マギアレコード 偽書e/s memorys 作:ジャックノルテ
□21 過去の神浜市の隣町 建物の屋根の上 夕方
周囲を見渡せる高い建物の屋根の上に彩月はいた。
この一帯において一番高いこの建物の屋根の上を見れる場所は無く周囲を監視するにはもってこいの場所と言えた。
彩月「ようやく来たかあ・・・・・・」
監視していた彩月の眼前で一人の少女が不法投棄のされた土地へ急ぎ足で歩いているのが見える。
??「魔女・・・・・・」
少女の眼前には魔女か使い魔の作った結界がある。
当たり前の様に少女は変身して強化された黒羽根のローブを身に纏う。
黒羽根Dは魔女の結界に突入した。
彩月(ようやく尻尾が掴めたなあ。それにしても・・・・・。流石に隠蔽の魔力を持っとるだけの事はあるな。直前まで全く魔力を感じなかったわ)
黒羽根Dが結界に突入したのを見ると彩月も黒いローブを身に纏うと少し時間を置いて同じ結界に入り込んだ。
同じ入り口から入ったが既に黒羽根Dの姿は無い。
彩月(やっぱり魔力を僅かにしか感じんな。位置が掴み難いなあ・・・・・)
心の中でぼやきながらも彩月は結界の奥に進み続ける。
途中で出会った使い魔を切り伏せて通路を進んで行く。
幸いにも先に入った黒羽根Dと鉢合わせする事は無かった。
慎重に進んで行く彩月だったが前方から魔力のぶつかり合いを感じ取る。
彩月(近付いとるか。この魔力の大きさからして相手が魔女なのは確実かあ)
彩月の足取りは意識した事でより慎重となる。
周囲への注意力は増すと同時に彩月は魔力の放出を押さえる。
なるべく相手に気付かれて先手を打たれる事を警戒したからだ。
彩月(ここか・・・・・・)
普段よりも自身の一挙一動に気を使いながら彩月が結界の最深部に覗いて見るとそこでは黒羽根Dが魔女と戦っている最中だった。
魔女との戦いに夢中となり入り口から僅かに顔を見せて覗いている彩月の存在には気が付いていない。
改革派Dと魔女との戦いは戦い慣れている改革派Dの方が上手なのは彩月にも直ぐに分かった。
彩月(だからこそ・・・・・・。ベテラン相手には奇襲しか勝機は無い・・・・・)
そっと彩月は鎖鎌を構える。
彩月(チャンスは一度。相手が魔女にトドメを刺した瞬間のみ・・・・・。予兆は必ずある。どんな魔法少女でもトドメの一撃には魔力の一転集中を行う。そこが唯一の隙や)
全神経を集中して改革派Dの動きを観察する彩月。
魔女の攻撃が改革派Dの身体を掠めるも改革派Dの身体を覆う強化されたローブを破る事は出来なかった。
彩月(そろそろか・・・・・・・・)
既に魔女の魔力は弱っており今の魔女が行った攻撃は逃亡の牽制とも言える攻撃だった。
だが改革派Dはそれを読み切って動き逃亡を許さない。
改革派D「!!」
魔女に一定の距離を近付いた改革派Dが魔力を鎖鎌に集中する。
彩月(来たか!)
彩月もまた鎖鎌を構える。
改革派Dが魔力を両手の鎖鎌に集中して一気に魔女との距離を詰める!
最早魔女に抵抗の手段は無い。
魔力を集中した改革派Dの右手の鎖鎌が魔女の身体に触れようとした。
彩月(今!)
そこで一気に彩月は駆け出した。
改革派Dの右手の鎖鎌が魔女の身体を切り裂いたその瞬間に跳躍した彩月が改革派Dに迫り来る!
彩月(獲った!)
彩月も瞬時に自身の鎖鎌に借り物のソウルジェムから魔力を供給して改革派Dに振り下ろす!
改革派Dの右手の鎖鎌が魔女を真っ二つにすると同時に左手の鎖鎌が彩月の鎖鎌を阻む!
彩月「なっ!?」
流石に彩月も驚きを隠せなかった。
彩月(このタイミングで対応しやがったやと!?)
改革派D「驚いた。あれだけやられたのに私に襲撃を仕掛けたのか?」
彩月(!!)
改革派D「どうやら私の魔法が魔力の隠蔽だから直接の戦闘が苦手と思ったようだがそうじゃない。私はこの鎖鎌を使っての戦闘が得意でね!」
魔女にトドメを刺し崩壊する結界の中で彩月を蹴り飛ばす改革派D。
蹴り飛ばされた彩月はそのまま結界から不法投棄された土地へ吹き飛ばされる。
彩月(ちっ。見誤ったと言う事か・・・・・・)
改革派D「お前の腕は悪く無いが私には及ばない。仕返しに弱そうな相手を選んだ様だが生憎だったな」
改革派Dは余裕なのかグリーフシードを拾い上げながら彩月に迫る。
改革派D「それにもっと弱い相手がいるのに何故私を狙った?」
彩月「・・・・・。ああ。無口なアイツか」
彩月と改革派Dの脳裏には改革派Eの姿が浮かんでいた。
彩月「アイツは・・・・・。狙う気にならへん。昔馴染みやしな」
改革派D「? まあいい。また跪かせるか。いや・・・・・。殺すか」
走り出した改革派Dは彩月に向かって右手の鎖鎌を振り下ろした!
彩月(ここで使う気は無かったんやけどな!負ける気は無いで!)
咄嗟に彩月は左手に隠し持っていた借り物のソウルジェムと同じ形状をした魔力の入った宝石を振り下ろされた改革派Dの鎖鎌に向けると鎖鎌の刃が通る軌道上にあった宝石は破壊されると同時に魔力を改革派Dに向かって放出させた!
改革派D「!?」
彩月(どうや!?)
握り締めていた宝石に魔力を押し込んでいた彩月の眼前で改革派Dは宝石の内部に残っていた魔力を全身に浴びてしまった。
改革派D「うっ!?」
まるで金縛りにあった様に改革派Dの身体は動けなくなりその場に倒れてしまった。
彩月(あの黒羽根の固有魔法が効くかどうかは博打やったけど・・・・・。それにしても固有魔法まで保管出来るなんてこの宝石、割とヤバイ発明やで。一夜さん)
ソウルジェムと同じ形状をした宝石の中に入っていた魔力は先日、彩月が改革派Bとの戦いの中で宝石の中に取り込んだ改革派Bの金縛りの固有魔法だった。最も固有魔法が入っているかどうかは確認が出来ないので賭けの様な物だったが。
金縛り状態となって改革派Dは動きを取れない様子だった。
彩月「んじゃ失礼するで」
制限時間が限られている中で彩月は改革派Dの身体に借り物の魔力を僅かに流し魔力反応からソウルジェムの位置を割り出した。
彩月「じゃあ頂くで」
彩月は改革派Dの身体からソウルジェムとスマホを奪い取ると鎖鎌の鎖で縛り上げてその場に鎖鎌と繋がる黒いローブを脱ぎ捨てた。
改革派D「かっ返せ!」
彩月「イヤやで。ウチはこれが欲しくてやったんや」
改革派D「ッ!!」
改革派Dは残された魔力を駆使して身体を動かそうとするも、まだ金縛り魔法によって動く事が出来ない様子だった。
彩月「無駄な抵抗するなあ。じゃあこれでどうや?」
そう言って彩月は左手の平を見せつける。掌には二つの指輪があり魔力に反応してソウルジェムへと変化する。その二つのソウルジェムから流れる魔力を感じ取り改革派Dの顔色が変化する。
改革派D「まさか」
彩月「お仲間のやで。あんさんも仲間入りや!」
そう言って彩月は跳躍してその場から離れて行く。
拘束されていた改革派Dは追う事も出来ずにその場で意識を失い死体となった。
100メートルを離れて彩月は改革派Dのソウルジェムを魔力遮断するケースにしまうと元の場所に戻った。
そこには改革派Dの死体が残っているので、彩月は右手から出現させたアリナのキューブに改革派Dの死体を取り込んだ。
彩月「これで後は・・・・・・」