マギアレコード 偽書e/s memorys 作:ジャックノルテ
マギウス 柊ねむ
白羽根 神楽燦=神楽教官
白羽根 観鳥令=観鳥さん
黒羽根 遊狩ミユリ
黒羽根 牧野郁美
黒羽根 保澄雫
黄羽根 ナナツメ
黄羽根 越馬一夜
黄羽根 菖蒲彩月
□ 宿北廃工場周辺 観覧車草原の出来事より約3時間前
廃工場周辺に来た制服姿の彩月は周囲に人がいない事を確認すると廃工場の敷地内に魔力で強化した跳躍すると侵入した。
彩月「よっと。まだ敵はおらへんなあ。けどそろそろやろなあ」
彩月は黄色いローブを羽織った魔法少女としての姿を見せた。
そこへ工場の中から次々と数人の人が姿を現した。
年齢はバラバラで少し薄汚い服装の男女だった。
彩月「・・・・・。おたくら目がヤバいで。ウチを狙っとるのがバレバレや」
男女たち「「・・・・・!!」」
すると彼らは次々とカマキリの様な姿へ変身した。
彩月「まーたカマキリ使い魔か。芸が無いで」
カマキリ使い魔「「!!」」
カマキリ使い魔は次々と彩月に向かって来た。
彩月「やっぱこーなるんやな。さあ・・・。初めよか!」
彩月は武器である薙刀を構えるとローブをバンダナに変化させた。
こうする事で身体の好きな位置から鎖鎌を出す事が出来る。
次々と彩月に襲い来る人間カマキリ達。
近づいて来る人間カマキリを薙刀で切り裂き走り回る彩月。
そんな彩月の動きに翻弄されて人間カマキリ達は次々と倒されて行く。
彩月「全く。カマキリは群れを作らんやろ」
ぼやきながらも次々とカマキリ使い魔を切り裂いて行く彩月。
すると切り裂かれて戦闘力を失ったカマキリ使い魔は人間の姿に戻って倒れた。
彩月「なんや。半殺しにすればええんか?ストレス解消になるなあ」
笑みを見せながら彩月が次のカマキリ使い魔を切り付けようとした時、
ゴオーン
とベルの様な音がすると突然カマキリ使い魔達が彩月から退いた。
すると工場の中から炎を纏ったブーメランを握り締めて魔法少女、サンシャインが姿を現した。
サンシャイン「また懲りずに来たんだ。もうあてしは手加減できないよ」
彩月「それはウチも同じやで。前回は面倒やから逃げんやけど・・・。今回は好きに暴れて良いと許可は得ている訳やしな!」
彩月は改めて薙刀を構え直す。
サンシャイン「ふざけてばかりね・・・。筒地綾女の関係者なら・・・。許せない」
彩月「はっ。まあウチは筒地綾女の関係者と言えば関係者やけど・・・。所詮はあの人の体の良い実験台やで。アンタと立場は大差ないで」
サンシャイン「やっぱり面倒だよ。あんた」
その瞬間にサンシャインは両手に出現させた炎を纏ったブーメランを彩月に向かって投げ付けた。
彩月「!!」
彩月は瞬時に薙刀を消すと両手に構えた鎖鎌で自分に迫り来るブーメランを弾いた。
だがブーメランは再度、彩月に向かって戻って来る。
彩月「面倒やな!」
ブーメランを弾きながら周囲を走り回る彩月。
サンシャイン「・・・!」
サンシャインもただブーメランを投げるだけでは決定打に欠けると判断して両手にブーメランを握り締めるとそのまま彩月に斬りかかった。
彩月の構える鎖鎌とサンシャインのブーメランが鍔迫り合いとなる。
彩月「!!」
サンシャイン「!!」
二人はまるで息の合う様に同時に鍔迫り合いを終えると後方へ下がった。
彩月「さてさて。続きを始めよか!」
サンシャイン「ふざけてる」
再び彩月とサンシャインがお互いに向かって走り出す。
□ 宿北廃工場周辺 裏道 観覧車草原の出来事より約3時間前
廃工場周辺にある裏道に来た黄羽根姿のナナツメと一夜、。
魔法少女姿の保澄雫。
その時に彩月とサンシャインの戦いが始まり魔力の余波が感じ取れた。
ナナツメ「どうやら彩月が始めた様だな。こちらも行くぞ」
一夜「はい」
保澄雫「はい」
一夜は廃工場の塀に手を当てた。
黄色いローブを羽織りローブから出した鎖鎌で魔法陣を瞬時に描く。
一夜「出来ました」
ナナツメ「分かった」
躊躇う事無くナナツメは魔法陣に入り込んだ。
続いて保澄雫と一夜も続いた。
ナナツメ(彩月が暴れているお陰で敵はこちらに気付いていないか)
保澄雫「まだ周辺に敵はいないようです」
ナナツメ「よし・・・。なるべく奥へ向かうぞ」
3人は直ぐに建物の方へ移動する。
ナナツメ「よし。やってくれ」
一夜「すぐに魔法陣を」
一夜は建物に近付くとすぐに壁に魔法陣を生成した。
廃工場の内部に入り込んだナナツメと一夜、保澄雫。
今の所、周囲には敵がいなかった。
ナナツメ「行くぞ」
短く告げたナナツメに頷く二人。
工場の内部の通路を奥に向かってすすんで行く3人。
そこへ正面からカマキリ使い魔が一人現れる。
ナナツメ「!!」
一夜「使い魔!」
保澄雫「下がって!」
カマキリ使い魔が鎌を振り上げて向かって来る!
ナナツメは瞬時に鎖鎌を構えて迎え撃つ為にカマキリ使い魔に向かって走り出した。
保澄雫は一夜の護衛の為に両手にチャクラムを出して構えていた。
ナナツメ(遅い!)
カマキリ使い魔とすれ違いざまにナナツメは鎖鎌でその身体を切り裂いた!
切られたカマキリ使い魔はその場に蹲ったが鎌を振り回し続けていた。
ナナツメ「・・・・・・・。もっと奥へ行くぞ」
戻って来たナナツメが二人に告げる。
一夜「はい・・・」
保澄雫「! 敵が近付いてきます」
ナナツメ「一夜」
一夜は直ぐに壁に魔法陣を作り上げた。
魔法陣を通って壁の先にある部屋へ移動し続ける3人。
そこから壁に当たるたびに一夜の魔法陣を展開して先が安全かをナナツメが確認しながら移動し続けていた。
ナナツメ(一夜の魔法で予想よりも奥へ入れている。これなら・・・)
何回か移動してかなり奥に来た所で先頭を歩いていたナナツメが歩を止めた。
ナナツメ「・・・・・・・。ここまでだな。保澄雫。一夜を連れてねむ様の元へ戻れ。この先は・・・」
一夜「怖い・・・・・・。こんな魔力・・・。初めて感じる・・・」
保澄雫「まだこちらには気付いてないみたいです」
ナナツメ「だからだ。これ以上は脱出のチャンスが無くなる。小生は計画通りに攪乱工作を進める」
保澄雫「分かりました。では。一夜さん。行きましょう」
一夜「ナナツメさん・・・」
ナナツメ「一夜。お前のお陰でここまで来れた。後は小生の仕事だ」
一夜「!? 分かりました」
保澄雫「行きましょう」
保澄雫が片手を上げるとそこに空間移動の魔法陣が形成された。
二人は魔法陣を通ってねむ達の潜伏する場所へ向かった。
ナナツメ(ねむ様に言われた通りに一夜の事を褒めた。これで良いのだろう)
ナナツメは廃工場に来る前にフェントホープでねむと交わした会話を思い出していた。
ねむ「ナナツメ。廃工場への潜入時に余裕があれば一夜の事を褒めてくれるかい?」
ナナツメ「小生が、ですか?」
ねむ「うん。彩月はこの間、キツイ事を一夜に言ったからね。君なら実際の潜入に同行する訳だから褒める事位は君でも出来るだろう?」
ナナツメ「・・・・・・・。命令とあらば・・・。善処します」
ねむ「うん。それで良いよ。戦闘になったらそんな余裕は無いだろうからね」
ナナツメ「・・・・・・・」
その時、回想を終えたナナツメはこの部屋に近付く魔力に気が付いた。
ナナツメ(・・・!! 少しぼんやりしていたか)
両手に鎖鎌を構えたその時、壁を破って黒い影が飛び込んで来た!
微動する事無く様子を見ていたナナツメに2本の鎖鎌がナナツメに向かって飛ばされて来た。
ナナツメ「・・・・・!!」
動じる事無くナナツメは飛ばされて来た鎖鎌を自身の鎖鎌で弾き飛ばした。
ナナツメの眼前に敵の姿が見える。
それは黒羽根のローブを纏った魔法少女だった。
ナナツメ(やはりマギウスの羽根が相手か・・・)
黒羽根▲「ふーん。護衛の黄羽根が護衛を投げ出して乗り込んで来るなんて・・・。随分と舐めてるね」
ナナツメ「・・・・・・・」
黒羽根▲「はあ・・・。やっぱもうこれ必要無いでしょ」
そう言って黒羽根▲はフードを脱いでその顔を現した。
銀髪にゴスロリ風の衣装を纏い持ち手から鎖が伸びて鉄球に繋がっているモーニングスターと言われる武器を構えていた。
黒羽根▲「悪いけど・・・。サヨナラ勝ちね!」
そう言って黒羽根▲はモーニングスターを振り回してナナツメに襲い掛かって来た。
ナナツメ「・・・・・・・」
ナナツメは冷静に自身の持つ鎖鎌を天井へ叩き付けた!
黒羽根▲「なっ!?」
天井から落ちて来る瓦礫によって足止めされた黒羽根▲を尻目にナナツメはその部屋から出て行った。
黒羽根▲「ちっ!逃げやがった。たしから逃げるなんて・・・。そんなにサヨナラするのが嫌なの?」
その時、黒羽根▲の持つスマホから電話がかかって来た事を示す振動が起こった。
黒羽根▲「もしもし。逃げられた。でもまだ工場内にいるんじゃない?これから追い駆ける」
通話相手「追わなくてもいいですよ。あすみん。どうせ時間稼ぎなんですから」
黒羽根▲「だったら時間までは遊んでいいんでしょ?サヨナラまでが遊びなんだから」
通話相手「分かりました。でもチャイムが鳴ったら遊び終えて帰って来るのを忘れない様に」
黒羽根▲「分かってるって」
そう言って黒羽根▲はナナツメの後を追う為に部屋を出た。
既にナナツメの姿は無い。
黒羽根▲「さーて。何処に行ったのかなあ?キチンと殺してサヨナラしないと・・・」
そこで黒羽根▲は笑みを浮かべる。
黒羽根▲「気分が良く無いから」
□ 宿北廃工場周辺 潜伏場所1 観覧車草原の出来事より約2時間40分前
その頃、ねむと神楽教官、ミユリのいる潜伏場所であるビルの屋上に保澄雫の魔法を使って一夜と保澄雫が戻って来た。
保澄雫「ただいま戻りました」
ねむ「うん。教官。作戦を進めよう」
神楽教官「はい。ミユリ。観鳥に連絡を」
ミユリ「ハイです! 送信と」
ミユリは予め用意していたメールを観鳥さんに送信した。
その頃、別の潜伏場所2へ潜んでいた観鳥さんは着信したメールを見ていた。
観鳥さん「来たね・・・。牧野チャン。用意は良い?」
郁美「いつでも」
観鳥さん「じゃあ始めようか!」
そう言って観鳥さんは潜伏していた建物の屋上から廃工場に向かって固有武器であるバズーカ砲を次々と撃ち放った。
廃工場に次々と起こる爆発。
神楽教官「始まりました」
ねむ「よし。じゃあ僕も始めるとしよう」
ねむは手に固有武器である本を出現させる。
そしていくつかの操作を済ませると周囲に無数の文字が広がり空間その物が変質していく。廃工場の付近一帯をウワサ結界が包み込んで行く。
ねむ「ウワサ結界を発動させて貰ったよ。これで相手は逃げられない」
ねむ(最も倒されたウワサ結界を強引に発動させただけだから余り長くは持たないけどね)
廃工場敷地内で戦う彩月はウワサ空間が広がった事を見て作戦は継続している事を感じ取った。
彩月(流石や。ねむ様!さあてもう少し暴れたろか)
そこへサンシャインのブーメランが彩月に迫る。
彩月は両手の鎖鎌で弾いたが、なんとブーメランは弾かれた瞬間に軌道を曲げて再び彩月の右腕に迫る。
彩月(!?)
彩月の右腕にブーメランがぶつかろうとしたその時、突然右腕に星型の魔法防御壁が発動した。
彩月(こまちさんか!?ありがたいで)
こまちソウルジェム(ここであたしも死にたくは無いから。攻めるのは任すわ。ところで・・・。あんた、アイツに勝てるの?)
彩月の持つソウルジェム本来の持ち主であるこまちが話しかけて来る。
この会話はテレパシーでは無く魔力を身体に通す際に行われる物であり他者に聞かれる心配は無いと彩月は思っていた。
彩月(どうやろなあ。アイツの実力が10とするとウチの実力は・・・。どう見繕っても5やろ。まあ無理やろな)
こまちソウルジェム(どうする気よ?)
彩月「まだまだウチは戦えるで!」
彩月はサンシャインを睨みつける。
サンシャイン「・・・。はあ。面倒なヤツ!」
サンシャインは両手に炎を纏ったブーメランを握り締めると投げ続けても勝負は付かないと判断して彩月に斬りかかって来た。
彩月も両手の鎖鎌でブーメランを受け止めた。
彩月「面倒なのはお互い様やろ!」
□ 宿北 廃工場内部 観覧車草原の出来事より約2時間30分前
廃工場内部にある一室に黒羽根●とウインドピアはいた。
その頃、黒羽根●工場周囲を包むウワサ結界に気が付いていた。
黒羽根●「ねむ様がウワサ結界を発動させたか・・・」
ウインドピア「どうするの?ワタシが結界を発動させる?」
ウインドピアの背後から禍々しい魔力が現出する。
黒羽根●「いや。どうせ向こうの作戦は知っている。それに結界を発動しては他のメンバーとの連絡にスマホが使えないからな」
ウインドピア「テレパシーではダメなの?」
黒羽根●「テレパシーは周囲に集中されると盗聴される危険性がある。スマホなら余程特殊な魔法少女でない限り盗聴は出来ない。盲点と言うヤツだな。最もそんな魔法少女がいるとも思えないが」
ウインドピア「そうなんだ。サンシャインを手伝いに行くのもダメなの?」
黒羽根●「それも彼女に止められている。君に余り前線に出て欲しくないと。分かっているだろう?」
ウインドピア「うん。分かってる。でもワタシが一番強いのに」
黒羽根●「だからこそだ。今はその実力を隠しておきたいんだ。マギウスの作戦に協力している仲間から送られて来る情報を総合すればマギウスが現在、進めている神浜での作戦の成功率は五分五分にまで下がっている」
黒羽根●はスマホに送られたメールを読みながらウインドピアに答えた。
ウインドピア「そうなの?」
黒羽根●「だから私達は待つだけでいい。その時を」
□ 宿北 廃工場周辺 観覧車草原の出来事より約2時間20分前
その頃、潜伏場所2から廃工場へ向かって砲撃を続けていた観鳥さんと護衛の郁美。
そこへカマキリ使い魔が数体、群れを作って迫りつつあった。
観鳥さん「牧野チャン!連絡!」
郁美「ハイ!」
郁美はローブに付いているマギウスのペンダントを握り締めてテレパシーを送った。
この状態ならばマギウスのペンダントを通してのテレパシーとなってペンダント同士の交信と言う形になる為、連絡しやすかった。
これは一夜がここに来る前に宿北へ向かうメンバーのローブに施した追加機能である。
郁美テレパシー(雫ちゃん!来て!)
保澄雫テレパシー(分かりました!)
テレパシーが終わると同時にその場に保澄雫が空間跳躍魔法でその場に現れた。
保澄雫「お待たせしました」
観鳥さん「サンキュー。保澄ちゃん。良いタイミングだよ」
バズーカ砲を撃ちながら答える観鳥さん。
保澄雫「令さん!郁美さん!いいですね!」
観鳥さん「任せるよ!」
郁美「うん!くみは雫ちゃんを信じてるから!」
保澄雫「では!」
その瞬間に観鳥さん、郁美は保澄雫の魔法によって潜伏場所2からねむ、神楽教官、ミユリ、一夜のいる潜伏場所1へ空間転移魔法で移動していた。
ねむ「やあ。どうやら順調みたいだね」
観鳥さん「ええ。じゃあ次に行きますか」
神楽教官「打ち合わせ通りにミユリと牧野は周囲を警戒して!私と観鳥は砲撃を続けるわよ!越馬はねむ様の傍に!ねむ様!巴さんの方は?」
ねむ「もう少しかかるね。だからもう少しだけ時間稼ぎを頼むよ」
神楽教官「分かりました!やるわよ!観鳥!」
観鳥さん「教官の仰せなら!」
神楽教官と観鳥さんはビルの屋上から次々とバズーカ砲とガトリング砲を次々と廃工場へと撃ち込んで行く!
それに気が付いたカマキリ使い魔が群れを作って潜伏場所1へ近づいて来た。
神楽教官「保澄!3番の場所へ!」
保澄雫「分かりました!」
保澄雫は片手にグリーフシードを持ち浄化をしながら空間転移魔法で自身を含む全員を潜伏場所1から潜伏場所3へ転位していた。
転位場所は全て廃工場周辺にあるビルの屋上である。
廃工場周辺をまるごとウワサ結界に取り込まれているのは、周囲への被害を抑える目的と相手の逃亡防止と、この空間転移戦法を行使する為の下準備だったのだ。
神楽教官「観鳥!撃ち続けなさい!保澄は十分に浄化をしたら次は7番の場所へ転位を!牧野は周囲を警戒! ミユリは使い魔だけを迎撃しなさい!」
保澄雫、ミユリ、郁美、観鳥さん「ハイ!」
神楽教官「ねむ様!ウワサ結界は持ちますか?」
ねむ「まだ大丈夫。問題があれば伝えるよ」
周囲の魔法少女がテキパキと動く中で一夜はねむの傍で待機していた。
しかし戦闘中である為、専用の鎖鎌を直ぐに出せる様にしていた。
一夜(みんな頑張ってる・・・。ナナツメさん。彩月さんは・・・)
その頃、廃工場の内部でナナツメは攪乱活動をしていた。
ナナツメ(とにかく内部を移動し続けて相手への攻撃は牽制に留める。それが攪乱工作・・・)
廊下を走るナナツメの前にカマキリ使い魔が現れるとナナツメは攻撃をすると見せかけて壁を破壊して移動し続ける。
しばらく移動し続けていた時、真横から強力な魔力が移動して来るのを感じ取った。
ナナツメ(!?)
思わず歩を転じようとしたナナツメだったが真横の壁を破壊して鉄球が出て来たのを見てナナツメは直ぐに先程の相手が追って来たのを悟っていた。
武器を構えるナナツメの眼前に黒羽根▲が姿を現した。
ナナツメ(先程の相手か)
黒羽根▲「やっと追い着いた・・・。同じやり方を真似たけど問題無いでしょ?」
既にローブのフードを取って銀髪にゴスロリ風の衣装を見せつけながらモーニングスターを振り回している。
ナナツメ「・・・・・・」
黒羽根▲「だんまりね・・・。まあ良いわ。今度こそ・・・。サヨナラ勝ちね!」
黒羽根▲はモーニングスターを振り回して再びナナツメに迫る。
だがナナツメは慌てる事無く自身の鎖鎌で黒羽根▲のモーニングスターから伸びる鉄球を弾き飛ばしたと同時にローブから緑色をしたキューブを取り出すと黒羽根▲に投げ付けた。
黒羽根▲「なっ!?」
思わず後方へ飛び退く黒羽根▲の眼前でナナツメの投げたキューブから魔力が拡散していく。
するとキューブの投げた場所に人影が出現していた。
同時に新たな魔力反応も出現する。
現れたのは白いローブを着た白羽根だった。
黒羽根▲(なんだ!? ・・・。そうか! アリナ・グレイのキューブに魔法少女を収納して来たのか!)
マギウスの翼に所属していた経験則から目の前で起こった出来事を結論付けた黒羽根▲は、離れた場所にいるナナツメよりも目の前にいる白羽根に向き直った。
黒羽根▲「まずはお前から!」
黒羽根▲のモーニングスターが白羽根に迫る。
と白羽根の身体にモーニングスターが当たり身体の体勢を崩すも直ぐに立て直すと両手から鎖鎌を伸ばすと・・・。吠えた!
白羽根2「ガアアアアアアアアアア!」
黒羽根▲「は!?何!?」
思わず困惑を見せる黒羽根▲だったがそれに構わずまるで獣の様に咆哮して白羽根2は黒羽根▲に襲い掛かった。
獣の様に理性を感じさせない様な動きをして白羽根2は最早、自身の身体にぶつかって来るモーニングスターを気にせずにただ襲い掛かった。
白羽根2「ウワアアアアアアアアア!」
黒羽根▲「なんなんだコイツ!?」
驚く黒羽根▲に襲いかかる白羽根2。
余りの勢いに驚く黒羽根▲は白羽根2に手こずる様子を見せていた。
ナナツメ(どうやら成功か。新たなウワサのテストは問題が無い。洗脳されて彩月と戦った白羽根をウワサで再度、洗脳してマギウスローブを着ていない相手を無差別に襲う様に暴走させる。合理的な手段だ)
黒羽根▲が洗脳された白羽根2に手こずっているのを見るとナナツメはその場を離れた。
攪乱工作を続ける為だ。
黒羽根▲(ちっ。これじゃアイツを追う事が出来ない・・・)
黒羽根▲は悔し気な表情を見せながらも目の前で暴走する白羽根2から目を逸らさなかった。
□ 宿北 廃工場敷地内 観覧車草原の出来事より約2時間10分前
彩月と戦い続けるサンシャイン。
彩月(やはり分は向こうにあるかあ)
こまち(こっちは魔法が大体半分しか使えないから仕方ないでしょ・・・。で勝利する気はあるんでしょ?)
彩月(ん? 余り無いで)
こまち(!? じゃあ、あんたどうする気よ?)
彩月(まあ作戦は聞いとるしな。それまでは楽しむと言う事や)
こまちのソウルジェムと魔力を通した会話をする彩月。
そこへ身体を回転させて両手に握り締めたブーメランで切り付けるサンシャイン。
間一髪で回避する彩月だったが黄色いローブは裂けて身体は傷だらけとなって行く。
彩月(と言うても・・・。ヤバいやろな)
内心の動揺を隠して彩月はサンシャインから距離を取りながら向き直る。
彩月「どうやらウチを倒しきれんようやけど?」
サンシャイン「・・・。追い詰められているのが分からないの?」
彩月「どうやろなー。まあ減らず口がウチの得意分野やし」
サンシャイン「本当に面倒!」
再び両手に握り締めたブーメランに炎を灯して切り付けて来るサンシャインに対して彩月は武器をローブに内蔵された鎖鎌から薙刀に切り替えて迎え撃つ姿勢を示した。
彩月「さあ。まだまだ戦おうで!」
その頃、廃工場内部。
白羽根2「ウガアアアアアアアアア!」
暴走する白羽根2は魔力を込めた鎖鎌を周囲の被害を考えずにとにかく黒羽根▲を狙って振り回して距離を詰めようとしていた。
黒羽根▲(ちっ。コイツ・・・。全然勢いが止まらない・・・。こんないかれた奴、サヨナラさせる気にもならない。けど・・・)
距離を取りながらも白羽根2から目を離せない黒羽根▲。
黒羽根▲(流石に放っておく訳にも行かない・・・)
この時点でナナツメの攪乱工作は成功していたと言えた。
黒羽根▲は暴走させられている白羽根2を放置する事は出来ず釘付けにされていたのだ。
一方でナナツメは一人で通路を進んでいた。
目の前にカマキリ使い魔が現れる。
ナナツメ「!!」
カマキリ使い魔「グアアアアアア!」
ナナツメが両手に構えた鎖鎌の刃で流れる様に切り捌くとカマキリ使い魔の身体は分解されて消滅した。
ナナツメ(どうやら人間ベースでは無いのも混ざっているのか)
ナナツメが感じ取るだけでもこの場には50体以上のカマキリ使い魔の反応があった。
恐らくは人間ベースの使い魔とただの使い魔を併用しているのだろう。
ナナツメ(・・・・・・・。向こうから異質な魔力を感じる)
ナナツメの見つめる方向は廃工場の中心部とも言える場所だった。
ナナツメ(・・・・・・・。やるか)
ナナツメは足に魔力を集中する。
そして両手に構えた鎖鎌にも魔力を集中して一気に廃工場の中心部へと向かって駆け出した。
目の前にある壁と言う壁を鎖鎌で切り裂いて破壊して一気に中心部へと壁を破壊して乗り込んだ。
轟音と共に壁が破壊されて飛び込んで来たナナツメに、その場にいた二人は対照的な反応を見せていた。
黒羽根●「何だ!?」
ウインドピア「敵かな?」
驚く黒羽根●とウインドピアは落ち着いた様子を見せていた。
ナナツメ(・・・・・・・!!)
その場にいた異質な魔力の持ち主がウインドピアだと直ぐにナナツメは気が付いた。
ナナツメ(・・・・・・・。妙だ。魔力が上手く感知出来ない・・・。だが!!)
迷う事無くウインドピアへ向かって鎖鎌の刃を投げ付ける!
ウインドピア「うん?」
黒羽根●「ハッ!」
ナナツメの投げ付けた鎖鎌を黒羽根●は両手に出現させたハンドベルで叩き落とした。
叩き落とすと同時にハンドベルから衝撃波が来るもナナツメは直ぐに後方へ退いた。
ナナツメ「・・・・・・・。そこの黒羽根。一度だけ忠告してやる。その魔女を殺す邪魔をするな。邪魔をしないなら見逃してやる」
ウインドピア「やっぱり戦う?」
そう言ってウインドピアは腰に下げたレイピアを引き抜いた。
だが黒羽根●は手を横に伸ばして制した。
黒羽根●「随分とらしくないお喋りをするんですね。以前はもっと寡黙でしたよ。あなたは」
ナナツメ(・・・・古株か)
自身を知っていると言う事でナナツメは相手がマギウスの翼で古株なのだと思い当たった。
黒羽根●「ねむ様の入れ知恵ですか? そうじゃなきゃ・・・。あなた喋りませんよね?」
ナナツメ「・・・・・・・」
黒羽根●の挑発にもナナツメは全く動じない。
黒羽根●「あなた傭兵何でしょう?だったらマギウスを見限ってこちらに来ませんか?どうせマギウスの計画は私達の物になる」
ナナツメ「・・・・・・!」
その言葉を聞いた瞬間にナナツメは隠し持っていたキューブを取り出すと中身を解放した。キューブの中から数匹の使い魔が出て来る。
黒羽根●「!!」
ウインドピア「切るよ」
黒羽根●とウインドピアが使い魔を相手にしている隙を付いてナナツメはその場を離れた。
黒羽根●「逃げられたか」
ウインドピア「追う?」
黒羽根●「いや。潮時だろう。撤退の準備を。私はあすみんに連絡する」
ウインドピア「分かった」
黒羽根●はローブのペンダントを通して黒羽根▲にテレパシーを送った。
黒羽根●テレパシー(あすみん!聞こえる?あすみん!)
黒羽根▲テレパシー(今取り込み中!)
黒羽根●テレパシー(撤退するから合流して)
黒羽根▲テレパシー(!! 分かった。何とかする)
そう答えて黒羽根▲からのテレパシーは切れた。
黒羽根●とウインドピアの前から逃亡して工場内を走るナナツメ。
ナナツメ(これで攪乱は十分だろう。後は・・・。彩月を探すか)
ナナツメは事前にフェントホープの部屋でねむに言われた事を思い出した。
ねむ回想「攪乱工作が終わったらなるべく彩月を連れ戻して欲しいんだ。撤退の合図はあるけど彩月が撤退できるか分からないからね」
ナナツメ回想「・・・・・・・。撤退の合図までに彩月が見つからなかった場合は?」
ねむ回想「その時は・・・。仕方ないね。脱出を優先して構わないよ。君まで失う訳には行かない」
ナナツメ回想「分かりました」
回想を終えたナナツメは周辺を確認すると窓があった。
ナナツメ(窓か。ちょうど良い)
ナナツメは窓を割るとそのまま外へ出た。
そこは廃工場内部の道路だった。
ナナツメ「・・・・・!!」
カマキリ使い魔「グアアアア!」
ナナツメ(またか・・・・)
そこへカマキリ使い魔が現れてナナツメに襲い掛かって来た。
臆する事無く倒したナナツメだったが次から次へとカマキリ使い魔が現れた。
ナナツメ(数が多い・・・)
周囲に現れたカマキリ使い魔を見ながら動揺する事無く鎖鎌を構え直していた。