マギアレコード 偽書e/s memorys 作:ジャックノルテ
□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 地下倉庫
一夜と黒羽根9は机で向かい合って座っている。
一夜「何だかアタシの事だけ話してたね」
一夜は黒羽根9に自身がマギウスの翼に入るまでの事を話していた。
黒羽根9「構いません。私は話を聞く事しか出来ませんから。私の過去を話すのは流石にルール違反ですが」
そう言いながら黒羽根9はローブの中にある自分の前髪を少し撫でた。
一夜「あっ!?」
黒羽根9「どうしたんですか?」
一夜「今の・・・。髪を撫でるのを見てて・・・。思い出した」
黒羽根9「何を思い出したんですか?」
一夜「もしかしたらアタシ・・・。契約する前に・・・。あの時に魔法少女に会っていたのかも」
黒羽根9「あの時?」
一夜「うん。1年前だったかな・・・。まだ魔法少女じゃなかったあの日、アタシは母さんと二人で別の街に出かけていた帰りに・・・。母さんの知り合いに会ったの。知り合いの人が娘さんを連れていたんだけど・・・。その子も前髪を撫でる時に見えた右手に銀色に近い独特の色をした指輪をしていたから・・・」
黒羽根9「それだけでは魔法少女とは限らないのでは?」
一夜「ううん。魔法少女の指輪の色って普通の金属とは異なる独特の色をしているから良く覚えてる・・・。あの子は魔法少女だったんだ」
黒羽根9「その子は今何処に?」
一夜「・・・。母さんの故郷だと思う。でも・・・。母さんは故郷の事が嫌いみたいでアタシには何も教えてくれなかったから・・・」
一夜「確かあの時・・・」
□ 回想 一夜の過去 約1年前
神浜市では無い某市にある遊園地内を歩いている越馬一夜とその母、越馬美月。
普段は遠出等をしない越馬美月だったが、たまに休日には娘である一夜を遊園地等に連れて行ったりしていた。
二人は既に昼食を終えて幾つかのアトラクションを楽しんでいた。
越馬美月「一夜。どれから乗ろうか?」
一夜「えっと・・・」
??「みっちゃん!?」
そこへ一人の中年女性が慌てた様子で越馬美月に近付いて来た。
越馬美月「えっ!?」
そこへ一人の中年女性が慌てた様子で越馬美月に近付いて来た。
越馬美月「えっ!?」
??「私よ。洋子よ!見芝の家の!」
越馬美月「よっちゃんなの?」
一夜「お母さん?」
困惑した様子を見せる母親を一夜は不思議な物を見る顔で見ていた。
見芝洋子「まさかまた・・・。みっちゃんに会えるなんて・・・」
越馬美月「そうね。また会えるとは思わなかった・・・」
越馬美月は少し微妙な表情を見せていた。
??「母さん」
そこへ一人の少女が近づいて来た。
見芝洋子とよく似ているから一目で誰にも親子だと分かる。
??「どうしたの?急に走ったりして」
見芝洋子「ごめんなさい。実奈。お母さんの古い友達とあってつい・・・」
見芝実奈「そうなんだ」
越馬美月「よっちゃん。少し話す事が出来たみたいだね」
見芝洋子「ええ。みっちゃんとは話さなきゃいけない事があるわね」
越馬美月「その子、よっちゃんの娘でしょ?」
見芝洋子「ええ。私の娘、実奈(みな)よ」
見芝実奈「初めまして。実奈と言います」
越馬美月「そっか。もうそんなに経つんだね・・・。この子は私の娘の一夜。一夜。挨拶して」
一夜「はい。越馬一夜です。こんにちは」
見芝洋子「越馬?今は越馬・・・。なのね」
越馬美月「もう十年以上は経過しているからね」
二人の間には微妙な空気が流れていた。
まるで当事者以外に入れない様な。
越馬美月「実奈ちゃんだったね。悪いけど一夜と二人で遊園地を回ってくれないかな?私はよっちゃんと話さなきゃいけない事があるからね」
見芝洋子「そうね。来たばかりだけど実奈。良いかしら?」
見芝実奈「いいよ。一夜ちゃんだったね。行こう」
一夜「よっよろしくお願いします・・・」
見芝実奈「行こう」
見芝実奈は一夜の手を握って一夜の事を引っ張って越馬美月と見芝洋子から離れた。
少し離れた場所に来るとベンチがあった。
見芝実奈「ごめんね。急に連れ出したりして。あんな顔の母さんを見たのは初めてだったから」
一夜「そうなんだ・・・」
見芝実奈「母さんが昔今はいない親友の事を話してくれた事があった。他の人には内緒だと言って。それがあの人の事だったんだね」
一夜「アタシはお母さんから昔の事は殆ど聞いた事が無いから・・・」
見芝実奈「そう。でもあの二人にはきっと積もる話が沢山あるんじゃないかな?とても割って入れる様子じゃなかったから」
そう言って見芝実奈は右手で髪を撫でた。
人差し指には銀色に近い独特の色をした指輪がはめられているのが印象的だった。
見芝実奈「ねえ。一夜ちゃんって呼んでいい?」
一夜「あっ・・・。大丈夫です」
見芝実奈「私の事は実奈で良いから。ねえ一夜ちゃんはお母さんが好き?」
一夜「はい。お母さんの事は嫌いじゃ無いです」
見芝実奈「そっか。それ良いね。そう言ってくれるなら・・・。日の本と共に守りがいがあるかな」
見芝実奈はまるで言葉を選んで反応を観察する様な様子を見せていた。
一夜「えっ?守る?」
見芝実奈「・・・・・。さて。それじゃ何処から回ろうか?私は来たばかりだけど一夜ちゃんはその様子だともう回っていたんでしょ?」
一夜「うん。東エリアはもう回ったかな?」
見芝実奈「じゃあ西エリアへ行ってみようか」
それから一夜と見芝実奈は、様々なアトラクションを楽しんだ。
たわいのない話を列の待ち時間に話して多少は打ち解ける事も出来た。
一夜(でも・・・。何か確かめようとしていた感じがする・・・)
話している中で一夜は、見芝実奈が何かを確かめようとしていた気がしていた。。
一通りのアトラクションを乗り終わった時には、もう時刻は夕方となっていた。
見芝実奈「そろそろ戻ろうか。母さんたちも話し終わったってメールも来たから」
一夜「うん。何を話していたんだろ」
見芝実奈「きっと積もる話があったんだよ。少なくとも10年以上は会ってない筈だから」
一夜「そんなに経っていたら確かに色々話す事が溜まっているかも知れない」
一夜と見芝実奈が待ち合わせた広場に向かうと既に越馬美月と見芝洋子は来ていた。
二人は少し疲れた表情を見せている。
越馬美月「実奈ちゃん。悪かったね。一夜の事を頼んで」
見芝実奈「いいえ。楽しかったですよ」
見芝洋子「一夜ちゃん。今日はごめんなさいね。お母さんを連れ出しちゃって」
一夜「いえ。アタシは大丈夫です。実奈さんも一緒だったんで・・・」
見芝実奈「はい。私も一夜さんと話してて楽しかったです」
越馬美月「優しいんだね。いい子を育てたね。よっちゃん」
見芝洋子「そんな事は無いわ。みっちゃん。一夜ちゃん。今日はありがとうね」
見芝実奈「母さん。私達はそろそろ帰らないと」
見芝実奈は腕時計を見ながら告げた。
見芝洋子「そうだったわね。みっちゃん。いつか・・・。また・・・」
越馬美月「そうだね。いつかまた・・・」
見芝洋子「一夜ちゃん。さよなら」
一夜「さよなら」
見芝実奈「またいつか・・・」
一夜と越馬美月の前で二人は出口へと向かって行った。
一夜「また会えるのかな?」
越馬美月「どうだろうね。会えたらいいね」
一夜「うん。アタシはまた会いたいな」
越馬美月「・・・。さて一夜。今日はナイトパレードを見てからホテルへ戻ろうか」
一夜「うん」
一夜(なんだか・・・。お母さんは話をそらした気がする・・・)
内心の気持ちを隠しながらも一夜は母親とナイトパレードを楽しんだ。
それから一夜は見芝実奈と再会する事は無かった。
一年後には母親である越馬美月は魔女に殺されて孤児となった一夜は魔法少女となり紆余曲折を経て身体を失い、今は朱奈と言う少女の身体に無理やりにソウルジェムを接続して生きている状態になっていたのだから。
□ 宿北 廃工場の結界内部
最深部で無数のカマキリ使い魔と対峙していた彩月は・・・。
彩月「はあ・・・。やってられへんな」
そう呟くと同時に一目散にその場から逃亡していた。
彩月(ナナツメさんやないんやからあんな数相手に出来へん)
そんな彩月を追うカマキリ使い魔達。
彩月「言うとくがウチは逃げるの得意やでー」
彩月は結界の内部を縦横無尽に走って行く。
こまちソウルジェム(ちょっと。逃げてどうするのよ?)
彩月(あんなのまともに相手するのはバカのする事や。だったら殺しの平気なアリナさんやナナツメさんに任せるのが楽でええやろ)
こまちソウルジェム(本当にやばいと思ったらあなたの身体を乗っ取るわよ.。あたしにだってやるべき事があるんだから)
彩月(だから逃げとるんやろ)
彩月は借り物のソウルジェムの持ち主であるこまちと心の中で問答しながら逃げ続けていく。
その頃、ねむとナナツメ、アリナは・・・。
アリナ「チッ!数が多いだけなんですケド!」
不機嫌そうにアリナはキューブで全周囲を攻撃する事でガスマスク使い魔を次々と倒していた。
ナナツメ「・・・・・・・」
その脇ではねむを庇いながらナナツメは両手の鎖鎌で次々とガスマスク使い魔を倒していた。
ねむ「急に抵抗が増した気がするね。どうやら彩月と何かあったのかな?」
アリナ「そんなのはどうでもいいワケ。アリナはあくまでこの結界を作り出した魔女が気になるだけなんだカラ・・・。ねむの事はそいつが守ってるワケだしここからは勝手にさせて貰うカラ」
そう言ってアリナは目の前にあった扉を強引に開くと別の場所へ行ってしまった。
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむ「はあ・・・。またアリナの悪い癖が始まったよ。けど・・・。どうせ死にはしないから放っておこう」
ナナツメ「・・・。菖蒲を探しましょう」
ねむ「そうだね。恐らく彩月と魔女は同じ場所にいる筈だからね」
そこへ再びガスマスク使い魔が群れを成して現れる。
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむ「やれやれ。まだまだ時間が掛かりそうだね」
ねむとナナツメは襲い来るガスマスク使い魔を次々と倒して進んで行く。
やがて二人は他の場所へ続く連絡通路へと出た。
他の場所へ繋がる連絡通路でねむとナナツメは襲い来る多数のガスマスク使い魔と戦っている為にその場を動けずにいた。
ねむ「全く・・・。数が多すぎるよ・・・」
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむは脇からスマホを出すと時間を見た。
既に突入して30分以上は経過している。
ねむ(流石にこの人数じゃ分が悪いね・・・。二人と合流次第、ここは撤退かな?)
その時、妙な振動が足元から近付いて来ている事にねむは気付いた。
ねむ(なんだろう?)
ナナツメ「ねむ様!」
ナナツメが手にした鎖鎌で一つの方向を指し示した。
ねむがその方向を見つめると
彩月「ねむ様!ナナツメさん!お助けー!」
正面通路から走って来た彩月の背後には無数のカマキリ使い魔がいた。
ねむ「全く・・・。君は本当に面倒を持って来るね」
言いながら少しだけ笑みを見せるねむ。
ナナツメ「!!」
ナナツメは真上に跳躍すると彩月の背後に迫るカマキリ使い魔に鎖鎌を撃ち込んだ。
カマキリ使い魔達は思わず足を止めてしまう。
彩月「いやー。助かったで。ナナツメさん」
ナナツメ「少しは倒せ。小生も疲れる」
彩月「まあ囲まれてますからなあ」
言いながら彩月は手近にいたガスマスク使い魔を倒した。
彩月「キリ無いなあ。ねむ様。一時撤退しませんか?」
ねむ「僕もそう思っていた所だよ。だったら後はアリナを探して合流するだけだね」
ナナツメ「まずは目の前の敵を倒してからかと」
その時、ねむ達に迫ろうとしたカマキリ使い魔達が突然、真横に吹き飛ばされた。
緑色のキューブに吹き飛ばされて。
アリナ「ようやく戻れたんですケド・・・。ねむ達は合流出来たみたいヨネ」
言いながら脇道からアリナが姿を現した。
アリナ「アリナを探していたみたいだけど、これからどうするワケ?」
ねむ「それなら撤退しよう。この数じゃこっちの分が悪いからね」
彩月「そりゃええですなー。敵の事は少し聞いときましたで」
ねむ「なら尚の事・・・。むっ」
突然ねむ達の入っていた結界が崩壊して、その場は路地裏となってしまった。
ねむ「逃げたのか・・・」
彩月「けどただ逃げた訳やないでっせ」
彩月の言う通りに周囲にはカマキリ使い魔達に包囲されていた。
建物の上にも無数に存在している。
ナナツメ「・・・・・・・」
アリナ「はあ・・・。コイツ等を倒せば帰れる訳だし問題無いヨネ?」
ナナツメとアリナは武器を構えてカマキリ使い魔を睨み付けている。
彩月「待った。あれ人間やで!」
アリナ「どう言うコト?」
彩月「人間を作り替えたみたいやで」
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむ「ふむ・・・。人間を使い魔に作り替えるか・・・。。厄介だね」
アリナ「別に関係無いんですケド」
ナナツメ「手を汚すのは小生だけで充分・・・」
ねむ「はあ・・・。君達は好戦的すぎるよ。包囲されている以上、ここは撤退だよ。これは余り使いたくは無かったけど・・・」
ねむは良いながら手に持った本のページのあるページを開いた。
その瞬間にねむ達4人の真上に白い真四角の何かが現れた。
彩月「なんや。あれ?」
ねむ「直ぐに分かるよ」
ねむが本の上に指を滑らすと4人は白い真四角に吸い込まれた。
アリナ「ワッツ!?何が起きたワケ?」
ナナツメ「・・・・・・・」
彩月「なんやなんや!?」
ねむ「ふう・・・。とりあえず成功かな」
ねむ達が吸い込まれた先はホテルフェントホープの部屋だった。
彩月「えっ?ここフェントホープでっか?もう戻れたんでっか?」
ねむ「違うよ。これは僕が魔法で作ったフェントホープの一室だよ。生憎と僕には空間跳躍みたいな魔法は使えないからね」
アリナ「それは分かったケド・・・。これからどうするワケ?包囲されているのは変わらないヨネ?」
言いながらアリナが壁にある窓から外を見るとカマキリ使い魔達はこの空間に向かって跳躍して来ていた。カマキリ使い魔がぶつかるたびにこの部屋も揺れている。
ねむ「さて・・・。それじゃあ全員家具に掴まってくれるかな?」
彩月 アリナ「えっ?」
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむ「ジェットコースターって知っているかな?たぶんこれからそうなるだろうから」
彩月 アリナ「!!」
ナナツメ「・・・・・・・」
ねむに促されて全員、部屋にあった固定されている家具に掴まった。
ねむ「ふむ。掴まったね。じゃあいくよ」
家具に掴まったねむが手に持った本に魔力を注ぎ込むと全員の入った部屋が魔力の放出をしてその場から飛び去ってしまった。
最も部屋の中では4人は家具に掴まらなければ急加速によって生じた圧力によって壁に叩き付けられていただろう。
その様子を見ていたカマキリ使い魔達は一斉に背に生えた羽根を振るわせて飛ぼうとする。
ウインドピア「追わなくていいよ」
そこへ現れたウインドピアが手を上げるとカマキリ使い魔達は一斉に追うのを止めた。
ウインドピア「みんな。戻って良いよ」
ウインドピアの言葉を聞いてカマキリ使い魔達は開かれた結界への入り口へ戻って行く。
黒羽根●とサンシャインがウインドピアの側へ駆け寄って来る。
サンシャイン「アイツ等また来ると思うけど・・・。どうするの?」
黒羽根●「分かっている。だからこそマギウスの計画を我々の物にする事が出来る」
サンシャイン「・・・。本当に出来るの?」
黒羽根●「出来る出来ないではなくやるしかないでしょう?それは分かっているから我々の誘いに乗った筈だと思ったが?」
サンシャイン「そうよね。だってそうしないと・・・」
サンシャインはウインドピアの方へ視線を向けていた。
サンシャイン「ぴあが殺されてしまうから・・・」
□ 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープ 地下倉庫入り口
地下倉庫の入り口にあるテーブルで向かい合って会話をしている黒羽根9と一夜。
そこへ突然、大きな衝撃音が鳴り響く。
大きな音と同時にホテルフェントホープが大きく揺れたのを二人は感じ取っていた。
黒羽根9「何だ!?」
一夜「なに!?」
黒羽根9「上の方からみたいですね」
一夜「地震かな?」
黒羽根9「一応、エントランスへ行きましょう。もし何かるのならここは危ないと思います」
一夜「そうですね・・・」
黒羽根9の提案により二人は地下倉庫からエントランスに向かった。
そこにはたまたまフェントホープに詰めていた羽根達が不安そうな表情をして集まっていた。
黒羽根9「何かあったの?」
黒羽根10「いえ。ボクじゃなくて私も来たばかりで・・・」
黒羽根9が話しかけた黒羽根10も事態を把握できていない様子だった。
するとエントランスから上層階へ続いて行く階段から下層階に向かって来る声が聞こえて来た。
アリナ「あんな手段で脱出するなんてアリナは聞いてないんですケド」
ねむ「まあ僕も言わなかったからね。部屋が一つ増えたけど、こういう切り札は常に隠しておくべきだと言う事だよ」
彩月「いやー。楽しかったなあ。次はいつやるんや?」
ナナツメ「・・・・・・・」
アリナ「ホワット?生憎だけどアリナは二度と御免なワケ!」
階段を降りて現れるねむ達4人。
全員の服装は少し汚れている。
ねむ「ふむ・・・。じゃあ次は別な手段を取るよ。おや?どうしたんだい?君たち。そんなに大勢で集まって」
ねむはそこでエントランスに羽根が集まっている事に気が付いた。
黒羽根9「地震の様な振動がしたので何事か起きたのかと・・・」
ねむ「それは済まなかったね。僕が新しいウワサの機能をテストしていて脅かしてしまったようだね。もう大丈夫だからみんな普段の業務に戻って良いよ」
それを聞いて羽根達は安心したのか一夜と黒羽根9を残して業務に戻る為にエントランスを去って行く。
彩月「やあやあ。チェンソーさん。ウチの代わりに一夜さんの護衛をありがとな」
黒羽根9「まあ仕事ですから。それでは私は仕事が終わった様なので下がらせて貰います」
ねむ「うん。構わないよ」
黒羽根9「一夜さん。話せて良かったですよ」
そう言って黒羽根9は去って行った。
アリナ「じゃあアリナも今日は帰らせて貰うんですケド」
ねむ「一応これから灯花やみふゆへの報告があるんだけどね」
アリナ「別に変わった事は無かったワケ。それからアリナは宿北の魔女にもう興味を無くしたカラ、後はそっちでやってヨネ」
一方的に言いたい事だけ言ってアリナはその場から去ってしまった。
ねむ「相変わらずだね・・・。彩月。君にはこれから灯花とみふゆとの打ち合わせに付き合って貰うよ。二人は一時間後に来る予定だから」
彩月「まあ必要な事やしな」
ねむ「一夜。君も今日は下がって良いよ」
一夜「分かりました・・・」
一夜(みんな深刻な表情をしてた・・・。これから大変な事が起きそうな気がする・・・)
自室へと戻りながら一夜はこれから起こるであろう何かに恐怖を感じていた。
□ 神浜市内 ホテルフェントホープからの帰り道
市内の歩道を一人で歩いているアリナ。
アリナ(ねむにはああ言ったケド・・・。あの宿北にいた魔女は凄く興味深い存在だったヨネ・・・。でも・・・。あの話はアリナにも都合が良いワケ・・・)
アリナは先程まで単独で結界内部を探っていた時に起こった出来事を回想していた。
アリナの回想 宿北 結界内部
結界内部に生じた扉の先にある通路を一人で進むアリナ。
アリナは今、彩月を探すねむやナナツメと別れて一人で結界の内部を進んでいた。
アリナ(おかしいんですケド・・・。扉を抜けてから使い魔が全然出て来ない・・・)
進んで行く通路に使い魔が現れない事にアリナは違和感を覚えていた。
アリナ「!?」
アリナの眼前にある通路の先に人影が現れる。
それはアリナにも見覚えのある黒いローブを着た黒羽根だった。
アリナ(話に聞いてた洗脳された黒羽根ってワケ?)
手にキューブを出現させて身構えるアリナ。
黒羽根●「事を構えるつもりはありません。アリナ・グレイ」
アリナ「洗脳された羽根の言う事なんて聞く気がないんですケド!」
アリナがキューブを発射しようとした時、黒羽根●はローブの袖からある物を取り出してアリナに見せた。
アリナ「!? それは・・・」
黒羽根●が袖から出して見せた物はそれだけでアリナに話を聞いても良いと言う気持ちにさせていた。
黒羽根●「これを持っていると言う事は私が洗脳されていないと言う事が分かるでしょう?」
アリナ「・・・・・。昨日も会ったばかりだし確かだヨネ?」
黒羽根●「はい。ここで我々は計画を進めています」
アリナ「そんなのアリナには関係無いヨネ?」
黒羽根●「ですがここで我々を見逃した方が良いと思いますが・・・」
黒羽根●は何かを話し始めた。
それを聞いてアリナの顔色が変わる。
アリナ「それ・・・。信じても良いワケ?」
黒羽根●「はい。ここで大人しくお連れの方と撤退して下されば・・・」
アリナ「別にいいケド。アナタは本当にそれを出来ると言うワケ?」
黒羽根●「我々にとっても邪魔ですから」
アリナ「ああ・・・。確かに前にも同じ事を言っていたヨネ?」
黒羽根●「排除する為にもここは・・・」
アリナ「ねむ達はアナタ達を倒すつもりだケド?」
黒羽根●「策がありますからご安心下さい」
アリナ(策がある・・・。確かに意図的にマギウスを刺激した以上、ノープランなワケがないヨネ。だったら例の事もあるカラここは・・・)
アリナ「・・・。じゃあアリナは帰る事にするから出口まで案内出来ないワケ?」
黒羽根●「手配します。それとお連れの方も一緒に連れて撤退して欲しいのですが?」
アリナ「いる場所に連れて行ってくれるなら合流するケド?」
黒羽根●「それならば・・・。この先へ進めば柊ねむと・・・。護衛のいる場所へ辿り着きます。それと先に入り込んだ菖蒲も直ぐに合流するでしょう」
アリナ「それじゃアリナは行くカラ」
黒羽根●「それで構いません」
アリナは特に何も告げずに黒羽根●とすれ違い進んで行く。
そして進んだ先でアリナはねむとナナツメ、彩月と合流して宿北から帰還する事が出来た。
アリナ「今頃、ねむ達は宿北での事を話し合っているだろうケド、アリナには関係無いワケ。それよりもアリナは・・・」
意味ありげな笑みを見せるアリナ。
アリナ「灯花が遊園地を使って計画を加速させる事に興味があるワケ」
□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 会議室
会議室のテーブルを囲んで灯花、ねむ、みふゆ、彩月が集まっていた。
壁際にはナナツメも控えている。
彩月「とまあ・・・これがウチの聞いた内容でっせ」
みふゆ「理想の死者を見せて人間を洗脳する人型の魔女ですか・・・。随分と巧妙な手段を用いる魔女ですね・・・」
灯花「それにわたくし達の計画に介入しようとするなんて生意気だにゃー」
ねむ「いずれにしても放ってはおけないね。神浜市での計画も大詰めを迎える所だし不安要素は直ぐに排除した方が良いと思うよ」
みふゆ「ねむの言う通りですね。討伐隊を編成して直ぐに排除しましょう」
ねむ「それは良いんだけど・・・。宿北の魔女は僕が羽根を率いて討伐するよ」
みふゆ「えっ?ねむが直接ですか?」
ねむ「うん。みふゆ。君には七海やちよへの対処の為に控えて貰いたいからね」
灯花「そうだねー。七海やちよと環いろはの仲間を3人洗脳した以上、計画の阻止に動いて来るのは確実だからねー」
みふゆ「ですが・・・。マギウスに何かがあっては計画が・・・」
ねむ「そうならない為にも支援の為の羽根の選定はみふゆに依頼するよ」
みふゆ「分かりました・・・。なら羽根の選定はワタシに任せて下さい」
ねむ「うん。任せるよ。それから灯花。マミを使いたいんだけど良いかな?」
灯花「わたくしが見た限りだと特に問題は無いと思うけどねむが良いなら良いんじゃないかにゃー?」
みふゆ「巴さんから例のお願いがあります。出来たらその後で宿北の事を」
ねむ「そうだったね。あのお願いはマミが僕達に協力して貰う為の必要な事だからね」
みふゆ「アリナにはワタシが話を付けて置きます。巴さんとの約束だけは確実に果たさなければなりませんから」
彩月「それより次はいつ殴り込みに行くんや!? ウチはめっちゃ楽しみにしとるんやでー」
満面の笑みで語る彩月。
ねむ「まあ速くて来週かな。とりあえずそれまでは引き続き羽根には宿北へ近づかない様に警告を出しておいた方が良いね」
みふゆ「それもワタシの方から広報に依頼して置きます。ところで・・・。彩月さんは次の討伐にも同行する気なのですか?」
彩月「そりゃ行くやろ。人型魔女や敵の魔法少女を見たのはウチだけやしな」
みふゆ「魔女に協力する魔法少女・・・。にわかには信じがたいですが洗脳されている訳では無いんですよね?」
彩月「あの様子じゃ洗脳はされてへんやろ・・・。それに・・・」
ねむ「なんだい彩月」
彩月「どーも筒地綾女に恨みがあるみたいやで」
ねむ「そうなのかい?ナナツメ。君は何か知っているかい?」
ナナツメ「いいえ。存じません。小生に埋め込まれた記憶にそうした部分はありません」
ねむ「彩月は何か知っているのかい?」
彩月「ウチにも分からへんと言う事は・・・。たぶんウチと出会った後の綾女さんがやらかしたんやろなあー」
頬杖を付いて呆れた表情で呟く彩月。
ねむ「筒地綾女ってそんなに恨まれているのかい?」
彩月「あの性格で恨まれない訳が無いやろ」
筒地綾女の記憶が埋め込まれている彩月が真実味のある表情を見せていた。
ナナツメ「同感だ」
全員「!?」
抑揚の無い表情でナナツメまでもが同意の姿勢を見せた為、灯花とねむとみふゆも驚いていた。
灯花「ねむー。わたくし思うんだけど・・・」
ねむ「まあ僕も同じ事を思ったよ」
みふゆ「ワタシもです。何だかこれからも綾女さんが原因で何かが起こりそうです」
全員「はぁ・・・」
全員のため息が会議室に充満していた。
□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 彩月の私室
ベッドの上に座っている制服姿の彩月。
彩月(さて・・・。今なら喋ってもいいで。こまちさん)
彩月はソウルジェムだけであるこまちに頭の中で話しかけた。
こまち(何を言えば良いのよ?)
彩月(さっきから何か言いたげな雰囲気があるから気になっとったんや)
こまち(そうね。否定はしないわ・・・。宿北で会った黒羽根の事だけど・・・)
彩月(何か気が付いたんか?)
こまち(あの黒羽根にあたしはマギウスに反逆を起こす前に会っていた様な気がする)
彩月(!! つまり・・・。こまちさん達の反逆に関わりがあるんでっか?)
こまち(そうかもね。最もあたし達も好きで反逆した訳じゃ無いんだから)
彩月(じゃあどうして反逆なんかしたんや?)
こまち(あたしに分からない。だからそれを知る為にアンタにこんな事を話してんのよ)
彩月(そうなんや・・・。じゃあ次に会うたらあの黒羽根捕らえて聞き出しましょか)
こまち(迂闊に捕獲はしない方がいいわ。もし・・・。あたし達が反逆したみたいに・・・。もしかしたら他者を操る魔法を持っているかも知れない・・・)
彩月(そか。まあ優先すべきは人型の魔女退治やしな・・・)
こまち(それで良いと思うわ。あの人型の魔女といるって事は、あの黒羽根もグルなのが間違いないんだから)
彩月(そうやな・・・。まあこまちさんの事はこまちさんが話したくなったら聞くで)
こまち(その方がいいわ。今は話す気にならないから)
彩月(そう言えば・・・。ウチが目を怪我した時、もうこまちさんは目覚めてたんやろ?あの時は何で何もしなかったんや?)
こまち(あの時は魔法を使えるなんて思ってなかったのよ)
申し訳なさそうに語るこまちの様子からそれが嘘では無いと彩月は思っていた。
彩月(まあそれならしょうがないなあ。まずは・・・。人型の魔女退治やな。ついでに裏切り者も)
こまち(どうするかはあなたに任せるわ)
言いたい事を言ってこまちの意識が遠ざかるのを彩月は感じ取った。
こまちのソウルジェムとの会話を終えるとお互いの間に薄い壁が存在しているのが彩月にも感じ取れていた。
彩月「面白くなりそうやな」
誰に言う事無く彩月は笑みを浮かべて呟いていた。
今回の話では並行して一夜の過去が明らかになります。
一夜の母親、越馬美月。
その友人である見芝洋子と実奈(みな)。
特定の単語が入っているので、彼女達が日ノ本を守る一族と関わりがあるのかも知れません。
一夜がそれを喋っている相手はあの惨劇の街から来たのかも知れませんが。
宿北の工場で出て来たウインドピアとサンシャインは過去に執筆した偽書魔法少女あやめ☆マギカに登場したキャラクターの出張出演です。
なおウインドピアはディバインゲートとまどか☆マギカコラボで雲土ぴあとして登場したキャラクターです。