マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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9・5章 やっぱりアンタは口だけだったんだよお!!下

□ 神浜市内 ホテルフェントホープから離れた森の中

 

 

 

対峙する彩月、ナナツメとベル、ナル、あすみん。

その脇には意識を失った朱奈が倒れ続けていた。

 

彩月「お互いに真の姿や。遠慮はいらんで!」

 

 パルチザンを構える彩月。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 無言で鎖鎌を構えるナナツメ。

 

あすみん「必ずサヨナラしてやる・・・・・」

 

 あすみんはモーニングスターを握る手に力が込められている。

 

ベル「まあこの二人には退場して貰わないとね」

 

 両手に握るハンドベルを鳴らす為に上げるベル。

 

ナル「あの人との約束とナル達の為にもねー」

 

 ナルの手に握られたブロックの棍棒が再び拳銃へと組み変わる。

 同時にナルの銃撃が彩月とナナツメを襲う。

 

彩月「!!」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 銃撃を回避する二人に対してベルが両手のハンドベルから音波を出して回避する場所を制限して特定の方向へ誘導する。

 息の合う2人の行動を受けてあすみんが待機した方向に追い込まれた彩月。

 ナナツメは別の場所に誘導されて彩月と引き離されていた。

 

あすみん「これで!」

 

 あすみんがモーニングスターを振り回して彩月に鉄球を当てようとしたが彩月は易々と回避するが鉄球が大地に当たった衝突で地面にある葉や木の枝が浮かび上がる。

 

彩月「ええもん見っけ!」

 

朱奈「・・・・・・・」

 

 彩月の目の前に気を失った朱奈の身体が転がっていた。

 咄嗟に朱奈の事を片手で持ち上げあすみんの方向に全力で投げると両者は激突してその場に倒れた。

 

あすみん「くっ・・・・・。邪魔だ!」

 

朱奈「ぅっ・・・・・・・」

 

 あすみんは乱暴に気を失ったままの朱奈を脇へ投げ捨てた。

 

彩月「少しは優しくしたらどうや?ウチよりは劣ってる分、優しいやろ?」

 

あすみん「良い気になるなよ!」

 

彩月(今の様子じゃ朱奈さんに関心無いか。しばらくおちょくらせて貰うで)

 

 突如として巨大な魔力反応と同時に地震が起こった。

 

彩月「なんや!?」

 

ベル「来たわね」

 

ナル「あすみん!飛んでー!」

 

あすみん「!!」

 

ナナツメ「!!」

 

彩月「さて・・・ウチも」

 

 飛ぼうとした彩月の視線に先程、自身があすみんにぶつけた朱奈の姿が目に入った。

 

朱奈「・・・・・・・」

 

彩月「あー。しゃーないなあ」

 

 咄嗟に飛び出した彩月は朱奈を抱き抱えて飛んだ。

 その際に一夜が付けていた眼鏡が外れて落ちて行く。

 

彩月(間に合うか)

 

 そこへ土石流が彩月達のいた場所へ襲い掛かって来る。

 

彩月(!! ちっ。助けんじゃ無かったわ)

 

 朱奈を抱えた彩月の姿が見えなくなった。

 

 

 

ウインドピア「いよいよだね」

 

サンシャイン「うん。これであてしとぴあの未来の為に」

 

 それまで彩月とベル達の戦いを離れた場所で静観していたウインドピアとサンシャインはホテルフェントホープのあった場所に目を向けていた。

 そこには本来あったホテルフェントホープは消滅して代わりにエンブリオ・イブが現れていた。

 

ウインドピア「感じる・・・・・。ワタシの中にあるエンブリオ・イブの破片が共鳴している」

 

サンシャイン「大丈夫なの?」

 

ウインドピア「大丈夫。ワタシがエンブリオ・イブの頭脳となるから」

 

 

 

□ 回想シーン

クラックストーリー7・5章 宿北編 いつかは返さなあかんやろ

 より、ホテルフェントホープでのねむとナナツメによる彩月の会話シーンより

 

 

 

彩月「わっかりました。それなら一つ提案があるんやけど、どうでっか?」

 

ねむ「何の提案だい?」

 

彩月「ねむ様しか出来へん事やし・・・。宿北でウチとナナツメさんには必要な事やろな」

 

 意味ありげな表情を見せる彩月。

 その表情は、ねむの興味を引いた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

ねむ「聞かせてくれるかな?」

 

彩月「白羽根の事を思うに相手は何らかの手段で魔法少女を洗脳する手段を持っていると言う事やろ。だからもしも・・・。ウチやナナツメさんが洗脳された際の打開策やで」

 

ねむ「ふむ。僕にしか出来ないと言うのはどういう事かな?」

 

彩月「つまりや。もしウチかナナツメさんが洗脳された場合にはねむ様の魔法と灯花様とテストしていたメモリアシステムを使って洗脳前の状態に強制的に戻すと言う事はねむ様の具現化魔法ならば可能なんじゃないでっか?」

 

ねむ「・・・・・・。盲点だったね。確かに可能だよ。良く気が付いたね」

 

彩月「そうやろ。そうやろ。これはねむ様にしか出来へん事やさかい」

 

 ねむはそれに頷く。

 

ねむ「確かに彩月の言う通りだね。その準備は必要になるかも知れないから僕の方で進めておくよ」

 

彩月「そうやろ。あんな事があったんやから必要やと思うんやけどな」

 

ねむ「じゃあ準備が出来たら声をかけるよ。君の協力も必要な事だからね」

 

 

 

 宿北へ行く前日のねむの部屋。

 そこには魔法少女姿のねむとナナツメ、彩月の3人が集まっていた。

 

ねむ「じゃあ始めようか」

 

 ねむが武器である本を広げると同時にその場はウワサ結界に包まれる。

 そこはまるで図書館の様な空間が形成されていた。

 ねむの前には椅子と机が、ナナツメと彩月の背後には椅子が形成されていた。

 

ねむ「これは僕が限定的に再現した記憶キュレーターのウワサ空間だよ。じゃあ二人共、そこの椅子に座って」

 

彩月「分かったで」

 

ナナツメ「承知しました」

 

 彩月とナナツメはねむに促されてウワサ空間に形成された椅子に座った。

 するとそこへ記憶スタッフのウワサが二体、彩月とナナツメの頭上に現れた。

 

彩月「なんや?」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

ねむ「その記憶スタッフのウワサが君達の記憶をコピーするからそのままでいて」

 

彩月「どれ位かかるんや?」

 

ねむ「まあ一時間位かな?それ位なら我慢できるだろう?」

 

彩月「出来るけど退屈やで!?」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

ねむ「ナナツメを見習ったらどうだい?それに彩月は一応、僕よりお姉さんなんだからそれ位、出来ると思ったんだけどな」

 

彩月「それを言われたら我慢するしかないやん。まあ・・・・・。好き放題に喋らせてもらうけどな」

 

 それから彩月は一時間、好き放題に喋り始めた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

ねむ「はあ・・・・・。よくそこまで喋れるね」

 

彩月「ウチは退屈が嫌いなんや」

 

ねむ「ちょうど一時間経ったね。じゃあ最後の作業を始めようか」

 

 ねむが武器でもある本を広げて一定の手の動きをすると記憶スタッフのウワサはねむの前にある机の上に移動する。

 テーブルの上にねむはメモリアシステムに使用するオーバーリミッター・コアを二枚置いた。するとそこへ記憶スタッフのウワサが解ける様に流れ落ちてオーバーリミッター・コアと融合した。

 

ねむ「うん。出来たよ。これが彩月とナナツメの記憶が詰まったメモリアだよ」

 

彩月「カードのままやけど、これどうやって使えばええんや?」

 

ねむ「このメモリアカードをそのまま相手の頭に差せば良いんだよ」

 

彩月「カードのままじゃ折れてまうんじゃ?」

 

ねむ「うん・・・・・。それもそうだね。じゃあこうしようか」

 

 ねむが武器である本を開くと再び一定の操作をするとメモリアの形状が変化して行く。

 それは直ぐに鋭利なナイフの形状となった。

 黄色のナイフと紫色のナイフだ。

 

ねむ「黄色のナイフがナナツメの記憶。紫色のナイフは彩月の記憶が入っているよ」

 

彩月「おおこわ。これを頭に刺すんか・・・・・」

 

 流石に彩月も怖がる様子を見せていた。

 

ねむ「形状はナイフだけどメモリアと言う概念だから刺しても痛みは無いと思うよ」

 

彩月「それならまずねむ様が刺してみるべきやないでっか?」

 

ねむ「まあそれは置いといて・・・・・。このナイフはナナツメに預けるよ」

 

ナナツメ「よろしいのですか?」

 

ねむ「うん。彩月はともかくとして君を洗脳できるとは僕には思えないからね」

 

彩月「じゃあナナツメさん。ウチが洗脳されたら頭に突き刺してくれなあ」

 

ナナツメ「言われるまでもない」

 

彩月「けど・・・・・。ウチとナナツメさんが両方洗脳されたらどうするんや?」

 

ねむ「まあ僕がいるなら他のウワサを転用すれば別の手段もあるよ。痛みも伴うだろうけど」

 

彩月「それってこのナイフより痛いんか?」

 

ねむ「想像にお任せするよ。むふ」

 

彩月「その表情じゃ冗談に聞こえんで」

 

 

 

□ 神浜市外 某所 数日前

 

 

 

彩月(・・・・・・・。なんや。夢か。今はどういう状況や?)

 

 目を開く事無く彩月は自身の身体の状態を把握に努めた。

 どうやら変身は解けて私服のまま両手に枷を付けられて足にも鎖が付いているのはなるべく身体を動かさずに感触だけで理解した。

 

彩月(どうやら捕まったんか・・・・・。まっあの状況じゃしょうがないなあ)

 

 彩月は思い出していた。

 捕まる前に宿北で戦っていた事を。

 

 

 回想シーン

クラックストーリー7・6章 後は小生の仕事だ より

 

 

彩月「おんや。時間かあ」

 

サンシャイン「あれは・・・」

 

赤黒く周囲に文字が飛び交いひび割れたウワサ空間の中で王冠と光輪を背負い純白の衣装を身に纏った光輝を身に纏ったその姿を見た者の瞳に焼き付けていた。

 

彩月「お互いに終わりにした方が良さげやでー」

 

サンシャイン「本当に面倒!」

 

 サンシャインは右足に絡まっていた彩月の鎖鎌を切り離した。

 だがそのロスタイムを見逃す程、彩月は甘くない。

 薙刀を振るい距離を詰めて来てぶつかり合う彩月とサンシャイン。

 両者の武器がぶつかり合って火花が飛ぶ一進一退の戦い。

 両者の戦う宿北の上空では既に神浜聖女ホーリーマミが攻撃を放っていた。

 宿北の工場一帯に向かって無数の光弾が降り注いできた。

 

彩月「!!」

 

サンシャイン「!?」

 

 周囲全体を次々と破壊する無数の光弾による空爆。

 両者共に全身に痛みを感じて膝を崩し最早、動く事が出来なかった。

 

彩月「ぐっ・・・・・。こりゃアカンなあ」

 

サンシャイン「・・・・・・。ぴあ」

 

 両者が本気で終わりを覚悟した時、突如として両者の足元から緑色のキューブが出現したと同時に両者はその場から消滅した。

 

彩月「なんや!?」

 

 突然、視界に移る景色が変化した事に戸惑う彩月。

 

彩月「うっ!?」

 

 背後から首筋に電撃の様な衝撃を感じた彩月はそのまま意識を失ってしまった。

 

 

 回想終了

 

 

彩月(あの時、ウチを包んだあの緑色のキューブ・・・。あれはアリナさんのキューブやったな。裏切り者が持っとたんか?それよりもまずは・・・・・。聞き耳。聞き耳)

 

 一切の身じろぎをせずに彩月は周囲の音を聞く事に集中した。

 すると小さな声だが話し合う声が近付いて来た。

 

あすみん「それでアイツを捕らえたみたいだけど、どうするの?ベル」

 

ベル「ナナツメを捕らえるか殺すのは初めから無理だと分かっていたけど、上手く黄羽根を捕らえたのは僥倖よ」

 

ナル「後はナルが上手く調整するだけだねー。と言っても時間が余りなさそうだから前の白羽根と同じ様な調整になるかなー?単純な事しか出来ないよー」

 

ベル「せめて命令は聞くように調整した方が良いわ。この子をフェントホープで一仕事させるのはナルが監視する必要があるんだから」

 

ナル「マギウスに魔力パターンが覚えられていないのはナルだけですからねー。そこは承知してますよー(笑)」

 

あすみん「たしはサヨナラしたいんだけど」

 

ナル「まあまあー。マギウスとの事が片付いたら好き放題に出来ますよー。それにこの子はフェントホープで死ぬでしょー。なんたってナナツメさんを誘き出すのに利用する訳ですからねー」

 

ベル「マギウスにおいて彼女が最強の護衛なのは間違いないわ。マギウスの三強に入っている位なんだから」

 

あすみん「マギウスの三強・・・・・」

 

ナル「マギウスのお三方を覗くと・・・。最強のベテランと言える梓みふゆ。最強の教官である神楽燦。最強の護衛であるナナツメ。この3人がマギウスの三強と密かに言われていますね。ナルが広めましたけどー(笑)」

 

ベル「あのナナツメを誘き出す為には同じ黄羽根をマギウスにぶつける位はしないと他の羽根に対処を任せる可能性がある。だから菖蒲彩月には役立って貰わないと」

 

 

 

彩月「だったら協力したろか?」

 

 

 

ベル、あすみん、ナル「!?」

 

 突然、喋り出した彩月に3人は驚いて硬直した。

 彩月の視界には白羽根1=ナル、黒羽根3=ベル、黒羽根4=あすみんの姿が見えていた。

 

あすみん「起きてる!?」

 

ナル「まっいずれは起きるでしょー。調整すれば関係無いしー」

 

ベル「そうね。協力はあなたが従順になった後でして貰うから」

 

彩月「そいつは惜しいな。ウチは一つ、マギウスへの切り札を持っておるで」

 

ナル「良い事聞いたねー。それなら洗脳して頂くまでー」

 

彩月「生憎モノや無いでえ。それにウチを従順にした所で切り札は役に立たなくなるで」

 

ナル「従順にしたら価値が無くなるー? もしかしてー」

 

ベル「どうしたの?」

 

ナル「彩月ちゃんだったねー。君、もしかして契約が出来るのー?」

 

あすみん、ベル「!?」

 

彩月「出来るで」

 

 その表情はウソ偽りの無い真剣な表情だった。

 

ナル「でもねむ様とは契約を出来ないから魔法が欲しいと言う交渉で他人のソウルジェムを入手したよねー?」

 

彩月「そんなの簡単や。疑似魔法少女として活動し続ければ自然と因果律が上がるんやから契約出来る様になっただけやで」

 

ベル「それ・・・・・。本当なの?」

 

ナル「うんー。ナルも予想しなかったけど、彩月ちゃんは確かにそうなる可能性はあるねー」

 

あすみん「それが出来たからってあんたを生かす理由は無いよね?」

 

 あすみんは彩月の首を掴んだ。

 

彩月「そうやな。聞くも聞かずも、あんさん等の自由や」

 

ベル「あすみん」

 

あすみん「・・・・・」

 

 ベルの言葉を聞いてあすみんは彩月の首から手を放した。

 

ナル「じゃあ興味があるから聞かせてよー。切り札ってー?何を願おうとしているんだいー?」

 

彩月「簡単や。願うのは、他の魔法少女の魔法を3人まで強制的に制御下に置く固有魔法が欲しいとな」

 

ベル「面白い願いね。でもその願いがどうやって切り札になるのかしら?」

 

彩月「これをマギウスの3人にピンポイントで行ったら?完全に計画はおじゃんやろ。お三方の首にナイフ突き付けた様なモノやな」

 

ナル「確かに・・・・・。着眼点は悪く無いねえー。でもねー。ナルは思うんだけど、そんな願いを考えてたって事は、彩月ちゃんは最初からマギウスを裏切るつもりだったのかなー」

 

彩月「当たり前やろ。ガキに首輪付けられて気分が良い訳無いやろ」

 

 吐き捨てる様に告げる彩月の顔は誰が見ても本気でそう思っている表情だった。

 

彩月「ウチがねむ様に筒地綾女の記憶と引き換えに疑似魔法少女になったのは魔法が欲しかったからや。魔法が手に入ってもマギウスにいたのは、魔法の知識と経験を高めるだけや」

 

ベル「今までの行動を見ているとそれなりに楽しんで忠誠心も持っていそうだけど」

 

彩月「忠誠なんて何の意味も無いやろ。利益があるから味方するだけや。それはナナツメさんだって同じやろ」

 

ナル「確かにねー。ナル達も古参だからナナツメさんが灯花様とねむ様から給料を貰っているのは聞いているしねー」

 

ベル「金であんな部下が雇えるなら私も欲しい位よ」

 

彩月「んで、どうするんや?今ならウチはお買い得やで」

 

ナル「でも彩月ちゃんを契約させた瞬間に逃げるか、ナル達を始末しようと思っているんじゃないのかなあ?」

 

彩月「その不安を防止する為に3人ってルールを盛り込んだんやないか。3人と言うルールを付け加えて置けば、固有魔法の強制力が上がるやろ。それにそっちは他にもお仲間がいるんやから、ウチが契約の際に他の願いを言った瞬間に殺せる手段を作って置けば安心やろ」

 

あすみん「口が上手い奴は信用出来ない」

 

ベル「あすみん。もう少し話を聞こう。続きは?」

 

彩月「あんさん賢いな。もしウチに契約をさせるつもりがあるのなら、願いは他の魔法少女の魔法を3人まで強制的に制御下に置く固有魔法が欲しいで決まりや。そしてここからが肝心なんやが、契約するまでウチを洗脳しない方がええで」

 

ナル「どうしてー?」

 

彩月「どうせ今のウチの話を聞いて洗脳した状態で契約を行わせようとしているみたいやけど、洗脳した状態で無理やり契約させても魔法の威力は低くなるんやで」

 

ナル「それは知らなかったなー。他人の契約に立ち入った事は無いからー」

 

彩月「ウチの頭に入ってる筒地綾女の知識やで。だからウチに契約をさせてくれ。さっきも言ったんやけど、もし違う願いを言ったらその時はウチを殺せばいい。でも願いがそのままだったら、ウチを洗脳してあんさん達の計画のコマにしてくれて構わへん」

 

ベル「あなた・・・。それ本気で言っているの?自分から洗脳されたいってマトモじゃないわよ」

 

彩月「そうやな。けど、これしかウチだけが助かる方法は無いやろ。こっちも必死なんや」

 

ナル「本当に良いのかなー?彩月ちゃんの洗脳をナルたちがいつ解除するか分からないんだよー?」

 

彩月「ウチだけが助かるなら・・・・・。構へん。命あっての物種や」

 

あすみん「こんなクズ、サヨナラした方が良くない?」

 

ナル「そうだねー。でもリサイクルも悪く無いんじゃないかなー?」

 

ベル「ナルは興味津々と言う事ね。私もリサイクルは良いと思うわ。あすみんは?」

 

あすみん「・・・・・。二人がやりたいなら反対はしない」

 

彩月「やったでー。これでウチだけは助かるなー」

 

あすみん「・・・・・。クズ過ぎてサヨナラする気にもならない」

 

 

 

こまちソウルジェム(ちょっと! あんたさっきから何言っているのよ!?仲間を裏切る気!?)

 

 魔力の消耗から先程まで意識が朦朧としていたこまちのソウルジェムが覚醒すると彩月にテレパシーを送って来た。

 

彩月(こまちさん。黙っときい。これしか手がないんや)

 

こまちソウルジェム(黙れる訳無いでしょ!?魔力も回復しているんだから戦えば)

 

 

彩月「こんな状態で勝てる訳無いやろ!!」

 

 

 

ベル、あすみん、ナル「!?」

 

 突然苛立ち混じりに叫んだ彩月に驚くベル達3人。

 

ナル「いきなり叫んでどうしたんだいー?」

 

彩月「すまんな。ウチの使ってるソウルジェムがウチの行動に文句を言って来たんや」

 

ベル「!! そのソウルジェムに意識があるの?」

 

彩月「そうや。他人の身体を借りている一夜さんと同じや。お陰でやかましくてたまらん。今も文句言うとる」

 

ベル「そう・・・・・。じゃあ黙らせてあげるわ」

 

 ベルはそう言って自身の着ていた黒羽根ローブのフードを脱いで素顔を彩月に晒した。

 

こまちソウルジェム(!? ウソ・・・・・。なんで・・・・・。エ)

 

彩月(!?)

 

ベル「ナル!」

 

ナル「はい!お任せー。ちょーとソウルジェムの機能を止めるよー」

 

 ナルは瞬時に彩月の指に嵌められたこまちのソウルジェムの指輪触れると一時的に機能を停止させた。

 

ナル「少しの間、機能を止めて置いたよ」

 

彩月「それは助かったで。やかましかったからなあ。あんさんこのソウルジェムの持ち主と関係があるんか?」

 

 彩月は黒羽根のフードを被ったベルに疑問をぶつけていた。

 

ベル「そうかも知れないわね。でも・・・・・。余計な質問をせずに私達に協力して助かる道を選ばない訳じゃ無いわよね?」

 

彩月「そうやな。つまりウチの協力を認めると言う事なんやろ?」

 

ベル「ええ。認める。だから早速しましょう?契約を」

 

彩月「ええで。その前に一つだけあんさんに聞きたい事があるんやけど」

 

ベル「何かしら?」

 

彩月「あんさん。前にウチと戦ったよな?宿北へ行く前に」

 

ベル「・・・・・・・」

 

彩月「魔力はごまかせへんで」

 

 宿北へ行く前に彩月は護衛役の地位を賭けて黒羽根9と黒羽根3と黒羽根15と戦っており魔力を記憶していた。

 

ベル=黒羽根3「ええそうよ。確かに私はあなたと戦ったわ。私でなくて誰かが黄羽根の地位が得られれば都合が良かったもの」

 

彩月「やっぱりな。じゃあ・・・・・。やっぱりあの時、手を抜いていたんやろ?」

 

ベル「どうしてそう思うの?」

 

彩月「あの時、ウチは覚悟を決めなアカンなあと思うた。それはあの3人の中であんさんだけが別格と感じたからや」

 

ベル「意外と隠せない物ね・・・・・」

 

彩月「やっぱりウチの予感は当たっとたんやな。正直あの時のウチより強いと思うたで。ズルをしなきゃ勝てへんとも」

 

ベル「お喋りは終わりよ。じゃあ契約をして貰うわ」

 

彩月「そやな。早速契約をしよか」

 

 

 

□ 宿北 某所のビルにある空き部屋 数日前の夜

 

 

 

宿北の廃工場から離れた場所にある某所のビルにある空き部屋で拘束されてパイプ椅子に座らされている彩月。

 その背後にはベルとナルがローブを着たまま武器を彩月に向けていた。

 ナルは赤くCと文字が書かれたローブを着ていた。

 

彩月「ウチの準備はええんやけどここは大丈夫な場所なんか?」

 

ナルC「ここはナルの知り合いの物件だから邪魔は入らないよー」

 

ベル「準備は出来ているから余計な事を言うのは終わらせて貰える?」

 

彩月「でもここにどうやってキュウベえを呼ぶんや?アイツは呼び出しても来るかどうかは分からんで」

 

ベル「それは大丈夫よ。あすみんに連れてきて貰うから。さっき連絡があったから直ぐに来るでしょ」

 

 すると部屋のドアを開いてあすみんがキュウベえを抱きかかえて入って来た。

 

あすみん「連れて来たよ」

 

ベル「あすみん。ご苦労様」

 

ナルC「じゃあ後はナルがー」

 

 ナルCはそう言ってキュウベえを受け取り彩月に向き直った。

 キュウベえはナルCに抱えられたまま彩月と向き合う。

 

キュウベえ「やあ。君達。僕と契約したいと言う子がいると言うから一緒に来たけど・・・・・。もしかして君が契約したいのかい?菖蒲彩月」

 

彩月「そうやで。前にも確認を取ったんやけど改めて聞くで。ウチは契約出来るんやろ?」

 

キュウベえ「うん。出来るよ。この状況が気になる所だけど何も聞かない約束があるからね。じゃあ聞くよ。菖蒲彩月。君は僕に何を願う?」

 

彩月「キュウベえ!ウチは他の魔法少女の魔法を3人まで強制的に制御下に置く固有魔法が欲しい!」

 

キュウベえ「分かった。契約は成立だ」

 

彩月「うっ!?」

 

 契約を果たした彩月は自身の魔力から生じた光に包まれて魔法少女へと変身した。

 パイプ椅子の拘束を引き千切り三角形の意匠が施された鎖のドレス姿に彩月は身を包んでいた。

 

ナルC「はいー。キュウベえちゃん。ご苦労様ー」

 

 ナルCがキュウベえに手を翳すとキューブがキュウベえを包み込んでその姿を消してしまった。

 

ベル「じゃあ固有魔法を見せて。妙な事は考えない方が良いわよ」

 

 彩月の背後にはベルとあすみんが武器を彩月に突き付けている。

 

彩月「そうやな。ヨッと!」

 

 彩月が手に力を入れるとその場にいたベルとあすみんの変身が解除された。

 

ベル「!? 本当に手に入れたのね」

 

あすみん「・・・・・。サヨナラしたい」

 

ナル「みんなの変身は解除されてるね。ナルは・・・。赤ローブのソウルジェムが変身認定かな?赤ローブの変身は解除されているね」

 

ベル「それにあなた達は影響がないみたいね」

 

 ベルの視線の先には離れた場所に赤いローブを着たウインドピアとサンシャインが待機していた。

 赤いローブにはソウルジェムが埋め込まれておりキュウべえも人型の魔女であるウインドピアを魔法少女としか認識できない筈でもあった。

 幸いにもキュウベえは彼女達に何も反応はしなかった。

 

ウインドピア「うん。何も感じない」

 

サンシャイン「また面倒な事を・・・・・」

 

ナル「うん。うん。じゃあ彩月ちゃん。早速、洗脳されようか(笑)」

 

 ナルはそう言って彩月に近付く。

 

彩月「それはええんやけど一つ聞いてもええか?」

 

ナル「なにかなー?答えられたら答えるよー(笑)」

 

彩月「いやー。洗脳されるのはええんやけど、ウチのその・・・・・。プライバシーを余り覗かれんのは嫌やで。ウチのあんな事やこんな事とか」

 

 大袈裟に手を振って懸念を訴える彩月。

 

ナル「ああー。それなら大丈夫だよー。ナルは神浜の調整屋と違って人の記憶を読むのは苦手だからー。ただ感情とかを組み替えるだけなんだからー」

 

 笑顔で答えるナルに彩月は安心したと言う表情を見せた。

 

彩月「安心したで。じゃあ洗脳よろしく!」

 

ナル「まずは眠って貰おうかなー」

 

 ナルの手が笑顔になった彩月の額に触れたと同時に彩月は意識を失っていた。

 

 

 

 それから二時間後・・・・・。

 

ナル「これで完了かなー?」

 

 私服姿のナルの目の前で椅子に座った彩月は虚ろな目をしている。

 

あすみん「前に洗脳した白羽根と目つきが同じだね」

 

ナル「まあそれはナルの癖みたいなものだからねー。じゃあまずテストしようか。彩月ちゃん。椅子から立ち上がって右手を上げて見てー」

 

彩月「・・・・・・・・」

 

 椅子から立ち上がり右手を上げる虚ろな目をした彩月。

 それを見つめる私服姿のベルとあすみん。

 

ベル「大丈夫そうね。私達も命令出来るの?」

 

ナル「もちろん。ナルとベルとあすみんは命令出来るから試してみると良いよー。後、命令する時は名前をちゃんと告げてねー。そこで命令を認識する様にプログラムしているからー」

 

ベル「そうね。彩月。変身してみせて」

 

彩月「・・・・・・・・」

 

 虚ろな目をした彩月はそのまま魔法少女に変身した。

 

ナル「じゃあ次は・・・・・。彩月ちゃんー。ナルたちの魔法を固有魔法で強制的に変身させてみてー」

 

彩月「・・・・・・・」

 

 虚ろな目をした彩月が右手を上げるとナル達の魔力に異変が生じた。

 まるで強風に煽られた時の様に強制的に魔法少女へと変身させられていた。

 

ベル「問題無いわね。ちょっと不愉快だけど」

 

あすみん「ねえナル。自爆とかそう言う事はさせられるの?」

 

ナル「おや?あすみんはそう言うのは好まないと思ったけどねー。自爆とかは無理かなー?生命の危機に瀕すると分かる様な命令は精神への刺激が強すぎるからねー。最悪フリーズしちゃうんじゃないかなー」

 

あすみん「そう言うモノなんだ」

 

ナル「前に洗脳した白羽根は元々、マギウスの翼への不信感を抱いていたらから調整でその不信感と憎悪を増幅させたから勝ち目が無いのに灯花様を襲う様に仕込めたからねー」

 

ベル「前に洗脳してマギウスに反逆した4人も同じ様に調整したのよね?」

 

ナル「そうだよー。まあ前の4人は大急ぎでやったからもう調整は解けていると思うけどねー」

 

 ナルは懐で握っているこまちのソウルジェムを見つめた。

 

ナル「じゃあ彩月ちゃんー。まだねむ様の魔法が残っているから調整して黙らせた借り物のソウルジェムを持っていてー。変身する時はまず借り物ソウルジェムから使う事―。分かったねー?」

 

彩月「・・・・・・・・」

 

虚ろな目をした彩月は無言で頷いた。

 

ナル「じゃあ一応テストをしようかー。彩月ちゃんー。借り物のソウルジェムで変身して見せてー」

 

彩月「・・・・・・・・」

 

 虚ろな目をした彩月は借り物のソウルジェムで再変身した。

 問題無く彩月は借り物のソウルジェムを使った和装へと変身していた。

 手には武器である薙刀も握られている。

 

ナル「問題無いねー。これで準備は整ったねー」

 

ベル「ええ。計画の簒奪と言う私達のプラン」

 

あすみん「その為にたしは我慢してきたんだから・・・・・」

 

ナル「そうだったねー。でも神浜市であすみんの固有魔法を使うと下手したらドッペルが大量に出て面倒な事になるから仕方ないねー」

 

あすみん「前にやったら面倒くさい事になったからもうしないよ」

 

ベル「時には我慢も必要よ。あすみん。でもそれも後少しかしらね」

 

ナル「そうー。切り札の彩月ちゃんがいるからねー」

 

彩月「・・・・・・・・」

 

ベル「さあ・・・・・。私達のプランを始めましょう」

 

 これが菖蒲彩月の契約。

 偽りの言葉無き契約。

 

 

 

 




後書き

今回の話は変則的に時系列がごちゃ混ぜになっています。
各地の魔法少女の動きは最初から入れるつもりでした。
彩月の契約と願いは最初からこの内容と決めていました。


初期案では彩月単独でのマギウスへの反逆でした。
取りやめた最大の理由は当初の初期案ではこの神浜決戦の時にマギウス入りしたおりことかずみのキャラが登場して戦いの中で彩月の反逆予定でした。
変えた最大の理由はゲームでおりこイベントが開催されてつじつまが合わなくなったからです。


あのキャラの死も最初から決めていました。
ナナツメと彩月が助けようともしないのも最初から決めた事で、あの二人の性格を考察するとそもそも人質を考慮しないからああなるのは必然と言えます。
内容的に原作ゲームの10章に食い込みましたが、次で決着は付きます。



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