マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

49 / 76
8・5章 まだ君は僕と戦うつもりなのかい?下

□ 神浜市各地において 夕方

 

 

 

里見メディカルセンターに待機していた羽根達。

 

茜すみれ(電波中和装置を使っても、魔女は病院に気が付いた・・・)

 

茜すみれ「やはり来る・・・。全員戦闘準備を」

 

 白羽根姿の茜すみれは固有武器である槍を構えていた。

 マギウスの翼における白羽根クラスならば固有武器の使用は許可されていた。

 

黒羽根5「やっぱりそうなりますよね・・・」

 

黒羽根1「はぐむん」

 

黒羽根2「うん・・・」

 

黒羽根14「病院にいる人たちを守らないと・・・・・・」

 

黒羽根15(・・・・・・。神浜市がこんな状況で環さん達。大丈夫なのかな・・・・・・)

 

茜すみれ「みんな。今回は魔女の撃破が最優先だ。撃破の為ならローブの武器には拘るな。マギウスからは許可を得ている」

 

黒羽根達「・・・・・はい!」

 

茜すみれ「なんとしても病院を守り切るぞ」

 

 

 里見メディカルセンターにおいて魔女との戦いが始まろうとしていた。

 

 

 その頃、神浜市の路地裏を足早に歩いている巴マミの姿があった。

 

巴マミ電話「もしもし里見さん。ええ。環さん達に宣言して来たわ。神浜市にいるマギウス以外の魔法少女の殲滅を。ええ。各地で羽根達が魔女を放つと同時に魔法少女狩りを進めているわ。私も例の場所へ移動するわ。それじゃ」

 

 神浜市内においてマギウスの翼に属さない魔法少女の殲滅及び魔女を街中に放つと同時に神浜市に魔女を誘導していたのは全てマギウスの計画だった。

 今、神浜市内でマギウスの翼に属する魔法少女と属しない魔法少女による戦いが始まっていた。

 

 

 

 栄区の路地において・・・。

 

 

真井あかり「ふう・・・・・。ようやく倒せた」

 

由良蛍「急に魔女が現れるなんて妙だねー」

 

真井あかり「使い魔や魔女が現れるなんていつも突然でしょ?」

 

由良蛍「でもねー。今回は出現するタイミングが余りに速いかなーって」

 

真井あかり「蛍がそんな事言うなんて珍しいわね」

 

由良蛍「何か嫌な予感がするんだよねー」

 

真井あかり「蛍がそう言うと何かが起こりそうな気がするわ・・・」

 

 その時、新たな魔力反応を二人は感じた。

 

由良蛍「!!」

 

真井あかり「!! またなの!?」

 

由良蛍「これは・・・。ぐーたら出来ないかもねえ」

 

 

 

 南凪区の路地裏

 

 

桐野紗枝「ハアハア。ようやく撒けたみたいね」

 

桐野紗枝(さっきの黒いローブを着た連中。またマギウスとか言う組織の勧誘かと思っていたら問答無用で襲って来るなんてどうかしてるんじゃない?入らなくて正解だったけどこれからどうしたら・・・・・。バイト先にも行かなきゃいけないのに)

 

桐野紗枝「一応、遅れるって連絡を・・・・・。えっ?電話が通じない!?」

 

 すると周囲のざわめきを聞いて訝しんだ桐野紗枝は変身を解いて制服姿で路地裏から出た。

 

市民「携帯通じないし停電で道路も混雑してる。一体どうすりゃいいんだ」

 

桐野紗枝(これ・・・・・。何が起きているの?)

 

 その時、桐野紗枝は魔女の魔力を感じ取った。

 

桐野紗枝「!! この方角ってまさか」

 

 魔力が指し示した方角に慌てて駆け出す桐野紗枝。

 その魔力が示す先には由貴真里愛がボランティアをしている学童保育があった。

 

桐野紗枝「結界は・・・。やっぱり!」

 

 変身して結界に飛び込む桐野紗枝。

 結界の内部では既に魔女と戦う由貴真里愛の姿があった。

 

桐野紗枝「真里愛さん!!」

 

由貴真里愛「紗枝ちゃん!助かったわ!」

 

桐野紗枝「普段からひなのさん達とパトロールしてるのにどうして魔女が」

 

由貴真里愛「今の学童には帰宅出来ない子供たちが残っているから守り切らないと」

 

桐野紗枝「そうですね!速攻で片づけましょう!」

 

???「おーと!真里愛選手と紗枝選手が魔女に攻撃!二人の息ピッタリな攻撃が威力を普段の倍にしていく!」

 

 謎の声と同時に放った桐野紗枝と由貴真里愛の攻撃は魔女に大ダメージを与えた。

 

桐野紗枝「この声!?」

 

由貴真里愛「めぐるちゃん!」

 

???=枇々木めぐる「お待たせしました!めぐるも帰る途中だったんでご一緒させて貰います」

 

桐野紗枝「3人がかりなら!」

 

 

 

工匠区の公園

 

 

水樹塁「感じるぞ・・・・・。この世界に闇で包もうとする堕天使たちの気配を。この僕、フォートレス・ザ・ウィザードが滅してくれる!」

 

 水樹塁は変身して目の前に現れた使い魔を自身の武器である大鎌で両断した。

 そのまま近くの高台にある公園に降り立つ水樹塁。

 周囲には幸い人はいない。

 

水樹塁「ふっ。あっけなかったな。いや。僕が強すぎたのか。次は前に戦ったアイツみたいな敵がいいな・・・・・。って。ええ!?」

 

 水樹塁が急に驚きを見せた。

 

水樹塁(何の気無しに下の道路を歩いている人たちを天門眼で見たら全員に死相が出てる・・・。どうなっているの!?こんな事って今まで無かったのに!?)

 

 他者の死相を100%の確率で見る固有魔法の効果を水樹塁は嫌と言う程に知っていた。

 

水樹塁「もしかして・・・・・。今ってとんでもない状況なの!?」

 

 

 

大東区から工匠区に繋がる路地裏

 

 

和泉十七夜「ハア!」

 

 和泉十七夜が気合を入れた振るった馬上鞭が黒羽根の身体を痛めつけた。

 

黒羽根「ぐぅぅ」

 

白羽根「うぅぅう!」

 

伊吹れいら「十七夜さん!」

 

和泉十七夜「自分は大丈夫だ。それより・・・。桑水君は無事か?」

 

桑水せいか「大丈夫です・・・」

 

和泉十七夜「そうか。むっ!」

 

黒羽根「ああああ!」

 

 そこへ黒羽根の一人が和泉十七夜に襲い掛かろうとしたが、そこへ黒羽根の肩を一本の矢が掠める。

 

相野みと「これ以上はやらせないよ!」

 

和泉十七夜「助かったぞ。相野君!」

 

 和泉十七夜は黒羽根が怯んだ隙に更なる一撃を加えた。

 

白羽根「ぐぅぅ・・・・・」

 

 白羽根達は悔しそうな様子を見せていたが、そのまま逃亡した。

 

和泉十七夜(やっと去ったか。それにしても相も変わらずまるでゾンビの様だな)

 

伊吹れいら「十七夜さん。何が起きているんですか?」

 

 伊吹れいらは桑水せいかに治癒魔法である浄化の炎で治癒をしていた。

 

桑水せいか「私達・・・・・。急にあの人たちに襲われて・・・・・」

 

相野みと「前にもあの人たちの組織・・・。え~と。マギウスの翼だっけ?に勧誘された事があったけど良く分からないから断ったんだよねー。本当は良くないんだけど心を読んだ時も解放が云々とか良く分からなかったし・・・・・・。今の人達は問答無用って感じで心を読む暇も無かったら戦わざるを得なかったし・・・・・」

 

和泉十七夜「ああ。奴らは危険だ。神浜の魔法少女、全員の殲滅を狙っている」

 

伊吹れいら、桑水せいか、相野みと「!?」

 

和泉十七夜「3人共。命が惜しければ今は調整屋に避難しろ」

 

伊吹れいら「冗談じゃ無いですよね?」

 

和泉十七夜「自分がこんな冗談を言う人間に見えるか?」

 

桑水せいか「・・・・・・。思いません」

 

相野みと「うん。じゃあ二人共、調整屋に行こう」

 

桑水せいか「待って。それなら私の魔法で」

 

 桑水せいかは持っていた鞄からペットボトルの水をその場にぶちまけた。

 目の前に現れた水たまりに向かって桑水せいかは武器である鞭を垂らす。

 

和泉十七夜「確か桑水君の魔法は・・・」

 

桑水せいか「はい。水から水に移動できます。これなら・・・・・。川伝いに行けそうです」

 

和泉十七夜「分かった。では後で会おう」

 

伊吹れいら「はい!十七夜さんはどうするんですか?」

 

和泉十七夜「自分は工匠区に用がある。その後、調整屋に向かう予定だ」

 

相野みと「じゃあ十七夜さん。後で調整屋で会おうね」

 

和泉十七夜「うむ。後で会おう」

 

 3人の魔法少女がその場を魔法で移動したのを確認すると和泉十七夜は再び工匠区へと足を向けた。

 

和泉十七夜(さて・・・・・。通り道で桑水君たちを助けられたのは僥倖だった。後は・・・。工匠区にいる七海と合流出来れば良いが・・・・・。まさかこの電波障害もマギウスの仕業か?あり得るな・・・)

 

 懸念を抱きながら和泉十七夜は七海やちよがいる筈である工匠区へと向かった。

 

 

 

□ 神浜市内 電波望遠鏡からの帰り道 夕方

 

 

 

電波望遠鏡からホテルフェントホープへ向かいながら灯花は暫く前に掛かって来たマミからの電話の結果を思い出していた。

少し離れてアリナもスマホを見ながら歩いていた。

 

灯花(マミはちゃんと環いろはに宣戦布告をしてくれたみたいだし、わたくし達もフェントホープへ戻らないとにゃー)

 

ねむ「灯花。マミの方は上手く行ったんだろう?」

 

灯花「上手く言ったって言ってたにゃー」

 

ねむ「それなら大丈夫そうだね」

 

灯花「後はみふゆの処分だけだねー」

 

ねむ「そうだね。あの行動は容認できないからね」

 

 灯花とねむは数日前の事を思い出していた。

 あの日、みふゆは新しい黒羽根と言って赤い髪の魔法少女を連れて来て会議室で偶然にも巴マミと出会わせてしまった。

 これは誰も知らなかった事だが赤い髪の魔法少女はマミと何らかの関係がありマミの様子に困惑した感情を見せていた。

 たまたま灯花とねむが通りがかりマミの異変に気付いてみふゆは赤い髪の魔法少女を連れてその部屋を出て行った。

 マミは精神的ショックによってウワサが剥がれかけていたがねむが念脳を強化する事でマミは持ち直していた。

 マミの状態が安定した事を確認したねむは部屋の入り口に待機していたナナツメにテレパシーを送った。

 

ねむテレパシー(ナナツメ。今みふゆが反対の入り口から黒羽根候補を連れて出て行くからみふゆを見張ってくれないかな?)

 

ナナツメテレパシー(承知しました)

 

ねむテレパシー(報告は僕らに直接お願いするよ。この部屋で待っているから)

 

 ナナツメは答えると直ぐに姿を消した。

 それから数十分後にナナツメは部屋に戻って来た。

 部屋には灯花、ねむ、マミが待機していた。

 

ねむ「ナナツメ。この場で問題無いから直ぐに報告を」

 

ナナツメ「はっ。梓みふゆは黒羽根候補と思わる魔法少女に地下のエンブリオ・イブを見せた後、フェントホープから逃亡させました。距離を取っていたので会話は分かりません」

 

灯花「またー!?みふゆがマギウスの翼から時々、組織に馴染めそうにない子を逃がしているのは黙認してたけど」

 

ねむ「でも時期が問題だよ。それに逃がすだけなら地下のエンブリオ・イブを見せる必要は無いよ」

 

灯花「そうだねー。この間のキレーションランドの時も七海やちよと戦ってたけど、わたくしにも手を抜いているのが分かったしねー」

 

ねむ「みふゆには暫く活動を控えて貰おうか」

 

灯花「そうだねー。ソウルジェムを取り上げよっか」

 

マミ「そうね。里見さんと柊さんの言う通りだわ。私は何をすれば良いの?」

 

 既に洗脳が強化されたマミは二人の言う事に追随していた。

 

ナナツメ「それならば小生が今すぐ退治に行きましょうか?」

 

ねむ「ふむ・・・・・。じゃあおびき寄せるのはどうだろう?」

 

 ねむは3人にこれから行う行動を説明した。

 

灯花「うん。それなら上手くいくと思うかにゃー?」

 

マミ「私も良いと思うわ」

 

ナナツメ「小生は主に従うまでです」

 

ねむ「じゃあ準備をしよう。こういう事は速い方が良い」

 

 ねむ達4人は行動を開始した。

 それから数十分後・・・・・。

 

 

 

 ねむと灯花が会議室に待機しているとドアをノックする音がした。

 

みふゆ「灯花。ねむ。みふゆです」

 

ねむ「入って良いよ」

 

 ドアを開いて私服姿のみふゆが入って来た。

 灯花とねむは制服姿のままで椅子に座っている。

 ナナツメは護衛らしく背後で控えていた。

 

みふゆ「灯花。ねむ。緊急の用と言うのは何でしょうか?」

 

ねむ「うん。用と言うのはね」

 

 言いながらねむは右手を上げると同時に会議室の窓が鉄格子で覆われる。

 同時に会議室の入り口がリボンで封鎖されリボンがみふゆに迫った!

 

みふゆ「!!」

 

 だが動じる事無くみふゆは魔法少女に変身すると円月輪でリボンを切り刻んだ。

 

灯花「もー。大人しく捕まって欲しかったのに」

 

ねむ「そうだね。手間も省けた訳だし」

 

みふゆ「これは・・・。どう言う事ですか?」

 

 みふゆは臨戦態勢を崩さずに聞いて来た。

 

灯花「みふゆー。七海やちよと戦った時に手を抜いたでしょー」

 

ねむ「それに・・・。さっき魔法少女をマギウスの翼から逃がしたね?」

 

みふゆ「・・・・・・。バレてましたか。ですがワタシが逃がしたのはあくまで組織に馴染むことが難しいと思った子だけです。やっちゃんとの戦いは確かに手を抜きました。でも・・・。鶴乃さんをあんな目に合わせるのを看過できません」

 

マミ「言い訳は見苦しいわよ。みふゆさん。あなたは救われたく無いの?」

 

みふゆ「巴さん・・・・・・」

 

 柱の影から神浜聖女のマミが姿を見せた。

 

みふゆ「救われたいですよ。でも・・・。やはりワタシは誰かを犠牲に救われる事を認められません!」

 

 みふゆが円月輪を目線に掲げた瞬間にみふゆを中心に白い煙が漂ってみふゆの姿を隠して行く。

 

みふゆ(これで今の内にアサルトパラノイアで窓を破壊して)

 

 みふゆが魔力を溜めようとしたその時、誰かの手が円月輪を抑え込む。

 

みふゆ(!?)

 

 驚くみふゆの眼前に円月輪を握り締めて抑え込むナナツメの姿が写った。

 

みふゆ「なっ!?どうして」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 ナナツメに武器を取られてみふゆは動けなかった。

 

ねむ「どうして幻惑魔法が通じてないんだろうって顔をしているね」

 

灯花「くふっ。万一の事を考えて対策を練らない訳がないにゃー」

 

マミ「ええ。梓さん。残念だけどあなたの幻惑は私達には効かないわ」

 

 みふゆの幻惑魔法が効いていない事は全員が幻惑魔法を使用されているにも関わらずみふゆの顔を見て話しているから確かだった。

 

みふゆ「何をしたんです?」

 

ねむ「これを使ったんだよ」

 

 そう言ってねむは一枚のカードを出した。

 

灯花「みふゆも聞いていたよねー?調整屋さんと合同で作っていたメモリアの事」

 

 灯花も一枚のカードを取り出して見せる。

 

みふゆ「メモリアシステム・・・。完成してたんですね」

 

ねむ「まだ試作品だけどね。提供された君の魔力を使用したから僕達には君の幻惑魔法は通じないんだよ」

 

みふゆ「その様ですね・・・・・」

 

 みふゆの目にはマミもナナツメも幻覚魔法が通じてない事は確かだった。

 

マミ「梓さん。投降して。でないともっと酷い事になるわよ」

 

みふゆ「酷い事?」

 

ねむ「こう言う事だよ」

 

 ねむが武器である本を出現させて操作すると天井に映像が投影された。

 

ねむ「これが何を意味するのか君にも分かるだろう?」

 

 投影された映像に写っているのは何処かの部屋に呼び出された天音姉妹だった。

 

みふゆ「!? 月夜さんに月咲さん!?」

 

ねむ「投降しないなら地下訓練場に呼び出した彼女達がどうなるか分からないよ。僕ならウワサを少し操作すれば彼女達を生き埋めに出来るかな?」

 

みふゆ「!? そんな・・・・・」

 

 逡巡する様子を見せるみふゆ。

 

ナナツメ「小細工をせずに投降しろ。仮にお前が逃げるなら羽根の何人かをこうするまでだ」

 

 そう言ってナナツメはローブの下から取り出した布袋の中身をテーブルの上に投げ出した。

 

みふゆ「それは!?」

 

 鈍い音と共に様々な輝きを持つ無数のソウルジェムが転がっていた。

 

ナナツメ「お前が逃がした羽根の何人かは小生が始末した」

 

みふゆ「なんて事を・・・・・・」

 

 魔力反応からしてこのソウルジェムが本物だと言う事をみふゆに突き付けた。

 

ナナツメ「天音姉妹を見捨てられないだろう?」

 

みふゆ「・・・・・・。分かりました。投降します」

 

 みふゆは魔法少女の変身を解いた。

 

灯花「それじゃあ・・・。みふゆ。ソウルジェムも渡して貰えるかにゃー?」

 

みふゆ「・・・・・・」

 

 みふゆは黙ってソウルジェムをテーブルの上に乗せた。

 

ねむ「マミ。みふゆを部屋に軟禁して」

 

マミ「分かったわ。梓さん。行きましょう」

 

 マミはねむから受け取った鍵を見せながらみふゆの傍に付いた。

 

みふゆ「分かりました・・・・・。一ついいですか?ナナツメさん。最近は随分と饒舌なんですね」

 

ナナツメ「そうだな・・・・・」

 

 みふゆは自分で自室へと向かったが脇にはマミが付いており下手な行動は出来なかった。

 

ねむ「やっぱり天音姉妹を使うのが効果的だったね」

 

灯花「そうだにゃー。後、このソウルジェムも脅しには役立ったかにゃー。あっ。そうだ。みんなー。出て来て良いよ」

 

 灯花が言うと隣の部屋から何人かの黒羽根が入って来た。

 

ねむ「みんな。囮役はご苦労様。だけどこれで君達は僕達に対して自らの命を懸けた忠誠を示したから信頼に値するよ」

 

黒羽根達「・・・・・・。ありがとうございます」

 

 黒羽根達は自分のソウルジェムを受け取り会釈すると部屋を出て行った。

 テーブルの上にはみふゆのソウルジェムだけが残っている。

 

灯花「流石のみふゆも全部の羽根の魔力パターンを覚えている訳が無いから簡単に引っかかってくれたねー」

 

ねむ「そうだね。君の芝居も上手かったよ。ナナツメ」

 

ナナツメ「小生は本当の事を語ったまでです」

 

ねむ「そうだったね」

 

灯花「そうだったにゃー」

 

ナナツメ「反逆者を始末するのも小生の仕事です」

 

 

 

 回想を終えた二人の眼前には万年桜のウワサ結界が広がっている。

 

ねむ「さて。灯花。後はフェントホープで待とうじゃないか。ワルプルギスの夜の到来を」

 

灯花「そうだね。わたくし達の計画はその為にあるんだから」

 

 

 

□ 神浜市外 森林地帯 ホテルフェントホープ近辺

 

 

 

ホテルフェントホープから離れた神浜市外。

そこに黒羽根●とウインドピア、サンシャインともう一人がその場にいた。

黒羽根●はスマートフォンを見ている。

 

黒羽根●(マギウスのお三方がフェントホープに戻ったか。タイミングは今だな)

 

黒羽根●「連絡が来た。よし。お前の出番だ。命令通りに行け」

 

???「・・・・・・・・・」

 

 黄色いローブを着ていたもう一人はホテルフェントホープへ続く道を歩いて行く。

 

サンシャイン「あれで大丈夫なの?」

 

黒羽根●「我々の調整技術を疑うのか?前にも白羽根を洗脳して見せただろう?」

 

サンシャイン「まあ確かにね・・・・・。ところでスマホは電波障害で使えない筈だけど?」

 

黒羽根●「このスマホは特別制でね。魔法で改造しているから電波障害は関係ない」

 

サンシャイン「そうなんだ。便利な魔法ね」

 

黒羽根●「我々はこれから先に起こる事を待てばいい。必ずマギウスは動く」

 

 

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープへの裏道

 

 

 

ホテルフェントホープの裏道を警護している黒羽根達。

 そこへ裏道を歩いて来る黄色いローブを纏った人物が現れた。

 

黒羽根16「あれは? まさか・・・」

 

白羽根5「どうした?」

 

黒羽根16「あれを見て下さい!」

 

白羽根5「あれは・・・・・」

 

 黄色いローブを纏った人物の被っていたフードが風で脱げる。

 

白羽根5「やっぱり。彩月さん・・・・・」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 彩月の目は虚ろな目をして生気が感じられなかった。

 そのまま歩き続ける彩月。

 

黒羽根16「いかがしますか!?」

 

白羽根5「・・・・・・。全員何もするな。彼女を通せ」

 

黒羽根16「よろしいのですか?」

 

白羽根5「マギウスの指示だ」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 周囲の人間に目もくれずに歩き続ける彩月。

 

白羽根5「彩月さん。観鳥だけど・・・。私の事は分かるかい?」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 白羽根5とすれ違った時に質問されるも彩月は何も答えずに進んで行く。

 

白羽根5(彩月さん・・・・・。やっぱり例の白羽根の様に洗脳されているのか・・・・・)

 

ホテルフェントホープに向かって歩いて行く彩月を見ながら複雑な感情を抱く白羽根5。

 

白羽根5(宿北から帰って来たのは良いけど・・・・・。観鳥さんはこんな事は望んでなかったよ)

 

 白羽根5は懐から本の栞の様な物を出して握り締めた。

 この栞はねむから渡された物でねむに対して直通のテレパシーが可能となっている。

 ねむの魔力が込められている為に他の魔法少女にテレパシーを割り込まれる心配もなかった。

 

白羽根5テレパシー(ねむ様。菖蒲彩月がフェントホープに来ました。今は裏口に向かっています)

 

ねむテレパシー(分かった。君は警備を続けて。そろそろ他の魔法少女が来ると思うから。彩月の件は僕が対処するよ)

 

白羽根5テレパシー(分かりました)

 

 白羽根5の視線の中で彩月は一人で虚ろな目をしたままフェントホープに向かって行った。

 そんな彩月の目の前に突如として人影が現れる。

 それはねむがウワサを広める際に出現させるウワサさんだった。

 

ウワサさん(アナタハ聞イタ?アナタハ知リタイ?マギウスのお三方の居場所!)

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

ウワサさん(お三方ニ会いたいナラ、このウワサさんに付いて来て頂戴!?)

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 先導する様子を見せたウワサさんの後に虚ろな目をした彩月は付いて行く。

 ウワサさんは迷う事無く会議室に向かって行く。

 虚ろな目をした彩月は迷う事無く会議室に入った。

 会議室にはねむ、灯花、アリナが魔法少女姿で思い思いに椅子に座っていた。

 

ねむ「お帰り彩月。その様子じゃ・・・。洗脳されているみたいだね」

 

 そう言ってねむはウワサさんの具現化を解除した。

 

灯花「そうだねー。彩月はやっぱり、お喋りな方が面白いのにねー」

 

アリナ「ふーん。まあアリナはそいつがどうなろうとどうでもいいワケ。むしろ敵なんだし魔女の餌にしてもいいヨネ?」

 

 そう言ってアリナは手にキューブを出現させる。

 

ねむ「アリナ。無粋な手は出さないでくれるかな?彩月は僕がどうにかする」

 

 立ち上がるねむの手には武器である本が出現していた。

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 彩月の手には薙刀が握られ直ぐにでもねむに向けられようとしていた。

 

灯花「ねむ!」

 

アリナ「ここでマギウスが欠けたら意味が無いんですケド」

 

 灯花とアリナの手にも傘とキューブが出現している。

 

ねむ「二人共!手出しは無用だよ。直ぐに終わる」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 ねむは素早く武器である本を開くと、本からあるページを破いた。

 

灯花、アリナ「!?」

 

 普段のねむがどれだけ本を大切にしているのか知っている両者にとってねむの行動に驚きを隠せなかった。

 その瞬間に彩月の変身は解けて制服姿に戻った。

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 彩月の手から足元に落ちる借り物だったソウルジェム。

 

灯花「ねむ。何をしたの?」

 

ねむ「彩月とソウルジェムを繋いでいた僕の魔法を解除したんだよ。無力化するのに一番効率的な手段だからね」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 彩月は固まったまま動かない。

 

ねむ「これでも・・・。まだ君は僕と戦うつもりなのかい?」

 

 ねむの言葉に洗脳された彩月は何の反応も示さない。

 彩月の足元には借り物だったソウルジェムが転がっている。

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 すると彩月は黙ったまま右手をねむの方へ伸ばす。

 

ねむ「!! それは!?」

 

 驚愕のねむに見せつける様に輝きを放つ右手を掲げる彩月。

 

灯花「まさか!?」

 

アリナ「ワット!?」

 

 マギウスのお三方が驚愕の表情を見せる中で彩月の手には指輪から変化したソウルジェムが出現していた。

 だが彩月が借りていたソウルジェムは彩月の足元に転がっている。

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 輝きと共に彩月の姿はマギウスの3人が知らない未知の姿に変身していた。

 三角形の意匠が施された全身が鎖に囲まれた鎖のドレスと言う様な姿だった。

 誰しもが疑い様のない魔法少女としての姿だ。

 

ねむ「まさか契約するなんて・・・」

 

灯花「でも彩月は契約できる資質は無かった筈でしょ?」

 

アリナ「何が起きているワケ!?」

 

 最初にアリナが彩月に向かってキューブを放とうとした。

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 虚ろな目をしたまま彩月は左手を上げると同時にアリナの変身が解けて制服姿に戻ってしまった。

 

アリナ「なっ!?」

 

 驚くアリナが再び魔法を行使しようとするが魔法は発動しなかった。

 

アリナ「アリナの魔法が発動しない!?」

 

灯花「ねむ!」

 

ねむ「分かっている。灯花」

 

 異変を察した灯花とねむが彩月に武器を向けるが、彩月が左手を向けると灯花とねむの変身が解けて制服姿に戻ってしまった。

 

灯花「なんで!?どうして魔法が・・・」

 

ねむ「これは・・・・・・。君の固有魔法かい?」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 虚ろな目をした彩月は何も答えない。

 

灯花「ねむ!アリナ! 魔法は使えないの?」

 

ねむ「僕も使えないよ。つまり今、マギウスが機能不全と言う事だね」

 

アリナ「全然笑えないんですケド?」

 

 アリナは腰に付けたウエストポーチからハサミを抜くと彩月に向かって振り回そうとした。

 

ねむ「やめた方が良いよ。魔法少女相手に魔法が使えないなんて勝負にならないと言うのは分かっているだろ?」

 

アリナ「チッ」

 

 ねむの制止を受けてアリナはハサミを収めた。

 

ねむ「それで・・・・・。君は何をしたいんだい?彩月」

 

彩月「・・・・・・・・・」

 

 沈黙を続ける虚ろな目をした彩月。

 

 

 

 




メインストーリー第一部8章の内容ベースと言う事で各魔法少女の動向を書かざるを得ませんでした。
 特に本編やアナザーストーリーでメイン8章から10章までの間に何をしていたのか不明な魔法少女達の行動を書くのは最初から決めていました。
 今回の話に登場しなかった子達は次回以降に必ず登場します。
 そして肝心とも言える彩月の変貌。
 これは最初から決めている事でした。
 そして次回の9・5章の前に一本だけ外伝を投稿します。

マギウスの羽根リスト
黒羽根1=宮尾時雨
黒羽根2=安積はぐむ
黒羽根5=七瀬ゆきか
黒羽根10=柚希ほとり
黒羽根13=遊狩ミユリ
黒羽根14=友紀ゆみ
黒羽根15=黒江
黒羽根16=牧野郁美


白羽根3=天音月夜
白羽根4=天音月咲
白羽根5=観鳥令
白羽根6=神楽燦

白羽根7=茜すみれ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。