マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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10・5章 vol.4 だから自由に進むんや

□13 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープのあった森林地帯

 

 

 

水樹塁「えっ!?みんなそこから離れて!」

 

 水樹塁の叫びを聞いて全員がキメラ綾女から慌てて離れようとした。

 その僅か後に流星とも言える光が静止していたキメラ綾女に直撃した。

 

彩月「今のなんや!?」

 

 離れながら後ろを振り返った彩月の眼前で最後尾を走っていた時雨と朱奈にも光が直撃しようとしていた。

 

彩月「朱奈さん!?」

 

 落下して来る光は時雨の後方にした朱奈に直撃した。

 

朱奈「うっ!?」

 

時雨「そんな・・・・・」

 

 近くにいた時雨が慌てて倒れた朱奈の傍による。

 

時雨「あれ?傷は無いみたいだけど・・・・・」

 

彩月「とにかく連れて来るんや」

 

時雨「わっ分かった」

 

 時雨は慌てて気絶した朱奈を抱えて来た。

 朱奈の身体には目立つ傷は無かった。

 

全員「「!!」」

 

 停止した筈のキメラ綾女から強力な魔力が流れ出る!

 

彩月「冗談やろ。今ので復活したんか!?」

 

彩月(綾女さんのソウルジェムはウチの手にある。なのにどうしてなんや!?)

 

 彩月の疑問に答える様にキメラ綾女の身体の四カ所から異なった魔力を伴った光で輝きを見せていた。

 その輝きから感じられる魔力に彩月は覚えがあった。

 

彩月(今の!? まさかこまちさんの魔力!? もしかしてあいつ等、綾女さんの身体にこまちさんとかのソウルジェムを取り付けたんか!?)

 

 

 

 その頃、宿北では。

ベル達3人が向かった神浜市からの出口の先にあるのは宿北にある古びたビルの屋上だった。

 

ナル「あれー?どうやら筒地綾女が動かなくなったみたいだねー」

 

 ナルは手の平に出現させたブロックを通してキメラ綾女の状態を把握していた。

 

あすみん「動かないって倒されたって事?」

 

ナル「うーん。ちょっと違うかなー?倒されたなら反応が消滅する筈だからねー。動かないと言う事はー」

 

ベル「魔法少女に当てはめるならソウルジェムを抜かれたって事?」

 

あすみん「じゃあアレは役に立たなかった訳?あれだけ改造したのに?」

 

 落胆したと言う感情を隠さないあすみん。

 あすみんが見ていただけでも限られた時間の中でナルは筒地綾女に色々と弄っていた。

 しかし対照的にナルの笑みは増して行く。

 

ナル「そうでもないなー。ソウルジェムを取り上げるなんて手段を取ったのは意外だったかなー。まともな魔法少女ならソウルジェムを破壊する事で殺す方を選択すると思ったけどねー」

 

ベル「でもナル。あなた、それを想定して仕掛けを施していたでしょ?」

 

ナル「うん(笑)勿論仕掛けは施したよー。例え筒地綾女のソウルジェムを破壊したとしても・・・・・。体内にナルが仕掛けた代用品のソウルジェムが4つ入っているから暴走するんじゃないかなー(笑)」

 

ベル「それって私達がテストした赤いローブに組まれたソウルジェムと」

 

ナル「うんー。彩月ちゃんが使っていたソウルジェムだねー。何かマズかったー?」

 

ベル(あのジェムは4人の・・・・・)

 

 ベルの脳裏にはジェムの持ち主である4人の魔法少女の姿が浮かんでいた。

 エリーゼ、クレア、こまち、ひより。

 

ベル「いえ。何も」

 

あすみん「じゃあ今頃・・・・・」

 

ナル「暴走を始めたみたいだねー。切っ掛けが何であれドッペルと魔女の肉体―。それに仕掛けられた4つのソウルジェム。魔力に依存する魔女とドッペルの肉体は必ず魔力を発するソウルジェムを取り込む筈だからねー」

 

ベル「とにかく私達は静観しましょう。神浜が終わるその時まで」

 

 ベルの瞳は神浜の方向を見ている。

 

 

 

 再び神浜市北養区

 暴走するキメラ綾女と対峙している魔法少女は、菖蒲彩月、御園かりん? アシュリー・テイラー、宮尾時雨、安積はぐむ、水樹塁の6人。

 それと時雨が抱える朱奈と言う契約をしていない少女。

 身体の四カ所から異なる魔力を帯びたキメラ綾女は完全に暴走して見境無しに周囲を破壊していた。

 同時に筒地綾女の顔に白い仮面の様な物が禍々しい笑顔を見せている。

 

彩月(ちっ。逃げるので精一杯や!?)

 

 全員が逃げるので精一杯の状況の中で朱奈を抱えていた時雨が倒れてしまう。

 

時雨「わっ!?」

 

はぐむ「時雨ちゃん!」

 

 そこへキメラ綾女の魔手が振り下ろされる!

 

??「やらせないよ!アングリー。ハングリー!」

 

 その声と同時に無数のナイフとフォークが何処からともなく飛んで来てキメラ綾女の全身に突き刺さった。

 

キメラ綾女「アアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 振り下ろしていた魔手は寸前で方向を変えてしまった為に時雨と朱奈は潰される事は無かった。

 

??「今の内に逃げるんです~」

 

 その声の先には傷だらけの若菜つむぎと史乃沙優希の姿があった。

 

彩月「お二人さん!無事やったんか!?」

 

若菜つむぎ「うん。ボロボロだけど助けに来たよ!」

 

史乃沙優希「魔女?かどうか分かりませんがあんな相手を放って置けません~」

 

 その間に朱奈を抱えた時雨は彩月達に合流した。

 

時雨「助かったあ・・・・・」

 

はぐむ「大丈夫?時雨ちゃん」

 

時雨「僕は大丈夫。それより・・・・・。これからどうするの?」

 

彩月「ウチはアレを倒さんと都合が悪いから戦うで」

 

御園かりん?「私も戦う」

 

御園かりん?(最も私は別の目的があるけどね・・・・・)

 

アシュリー「私も同感デス!アレを放っておいたらとんでもない事になります!」

 

若菜つむぎ「うん!近くにウォールナッツがあるから絶対に何とかしないと!」

 

史乃沙優希「沙優希も美味しい店が無くなるのは悲しいですう~」

 

はぐむ「時雨ちゃん。わたし達も戦わないと」

 

時雨「はぐむんが言うなら・・・・・」

 

水樹塁(正直死相が消えて無いなんて言えやしない・・・・・。でもここで逃げるのは違うと思う・・・・・)

 

水樹塁「私も・・・・。戦います」

 

彩月(ウチの都合に巻き込んだようで悪いなあ・・・・・。まあ兵隊は多い方がええしな。そういやナナツメさんはどうしたんや?まあいないならええか)

 

彩月テレパシー(っと。その前に・・・・・。時雨さん。はぐむさん。最悪、朱奈さん連れて逃げえや)

 

時雨、はぐむテレパシー(えっ!?)

 

彩月テレパシー(正直、ヤバいやろ)

 

 彩月の眼前でキメラ綾女が蠢いている。

 

 

 

□14 神浜市内 各地において

 

 

 

北養区では里見メディカルセンター周辺では現れたワルプルギスの夜の使い魔と魔法少女達の戦いが続いていた。

 

茜すみれ=白羽根7「使い魔が結界を伴わずに現れるなんて!」

 

茜すみれ(やっぱりマギウスの言う通り強力な使い魔が・・・・・)

 

黒羽根5=七瀬ゆきか(やっぱりわたしが原因でトラブルが・・・・・)

 

黒羽根14(くみちゃん・・・・・。あなたは何処で戦っているの?)

 

 既に長い間戦っていた魔法少女達の疲労の色は濃くなっていた。

 その時、使い魔の攻撃が黒羽根15に迫る。

 

黒羽根15=黒江「くっ!!」

 

 既にローブを脱いでいた黒江に迫る使い魔の攻撃!

 

入名クシュ「やらせない!粛清!」

 

 咄嗟に二本の剣で黒江を庇うと同時に反撃する入名クシュ。

 

青葉ちか「皆さん。大丈夫ですか!?」

 

茜すみれ「ああ。ずっと戦い通しだが・・・・・。この病院は守らなくては・・・・・」

 

入名クシュ「うん。病院には多くの患者もいる・・・・・」

 

青葉ちか「そうです!これ以上、使い魔の好きにさせる訳には!」

 

七瀬ゆきか「そうですよね・・・・・。これは窮地って事ですから・・・・・」

 

七瀬ゆきか(だからこそ戦いがいがあります!)

 

友紀ゆみ「そうだよ。くみちゃんの為にもここで負ける訳には行かないから!」

 

 里見メディカルセンター周辺で戦う5人の魔法少女は奮起して使い魔との戦いを続けた。

 

 

 

 南凪区では学童周辺で由貴真里愛と桐野紗枝、枇々木めぐるも疲弊しながらも戦い続けていた。

 

桐野紗枝(これがひなのさんの言っていたワルプルギスの夜の使い魔・・・・・。結界を伴わない上にこんなに数がいるなんて・・・・・)

 

 余りに長時間に及んだ戦いで桐野紗枝は膝を付いていた。

 その時、巨大な魔力が出現した事に魔法少女達は気が付いた。

 

 

「アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

 

 

由貴真里愛「みんな!アレを見て!」

 

 思わず足を止めた由貴真里愛の視線の先にはワルプルギスの夜の巨大な異形が写っていた。

 

枇々木めぐる「冗談ですよね?あんな魔女、めぐるも勝てる実況する自信がありませんよ・・・・・」

 

 上空にいるワルプルギスの夜に向かって神浜の魔法少女達の攻撃が開始されるのが3人からも見えていた。

 

由貴真里愛(マズいわね・・・・・。二人共動揺してる・・・・・。けど今の状況では私が二人を叱咤しないと!)

 

由貴真里愛「二人共!私達はワルプルギスの夜と戦っているひなのさん達を信じましょう!そしてこの場を守り切って見せましょう!」

 

 由貴真里愛の言葉を聞いて桐野紗枝と枇々木めぐるはハッとした表情を見せた。

 

桐野紗枝「そうですね。ここで負けたらひなのさんに怒られるのは嫌ですから」

 

枇々木めぐる「めぐるもここで負けたら人気MCになれる気がしませんから!」

 

由貴真里愛「ええ。それで良いわ。二人共!」

 

由貴真里愛(ごめんなさい・・・・・。それでも勝てる気がしないわ。でも・・・・・)

 

 

 

 栄区の栄総合学園周辺では由良蛍と真井あかり、恵萌花の3人が使い魔を倒してワルプルギスの夜を目撃していた。

 

真井あかり「ウソでしょ・・・・・。あんな魔女がいるなんて・・・・・」

 

恵萌花「はわわわわ・・・・・。どうしたらいいんでしょう?」

 

由良蛍(正直言って・・・・・。勝てない。それに二人はもう雰囲気に押されてる)

 

 そう考える3人の元へ魔法少女の様な姿をした使い魔、舞台装置の少女・シモテ、ソデ、カミテが迫る。

 

由良蛍「!!」

 

 反応の遅れた二人を置いて由良蛍はたった一人で枕を投げて舞台装置の少女3人を払いのけた。

 

真井あかり「蛍!」

 

恵萌花「えっ?使い魔!」

 

由良蛍(まずい・・・・・。こんな強い敵、初めてかも)

 

 ポーカーフェイスのままに由良蛍は使い魔と戦い続ける。

 

 

 

 水名区の水名女学園

 

 水名女学園の敷地内で魔法少女姿の柚希りおんと黒羽根ローブを纏っている柚希ほとり。

 

柚希りおん「ほとりん!どうなってるの!?これ!?」

 

柚希ほとり「何だか分からないけど・・・・・。それに何時の間にか深夜だし・・・・・。ボクにも分からないよ。りおん!」

 

 困惑する双子の魔法少女の眼前を同じ黒羽根が飛んで行くのが見えた。

 

柚希りおん「あっ!あれ同じ黒羽根じゃない?」

 

柚希ほとり「うん。聞いてみよう!」

 

 黒羽根の飛んで行く方向を二人も追いかけて行く。

 

柚希ほとり「あの!すみません!何が起きているんですか?」

 

黒羽根17「うん?同じ黒羽根と魔法少女か・・・・・。逃げろ!もう神浜市が滅ぶ瀬戸際だ」

 

柚希ほとり、りおん「「え!?」」

 

 二人は同時に同じ様な反応を示した。

 

黒羽根17「マギウスのお三方が神浜市にワルプルギスの夜を呼んだ!神浜の魔法少女達が応戦しているが勝ち目は無いだろう。あんな魔女は誰にも倒せない!」

 

柚希ほとり「そんな・・・・・」

 

黒羽根17「私は逃げる。命が惜しいからな。お前達もどうするか考えろ!」

 

 そう言って黒羽根17はそのまま跳躍して去ってしまった。

 

柚希りおん「あっ。行っちゃった・・・・・」

 

柚希ほとり「りおん!あれ!」

 

 柚木ほとりの示した方向には巨大な魔女が上空に鎮座していた。

 そこに向かって神浜の魔法少女達が次々と攻撃を加えているのが見えた。

 

柚希りおん「他の魔法少女が戦っているわ」

 

柚希ほとり「りおん。りおんは逃げて。ボクは・・・・・。あそこに行く!」

 

柚希りおん「はあ!?何言っているのよ!?ほとりん一人行った所で何が出来るの!?」

 

柚希ほとり「でもりおん。それでもボクは・・・・・。ヒーローになる事を願って魔法少女になったんだから!」

 

 柚木ほとりは叫ぶと同時にワルプルギスの夜に向かって跳躍した。

 

柚希りおん「ほとりん!ああ。もう!!あたしも行くわよ!」

 

柚希ほとり「来ちゃダメだよ!きっと勝ち目なんかないんだから!」

 

柚希りおん「だったら、ほとりんが行く事無いじゃない!」

 

柚希ほとり「ボクはヒーローになるんだから!」

 

柚希りおん「だったらあたしも行くわよ!」

 

 双子の魔法少女は口論をしながらワルプルギスの夜がいる方向に向かった。

 

 

 

□15 神浜市内 ホテルフェントホープ近辺の森林

 

 

 

キメラ綾女「ガアアアアアアアアア!」

 

 暴走して結界を作る事無く巨体で暴れるキメラ綾女。

 朱奈を保護した時雨と史乃沙優希が遠距離から攻撃する中ではぐむ、若菜つむぎ、水樹塁、御園かりん?が次々とキメラ綾女に攻撃を加えて行く。

 

時雨「せめて足止めしないと!」

 

史乃沙優希「倒れて下さいですぅ~」

 

はぐむ「これで!」

 

若菜つむぎ「今度こそ絶対に!」

 

水樹塁(マズい!マズい!誰も死相が消えてない!?もしかして死相の原因は別なの!?)

 

御園かりん?(この後どうなるのかは出来る限りは見届けないとね・・・・・)

 

 彩月とアシュリーは離れた場所でその戦いを見ている。

 

彩月「あんたは戦わないんか?」

 

アシュリー「少し時間を稼いで下サイ・・・・。グリーフシードを使ったらワタシがもう一度熊之介を使いマス」

 

 アシュリーはグリーフシードを一度に二つ使っていた。

 

彩月「それなら頼むで。ウチも戦わんとな!」

 

 パルチザンを振るって彩月もキメラ綾女に挑んで行く。

 だがこの場にいる魔法少女全員が連戦に次ぐ連戦で魔力を消耗していた。

 全員の動きには既に精彩が無かった。

 次々とキメラ綾女が巨体を振るうだけで魔法少女達は次々と巨椀で叩き付けられて倒されて行く。

 

キメラ綾女「ギィアアアアアアアアアア!」

 

はぐむ「きゃっ!?」

 

御園かりん?「うっ!?」

 

時雨「はぐむん!」

 

 はぐむと御園かりん?は倒れてしまう。

 

彩月(ちぃ!?流石にみんな連戦続きでキツイわなあ。まあウチも洗脳されてからずっとやしな・・・・・)

 

 彩月自身もキメラ綾女に決定打を与えられない事に焦りがあった。

 その時、キメラ綾女の剛腕が水樹塁に迫る。

 

水樹塁(詰んだ!?)

 

アシュリー「やらせまセン!!」

 

 そこへアシュリーの魔法で巨大化した熊之介がキメラ綾女の巨椀を押さえ付けた!

 

キメラ綾女「!!」

 

アシュリー「ウッ・・・・・。パワー負けしてマス!?」

 

 キメラ綾女は強引に熊之介を吹き飛ばした!

 

水樹塁「わっ!?」

 

アシュリー「そんな!?」

 

 吹き飛ばされた熊之介にぶつかり倒れる水樹塁。

 魔力を消耗したアシュリーも膝を付いている。

 

彩月「ちぃ。マジでどうするかあ」

 

キメラ綾女「ヒイァアアアアアアアアア!」

 

 キメラ綾女の全身から突如として穴が開いたと思うとそこから光線が放たれた!

 光線の先には時雨と史乃沙優希、意識の無い朱奈の3人がいる!

 

時雨「こっちに!?」

 

史乃沙優希「避けられないですぅ~」

 

若菜つむぎ「マズい!」

 

 咄嗟に若菜つむぎは3人と光線の間に割り込んだ。

 

若菜つむぎ「もう一度、防がせて貰うよ!!」

 

 光線に向かって若菜つむぎがその武器であるフォーク型のトライデントを突き出した!

 

若菜つむぎ(魔力吸収!)

 

 固有魔法によって若菜つむぎは魔力で構成された光線を吸収する。

 

彩月「時雨さん!逃げるんや!」

 

時雨「わっ分かった」

 

史乃沙優希「今の内に逃げるですぅ~」

 

 朱奈を抱えた時雨と史乃沙優希は光線のコース上から直ぐに退避した。

 それを見届けると同時に駆け出した彩月はキメラ綾女の光線を放ってる部位の根元にパルチザンを投げ槍の要領で投げた!

 

彩月(今のありったけの魔力を込めたんや!これで!!)

 

 彩月の投げたパルチザンは見事にキメラ綾女の光線を放つ穴に突き刺さった!

 同時に魔力を伴った爆発が起こる!

 

彩月「どうや!内部からの爆発ならダメージあるやろ!」

 

キメラ綾女「グァアアアアアアア!」

 

 身体の内部から爆発が起きてもキメラ綾女の暴走は止まらない。

 

若菜つむぎ「効いてない!?」

 

彩月「頑丈やな・・・・・。仕方ない。この手を使うしかないんか」

 

 瞬時に彩月は若菜つむぎの傍に移動した。

 

彩月「悪いな。ちょっとあんさんの魔法を使わせて貰うで」

 

若菜つむぎ「えっ!?」

 

彩月(強制制御!)

 

 同時に若菜つむぎの魔力が彩月の固有魔法によって強制的に操作される。

 

彩月(この人の固有魔法は魔力吸収。なら・・・・・。この場にいる全員の魔力を吸収と同時に放出させれば・・・・・)

 

若菜つむぎ「えっ!?どうして勝手に魔法が!?」

 

彩月(悪いが・・・・・。この場の全員ドッペルを使わせて貰うで!!)

 

 彩月の強制制御によって周囲にいる魔法少女達の魔力が若菜つむぎに吸収されて行く。

 

時雨「なに!?」

 

史乃沙優希「魔力が放出されるですぅ~」

 

アシュリー「これは!?」

 

 時雨と史乃沙優希、アシュリーは突然、魔力が強制的に放出された事で身動きが取れなくなった。

 

御園かりん?(ここまで・・・・・か。じゃあ一抜けさせて貰おうかな。でも少しだけ手助けはしてあげる)

 

 御園かりん?は手鏡を出すと鏡面に自身の顔を写した。

 鏡面の先にはアリナ・グレイの姿が写り込んでいる。

 

御園かりん?(後は鏡の中から覗かせて貰うから)

 

 御園かりん?の中から何かが手鏡の鏡面を通って移動した瞬間に御園かりんのソウルジェムは一気に濁り始めていた。

 地面に落ちる手鏡の鏡面はその場の様子を見つめる様に鏡面を向けている。

 

ドッペル御園かりん「・・・・・・・!?」

 

 同時に御園かりんはドッペルを発現させていた。

 

彩月(よっしゃ!!上手く行っとるな!)

 

 御園かりんのドッペル発現が自身の強制操作と関係無い事を彩月は気が付かなかった。

 

ドッペル時雨「!!」

 

ドッペルはぐむ「!!」

 

ドッペル水樹塁「!!」

 

ドッペルアシュリー「!!」

 

ドッペル史乃沙優希「!!」

 

ドッペル若菜つむぎ「!!」

 

 半ば強制的にドッペルを発動した魔法少女達の顔は白い仮面に覆われてドッペルに自我を奪われたかのように印象付ける。

 けれど次々とドッペルを発現させた魔法少女達は本能的に魔女の要素を持つキメラ綾女を倒すべき敵として認識して一斉に攻撃を仕掛けていた!

 

キメラ綾女「グァアアアアアアア!!」

 

 キメラ綾女に襲い掛かる6体のドッペル。

 魔力を消耗していた彩月も膝を付いていた。

 

彩月「これで倒せるとええんやけどな・・・・・」

 

彩月(何が起こるか分からんからウチがドッペルを使う訳にはいかないんや・・・・・)

 

 だが暴走するキメラ綾女が6体のドッペルを引き離すと、その場に倒れていた朱奈に向かって剛腕を振り下ろそうとした。

 意識を失った朱奈はその場から動けない。

 

朱奈「・・・・・・・・」

 

彩月「あかん!?」

 

 その時、森から誰かが飛び出すとキメラ綾女に向かって飛び出した。

 

ナナツメ「やらせん!!」

 

彩月「ナナツメさん!?」

 

 ナナツメは右手の鎖鎌に魔力を集中してキメラ綾女に向かって飛び込んで行く。

 

 

□16 神浜市内 新西区 神浜ミレナ座内部 調整屋 数十分前

 

 

 

調整屋の内部では傷付いた魔法少女達が運びこまれていた。

戦闘で傷付いた白羽根や黒羽根だった魔法少女が大多数だったが。

調整で使うベッドの上には梓みふゆが寝かされている。

 そこへねむを抱えたナナツメが入り込んだ。

 ナナツメを見て脇へ避け座っているソファーから離れる羽根達。

 

ナナツメ「これは・・・・・。酷い状況だな」

 

 無口なナナツメですらそう呟く程、酷い有様でもあった。

 

ねむ「うっ・・・・・。ここは?」

 

 ナナツメが抱えるねむが苦し気に目を覚ました。

 

ナナツメ「ねむ様。ここは調整屋です」

 

ねむ「ナナツメ?そうか。灯花に呼ばれたのかな?」

 

ナナツメ「その通りです」

 

 言いながらナナツメはねむを近くにあるソファーに寝かせた。

 

ねむ「状況は?」

 

ナナツメ「ワルプルギスの夜は神浜に到達して灯花様達は迎撃に向かいました」

 

ねむ「そ・・うか。彩月はどうしたんだい?」

 

ナナツメ「彩月は」

 

白羽根「話が違うじゃないですか!?イブを使ってワルプルギスの夜を取り込ませるんじゃないんですか?」

 

 そこへ怪我をした白羽根が話に割って入って来た。

 

ねむ「・・・・・・・」

 

白羽根「なんなんですか?この状況は?何がどうなっているんですか!?答えてくださいよ!!」

 

 白羽根はねむに詰め寄ろうとした。

 黙ってナナツメは鎖鎌を白羽根に向けた。

 

白羽根「!?」

 

ナナツメ「邪魔をするな。怪我人を増やしたいのか?」

 

ねむ「・・・・・。ナナツメ」

 

ナナツメ「奴の腕一つで終わらせます」

 

ねむ「そんな状況じゃないと思うよ」

 

ナナツメ「・・・・・・・。分かりました」

 

 ねむの視線を見てナナツメは鎖鎌を収めた。

 

白羽根「くっ・・・・・・」

 

 白羽根はその場を離れたがその場にいる他の羽根だった魔法少女達から向けられる視線は冷たい物でもあった。

 

ねむ「ナナツメ。彩月は?」

 

ナナツメ「彩月は手筈通りに洗脳し直しました。今は反逆者と戦っています」

 

ねむ「そっか。ナナツメ。君は誘拐された一夜の事は知ってる?」

 

ナナツメ「・・・・・・・。一夜は死にました。救出の努力はしましたが」

 

ねむ「やっぱりそうなんだね・・・・・。一夜と朱奈の肉体を繋いだ魔法が消えたから・・・・・」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 ねむの頬を一筋の涙が流れたがナナツメは何も言わない。

 

ねむ「うっ・・・・・。ナナツメ。君に頼みたい事が・・・・・ある」

 

ナナツメ「何をすれば」

 

ねむ「彩月を・・・・・。助けてあげて欲しい」

 

ナナツメ「ご命令とあらば」

 

 ナナツメはその場にねむを残して立ち上がる。

 

保澄雫「待って下さい!」

 

観鳥さん「そうだよ。ナナツメさん。どうやって行くつもりだい」

 

 怪我をして調整屋に避難していた観鳥さんと保澄雫が傍に来る。

 傍らには天音姉妹の運び込んだ梓みふゆが寝かされている。

 

観鳥さん「話は聞かせて貰ったけどナナツメさん。彩月ちゃんの居場所は知っているのかい?」

 

ナナツメ「ホテルフェントホープの方に向かっていた」

 

保澄雫「なら・・・・・。私が魔法で送ります。その方が速く行けます」

 

 保澄雫は胸を押さえながら提案する。

 

ナナツメ「良いのか?」

 

保澄雫「はい・・・・・。観鳥さんの頼みですから」

 

観鳥さん「うん。彩月ちゃんが生きていたのなら・・・・・。観鳥さんは助かって欲しいからね。あれ程、愉快な被写体はいないから」

 

ナナツメ「頼む」

 

保澄雫「はい・・・・・」

 

 保澄雫が片手に魔法陣を展開させると転移魔法陣が発動した。

 迷う事無くナナツメは転移魔法陣を通って行った。

 

ねむ「すまないね。二人共。特に君にはフェントホープで酷い目に遭わせたのに」

 

 ねむは観鳥さんの方を見てすまなそうに語る。

 

観鳥さん「良いんですよ。後から考えれば作戦だったと分かるし・・・・・。それに作戦に気付けない観鳥さんも甘かったと言う事ですよ」

 

ねむ「本当に・・・・・。すまない」

 

観鳥さん(あれ?何かねむ様の様子が変な気が・・・・・。牧野チャンは大丈夫かな?)

 

保澄雫(あやか・・・・・。あなたは無事なの・・・・・)

 

 

 

 

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