マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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今回の作戦に参加しているメンバー


マギウス 柊ねむ



白羽根 神楽燦=神楽教官
白羽根 観鳥令=観鳥さん
黒羽根 遊狩ミユリ
黒羽根 牧野郁美
黒羽根 保澄雫


黄羽根 ナナツメ
黄羽根 越馬一夜
黄羽根 菖蒲彩月






7・6章 後は小生の仕事だ 下

□ 宿北 潜伏場所6 観覧車草原の出来事より約1時間50分前

 

 

 

ねむ達7人の魔法少女は保澄雫の魔法を用いてビルの屋上を次々とテレポートしながら神楽教官と観鳥さんによる固有魔法武器による砲撃。

万一、近付いた相手には遊狩ミユリと牧野郁美が応戦。

そして護衛役の黄羽根である一夜はねむの護衛として最後の壁役となっている。

 

ねむ(攻撃は順調・・・。後はナナツメと彩月が戻れば一番だけど・・・)

 

マミテレパシー(柊さん。聞こえるかしら?)

 

 その時、ねむの持つマギウスペンダントを通して離れた場所にいる巴マミからテレパシーが送られてきた。

 

ねむテレパシー(聞こえているよ。マミ。連絡が来たと言う事は・・・)

 

マミテレパシー(ええ。こちらの準備は後少しで完了するわ。だから手筈通りに)

 

ねむテレパシー(分かった。撤退の合図を出すよ)

 

マミテレパシー(頼むわ)

 

 マミからのテレパシーを終えたねむは少しだけ目を閉じた。

 

一夜「ねむ様?」

 

 ねむが急に目を閉じた事に一夜は少し驚いていた。

 

ねむ「・・・・。教官。合図を撃ち上げて」

 

神楽教官「分かりました。保澄。移動を一度止めてあなたは休みなさい。観鳥!合図を」

 

観鳥さん「了解。それじゃ」

 

 そう言いながら観鳥さんはバズーカ砲に魔力を込めた。

 そして魔力を込めたバズーカ砲を前方へと投げると同時にもう一丁のバズーカ砲を魔力で作り出すと、前方へ投げた魔力の籠ったバズーカ砲にバズーカ砲を撃った。

 魔力の籠ったバズーカ砲は火柱を作り出してウワサ空間の夜空を灯していた。

 

観鳥さん「うん。いい具合だね」

 

神楽教官「観鳥!迎撃をしなさい!」

 

観鳥さん「おっと。分かりました」

 

 神楽教官と観鳥さんがカマキリ使い魔の迎撃をしているのを見てねむは眼前に灯された火柱を見ていた。

 既に火柱は少しずつ細くなっていったがこのウワサ空間では十分に目立っていた。

 

ねむ(ナナツメ。彩月。合図は出した。直ぐに戻ってくれないと・・・。僕は・・・。君達を死なす判断をしなきゃいけない・・・)

 

 

 

 正念場を迎えたねむの想いと裏腹にナナツメと彩月は合図に気が付いていた。

 

ナナツメ(!! 合図か。彩月は・・・。近くに魔力反応が無い。ねむ様達のいる方向に使い魔が向かっている・・・。ここからは彩月は見捨てて、ねむ様の護衛をする)

 

 自身のするべき事によって頭を切り替えたナナツメは瞬時にねむのいる方向へ向かって駆け出した。

 途中で現れるカマキリ使い魔を出来るだけ相手にせずにねむ達のいる方向にジグザグに走って向かった。

 

 

 

 一方の彩月も合図に気が付いていたがサンシャインとの戦いから手を放す事が出来なかった。

 

彩月(合図が来たかあ。これまでやなあ。けど怒らせすぎたし逃がしてはくれへんやろなあ・・・)

 

 彩月の目の前にいるサンシャインの目には苛立ちが募っていた。

 

サンシャイン「本当にアンタは面倒な相手!」

 

 そう言ってサンシャインが両手に握ったブーメランに炎を纏わせて炎だけを彩月に向かって撃って来た。

 

彩月「チッ!!」

 

 駆け出す彩月は炎を回避するがそこへサンシャインはブーメランを投げ付けて来た。

 

彩月(これは避けれんなあ・・・)

 

 投げ付けられたブーメランを薙刀で弾いたが、その少し後からもう一つのブーメランが彩月に迫って来た。

 

彩月「!!」

 

 彩月は薙刀の柄で防御しようとしたがブーメランの刃は薙刀の柄を容易く砕いていた。

 しかし咄嗟にローブに内蔵された鎖鎌を発動させると、何とかブーメランに鎖鎌の柄を当てる事で防御には成功していた。

 しかしぶつかった際の衝撃で吹き飛ばされた彩月は壁に激突していた。

 ついでに鎖鎌の柄は折れていた。

 

彩月「痛いなあ・・・。どうやら怒らせ過ぎたかなあ?」

 

 起き上がった彩月が様子を見るとサンシャインは火柱の方向を見ていた。

 

サンシャイン「あの火柱・・・。嫌に目立つ。何が目的?」

 

彩月(流石に分かりやすいで。あんさん)

 

 彩月がもう戦えないと判断したサンシャインは彩月の事を放置して火柱の方へ跳躍しようとしていた。

 

彩月(・・・・。今や!)

 

 サンシャインが跳躍しようとした瞬間にサンシャインの右足に彩月の放った鎖鎌が絡み付いていた。

 

サンシャイン「なっ!?」

 

彩月「生憎やけど行かせへんで。ウチは嫌がらせが得意やさかい」

 

サンシャイン「本当に面倒な奴」

 

 サンシャインが両手にブーメランを握り締めたのと対照的に彩月は両手で右手から伸びる鎖鎌を抑えていたが全身が傷だらけだった。

 

彩月(ねむ様・・・。悪いけど合流無理そうやな)

 

こまちソウルジェム(ちょっと! アンタまさか死ぬ気じゃないでしょうね?)

 

彩月(そんな訳無いやろ。まだ手はあるで。嫌がらせのなあ~)

 

こまちソウルジェム(・・・・。聞いたあたしが馬鹿だったわ。せいぜい頑張る事ね)

 

 言いたい事だけ言ってこまちのソウルジェムは沈黙した。

 

彩月「さあ・・・。次のラウンド・・・。始めよか」

 

 笑顔の彩月がサンシャインを睨んで言葉をぶつける。

 

 

 

 黒羽根▲は白羽根2との戦いは続いていた。

 しかし黒羽根▲にもうこれ以上、戦う気が無くなっていた。

 

黒羽根▲「本当にしつこい。それなら・・・」

 

 黒羽根▲はポケットからホイッスルを出すとホイッスルをその場で吹いた。

 

ピイイイイイイイ!

 

白羽根2「ガアアアアアアアアアア!」

 

 それを意に介さずに襲い掛かる白羽根2。

 その時、カマキリ使い魔が部屋へ入って来て黒羽根▲を庇う姿勢を見せた。

 

黒羽根▲「アイツの相手は任せた」

 

カマキリ使い魔「ガア!」

 

 一応、カマキリ使い魔は全てウインドピアの命令によって黒羽根▲の命令も聞く様にはなっていたのでカマキリ使い魔は白羽根2に襲い掛かった。

 

白羽根2「ガアアアアアアアアアア!」

 

カマキリ使い魔「!!」

 

 白羽根2はカマキリ使い魔と壮絶な切り合いを展開しているのを尻目に黒羽根▲はその場から逃走する事に成功していた。

 

黒羽根▲(こんなサヨナラは不本意だけど仕方ないか・・・)

 

 そう思いながら黒羽根▲は黒羽根●との合流を目指した。

 

 

 

□ 宿北 潜伏場所6 観覧車草原の出来事より約1時間40分前

 

 

 

ねむ達のいる潜伏場所6へ次々と押し寄せるカマキリ使い魔。

神楽教官と観鳥さんがガトリングとバズーカ砲で吹き飛ばし、接近した物をミユリと郁美が迎撃に徹する。

魔力を溜める保澄雫とタイミングを見計らうねむ。

その脇には最後の壁として一夜が待機していた。

 

ねむ「うん?」

 

 その時、ねむにとってなじみ深い魔力反応が近づいて来た。

 カマキリ使い魔の一匹の背を踏み抜いて一気にビルの屋上に姿を現したのは、黄色いローブを着たナナツメだった。

 

ナナツメ「ねむ様。ナナツメ。この場に戻りました」

 

ねむ「ナナツメ。ご苦労様・・・。彩月は?」

 

ナナツメ「道中では姿を見かけませんでした」

 

ねむ「そう・・・。君は神楽教官の指揮下に入って防衛に当たって。教官。指揮は任せるよ。僕は保澄君と例の準備に取り掛かるから」

 

 ねむの言葉に保澄雫は小さく頷いた。

 

神楽教官「ハッ! ミユリと七部はこの場所に近付く使い魔を迎撃して! 観鳥は砲撃! 牧野は下がってねむ様の護衛に付きなさい!」

 

観鳥さん「了解!観鳥さんの砲撃だ!」

 

ミユリ「・・・!!」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

郁美「はぁ・・・。少し限界だったかも・・・」

 

一夜「ねむ様!彩月さんは!」

 

ねむ「事前に伝えた通りだよ。合図までに戻れないなら・・・。仕方ない事だね」

 

一夜「でも!彩月さんは」

 

ねむ「彩月はそれを承知の上で切り込み役を選んだんだ。時間までに戻れなければどうなるか分かっているのにね」

 

一夜「ねむ様!」

 

 いつも以上に感情をあらわにする一夜を見てねむは少しだけ珍しい物を見た気になっていたが、今の状況をこれ以上、混乱させる訳には行かなかった。

 

ねむ「悪いけど一夜。もう結論は出ているよ」

 

一夜「!!」

 

 ねむは武器である本の中にある魔法を少しだけ一夜に向かって発動する様に操作した。

 その瞬間に一夜は変身が解けてまるで電池が切れた様にその場に倒れ込んだ。

 

郁美「えっ!?一夜ちゃん!?」

 

 思わず郁美は倒れ込んだ一夜を助け起こした。

 

ねむ「一夜には少し眠って貰ったよ。問答してもこの問題は解決しないからね。悪いけど君は一夜の事を頼むよ」

 

郁美「分かりました・・・」

 

郁美(合図までに戻れなければどうなるか・・・。くみも分かってはいるけど・・・)

 

ねむ(・・・。余りやりたくなかったけど、一夜のソウルジェムと朱奈の身体の繋がりを一時的にストップした。少し取り乱したかな。僕も焦っているんだね)

 

 ねむは自分のスマホを見た。

 観鳥さんの作り出した火柱が消えて3分は経過した。

 残る時間は後2分。

 

ねむ「保澄君。準備はどうだい?」

 

保澄雫「いつでも行けます」

 

ねむ「うん・・・。2分経ったら僕の合図で空間を移動して」

 

保澄雫「分かりました」

 

 

 

ねむはスマホの時計を見ながら武器である本のあるページを開いて準備をしていた。

 時が経過するまでの間に皆が必死に戦う。

 観鳥さんのバズーカ砲。

 合間を縫って撃たれる神楽教官のガトリング砲。

 接近する使い魔を迎撃するミユリのインラインスケートの刃とナナツメの鎖鎌。

 魔力を溜める保澄雫。

 ねむの傍で一夜の事を抱えている郁美。

 そしてその時は来た。

 

 

 

ねむ(よし・・・。ここだ!)

 

 ねむは時間が来た事を確認するとウワサ結界を操作してウワサ結界の上部だけを外に向かって開いた。。

 今、ドーム状に展開されたウワサ結界は天井だけが開いている状態となっている。

 

ねむテレパシー(マミ!今だ!)

 

マミテレパシー(分かったわ!)

 

 その瞬間、ウワサ結界と通常空間を結ぶ入り口となったウワサ結界の上部から光り輝く人影がゆっくりと降りて来るのが見えて来た。

 それは離れた場所で戦う彩月とサンシャインにも見えていた。

 

彩月「おんや。時間かあ」

 

サンシャイン「あれは・・・」

 

 赤黒く周囲に文字が飛び交いひび割れたウワサ空間の中で王冠と光輪を背負い純白の衣装を身に纏った光輝を身に纏ったその姿を見た者の瞳に焼き付けていた。

 

ねむ「来たね。神浜聖女。後は任せたよ。保澄君。移動を」

 

保澄雫「!! ハイ!」

 

 ねむの合図で保澄雫は空間結合魔法を発動させた。

 今はウワサ空間の上部に穴が開いている状態なので外へ空間結語で移動する事が可能だった。

 ねむ達8人は廃工場から少し離れた場所にある丘の上にある公園に移動していた。

 

ねむ「上手くいって良かったよ。後はマミ次第だね」

 

 ねむは武器である本を操作してウワサ空間を瞬時に閉じた。

 これであのウワサ空間で何が起きても外に被害が及ぶ事は無かった。

 

神楽教官「全員無事ね。菖蒲以外は・・・」

 

ミユリ「・・・・・」

 

保澄雫「・・・・・」

 

郁美「彩月ちゃん。無事だといいけど・・・」

 

観鳥さん「まだ戦いは終わっていないよ。牧野チャン」

 

 そう言って観鳥さんはバズーカ砲を廃工場の方に構えていた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 ナナツメも武器を持ったまま臨戦態勢を崩す事は無かった。

 

一夜「・・・・・・・・」

 

 郁美に抱えられた一夜の瞳から涙が流れていた。

 

ねむ(彩月・・・。あの合図までに合流出来なければこうなる事は君は分かっていたよね。僕にはこうするしかなかったと言えば満足かい?)

 

 

 

 回想シーン

 前夜におけるフェントホープでのねむの私室。

 そこで今回の作戦の打ち合わせが行われていた。

 

ねむ「以上が今回の作戦だよ」

 

彩月「つまり合図までに戻れんと一緒にドカンと言う訳かあ。おもろいなあ」

 

ねむ「それでも君は囮役をやるのかい?」

 

彩月「かまへん。一番、暴れられるやないか」

 

一夜「彩月さん・・・。でも、もし戻る事が出来なかったら・・・」

 

彩月「その時はちゃーんとウチごと爆破したれ。それが魔女と戦う魔法少女の使命やろ」

 

ねむ「そうだね・・・。でもそうはなって欲しくないかな。君がいないと退屈しそうだし」

 

彩月「誉め言葉を思うとくで」

 

 そう言いながら笑う彩月。

 

 

 

ねむ(僕にはこれから起こる事の中で君が無事に帰還する事は無いと言う予感があるよ)

 

 ねむもまた廃工場の方へ目を向けていた。

 

 

 

 その頃、廃工場のあるウワサ結界内部。

 上空に現れた聖なる光で輝く神浜聖女マミ。

 

マミ「魔法少女の希望であるマギウスと人々を守る為に・・・。これが私に出来る最善の行動よ」

 

 マミの身体から流れ出る様に無数のマスケット銃が次々と現れてウワサ結界の上空を満たして行く。そのマスケット銃の先端には光弾が既に充電されていた。

 その光弾が何を狙っているのかは既に明白だった。

 

 

 

マミ「このウワサ結界でなら手加減をする必要が無いわね。ティロ・フィナーレ ホーリーナイト!」

 

 

 

 マミの号令と同時に上空から一気に無数の光弾が廃工場とその周辺目掛けて落下して来る。魔力による絨毯爆撃。ウワサ結界内部にある廃工場周囲が爆発に包まれて行く。

 それを見ながらマミはグリーフシードでソウルジェムを浄化して次の動きをしていた。

 

 

 

マミ「これで楽にしてあげるわ。ティロ・フィナーレ リベレーション!」

 

 

 

 再度の呟きと同時にマミの全身から新たなマスケット銃が形成され上空に展開されて行く。展開を終えた瞬間に無数のマスケット銃の銃撃がウワサ結界の地面に向かって撃ちだされて行く。

 

 

 

マミ「私達の崇高な目的の邪魔はさせないわ。ティロ・フィナーレ サルヴェッツァ!」

 

 

 

 マミの号令と同時にマスケット銃は回転して陣形を取りながら弾丸を連射しながら落下して行く。ウワサ結界の地面は次々と陥没して無数の破片が散らばって行く。

 廃工場の建物は倒壊して瓦礫の山となり周囲の建物も銃撃によって次々と倒壊した。

 最早、この場所に生きている存在がいるとは誰にも思えなかった。

 それはこの攻撃を行い地面に降り立ったマミも例外ではなかった。

 

マミ(この状態じゃとても生きている人がいると思えない・・・。でも魔法少女ならありえないと言い切れない・・・)

 

 そう思いながらマミは瓦礫の中を歩いて行く。

 唯一感じた魔力反応が何なのか確かめる為だ。

 

マミ(微弱だけど魔力反応を感じる・・・。一体誰なのかしら?まさか誰か逃げ遅れたのかしら?)

 

 するとマミの知りたいと思う答えは目の前に存在した。

 

マミ「あなただったのね・・・」

 

 マミの眼前には傷付き倒れている白羽根2の姿があった。

 

白羽根2「・・・・・・・」

 

 息も絶え絶えだが白羽根2はまだ生きていた。

 全身は傷だらけで生きているのが不思議な位だったが。

 

マミ(私の攻撃で生き延びるなんて・・・。一夜さんに理由を告げずに改良させたローブを着せておいて良かったわ。環さん達と違ってあなたには救われる権利があるんだから・・・)

 

 マミは複数持っていたグリーフシードの一つを使い白羽根2のソウルジェムを浄化した。

 

マミ「悪いけど、あなたの事はまだ他の人に見られる訳にはいかないわ。これも魔法少女救済の為に必要な事なのだから」

 

 言いながらマミはアリナから借りたキューブを使って白羽根2を収納した。

 

マミ(これで柊さんに頼まれた事は終わったわ。後は・・・)

 

 胸元に付けられたマギウスのペンダント触れるとマミはテレパシーを送った。

 このマギウスのペンダントを通してならばウワサ結界内にいても外にいる同じペンダントを持つ魔法少女と連絡は可能だった。

 

マミテレパシー(柊さん!聞こえる?)

 

ねむテレパシー(マミ!聞こえるよ。中の様子はどうだい?)

 

マミテレパシー(魔女の反応は無いわ。魔法少女を一人発見したわ)

 

ねむテレパシー(もしかして彩月かい?)

 

マミテレパシー(いいえ。例の白羽根よ。もしかして彩月さんはこの中に残っていたの?)

 

ねむテレパシー(うん。時間までに彩月は戻れなかったんだ。でも事前にこうなる危険性はさんざん言って聞かせたんだけどね)

 

マミテレパシー(今の所、このウワサ結界の中に他の魔力反応は無いわ。でもかなり広いから私一人で探すのは時間が掛かると思うわ)

 

ねむテレパシー(だろうね。今、ウワサ結界を解除する。僕らも合流するから)

 

 ねむの返事と同時にウワサ結界が解除されていく。

 その場所は元の廃工場へと戻って行った。

 

マミ(彩月さん。戻れなかったのね。でも仕方ないわ。だって救われる為には・・・。私には撃つしかなかったんだから)

 

 

 

□ 宿北 瓦礫の山となった廃工場内部 観覧車草原の出来事より約1時間分前

 

 

 

瓦礫の中にいるマミの元へ向かうねむ達8人。

 

ねむ「マミ!」

 

マミ「柊さん・・・・」

 

 神浜聖女としての姿のままでマミは少し茫然としていた様子だった。

 

ねむ「彩月の事は・・・。気にしないでとは言わないよ。でも彩月のやった事を無駄にはしないで欲しい」

 

マミ「そうね。そうよね。ここで投げ出したら彩月さんのやった事が無駄になってしまうわ。うん。もう大丈夫よ」

 

 マミはねむの言葉を聞いて落ち着いた様子を見せていた。

 

ねむ「みんな・・・。とりあえず全員変身を解いておこう。直ぐに警察やらなんやらが来ると思うからね」

 

全員「はい」

 

 ねむの言葉を聞いて直ぐに変身を解いて制服姿となっていた。

 既に変身が解けて気絶している一夜とナナツメは私服姿に。

 

ねむ「教官。ここからの指揮を頼むよ。僕は少し疲れてしまったから」

 

神楽教官「分かりました。七部と巴さんはねむ様の護衛に。牧野は越馬を連れてねむ様の傍にいなさい。私とミユリ、観鳥と保澄で菖蒲の探索をするわよ」

 

ミユリ「分かりました。です!です!」

 

観鳥さん「この状況で彩月さん。無事だと良いけど」

 

保澄雫「そうですね・・・」

 

郁美「一夜ちゃん。大丈夫かな?」

 

ねむ「教官。僕は彼女達を連れて一番近い4番の場所で休んでいるから」

 

神楽教官「分かりました。警察が来るだろうから30分だけ探索をしたらねむ様の元へ集合する事。各自解散!」

 

 神楽教官達4人は彩月の探索の為に散って行った。

 

ねむ「じゃあ僕達も行こうか」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

マミ「ええ。行きましょう」

 

郁美「はい」

 

 ねむを先頭に護衛役であるナナツメ、マミ、一夜を背負った郁美で5人は瓦礫の中を歩いて行く。

 通る道の中でうめき声が聞こえた。

 ねむ達の視界には怪我を負った人の姿が写っていた。

 それも一人や二人ではなく数十人の姿があった。

 

ねむ「あれは・・・。魔力が僅かに残留しているのを感じるね」

 

 ねむは通り道にいた一人の女性を観察しながら言った。

 

ナナツメ「あの魔力は恐らく襲って来た使い魔だったのではないかと」

 

ねむ「傷付いているけど生きてはいるから随分と頑丈だったんだね」

 

 その時、ねむは武器である本を出して何かを調べた様子だった。

 

マミ「ええ。後はこれから来る警官に任せましょう」

 

 5人は瓦礫に気付いて調査に来た警官たちに見つからない様に移動して4番の場所=ビルの屋上に身を隠していた。

 既に警察や消防、救急車が出動する騒ぎとなっていた。

 多くの人々が廃工場だった瓦礫の中を検分している。

 そして30分が過ぎて4番の場所に神楽教官達4人が戻って来た。

 

神楽教官「すみません。菖蒲の姿は何処を探しても見つかりませんでした」

 

ミユリ「はい・・・。何処にも菖蒲はいなかったです」

 

観鳥さん「観鳥さんにも見つけられなかったね」

 

保澄雫「はい。私の方も見つけられませんでした」

 

ねむ「・・・。分かった。探索はここまでにしよう。もしかしたら既に警察が見つけているのかも知れないしね」

 

 言いながらねむは少し困惑した様子で自身の武器である本を見ていた。

 

ねむ「うっ!?」

 

 その時、急にうめき声を上げてねむはその場に膝を付いた。

 

ナナツメ「ねむ様!」

 

マミ「柊さん!?」

 

 驚きながらナナツメとマミがねむの顔を覗き込む。

 ねむは胸に手を付きながらも武器である本を見て表情を強張らせていた。

 

ねむ「信じれれない・・・。キレーションランドのウワサが攻撃を受けてる。それにウワサと融合している魔法少女も不安定な状態になってる」

 

神楽教官「観覧車草原での作戦に何かトラブルがあったのですか!?」

 

ねむ「うん。そうみたいだね。保澄君。今から僕とナナツメを観覧車草原に連れて行ってくれるかい?ただ観覧車草原から少し離れた場所が良い。たぶん戦闘中だろうから」

 

保澄雫「大丈夫です」

 

マミ「柊さん。私達も行った方が良いんじゃないかしら?」

 

ねむ「いや。僕とナナツメで行くよ。みんなはここでの戦闘で消耗しているからこれ以上の無理はしない方が良いよ。保澄君は僕とナナツメを送ったらみんなをフェントホープへ送ってくれないかな?」

 

保澄雫「分かりました。いつでも行けます」

 

ねむ「じゃあ行こう。ナナツメ。それと牧野君だったね。一夜の事を頼むよ」

 

郁美「分かりました」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

保澄雫「では・・・。行きます!」

 

 空間結合魔法でねむとナナツメ、保澄雫の姿はその場から消えた。

 

観鳥さん「行っちゃいましたか。それにしてもさっきのねむ様は少し変じゃなかったですか?」

 

神楽教官「何が変だと言うの?」

 

観鳥さん「観鳥さん達の報告を聞きながら固有武器の本を見ていましたけど・・・。本を見ながら困惑した表情をしていましたね」

 

神楽教官「それがどうかしたの?」

 

観鳥さん「ひょっとしてなんですけど・・・。ねむ様は彩月さんが生きていると感じているんじゃないんですか?彩月さんはねむ様の魔法で半魔法少女になっている訳なんだし」

 

神楽教官「成程・・・。生きていると感じ取れたのに見つからないから困惑したと言う訳ね。でも・・・。困惑するのも分かるわ。事実として菖蒲は見つかって無いんだから」

 

観鳥さん「何処にいるんですかね」

 

マミ「柊さんに見つけられない以上、私達に出来る事は無いわ。今は身体を休みましょう。キレーションランドでトラブルが起きたなら明日から大変よ」

 

神楽教官「その通りね。今は休みましょう」

 

ミユリ「そうです。休むべきです。燦様は働きすぎなんです」

 

郁美「一夜ちゃん・・・。今は目を覚まさないで欲しいな・・・」

 

観鳥さん「出来るなら彩月さんを見つけてあげたかったけどね・・・」

 

 気を失った一夜を背負った郁美に慰める様に観鳥さんはそう語った。

 

 

 

□ 神浜市内 大東区 観覧車草原近辺 20分前

 

 

 

観覧車草原近辺に空間結合魔法で到着したねむとナナツメ、保澄雫。

 

ねむ「これは・・・。戦闘が起こっているね」

 

ナナツメ「はい。恐らくは報告にあった七海やちよではないかと」

 

保澄雫(やちよさん・・・。と言う事はあの場にはいろはちゃん達もいるの?)

 

 少しだけ苦悶の表情を現した保澄雫だったが直ぐに表情を作り直した。

 

ねむ「保澄君。僕をあの観覧車の骨組みの上に送れるかい?」

 

保澄雫「・・・・。この距離なら大丈夫です」

 

ねむ「じゃあ僕とナナツメを送ってくれないかな?君はその後、宿北に戻って残ったメンバーをホテルフェントホープに送ってくれるかい?」

 

保澄雫「分かりました。では・・・」

 

 保澄雫が手を翳すとそこに空間結合魔法の入り口が出来ていた。

 ねむとナナツメは躊躇う事無く入り口を通って行くとそこは観覧車草原にある観覧車の骨組みの上だった。

 観覧車草原ではマギウスの翼と東の実力者、和泉十七夜等が戦闘をしていた。

 そしてキレーションランドのウワサ結界の中でも戦闘は続いている。

 

ねむ「どうやら七海やちよはウワサ結界の中にいるみたいだね。ナナツメ。君は観覧車の土台の影に伏兵として隠れて貰えるかい?」

 

ナナツメ「分かりました」

 

 そう言ってナナツメは観覧車の骨組みから飛び降りると音も無く降り立って観覧車の土台の影に姿を隠した。幸い近くで魔法少女同士の戦闘が行われている影響で誰もナナツメの行動に気が付かなかった。

 

ねむ「さて・・・。どうなるかな?ここでキレーションランドのウワサが持ち直せばまだ成功の兆しはあるんだけど・・・」

 

 事態の趨勢を見守るねむの眼前で事態はねむの思い通りに動かなかった。

 キレーションランドのウワサは倒されてしまった。

 その為、マギウスの翼と魔法少女の戦闘は一時的に中断していた。

 

ねむ「世の中思う通りには行かないものだね」

 

ウワサさん「・・・・・・・・」

 

 ふと脇を見るとウワサさんが具現化していた。

 どうやら無意識にウワサさんを具現化していた様だった。

 

ねむ「灯花の様子は・・・。どうやら大分怒っているみたいだね。本当なら今回の作戦で計画は完成していたんだけどね」

 

 眼下でマギウスである里見灯花はキレーションランドのウワサを倒してしまった七海やちよ達に不機嫌に言葉を応酬している様子だった。

 

ねむ(ああ。あれが環いろはか。僕の事を探している魔法少女と聞いていたけど・・・。何処かで会ったかな?僕の記憶には存在しないね)

 

 ねむは灯花とみふゆから環いろはが自分の事を探していると聞いており、更に観鳥さんが提出した要注意魔法少女のリストで顔は見知っていた。

 

ねむ「さて。灯花が爆発する前にウワサさん。少しだけ注意を引いて貰えるかな」

 

 ねむの言葉を聞いてウワサさんがキレーションランドのウワサの口上文を読み上げた。

 

ねむ(まさかと思ったけどキレーションランドのウワサが倒されるなんてね・・・。宿北でのトラブルが解消されたばかりなのに本当に厄介な事だよ・・・。どうやら僕も彼女達に宣戦布告する必要があるみたいだね)

 

 灯花が自身に気が付いたと同時にねむはその姿をその場にいる全員の前に晒していたが油断なく隠れているナナツメにテレパシーを送っていた。

 

ねむテレパシー(ナナツメ。もし彼女達が僕に危害を加えようとしたら・・・)

 

 観覧車の土台の影には黄色いローブを身に纏ったナナツメが潜んでいた。

 

ナナツメテレパシー(護衛として心得ています)

 

ねむ(だからこそ僕は彼女達に宣戦布告する事が出来る。この為に犠牲となった者の為にも・・・)

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 会議室

 

 

 

観覧車草原での宣戦布告を終えた後、ねむとその場にいたマギウスの翼メンバーはホテルフェントホープへ帰還していた。

キレーションランドのウワサを用いた神浜市での作戦と宿北での人型の魔女討伐戦に関する意見交換でもあった。

 到着後、会議室にはねむと灯花、ナナツメだけがいた。

 他のメンバーは疲労が溜まっていたので今日の所は帰らせる事にした。

 

灯花「それにしてもねむが来るなんて思わなかったよー。てっきり宿北で疲れて来れないと思っていたから」

 

ねむ「うん。思ったより速く済んだから少し休む事が出来たからね」

 

灯花「こっちでの事は説明しなくても分かるよねー」

 

ねむ「うん。失敗だったね」

 

灯花「本当だよー。環いろは達の邪魔が無ければ上手く行ったのににゃー」

 

ねむ「まあ失敗した事を言い続けても仕方ないよ。それより宿北での事だけど・・・」

 

 ねむは宿北での戦いの事を淡々と事実だけを説明した。

 

灯花「じゃあ彩月は死んじゃったの?」

 

 説明を全て聞いて灯花の口から出た言葉はそれだった。

 

ねむ「まだ死んだと決まった訳じゃないよ」

 

 ねむはそう言いながら固有武器である本を出した。

 

ねむ「灯花。ナナツメ。これはまだ誰にも話していない事だから他言無用をして欲しいんだけど・・・」

 

灯花「良いけど何?」

 

ナナツメ「問題ありません」

 

ねむ「彩月は死んでいないよ」

 

灯花「どうして分かるの?」

 

ねむ「僕は一夜や彩月に施した魔法の関係で二人が近くにいれば直ぐに分かる事が出来る事は知っているね?」

 

灯花「うん。それは知ってるよー」

 

ねむ「だからもし彩月が死んだのなら僕が彩月に施した魔法が解除される筈だから必ず探知出来る筈なんだよ。それに僕の本にも彩月に施した魔法は残っていると確認が取れているからね。だから彩月は死んでいないよ」

 

灯花「じゃあ彩月は一体何処に行ったのー?」

 

ねむ「これは僕の推測だけど・・・。彩月の存在は感じ取れないけど、魔法は解除されていない。と言う事は僕でも感知出来ない場所に彩月はいるんじゃないかな?」

 

灯花「ねむでも感知出来ないって・・・。まさか!?」

 

ねむ「うん。魔女の結界だよ。もしかしたらと言うよりも宿北の敵はまだ生きているのかも知れない」

 

灯花「ウワサ空間でマミの攻撃を受けて逃げる事が出来たのー?」

 

ねむ「実際の所、相手の姿はナナツメしか確認していないし攻撃寸前まで相手がいるとも限らないしね。何らかの魔法で逃げたのかも知れないし」

 

灯花「確かにアリナと同じ様な魔法の持ち主なら可能性があるかにゃー。それは計算外だったにゃー」

 

ねむ「でもこれで次の彼らの行動は予想が着くよ。僕が彼らなら・・・。次は彩月を洗脳して刺客にするね。あの白羽根みたいに」

 

灯花「それ本当かも知れないにゃ」

 

 言われて灯花は自信を襲って来た白羽根の事を思い出していた。

 

ねむ「だから待とう。彩月が帰って来るのを。その時はナナツメ。君の出番だよ」

 

ナナツメ「例え彩月が相手でも小生ならば迷わずに始末いたします」

 

ねむ「出来るならそうなって欲しくは無いけどね」

 

 

 

□ ??? 場所不明

 

 

 

ウインドピア「無事で良かった」

 

サンシャイン「あてしはもうピアの事を一人にしないよ」

 

黒羽根▲「それでこれからたし等はどうするの?」

 

黒羽根●「大丈夫だよ。あすみん。フェントホープの仲間から連絡は届いている。マギウスが次に何をしているのかは直ぐに分かる。それにこちらは切り札を手に入れた」

 

黒羽根▲「あれが役に立つの?たしには分かんない」

 

サンシャイン「あれは本当に面倒よ」

 

黒羽根●「切り札を切るタイミングを誤らなければ問題無い」

 

 

 

 彼女達の視線の先には両手を鎖に繋がれて膝立ちにされて首を垂れて傷だらけの姿を晒して意識の無い彩月がいた。

 

 

 

彩月「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 彩月の口元はそれでも笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 




あとがき



 この話で宿北での戦いは終了となります。
 マミさんは実はメインストーリー第1部7章時点だと同行不明となっていたのでこのタイミングで無ければ出せないと判断してここで登場させる事にしました。
 それを言ったら神楽教官や観鳥さんもこの時点で何をしているか同行不明ですしね。
 黒羽根▲の正体は作中の文章で既に分かる人には分かる様になっています。
 黒羽根●と言った伏字の黒羽根が伏字な理由は数字を明らかにするとネタバレになるからの苦肉の策です。



 囚われた彩月の運命は?
 一夜とナナツメのどうするのか?
 封印されたままの筒地綾女はどうするのか?
 宿北での戦いを経て、続くのは神浜決戦。
 次回からは新章、神浜決戦編となります。
 タイトル通りにメインストーリー第1部8章から10章を舞台とする最終決戦編となります。

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