マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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10・5章 vol.6 だから自由に進むんや

□21 神浜市内 北養区 ホテルフェントホープ近辺の森林

 

 

 

キメラ綾女との戦いを終えた9人の魔法少女と一人の少女。

 

彩月(さて・・・・・。これからどうするかあ)

 

 この場にいる魔法少女達は全員傷付いていた。

 既にナナツメは満身創痍と言った様子で完全に動く事が出来ない様子だった。

 そして気絶している朱奈と御園かりんを傷だらけの水樹塁とアシュリーが背負っていた。

 時雨とはぐむ、史乃沙優希と若菜つむぎも傷だらけでこれ以上の戦闘は出来ない状態なのは明白だった。

 

彩月「回復魔法の使い手なんて都合良くおらへんよなー?」

 

時雨「流石に・・・・・」

 

はぐむ「いないよね・・・・・」

 

水樹塁(死相は消えてるけどそんなの今は関係無いよね)

 

若菜つむぎ「とりあえずみんなで調整屋に行こう。あそこまで行けばみたまさんもいるだろうし」

 

史乃沙優希「それじゃあ出発するですぅ~」

 

彩月「ナナツメさん。動けますか?」

 

ナナツメ「・・・・・・・。肩を貸せ」

 

彩月「ええですよ」

 

??「いた!彩月さん!ナナツメさん!無事かい?」

 

アシュリー「誰デスカ!?」

 

時雨「あれは」

 

はぐむ「観鳥さん!」

 

 声のする方向には傷だらけで白羽根ローブを纏っていた観鳥さんが素顔を晒してこっちに手を振っていた。

 

??=観鳥さん「どうやらねむ様のカンが当たったみたいだね。みんな!こっちに来るんだ!ここに調整屋への近道があるから」

 

彩月「ありがたい事や。みんな!行こうや」

 

 観鳥さんの背後には保澄雫の作った転位魔法陣が作られていた。

 

観鳥さん「ここを通れば調整屋に直行できるよ」

 

若菜つむぎ「助かったあー。ここから調整屋まで歩くのは大変だよー」

 

史乃沙優希「沙優希はもうクタクタですぅ~」

 

はぐむ「あの・・・・・。観鳥さん!」

 

観鳥さん「なんだい?」

 

時雨「僕達はその・・・・・。家族は心配してるかも知れないから」

 

観鳥さん「ああ。そう言う事か。いいよ。後の事はまたマギウスのメルマガで連絡するから」

 

時雨「すみません」

 

はぐむ「後はお願いします・・・・・」

 

 時雨とはぐむはそう言って自宅へと向かって行った。

 調整屋の内部には既に何人かの羽根がいて野戦病院の様な状態となっていた。

 そこかしこに怪我をした魔法少女がローブを敷いて横たわったりしていた。

 調整に使うベッドの上には梓みふゆが寝かされていた。

 近くのソファーにはねむが寝かされて保澄雫が護衛の様に胸を押さえて椅子に座っていた。

 

観鳥さん「保澄ちゃん。ご苦労様。お陰でみんなを調整屋に運び込めたよ」

 

保澄雫「戦う事が出来ない私でもこれ位は役に立ちますから」

 

彩月「すまへんなあ。色々と」

 

保澄雫「えっ!?菖蒲さんですよね?行方不明になった筈じゃ」

 

彩月「まあ色々あって契約して帰って来たんや」

 

水樹塁「ところで。この子はどうしたら?」

 

 脇から朱奈を背負った水樹塁が話しかけて来る。

 

朱奈「・・・・・・・」

 

彩月「ああ。そうやったな。じゃあこの子はここに」

 

 彩月は自らの黄色いローブを取り出すと朱奈をそこに寝かせた。

 一方でナナツメは壁を背もたれにして座り込んでいた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

彩月(不死身のナナツメさんでもこれ以上は無理か・・・・・・)

 

御園かりん「うーん。ここは?」

 

アシュリー「あっ?かりん!気が付きましたか!?」

 

御園かりん「ここは調整屋なの?一体何があったの?」

 

アシュリー「覚えていませんか?かりんは私と一緒に戦ってたんデスヨ?」

 

御園かりん「何だか変な使い魔と戦った事しか覚えてないの・・・・・」

 

アシュリー「意識が戻ったなら何よりデス」

 

若菜つむぎ「マズい!?親から連絡来てる」

 

史乃沙優希「沙優希にも両親とマネージャーさんから電話が来てますぅ~」

 

水樹塁「ヤバイ・・・・・。鬼電来てる!?」

 

御園かりん「私もなの!?」

 

観鳥さん「とりあえずみんな少し休憩したら一旦帰った方が良いんじゃないかな?後の事はメールアドレスでも教えてくれたら観鳥さんが連絡するよ」

 

アシュリー「それならお願いしマス」

 

 いつの間にか電波が回復しており連絡が来ていた事に驚く魔法少女達を観鳥さんが宥めていた。

 その時、彩月はソファーに寝かされているねむの元に来ていた。

 

彩月「ねむ様。お久しぶりでんなあ。可愛い寝顔やないか」

 

ねむ「それなら君はもう少し従順になった方が良いんじゃないかな?」

 

 そう言いながらねむは目を開いた。

 

彩月「なんや?起きとったんか」

 

ねむ「君にはまだ僕が仕掛けた魔法の残照が残っているからね」

 

彩月「ああ。頭に刺されたアレの事でっか」

 

ねむ「君の様子から察するにどうやら洗脳を洗脳し直す事は上手く行ったみたいだね」

 

彩月「そうやで。お陰でウチは元通りやでー」

 

ねむ「でも君は契約で手に入れた魔法を使いこなしているみたいだね」

 

彩月「どうやろなー」

 

ねむ「と言う事は彩月。君は僕に洗脳を上書きする提案をした時点で自身が契約する事までの道筋を予想していたんじゃないのかい?」

 

彩月「ねむ様がそう思うたらそうなんやないですか?」

 

ねむ「まあいいさ。今更変えられる事じゃ無いしね・・・・・。一つ聞かせてくれるかな?」

 

彩月「なんでっしゃろ?」

 

ねむ「裏切りの羽根から君の契約内容は聞いた。君は最初から僕達を裏切るつもりだったのな?」

 

彩月「裏切る言うんは酷いなあ。ただ分離独立しての子会社化は目論んでたでー」

 

ねむ「物は言い様だね」

 

彩月「んで・・・・・。みふゆさんに何があったんや?」

 

ねむ「みふゆはホテルフェントホープを破壊する為に無理に魔力を使った結果、ソウルジェムにヒビが入ってしまって意識不明だよ。最も僕達のせいだけどね」

 

彩月「それもねむ様達の計画の内か」

 

ねむ「そうだね。でも・・・・・。僕達は間違ってた」

 

彩月「なんや?急に過ちを認めるなんてねむ様らしくないで」

 

ねむ「失礼だな。僕だって過ちを認める時はあるよ。君に魔法を与えた事も今は過ちだと思っているよ」

 

彩月「酷いなー。ウチは感謝しとるのに」

 

ねむ「・・・・・。君の本心を知った以上、その感謝が何処まで本当なのか疑わしいよ」

 

 その時、彩月は真っ直ぐねむを見つめてその手を取って言った。

 

彩月「ねむ様。ウチは本気であなたに感謝しとる。ウチに魔法少女への道を示してくれたあなたに」

 

ねむ「はあ・・・・・。演技かどうかは僕には分からないけどその感謝だけは信じる事にするよ」

 

彩月「信じる事は救われると言うやろ」

 

 とびきりの笑顔を見せる彩月。

 

ねむ「胡散臭い笑顔だよ・・・・・。一夜はどうなったんだい?」

 

彩月「ソウルジェムを砕かれて死んだで。まあ朱奈さんは無事やけどな」

 

彩月(けど一夜さんが死んだ後で何故一夜さんの魔法が発動したんや?分からんなあ・・・・・)

 

ねむ(まるで他人事だね・・・・・。やっぱり君の本性は・・・・・)

 

ねむ「そっか・・・・・・・。一夜には済まない事をしたよ」

 

彩月「まあ捕まった時点で仕方ない事やろ。ところでウチ達は綾女さんと戦ったで」

 

ねむ「えっ?」

 

彩月「ドッペルと魔女が入り混じって暴走した綾女さんとやけどな。何とか倒せたで」

 

ねむ「そう言えば裏切りの羽根に筒地綾女の移送を任せていたね」

 

彩月「成程。だから使こうてきた訳やな」

 

 言いながら彩月は手の中にキューブの中に封印していた筒地綾女のソウルジェムを取り出した。

 

彩月「ソウルジェムだけは回収したんやけど・・・・・。こりゃもう駄目やろな」

 

 彩月がねむに見せた筒地綾女のソウルジェムは既に無数のヒビが走っていた。

 

ねむ「ヒビだらけだね。今にも壊れそうだよ」

 

彩月「どうしたもんやろなあ」

 

 そこへ無数の足音が響くと多くの魔法少女達が調整屋に入って来た。

 先程までワルプルギスの夜と戦っていた環いろはを初めとした魔法少女達である。

 ほとんどの魔法少女は疲労感からその場に到着と同時にその場に座り込んでいた。

一部の治癒魔法を持つ魔法少女は周囲で傷の深い魔法少女に治癒魔法を施していた。

 

美樹さやか「怪我してる人がいるなら私が治療するから!」

 

鹿目まどか「私も少しなら治療が出来るから」

 

暁美ほむら「鹿目さん!美樹さん!無理はしないで」

 

伊吹れいら「私も浄化の炎が使えるから」

 

鞠子あやか「それなら雫ちゃんを治療して!」

 

保澄雫「あやか。私は大丈夫だから・・・・・」

 

 魔法少女達の様子を一歩引いて観察している彩月。

 

郁美「彩月ちゃん!無事だったの!?」

 

マミ「彩月さん!?無事だったのね」

 

観鳥さん「ほら。観鳥さんの言った通りだろう?」

 

 観鳥さんは彩月が無事な事を郁美とマミに伝えていたのが彩月にも分かった。

 

彩月「お久しぶりやなあ。お二人さん。御覧の通りウチは無事やでー」

 

彩月(全く観鳥さんも余計な事をするなあ)

 

郁美「無事で本当に安心したよー!?」

 

マミ「その姿・・・・・。契約したと言うのは本当なのね・・・・・・」

 

 彩月の無事を喜ぶ郁美と対照的にマミは契約した彩月にショックを受けている様子だった。

 

彩月「まあウチも色々と考えておったからなあ。それに・・・・・。ウチにだって叶えたい願いがあるからなあ。必要な事やったんや」

 

マミ「そうね・・・・・。人には誰しも何か願いがあるのよね・・・・・」

 

 彩月の目に他の魔法少女達を掻き分けて灯花と環ういが、ねむに向かって駆け付けるのが見えた。

 

灯花「ねむー!無事!?」

 

環うい「ねむちゃん!」

 

ねむ「やあ。灯花。うい。どうやら無事にワルプルギスの夜を倒したみたいだね。お姉さんは?」

 

灯花「お姉様なら・・・・・」

 

 灯花の視線の先にはみふゆの傍にいる環いろは、七海やちよ、由比鶴乃、深月フェリシア、二葉さな、十咎ももこ、水波レナ、秋野かえで、天音月夜、天音月咲、八雲みたま、和泉十七夜の姿が見える。

 特に七海やちよはその青い髪を揺らすほどに悲しんでいる様子を見せていた。

 みふゆの身体の上に乗せられたソウルジェムには筒地綾女のソウルジェム以上の亀裂が深く刻まれていた。

 

彩月(あんな亀裂が出来たんじゃもう無理やろな)

 

 筒地綾女の記憶を持つ彩月にはみふゆのソウルジェムはもう手遅れの様に見えていた。

 

環いろは「・・・・・・・・・・。やちよさん。私、やるだけの事をやってみます!」

 

七海やちよ「いろは。何を?」

 

由比鶴乃「いろはちゃん!?」

 

深月フェリシア「いろは!?何するんだ!?」

 

二葉さな「いろはさん!?」

 

 環いろはが自らの手を梓みふゆのソウルジェムの上に掲げる。

 

十咎ももこ「いろはちゃん何を!?」

 

水波レナ「いろは!?アンタ何する気!?」

 

秋野かえで「もしかして!?」

 

環いろは「私の治癒の力でソウルジェムを修復出来ないかやってみます!」

 

天音月夜「出来るんでございますか!?」

 

天音月咲「出来るの!?」

 

八雲みたま「でも前例は無いわ。私もソウルジェムの修復なんて出来ないわ」

 

環いろは「でもやってみます。私はやちよさんとみふゆさんを再会させたいんです!」

 

和泉十七夜「どうやら本気の様だな。ならば止める事はあるまい」

 

七海やちよ「いろは。お願い・・・・・。みふゆを助けて!」

 

環いろは「はい!」

 

 環いろはの手の先からピンク色の魔力が魔法陣を形成してみふゆのソウルジェムに魔力が注がれていく。

 

環いろは(お願い!治って!)

 

 するとみふゆのソウルジェムが環いろはの魔力に包まれて表面から魔力が散っていくと同時に生じていた亀裂が修復されていた。

 

彩月(ウソやろ!? あんな事があり得るんか!?)

 

 一部始終をずっと観察していた彩月は感嘆の声を心の中で上げていた。

 

八雲みたま「嘘!?ソウルジェムを治せるなんて!?」

 

和泉十七夜「奇跡か。いや。環君の持つ固有魔法の力か」

 

環いろは「私もソウルジェムが修復出来るなんて知りませんでした・・・・・。今まで身体の治癒はして来たんですけど・・・・・・」

 

七海やちよ「いろは!あなたは大丈夫なの?」

 

環いろは「はい。私は大丈夫です。ちょっと疲れただけですけど」

 

みふゆ「う・・・・・ん。なん・・・だか。騒がしいですね」

 

 その時、重いまぶたを開いてみふゆの目が開いた。

 

七海やちよ「みふゆ!意識が戻ったのね!」

 

みふゆ「えっ?やっちゃん?ワタシは一体・・・・・」

 

十咎ももこ「みふゆさん!みふゆさんはマギウスの拠点を破壊しようとして・・・・・」

 

みふゆ「そうでしたね・・・・・。!? 戦いはどうなったんですか?神浜の街は?ワルプルギスの夜とイブの事は!?」

 

天音月夜「全部片付いたでございます」

 

天音月咲「そう。イブもワルプルギスの夜も倒したけど神浜の街はボロボロだけどね」

 

みふゆ「そうですか・・・・・。でも皆さんが無事で良かったです」

 

マミ「みふゆさん!」

 

佐倉杏子「良かったじゃないか。マミ」

 

観鳥さん「どうやら意識が戻ったんですね」

 

郁美「良かったー。くみは凄く感動してるよー」

 

 みふゆの意識が戻った事に多くの魔法少女が感動していた。

 同じ頃にナナツメは傷だらけのままで壁を背もたれにして座り込んでいた。

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

美樹さやか(あれ?あの人。怪我してるよね?)

 

美樹さやか「あのー。うわ!?これ全身が傷だらけじゃないですか!?」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

美樹さやか「私、治癒魔法を持ってるから治療しますね」

 

ナナツメ「小生の事はいい。他の魔法少女を優先しろ」

 

美樹さやか「いや。そう言う訳には」

 

ナナツメ「それなら・・・・。最低限動ける様にだけしてくれ。後は何とかする」

 

 ナナツメの言う様に周囲には他にもけがをした魔法少女がいる事をにんしきした美樹さやかはナナツメが他に気を使っていると解釈した。

 

美樹さやか「分かりました」

 

 美樹さやかがナナツメの身体の傷に触れながら魔力を流すとナナツメの身体の傷が癒えて行く。

 

ナナツメ「すまない。これで動ける」

 

美樹さやか「あー。そのー。良いんですよ。他の魔法少女を治療するんで私はこれで」

 

美樹さやか(なんか妙に目に迫力がある人だったなー)

 

 動けるようになったナナツメは早速ねむの元へ向かった。

 

ナナツメ「ねむ様。ナナツメ。再び護衛の任に付きます」

 

 言いながら跪くナナツメ。

 

ねむ「ナナツメ・・・・・。ありがとう。ところで灯花。実は・・・・・」

 

灯花「なーに。ねむ」

 

ねむ「実は足の感覚が無いんだ。動かす事も出来ない」

 

灯花「え!?だって見た所、外傷は無いし」

 

環うい「うん。怪我は無いけど・・・・・」

 

灯花「お姉さまー!ちょっとねむの所に来て―!」

 

環いろは「灯花ちゃん。どうしたの?」

 

灯花「ねむの足が動かないって言うから治癒魔法を」

 

環いろは「え!?分かった。やってみるね」

 

 環いろはがねむの足に治癒魔法を施した。

 

環いろは「どう?治癒魔法は施してみたけど・・・・・」

 

ねむ「ダメだね。何も感じない。何か別の原因があるかも知れない」

 

灯花「魔法で治らないのなら病院に行こう!パパ様なら原因が分かるかも知れないし。ナナツメ。ねむを連れて病院へ行こう」

 

ナナツメ「仰せのままに」

 

 ナナツメは答えながらねむの事をお姫様抱っこした。

 

ねむ「ナナツメ・・・・・。少し恥ずかしいんだけど」

 

ナナツメ「ではおぶりますか?」

 

ねむ「変わらないからこのままでいいよ」

 

灯花「それじゃお姉様!うい!わたくしはナナツメとねむを病院に連れて行くから!だからまた・・・」

 

環いろは「うん!また後で会おう!」

 

環うい「話したい事もたくさんあるからね!」

 

灯花「行こう!ナナツメ」

 

ナナツメ「分かりました」

 

 灯花とねむを抱えたナナツメは調整屋を出て行った。

 その時、七海やちよや観鳥さん、巴マミ達は意識の戻ったみふゆに視線を向けていた。

 他の魔法少女達も治療や情報交換にいそしんでいる。

 誰も彩月に目を向けていない空白の時間帯とも言えた。

 だからこそ彩月は行動を移した。

 

彩月「なあ、あんさん」

 

環いろは「えっ?私?」

 

 みふゆの元へ戻ろうとして話しかけられた環いろは、面識のない彩月に驚いていた。

 

彩月「さっき見たんやけどみふゆさんのソウルジェムを治したんやろ」

 

環いろは「うん。そうだけど」

 

環いろは(あれ?この子。前にも会った事がある様な?)

 

彩月「じゃあこのソウルジェムも治してくれへんか?」

 

 彩月はそう言いながら筒地綾女のソウルジェムを環いろはに見せた。

 

環いろは(これって・・・・・。凄いヒビ。みふゆさんのソウルジェムと同じ様な状態)

 

環うい「でもこれって誰のソウルジェムなの?」

 

彩月「あっ。それはな」

 

 思わぬ質問に慌てる彩月だったが目の前に意識を失って眠っている朱奈の姿が写る。

 

彩月「あそこで黄色いローブの上で寝てる子のソウルジェムや」

 

環いろは「そうなの。分かった。やってみるね」

 

 彩月の嘘を環いろはは疑わなかった。

 

環うい「お姉ちゃん。大丈夫なの?」

 

環いろは「みふゆさんのソウルジェムを治せたんだからきっと同じ様に治せる筈」

 

 彩月の手の上にある筒地綾女のソウルジェムに環いろはが渾身の魔力を注いで行く。

 筒地綾女のソウルジェムに生じていたヒビがピンク色の魔力が流れ込むと同時に修復されて行く。

 

彩月「凄いな。ソウルジェムが治ったで」

 

環いろは「良かった。これで大丈夫だね」

 

黒羽根「あの・・・・・。すみません。向こうにいる子を治療してくれませんか?」

 

 そこへ黒羽根姿の魔法少女が環いろはに新たな依頼をしてきた。

 

環いろは「分かりました。それじゃ」

 

環うい「お姉ちゃん。わたしも一緒に行くから」

 

 その場から離れる環いろはと環ういを見ながら彩月はほくそ笑んでいた。

 

彩月(まさかこんな簡単に騙されてくれるとは思わへんかったで。まあ騙さんでも治してくれたと思うんやけどな)

 

 この時点で。

 里見灯花と柊ねむはナナツメを連れて里見メディカルセンターへ向かった。

 梓みふゆの傍には七海やちよを初めとした魔法少女達がその無事を喜んでいた。

 そして調整屋の中には黒羽根や白羽根、魔法少女達が雑多に休憩したり治療を受けていたりしていた。

 環いろはや美樹さやかと言った治癒魔法の持ち主は治療に追われている。

 つまり誰も彩月と朱奈に注目する事は無かったのだ。

 誰の目にも注目されていない事を感じ取った彩月は眠っている朱奈を抱えるとそっと調整屋を出た。

 

彩月(さて・・・・・。ソウルジェムは確保できた。後は・・・・・。必要なのは身体か。けど綾女さんの身体は吹き飛んでもうたからなあ・・・・・。まあ探してみるかあ)

 

観鳥さん「何処へ行くんだい?」

 

 調整屋の出入り口で観鳥さんが声を掛けて来た。

 

彩月「なんや。バレたか。観鳥さんには敵わんなあ」

 

観鳥さん「観鳥さんはシャッターチャンスを逃さないからね。で、何処に行くんだい?」

 

彩月「さあなあ。けど・・・・・。もうここには用は無いなあ」

 

観鳥さん「最初から契約する事が目的だったのかい?」

 

彩月「どうやろなー。でもねむ様がウチを黄羽根にしなければウチはきっと何もしなかったやろな。けどねむ様がチャンスをくれたんやからそれを最大限に使こうただけや。その結果としてウチは契約して自由な本当の魔法少女になれた。だから自由に進むんや。それが何か悪い事なんか?」

 

観鳥さん「悪いとは言わないよ。それに止める気も無いよ。自由に生きたいと思うのは生物の基本的な本能だしね。ただ・・・・・。観鳥さんとしてはねむ様にお別れもしないで良いのかいと聞く義務があるからね」

 

彩月「・・・・・。そうやな。確かに何も言わへんのはマズいなあ。そや。今、観鳥さんにメールを送るからそれをねむ様に見せてくれへんか?それでええやろ」

 

観鳥さん「本当なら自分で言うのが一番なんだけどね。いいよ。ねむ様に伝えとくよ」

 

彩月「それじゃ」

 

 彩月はその場で朱奈を抱えながら器用にスマホ(洗脳された時に没収されていなかった)でメールを打った。

 

彩月「それじゃ送信と。これで頼むで」

 

観鳥さん「うん。確かに来たね・・・・・。えっ!?本当にこれで良いの!?」

 

彩月「ああ。それで頼むで。ねむ様にはそれなら分かりやすいやろ」

 

観鳥さん「まあ確かにね・・・・・」

 

彩月「じゃあな。観鳥さん。次に会う時も味方である事を祈るで」

 

 そう言って片手を振って彩月は朱奈を抱えて去って行った。

 

観鳥さん「さよなら。彩月さん。まあきっとまた会うだろうけどね」

 

郁美「ねえ令ちゃん。本当に止めなくて良かったの?」

 

 出入口の影から牧野郁美が出て来て観鳥さんに声を掛けた。

 

観鳥さん「良いんだよ。どうせ彩月さんは誰にも止められないからね」

 

郁美「そうかもね。彩月ちゃんはいつも好きに動いていたんだからね」

 

観鳥さん「それにしても・・・・・。観鳥さんはこのメールをねむ様に届けるのは気が重いよ」

 

郁美「そんなに変な内容なの?」

 

観鳥さん「うーん。そう言う訳では無いんだよね。ただね・・・・・。まっ観鳥さんが書いた訳じゃ無いからね」

 

郁美「?」

 

観鳥さん「さあ。観鳥さん達も店に戻ろう。しばらくしたら帰らないといけないからね」

 

 意味ありげな顔をする観鳥さんと困惑したままの郁美。

 

 

 

 

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