マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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第4話 君にも嫌でも分かる筈だよ

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ内部

 

綾女「予想通り」

 

璃阿「完全に包囲されてます」

 

優里「さあてぇ、切り刻みますかぁ?」

 

 武器を構える3人。

 周囲には無数の黒羽根、白羽根が取り囲んでいた。

 黒羽根達が鎖鎌を構えると一斉に鎖鎌を発射した。

 無数に発射された鎖鎌は鎖の結界を作り出して綾女達3人を閉じ込める球状の結界を形成した。

 

綾女「私達を閉じ込めてどうするつもり?」

 

みふゆ「戦う前にあなただけは、ワタシと一緒に奥の部屋に来て貰います」

 

 みふゆは手に出現させた円月輪の切っ先で綾女を差し示した。

 

綾女「どういうつもり?」

 

みふゆ「朱奈さんについてとだけ言えば分かると思います」

 

綾女「!?」

 

 驚く綾女は真っすぐにみふゆの表情を見た。

 嘘は言っていないと綾女は察する事が出来た。

 

綾女「分かったわ」

 

璃阿「綾女さんを連れて行くのは構いませんが璃阿達をどうするつもりですか?」

 

みふゆ「あなた達二人には、こちらが用意した人々と戦って貰います」

 

 みふゆの声を聴いて二人の白羽根が鎖鎌の結界内部に入り込んで来た。

 

みふゆ「では、参りましょう。ワタシ達二人が出て行ったら戦いの始まりと言う事で」

 

 みふゆが歩を進めるのを見て綾女は、優里と璃阿の方を振り向いた。

 流石にこのままで良いのかと言う意味での問い掛けだったが、その心配は、二人の答えによって杞憂に終わった。

 

優里「こっちを気にする事無く行って来て良いですよぉ。どうせ協力するとしてもこの辺りが妥協点でしょうぉ?」

 

璃阿「そどす。機会ってやつぁ。こほん。元々、一時の協力関係。それが終わっただけでしょう?」

 

綾女「そうね。後は、それぞれの思う通りにしましょう」

 

 そう言って綾女はみふゆの後に続いてその場を後にした。

 

優里「まあぁ、そう言ってもぉアタクシ達は、流石に協力して戦うしか無いんですけどぉ?」

 

璃阿「でれがぁ。こほん。あなた達が璃阿達の相手になるのですか?」

 

白羽根3「その通りにございます」

 

 そこへみふゆと綾女と入れ違いに入って来た二人の白羽根が答える。

 

白羽根4「ねー。ウチらは、黒羽根とは違うからねー」

 

優里「まあぁ何だって良いですよぉ。いたぶれればぁ」

 

璃阿「切いぬけ、こほん。切り抜けて見せます」

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ内 地下通路

 

通路を黙って歩く綾女とみふゆ。

階段を降りて行った事から地下へ向かっている事が綾女にも分かった。

 

綾女「ねえ。一つ聞いても良いかしら?」

 

みふゆ「なんでしょう?」

 

綾女「私が覚えているのは、あなたと新西中央駅から少し離れた場所にある公園でマギウスに入るかと聞かれた所までよ」

 

みふゆ「そうですか・・・」

 

綾女「私は何て答えたの?と言うよりも私はマギウスに入ると言わなかったのかしら?」

 

みふゆ「・・・。ワタシからは答えられません」

 

綾女「じゃあ質問を変えるわ。朱奈は本当に無事なの?」

 

みふゆ「答えたくありません」

 

綾女「そればっかりね」

 

みふゆ「ワタシが答えなくても、あなたは、これから会う人から全ての真実を知る事になります」

 

綾女「これから会う人?」

 

 歩いていたみふゆが、一つのドアの前で足を止める。

 

みふゆ「ここに全て真実があります。覚悟はよろしいですね?」

 

綾女「良いわ。どうせそれしか選択肢は無いでしょう?」

 

みふゆ「・・・。分かりました」

 

 みふゆはドアをノックした。

 

みふゆ「連れてきました」

 

???「うん。後は僕に任せて」

 

みふゆ「分かりました。では、ワタシはこれで」

 

 そう言ってみふゆは綾女を置いて来た道を戻って行った。

 ドアの前で訝しむ、綾女に対してドアの中から声が掛けられた。

 

???「入っておいで。僕は個人的にも君に興味があるから」

 

綾女「・・・」

 

 声しか聞こえない相手の出方を測りかねた綾女だったが選択肢は無い為、ドアを開いて部屋の中に入った。

 部屋の中は薄暗くドアを開いた少し先に一人の少女が椅子に座っていた。

 

???「初めまして。僕は柊ねむ。マギウスの翼を束ねるマギウスの一人だよ」

 

綾女「あなたがボスって事かしら?」

 

ねむ「それは否定しないね。正確に言うのなら3人の指導者の一人かな?」

 

綾女「余り問答をする気は無いわ。朱奈は何処なの?」

 

ねむ「その前に君はこれを見るべきだと思うよ」

 

 魔法少女に変身したねむが、右手に本を出現させると部屋全体に照明が灯された。

 ねむの背後に出現したそれを見て綾女は驚きを隠せなかった。

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ エントランス

 

白羽根3「では、始めさせて貰うでございます」

 

白羽根4「うん。この姿で戦うのは、初めてだから良い練習になるよね」

 

告げると同時に二人の白羽根は、ローブの周囲に二本の魔法剣を出現させて、そのまま璃阿と優里に近づいて来た。

璃阿と優里がそれぞれの武器を二人の白羽根に向かって振るった所、白羽根の周囲に展開していた二本の魔法剣が、自動的に璃阿と優里の攻撃を防いだ。

 

璃阿「自動で防御する!?」

 

優里「それならぁ、防御より速く切るだけですよぉ!」

 

白羽根3「くっ。それなら応戦させて貰うでございます」

 

白羽根4「ウチらだって!」

 

白羽根二人は周囲に展開していた魔法剣を両手に持つと、そのまま璃阿と優里に斬りかかって来た。しかし

 

優里「何ですかぁ?それぇ」

 

璃阿「右に同じですね」

 

 呆れた様子を見せる優里と璃阿。

 それもその筈だった。

 白羽根3と白羽根4の魔法剣の使い方は、優里と璃阿の経験的には素人に近い、扱いなれていない武器の使い方だったからだ。

 優里と璃阿は難なく白羽根3と白羽根4の魔法剣を捌いていた。

 怪物の剣、カスターネを振るう優里。

 埋め込まれた宝玉の輝きに注意を払いながらメイスを振るう璃阿。

 

優里「そんな剣術でぇアタクシに勝てると思ってるのぉ?」

 

璃阿「そじきぃ、こほん。正直、舐めてるとしか言いようが無いですね」

 

 優里も璃阿も難なく白羽根3と白羽根4が握っていた魔法剣を弾き飛ばした。

 魔法剣を弾き飛ばされた白羽根二人は優里と璃阿から距離を取った、と同時に4つの魔法剣を魔力で操り璃阿達に飛ばして来たが、前に出た優里はその軌道を見抜くと難なく連続した斬撃で魔法剣を弾き落とした。

 

優里「こんな弱い魔法でぇアタクシ達を何とかするつもりですかぁ?」

 

璃阿(伊良草さんには弱いかも知れませんが、璃阿には強いですね・・・。伊良草さんは斬撃の際に一気に魔力を腕と刀身に集中する事で切れ味とスピードを上げる事で魔法剣を切り落とした・・・。とてもじゃありませんが璃阿では出来ません)

 

白羽根3「くっ。やはりこの姿で戦うのは、ここまででございますか」

 

白羽根4「そうだね。それならウチらが使う本当の魔法を使うまでだよ」

 

 そう言うと白羽根3と白羽根4は、身に纏っていた白いローブを脱ぎ捨てた。

 

白羽根3「改めまして。マギウスの翼、白羽根が一人、天音月夜にございます」

 

白羽根4「マギウスの翼、白羽根、天音月咲だよ」

 

優里「今更ぁ、本当の姿を見せてどうするつもりですかぁ?」

 

白羽根3=天音月夜「これで私たち自身の本当の魔法を使えるでございます」

 

白羽根4=天音月咲「ねー。ウチらの本当の実力を見せてあげるよ」

 

 天音月夜と月咲=天音姉妹は横笛を取り出すと、笛を口に近づき演奏の構えを取った。

 

璃阿(戦いの中で演奏の構えを取る?)

 

璃阿「伊良草さん!」

 

 優里が注意を促す前に天音姉妹の演奏が始まった。

 

月夜、月咲「「笛花共鳴(てっかきょうめい)!!」」

 

 その瞬間に璃阿と優里の周囲に頭の中に痛みとなって響いた。

 頭に響く痛み故に動きを止めてしまう璃阿と優里。

 

璃阿「くっ。これでは・・・」

 

優里「動きようが無いですねぇ・・・」

 

 動きが取れない状況にあっても、璃阿は動こうとするのを諦めなかった。

 何とか無理やり手が動く事に気が付いた璃阿は無理やり手を動かして手にしたメイスを優里に触れさせた。

 

璃阿(伊良草さん。聞こえますか?)

 

優里(優里さん!?こんな時に何ですか?)

 

璃阿(あなたの剣は空気をおも切り裂く。違いますか?)

 

優里(それが何です!?)

 

璃阿(音を遮断するには、空気を・・・。切って・・・)

 

優里(・・・!)

 

 優里はそこで璃阿の言おうとしている事が分かった。

 強引に体の要所のみに力を集中させえて怪物の剣、カスターネに魔力を集中させた。

 

優里「切るぅ!!」

 

 強引に体を動かした優里は、その手に握ったカスターネに魔力を極限集中して自身の周囲に存在する空気を切り裂いた。

 次々と空気を切り裂くと音が弱まって行った。

 音が弱まる事で璃阿も動く事が出来る様になり、ソウルジェムから黒羽根のローブを出現させ、その身に纏ったと同時にローブに搭載された鎖鎌を二本、天音姉妹に向かって放った。

 

月夜、月咲「「!?」」

 

 咄嗟に演奏を停止して飛び退き距離を取る天音姉妹。

 

月夜「まさか黒羽根の武器を使って反撃するとは、思わなかったでございます」

 

月咲「うん。それにまさか、空気を切ってウチらの演奏を止めるなんて・・・。こんなやり方で演奏を止めたのは、これで二人目だよ」

 

優里「これでぇ切り札は無くなった訳ですかぁ!?」

 

 不敵な笑みを浮かべた優里は月咲に斬りかかる。

 思わず武器である魔力で強化された横笛で受け止める月咲。

 

月咲「くっ」

 

月夜「月咲ちゃん!?」

 

璃阿「こちからも、こほん。こちらからも行かせて貰います」

 

 それを見て優里も右手にメイス、左手に黒羽根ローブの鎖鎌を持ち月夜に向かう。

 慌てる事無く月夜が横笛を吹くと魔力を伴った音が衝撃波となって優里に向かって来るが、優里は慌てる事無く左手の鎖鎌を回転させて盾にして月夜に向かって行く。

 防げないと判断した月夜は距離を取りながら横笛の衝撃波を放つ作戦を取る。

 月夜の動きを見て月咲も同じ行動を取り優里から距離を取り始めた。

 

優里「距離を取ればぁ、勝てると思ってるんですかぁ!」

 

月咲「まだ、切り札が無くなった訳じゃ無いよ!」

 

月夜「そうでございます」

 

優里「ぞろぞろ。こほん。そろそろ切り札を使わないとやられますよ」

 

 周囲にいる黒羽根、白羽根の目から見ても月夜と月咲が追い詰められているのは、確かだった。

その証拠に月夜と月咲のソウルジェムは濁り始めていてる。

だがそんな状況にあっても奇妙な事に周囲の黒羽根、白羽根は見つめるだけで手助けしようとしなかった。

 

月咲「そろそろだね。月夜ちゃん」

 

月夜「ええ。ソウルジェムの穢れが身体に響いてくるでございます」

 

璃阿「何を言って?」

 

優里「いかれてんですかぁ?そんな状態でぇ勝てる訳が無いでしょうぅ!?」

 

 その時、無秩序に跳躍していたと思われた月夜と月咲は一瞬のアイコンタクトで互いの意図を読むと跳躍して空中で接触した。

 月夜と月咲が両の手を互いに合わせた時、魔法陣が出現したのが優里と璃阿に見えた。

 

月夜「月咲ちゃんの魔力が私と共鳴しているでございます」

 

月咲「うん。月夜ちゃんの魔力をウチも感じるよ」

 

 そう語り地面に降り立つと同時に月咲は先程とは、比べ物にならない威力を持った横笛の衝撃波を放った。

 余りの威力の違いに優里と璃阿は咄嗟に防御したが押し負かされてしまう。

 その隙を付く形で月夜は魔力を集中していた。

 

月咲「今だよ。月夜ちゃん!」

 

月夜「分かりましたでございます」

 

 月夜が今まで異なり魔力を集中して横笛を吹いた時、璃阿と優里の周囲に無数の桜の花びらが魔力に乗って流れて来る。更に璃阿と優里の頭上に突如として満月の光が降り注いだと同時に月夜が奏でる笛の音が鳴り響く。

 それが合図であるかの様に周囲に展開していた桜の花びらの流れる速度が上がり、無数の刃と化して優里と璃阿に襲い掛かった。

 

月夜「桜隠れ。これにて終わりにございます!」

 

月咲「うん。これで終わりだよね。良いタイミングで切り札を使えなかったけど」

 

優里「勝手にぃ・・・。終わらせないでくれます?」

 

月夜、月咲「「!?」」

 

 優里の声を聴いて驚く月夜と月咲。

 

璃阿「ギリギリでしたが耐え切れましたか・・・」

 

 桜の花びらが散った中から現れた優里と璃阿に月夜と月咲は、初めは驚いていたが直ぐに冷めた様子を見せていた。

 

月夜「成程。それが、あなた方の正体ですか」

 

月咲「うん。聞いてはいたけど、これなら手加減する必要は無いよね」

 

□ 神浜市内 ホテルフェントホープ地下室

 

ねむ「その前に君はこれを見るべきだと思うよ」

 

 魔法少女に変身したねむが、右手に本を出現させると部屋全体に照明が灯された。

 ねむの背後に出現したそれを見て綾女は驚きを隠せなかった。

 赤と青に彩られ無数の鎖に巻き付けられ拘束されている、生きている何か。

 自分が今まで見た事の無い物を見て綾女は驚きを隠せなかった。

 

綾女「これは・・・。魔女?いいえ。違う。魔女じゃ無いならこれは・・・」

 

ねむ「ふむ。魔女じゃ無いと分かるんだ。意外だったね」

 

綾女「これは・・・何なの?」

 

 何故か綾女は動揺していた。

 これの正体を聞く事に動揺を感じていた。

 その動揺の正体が分からず苛立ち、ますます心理を不安定にしていた。

 

ねむ「動揺しているみたいだね。無理もないよ。もしかしたら、君は無意識に正体を感じ取っているのかも知れないね」

 

綾女「これは、何なの!?何だって言うの!?」

 

ねむ「声を荒げて息が乱れて、君の心が動揺している事が丸分かりだよ。これはね・・・。本当の筒地綾女の成れの果てだよ」

 

綾女「えっ?」

 

ねむ「ここを見れば君にも嫌でも分かる筈だよ」

 

 ねむが、筒地綾女の成れの果てと言った何かの中央部分に左手を差し示した。

 そこには筒地綾女その人の顔が埋め込まれる様に存在しているのが、綾女にも見えた。

 

綾女「これが・・・。本物!?じゃあ私は何だって言うの!?」

 

ねむ「君は本物の筒地綾女じゃ無いよ。アリナが捕獲した黒羽根のミラーズコピーに筒地綾女の持っていた自身の記憶のバックアップとも言うべき、記憶の種=メモリーシードを記憶ミュージアムの機能を使って記憶を植え込んだミラーズコピーだよ。つまり君の正体は筒地綾女の精巧なコピーだよ」

 

綾女コピー「私がミラーズコピー!?私が私じゃ・・・。無い!?」

 

ねむ「普通のミラーズコピーは性格が反転してしまうけど、メモリーシードで記憶を上書きする事で限り無く本物に近い精神を持ったコピーとして君達4人は作られたんだ。ぼくの考えた実験の為にね」

 

 その時、綾女の脳裏にスミレ、優里、璃阿の顔が浮かぶ。

 

綾女コピー「じゃあ・・・。あの3人も・・・」

 

ねむ「うん。君と一緒にフェントホープに来た3人も筒地綾女が所持していたメモリーシードを植え付けたミラーズコピーだよ」

 

綾女「嘘よ・・・。そんな筈」

 

ねむ「記憶が欠落しているんじゃないのかい?」

 

綾女「!?確かに記憶がおかしい所があるけど、それはあなた達が」

 

ねむ「なら証拠を見せようか?」

 

 ねむの右手にある本が光ったと同時に飛来した光るページが、綾女コピーの身体を防御する間もなく身体を深く傷付けた。

 

綾女コピー「なっ!?こ・・・これは!?」

 

 綾女コピーの身体からは、無数の文字が滲み出ていた。

 

 その頃。天音姉妹と対峙していた優里と璃阿の身体は傷だらけとなり、傷から文字が滲み出ていた。

 

優里コピー「なんですかぁ?」

 

璃阿コピー「これは一体・・・」

 

 

 

アリナ「もう良いからアナタは死んでヨネ!!」

 

 一方、アリナから全力のキューブによる攻撃を向けられたスミレは自身の前方に魔力を集中する事で攻撃の方向を反らそうとしていた。

 だがアリナはスミレに攻撃が当たる寸前にキューブの動きを操作して捻りを曲げた。

 その為アリナの放ったキューブの攻撃は、スミレの予想外の方向から生じて前方に魔力を集中していたスミレの身体に初めてダメージを与えていた。

 その時、スミレの身体に刻まれた傷からも文字が滲み出て来た。

 

スミレコピー「成程。これが唖然失笑(あぜんしっしょう)と言う事ですか」

 

 優里コピー、璃阿コピー、スミレコピーの身体に負った傷から文字がにじみ出ていた。

 

 

ねむ「これこそ君が、と言うよりも君達が人間では無い証拠だよ」

 

 

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