マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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第9話 私が劣った相手に負ける訳は無い!

□22 過去の神浜市の隣町 数日後の夕方 某所の廃墟

 

 

 廃墟の中の一室に白羽根のローブを纏った二人が向かい合い会話をしている。

 

改革派A「七海やちよはまたウワサを消したのか。では和泉十七夜の動きは?」

 

白羽根8「はい。見張りをしている羽根の報告によれば普段のローテーションを崩す事無くバイトと学生生活と魔女、ウワサ退治をしているそうです」

 

改革派A「そうか。なら手はあるな」

 

改革派A(和泉十七夜の自宅は分かっている。家族を人質に取れば・・・・・)

 

白羽根8「どうするつもりですか?」

 

改革派A「それは知らなくていい。知らなければこの会話もただの世間話で済む」

 

白羽根8「そうですね」

 

改革派A「では和泉十七夜への対処を終えたら連絡する。その時は」

 

白羽根8「はい。私の方からみふゆさんを通さずにマギウスに直接の報告を」

 

改革派A「またメールで連絡する」

 

白羽根8「分かりました」

 

 互いに会話を終えると両者は廃墟を出て行った。

 その足で改革派Aは仲間との待ち合わせ場所にしている閉鎖された団地の一室へと足を向けていた。

 

改革派A(方針は決まった。仲間にも十分な休息も与えた。まずは和泉十七夜を狙う)

 

 自らの指針を定めた改革派Aの足取りは快調に進んで待ち合わせに使っている閉鎖された団地の一室に辿り着いた。

 

改革派A(誰もいないのか?)

 

 待ち合わせ時間より10分程前だが普段なら1番に改革派Dが来ている事の方が多かった。

 

改革派A(・・・・・。妙だな。一応、連絡してみるか。まあ久々の休日だから羽根を伸ばし過ぎたのかも知れないな)

 

 改革派Aが取り出したスマホでメールをメンバーに一斉に送る。

 その時、三つの着信音が入り口の方から来た。

 

改革派A(何だ。杞憂だったか)

 

 三つの着信音と同時に三つの魔力反応を感じ取り改革派Aは入り口の方に目を向ける。

 

改革派A「珍しいな。私が一番乗りと」

 

 言葉に詰まる改革派Aの目の前にいたのは予定外の人物だった。

 

彩月「どうした?驚いたんかあ」

 

 入り口から入って来た彩月の存在に気付かなかった改革派Aは驚きを隠せなかった。

 黒羽根のローブを纏う彩月から借り物のソウルジェムから放出される魔力を感じ取れなかったからだ。

 

改革派A「何故ここに?」

 

 身構える改革派Aに対して彩月も身構える。

 

彩月「リベンジに決まっとるやろ。ボケ」

 

改革派A(どういう事だ。どうしてコイツの接近に気が付かなかった?例えコイツが疑似魔法少女でも魔力は放出する筈・・・・・)

 

彩月「どうやらウチの魔力が感じられない事が気になるようやな。答えはこれや」

 

 そう言って彩月は改革派Aの目の前に三つのスマホをワザとらしく落とした。

 目にした瞬間に改革派Aにもそれが見慣れた人物が使用するスマホだと直ぐに気付いた。

 

改革派A「まさか」

 

彩月「そうや。アンタのお仲間3人はウチが倒したで」

 

 そう言って左手で握る魔力を遮断する箱の中にある三つのソウルジェムを見せつける。

 指輪から出ている魔力は確かに仲間の改革派B、C、Dの物だった。

 瞬時に改革派Aはだからこそ彩月の魔力を感じられなかった事を悟り行動を起こした。

 

改革派A「!!」

 

 咄嗟に改革派Aは彩月に侵食魔法を使用していた。

 以前にも使用しており彩月の右腕に侵食作用は残っている。

 

彩月「ッグウウウウウウウウウウウウウウ」

 

 右手を押さえてその場に膝を付く彩月!

 改革派Aはその隙を見逃さずに手にした鎖鎌で切り付けていた!

 ところが振り下ろされた改革派Aの鎖鎌は右手を押さえていた彩月が瞬時に自身の鎖鎌で受け止めた!まるで浸食魔法の作用が無いかの様に。

 

改革派A「まさか!?」

 

 彩月の行動から抱いていた違和感が繋がり改革派Aは悟っていた。

 

彩月「残念やな。もう浸食魔法は解除したで」

 

 そう言って苦しむ振りをしていた彩月は左手に緑色のキューブを見せつける。

 

改革派A(!! そう言う事か)

 

 それだけで改革派Aは彩月がアリナ・グレイの固有魔法によって浸食魔法を無力化したと気が付いた。

 その証拠に緑色のキューブからは浸食魔法を構成する自身の魔力を感じ取れた。

 

彩月「さあ続きをしよか!お仲間が待っとるで!」

 

 好戦的に髪留めのソウルジェムから魔力を放出させる彩月。

 

改革派A「舐めるな!!」

 

 彩月と改革派Aの鎖鎌同士の戦いは続いて行く。

 互いに鍔迫り合いを繰り返しながら団地の外へと出て跳躍によって団地の屋根で戦い続ける。

 

改革派A(馬鹿なヤツだ。アイツのローブは所詮、越馬一夜の作った既製品に過ぎない。だがこちらのローブは私の浸食魔法で強化した物だ!簡単には破れはしない!)

 

 改革派Aが鎖鎌を投げ付けるも彩月は咄嗟にキューブの中から改革派Bの死体を出して盾にする!

 

彩月「酷い人やな。お仲間傷付けるなんて」

 

改革派A(コイツ・・・・・)

 

 改革派Aは仲間の死体に刺した鎖鎌を引き抜くも気にした様子は見せない。

 

改革派A(アイツを倒して身体を取り戻せばどうとでもなる。集中しろ。アイツは所詮、疑似魔法少女に過ぎない。私が負ける要素は無い)

 

 すると彩月は飛び降りると近くにある団地の壁に姿を隠した。

 

改革派A(何を考えている?身を隠した所で魔法少女は魔力を遮断しなければ気配は消えない。魔力は消えていないし何を・・・・・・)

 

 考えながらも彩月を追う事を選択した改革派Aは彩月の真上に飛び降りようとする。

 それを察知していたのか彩月は壁を盾に姿を隠そうとする。

 

改革派A(見られる事を警戒しているのか?だとすれば何か時間の掛かる手段を行おうとしている?だとするなら速攻で決着を)

 

 彩月を追う改革派Aは彩月が身を潜めた壁に迫る!

 

改革派A(この距離ならどんなに魔力を遮断した所で今更隠れられる訳では無い!)

 

 改革派Aは壁で見えないが彩月のいる場所へ駆け出そうとした時、改革派Aの身体に衝撃が走った!

 

改革派A「!?」

 

 驚いた改革派Aが身体に走った衝撃の箇所に目をやると、その場所である自身の胸に壁から魔法陣越しに出現した鎖鎌の刃が刺さっていた!

 

改革派A「っ!?」

 

 驚きの余り硬直する改革派Aの眼前に壁の横から彩月が姿を見せる。

 

彩月「こういう単純なトリックが一番効くやろ」

 

彩月(一夜さんの固有魔法を昨日急ぎで借りて正解やったな。それともう一つは出番無しかなあ?)

 

 笑みを浮かべた彩月がその場に胸を押さえて膝を付く改革派Aの目の前に姿を見せた。

 その手には薙刀が握られ改革派Aの首筋に刃を向けている。

 

彩月「これで立場逆転やな。どうや?見下してた相手に跪く今の気分は?」

 

改革派A「・・・・・・・・・・・・」

 

彩月「ウチは最高の気分やで。良い気分に浸らせた相手を貶めると言うのはなあ」

 

 邪悪としか形容の出来ない表情を見せる彩月。

 

改革派A「・・・・・・・・うな」

 

彩月「?」

 

改革派A「私に勝った等と思うな!」

 

 叫んだ瞬間に改革派Aの顔を隠してたフードが同時に起こった疾風によって捲れ上がると同時にその素顔が露わになる!

 

彩月「なっ!?」

 

 驚愕の表情を見せ慌てて距離を取る彩月。

 最大限の警戒を見せて距離を取った理由は明白だった。

 それは改革派Aのフードの下に隠れた素顔を見たからだった。

 それは素顔であって素顔で無い物だった。

 

改革派A「私が劣った相手に負ける訳は無い!」

 

 それまで分からなかったが改革派Aの素顔は白い能面の様な仮面に覆われていたのだ。

 

彩月(あの仮面・・・・・。ドッペル依存症やな。けどここは神浜市や無い。なのにドッペルが発動したんか?)

 

 神浜市では無いにも関わらずドッペルが発動した事に違和感を抱きながら彩月は改革派Aを観察していた。

 改革派Aの素顔は仮面に覆われ、その背中からは菌の胞子の様な物が増大すると蝉の幼虫の様な物が構成されていく。その有様はまさしく冬虫夏草と言える。

 

彩月(もしかしてコイツ・・・・・。最初からドッペルに乗っ取られていたんやないか?それに確か固有魔法は恐らくは浸食。それなら筋が通るな。浸食によってドッペルが実体を維持したまま主人格を乗っ取ったんなら神浜市でなくてもドッペルが発動したのも納得やな)

 

 それは彩月の推測に過ぎなかったが概ね当たってはいた。

 改革派Aは異例とも言える神浜市外でありながら発動したドッペルと言う意味では。

 

ドッペル改革派A「!!」

 

 両腕の鎖鎌に胞子を纏わせてドッペル改革派Aが彩月に襲い掛かる!

 

彩月「くっ」

 

 彩月は咄嗟に跳躍して団地の上に逃げるもドッペル改革派Aも追って来る!

 

彩月(いくら何でもマトモにぶつかったら確実に負ける。どうにかせんと)

 

 そう考えた彩月にドッペル改革派Aが一気に接近すると彩月の事を蹴り飛ばす!

 

彩月「ッ!!」

 

 蹴り飛ばされた彩月は近くの森に落下してしまう。

 

ドッペル改革派A「!!」

 

 彩月の事を警戒しているのかドッペル改革派Aは少し離れた場所に降り立つと彩月のいる方向へ向かって行く。

 

彩月「ちっ。ここまでヤバイ相手やと思わんかったで。けど・・・・・。もう出し惜しみは無しや」

 

 そう言いながら彩月が手にしたのは安積はぐむの巨剣だった。

 ただしこれは一夜がコピーした物でありオリジナルでは無かったが彩月の提案により改良が施されている。

 それは魔力を溜められる宝石を刀身に組み込んだ事で大量の魔力を溜め込む事が可能だった。

 

彩月「どうせやるなら勝たんと意味が無いからなあ!」

 

 言いながら彩月は持っていた魔力を溜め込んだ宝石を次々と巨剣に押し当てる。

 数は15個に及ぶ。宝石の中に入っている魔法少女の魔力はマギウスの翼に所属する黒羽根や白羽根を新装備のテストと言って騙して魔力を溜めさせたのだ。

 

彩月「どうや!」

 

 彩月の叫びに呼応する様に巨剣からは膨大な魔力が溢れている。

 

彩月「これなら・・・・・。!!」

 

 その時、ドッペル改革派Aが背中から生えた小さな蝉の羽根をむしり取ると彩月に向かって投げ付けて来た!

 蝉の羽根は鋭い切れ味を持って彩月のローブの右側を切り裂き避けようと駆け出した彩月は右腕から流血して巨剣を落としてしまう。

 

彩月「しまった」

 

 思わず声を出したが後の祭りでありそこへドッペル改革派Aが迫り来る!

 

ドッペル改革派A「お前に勝ち目は無い!」

 

 それは言葉をと言うよりも咆哮の様な物だったが右腕を押さえる彩月には確かにそう聞こえていた。

 

彩月「それはどうやろな?」

 

ドッペル改革派A「ほざくな!」

 

 彩月に迫るドッペル改革派A!

 

彩月(これしかないか)

 

 決断を下した彩月に対してドッペル改革派Aが両手に構えた鎖鎌で切り付けて来る!

 彩月は左手に出現させた緑色のキューブが輝くと同時に改革派CとDの遺体が出現するとドッペル改革派Aの鎖鎌に突き刺さる!

 

ドッペル改革派A「!?」

 

彩月(今!)

 

身を低くして動き出そうとした彩月に対してドッペル改革派Aは背中から生えた蝉の足から生えた爪が迫り来るも突如として動きを停めてしまう。

 

ドッペル改革派A「!?!?!?!?!?」

 

 ドッペル改革派Aの視界は今、背中から生えている冬虫夏草、蝉の幼虫の頭から見ていた。その蝉の幼虫は魔力で構成されており魔力で物を見ている状態だったのだが、彩月の姿を突如として見失い混乱していた。

 混乱を加速させる様に突如として彩月がドッペル改革派Aの視界に現れる!

 

ドッペル改革派A「!!」

 

彩月「遅いで!」

 

 彩月が右腕の鎖鎌に思いっきり魔力を込めて引き戻すとその鎖鎌に絡められていた魔力の大量に籠った巨剣が引き寄せられ彩月の手に戻ると同時にドッペル改革派Aに向かって巨剣は振り下ろされた!

 

彩月「!!」

 

ドッペル改革派A「!!」

 

 完全に鍔迫り合いの形となってしまったが彩月は突如として自分が握り締める巨剣に向かって鎖鎌を巨剣の刀身に組み込まれた魔力を溜める宝石へと叩き付けたのだ!

 結果、大爆発が起きて意識を朦朧としていたドッペル改革派Aは落下して行く。

 落下するのは彩月も同様だったが彩月の身には3枚重ねされたローブの内、2枚を犠牲にする事でダメージを最小限にしていた。

 

彩月「悪いがウチの勝ちや!」

 

 魔力の放出でドッペル改革派Aの背後に降り立つと同時に彩月はその手に出現させた薙刀でドッペルと繋がる改革派Aの背中を切り裂いた!

 

ドッペル改革派A「ぎゃあああああああああああああああ」

 

 魔力の供給が無くなり肉体を崩壊させるドッペルに対して急激に魔力を失った改革派Aは茫然とその場に倒れ込み意識を失っていた。

 

彩月「ギリギリ所か大損と言った所や無いか。まあ貰うもんは貰っとくで」

 

 彩月は倒れた改革派Aの身体からソウルジェムを取り上げると魔力を遮断するケースに保管する事で完全に動きを封じた。

 そして改革派Aの死体を右手に出現させた緑色のキューブに取り込んだ。

 

彩月「それにしても本当にやばかったで」

 

 ぼやきながら彩月の見つめる先には黒いローブが落ちている。

 その黒いローブには改革派Aの魔力が染み込んでいる。

 つまり先程、ドッペル改革派Aが彩月の姿を見失ったのは彩月が咄嗟に身に纏っていた黒いローブに緑色のキューブの中に入っていた改革派Aの魔力を流し込む事によって黒いローブは改革派Aの魔力を帯びてしまった。

 ドッペル改革派Aは背中の冬虫夏草の部分から魔力で物を見ており自身と異なる魔力の物だけを狙って攻撃していた。

 それ故に黒いローブに宿った自身と同一の魔力を上手く認識する事が出来ずに彩月の接近を許してしまい敗北したのだ。

 最も彩月はそれに気が付いた訳では無くあくまで相手が困惑する事を狙っての行動だった。

 全ては取り落としたと見せかけた魔力を溜め込んだ巨剣を確実にぶつける為に。

 

彩月「さてさて。後は残りの死体を回収してと」

 

彩月(まだ騒ぎになると困るんからなあ)

 

 改革派Aの魔力が染みた黒いローブと改革派CとDの死体を回収した彩月は残るBの死体の方向に足を向けようとしていた。

 その様子をずっと見つめる視線があった。

 黒いローブを身に纏う改革派Eだった。

 

改革派E「・・・・・・・・・」

 

 何も告げずに改革派Eはその場から離れて行く。

 彩月に背を向けて離れた為に改革派Eのいた方向に彩月が視線を向けた事に気付く事無く。

 

彩月「明日はアイツか」

 

 




改革派のメンバーの話は個々で長さにバラつきがありますが、一人一人個別にした方が話として読みやすいと判断してこういう形を取りました。
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