マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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8・5章 まだ君は僕と戦うつもりなのかい?中

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 一夜の私室 午後13時

 

 

 

一夜はベッドの上で布団を被っていた。

その時、ドアをノックする音がしたが一夜は何もしなかった。

 

一夜「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 するとドアを開く音がして誰かが部屋に入って来た。

 

黒羽根9「越馬さん。起きて下さい」

 

 意外な人物の声を聞いて一夜は少し驚いて布団から顔を上げると、そこには黄色いスカーフを付けた黒羽根9の姿があった。

 

一夜「えっ・・・・・。その黒羽根さん?」

 

黒羽根9「はい。黒羽根です。ねむ様からのお言葉を伝えに来ました」

 

一夜「ねむ様の・・・・・・」

 

 一夜の表情が曇る。

 

黒羽根9「ねむ様は越馬さんと私は今日一日、宝崎市にある光塚の公民館に行って神楽教官の元へ向かう様にとの事です」

 

一夜「神楽教官の所・・・・・・」

 

黒羽根9「はい。ですから直ぐに行きましょう」

 

一夜「でも・・・・・・・」

 

黒羽根9「ねむ様の命令です。行きましょう」

 

一夜(ねむ様の命令・・・・・。ここにいるなって事なのかな・・・・・。だったらここにいなくてもいいよね・・・・)

 

一夜「うん。分かった。じゃあ着替えるから」

 

黒羽根9「分かりました。ではドアの前で待っています」

 

 黒羽根9はそう言って部屋を出た。

 

一夜「・・・・。もうここにはいられないのかな・・・・」

 

 一夜はそう言いながら私服に着替えると最低限の荷物を小さなカバンに入れると部屋を出た。

 

黒羽根9「準備が出来たのなら行きましょう」

 

一夜「うん・・・・・・」

 

 一夜と黒羽根9が歩こうとした時、目の前からナナツメが歩いて来た。

 

一夜「あっ・・・・・・」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 一夜は思わずナナツメから視線を逸らしたがナナツメは何も言わずに通り過ぎて自分の部屋に入って行った。

 

黒羽根9「・・・・・。行きましょう」

 

一夜「うん・・・・・・」

 

 黒羽根9と一夜はエントランスからホテルフェントホープを出ると手近な場所にあるウワサ結界の入り口から出ると変身を解いて私服状態になると駅に向かった。

 

黒羽根9「神楽教官には15時までに着くと伝えてあるので近くの駅から電車で行きましょう。この駅からなら一本で行けます」

 

一夜「うん・・・・・・」

 

一夜「あの・・・・・・」

 

黒羽根9「なんでしょう?」

 

一夜「越馬じゃなくて・・・。一夜って呼んで」

 

黒羽根9「・・・・・。分かりました。一夜さん」

 

うな垂れたままの一夜は黒羽根9にそのまま先導されるままに付いて行っていた。

 

??「・・・・・・・・・」

 

 フェントホープのウワサ結界から出て行く二人の事を見ている人物がいる事に二人は気が付かなかった。

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ ナナツメの部屋 午後13時

 

 

 

 一夜と黒羽根9が移動している時、ナナツメは自分の部屋の中にあった荷物を纏めていた。

 

ナナツメ(後は・・・・・・。一夜の荷物か。ねむ様に頼まれた以上はやらせて貰う)

 

 ナナツメはねむに頼まれた通りに一夜の部屋へ向かった。

 

ナナツメ(ねむ様から渡された、このウワサの栞を使えばどんな部屋の鍵も開く)

 

一夜の部屋に入ったナナツメは残っていた荷物を雑に段ボール箱に詰めるとマギウスから支給されたキューブに収めた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 その足でナナツメは灯花とねむのいる会議室に向かった。

 会議室に入るとねむと灯花が何かを話していた。

 

ナナツメ「ねむ様、灯花様。小生と一夜の部屋の撤収は終わりました」

 

ねむ「ご苦労様。それじゃあ打ち合わせ通りにさっき預けた僕らの私物と一緒に電波望遠鏡に置いて来てくれるかな?」

 

ナナツメ「分かりました」

 

灯花「じゃあこれは電波望遠鏡の鍵だから」

 

 灯花から鍵を受け取るナナツメ。

 

ねむ「後は打ち合わせ通りにね」

 

ナナツメ「分かりました」

 

 ナナツメは一礼してその場を出て行った。

 

灯花「ねーねむ。ナナツメに頼んだ事だけど必要なのかにゃー?」

 

ねむ「念には念と言う事だよ。灯花。手は打っておくにこした事は無いよ」

 

灯花「まあそれもそうかにゃー」

 

 会議室を出たナナツメは黄色いローブをなびかせてエントランスからホテルフェントホープを出て行った。

 その姿は多くの羽根に目撃されていた。

 

観鳥さん「珍しいね。ナナツメさんが一人で出て行くなんて」

 

郁美「何かマギウスに頼まれたのかな?」

 

観鳥さん「例の件に影響が無ければ良いんだけどね」

 

郁美「そうだね・・・」

 

 数儒分後にはナナツメは電波望遠鏡に辿り着いていた。

 

ナナツメ(まずは荷物を端の方に置いて・・・・・・)

 

 ナナツメは預かった荷物を電波望遠鏡の部屋の端に置いていた。

 荷物は灯花、ねむ、ナナツメの物が段ボール箱一つ。

 一夜の物が段ボール箱で三つだった。

 

ナナツメ「後は打ち合わせ通りに・・・・・・・」

 

 ナナツメは電波望遠鏡から立ち去った。

 

 

 

□ 宝崎市 光塚近辺 午後14時前後

 

 

 

黒羽根9と一夜は14時過ぎには光塚の駅には到着していた。

 

一夜「・・・・・・・・」

 

 道中、一夜はずっと黙ったままだった。

 

黒羽根9「・・・・。一夜さん。スマホを貸して貰ってよろしいですか?神楽教官に連絡したいので」

 

一夜「うん・・・・・・」

 

 一夜は素直にスマホを差し出した。

 

黒羽根9「神楽教官のメールアドレスは・・・」

 

 一夜は前に神楽教官から指導を受けていた関係でメールアドレスを知っていた。

 

黒羽根9のメール「護衛の黒羽根です。一夜さんと光塚の駅に着きました」

 

神楽教官のメール「分かったわ。まだ授業中だから駅の近くにある公園で待機していて。警察には補導されないように注意して」

 

黒羽根9メール「分かりました」

 

 黒羽根9はメールで周囲をスマホで検索すると近くに公園があるのが分かった。

 

黒羽根9「一夜さん。近くの公園で少し休みましょう」

 

一夜「うん・・・・・・。スマホは持ってていいよ・・・・・・」

 

黒羽根9「わかりました」

 

 黒羽根9は一夜を連れて駅の近くにある誰もいない公園に向かい二人でベンチに座った。

 

黒羽根9「・・・・・・・・」

 

一夜「・・・・・・・・」

 

 数分間、二人は黙っていた。

 

黒羽根9(正直・・・・・。気まずい・・・・・)

 

 ふと黒羽根9が脇に目を移すと自動販売機が目に入った。

 立ち上がった黒羽根9は自動販売機で灯花から受け取ったICカードでペットボトルのお茶を2本買った。

 

黒羽根9「どうぞ」

 

一夜「・・・・。ありがとう」

 

 受け取った一夜だったがお茶を飲もうとはしなかった。

 

黒羽根9「・・・・・」

 

一夜「・・・・・・・・」

 

黒羽根9「あの・・・・」

 

一夜「なに・・・・・・」

 

黒羽根9「どうして他人の事でそんなに悲しめるんですか?」

 

一夜「あなたは・・・。悲しんだりしないの?」

 

黒羽根9「・・・・・。魔法少女でいると、誰かが死ぬなんて当たり前ですから・・・・」

 

一夜「・・・・・・・」

 

黒羽根9「マギウスの翼にいると忘れそうになりますけど、魔女との戦いで誰かが死ぬなんて当たり前の街に私はいましたから」

 

一夜「・・・・・・・・」

 

黒羽根9(少し喋り過ぎたな・・・・)

 

一夜「でもアタシは・・・・・」

 

 その時、周囲を魔力で覆われた事に黒羽根9は気が付いた。

 

黒羽根9「!!」

 

 変身して黒いローブ姿となった黒羽根9。

 

黒羽根9「一夜さん!!」

 

一夜「えっ?」

 

 周囲の異質な空間に黒羽根9も一夜も見覚えがあった。

 

黒羽根9「これは・・・・・・」

 

一夜「アリナ様の・・・・」

 

 そこに広がる空間はアリナ・グレイの使う結界形成魔法によって構成されていた。

 

黒羽根9「一体何が・・・・・」

 

 そこへ近づいて来る人影が現れた。

 

黒羽根9(アリナ様の筈が無い。誰が・・・・・・)

 

 それは馴染みのあるマギウスの黒羽根だった。

 

黒羽根▲「ふうん・・・・・・。あなた大した事無いね。サヨナラしないであげる」

 

 黒羽根▲はローブの裾からモーニングスターを取り出すと同時にフードを脱いだ。

 銀髪ボブカットの黒羽根9や一夜よりも幼い少女の様だった。

 

黒羽根9(なんだ・・・・・。この雰囲気、何かヤバイ・・・・・)

 

 黒羽根▲は一気に駆け出すとモーニングスターを振り回して黒羽根9へ振り下ろした。

 

黒羽根9「!!」

 

 咄嗟に黒羽根9は鎖鎌でモーニングスターの鉄球を弾いた。

 

黒羽根▲「ハッ!」

 

 黒羽根▲が叫ぶと同時に弾いた鉄球が魔力によって軌道が変化して猛スピードで黒羽根9の頭に直撃しようとした。

 咄嗟に黒羽根9は自身の固有武器であるチェーンソーを実体化して鉄球を防御する。

 だがその瞬間には黒羽根▲は既に黒羽根9の懐に迫っていた。

 

黒羽根▲「サヨナラ。じゃなかったよね」

 

 黒羽根▲の手にはアリナのキューブが出現して一気に黒羽根9の身体全体に分裂して攻撃して行った。

 

黒羽根9「うっ!?」

 

 黒羽根9は予想外の攻撃によって気を失ってしまった。

 

一夜「黒羽根さん!」

 

黒羽根▲「死んでは無いから。たしはこんな奴サヨナラする気にもならない」

 

 近づいて来る黒羽根▲に怯える一夜は変身しようとしたが、その前に黒羽根▲に片手で首を掴まれてぶら下げられてしまう。

 

一夜「うっ・・・・・」

 

黒羽根▲「大人しくして。どうせ逃げられないんだから」

 

 そう言いながら黒羽根▲は一夜の事を脇に投げ捨てた。

 

一夜「ゲホゲホ・・・・」

 

 喉を抑えて倒れ込む一夜を余所に黒羽根▲は周辺を封鎖していたアリナのキューブの結界形成を解除した。

 周辺の景色は元の物へ戻って行く。

 

黒羽根▲「じゃ暫く寝てて」

 

一夜「!?」

 

 黒羽根▲がそう言うと同時に一夜に向かってポケットから出した黒い物を押し当てた。

 

一夜「うっ!?」

 

 痙攣した一夜はそのまま気絶してしまった。

 黒羽根▲の手にはスタンガンが握られていた。

 

黒羽根▲「悪いけど、たしには気絶させる魔法は持ち合わせて無いから」

 

黒羽根▲がそう言うと一夜の周辺にキューブの光に包まれて一夜の姿はその場から消えてしまった。

 黒羽根▲はスマホを取り出した。

 

黒羽根▲電話「もしもし。捕まえたよ。分かった。じゃあ後で」

 

 変身を解くと黒羽根▲はその場から立ち去った。

 黒羽根▲が立ち去って暫くすると黒羽根9は意識を取り戻した。

 

黒羽根9(一夜さんは・・・・。いない。奴らに攫われた!?どうする!?)

 

 変身を解いてベンチに座り込んで身体の痛んだ箇所をチェックしていた黒羽根9は一夜からスマホを預かっていた事を思い出した。

 

黒羽根9(まずはねむ様に連絡を・・・・)

 

 黒羽根9はスマホを使いフェントホープにいるねむに連絡を取った。

 ホテルフェントホープにはウワサの調整によって通話や電話を使用できるようにされていた。

 通話音の後に直ぐにねむは電話に出た。

 

ねむ電話「もしもし。もう着いたのかい?」

 

黒羽根9電話「ねむ様・・・。護衛の黒羽根です。一夜さんが攫われました」

 

ねむ電話「一夜が攫われたって!? 一体誰に!?」

 

 電話越しでもねむの声は強張っていた。

 

黒羽根9電話「相手は・・・。私と同じ黒羽根でした。アリナさんのキューブを持っていました・・・」

 

ねむ電話「アリナのキューブを・・・。君は今どうしているんだい?」

 

黒羽根9電話「相手にやられて・・・。今は駅の近くにある公園にいます。相手はもう近くにはいません・・・」

 

ねむ(駅が近いなら電車に乗って移動したのかも知れない・・・)

 

ねむ電話「成程・・・。分かった。君は怪我をしている様だから、そのまま神楽教官と合流して宝崎に待機するんだ。こちらに戻ってはいけないよ。いいね。一夜の事は僕が何とかする」

 

黒羽根9電話「分かりました・・・・」

 

 黒羽根9は電話を切るとベンチの上で力を抜いた。

 魔力を使い全身の傷を治すが直ぐに動く事は出来ない状態だった。

 

黒羽根9(護衛なのに・・・。何も出来ないなんて・・・・・・。なんでこんなに悔しいんだろ・・・・・。所詮マギウスを利用しているだけなのに・・・・・)

 

 自身の感情に戸惑う黒羽根9。

 

黒羽根9(一夜さん・・・・・。せめて無事だと良いけど・・・・・)

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ 地下聖堂に続く廊下 午後14時前後

 

 

 

地下聖堂に続く廊下で電話を受けたねむの表情は曇っていた。

 

ねむ(一夜が誘拐された・・・・・。目的はなんだろう・・・・・)

 

 そう言いながらねむは自身の武器である本を開いた。

 

ねむ(やはり一夜と彩月に施した魔法の反応は消えてない・・・・・。つまり二人はまだ生きている事が確実・・・・・。相手が宿北にいたのだとしたら目的は・・・・・。僕らかな?)

 

 ねむは敵の目的を推測し始めていた。

 

ねむ(今なら確かにマギウスのトップである僕らが確実にフェントホープにいる。狙いはそれかな?一夜や彩月を人質にするなりローブを奪って振りをするだけでも僕らに近付くのは容易だね・・・・・)

 

ねむ「やっぱり例の準備はしておいて良かったね」

 

 そう言いながらねむはスマホを取り出してメールを送信した。

 

ねむメール(ナナツメ。例の準備は続行で)

 

ナナツメメール(分かりました)

 

ねむ「さて・・・・・。これが正念場と言う物かな?」

 

ねむ(一夜。彩月。魔法少女解放が懸かっている以上、もし君達が人質にされても僕は君達を見捨てるよ。それが僕らの責任だからね)

 

 そう考えながらねむは地下聖堂に戻った。

 地下聖堂の入り口には数人の羽根が待機していた。

 その中にいる白羽根を選んでねむは話しかける。

 

ねむ「君。一つ命令を伝達して貰えるかな?」

 

白羽根5「はっ。なんでしょう?」

 

ねむ「作戦中にもし一夜か彩月がフェントホープに戻ったら誰にも手出しさせずに会議室まで通してくれないかな?」

 

白羽根5「!? よろしいのですか?」

 

 宿北での戦いに参加していた白羽根5の反応は組織人として当たり前とも言えてねむは別段、機嫌を害さなかった。

 

ねむ「うん。二人が現れたのなら・・・。僕が相手をするのが当然の帰結だからね」

 

白羽根5「・・・・・。分かりました」

 

ねむ「じゃあ頼んだよ」

 

 そう言ってねむは灯花のいる大聖堂のテーブルに戻って行った。

 

白羽根5=観鳥さん「どうやら何か起こり始めたみたいだね・・・・・・」

 

 これから起こる何かに観鳥さんは意識を引き締めていた。

 

 

 

□ 神浜市内 北養区 里見メディカルセンター周辺の公園 午後16時過ぎ

 

 

 

里見メディカルセンターの周辺にある公園に白羽根7こと茜すみれは一人で朝から準備を終えて待機していた。

 

茜すみれ「そろそろか・・・・・」

 

 私服姿の茜すみれはスマートフォンの時計を見て呟いた。

 そこへ制服姿の少女が二人、少し駆け足で来た。

 

はぐむ「時雨ちゃん。急いで」

 

時雨「待ってはぐむん」

 

 魔力パターンから直ぐに相手が昨日の黒羽根だと感じ取れた茜すみれは近付いた。

 

茜すみれ「よく来たな」

 

はぐむ、時雨「!?」

 

 素顔の茜すみれに突然、話しかのられてはぐむと時雨は驚いていた。

 

茜すみれ「ああそうか。私だ。昨日の白羽根だ」

 

 魔法少女の証である指輪とローブに付属するペンダントを見せて正体を示した。

 

はぐむ「あっ・・・。白羽根の人ですか」

 

時雨「素顔を知らないからびっくりした・・・」

 

茜すみれ「まあ無理もないよ。じゃあ変身してこの中で待とうか」

 

 そう言って茜すみれは少し大きな本の栞を出した。

 

時雨「それって」

 

はぐむ「もしかして前に聞いた事があるウワサの栞ですか?」

 

茜すみれ「うん。これはねむ様から特別に与えられたウワサの栞さ。これを使えば」

 

 ウワサの栞に魔力を流し込むと茜すみれとはぐむ、時雨を包み込むウワサ結界が出来ていた。

 

茜すみれ「一時的に簡易的なウワサ結界が出来る。簡易的な物だから魔法少女の魔力は垂れ流しだけど一般人には見えないと言う利点はある」

 

 語りながら白羽根姿に変身する茜すみれ。

 

はぐむ=黒羽根2「時雨ちゃん。私達も」

 

時雨=黒羽根1「うん」

 

 はぐむに促されて時雨も黒羽根姿に変身した。

 

茜すみれ「おや。噂をすれば来たか」

 

 そこへ黒羽根姿で黒羽根5がウワサ結界に入って来た。

 

黒羽根5「すみません。遅れましか?」

 

茜すみれ「大丈夫。問題無い。放課後としか言ってないからね」

 

 続いて背の高い黒羽根14も入って来た。

 

黒羽根14「やっぱりこの中でしたか」

 

茜すみれ「これで後一人か」

 

 暫くすると黒羽根15も息を切らせて走り込んで来た。

 

黒羽根15「ハアハア。すみません。電車が少し遅れて」

 

茜すみれ「大丈夫。集まるのが重要だからね。これで全員集まったか。少し待っていてくれ。灯花様に確認の電話をする」

 

 茜すみれはそう言ってスマートフォンを取り出し灯花に電話を掛けた。

 

灯花電話「もしもし」

 

茜すみれ電話「灯花様。里見メディカルセンターに白羽根、黒羽根。全員集まりました」

 

灯花電話「分かったにゃー。じゃあ全員にローブに付いてるペンダントを外す様に伝えてー。それと灯花ちゃん特製の電波中和装置は仕掛けてくれたかにゃー?」

 

茜すみれ電話「既に配置済みです。何時でも起動できます」

 

灯花電話「うん。じゃあもう起動しておいて。これで里見メディカルセンターには殆ど魔女が来る事は無いと思うから。これから神浜市内の通信機器は使えなくなるからこれが最後の連絡になるから頼むにゃー」

 

茜すみれ電話「分かりました。こちらは里見メディカルセンターで計画通りに致します」

 

灯花電話「うん。この後の事を考えれば里見メディカルセンターが残っている事が重要だからねー。頼んだからねー」

 

 そう言って灯花は電話を切った。

 

茜すみれ「よし・・・。全員揃ったな。まずはローブに付いているペンダントを外すんだ」

 

時雨「え?どうしてですか?」

 

茜すみれ「マギウスの指示だ。病院周辺に仕掛けた電波中和装置とペンダントが干渉するらしい」

 

はぐむ「電波中和装置ってなんですか?」

 

茜すみれ「この病院の周囲にマギウスが設置する様に指示した装置だ。設置した装置で里見メディカルセンターを囲めば、神浜市に向かって来る魔女はこの病院を避ける筈。だが万が一の事を考えてマギウスは我々をここに配置したと言う事だ」

 

黒羽根14「でも魔女が神浜市に向かっているのはマギウスが制御しているからでは?」

 

茜すみれ「今日は計画の大詰めだからな。マギウスは電波を強力にして魔女を一気に集めると同時にエネルギー化する事で計画を終わらせるつもりだ」

 

黒羽根15「えっ!?じゃあ神浜市に魔女が大量に来るって事ですか?」

 

茜すみれ「ああ。だが既に今までにも神浜市には魔女が集まっていたからな。そう大きな変化がある訳ではない。神浜市にはマギウス以外の魔法少女も応戦するだろうからそんなに被害が出る事はないだろう」

 

黒羽根5(だと良いんですけど・・・。もしもわたしがトラブルを呼び込んだら・・・)

 

時雨「それなら大丈夫かな?」

 

はぐむ「マギウスのお三方がそう言うのなら大丈夫だよ」

 

茜すみれ「それと今回はあくまで魔女の撃退が最優先だ。最悪ローブを脱いで固有魔法や武器を使っても構わない。マギウスからは許可を得ている」

 

茜すみれ(最ももっと酷い事にはなるだろう。なんせマギウスは神浜市内に暴走させた羽根を解き放ってマギウス以外の魔法少女を殲滅する事を念頭に置いた計画を立てているんだから。解放さえされるなら私はこんな街がどうなろうと知った事はない。命令通りに病院の警護はさせて貰うが)

 

茜すみれ「それでは・・・。全員準備は出来ているな?」

 

 白羽根姿の茜すみれがローブのペンダントを外したのを見て黒羽根達もペンダントを外した。

 

時雨、はぐむ、黒羽根全員「はい!」

 

茜すみれ「よし。警戒体制を取れ。我々は持ち場を離れずにここを守れば良い」

 

茜すみれ(命令とは言え手を抜くつもりは無い。時には人を守るのも我々の役回りなんだから・・・・・・)

 

茜すみれ(そう言えば前のチーム、ファンイーズでも同じ事をしていたな・・・・・。私は結局同じ事をしているのか・・・・・)

 

苦笑する白羽根である茜すみれを中心に5人の羽根は里見メディカルセンター周辺で警戒態勢を敷いていた。

 

 

 

□ 神浜市外 某所

 

 

 

黒羽根▲の足元には拘束されて気絶した一夜が倒れていた。

 

一夜「・・・・・・・・」

 

 それを見ながら黒羽根▲はスマートフォンを操作すると電話をした。

 

黒羽根▲電話「もしもし?これでグループ通話になっているよね?」

 

黒羽根●電話「ちゃんとなっているよ。あすみん」

 

白羽根◆電話「それで首尾はどうなの?」

 

黒羽根▲電話「越馬一夜は捕まえといたよ」

 

黒羽根●電話「流石はあすみんだね。やるー」

 

黒羽根▲電話「それ褒めてるの?」

 

黒羽根●電話「もちろん。リーダーとして褒めてるよ」

 

白羽根◆電話「それじゃあナルの方だけど・・・・・。さっきナナツメが外に出て行ったのを確認したよ」

 

黒羽根●電話「それは本当なの?仮にもマギウスの親衛隊が一人で出て行くとは思えないんだけど」

 

白羽根◆電話「ナルも見たし、見張りをしている黒羽根達も見たから確かだね」

 

黒羽根●電話「それは罠だろうけどチャンスであるのは確か。あの人との取引も成立しているしウインドピアとサンシャインも準備が出来ている。それにアイツの準備もね」

 

黒羽根▲電話「アイツって本当にアイツを使うの?」

 

黒羽根●電話「あすみんは不満?」

 

黒羽根▲電話「だってさ、これじゃ結局アイツの口車に乗ってしまっている様なもんじゃ無い?」

 

白羽根◆電話「あすみんの言う通りだけど、きちんとナルが調整しておいたでしょう?今のアイツはナルたちの操り人形なんだから」

 

黒羽根▲電話「ナルの調整は信じてるけどさ・・・・・。正直おかしいよ。アイツ」

 

白羽根◆電話「まっ確かにねー。アイツは本当ならナルが調整したい種類の人間じゃないのは確かだけど・・・・・。あの提案だけは飲んでも良いなって思えたからねー」

 

黒羽根●電話「アイツは操り人形のまま。このまま予定通りにアイツにはフェントホープに向かって貰う。ナルはフェントホープの監視をお願い。私とあすみんは、宿北で魔力パターンをマギウスに知られているから近付けないからね」

 

白羽根◆電話「オッケー。アイツが来たら予定通りに動くよ」

 

黒羽根●電話「ところで黄羽根のナナツメは本当に出て行ったまま帰って来て無いんだね?」

 

白羽根◆電話「うん。出て行った後、監視しているけどフェントホープに戻って来ている形跡は無いかな。ナルは今、私室にいるけど部下の黒羽根達の監視報告は聞けるから戻ったら直ぐに分かるよ」

 

黒羽根●電話「と言っても・・・。ねむ様ならフェントホープに隠し通路や隠し部屋位は仕込んでいる気がする」

 

白羽根◆電話「そうすると見つけるのは厄介だね」

 

黒羽根●電話「でもだからこそアイツが必ず役に立つ。私がねむ様ならアイツが来たら必ずナナツメを差し向ける筈」

 

黒羽根▲電話「ベルの読みなら外れない」

 

白羽根◆電話「じゃあナルは監視に戻るから。マギウスが行動を開始したら知らせるよ」

 

黒羽根▲電話「分かった。じゃあ、たしもベルに合流するから」

 

黒羽根●電話「マギウスの行動が開始次第、アイツをフェントホープへ送り込むから・・・。ナル。後はあなたに任せるわ」

 

白羽根◆電話「大丈夫。ナルに任せといて!」

 

 白羽根◆の返事を最後に通話は終了した。

 

黒羽根▲「じゃあ、ベルの所に行かないとね」

 

 再び一夜をキューブの中に仕舞いこんだ黒羽根▲は先程までいた場所を出た。

 

 

 

□ 宝崎市 光塚近辺 午後16時前後

 

 

 

私服姿の黒羽根9はベンチに座って傷を癒やしていた。

 

黒羽根9「・・・・・・・・」

 

 そこへ公園に駆け込む足音が聞こえる。

 

神楽教官「ミユリ!急ぎなさい。二人を待たせているかも知れないわ」

 

ミユリ「燦様!速いですぅ」

 

 制服姿の神楽教官と遊狩ミユリが公園に駈け込んで来た。

 

神楽教官「おかしいわね。越馬達はこの公園にいると聞いていたんだけど」

 

ミユリ「近くで買い物でもしているんでしょうか?」

 

神楽教官「越馬の状態だと考えにくいわ・・・・・」

 

黒羽根9「あの・・・・・。神楽教官!」

 

 神楽教官とミユリのいる位置から見えづらい場所にあるベンチから黒羽根9はふら付きながら立ち上がり声を掛けた。

 

神楽教官「!? あなた・・・。魔法少女ね。この魔力は・・・・・。越馬の護衛をしている黒羽根ね」

 

ミユリ「私服姿だったから直ぐに分からなかったですぅ!?」

 

神楽教官「越馬はどうしたの?」

 

黒羽根9「実は・・・・・・」

 

 黒羽根9は神楽教官とミユリに一夜が攫われた事を伝えた。

 

神楽教官「越馬が黒羽根に攫われたですって!?」

 

ミユリ「一大事ですぅ!?」

 

黒羽根9「はい・・・・・・」

 

神楽教官「ねむ様には報告はしているのね?」

 

黒羽根9「ねむ様には知らせました。ねむ様は私には宝崎市に待機する様にと」

 

神楽教官「そう・・・・・。ここは駅の近くだから万一相手が電車を使用したら追跡は困難ね・・・・・。まずあなたの手当てをしましょう。ミユリ。公民館へ行くわよ」

 

ミユリ「ハイです!」

 

神楽教官「ところで歩く事は出来る?出来なければ私が背負うけど」

 

黒羽根9「!? 大丈夫です。歩く事は出来ます」

 

神楽教官「そう。じゃあ行きましょう」

 

 黒羽根9は神楽教官とミユリに付いて行き光塚にある公民館で傷の手当てをした。

 

神楽教官「これで大丈夫ね。他に傷はある?」

 

黒羽根9「大丈夫です」

 

ミユリ「燦様!これからミユリ達はどうするんですか?」

 

神楽教官「私達は彼女と一緒にここに待機するわ。越馬の事は心配だけど・・・。追跡手段が無いんじゃどうしようもないわ」

 

黒羽根9「その通りだと思います」

 

神楽教官「それに・・・・・。恐らくだけど。越馬を攫った相手はフェントホープに向かうと思うわ」

 

ミユリ「それはどうしてですか?」

 

神楽教官「黄羽根はねむ様の親衛隊だからよ。他の羽根と違って顔パスでフェントホープに入れるわ。もしマギウスに危害を加えるとするなら・・・。越馬を人質にするつもりかも知れないわ」

 

黒羽根9「それなら知らせないと」

 

 黒羽根9は咄嗟にスマートフォンを出そうとした。

 

神楽教官「待って。ねむ様は自分が何とかすると言ったのよね?」

 

黒羽根9「はい。そう言いました」

 

神楽教官「前に聞いた事があるけど・・・。ねむ様は越馬や菖蒲と言った自分の魔法を仕込んだ子に関しては一定の距離にいれば何処にいるのか魔法で感じ取れると言っていたわ。それにねむ様は越馬が人質にされた事も想定しているわね」

 

黒羽根9「どうしてそう言い切れるんですか?」

 

神楽教官「この間、宿北でマギウスを裏切った羽根と交戦したのよ。越馬を攫ったのはその一味かも知れないわ。だからねむ様は」

 

 その時、魔力反応を3人は感じ取った。

 

神楽教官、ミユリ、黒羽根9「!!」

 

ミユリ「燦様!」

 

神楽教官「こんな時に魔女!」

 

黒羽根9「流石に放置は出来ませんね」

 

神楽教官「そうね。!?」

 

 そこへ新たな魔力の反応を3人は感じ取った。

 

神楽教官「また!? 今度は使い魔ね」

 

ミユリ「燦様!どうしますか?」

 

神楽教官「そうね・・・。魔女は私が相手をするから二人は使い魔を倒し次第、私と合流して」

 

黒羽根9「分かりました」

 

ミユリ「ですです!」

 

神楽教官「じゃあ行くわよ!」

 

 神楽教官の号令と共にミユリと黒羽根9は使い魔の元へ。

 

神楽教官(マギウスの計画が進もうとしている時に魔女が出現するなんて・・・・・。まさかマギウスの計画と関係していると言うの?)

 

 懸念を抱きながらも神楽教官は魔女の元へは神楽教官が向かった。

 

 

 

 その頃、宝崎市内では魔女の動きが活性化していた。

 

魔法少女(一体何が起こっているのですの!?こんなに急激に魔女が現れるなんて!?)

 

 牛の角を模した髪留めを付けた魔法少女は手に持った芭蕉扇を使い次々と使い魔を倒して行く。

 

くろ「てっ!?なんで結界が次々と出て来るのー!?」

 

 魔法少女が周囲を見渡すとそこに白いフードを被って手に弓を付けた魔法少女くろが使い魔と戦っていた。

 

魔法少女「そこのあなた!!手伝って下さる!?魔女が多いんですの!」

 

くろ「えっ!?あっはい!」

 

くろ(この状況じゃ共闘するしかないですよね・・・・・)

 

 魔法少女とくろは使い魔や魔女を相手に共闘する事を選択していた。

 

 

 

 




最後のシーンに登場した宝崎の魔法少女はメイン二部に登場するあのキャラクターで間違いないです。
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