マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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第12話 直ぐに仲直りなんて出来る訳が無いでしょう

□27 神浜市内 新西区 調整屋 マギウス裁判後

 

 

 

 彩月がみかづき荘において宣戦布告とも取れる発言をした後日・・・・・。

 調整屋において八雲みたまの立ち合いの元でねむと灯花、みふゆの4人が改めて七部セナことナナツメが調べて来た菖蒲彩月に関する詳細な報告を改めて聞いていた。

(万年桜のサクラは環いろはとういと過ごしている為不在)

 

七部セナ=ナナツメ「以上が小生の調べた菖蒲彩月に関する詳細な報告です」

 

ねむ「彩月がそんな事を・・・・・」

 

灯花「でもわたくし達の前で彩月の様子は・・・・・」

 

みふゆ「特に変わった様子は無かったですよね。みたまさん。調整をした時に何か気が付いた事は?」

 

八雲みたま「いいえ。彩月ちゃんは疑似魔法少女だから私も彩月ちゃんの記憶が僅かに見える事があっても元のソウルジェムの持ち主の記憶の方が多かったから気付かなかったわ」

 

ねむ「それに彩月は演技が上手い。つまりこれまでの態度もずっと演技をしていたと考えれば」

 

みふゆ「成程。見抜くのは難しいと言う訳ですね」

 

ねむ「それに・・・・・」

 

みふゆ「それに?」

 

ねむ「もしかしたら彩月が倒した魔法少女は4人だけじゃ無いかも知れないよ」

 

灯花「確かにあれだけ演技が上手いなら考えられなくもないかにゃー」

 

みふゆ「ワタシ達魔法少女が殺されたとしても魔女や使い魔、縄張り争いがある事を考えれば誰かが死んでも直ぐに気付けない事は確かですから」

 

灯花「この話はお姉様の前でしなくてよかったにゃー」

 

ねむ「お姉さんとういには刺激が強すぎるしね」

 

みふゆ「それでこれから彩月さんに対してはどういう対策をしますか?」

 

ねむ「そうだね。危険な魔法少女として神浜市の魔法少女全体に注意喚起した方が良いね。4人も魔法少女を倒している訳だしね」

 

みふゆ「やっちゃんと十七夜さん、都さんにはワタシから伝えます」

 

八雲みたま「どうやら彩月ちゃんは更紗帆奈と同じ位、危険な魔法少女と言う事ね」

 

 かつて神浜に置いて混沌を引き起こした狂気の魔法少女更紗帆奈を引き合いに出したのは八雲みたまが最大限の警戒をしている証とも言えた。

 

灯花「それにしても気になるにゃー」

 

みふゆ「何がですか?」

 

灯花「彩月がソウルジェムを奪った理由だよー」

 

ねむ「確かに気になるね。奪ったにも関わらず彩月が使用した痕跡は無いしね」

 

みふゆ「でも彩月さんが使えるソウルジェムはねむが接続したソウルジェムだけなんですよね?」

 

ねむ「うん。だからこそソウルジェムを奪う理由が分からないんだ」

 

みふゆ「前に聞いていた筒地綾女が使えたと言うソウルジェムを強制制御する魔法を使おうとしたのでは?」

 

ねむ「それも考えたよ。でも僕が彩月に与えたのはソウルジェムから放出される魔力を制御して固有武器を使うだけ。知識があってもそれを活かす魔力の具現化は本当の魔法少女で無ければ上手く出来なかった筈だよ。今は違うけどね」

 

灯花「彩月は契約を果たして本当の魔法少女になったしねー」

 

ねむ「そして筒地綾女もいる」

 

みふゆ「そうですね。でも綾女さんに関しては気になる事があります」

 

ねむ「姿を見せずにテレパシーだけだったからね。もしかしたら一夜や彩月に行った様にソウルジェムだけが繋がっているのかな?」

 

みふゆ「分からない事だらけと言う事ですね」

 

八雲みたま「気になる事が一つあるわ。ナナツメさんと彩月ちゃんが戦った裏切りの羽根達の事よ」

 

ナナツメ「ベル、ナル、あすみんとお互いを呼んでいました」

 

みふゆ「本名では無くあだ名の様な物でしょうか?聞き覚えは無いですね」

 

八雲みたま「わたしは聞き覚えがあるわ」

 

灯花、ねむ、みふゆ「!?」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

みふゆ「みたまさん。それは一体どういう事ですか?」

 

八雲みたま「ベルとあすみんには聞き覚えが無いけど、ナルと言う名前に聞き覚えがあるわ」

 

ねむ「それはどういう事かな?」

 

八雲みたま「わたしの姉弟子がナルと名乗っていたわ」

 

灯花「調整屋さんの姉弟子って事は前に聞いた先生の弟子の事かにゃー?」

 

八雲みたま「そうよ。わたしに調整の技術を教えてくれた先生が神浜市に来た時、姉弟子であるナルさんを連れて来ていたのよ」

 

 八雲みたまの脳裏に浮かぶのは先生とナルに初めて会った時の事が浮かんでいた。

 絶望に包まれた八雲みたまの前に現れた先生とナル。

 

八雲みたま(あの時、わたしを那由多の呪いを願ったと評したあの人が敵になるとなんて・・・・・・)

 

みふゆ「と言う事はそのナルと言う人物はみたまさんと同じ調整の技術を持っていたと言う事ですね」

 

八雲みたま「そうよ。腕で言うならわたしより上よ。恐らく羽根でいる間もわたしに会わない様にしていたんでしょう。それにナルさんなら魔力を調整して判別出来ない様にする位は簡単でしょうね」

 

ねむ「つまり敵の一人は調整の技術を持っていると言う事だね」

 

八雲みたま「そう思って良いと思うわ。ナルさんが何処で調整屋をしていたのかは知らないけど、調整屋が敵に回ったら厄介なのは確かよ」

 

灯花「前々から思ったんだけどにゃー。調整屋ってそんなにいるモノなのかにゃー?」

 

ねむ「確かに僕もみたまさん以外は聞いた事が無いね」

 

みふゆ「そうですね。この付近ではみたまさんしかいないのは確かかと」

 

八雲みたま「この辺りにわたししかいないのは確かね。ただわたしも他の調整屋が何処で活動しているのかは知らないわ」

 

みふゆ「その先生と言う人物はどちらに?先生ならナルさんの事を知っているのでは?」

 

八雲みたま「あの人はキャンピングカーで色々な街を回っているから分からないわ。連絡手段はキュウべえを経由すれば・・・・・」

 

灯花「それはなるべく避けた方が良いかにゃー」

 

ねむ「そうだね。キュウべえにこちらの弱みを見せれば何をするか分からないからね」

 

灯花「それに・・・・・・。わたくしとねむの予想ではそろそろ他の地区にいる魔法少女が神浜市に来ると思うんだにゃー」

 

みふゆ「マギウスの翼が解散した以上は、その事だけは避けられませんからね」

 

灯花「説明会を開催した以上はそうなる事は分かり切っていたんだけどにゃー」

 

ねむ「他の街の魔法少女達も自動浄化システムの事を知れば必ず干渉して来るだろうからね。下手をすれば・・・・・。争いになりかねない」

 

八雲みたま「その為にも神浜の魔法少女を一つに纏める必要があるわね。外部に対する抑止力とする為にも」

 

みふゆ「はい。問題に対処する為にも出来る事は全て行いましょう」

 

灯花「そうだにゃー」

 

ねむ「当然だね」

 

ナナツメ「・・・・・・・」

 

 

 

□28 風見野市内 某所

 

 

 マギウスの裁判から一週間後。

 菖蒲彩月は私服姿で目の前にある一軒家を見ていた。

 

彩月「さて・・・・・。行くかあ」

 

 慣れた様子で玄関の扉を持っていた鍵で静かにドアを開くと廊下を通ってリビングに行く。

 そこにはソファーに座る神妙な表情をする両親と姉の姿があった。

 

彩月「おんやあ。全員お揃いか。都合がええ」

 

母親「彩月!あなたは一体今まで何処に行っていたの!?」

 

父親「学校から連絡があって学校にも来てないと言うじゃないか!」

 

彩月の姉「彩月・・・・・・・」

 

母親「あなたは何を考えているの!」

 

彩月「別にどうでもええ。というかウチはもうアンタ達とは関わらん」

 

父親「何を言って!?」

 

彩月「関わるなら死ぬで」

 

 そう言って彩月は手に薙刀を出現させてソファーの前にあるテーブルを両断した。

 

彩月の姉「・・・・・」

 

父親「なっ!?」

 

母親「あなた!親に向かって・・・・・」

 

彩月「ウチの演技力が怖い癖に何を言っとるんや?」

 

父親「!!」

 

彩月「気づいとったで。アンタ等はウチの演技力が自分達よりお上な事に恐れを抱いていたやろ。だからウチが劇団を潰した事を理由にウチを叔母さんに面倒見させて一人暮らしさせた。怖くて情けないからやろ。両親であるにも関わらず娘の演技を見破れない自分達が」

 

母親「ッ!!」

 

彩月「だけどそれも今日で終わりや。ウチはウチの心の儘に行く。だからもうウチの事は構うな。知ろうとするな。ウチも関わらんからウチに関わるな」

 

父親「何様のつもりだ!」

 

 彩月は瞬時に薙刀の切っ先を父親に向ける。

 

彩月「黙っときい。互いに無関心でいれば好きな舞台に上がれるんやから」

 

父親「ッ~~~~」

 

母親「ッ~~~~」

 

彩月「じゃあな。優秀な姉ちゃんの親でいれればええやろ」

 

 そう言って彩月は自分のスマホをその場に投げ捨てて家を出て行こうとする。

 

彩月の姉「彩月」

 

 玄関まで追いかけて来た彩月の姉が呼び止める。

 

彩月「何や?用でもあるんか?姉ちゃん」

 

彩月の姉「あなた・・・・・。そうやってワガママをし続けて満足?」

 

彩月「ハッ。満足には程遠いで」

 

彩月の姉「変わらないのね。あなたって」

 

彩月「呆れてるのか褒めとるのか知らんけど、誉め言葉と受け取るで。姉ちゃん」

 

 そう言って彩月は後ろを振り向かないままに手を振って自宅から出て行った。

 

彩月(ウチに驚かなかったと言う事は・・・・・。姉ちゃんは魔法少女を知っとるのかな?まあええか)

 

 出て暫く歩くと手にピンク色のキューブを出現させると自らその中に入り込んだ。

 キューブの中に広がる異空間には屋根が半分吹き飛び、明らかに修理が必要そうな一軒家が佇んでいた。

 躊躇う事無く入り込んだ彩月は玄関から直ぐにあるリビングに入り込む。

 元は猫を飼っていた家なのだろう。壁には猫が歩く為のキャットウォークが設置されている。

 備え付けられているテレビでは風見野市内で失踪した中学生の事がニュースとして報道されている。

 

彩月「終わったで。そっちはどうや?」

 

 リビングには朱奈がいるがその表情は暗いままだった。

 

朱奈「・・・・・・・・」

 

彩月「なんや。まだ仲直り出来へんのか」

 

綾女テレパシー(直ぐに仲直りなんて出来る訳が無いでしょう)

 

 そこへ響き渡る姿を見せない綾女のテレパシー。

 

綾女テレパシー(あなたが・・・・・。私が朱奈に隠していた事を全て暴露したのが原因なんだから)

 

彩月「それは悪かったな。けど綾女さんが目覚めるまでヒマやったから綾女さんの行た人体実験の事を教えてあげただけやで。ウチの事も含めてな」

 

綾女テレパシー(余計な事を!)

 

 恨みがましい綾女のテレパシーはその場から消えてしまう。

 

彩月「恨みがましいなあ。隠し事なんかするからやろ」

 

朱奈「でも・・・・・」

 

彩月「?」

 

朱奈「だからって綾女ちゃんの秘密を勝手に話すのは・・・・・」

 

彩月「仕方ないやろ。だってウチには筒地綾女の記憶があるんやから。だから教えてあげたんや。ウチが知る範囲の筒地綾女の事を。知りたく無かったんか?」

 

朱奈「・・・・・・・。彩月さんが一方的に話しただけ」

 

彩月「まあそうやな。ウチの悪い癖やな。そういう暴露癖は」

 

 言いながら笑みを浮かべて手近のソファーに座る彩月。

 部屋の天井は壊れて外が丸見えである。

 

彩月「まあおいおい仲良くしいや。薄々感づいていたんやしな」

 

朱奈「・・・・・・・」

 

彩月「しっかしこの隠れ家。屋根が壊れてんのは面倒やなあ。もっと良いのパクれば良かったわ」

 

朱奈「気になっていたけど、この隠れ家は一体どうやって手に入れたの?」

 

彩月「ウチが神浜市を散策した時に見つけた壊れた家を丸々パクったんや。このキューブでな」

 

 そう言って彩月は手にピンク色のキューブを出現させて見せる。

 

朱奈「そのキューブは・・・・・。色が違うけど確かアリナ様の・・・・・」

 

彩月「おんやあ?一夜さんの記憶か?それ」

 

朱奈「そうだと・・・。思います」

 

彩月「当たりやで。ウチの固有魔法は5メートル以内の他人の魔法の制御を強制的に奪う。それと制御を奪った魔法を覚え続ける事が出来る。だからウチは今、灯花様、ねむ様、アリナ様の固有魔法を使う事が出来るで」

 

朱奈「えっ?それって」

 

彩月「まあ最も奪った魔法の威力は持ち主と同等とはいかへんな。どう見てもレベル1から育て直しやな」

 

彩月(まあ契約を見届けたナル達もウチが定めた条件の下で他人の魔法を覚え続ける事が出来る事を気付いてないやろしな。契約にも裏技がある事をしるヤツはおらへんし)

 

朱奈「どうしてマギウスのお三方の魔法を覚えたの?」

 

彩月「今の朱奈さんか?一夜さんか?まあどちらの疑問でもええか。そりゃ簡単な理由やで。ウチは自動浄化システムに関しては灯花様とねむ様から個人的に色々と聞いていたから自動浄化システムに干渉する為に必要な魔法はマギウスのお三方の魔法だと当たりを付けとったんや。まあ必要な魔法はもう一つあるみたいやけどな」

 

彩月(説明会で聞いた環ういの魔法。自動浄化システムに干渉する為にはそれも必要やな。そして今は出来ない奪った魔法の同時使用もいずれは・・・・・・)

 

彩月「まあ暫くは自分の魔法を育てる事に集中しなアカンと言う事やな」

 

朱奈「・・・・・・・・・」

 

彩月「まあ疲れたんやな自分の部屋で休みい。明日にはウチらも神浜市に戻るんやからな」

 

朱奈「分かりました。でも神浜市に戻って何をするつもり何ですか?」

 

彩月「まあまずは・・・・・。見極めと修行と言った所やな。おいおい説明するで」

 

 朱奈は彩月に頭を下げると部屋を出て行った。

 

彩月「さて・・・・・。まあ一月位は平和やろ。その間にやる事をやらんとな」

 

 ソファーの座る彩月はこれからの事を考え始めていた。

 

彩月「まず狙うのは・・・・・。環ういやな」

 

 

 

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