが・・・。ゆまの爺さんと婆さんか・・・)

 

 しばらくすると・・・。

 

ゆま(キョーコ!ゆま、おじいちゃんとおばあちゃんに会えたよ!)

 

杏子(そうかい。そいつは良かったね)

 

ゆま(やっぱりお家は宝崎だって言っていたよ)

 

杏子(やっぱりそうか・・・)

 

ゆま(宝崎のね・・・。宝塚六丁目って場所だって)

 

杏子(それだけ分かれば十分だよ。ゆま。その・・・)

 

ゆま(キョーコ?)

 

杏子(今度の日曜日にでも会いに行くよ。だからちゃんと爺さんと婆さんの言う事を聞くんだぞ)

 

ゆま(うん・・・。ゆま。ちゃんといい子にするよ!)

 

杏子(ああ。それで良いんだよ。じゃあまたな・・・)

 

ゆま(絶対に来てね!)

 

杏子(分かってるって。あたしはゆまとの約束を破る訳ないだろ)

 

 杏子はそう言ってテレパシーを終えると警察署から離れて行った。

 

杏子(ちっ・・・。なんでまた涙が出て来るんだ・・・)

 

 杏子の頬に流れる一筋の涙。

 

杏子(これで良いんだ。これで・・・)

 

 杏子の姿は街中に消えて行く。

□ 宝崎市 宝塚六丁目近辺 日曜日の夕方

 

 

 

 その日、神楽燦と遊狩ミユリは宝崎市で久しぶりに現れた魔女を退治する為に結界に入り込んでいた。

 

神楽燦「全く・・・。魔女が現れたせいで祭りの準備が進まないわ・・・」

 

ミユリ「でもでも。魔女を倒しておかないと何が起こるか分からないですし・・・」

 

神楽燦「分かっているわ・・・!?」

 

ミユリ「!?」

 

神楽燦「ミユリ。感じた?」

 

ミユリ「はい!ミユも感じました!誰かがいるみたいです」

 

神楽燦「それも一人じゃ無いわね。知らない魔法少女が二人いるわ・・・。行くわよ」

 

ミユリ「はい!燦様!」

 

 神楽燦とミユリが結界の奥に進んで行くと、そこには二人の魔法少女が魔女と戦っていた。

 

杏子「ゆま!一緒に魔女を倒すぞ!」

 

ゆま「うん。行くよ!キョーコ!」

 

 杏子とゆまは二人で同時に魔女へ必殺の攻撃を仕掛けると魔女を倒す事に成功した。

 魔女は悲鳴すら上げずに倒され結界は消滅した。

 4人の魔法少女は公園に戻ると私服姿に戻った。

 

杏子「良くやったな。ゆま。これならあたしがいなくてもある程度、戦う事は出来るな」

 

 拾ったグリーフシードをゆまに渡す杏子。

 

ゆま「うん。でも・・・。キョーコは、ゆまに会いに来てくれるんでしょ?」

 

杏子「ああ。約束だからな。たまに会いに来てやるよ」

 

神楽燦「ちょっと良いかしら?」

 

杏子 ゆな「!?」

 

神楽燦「脅かしてごめんなさい。でも私達も魔法少女よ」

 

ミユリ「ですです」

 

杏子「もしかしてこの街の魔法少女かい?」

 

神楽燦「そうよ。私は神楽燦」

 

ミユリ「ミユは遊狩ミユリですう」

 

杏子「あたしは佐倉杏子。それと」

 

ゆま「ゆまは千歳ゆまだよ」

 

神楽燦「それで佐倉さんと千歳さん。ここは私達の縄張りにあたるんだけど何が目的なの?」

 

ミユリ「そうです!そうです!」

 

杏子「ああ。それはすまなかったね。別に縄張りを奪う気は無かったんだ。ちょっと目的があってね」

 

神楽燦(ミユリ。注意して。もしかしたら戦う事になるかも知れないから)

 

ミユリ(燦様!?はいですう)

 

神楽燦「どんな目的なのかしら?」

 

 ミユリとテレパシーでやり取りをしながら語り掛ける神楽燦。

 

杏子「今週からこのゆまが宝崎に住む事になったんだ。あたしはゆまの師匠みたいなもんだから少し鍛えに来てやったのさ」

 

 杏子はそう言ってゆまの頭を撫でた。

 

ゆま「うん!ゆまこれからこの街で魔法少女としてやってくよ」

 

神楽燦「そうなの?千歳さん何処に住んでいるのかしら?」

 

ゆま「宝崎の六丁目だよ」

 

神楽燦「そう言えば昨日、キュウべえが宝崎に引っ越して来た小学生の魔法少女がいるって言っていたけどあなたの事だったのね」

 

ゆま「そうだよー。よろしくね!」

 

神楽燦「ええ。確か六丁目周辺には魔法少女がいないから助かるわ」

 

杏子「これで分かって貰えたかい?」

 

神楽燦「ええ。問題無いわ。グリーフシードもゆまさんが持っていて構わないわ」

 

ミユリ(燦様!燦様!この二人、強そうですしマギウスの翼に勧誘はしないのですか?)

 

 ミユリからテレパシーを送られ神楽燦は改めて杏子とゆまを観察した。

 

神楽燦(そうね・・・。やめときましょう)

 

ミユリ(ええ!?どうしてですか?)

 

神楽燦(この二人の様子だと魔女化を知らないわ。それにこの佐倉杏子と言う魔法少女は一匹狼的な性格が見え隠れしているわ。とても組織には向いていないわね)

 

ミユリ(そうなのですか。そうなのですか。燦様が言うなら間違いはありません)

 

神楽燦(千歳さん。確かに小学生よね。流石にこの年の子をマギウスの翼に勧誘するのは気が引けるわ。トップがあの3人なんだから)

 

ミユリ(ですです!)

 

神楽燦(それに私とミユリがマギウスの翼で活動している間に宝崎を守ってくれる魔法少女が必要だから丁度良かったわ)

 

ミユリ(ああ!!流石は燦様です!ミユは全くその事に気が付きませんでした!)

 

神楽燦「さて。ミユリ。新しく宝崎に来た魔法少女も確認した事だし魔女もいないから私達も帰りましょう」

 

ミユリ「はいです!はいです!」

 

杏子「じゃあゆまの事は認めてくれるって事で良いんだな?」

 

神楽燦「ええ。認めない理由が無いわ。でも佐倉さん。あなたは」

 

杏子「ああ。あたしの事なら心配いらないよ。今は神浜市に魔女が大量にいるんだろ?グリーフシードが入り用なら神浜で狩るだけさ」

 

神楽燦「神浜に魔女が集まっている事を知っているなら問題無いわね。行きましょう。ミユリ」

 

ミユリ「はい!燦様!」

 

 神楽燦はミユリを連れてその場から立ち去った。

 

杏子「良かったな。ゆま。宝崎でもやっていけるな」

 

ゆま「うん!でもキョーコは会いに来てくれるんでしょ?」

 

杏子「ああ。だからここにいるんじゃないか。神浜へ行くついでに顔を出してやるよ」

 

ゆま「キョーコは神浜市でも戦えるの?」

 

杏子「あたしでも現地の魔法少女と共闘してやっていけるって場所だからゆまが一人で行ったら怪我じゃ済まないぞ」

 

ゆま「うん。ゆま。前みたいな事はもうしないよ」

 

 ゆまは過去に一度、神浜市に一人で入り込んで魔女との戦いで怪我を負った事があった。その時は地元の魔法少女と駆け付けた杏子に間一髪の所を助けられていた。

 

杏子「ああ。それでいいよ。さて。そろそろ帰らないと爺さんと婆さんが心配するんじゃないか?」

 

ゆま「そうかも。ゆま帰るからキョーコ、途中まで送ってよ」

 

杏子「しょうがねえな。ほら。行くぞ」

 

ゆま「はーい」

 

 ゆまと杏子は連れだって公園を出て行った。

 それから杏子は神浜市へ行く時に宝崎市でゆまと会うのが日課となっていた。

 

杏子「ゆま。もし勝てない魔女が現れたら躊躇せずに逃げろ。逃げる事は恥じゃないんだからな」

 

ゆま「うん。キョーコの言う事、ちゃんと覚えるよ」

 

 杏子の指導もあってゆまは宝崎市で魔法少女として戦って行く事が出来る様になった。

 

神楽燦「千歳さん。小学生にしては中々やるわ」

 

ミユリ「燦様がお褒めするなんて・・・。ミユは羨ましいです!」

 

神楽燦「千歳さん。もし魔法少女に関する事で困った事があったらいつでも光塚にある公民館にいらっしゃい。力になってあげるわ」

 

神楽燦(私たちが神浜で活動している間に宝崎を守って貰う為にも)

 

 神楽燦とミユリも共闘する内にゆまの事を宝崎市で共に戦う魔法少女として受け入れていた。

 あれから数日を経て今日もゆまは一人で魔女の結界を見つけて魔法少女として戦おうとしていた。

 

ゆま「見つけた・・・。キョーコ。今日はゆま、一人で戦うよ!」

 

 意気込むとゆまは結界に入り込んだ。

 すると直ぐに他の魔法少女の魔力を感じ取った。

 

ゆま「知らない人の魔力?」

 

 ゆまが結界の奥に進んで行くとそこには一人の魔法少女が使い魔と戦っていた。

 頭に牛の様な角を生やし手には巨大な扇を持って使い魔と戦う魔法少女の元へゆまが走り込んだ。

 

ゆま「お姉さん。大丈夫?ゆまが助けてあげるよ!」

 

 相手の魔法少女は驚いていたが頷きゆまに共闘の意志を示した。

 

ゆま「キョーコ!見てて。ゆま、ちゃんと魔法少女をやっているよ!」

□ 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープ内 エントランス 同時期

 

 

 

あれから数日が経過した。

美国織莉子と呉キリカはマギウスの翼へ黒羽根として所属していた。

神楽教官の指導の下で既に黒羽根としての厳しい訓練期間を終えて白羽根の元で既に何度も魔女の捕縛に参加していた。

今日も魔女の捕縛を白羽根の指導の下で終えてホテルフェントホープへ戻って休んでいた所だった。

織莉子とキリカは黒羽根のローブを着てエントランスにあるソファーに座っていた。

 

織莉子「キリカ。お仕事お疲れ様」

 

キリカ「うん。大丈夫だよ。でも織莉子。この仕事はいつまで続けるんだい?」

 

織莉子「そうね・・・。今はまだ続けましょう。特に問題も無いのだから」

 

キリカ「そうだね。このローブも本当に便利な物だし・・・。それよりも私は昨日、会ったマギウスのお三方が私には印象的だったよ」

 

織莉子「ええ・・・。芸術家として有名だったアリナ・グレイはともかくとして・・・。まさか残る二人がわたしよりも幼いとは思わなかったわ・・・」

 

 織莉子とキリカはみふゆの計らいで他の数人の黒羽根と共に昨日、マギウスのお三方であるアリナ・グレイと柊ねむ、里美灯花と対面していた。

 流石の織莉子とキリカもマギウスの姿に驚きを隠す事は出来なかった。

 最もそれは他の黒羽根も同様だったが。

 しかしマギウスの翼の目的を話す彼女たちの言葉は自身に満ち溢れていた。

 それは織莉子でも信じても良いのかも知れないと言う心情を抱かせていた。

 

織莉子(でも・・・。今はまだ信じる訳にはいかない。あの破滅が本当に回避出来たと予知出来るまでは・・・)

 

キリカ「織莉子?どうしたんだい?難しい顔をして?」

 

 キリカはローブ越しだが織莉子の様子に気が付いた様だった。

 

織莉子「いえ。大丈夫よ。そろそろ帰りましょうか」

 

キリカ「うん。そうだね!帰りは織莉子の家で紅茶を」

 

 そこへみふゆが慌てた様子でエントランスに入って来た。

 

みふゆ「皆さん!少しよろしいですか?」

 

 みふゆの大声にエントランスに集まっていた黒羽根はみふゆに向き直った。

それは織莉子とキリカも同様だった。

 

みふゆ「先程、中央区の電波塔にある名無し人工知能のウワサでマギウスの翼と七海やちよ率いる魔法少女が戦闘を開始しました」

 

織莉子(ウワサを消して回っている魔法少女がいるって聞いていたけど本当だったのね・・・)

 

みふゆ「戦況は分かりませんが場合によってはウワサから魔女を退避させる必要があるかも知れません。都合のよろしい方はワタシと一緒に来て下さい」

 

 みふゆの言葉を聞いて数人の黒羽根がみふゆの元へ集まる。

 

織莉子(キリカ。わたし達も行きましょう)

 

キリカ(織莉子がそう言うなら。でも何かあるのかい?)

 

織莉子(キリカ。もしかしたら・・・。わたしの予知に関わる事も知れないわ)

 

キリカ(!! 織莉子。分かったよ)

 

 織莉子とキリカもみふゆの元へ向かった。

 そこへ二人の後に黄色い袖がはみ出た黒羽根も後から付いて来ていた。

 

みふゆ「皆さん。協力ありがとうございます。では行きましょう」

 

 みふゆの先導に続いて織莉子とキリカ、黒羽根達はホテルフェントホープを出た。

 その足でホテルフェントホープ近郊に設置された電波塔と繋がる転移魔法陣へ入り込んだ。転移魔法陣の先は中央区 電波塔近辺ビル屋上だった。

既に織莉子とキリカを含めた10人の黒羽根がみふゆの指示を待っている。

 

織莉子「みふゆさん。これから我々は何を?」

 

 周囲が抱く疑問を織莉子が代表してみふゆに聞いてみた。

 頷くみふゆの視線は近くのビルの屋上にあるヘリポートに向けられている。

 

みふゆ「そろそろですね・・・。今、近くにあるヘリポートで・・・。マギウスの一人であるアリナと天音さん達姉妹と黒羽根が、やっちゃ・・・。じゃなくて七海やちよ率いる魔法少女達と戦っています」

 

 それを聞いて周囲は少しざわついた。

 

織莉子(七海やちよ・・・。確かマギウスの広報からも要注意人物として顔写真付きの記事が出回っていた・・・)

 

 既に七海やちよの事はウワサを何度も倒している為にマギウスの翼内部でも要注意人物としてマークされていたからだ。

 

みふゆ「ですが既に電波塔に存在していた名無し人工知能のウワサは倒されて大勢は決しています。後は・・・。頃合いを見てワタシがアリナを止めるので、皆さんはワタシ達の撤退を支援して下さい。もし七海やちよ達が追撃を試みる様なら伏兵として待機して欲しいのです」

 

 周囲の黒羽根達は少しだけ安心した様子と驚きを見せていた。

 

織莉子「分かりました。みふゆさんの指示通りにします」

 

 織莉子はみふゆの指示に従う姿勢を示す為にローブから鎖鎌を出した。

 それを見てキリカや他の黒羽根も鎖鎌を構える。

 

みふゆ「追撃が無ければ無理に攻撃をする必要はありません。伏兵が待機していると思わせるだけでも効果的ですから戦闘になる可能性は低いでしょう。では・・・。後は頼みます・・・」

 

 そう言ってみふゆはアリナのいる方向へ跳躍する。

 しばらくして魔法少女として強化された織莉子の視界に写るのはヘリポートにいる七海やちよとフードを被った魔法少女、扇を両手に構えた魔法少女、巨大なハンマーを持った魔法少女、巨大な盾を構えた魔法少女と対峙する、みふゆとアリナ、それに数人の黒羽根と白羽根である天音月夜、月咲姉妹。

 七海やちよの近くには、鹿目まどかと眼鏡をかけた守護者の姿もあった。

 

織莉子(予知で見た光景通りね・・・。キリカ。聞こえる?)

 

キリカ(聞こえているよ。織莉子)

 

織莉子(あなたにも見えるでしょう?あの中にいるピンク色の髪で弓を持った魔法少女が鹿目まどかよ)

 

キリカ(あれが・・・)

 

織莉子(そして隣にいる眼鏡をかけているのが守護者ね・・・)

 

 織莉子がヘリポートの様子を窺っていると、みふゆはアリナと天音姉妹、それに黒羽根を引き連れて撤退する事を選択して織莉子達の待機しているビルの屋上に向かって来た。

 幸いにも七海やちよ達は追撃を選択しなかった。

 

みふゆ「ここまで来ればもう大丈夫でしょう。皆さん。協力ありがとうございます」

 

 織莉子達、伏兵の黒羽根に労いの言葉をかけるみふゆに織莉子を含めた黒羽根達は頭を下げていた。

 

月夜「みふゆさん。ウワサの事はすみません・・・」

 

月咲「ウチら、ウワサを守り切れずに・・・」

 

アリナ「ウワサが反逆してくるなんて聞いてなかったんですケド」

 

みふゆ「・・・。ウワサの件はワタシからねむに報告します。他のウワサにも同じ様な事が起きないとも限りませんから。月夜さんと月咲さんは今回の件はウワサの裏切りと言う予想外の出来事です。気にしないで下さい」

 

アリナ「アリナとの約束は覚えてるヨネ?」

 

みふゆ「はい。ですが今日はもう遅いので明日以降でも良いですか?灯花とねむに報告も行わなければいけないので・・・」

 

アリナ「約束が守られるならアリナは文句ないワケ。じゃあ先に帰るカラ」

 

 そう言ってアリナはビルの屋上から飛び降りてしまった。

 

みふゆ「他の皆さんも今日はもう帰宅して構いません。フェントホープで休みたい方は付いて来て下さい」

 

黒羽根「はい・・・」

 

月咲「ウチらも休んで行こうか・・・」

 

月夜「はい・・・。正直、今日は疲れたでございます・・・」

 

みふゆ「では行きましょう」

 

 みふゆと月夜、月咲に続いて織莉子とキリカ、数人の羽根がフェントホープへ戻る為に転位魔法陣へ入り込んだ。

 フェントホープへの道を歩いているみふゆは天音姉妹と話し終えると黒羽根の方を振り返った。

 

みふゆ「さて・・・。いるのは分かっていますよ」

 

織莉子(なに!?)

 

キリカ(なんだ!?)

 

 織莉子とキリカは自分達がマギウスの翼に別の目的で潜入した事がバレたのかと思わず身構えてしまった。

 だがみふゆの次の一言でそれは杞憂だと判明する。

 

みふゆ「彩月さん。いるのは分かっていますよ」

 

彩月「なんや。バレてたか」

 

 そう言って黒羽根の一人がローブのフードを脱ぐと彩月の顔が現れた。

 彩月はどうやら黄羽根のローブの上から黒羽根のローブを着ていた様だった。

 

みふゆ「一夜さんの護衛はどうしたんですか?」

 

彩月「一夜さんなら今日は部屋で休んでて帰ろうとしたらみふゆさんが黒羽根の招集をかけたから面白そうやと思うて参加したんや」

 

月夜「気が付かなかったでございます・・・」

 

月咲「それだけウチらは疲れているって事だよね・・・」

 

みふゆ「いえ。ワタシが気付いたのもカンみたいな物です。でも彩月さん。あなたは一夜さんの護衛が役目なのですから勝手にこんな真似をしてはいけませんよ」

 

彩月「そやなあ。もうしないから許してくれなはれー」

 

みふゆ「反省してます?」

 

彩月「まあ大体はしとるで。それにもう一つ目的があったからな」

 

みふゆ「目的ですか?」

 

彩月「今、マギウスの翼を騒がせ取る七海やちよの姿を見る事や。いずれ戦うかも知れへんのや。知っとくに限るで」

 

みふゆ「確かにそれは彩月さんには必要かも知れませんね。でもこんな事はもうしないで下さい。ワタシがねむに怒られてしまいます」

 

彩月「わーとる。わーとる。もうしないでー。ウチを信じとくれなはれ」

 

織莉子(胡散臭い笑顔ね・・・)

 

キリカ(絶対にまたやるって顔に書いてあるよ)

 

そうやって会話している内に一行はホテルフェントホープへ辿り着いた。

 一行はエントランスで別れて身体を休める為に天音姉妹や傷付いた黒羽根は、それぞれの部屋へ向かった。

 

彩月「ほなウチも帰らせて貰うで」

 

 彩月もそう言ってホテルフェントホープを出て行った。

 

キリカ「織莉子。私たちも帰ろう」

 

織莉子「そうね。みふゆさん。わたし達も帰ります」

 

みふゆ「ちょっと待って下さい。少し話しても良いですか?」

 

織莉子「はい。構いません」

 

みふゆ「時間は取らせません。単刀直入に言います。見原織莉子さん。あなたは・・・」

 

織莉子(もしかして・・・。わたしがマギウスを探っているバレたのかしら!?それとも父の事かしら・・・)

 

 内心の動揺を隠して織莉子はみふゆの言葉を待った。

 

みふゆ「白羽根になる気はありませんか?」

 

織莉子「えっ?」

 

 予想と異なる言葉に織莉子は正直に驚いていた。

 

みふゆ「今日、伏兵として他の黒羽根と来て貰った際に織莉子さんは自然と率先して行動していました。それに普段も率先して行動する事を心がけていますね?その行動力は白羽根に必要な素質だとワタシは思っています。ですから織莉子さんにその気があるのなら白羽根になりませんか?」

 

織莉子「わたしが白羽根に・・・」

 

織莉子(これはチャンスね・・・。上の立場になれば更にマギウスを探るのに役立つのは確かね・・・)

 

キリカ(織莉子が白羽根・・・。確かに織莉子には黒いローブより白いローブが似合うよ!)

 

みふゆ「白羽根になってくれますか?」

 

織莉子「はい。白羽根への昇進、お受け致します」

 

みふゆ「ありがとうございます。灯花やねむにはこれから報告するので正式に就任するのはその後と言う事になります」

 

織莉子「分かりました。あの・・・。みふゆさん。それなら一つお願いがあるのですが」

 

みふゆ「何でしょう?」

 

織莉子「妹のキリカを直属の黒羽根にしたいのですが」

 

みふゆ「それでしたら大丈夫ですよ。白羽根の中には神楽教官の様に直属の羽根を持つ人もいますから」

 

 織莉子の脳裏に神楽教官と遊狩ミユリの姿が浮かんだ。

 

織莉子「安心しました。ありがとうございます。これからは白羽根としてマギウスの活動に参加させて貰います」

 

みふゆ「はい。ワタシとしてもとても助かります」

□ 見滝原市内 美国邸 夜

 

 

 

 美国邸のリビングの窓は開いておりテーブルの上にはキュウべえが座っている。

 そして近くのソファーには制服姿の織莉子とキリカが座っていた。

 

織莉子「これが現段階でわたしとキリカが調べた事よ。キュウべえ」

 

キュウべえ「成程・・・。神浜市だけで発動する魔女化に変わる自動浄化システムに魔法少女救済を掲げる組織マギウスの翼・・・。驚きだね。まさか神浜市内でこんな事が起きているなんて・・・」

 

キリカ「その様子だと神浜市内に入れないって言うのは本当だったんだね」

 

キュウべえ「僕はウソを付かないよ」

 

織莉子「ウソは付かなくても言わないと言う選択はあるんでしょう?」

 

キュウべえ「否定はしないね」

 

織莉子「そう・・・。キュウべえ。一つだけ忠告するけど・・・。わたしとキリカが神浜市で調査している事と調査内容は他言無用にして欲しいわ」

 

キュウべえ「うん。他にも神浜市を調査している魔法少女がいるけど君達程、確信に迫っている子はいないからね。君達との休戦条件は守らせて貰うよ」

 

織莉子「あなたにとっても・・・。その方が都合良いでしょう?」

 

キュウべえ「そうだね。じゃあ僕は帰るよ。報告をありがとう」

 

織莉子「また進展があったら呼ぶわ」

 

 織莉子の言葉を聞いてキュウべえは去って行った。

 

キリカ「織莉子。マギウスの事を庇うつもりは無いけどキュウべえに話しても大丈夫なのかい?」

 

織莉子「大丈夫よ。わたしにとって必要な事は隠させて貰っているわ。神浜と風見野市を繋ぐ転移魔法陣やマギウスのお三方。それに参加している魔法少女の素性は話していないんだから」

 

キリカ「でもキュウべえの事だからもっと魔法少女を送って来るんじゃないかな?」

 

織莉子「そうかも知れないわね。でも神浜の魔女は強いし、何よりマギウスの話を聞いたら大抵の魔法少女はマギウスに下ると思うわ。それに・・・。下らなくてもマギウスの活動を静観するでしょうね」

 

キリカ「織莉子がそう言うならそうなんだろうね」

 

織莉子「さあ。わたし達も休みましょう。キリカは今日泊まって行くの?」

 

キリカ「あんまり外泊すると親がうるさいから今日は帰る事にするよ」

 

織莉子「そう。じゃあ明日もいつも通りで」

 

キリカ「そうだね。またね。織莉子」

 

 そう言ってキリカは美国邸を出て行った。

 

織莉子「・・・。一人だとこの家は広すぎるわね・・・」

 

 寝巻きに着替えた織莉子も自室へ戻り就寝に入ろうとした。

 しかし織莉子の就寝はただ眠るだけではない。

 予知魔法が発動しやすくなる時間でもあった。

 

織莉子(恐らく夢を見ると言う行為が予知魔法と相性が良いのかも知れないわね・・・)

 

 ベッドの上で横になる織莉子は目を閉じた。

 

織莉子(・・・・・・・・・)

 

 その瞬間、織莉子の脳裏に見慣れない映像が流れた。

 しかし何故か所々ぼやけて見えづらい映像だった。

 

織莉子(予知・・・。これは・・・。神浜市での風景・・・。でも妙ね・・・。街全体が暗い。停電をしているみたいに・・・)

 

 織莉子の脳裏に写る予知の映像で見える神浜市は何故か街全体が停電でもしているかの様に暗かった。

 

織莉子(あれは!?)

 

 すると街中を飛び回る使い魔の姿が。

 大量に出現する魔女。

 それに応戦する神浜市の魔法少女達の姿。

 多くの魔法少女達の中に混じって鹿目まどかの姿も映る。

 そして・・・。

 

 

???「アーハッハッハッハッハ!」

 

 

織莉子(なっ!?そんな・・・。まさか!?)

 

 織莉子にとって忘れられない声が神浜市に響く。

 

織莉子(どうしてワルプルギスの夜が神浜市に!?)

 

 その瞬間に織莉子の夢は覚めた。

 

織莉子「今の予知・・・。まだ少し遠い未来の予知・・・。確実に起こる事・・・。でも・・・。過程が分からない。もっと同じ予知を見る必要があるわ・・・。これはマギウスがした事なの?それとも・・・」

 

 今の織莉子にはその結論は出せなかった。

 

織莉子「そう。今、わたしはマギウスの翼にいる。わたしが内部から見張れば良い。もしマギウスの翼が行おうとしている事が世界を滅ぼす事なら・・・。わたしとキリカでマギウスを殺せばいい・・・。殺す相手が別人に変わるだけよ・・・」

 

 織莉子は決意を新たにしていた。

 これから来る大きな出来事に対して。

 




あとがき

今回の話はマギアレコードにおける、千歳ゆまは魔法少女ストーリーによるとメイン1部の第4章以降に杏子と行動を共にしている筈が、メイン1部の6章時点で姿が見えず、バレンタインストーリーのイメージ画にしか現れない理由付けの話です。
 ゆまを見つけた石島美佐子は、かずみ☆マギカに登場した刑事さんです。
 宝崎市がゆまのいる場所となった理由として杏子が神浜市に行っているのは近くにゆまの祖父母の家があるからでは?との妄想からです。
 神楽燦と遊狩ミユリが杏子の事を知らないのは、メイン1部4章においてマギウスの翼は、七海やちよに焦点を絞っていた為に存在を見落として報告がなされていなかったからだと考えています。
 ゆまが最後に宝崎で会った角の生えた魔法少女は民俗学者の父親を持つ2部から登場する芭蕉扇を持つあの魔法少女で間違い無いです。
 神楽教官と遊狩ミユリはこの時、既にマギウスに属していたのは確かなので登場させました。
 同時に宝崎市にいるゆまを勧誘しなかった理由付けの為でもあります。



 最後に織莉子とキリカのシーンが存在するのはこのシーンのみメイン1部5章の内容に触れているからです。

次回は再び本編に戻ってメイン5章の直後に起こった出来事を書きたいと思います。

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