マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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序文


今回の話は以前に執筆した最初の作品である偽書魔法少女アヤメ☆マギカにおける

第22話 どうやら長い夜になりそうね 及び
第23話 私はあなた達を称賛するわ

のネタバレ要素を含む後日談となる話となっています。



外伝7 重なる少女の経緯

□ 宿北 廃工場内部の一室

 

 

 

廃工場の内部にあるソファーで横になっている私服姿のサンシャイン。

目の前のソファーには見滝原中学の制服を着ている雲土ぴあが寝息を立てている。

 

サンシャイン「ぴあ・・・。あてしは今度こそあなたを守りたい・・・」

 

 呟きながら身体を起こしたサンシャインの視界に部屋に入って来る黒羽根●の姿が写る。

 黒羽根●はこの廃工場全体を見張る為に定期的に見回りをしていた。

 

黒羽根●「目が覚めた様だな?」

 

サンシャイン「そうね。マギウスはまだ攻めて来ないの?」

 

黒羽根●「内部にいる仲間はまだだと言っている。サンシャイン」

 

サンシャイン「・・・。今は敵がいないから本名で良いわ」

 

黒羽根●「そうか。では協力者日向楓(ひなたかえで)。今はまだ休んでいて構わない。いずれ戦いになる。魔力は温存して置いた方が良い」

 

サンシャイン=日向楓「分かってるわ。だからもう少し休む事にするわ」

 

 言いながら日向楓は横になりながら自分が宿北でぴあと再会するまでの事を思い出していた。

 

 

 

 あの日まで・・・。あてしと雲土ぴあはヒイラギ町を守る為に戦う二人の魔法少女コンビだった。

 まだ魔法少女の真実を知らなかったあてしはお互いにコードネームを付けてなるべく正体が露見しない様に人々を助け魔女との戦いを行っていた。

 あてし、日向楓がサンシャイン。

 雲土ぴあがウインドピアと。

 出会って間もなかったけどあてし達のチームワークは抜群だった。

 けれど・・・。あの日、あてしとぴあはヒイラギ町とあすなろ市の境に出現した魔女を追ってあすなろ市に立ち入ってしまった。

 そこでプレイアデス聖団を名乗る6人のチームと諍いの末にぴあが捕まってしまう。

 あてしも捕まる筈だったが、突然現れた魔法少女、筒地綾女の介入によってあてしだけは捕まることはなかった。。

 筒地綾女と手を組んで雲土ぴあを助ける為に行動を共にしてプレイアデス聖団の関係者を誘拐して人質交換によってあてしはぴあを助けようとした。

 正直に言って人質交換なんて卑怯な手段を使いたくは無かったが、一刻も早くぴあを救いたいあてしは筒地綾女の提案に乗ってしまった。

 人質交換は順調に進んでいた。

 けどあてしがぴあの負った傷を治す為に筒地綾女から受け取った魔法の種をぴあに握り締めさせた事が全てを終わらせた。

 

 

 

 

 

 あてしの目の前で、ぴあは魔法の種を握り締めさせたと同時に全ての魔力を放出させて魔女化してしまった。

 

 

 

 

 

 今、思い出してみれば(後で聞かされた事もあるが)、あてしは筒地綾女に騙されていたのだと思い知らされた。

 人魚の魔女となったぴあをプレイアデス聖団が討伐するのを朧気に覚えているけど、直後にあてしは意識を失ってしまった。

 

 

 

□ ????

 

 

 

少女「神浜市に来て。魔法少女の運命は神浜市で変わるから・・・・・」

 

日向楓「えっ?」

 

 突然、聞こえた少女の言葉に日向楓は困惑していた。

 と言うより少女の言葉を聞いて初めて意識を取り戻した様な感じだった。

 

日向楓(ここは何処?それにこの少女は一体?)

 

少女「神浜市に来て。魔法少女の運命は神浜市で変わるから・・・・・」

 

日向楓「だからそれは一体?」

 

 

 

□ あすなろ市 アンジェリカベアーズ 数ヵ月前

 

 

 

日向楓「・・・・・。ここは・・・」

 

 日向楓が目を覚ますとそこは見知らぬ場所だった。

 自身が病衣の様な服を着てベッドに寝かされている事を確認して周囲を見渡すと同じ様にベッドに寝かされた少女達自分を含めて8人いた。

 

??「気が付いたみたいね」

 

 そこへ一人の少女の声が響いた。

 

日向楓「お前は!」

 

 眼鏡を掛けて修道女の様な頭巾を被った少女の姿に日向楓は驚きを隠せなかった。

 意識を失う前に戦っていたプレイアデス聖団の一人だったからだ。

 

日向楓「あてしに何をした!」

 

 そう言って魔法を発動しようとした日向楓は魔法が発動出来ない事に気が付いた。

 

プレイアデス聖団U「落ち着いて。今、あなたは魔法を発動出来ないわ」

 

 そう言うプレイアデス聖団Uが持つトレイの上には数個のソウルジェムが乗せられていた。

 その中には日向楓のソウルジェムもある。

 

プレイアデス聖団U「全員が目覚めたら説明するわ。あなたを含めて全員に起きてしまった事を」

 

 そう言ってプレイアデス聖団Uはその部屋から出て行った。

 

日向楓(魔法を使えない以上、どうする事も・・・)

 

 暫くすると他の魔法少女達も目を覚まして来た。

 魔法少女の中には知り合いがいて情報交換をしている子もいるようだった。

 しかし日向楓には特に知り合いがいない為に静観していると声をかけられた。

 

??「ねえ・・・。あなたは」

 

日向楓「え?」

 

??「日向楓さんでしょう。前に一緒に戦ったわ。今はどういう状況なの?」

 

日向楓(そう言えば確か前に一緒に戦った事がる・・・。確かあすなろ市の魔法少女チームファンイーズの茜すみれ・・・)

 

日向楓「あてしにも分からない・・・。けどさっきここに来た魔法少女は全員が目覚めたら説明するって言っていた」

 

??=茜すみれ「そう。でも待たなくても私達には魔法があるんじゃ?」

 

日向楓「ソウルジェムは取り上げられてる。あなたもでしょう?」

 

茜すみれ「! 気付かなかった・・・。じゃあやっぱり待つしか無いのね」

 

日向楓「そうね・・・」

 

茜すみれ「あなたもプレイアデス聖団にやられたの?」

 

日向楓「そうよ」

 

茜すみれ「やっぱり・・・」

 

日向楓「さっきこの部屋の様子を見にプレイアデス聖団の一人が来た」

 

茜すみれ「プレイアデス聖団!」

 

日向楓「全員が目覚めたら何が起きたのか説明すると言ってた」

 

茜すみれ「目覚めたら・・・。一体何を説明するって言うの・・・。あすなろ市の魔法少女狩りをしていた連中が・・・」

 

日向楓(あのウワサはやっぱり本当だったんだ・・・)

 

 日向楓はリンドウ町で戦っている際に他の魔法少女からプレイアデス聖団が魔法少女狩りをしてファンイーズも魔法少女狩りによって壊滅したと聞いていた。

 

茜すみれ「私の仲間は・・・。ここにいないって事はどうしたのかしら」

 

 それから暫くするとベッドで寝かされていた他の魔法少女達も目を覚まし始めた。

 やがてベッドに寝ていた8人全員が目覚めた時に再びプレイアデス聖団Uが部屋に入って来た。

 

プレイアデス聖団U「全員目が覚めたのね。なら話を始めるわ」

 

茜すみれ「ちょっと待って!私の仲間達は何処にいるの!?」

 

プレイアデス聖団U「ここにいない理由も含めて説明するわ」

 

茜すみれ「でも!」

 

日向楓「待って。今は説明を聞いた方が良いわ。彼女の仲間の事も含めて説明するんでしょう?」

 

プレイアデス聖団U「ええ。私はその為にここに来たわ。プレイアデス聖団の御崎海香よ」

 

日向楓「じゃあ話を進めて」

 

 

 

 それから御崎海香によって、このあすなろ市で起こった悲劇が語られた。

 一人の魔法少女の死によって判明したソウルジェムがいずれ魔女になると言う事実。

 それに抗う為にプレイアデス聖団はあすなろ市において魔法少女を次々と封印していたと言う誰しもが知り得なかった真実を語った。

 けれどその計画もヒュアデスを名乗る魔法少女の反逆によって頓挫し封印されていた多くの魔法少女達はヒュアデスの魔法によって強制的に魔女化してしまった。

 プレイアデス聖団も仲間の犠牲もありヒュアデスを倒した。

 しかしヒュアデスも封印されていた全ての魔法少女を魔女化出来た訳では無く数人の生き残りがいた。

 

(中にはヒュアデスの魔女化魔法に巻き込まれながらもソウルジェムの内部に溜まっていた穢れだけが合成魔女にエネルギーとして取り込まれて奇跡的にソウルジェムが無事だった茜すみれの様な子もいた)

 

 

 

御崎海香「以上がこの街で起きた出来事の顛末よ。生き残った魔法少女はここにいる全員。他の子達は全員亡くなったわ」

 

 全員が海香の言葉に何の反応も示さない。

 

日向楓(そりゃそうだよ・・・。魔女化なんて事実に耐えられる子がそれ程多い訳が無い・・・。あてしだってぴあが魔女化したのを目撃しなければ・・・)

 

御崎海香「批判は甘んじて受けるわ。仕返しをしたいならそれでも構わない。けどこれだけは伝えさせて。死んだ子達は病気で亡くなった事にしているわ。そしてあなた達は大病を患って入院していたと私の魔法で記憶を操作してあるわ。だから安心して家族の元へ帰れるわ」

 

 誰も何の意志も示さない。

 

日向楓「それなら一つ教えて欲しい。あてしの仲間のぴあが魔女化したあの時・・・。あの筒地綾女と言う魔法少女もあんた等の仲間なのか?」

 

御崎海香「あなたはヒイラギ町の・・・。いいえ。あの筒地綾女と言う魔法少女は私達の仲間では無いわ。たぶんだけど・・・。私達があすなろ市で行っていた活動を調べる為にあなた達二人を利用したんだと思うわ」

 

日向楓「そうだとは思ったよ・・・」

 

茜すみれ「それでこれから私達にどうしろって言うの?魔法少女がいずれ魔女になる。そんな事実を知ってこれから私達にどうしろと?」

 

御崎海香「それは」

 

 言い淀む御崎海香。

 

??「とりあえず・・・。家に帰った方が良いんじゃないかな?」

 

 そこへ新たな声と共に二人の少女が部屋に入って来た。

 服装から直ぐに魔法少女だと言うのが分かる。

 

御崎海香「カオル!それにかずみまで・・・」

 

 入って来たのは牧カオルと昴かずみだった。

 

??=牧カオル「それでもみんなに家族はいるんだろ?本当に会いたくのかい?」

 

茜すみれ「いつか魔女化するかも知れないのに?」

 

昴かずみ「あなた達は魔女じゃ無い。人間だよ!」

 

牧カオル「それにあたし達はまだ諦めていない」

 

御崎海香「ええ。私達はまだ魔法少女を人間に戻す事は諦めていないわ。もう他の魔法少女を封印するなんて乱暴なやり方を取るつもりはないわ。出来るかどうかは分からない。けどそれを諦め無い事が私達の罪滅ぼしだと思うわ」

 

牧カオル「虫が良すぎるかも知れないけど、それがあたし達の出した結論なんだ」

 

昴かずみ「そうだよ。私は・・・。この街が大好きな人や、もういない人達の為にもこの力が続く限り私は戦い続けるよ」

 

 プレイアデス聖団の3人が醸し出す覚悟は本物の覚悟だった。

 本気でそれを目指している事をその場にいた日向楓や茜すみれを含めた8人の魔法少女に感じさせるのに十分な物だった。

 全員の沈黙が続く中で茜すみれが重い口を開いた。

 

茜すみれ「もういいですよ・・・」

 

昴かずみ「えっ?」

 

茜すみれ「あなた達の言いたい事は分かりました。もうここから解放してくれるんですよね?」

 

御崎海香「ええ。準備は済んでいるわ」

 

茜すみれ「それならとりあえず帰らせて貰います。みんなもそれでいいでしょう?」

 

 茜すみれの言葉に日向楓を含めた全員が力無く頷いていた。

 プレイアデス聖団からソウルジェムを返却されて囚われていた魔法少女達はそれぞれの家族の元へ帰って行った。

 解放された魔法少女達は塞ぎ込み魔女との戦いに意欲すら見せられない状況だったが、皮肉にも・・・。その頃からあすなろ市での魔女が減少傾向になりプレイアデス聖団だけでもあすなろ市を守る事は可能だった。

 けれど中にはプレイアデス聖団へ復讐戦を挑む魔法少女もいたが・・・。

3名となったプレイアデス聖団も並みの魔法少女を超える実力を示す上に御崎海香と牧カオルの二名は状況に応じて強化変身出来る様になり返り討ちにあったとの事だった。

更に昴かずみはこのあすなろ市における最強の魔法少女と言えた。

 それから数日後・・・。

 

 

 

□ あすなろ市 ヒイラギ町との境目にある公園

 

 

 

私服姿の日向楓は公園のベンチ座っている。

知り合いでもある茜すみれから呼び出された為だ。

 

日向楓(・・・。一体何の話をするつもりなんだ?茜さんは・・・)

 

 そこへ茜すみれが私服姿で現れた。

 

茜すみれ「ごめんなさい。待たせたわね」

 

日向楓「あてしはさっき来たばかりだから大丈夫です。それで・・・。話って何ですか?」

 

茜すみれ「単刀直入に言うわ。あなた・・・。夢を見ていない?少女に神浜市に来て。魔法少女の運命は神浜市で変わるからって言う」

 

日向楓「! ・・・。何処でそれを?」

 

日向楓(誰にも話して無い筈なのに・・・・)

 

 確かに日向楓は夢を見ていた。

 目覚める直前に少女の夢を。

 

茜すみれ「神浜市に関する夢をプレイアデスに封印された魔法少女全員が見ているのよ。運命を変えたいなら神浜市に来てって」

 

日向楓「確かにあてしもそんな夢を見た。最近も・・・。そんな夢を見た」

 

茜すみれ「私達と同じように封印されていた魔法少女や他の魔法少女にもこの夢を見て神浜に向かった魔法少女がいるみたいなのよ」

 

日向楓「もしかして・・・。行くつもり?」

 

茜すみれ「そうよ。ファンリーズの仲間もいないあすなろ市にいても意味はないから。それにあすなろ市と違って神浜市には魔女が多くいるみたいよ」

 

日向楓(あてしの事を誘っているのか?でも尚更・・・)

 

日向楓「あてしは・・・。正直・・・。興味が無い。親友が死んで何もないあてしに変えるべき運命何て何もないんだから・・・」

 

茜すみれ「そう・・・。呼び出しちゃってごめんなさい。私一人でも神浜市に行くわ。何もないからこそ・・・。私はチャンスを逃したくない」

 

日向楓「せめて健闘は祈るよ。あてしにはそれ位しか出来ない」

 

茜すみれ「ありがとう。じゃあさよなら」

 

 そう言って茜すみれは公園を去って行った。

 

日向楓「茜さん。一人で神浜市に行くのか・・・。そりゃそうだよね。あてし達みたいに封印されていた魔法少女は・・・・。もうそんな行動力を起こす気力も無いんだから」

 

 プレイアデス聖団から解放されてから日向楓は魔女や使い魔との戦いを半ば放棄していた。ヒイラギ町でも魔女や使い魔の出現はかなり減っていたので戦わずに済んでいた。

 

 

 

 やがて風の噂で日向楓は茜すみれが行方不明になったと聞く事になった。

 

 

 

□ ヒイラギ町 路地

 

 

 

茜すみれとの別れから数日後・・・。

 

日向楓「・・・・・・・・・」

 

日向楓(あれからずっとあてしは惰性で過ごしている。毎日の何もかもが空虚に感じてしまう・・・・・・・)

 

 その日もただ理由も無く惰性で目的無く街中を彷徨っていた。

 ただ惰性で魔女や使い魔と戦っていた。

 勝っても負けてもどうでも良かった。

 あてしは契約した時の事を良く思い出せなかったけど・・・。魔法少女として戦う事に迷いは無かったけど・・・。孤独だった。

 ぴあはあてしにとって大切な仲間でもあった。

 だからぴあのいないあてしは孤独から生じる虚無に苛まれていた。

 

日向楓(あてし・・・・。何をしているんだ?どうせ・・・。もうあてしには何もないのに・・・)

 

??「楓!」

 

日向楓(えっ!?)

 

 聞き覚えのある声の方向を振り向いた日向楓の瞳に映ったのは・・・。制服姿の雲土ぴあの姿だった。

 

日向楓「ありえない・・・」

 

日向楓(だってぴあはあてしの目の前で・・・)

 

 

 

 日向楓の脳裏に思い出されるプレイアデス聖団と筒地綾女の眼前で雲土ぴあのソウルジェムから人魚の魔女が出現する光景。

 

 

 

??=雲土ぴあ?「楓!」

 

日向楓「!?」

 

 嬉しそうに近付いて来る雲土ぴあを見て日向楓は思わず後ずさって・・・。そのままその場から逃げ出した。

 

雲土ぴあ?「楓!」

 

日向楓「ありえない!ありえない!ありえない!ぴあは魔女化して・・・。死んだ筈。あてしの前で死んだ筈なのに!?」

 

 日向楓はいつの間にか森林公園の中に入り込んでいた。

 無我夢中で公園内部にある屋根付きのベンチがある場所に来ていた。

 ここは余り人の来ない場所でもあった。

 

日向楓「ハアハア・・・。!?」

 

 すると再び日向楓の眼前に雲土ぴあ?が先回りした様に姿を見せた。

 

雲土ぴあ?「どうしてワタシから逃げるの?」

 

日向楓「違う!あなたはぴあじゃない!ぴあである筈がない!だってぴあはあてしの目の前で・・・。!?」

 

 その時、日向楓は自身に迫る魔力を感じ取った。

 不意に視線を真横に移すとそこには自身に向かって来る使い魔が見えた。

 

日向楓(使い魔!?なんで)

 

 咄嗟に変身しようとした日向楓よりも使い魔の動きの方が速かった。

 使い魔の爪が日向楓に振り下ろされる!

 

日向楓(やられる!?)

 

 思わず両手で防御の構えを取ろうとした時、使い魔と日向楓の間に魔法少女に変身した雲土ぴあ?が割り込んで使い魔をその手に握るレイピアで貫き倒した。

 

雲土ぴあ?「大丈夫?楓」

 

 夕焼けの逆光で雲土ぴあ?の顔が日向楓には見えなかった。

 しかし雲土ぴあの身体から流れている魔力に違和感があった。

 

日向楓(違う・・・。似ているけどぴあの魔力じゃない・・・。それにこの純粋な穢れに満ちた魔力は・・・。魔女に近い・・・?)

 

 自身の思い描いた想像に戦慄した日向楓はその場を動く事が出来なかった。

 

雲土ぴあ?「楓!」

 

 変身を解いた雲土ぴあ?は日向楓に抱き付いて来た。

 驚きの余り日向楓は振り払えなかった。

 しかし日向楓が感じ取った身体のぬくもりは偽りの物では無かった。

 

日向楓「!?」

 

雲土ぴあ?「会いたかった。ワタシはずっと楓に会いたかったんだ」

 

日向楓「ぴあなの?」

 

雲土ぴあ?「うん。ワタシは楓の親友で一緒に戦う魔法少女ウインドピアだよ」

 

日向楓「ぴあ・・・。あてしは・・・」

 

雲土ぴあ?「あの時、魔女との戦いに苦戦していたワタシを助けてくれた楓はワタシの命にサンシャイン(太陽の光)を浴びせてくれたんだから!あなたはワタシにとって希望の象徴であるサンシャインなんだから」

 

日向楓(!! ああ・・・。この言葉は・・・。そうだ・・・。あてしをサンシャインと・・・。太陽の光になぞらえてくれたのは・・・。ぴあしかいない・・・。今の話を知っているのだってぴあだけ・・・。じゃあこの子は本物のぴあなの?でも魔女になった筈なのに?でも・・・)

 

 日向楓の瞳に映る魔女に近い魔力を纏う雲土ぴあ?の姿。

 

日向楓(目の前にいるぴあは魔女かも知れない・・・。でもぴあはさっきあてしを使い魔から助けてくれた・・・。魔女になってもぴあはあてしを覚えていてくれた・・・)

 

日向楓「ねえぴあ。あなたは」

 

雲土ぴあ?「うん。楓の言いたい事は分かるよ。ワタシはいつの間にか・・・。魔女になっていたみたいなの」

 

日向楓「!?」

 

雲土ぴあ?「姿は魔法少女だよ。自分でも魔力が変質したのは分かるし。でもね・・・。ワタシはそれでも楓に会いたかったんだ」

 

日向楓「・・・・・・。ありがとう」

 

雲土ぴあ?「えっ?」

 

日向楓「あなたはやっぱり風が運んでくれた大切な仲間だったんだね」

 

雲土ぴあ?「うん。ワタシは楓の仲間だよ!」

 

 満面の笑みを浮かべて答える雲土ぴあ?を日向楓は心の底から受け入れた。

 

日向楓(あてしは・・・。もうぴあを失いたくない。たとえぴあが魔女になったとしても・・・)

 

 既に日向楓は悟っていた。

 

日向楓(ぴあと共に生きて行くと言う事が地獄に落ちる事なのだとしても・・・。あてしは落ちてもいい・・・。もうぴあの傍だけがあてしの居場所だから・・・)

 

日向楓「ぴあ・・・。帰って来てくれてありがとう」

 

 

 

□ 宿北 廃工場

 

 

 

日向楓(それから・・・。あてしとぴあは地元だったヒイラギ町から離れた。ここはぴあが死んだ場所だったから離れたかったと言うのもあったけど、一番の理由は魔女であるぴあをプレイアデス聖団に討伐される訳にはいかない・・・。だからあてし達は少し離れた場所にある宿北の廃工場に潜む様になった。そして・・・)

 

 今、日向楓の目の前では人型の魔女である雲土ぴあが跪いている中年女性から感情エネルギーを吸い取っていた。

 

女性「・・・・・・・・・・・・・・」

 

 女性は茫然とした表情を浮かべている。

 

雲土ぴあ「終わったよ」

 

日向楓「そう。じゃあいつも通りに公園に捨ててこようか」

 

雲土ぴあ「ダメだよ。楓。捨てるんじゃなくて置いておくの」

 

日向楓「そうだったね」

 

 苦笑しながら答える日向楓は女性を担ぎ上げた。

 

雲土ぴあ「だって生きているんだから。ワタシは魔女だけど人を殺そうと思わないから」

 

日向楓「確かにその方が心理的にも楽だしね」

 

雲土ぴあ「生きていればまた感情エネルギーを食べられるかも知れないしね」

 

日向楓「そうだね」

 

日向楓(ぴあにはもう人間は感情エネルギーを運ぶ餌でしかないんだ・・・。あてしもいつの間にかそれに慣れているんだね)

 

 少しだけ苦笑する様子を見せる日向楓。

 二人は廃工場の近くにある公園に向かうとそこで担いできた中年女性をベンチに座らせた。

 

日向楓「これでよしっと」

 

雲土ぴあ「じゃあ帰ろうか。楓。ワタシ、アイスクリームが食べたいな」

 

日向楓「じゃああてしがいつも通り買い出しに」

 

 その時、二人は自分達に向けられた魔法少女の魔力に気が付いた。

 

日向楓「!!」

 

雲土ぴあ「!!」

 

日向楓「ぴあ!」

 

雲土ぴあ「うん!」

 

 二人が変身して臨戦態勢を取ったのを見て魔法少女達が姿を現した。

 3人の魔法少女。

 だが異様なのは、その姿だった。

 黒いローブを纏った二人を率いた白いローブを纏った一人の魔法少女。

 3人共共通で素顔を隠している。

 

白羽根◆「まさか人型の魔女とは・・・。それにここまで人間的な行動を取れる魔女がいるなんて・・・」

 

黒羽根●「あの人へのいい手土産になると思うけど」

 

黒羽根▲「それより・・・。一緒にいるヤツはサヨナラして良いんでしょ?」

 

 黒羽根▲はローブの下から武器であるモーニングスターを取り出していた。

 

黒羽根●「まずはあの魔女を捕獲。邪魔をする様なら魔法少女はサヨナラして構わないよ。あすみん」

 

黒羽根▲=あすみん「じゃあ早速!」

 

 そう言って黒羽根▲はモーニングスターを振り回して日向楓に襲い掛かった。

 

日向楓「くっ!?」

 

雲土ぴあ「楓!」

 

白羽根◆「おっと。相手はこっちだよ」

 

 そう言って白羽根◆が手を翳すと手の平からブロック状の物が形成されるとそれらが集まって拳銃の様な形となった。

 

白羽根◆「そおら!バン!バン!」

 

 言葉と裏腹にブロックで出来た拳銃から出る弾丸は十分な威力を持っていた。

 

黒羽根●「ふざけて無いで真面目にやりましょう」

 

 そう言って黒羽根●は両手にハンドベルを握り鳴らした。

 

雲土ぴあ「!?」

 

 白羽根◆の攻撃を避けていた雲土ぴあは、ハンドベルから鳴り響く今までにない痛みを伴った音色に驚き動きを止めてしまった。

 

黒羽根●「このハンドベルの音は魔女に対してのみ致命傷になる様に調整されている。この音に反応するなら・・・。形は人でも所詮は魔女」

 

雲土ぴあ「うっ・・・。ワタシは・・・」

 

日向楓「ぴあ!」

 

黒羽根▲「よそ見するなら・・・。サヨナラだね!」

 

日向楓「!?」

 

 躓いた日向楓に迫るモーニングスターの鉄球。

 

雲土ぴあ「楓!!」

 

 その瞬間、雲土ぴあの身体が変化した。

 三つの渦巻き模様の目を持ちハート型の襟を肩に生やして魚の尾を伸ばした人魚の魔女とも言うべき姿になりかけていた。

 

雲土ぴあ魔女化「アアアアアアアアア!!」

 

 人魚の魔女と化した雲土ぴあが両手に構えたレイピアを振り回して黒羽根達を遠ざけて躓いていた日向楓の前に庇う様に立ち塞がった。

 

日向楓「ぴあ・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

雲土ぴあ魔女化「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ワタシが・・・・・・・。ワタシが・・・・・・・・。楓を・・・・・・・。守る!!」

 

 そう呟くと同時に雲土ぴあはその姿を魔法少女の姿へと戻してしまった。

 

雲土ぴあ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 だが雲土ぴあは苦しみながらその場に倒れてしまった。

 しかし倒れながら魔女になり、今度は魔法少女の姿へと何度も変化し続けた。

 

白羽根◆「この不安定な魔力・・・・。もしやそう言う事か・・・・」

 

黒羽根●「何か分かったの?」

 

白羽根◆「ああ。非常に興味深い存在だ。それにここまで理性的な魔女なら・・・。出来るかも知れない」

 

 そう言って白羽根◆は魔女と魔法少女の姿、両者に変化し続ける雲土ぴあに近付いた。

 その瞬間に白羽根◆の目が魔力で輝いた。

 

白羽根◆「ふーん。成程。こう言う組み合わせか。じゃあとりあえず・・・」

 

 白羽根◆が手を翳すと雲土ぴあの魔力が変化して魔女になりかけていた雲土ぴあの姿は魔法少女に戻り変化が止まった。

 

黒羽根●(魔力の変化が止まった。安定させたと言う事か)

 

雲土ぴあ「あれ・・・・・・・?ワタシ・・・・・。戻ってる?」

 

日向楓「ぴあ!」

 

 困惑している雲土ぴあの前に庇う様に立つ日向楓。

 その前にはフード越しにも笑みを浮かべている敵対していた白羽根◆がいた。

 

白羽根◆「助け合いか。懐かしいねえ」

 

 そう言いながら白羽根◆は戦う気が無いのを見せる為に両手を高々と上げた。

 それを見て離れた場所にいた黒羽根●は黒羽根▲を制した。

 

黒羽根●テレパシー(あすみん。今は抑えて)

 

黒羽根▲テレパシー(・・・・・・・。分かった)

 

白羽根◆「大丈夫だよ。もう戦う気は無いから。だからこそ彼女を魔法少女としての姿に固定してあげたんだから」

 

日向楓「!? それってどういう」

 

白羽根◆「あのままだと魔女として暴走するじゃないかと思ったから組み直してあげたんだよ。私が」

 

雲土ぴあ「うん。さっきまであった苦しさが消えた・・・」

 

日向楓「ぴあ!大丈夫なの!?」

 

雲土ぴあ「うん。ワタシは大丈夫・・・」

 

白羽根◆「ほら。これで私がもう戦う気が無いって事が分かったでしょ?」

 

日向楓「さっきは襲って来たのに何を言ってんの!?」

 

白羽根◆「まあ気が変わったと言う所だね。だって包み隠さずに言うと利用価値が見いだせたからねえ」

 

日向楓「!!」

 

 白羽根◆の言葉に警戒心を強める日向楓。

 

白羽根◆「まあまあ。魔法少女がチームを組む理由なんて相手に利用価値があるから以外に理由は無いだろう?私は少なくともそれしか無い。後は地元にいる魔女が強力だから徒党を組む位か。それに・・・。今は安定しているけど、そこにいる人型の魔女はまた魔女の状態に戻るかも知れないよ?」

 

 煽る様に語る白羽根◆。

 

日向楓(・・・・・・。確かにあてしには、もしぴあがまた魔女になっても戻す方法が無い・・・・・・。目の前にいるこいつの魔法が必要なのは確かなのかも知れない・・・・・・)

 

白羽根◆「結論は出ているだろう?同じ事を繰り返さない為にも・・・。私と手を組もう。そうすれば君達にも有益なのは確かなのだから」

 

日向楓「分かった。ぴあ。あてしはこの人たちと手を組みたい」

 

雲土ぴあ「どうして?」

 

日向楓「それは・・・」

 

白羽根◆「私なら君が暴走しても元に戻せるからだよ。君だって彼女の事を忘れたくないだろう?だからさっきは戦いの中で動きを止めたんだろう?魔女になったら彼女を忘れてしまうと恐れているからだろう?」

 

雲土ぴあ「うん。そうだよ。ワタシは楓の事を忘れたくなかったから・・・」

 

日向楓「ぴあ・・・・・」

 

白羽根◆「じゃあ決まりだね。私達と手を組もうか」

 

日向楓「せめて素顔は見せて欲しいけど。顔を隠した相手と手を組める訳ないでしょ」

 

白羽根◆「そうだったね。では」

 

黒羽根●「そうね」

 

黒羽根▲「・・・・・・・」

 

 白羽根◆達3人はフードを取って素顔を晒した。

 

白羽根◆「これで良いのかな?」

 

日向楓「分かった。手を組もう」

 

 それが日向楓と3人の羽根が手を組んだ出来事だった。

 

 

□ ???

 

 

 

雲土ぴあ「ワタシは雲土ぴあ」

 

雲土ぴあ「日向楓の友達で同じ魔法少女。だった。今のワタシは人型の魔女と存在している。人間の記憶と姿を持ったまま人型の魔女として。やろうと思えば魔女にもなれるけど魔女になると楓の事を忘れそうで魔女にはなりたくない。でも・・・ワタシは何だろう・・・」

 

雲土ぴあ「どうしてか分からないけど、ワタシは何故かワタシとしての記憶を持ったままに使い魔として生まれていた。このイーブルナッツもどうして作り出せるのか分からないし名前を知っている理由も分からない。初めの頃は余り意識がハッキリしていなかった。でも人を食べて魔力が増幅する内に記憶が蘇ってきた。でも使い魔として魚みたいな姿だったからどうしたら良いのか分からないままにワタシは人を襲い続けた。そしてワタシはあの街へ辿り着いた」

 

 

 

□ あすなろ市 某所 夜の公園 数ヵ月前

 

 

 

公園に一人の少女が外灯に背を持たれている。

その顔はフードで影になって見えない。

そこへ二人の少女が真っすぐに少女の元へやって来る。

一人は金髪にツインテール。

一人は黒い髪にポニーテールだった。

会合する3人の少女。

 

少女「来たね・・・。ご苦労様。ユウリ。ここに来たと言う事は交渉に応じてくれると言う事で良いんだね?双樹さん」

 

双樹「くすくす。その言い方はスキくないけど、話は魅力的だったからね。ヒュアデス」

 

少女=ヒュアデス「交渉に応じてくれるなら私は構わない」

 

双樹「じゃあ早速、物を見せて欲しいなあ」

 

ヒュアデス「分かった」

 

 ヒュアデスがそう答えると同時にヒュアデスの背後から魚の様な使い魔が飛び出して地面に拘束された。

 

ヒュアデス「ユウリ!」

 

ユウリ「ハイ」

 

 そう言ってユウリと言われた少女は懐からグリーフシードに似た別物を取り出すと使い魔に投げ付けた!

 使い魔はその場で硬直して動きを止めていた。

 

双樹「ふーん。使い魔を停止させる効果があるんだ。確かに便利だけどこれだけじゃないよね?」

 

ヒュアデス「打ち込む数を増やせば暴走もさせる事が出来る。しかし暴走したら手に負えなくなる可能性もある。だから別の効果を見せよう」

 

 ヒュアデスがそう言うとそこへ虚ろな目をしたスーツ姿の女性がその場に近付いてきた。

 

ユウリ「!!」

 

 その女性にユウリは再びグリーフシードに似た何かを投げ付けた。

 

女性「・・・・・・・・・・・・・・・!?」

 

 グリーフシードに似た何かは女性の体内に入り込むと女性はその姿をカマキリの様なバケモノに姿を変えさせていた。

 

双樹「確かに話の通りですね。とてもいとをかし。それでこれを受け取って私は何をすれば?」

 

 そう言って双樹と言われた少女は笑顔を見せていた。

 

ヒュアデス「好きに使ってくれて構わない。出来るならこのあすなろ市内で、このイーブルナッツを使って騒ぎを起こして欲しい」

 

双樹「ふーん。まあこの街に綺麗な宝石があるのなら考えないでもないかな?と言っても今は見滝原に凄く綺麗な宝石があるってウワサもありますし・・・」

 

ヒュアデス「別に構わない。また綺麗な宝石の情報が入ったら連絡する」

 

双樹「うん。スキくないなあ。期待してるよ」

 

 そう言って双樹は公園を去って行った。

 

ユウリ「良いんですか?」

 

ヒュアデス「聖団への目くらましにはなるだろう」

 

 ヒュアデスが手を上げるとカマキリのバケモノは女性に姿を戻すと虚ろな目をしたままに公園を出て行った。

 

ユウリ「この使い魔はどうします?」

 

ヒュアデス「放っておこう。それよりも計画を進めよう。そろそろ聖団が動く時だ」

 

ユウリ「ハイ」

 

 二人の少女もそのまま公園を去って行った。

 やがて公園に放置された魚の様な使い魔に異変が生じた事に二人は気が付けなかった。

 イーブルナッツ(悪意の実)に込められた複数の魔法少女の魔力が使い魔を成長させ変異させる材料となってしまった事を誰も気が付く事が無かった。

 拘束魔法が解けた瞬間に使い魔はその場を飛び出しあすなろ市を出ていた。

 

使い魔「ここは・・・・キケン!!」

 

 やがて暫く移動すると・・・・。

 

使い魔「お腹減った・・・。あっ!人間!」

 

一般人「えっ!?」

 

 ガブ!!

 

 そして目に付く人間を食べた瞬間に使い魔の姿は人間の様な姿に変わった。

 自分に異変が生じた事に気付いた使い魔は手の存在に、自分の足の感触に驚いていた。

 水たまりに写る自信の姿を見て・・・。

 

使い魔「あっ・・・。ワタシ・・・。これ、ワタシの姿だ。そうだ・・・。ワタシは雲土ぴあなんだ!」

 

 使い魔は雲土ぴあの姿へといつの間にか変貌していた。

 姿だけでは無く記憶も完全に取り戻いていた。

 だが直ぐに雲土ぴあの姿は揺らぐと元の使い魔の姿に戻っていた。

 

使い魔(元の姿に戻りたい・・・。人を食べれば戻れる!!)

 

 それから数か月間、使い魔は人を捕食し続けた。

 やがて人魚の魔女へと成長すると、魔法少女に狙われた。

 

魔法少女「いた!この魔女を倒して・・・」

 

人魚の魔女「!!」

 

魔法少女「あっ!?」

 

 人魚の魔女の攻撃はたった一撃で魔法少女を戦闘不能にしていた。

 

人魚の魔女(・・・・。食べよう)

 

 人魚の魔女は魔法少女をそのまま捕食した。

 魔法少女を捕食してその魔力が全身に行き渡った瞬間に人魚の魔女の姿は雲土ぴあの姿に変わっていた。

 

雲土ぴあ「ワタシ・・・・。元に戻れた。今度は楓を探さないと・・・・」

 

 魔法少女としての姿に変貌した雲土ぴあは、人型の魔女としてヒイラギ町周辺でずっと活動をしていた。

 既に魔女として十分に成長した雲土ぴあは人間を捕食せずとも精神エネルギーを吸い取るだけで魔力を得る事が可能になっていた。

 人間を殺害せずに精神エネルギーだけを捕食すると言う行動によって事件や事故から魔女を探す事の多い魔法少女からの追跡を最低限の物に抑えて行動する事が可能だった。

 

 

 

 やがて数ヵ月の間にどこかの方向に呼ばれていた気がしたが雲土ぴあは、それを無視してヒイラギ町で日向楓を探し続けた。

 

雲土ぴあ「楓・・・。何処にいるの・・・」

 

 そして彷徨い続ける日々は唐突に終わりを告げた。

 雲土ぴあと日向楓は彷徨い続けた中で邂逅を果たしたのだった。

 

 

 

□ 何時かの過去 某所 全ての発端

 

 

 

???「あら。キュウたん。来たのね」

 

???「ええ。そうよ。この魔法の種(マジカルシード)にはこの間、魔女化させた魔法少女の記憶が入っているわ。えっ?いつ抜き取ったのかって?単純な話よ。あの時、雲土ぴあさんを魔女化させる為に魔力を強制的に放出させる魔法の種の種類は放出。魔力の放出と同時に彼女の記憶を放出させて、この魔法の種にコピーしておいたのよ」

 

???「どうしてそんな事をしたのかって?単純な話よ。人の。魔法少女の記憶はいくらだって価値があるんだから。それにあすなろ市では欲しい物が手に入らかったからその代わりと言っても良いわね」

 

???「その記憶をどうするのかって?ちょっとした実験ね。この羽化寸前のグリーフシードに埋め込んでみようと思うのよ。理論上は人間の記憶を持った魔女が誕生する筈なのよね。まあ少しだけ記憶は消去しておいたけど。私と会った前後の記憶なんて必要無いわ。じゃあやってみましょうか」

 

???「ふん・・・。使い魔ね。うーん。これと言って変化を感じないわね。もしかしたら失敗かしら?まあ良いわ。実験なんて失敗してなんぼなんだから」

 

???「あっ。話してる間に逃げたわね。まあどうせ大した使い魔じゃないから問題無いわよ。じゃあキュウたん。私は行くわ」

 

キュウべえ「気を付けてね。綾女」

 

???=筒地綾女「あなたもね。キュウたん」

 

 

 

 筒地綾女の行った雲土ぴあの記憶をグリーフシードへ注入して魔法少女の記憶を引き継がせた使い魔として羽化させた事。

 ヒュアデスと言う魔法少女が複数の魔法少女の魔力を合成して作り出したイーブルナッツ(悪意の種)。

そのイーブルナッツを投げる際に無意識に他者へ変身出来る自身の魔力を残留させた魔法少女ユウリ。

イーブルナッツを撃ち込まれた使い魔は予期せぬ変異を引き起こした。

 何人かの魔法少女の行った行動は使い魔に魔法少女の記憶を取り戻させて人型の魔女と言うあり得ない存在に進化させてしまった。

 

 

 この事が雲土ぴあが再び現れた全ての発端だった。

 

 

 筒地綾女の引き起こした事件によって生まれた人型の魔女は筒地綾女の封印されている神浜市に関わる事になったのは皮肉と言う名の定めか。

 それともただ自らが招いた出来事と言う事か。

 だが筒地綾女は全てを知らずに今はまだ眠り続けている。

 眠りの中で綾女が見る景色を誰も見る事は出来ない。

 

 

 

■用語説明

 

ファンイーズ

 

 ファンイーズはあすなろ市において結成された魔法少女チームである。

 ルーツとしては神浜市にある蒼海幇と言われる中華系組織のあすなろ支部が母体となっている。

 メンバーは地元にある中華街や商店街の関係者家族の魔法少女で構成されている。

 中には性能の良い武器や衣装を魔法で作れる魔法少女もおり、花の意匠を持つ統一された武器や衣装を身に纏いリーダーの元で12人の魔法少女で戦っていた。

 メンバーは共闘する事はあっても強い仲間意識がある訳でもなくプレイアデス聖団の様にチームワークを重視する事は無く個々の連携は人任せだった。

 

 

 あすなろ市においてプレイアデス聖団とは当初、縄張りが市の反対方面だった為に対立する事無く神浜市の東と西の様にお互いの縄張りを守っているチームとして共存状態にあった。

 この頃にあすなろ市とヒイラギ町の境で日向楓と雲土ぴあと出会っている。

 しかしあすなろ市でプレイアデス聖団が魔法少女狩りを開始すると対立。

 プレイアデス聖団との激戦においてソウルジェムの浄化手段の有無が勝敗を分けてしまう。

ファンイーズは個人の行動を重視していたことが仇となり各個撃破されて行く。

最後に残ったメンバーは数人で抵抗を試みるもチームワークの無さが原因でファンイーズは壊滅した。

 茜すみれだけが生き残り、他のメンバーは皆、ヒュアデスの暁に取り込まれて死亡した。

 なおヒュアデスの暁に取り込まれた魔法少女の影に日向楓と酷似した影があるが、ファンイーズでは衣装を統一する事で魔女の目くらまし効果を期待していた為、本作品では似た衣装を来た別人と思われる。

 

 




 今回の話はこの段階で公開するか迷ったのですが、雲土ぴあが何故いるのかと言う事への回答は必要と考えて公開しました。

 本来であれば今月は神浜決戦編をアップする予定でしたがそれは来月に持ち越します。
 来月の神浜決戦編からはマギアレコードにおけるメイン一部の8章から10章に当たる内容で彩月達がどうなるのかを書いて行きます。
 その合間に神浜の戦いで同行が不明な魔法少女の同行を差し入れるかも知れません。
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